EU委員会は加盟国にアライグマの徹底駆除を求めた~熊森協会の大嘘

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(Zusammenfassung)
Waschbärenjagdgesetz, Deutschland.
記事、ドイツでは狩猟免許がなくてもアライグマを殺してもよい~熊森協会の大嘘、
の続きです。
「ドイツでは移入してから50年以上を経た種は在来種とみなす。そのためアライグマは来来種とはみなされず駆除されていない」と、言う大嘘を垂れ流していた団体がありました。日本熊森協会です。真実は、ドイツではアライグマが悪性外来種という位置づけであり、積極的な駆除対象です。またEU規則では、アライグマを侵略的な外来種として加盟各国に厳格な狩猟駆除などの対策を求めています。さらにヨーロッパ各国は、外来種の防除に関するベルン条約を批准しています。ヨーロッパではアライグマは悪性侵略的外来種という位置づけであり、加盟各国は厳格な狩猟駆除等の管理が義務付けられています。
私はかつて熊森協会の「ドイツでは移入後50年を経た外来種は在来種とみなし、駆除の対処とはしていない」という公式見解を取り上げたことがあります。熊森協会はそのうえで日本のアライグマ駆除を批判していました。結論から言えば、ドイツには「移入後50年を経た外来種は在来種とみなされる」との根拠となる法令の規定はありません。また政府機関等の公的な見解も一切ありません。
それについて、私は本ブログ記事で取り上げたことがあります。こちらの記事です。「ドイツでは、50年以上ドイツで生き続けている外来動物は在来動物とみなす」なんてどいつが言った!? 繰り返しになりますが、一部を引用します。
・外来種問題に対する日本熊森協会の見解
ドイツでは、50年以上たった外来種は、在来種になる法律があるそうです。
それが適用されれば日本のアライグマはあと4年で在来種です。
ドイツのアライグマは、70年経っているそうで、外来種駆除などせず、全て自然のままに任せていて、今後もしないそうですが、在来生態系が壊滅しているということはありません。
*熊森協会の見解は、2012年に私が本ブログで取り上げた当時から記述が訂正されています。上記の記述は2012年当時のものをそのままコピーしたものです。
サマリーで述べた通り、ドイツには今までに「50年以上たった外来種は在来種になる」という法律は存在しません。2012年当時に熊森協会はデマを流していたわけです。ドイツではアライグマは悪性の外来種という認識で、厳格に駆除されています。2008年4月から2009年3月の1年間の期間でドイツでは、5万4,000頭のアライグマが狩猟駆除されました。同時期の日本のアライグマの駆除数は約2万頭です(アライグマ防除の手引き (計画的な防除の進め方)環境省)。
しかし熊森協会は「ドイツでは移入後50年を経た外来種が在来種となる法律がありアライグマの駆除を行っていない」とのデマに基づいて、日本のアライグマの駆除を批判していました。まさに厚顔無恥です。
さらに最近も熊森協会はドイツやヨーロッパのデマ、「ドイツでは移入後50年を経た外来種は在来種とみなされる」、「外来種アライグマを駆除しないヨーロッパ」を拡散し、日本のアライグマ駆除を非難しています。ドイツはその後もアライグマの駆除数が激増し、直近では年間16万頭です。またEU委員会は2016年に加盟国に、アライグマを極めて有害な外来種として厳格な対応(駆除)を求めています。以下に、熊森協会の嘘、詭弁記述を引用します。
・浜松市のクリハラリスたちの命を守ってやりたいのです 2020-05-09 (土) くまもりNEWS | 外来種 | 静岡県
当協会がドイツの自然保護団体を訪れたとき、ドイツでは50年以上野で暮らす外来種は在来種とみなすということでした。
ドイツのアライグマは50年以上たっているため、アライグマを組み込んだ生態系がドイツの新生態系とみなされるのです。
・外来種アライグマを駆除しないヨーロッパの合理的精神を見習うべし 2018年5月27日
ヨーロッパでも外来種アライグマが急速に増えているそうです。
根絶がほぼ不可能であることもあって、WWFをはじめとする環境保護団体も各国政府も緊急に駆除が必要とは考えておらず、ドイツ最大の自然保護団体NABUも平和的共存の立場です。
すでに帰化動物とされており、ふつうの狩猟対象動物です。
繰り返しますが、EU委員会は2016年に、アライグマを「極めて有害な外来種であり、EU加盟国に厳格な対処(駆除)を求める」というEU規則を採択しています。したがって熊森協会の、「外来種アライグマを駆除しないヨーロッパの合理的精神を見習うべし」との主張は根拠のなく、悪質な言論テロと言えます。
2016年に採択された、EU委員会の「アライグマに対する厳格な対策を求める」、EU委員会実施規則 2016/1141 DER を引用します。DURCHFÜHRUNGSVERORDNUNG (EU) 2016/1141 DER KOMMISSION vom 13. Juli 2016 zur Annahme einer Liste invasiver gebietsfremder Arten von unionsweiter Bedeutung gemäß der Verordnung (EU) Nr. 1143/2014 des Europäischen Parlaments und des Rates DIE EUROPÄISCHE KOMMISSION 「欧州議会および理事会の規則(EU)No 1143/2014に従って、EUの重要な侵略的外来種のリストを採択する EU委員会実施規制(EU)2016/1141(2016年7月13日)欧州委員会」 2016年7月13日
