続・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります

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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016
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記事、ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります、の続きです。
ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。
ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)
Abschnitt 2
Allgemeine Pflichten
§ 12 Kennzeichnungspflicht
(1) Die Halterin oder der Halter hat auf eigene Kosten dafür zu sorgen, dass ein Hund, der den dritten Lebensmonat vollendet hat, mit einer fälschungssicheren Kennzeichnung ( § 4 ) versehen wird.
(2) Außerhalb des eingefriedeten Grundstücks, auf dem der Hund gehalten wird, und bei Mehrfamilienhäusern außerhalb der Wohnung müssen Hunde stets ein geeignetes Halsband oder Brustgeschirr mit dem Namen und der Anschrift der Halterin oder des Halters sowie der Hundesteuermarke tragen.
§ 13 Registrierungspflicht
§ 14 Haftpflichtversicherung
(1) Die Halterin oder der Halter hat von Beginn der Haltung an fortlaufend eine Haftpflichtversicherung zur Deckung von durch den Hund verursachten Personen- und Sachschäden über eine Mindestdeckungssumme von einer Million Euro je Versicherungsfall zu unterhalten.
§ 15 Mitnahmeverbote
(1) Hunde dürfen nicht mitgenommen werden
1. auf Kinderspielplätze,
2. in Badeanstalten und an öffentliche Badestellen mit Ausnahme an als solche gekennzeichnete Hundebadestellen sowie
3. auf als solche gekennzeichnete Liegewiesen.
(2) Die zuständige Behörde kann in Gebieten, die aufgrund von Gesetz, Rechtsverordnung oder Widmung der Erholung der Bevölkerung dienen, für bestimmte Bereiche ein Hundemitnahmeverbot anordnen.
(3) Hundekämpfe oder Hundewettkämpfe sind verboten, soweit Bissverletzungen des Hundes oder anderer bezweckt sind oder in Kauf genommen werden.
(4) Darüber hinausgehende Vorschriften bleiben unberührt.
§ 16 Zucht, Vermehrung, Aufzucht, Ausbildung, Abrichten, Abgabe und Erwerb (Artikel wird weggelassen)
Abschnitt 3
Gefährliche Hunde
§ 17 Verbot der Zucht, Vermehrung und Abgabe
Die Zucht und Vermehrung von gefährlichen Hunden nach § 5 Absatz 1 sowie deren Abgabe sind verboten.
Hiervon ausgenommen ist die Abgabe an und durch Tierheime und ähnliche Einrichtungen, die über eine tierschutzrechtliche Erlaubnis zum Halten von Tieren verfügen.
§ 18 Anzeigepflicht (Artikel wird weggelassen)
§ 20 Maulkorbpflicht (Artikel wird weggelassen)
§ 21 Unterbringung, Beaufsichtigung und Führen gefährlicher Hunde (Artikel wird weggelassen)
§ 22 Zuverlässigkeit und Eignung (Artikel wird weggelassen)
§ 23 Besondere Leinenpflicht
(1) Außerhalb des ausbruchssicheren Grundstücks, auf dem der Hund gehalten wird, und bei Mehrfamilienhäusern außerhalb der Wohnung sind gefährliche Hunde ( § 5 ) vorbehaltlich der Bestimmungen des Absatzes 2 stets an einer höchstens zwei Meter langen, reißfesten Leine zu führen.
Die Leinenpflicht gilt nicht in speziell ausgewiesenen und kenntlich gemachten Hundeauslaufgebieten, sofern
(2) Gefährliche Hunde sind
1. in der Hausgemeinschaft zugänglichen Bereichen von Mehrfamilienhäusern, insbesondere in Aufzügen, Treppenhäusern, Kellern, auf Hofflächen und Zuwegen,
2. in Büro- und Geschäftshäusern, Ladengeschäften, Verwaltungsgebäuden und anderen öffentlich zugänglichen baulichen Anlagen und deren Zuwegen,
3. bei öffentlichen Versammlungen und Aufzügen, Volksfesten und sonstigen Menschenansammlungen auf öffentlichen Straßen und Plätzen,
4.in öffentlichen Verkehrsmitteln, auf Bahnhöfen und an Haltestellen sowie
5.in Fußgängerzonen
stets an einer höchstens einen Meter langen, reißfesten Leine zu führen.
