「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら」~地域猫活動家は植物の損害を賠償しなければならない

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domestic/inländisch
記事、
・庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる?~殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂気、
・続・庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる?~殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂気、
・「財産被害の防止のためならば私有地内に侵入する猫を殺傷することが合法」が国際的なスタンダード~殺処分ゼロ議員連の顧問弁護士の狂気、
の続きです。
「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の顧問弁護士、渋谷寛氏ですが、過去にも多くの、仰天するような発言等を行っています。最近も「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら損害賠償請求で訴えられる」という妄論を述べています。しかし過去の裁判例からは、逆に「庭に地域猫を侵入させて植物に被害を及ぼした地域猫活動家」こそ損害賠償で訴えられ、庭の所有者に賠償しなければならないと考えるのが妥当です。
私の前回前々回記事で取り上げた最近の渋谷寛弁護士の妄言、「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら訴えられる」についてです。記事、庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる? 2020年10月9日 から、該当する箇所を引用します。
家の庭にある植物の中には、猫に有害といわれるものもあります。
もしも、その庭に地域猫たちがときどき入ってきて、植物を口にして食中毒などを起こした場合。
その庭の所有者が訴えられることはあるのでしょうか?
場合によっては賠償請求されることも
たとえば、庭にくる地域猫に害を与えようと、わざと有害な植物を置いている場合。
またわざとではなくても、植物の毒性が強く、たびたび死亡事故が起こっている場合などです。
庭の植物について団体から相談されても頑として対応しないなど権利を侵害しているということになれば、民法709条が適用される可能性もなくはありません。
不法行為による損害賠償
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
参考/「ねこのきもち」2020年3月号『もしものときの猫の法律相談所』(監修:渋谷総合法律事務所 ペット法学会事務局次長 弁護士 渋谷 寛先生)
今までの連載記事で私が述べたことは次の通りです。「地域猫は飼い主がない猫=無主物である。したがって地域猫が死傷した損害については、地域猫活動家にはその損害を求める訴訟において原告の当事者適格がない」。「地域猫が庭の植物を食べて中毒を起こした損害以前に、地域猫が植物を毀損した加害行為により地域猫活動家が庭の所有者に訴えられる可能性が高い」。「海外の法令、司法判断では概ね、私有地に侵入する猫などからの財産被害を防止するためであるならば殺傷が合法」などを述べました。
「地域猫が地域住民の庭の植物で中毒を起こした」件については、日本ではまだ民事訴訟は提起されたことはないと思われます。今回記事では、同類・同系統の民事訴訟の判決により、本件について考察したいと思います。
まず地域猫ですが、「行政が認めた、自由に徘徊する無主物の猫を民間団体で管理をおこなう活動」です。「無主物(*1)の、自由に徘徊する動物を民間団体が管理を行うもの」としては、財団法人奈良の鹿愛護会(以下、「鹿愛護会」と記述する)があります。奈良公園と春日大社付近の鹿は天然記念物の野生動物=無主物ですが、鹿愛護会は傷病鹿の保護、鹿の角切りなど行って観光客への危険を防止するなどの高度な管理を行っています。また奈良県は鹿愛護会に補助金を支給し、援助しています。さらに助言支援活動も行っています。
この奈良の鹿愛護会の活動は、「無主物の、自由に徘徊する猫の不妊去勢などの高度な管理を行い、行政が制度として認め、補助金を支給する自治体もある。管理するのは民間団体である」ことを特徴とする、地域猫活動と「同類・同系統」と言えます。奈良の鹿と鹿愛護会は、周辺農家に鹿の加害により訴えられた裁判例があります。