(1) Nach der Verordnung (EU) Nr. 1143/2014 ist auf der Grundlage der Kriterien in Artikel 4 Absatz 3 der Verordnung eine Liste invasiver gebietsfremder Arten von unionsweiter Bedeutung (im Folgenden „Unionsliste“) anzunehmen.
(2) Auf der Grundlage der verfügbaren wissenschaftlichen Erkenntnisse und der gemäß Artikel 5 Absatz 1 der Verordnung (EU) Nr. 1143/2014 durchgeführten Risikobewertungen kam die Kommission zu dem Schluss, dass alle in Artikel 4 Absatz 3 der Verordnung genannten Kriterien für folgende invasive gebietsfremde Arten erfüllt sind:
Procyon lotor Linnaeus
(3) Die Kommission gelangte ferner zu dem Schluss, dass diese invasiven gebietsfremden Arten alle in Artikel 4 Absatz 6 der Verordnung (EU) Nr. 1143/2014 genannten Bedingungen erfüllen.
Die Früherkennung und rasche Beseitigung von Arten zu fördern, die bislang noch nicht vorkommen oder noch nicht weit verbreitet sind, und sie gemäß den besonderen Gegebenheiten des betreffenden Mitgliedstaats zu bewirtschaften, Jagd oder Fallenstellerei, sofern diese Tätigkeiten im Rahmen eines nationalen Managementprogramms durchgeführt werden.
(1)EU規則No 1143/2014により、本規則の第4条(3)の基準に基づいて、EUの重要な外来種のリスト(以下「EUリスト」と記述する)をEUで採択しました。
(2)入手可能な科学的証拠と、規制(EU)No 1143/2014の第5条(1)に従って実施されたリスク評価に基づいてEU委員会は、規制の第4条(3)に定められたすべての基準が、次の種においては侵略的外来種であるとの条件を満たしていると結論付けました。
アライグマ(Procyon lotor Linnaeus 学名)
(3)EU委員会はまたこれらの外来種は、規制(EU)No 1143/2014の第4条(6)に定められたすべての(侵略的外来種の)条件を満たすと結論付けました。
各加盟国はまだ発見されていない、またはまだ生息域を広げていなくても、それらの侵略的外来種を管理するために、狩猟(による駆除)、又は捕獲等の活動が加盟国の侵略的外来種の管理計画の下で実施されるという条件で、これらの種の早期発見と迅速な排除を促進します。
また熊森協会は、「当協会がドイツの自然保護団体を訪れたとき、ドイツでは50年以上野で暮らす外来種は在来種とみなすということでした。ドイツのアライグマは50年以上たっているため、アライグマを組み込んだ生態系がドイツの新生態系とみなされるのです」とありますが、本当に言語が通じていたのか怪しいです。その自然保護団体の見解を示した文書を挙げていただきたい。
バーデンービュルテンブルク州に本拠地を置く、ドイツ大手の自然保護団体、Baden Naturlandstiftung 「バーデン自然保護財団」は、「アライグマは最悪の侵略的外来種で、ベルン条約(Berner Konvention)でも厳格な管理が推奨されている」と述べています。DER WASCHBÄR 「バーデン自然保護財団 アライグマ」から引用します。
Der Waschbär ist einer der erfolgreichsten Neozoen (invasive Arten: Gefahren der biologischen Einwanderung) des europäischen Kontinents.
