続・「ドイツ語の反証を一つも出せないドイツ人の友人」の謎(笑)

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(Zusammenfassung)
Einschläfern von Tieren
記事、「ドイツ語の反証を一つも出せないドイツ人の友人」の謎(笑)、の続きです。
私のこのブログ記事ですが、しばしば「嘘、デマ」と非難するインターネット上の投稿があります。そして「さんかくたまごは無知無学。もっと勉強しろ」と叱責するご意見もあります。しかし私の情報に対する反証は「ドイツ人の友人知人が言っていた」と、偽ドイツ女性獣医師の誤訳文書しか今まで見たことがありません。「ドイツ人の友人知人」が、1つも反証となるドイツ語の出典を示したことがないのが謎です(笑)。
サマリーで示した、「さんかくたまごが書いていることはデタラメ」という、ソーシャルメディアなどでの投稿がしばしばあります。かなり前にも何度か取り上げましたが、例を再度提示します。
元の投稿はこちらです。猫伯爵。画像のツィートは既に削除されているようです。
(画像)

私はこの件に関して記事にしています(「ドイツでは野良猫の殺害は懲役10年になる」という、「猫伯爵」という方のあまりにも面白いドイツ法解説(大笑い))。私は「ドイツで無主物の猫の殺害で懲役10年以上になった判決(併合事件を除外する)全文の、係属裁判所と事件番号が明記されたドイツ語原語の原文の資料を提示されたならばこのブログを閉鎖します」と公言していますが、何年もたつのにいまだに提示した人はいません。判決どころか根拠法や学説すら示した人がいません。
前回記事の補足を書きます。ドイツは「ライブトラップで捕獲したのちの猫が飼い猫であったとしても殺害してもよい」と、わざわざ州法で明記している国です。例えばバイエルン州狩猟法、チューリンゲン狩猟法などです。さらにドイツ連邦動物保護法(Tierschutzgesetz)4条1項では、「狩猟害獣駆除で法律に基づいて行う場合は必ずしも苦痛軽減は必要ない」とすら規定されています。ですからドイツでは、ライブトラップ(箱わな)で狩猟法に従って飼い猫野良猫を捕獲したのちに、銃や電気ショッカーなどの殺害の道具がない場合は、ライブトラップごと熱湯をかけて殺害することも違法とは言えないとも解釈できます。しかし私はくだんの税理士のビデオは見ていません。憶測の部分があり申し訳ありません。Thüringer Jagdgesetz (ThJG) 「チューリンゲン州狩猟法」 から引用します。
§ 42 Aufgaben und Befugnisse der Jagdschutzberechtigten
(1) Die zur Ausübung des Jagdschutzes berechtigten Personen sind befugt:
2. wildernde Hunde und streunende Katzen zu erlegen, wenn sie im Jagdbezirk in einer Entfernung von mehr als 200 Meter vom nächsten bewohnten Gebäude angetroffen werden; es sei denn, dass sich der Hund nach erkennbaren Umständen nur vorübergehend der Einwirkung seines Herrn entzogen hat.
Diese Befugnis erstreckt sich auch auf solche Hunde und Katzen, die sich in Fallen gefangen haben.
第42条 狩猟を許可された者(免許を受けたハンター)の義務と権限
(1)狩猟鳥獣の保護を行使する権限を与えられた者は、以下の権限を与えられています。
2. 狩猟鳥獣を捕食する犬や野良猫が、最も近くの居住用建物から200メートル以上離れた狩猟地区で発見された場合、それらの犬猫が飼い主の管理下から一時的に離れていることが確認できる状況でない限り、それらを殺す義務と権限があります。
この効力は、そのようなわなで捕獲された犬や猫にも及びます。
次に、このTwitterの投稿についての補足です。白猫の二二。画像がそのスクリーンショットです。大変面白いリプライが付いていたのですが削除されたようで残念です。せっかく典型的な愛誤の無知蒙昧無学ぶりがさく裂したリプライが多数ついていたのに。
(画像)