(*1) かつて宗教法人春日大社は周辺の鹿の所有権を主張していましたが、現在では取り下げています。鹿による農業被害の損害賠償を求める昭和56年の第二次訴訟和解が成立し、以降は宗教法人春日大社には鹿の所有権はないとされています。鹿愛護会には鹿の所有権はないとの司法判断は、昭和54年の第一次鹿害訴訟の判決が確定しています(奈良の鹿)。
この奈良の鹿ですが、しばしば周辺の農家の農作物を食害し、加害していました。そのために周辺農家は、宗教法人春日大社と鹿愛護会に対して複数回の損害賠償訴訟を提起しています。第一次訴訟では、奈良地裁は宗教法人春日大社と鹿愛護会に対して訴えのうち、慰謝料以外についてはほぼ全額を容認し、被告の宗教法人春日大社と鹿愛護会に、原告農家に対して損害賠償の支払いを命じました。その判決要旨を引用します。◆「鹿の所有者は誰か――神鹿による被害第一次訴訟(昭和58.3.25奈良地判) 昭和54年(ウ)第96号損害賠償請求事件
昭和54年(ウ)第96号損害賠償請求事件
原告 鹿によって耕作物に被害を受けた奈良公園周辺の農民12名
被告 宗教法人春日大社及び財団法人奈良の鹿愛護会
訴えの内容 被害額、鹿害防止費用及び10%の弁護士費用の損害賠償330万円の請求。
判決 慰謝料部分の請求以外をほぼ全面的に認容。220万円と、その遅延賠償金の支払命令。
この訴訟では、被告の鹿愛護会は鹿にかかわる活動を、「親好文化伝承と野生動物を含む自然保護という国民的責務による慈善行為であり鹿の管理責任はなく、農業被害に対する損害賠償の支払い義務はない」と主張しました。しかし裁判所は、鹿愛護会の活動は、鹿の管理責任を問うべきであると認定しました。
かねてより鹿愛護会は、鹿の所有権を主張していません。また司法も鹿愛護会には鹿の所有権を認めていません。奈良の鹿はボウガンで殺害された事件(犯人は文化財保護法違反で有罪)、自動車事故で死ぬ、ビニールなどを誤食して死ぬなどの事故がたびたびあります。鹿愛護会はそれらの鹿の殺傷については、鹿を殺傷した者に対して一度も損害賠償請求の民事訴訟を提起したことはありません。鹿の所有権がなければ、鹿が殺傷されたことにより鹿愛護会の損害は生じないからです。
この一連の鹿愛護会と周辺農家との裁判を、渋谷弁護士の発言に当てはめるとこうなります。「鹿が周辺農家の農作物をビニールマルチや農薬ごと食べて中毒を起こして死傷した」として、鹿愛護会が農家に損害賠償を求めるのと同じです。さらに渋谷弁護士は、「鹿愛護会は周辺農家に鹿に有害なもの(ビニールマルチや農薬)の使用をやめさせる権利がある」と主張しているのと同じです。渋谷弁護士の発言がいかに妄論か、ご理解いただけると思います。鹿愛護会=地域猫活動家、農家=地域住民で庭の植物を猫に食べられた人、となるからです。
「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら(庭の所有者が)訴えられる」との渋谷弁護士の発言はまずありえません。むしろ地域猫活動家が庭の所有者に訴えられる可能性が高いです。「植物で中毒を起こす」に至るには、食べられた植物の毀損は当然ありますし、相当の回数で庭に侵入し植物を踏み荒らし、糞尿被害もあったと考えるのが当然です。
なお鹿愛護会らが、鹿による農業被害で訴えられた裁判では、。第二次訴訟では和解が成立しています。和解の中では、「鹿愛護会とともに奈良県、奈良市が協力して農業被害防止に協力する」ことが当事者間で合意されています。例えば鹿の侵入を防止するための有刺鉄線や電気柵の設置を農家が行う場合は奈良市が補助金を出しています。さらに奈良氏は猟友会に委託し、農業被害が発生している地域の鹿の捕獲、さらには殺害駆除も行うこととしました。
ですから地域猫活動家は、被害を受けている庭に猫の侵入防止策を庭の所有者が講じることに対して資金援助するなどして、猫が庭に侵入させないようにすることが必要です。ちなみにアメリカ合衆国ではアニマル・コントロール・サービスという行政組織があり、徘徊猫を捕獲し、アニマルシェルターに収容して殺処分しています。TNRマネジメントを制度化している自治体でも、猫により地域住民から苦情があれば、アニマル・コントロール・サービスがTNR猫であっても捕獲殺処分する権限がありますし、実際に行われています。いかに渋谷寛弁護士の発言が荒唐無稽でとんでもない妄論であるかが、お分かりいただけると思います。
(動画)
200万円以上するものも 盗難被害が相次ぐ多肉植物の高額品種「ハオルシア」 2017/12/08公開
きわめて高価なユリ科の多肉植物、ハオルシア。1鉢200万円超のものも。成長が極めて遅いので、それも高価な理由です。猫がかんだり踏んだりすればすくダメになるでしょう。渋谷弁護士は地域猫が園芸植物に被害を不問だともとれる発言をしています。まさに狂気の猫だけ愛誤思想です。このような妄論を発言する方が環境省の外部委員や動物愛護管理法の改正にかかわっているのです。日本の動物愛護は狂気です。
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