「ドイツでは集合住宅での危険犬種の飼育は住民全員の承諾が必要」は大嘘~㈱アニコムのデマ記事

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(Zusammenfassung)
Vermieter dürfen nicht generell die Haltung von Hunden únd Katzen verbieten.
Das hat jetzt der Bundesgerichtshof (BGH) entschieden.
記事、
・犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
・続・犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?、
・コロナ禍で犬の飼育数が激増しているドイツ。その多くが東欧などからの違法輸入である、
・ドイツの犬猫医療保険加入率は14%~「ドイツのペット医療保険加入率は1%」という悶絶大嘘、
・ドイツの犬の賠償責任保険加入率は70%~理由は法定義務だから、
・全ドイツケネルクラブ登録ブリーダーの犬の販売シェアは24%~ドイツでは犬猫を飼うならブリーダーから直接購入するという文化があると言う大嘘、
・ドイツの年間犬輸入数は50万頭で、犬の販売シェアで最も多いのが輸入犬のインターネットなどによる販売、
・ペットの生体販売に関する法規制が緩いドイツ~㈱アニコムの狂ったデマ記事、
・「大家は賃貸住宅で犬猫の飼育を禁止してはならない」というドイツ連邦司法裁判所判決~㈱アニコムの狂ったデマ記事、
の続きです。
㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~ 、ですが、書かれていることはほぼすべてがデマです。今回は「(ドイツでは集合住宅での犬飼育では)闘犬などの危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要という場合がある」が大嘘であることを述べます。ドイツでは、「家主は賃借人に飼育している闘犬種の犬の排除を求めることはできない」という判決が確定しています。
サマリーで示した、 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~(以下、「本記事」と記述する) の問題記述を引用します。
ドイツも日本と同じく、集合住宅では家主の許可がなければ飼育することはできません。①
また、闘犬などの危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要という場合があるそうです。②
①の「ドイツも日本と同じく、集合住宅では家主の許可がなければ(犬を)飼育することはできません」が大嘘、デマであることを前回記事で延べました。ドイツでは連邦司法裁判所(最高裁)が2013年に示した判決では、「賃貸借契約において、家主が賃貸住宅の賃借人に対して犬猫の飼育を禁じるとの契約は無効」との判決を示しています。「ドイツも日本と同じく、集合住宅では家主の許可がなければ(犬を)飼育することはできません」との記述は、「家主は賃借人の犬飼育を許可しないこともできる」という意味になるからです。なお日本ではドイツと異なり、一律に「犬猫(以外の小動物でも)などのペットを家主が賃借人が飼育することを禁じる」契約は有効とされています。したがって、「ドイツも日本と同じく、集合住宅では家主の許可がなければ飼育することはできません」との記述は誤りです。
日本では「賃貸借契約においてペット飼育禁止は有効である」との判断を示した判決は最高裁ではありませんが、下級審では多くの判決があります。ペット不可マンション判例 から例示します。
【京都地判平13.10.30】 (235.8万円)
マンションの一室を、月額13.1万円(車庫・管理費込)で家主から借りていた住人が、中型犬(Shetland Sheep Dog)を飼育しているのがばれて、賃貸契約を解除され、違約損害金支払いを求められた裁判で、賃貸契約書通り、家賃の1.5倍の違約損害金支払いが命じられた。
賃借人は、この契約書は知っていたが、管理会社である㈱S興産の担当者から犬の飼育について承諾を得ていたと主張、他の入居者で同じ犬種を飼っている者がいる、どこからも苦情が出ていない、管理会社も動物飼育を黙認しているなどと抵抗したが、賃貸人(マンションの所有者)が、動物が部屋を損傷すること、動物特有の臭いが部屋にしみ込み次の賃借人が入居を嫌うこと等で禁止しているのであるから、犬の飼育を許可する権限ある者の承諾がなければ何人も入居し得ないと判示された。
次は本記事の、「また(ドイツでは)、闘犬などの危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要という場合があるそうです」②について述べます。この記述では、「ドイツも日本と同じく、集合住宅では家主の許可がなければ飼育することはできません」との記述に続いているために、「賃貸住宅では同じ建物内の他の賃借人全員の承諾が必要」と理解します。
この根拠に一切触れていない記述は問題です。法令なのか、司法判断なのか、任意で家主がそのような賃貸借契約の特約を付けるケースがあり、それが有効とされているのかが不明です。しかし結論から言えば、そのいずれもありません。つまり「デマ」です。
まず州法ですが、ドイツ連邦共和国には16の連邦州のうち、13州で品種に基づく禁止犬種法があります。バーデン・ビュルテンブルク州、バイエルン州、ベルリン州、ブランデンブルク州、ブレーメン州、ハンブルク州、ヘッセン州、メクレンブルク・フォアポンメルン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ラインラント・プファルツ州、ザールラント州、ザクセン州、ザクセン・アンハルト州です。チューリンゲン州とシュレースヴィッヒ-ホルシュタイン州は、品種に基づく区分を廃止し、犬の個々の特性により判断され危険な犬として法規制を受けます。つまりドイツ16州のうち13州で犬種により禁止犬種が法令で規定され規制を受け、2州で行動などから行政から危険犬として判定されて規制を受ける法令があります。