§ 24 Befreiung von der besonderen Leinenpflicht 1)
(1) Gefährliche Hunde ( § 5 ) sind von einer Leinenpflicht befreit, soweit dies für
1. eine ordnungsgemäße Sachkundeprüfung ( § 7 ) oder
2. einen ordnungsgemäßen Wesenstest ( § 9 ) unerlässlich und die Sicherheit von Menschen und Tieren gewährleistet ist.
(2) Auf Antrag der Halterin oder des Halters kann die zuständige Behörde einen gefährlichen Hund nach § 5 Absatz 1 von einer Leinenpflicht befreien, wenn
(3) Die Befreiung von der Leinenpflicht nach Absatz 2 gilt nicht
1. in den Fällen des § 23 Absatz 2,
2. in öffentlichen Grün- und Erholungsanlagen, soweit in diesen nicht die Aufhebung der Leinenpflicht im Sinne des § 28 Absatz 3 speziell ausgewiesen und kenntlich gemacht wurde,
3. auf Waldflächen, die nicht als Hundeauslaufgebiete speziell ausgewiesen und kenntlich gemacht sind,
4.auf Sport- und Campingplätzen,
5.in Kleingartenkolonien und
6.für läufige Hündinnen.
Darüber hinausgehende Vorschriften sowie § 20 bleiben unberührt.
§ 25 Tierärztliche Mitteilungspflichten
第2章 犬の飼い主に対する全般義務
12条 個体識別の義務
1項 犬の飼い主は、3か月齢に達した犬に偽造防止された個体識別を行うことを自己負担で確認する必要があります(4条)。
2項 犬が飼育されているフェンスで囲まれた敷地の外、および集合住宅のアパートの部屋の外では、犬は常に飼い主の名前と住所、および犬の犬税納税済み証が付いた適切な首輪またはハーネスを着用する義務があります。
13条 犬の登録義務
14条 犬の賠償責任保険
1項 犬の飼い主は、犬の飼育を開始しると同時に犬による人身傷害や財産の損害を補償する賠償責任保険を継続しなければならず、一事故ごとに最低でも100万ユーロを保険で補償契約をする義務があります。
15条 犬の同行を禁止する場所
1項 犬が許可されない場所
1号 児童公園
2号 遊泳施設及び公共の遊泳場所
3号 犬禁止が明示された芝生の場所
2項 所管官庁は、法律、条例または行政サービスに基づいて、公衆のレクリエーションに役立つ特定の地域での犬の禁止を命じることができます。
3項 犬や他の人への咬傷が意図的であるか、それが受容されている場合は、闘犬や犬の競技は禁止されます。
4項 規則条例で、本法の規定以上の規制を定めることは本法の影響は受けません。
16条 繁殖、増殖、飼育、訓練、しつけ、譲渡および取得(条文は省略)
(この条項では、「危険な犬」の繁殖の禁止と、犬ブリーダーに対するベルリン州独自の販売規制の規定です。正規の認可を受けた犬ブリーダーは1歳未満の犬の譲渡販売に際しては、犬ブリーダーの登録者であることや犬の品種などの証明書を購入者に交付しなければならない等がさだめられています)。
第3章 危険な犬
17条 危険な犬の繁殖および流通の禁止
5条に定める危険な犬の繁殖と増殖、およびそれらの犬の譲渡は禁止されています。
これは、動物保護法(Tierschutzgesetz)により動物を飼うことを許可されている動物保護施設(ティアハイム)および同様の施設への譲渡と、およびそれらの施設を介した譲渡には適用されません。
18条 危険な犬の通知義務(条文は省略)
(危険な犬の飼い主は、飼い主の住所氏名等の個人情報と、当該犬の特性、マイクロチップ番号、飼育放棄、死亡等の情報を所管官庁に届けなければならないとする)
19条 危険な犬の飼育者に対して、犯罪歴がないことの証明を所轄官庁に提出しなければならない義務(条文は省略)