上記のツイッターの投稿で管理人は、ドイツからのレポート① 犬猫の殺処分ゼロ、殺処分上もゼロ (ALIVE)を根拠として、「ドイツでは保護された犬猫は一切殺処分しない」と主張しています。
前回記事では、ドイツのティアハイムの統括団体である、ドイツ動物保護連盟の「ティアハイム運営指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes 、および日本で「殺処分ゼロ」と喧伝されているティアハイム・ベルリンのHP(Häufig gestellte Fragen )を引用しました。どちらにも「ティアハイムに収容した犬猫等の動物は、一定の状況では『必ず』殺処分しなければならない」と述べられています。今回記事では補足として、「ドイツ全体の殺処分率」と、「個別のティアハイムの殺処分率」の資料を提示します。
まず「ドイツ全体のティアハイムの殺処分率」ですが、2014年にハノーファー獣医大学がノルトラインーヴェストファーレン州(ドイツで最も人口が多い州)での、広範囲なティアハイム犬の調査資料を公表しました。その資料によれば、ティアハイムの犬の殺処分率は26.2%です。直近の日本の犬の殺処分率は22%ですので、それより高いことになります。
Tierärztliche Hochschule Hannover Bedeutung der Pflege- und Haltungsbedingungen für Gesundheit und Wohlbefinden von Hunden als Fund- und Abgabetierein Tierheimen des Landes Nordrhein-Westfalen 「ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムにおける、行政が拾得した犬の健康と福祉のための世話や飼育環境の調査」。2014年 から引用します。
これはタイトルのとおり、ドイツ、ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムに関する収容犬の大規模調査です。これらの対象は、行政が捕獲押収没収した犬をティアハイムが引き受けたものだけが対象です。殺処分率に関する記述を引用します。
Die vom DEUTSCHEN TIERSCHUTZBUND E. V. (1995) erstellte Tierheimordnung hat klare Kriterien für das Töten von Tieren in Tierheimen festgelegt.
dies ist nur in Ausnah- mefällen zulässig.
Wie im Falle einer massiven Überbelegung,verur- sacht durch Langzeitinsassen, verfahren werden soll.
RUPPERT stellte , dass 26,20% aller aufgenommenen Tiere in Tierheimen euthanasiert wurden.
In 32% dieser Fälle er-folgte die Euthanasie auf Grund unheilbarer Krankheiten, in 68% lag „ein anderer vernünftiger Grund“ wie Bissigkeit, hohes Alter, Ängstlichkeit, langer Aufenthalt oder Platzmangel vor .
ドイツ動物保護連盟E. V.によるティアハイム規則(1995年)は、ティアハイムにおける動物の殺処分のための明確な基準を定めています。
殺処分は、例外的な場合にのみ許可されています。
しかし著しい過剰収容の場合と同様に、動物の長期の収容によってもその基準は徐々に緩和されます。
ルパートは、記録されたすべての動物(犬)のうち、26.20%がティアハイム内で安楽死させられたことを発見しました。
これらの例の32%では、難病が原因で安楽死に処せられました。
別の安楽死の原因の68%は、非人道的な「別の合理的な原因」であり、犬が高齢であること、行動上の問題に不安があること(攻撃性か)、長期の収容期間や収容スペースの不足などが続きます。
個別のティアハイムでは、かなり高い殺処分率を公表している施設があります。Tierheim Altentreptow e.v. 「ティアハイム・アルテントレプトウ」 年次報告書 では、次のことが記載されています。
2014年には、犬猫総収容数137(Pensionstiere 3 は有償での老犬老猫ホーム事業による預かりなので総数から除外)に対して、殺処分(Euthanasien)が34頭、施設内死(verstorben)が15頭でした。総収容数に占める殺処分+施設内死の割合は35.8%です(日本の自治体の殺処分数の計算方法に基づく)。この数値は、年次報告書を出しているティアハイムの中では、特別多い殺処分率とは言えません。非公表とはいえ、収容している猫をすべて感染症で殺処分した施設も報道されているからです。
(画像)
tierheim-altentreptow「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から2014年統計

HN、白い猫の二二さんですが、私が「しっかり勉強してください」言われても、いくらドイツ語の法令やティアハイム自身が公表している資料、大学の研究論文など勉強しても、「ドイツは保護された動物の殺処分は一切行いません」という資料は一つも見つかりません。むしろ「一定の条件下では殺処分は不可避である=しなければならない」とする資料しか見つかっていません。
今回は民間団体のティアハイムの殺処分について述べましたが、ドイツでは公的殺処分も相当数あります。ドイツは日本と異なり、飼い主の意思に反しても強制的に公的殺処分する制度があります。ドイツは世界でも数少ない禁止犬種法がある国ですし、狂犬病清浄国ではありません。前述の、法律で禁止する犬種(日本にはそのような法律はない)、咬傷犬(日本では重大咬傷事故を起こした犬でも行政が強制的に殺処分する法的根拠はない)、狂犬病法による強制殺処分(日本より厳格に殺処分を行っています。例えば狂犬病陽性動物と同じクレートで運ばれて接触したというだけで、症状がなくても強制殺処分されます)に基づく公的な殺処分があります。また公共の場でリードをしていない犬は、警察官が射殺することも合法です。ドイツでは年間の、警察官が射殺した犬などの数は1万3000頭を超えます。
HN、白い猫の二二さんのツィートですが、残念ながら削除されましたし、キャッシュコピーもありません。ついたリプライは「典型的な頭がわいた愛誤」の絶好の見本となるものでした。その中には、「ドイツでは殺処分はないが狩猟で何十万も犬猫が殺害されていてそれが合法」という、「さんかくたまごとその仲間」への擁護?のリプライも散見されました。先に述べた通り、ドイツでは日本と異なり、飼い主の意思に反してでも厳格に殺処分を行っています。犬猫の一次収容は行政の責務と法律で明記され、公的動物収容所でも行政による殺処分が行われています。
正直言って「ドイツには民間のシェルターや公的殺処分はない」と本気で思ってる人は、知能が足りないと私は判断します。ドイツでは高位推計では猫だけで年間50万頭が狩猟殺害されており、警察官が市中で射殺する犬などの動物の数は1万3000頭をこえるのは事実です。「ドイツでは殺処分がない(特に公的殺処分)」と主張している人は、ドイツの犬猫の狩猟が合法できわめて多くの犬猫が狩猟駆除されていることを根拠にしていますが、論理の飛躍も甚だしい。例えばドイツは狂犬病清浄国ではありません。では、狂犬病の疑いがある犬などが発見された場合は行政はどうするのですが。放置するのでしょうか。動物の入国検査で狂犬病等の重大な感染症の疑いのある移動物が見つかった場合、早く脳組織を取り出して確定診断をして対策をしなければなりません。行政がしかるべき施設に収容して、行政獣医師が殺処分すると考えるのが正常な知能の持ち主です。これは一例です。ドイツには禁止犬種や咬傷犬を行政が押収して強制的に公的殺処分をする権限が法律に定められています。
政府が機能している国で、犬猫等の公的な殺処分がない国はドイツも含めてないと断言します。公衆衛生や国民の安全を守ることが国の責務だからです。
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