しかしいずれの州も、「危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要」との根拠となる法令は確認できていません(Rasseliste)。集合住宅での規制は、チューリンゲン州とヘッセン州で、集合住宅での飼育者のドアに「犬に注意」という表示をすることが義務付けられているなどがあります。
次に司法判断ですが、「危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要」という判決は見つかりませんでした。前提として、賃貸の集合住宅の個々の部屋の賃貸借契約は賃貸人(大家)と賃借人の2者の関係です。他の部屋の賃借人がその契約に関与できる法的根拠があるのか疑問です。
(参考資料)
・Justizportal Des Bundes und der länder ドイツ連邦司法省 連邦司法裁判所(最高裁)と各州裁判所における、判例データベース
対して、「危険犬種が指定されている州では、住宅の住民全員の承諾が必要」に真っ向から反する判決があります。それは「集合住宅の大家(賃貸人)は、賃借人が飼育しているピットブル(註 ドイツ連邦法、各州の州法で危険犬種の筆頭に挙げられる犬種)の排除を求めることはできない」とする判決です。Hundehaltung | Mietrecht: Vermieter muss lieben Pitbull dulden Hundehaltung |Mietrecht 「犬の飼育 賃貸借法 家主はピットブルを許容しなければならない 犬の飼育 借地借家法」 2016年5月15日 (弁護士のサイト)から引用します。
Mietrecht | Hundehaltung: Vermieter kann nicht Abschaffung eines Pitbulls verlangen
Im einem Urteil vom Amtsgerichts Frankfurt am Main (Az.: 33 C 2336/01-13) hingegen wies das Gericht den Anspruch des Vermieters gegenüber seinem Mieter auf Beseitigung eines Pitbulls aus der Mietwohnung zurück.
In diesem Fall entschied das Gericht gegen den Vermieter und wies die Klage auf Abschaffung des Pitbulls ab.
Obwohl der Hund der Rasse Pitbull sicherlich in einigen Bundesländern als gefährliche Hunderasse angesehen wird, stufte das Gericht diesen Pitbull nicht als ein gefährliches Tier ein.
Der Pitbull des Mieters war nie auffällig gewesen und hatte einen überaus positiv formulierten Wesenstest abgelegt.
借地借家法|犬の飼育:家主はピットブルの排除を借家人に要求することはできません
フランクフルト・アム・マイン地方裁判所の判決(事件番号:33 C 2336 / 01-13)では裁判所は、借家人に対する家主の、借家人のアパートの部屋から飼い犬のピットブルを排除せよという主張を棄却しました。
この判決では、裁判所は家主に不利な判決を示し、ピットブルを排除せよという訴えを棄却しました。
ピットブルという品種の犬は確かにいくつかの州では危険な品種の犬と見なされていますが、裁判所はこのピットブルを危険な動物として分類しませんでした。
賃借人のピットブルは安全性の面では疑わしいことはなく、(註 州により義務付けられている、禁止犬種飼育許可のためのテスト)犬の気質テストでは非常に良い成績で合格していました。
最後に、「賃貸住宅では同じ建物内の他の賃借人全員の承諾が必要」が、任意で家主がそのような賃貸借契約の特約を付けるケースがあるのかという点です。私はドイツの判例からすれば、そのような賃貸借契約の特約は無効だと思います。まず前回記事で書いた通り、ドイツ連邦司法裁判所(最高裁)で2013年に、「犬猫の飼育を禁止する賃貸借契約は無効」との判決が確定しています。また下級審で、「家主(賃貸人)が集合住宅で飼育しているピットプル(註 禁止犬種の筆頭品種)の排除はできない」との判決が確定しています。
これらの判決から判断すれば、次のようになります。「賃貸住宅では同じ建物内の他の賃借人全員の承諾が必要」とは、ほぼ不可能な条件を危険犬種の飼育者の賃借人に求めることです。それは事実上危険犬種の飼育を禁じるのと同じであり、その契約は無効と考えられます。
㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~ のライターですが、ドイツの法律に関するの記述でも、法令、判決は一つも調べていないようです。勝手な想像で妄想作文しているわけですが、このような噴飯記事を堂々と公開する会社の規範意識に対しても疑いの念を私は抱きます。
今回記事では、ドイツの禁止犬種法について触れました。かねてより日本ではドイツの禁止犬種法に関しては、正確な資料が私が知る限り皆無です。折々、まとめたいと思います。
(動画)
Hunde Rasseliste - gut oder schlecht? 「(法律で規制する)犬の品種リスト-それは良いのか悪いのか?」 2020年7月20日
「危険な犬」を犬の品種により法律で定め、多くの規制を課し、それに満たない場合は行政が強制的にその犬を殺処分する権限がある」というのがドイツなどの禁止犬種法の概要です(品種ではなく個々の犬の特性で判断するドイツの州もあります)。この品種で規制することに関しては、長年禁止犬種法がある国では議論が対立してきました。
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