20条 危険な犬に対する公共の場での口輪装着義務(条文は省略)
21条 危険な犬の収容、監督、取り扱い(条文は省略)
(危険な犬は脱走防止に十分配慮して飼育しなければならず、飼育施設のすべての入り口に「危険な犬を飼育している」ことを掲示しなけれrばならない。危険な犬の飼育は18歳以上で専門知識がなければならないなどの規定)。
23条 危険な犬の特別なリード義務
1項 犬の脱出防止を施した犬の飼育施設の外、および集合住宅の部屋の外では、危険な犬(5条で定義する)は、2項の規定に従い、常に長さ2メートル以下の切れにくい丈夫なリードで保持しなければなりません。
リード義務は特別に指定され、明確に明示された犬の運動場所(註 公共のドッグラン)には適用されません。
2項 危険な犬は、
1号 住民が共用している集合住宅の場所、特にエレベーター、階段の吹き抜け、地下、中庭、進入路においては、
2号 オフィスビルや商業ビル、店舗、行政の建物、その他の公に利用が可能な建物と、それらへの進入路では、
3号 公の集会やエレベーター、お祭り、その他の公道や広場での人々の集会で、
4号 公共の交通機関、駅、停留所においても、
5号 歩道では、
常に1メートル以下の長さの、丈夫で切れないリードに犬をつなぐ義務があります。
24条 危険な犬の特別なリード義務の免除
1項 危険な犬(5条)は、次の理由がある場合はリードにつなぐことが免除されます。
1号 適切な専門家による検査(7条)を受け、または
2号 適切な犬の気質テスト(9条)が不可欠であり、人と動物の安全が保証されていること。
2項 飼い主の申請により、所管官庁は、第5条1項に従い、危険な犬のリード義務を免除することができます。
3項 以下各号においては、第2項によるリード義務の免除は適用されません。
1号 23条2項の場合、
2号 公共の緑地およびレクリエーションエリアにおいて、28条(3号)で定義する範囲内でのリード義務の解除が明確に特定および特定されていない場合においては、
3号 犬の運動エリア(註 いわゆる「ドッグラン」)として特別に指定および明示されていない森林地帯では、
4号 運動場とキャンプ場で、
5号 小さな公園で、
6号 発情中の雌犬は、リード義務免除はありません。
上記を超える危険な犬のリード免除の制限を自治体が条例で制定すること、及び20条は制限を受けません。
25条 獣医への通知義務(条文は省略)
(獣医師は、危険な犬が規制を受けない一般の犬として飼育されていることを発見したら、飼い主の氏名住所を管轄する官庁に報告する義務があります)。
(解説)
12条 13条
ベルリン州においては、本法で適用される犬は全て、マイクロチップによる個体識別と登録義務、さらに損害賠償責任保険の加入義務があります。前回記事でも述べましたが、日本では「ドイツでは犬税登録があるために、別途登録する制度はない」という情報が流布されていますが、完全に誤りです。犬税登録と、犬の個体識別とそれに基づく登録の二重登録制度になっています。
17条 18条 19条 20条 22条 23条 24条 25条
法律で定めた「危険な犬」の扱いについてです。危険な犬の繁殖と流通の禁止、飼い主と犬の届け出義務、飼い主の危険な犬の飼育の資格で犯罪歴がないことが求められる等の規定です。
また「危険な犬」は、公共の場では常に口輪の装着が義務付けられます。申請があり、届け出が認められた場合に限り、「危険な犬」はリード義務がいわゆる公共の「ドッグラン」で免除されます。しかし危険な犬は公共の場では、いかなる場所でも口輪はしなくてはなりません。
その他、獣医師が「危険な犬」の飼い主が「危険な犬」としての申請と飼育許可を得ておらず、一般の犬として飼育していることを発見したならば、所轄官庁に報告しなければならないとあります。ドイツは「危険な犬」の飼育に対しては、厳しい規制を設けています。後ほどの条文で示しますが、無届の「危険な犬」の飼育は、犬を州が没収して強制的に殺処分する権限があります。
(画像)
NHKの2012年放送の番組、「地球イチバン 地球でイチバン ペットが幸せな街~ドイツ・ベルリン~」のHPから。この番組で放送された内容はほぼすべてがデタラメです。このHPの「(ベルリンの)街では場所によっては大型犬も首輪やリードなしで歩き回り」ですが、ベルリン州では一般飼い主の犬で使役犬以外は首輪もしくはハーネスの使用が義務付けられています。今回訳した、「ベルリン犬法」の12条2項に明記されています。さらに「危険な犬」は、リードのほかに口輪も義務づけられています。なぜこれほどのひどい真逆のデマ番組をNHKが製作したのか、私は理解に苦しみます。

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