Das EU-Projekt DAISIE listet Neozoen wie Marderhund, Mink und Waschbär unter den 100 schlimmsten invasiven Arten.
Die Berner Konvention empfiehlt, diese Arten streng zu kontrollieren, da sie die biologische Vielfalt gefährden.
アライグマはヨーロッパ大陸で最も成功した新しい生物(外来種で生物学的に危険な移入種)の1つです。
EUのプロジェクトDAISIEでは、100種の最悪の侵略的外来種の中でタヌキ、ミンク、アライグマなどの新しい生物をリストアップしています。
ベルン条約では、生物多様性を危険にさらすこれらの外来種の厳格な管理を推奨しています。
このように私が調べた限り、ドイツの自然保護団体では「アライグマは在来の生態系に対する被害が大きく厳格に管理するべきである。EUのプロジェクトでもベルン条約でもアライグマの厳格な管理を推奨している」との意見しか見つかりませんでした。熊森協会の、「(ドイツの自然保護団体では)ドイツでは50年以上野で暮らす外来種は在来種とみなし、アライグマは50年以上たっているため、アライグマを組み込んだ生態系がドイツの新生態系とみなされる(だからアライグマに対する駆除などの管理は行わない)」という記述は発見できませんでした。
熊森協会は、「当協会がドイツの自然保護団体を訪れたとき、ドイツでは50年以上野で暮らす外来種は在来種とみなすということでした。ドイツのアライグマは50年以上たっているため、アライグマを組み込んだ生態系がドイツの新生態系とみなされるのです」の記述に対して、その自然保護団体の名称と、その意見を表明した文書を提示する責任があると思います。なお、熊森協会が記述している、NABUの、そのような意見表明は見つかりませんでした。熊森協会はこれらの情報に基づいて、日本の環境省や自治体のアライグマ駆除に対して反対をしているわけですから、根拠を示さなければ単なる言論テロを行う、悪質な団体と判断されても仕方がないでしょう。
(参考資料)
・Biologische Vielfalt durch Waschbär und Marderhund gefährdet Invasive Arten erleben drastischen Zuwachs; Artenschutz der einheimischen Wildtiere immer dringender 「アライグマとタヌキによる生物多様性のリスク 外来種は劇的な増加を示しています。在来の野生動物の保護はますます緊急となっています」 2014年10月2日
ドイツにおけるアライグマの狩猟数が劇的に増加していることを伝える記事。またドイツ狩猟協会はアライグマによる在来生物の被害が深刻で、在来生物保護のためにドイツ政府にアライグマの厳格な抑制策を求めているという内容。
・Der Waschbär Procyon lotor 「アライグマ」 ドイツの環境保護団体、NABUのHPの記事
Ab Mitte der 1990er Jahre gab es eine massive Bestandszunahme.
So hat sich die Zahl der geschossenen Waschbären von 1992 bis 2002 auf das 16fache erhöht (von 165 auf 2.668).
アライグマの狩猟数は大幅に増加しました。
アライグマの銃猟数は、1992年から2002年に16倍に増加しました(165から2,668に)。
・NABU Waschbär 「NABU(環境保護団体) アライグマ」検索結果
熊森協会の、「(アライグマは)根絶がほぼ不可能であることもあって、環境保護団体も各国政府も緊急に駆除が必要とは考えておらず、ドイツ最大の自然保護団体NABUも平和的共存の立場です」を裏付ける情報は見つかりませんでした。
(動画)
Wie gefährlich sind fremde Arten? | Faszination Wissen | Doku | BR | Tiere | Pflanzen 「外来種はどれだけ危険ですか?
Doku ドイツ公共放送」 2015/11/17公開
Q)
お聞きしたい事があります。熊森協会の「アライグマ」の投稿でドイツでは「50年経つと在来種扱い」の記述です。その様な規則は無いという事でした。それは事実なのですが?
A)
少なくとも「法令」ではありません。
熊森協会にも直接お尋ねになればいいのではないですか。「なんという法令名で該当する条文は何条何項でそれを原文で挙げ、法令のリンクを教えてください」と。
ドイツ連邦狩猟法では、アライグマは在来種の狩猟鳥獣のカテゴリーにはありません。2条に在来生物の狩猟鳥獣の一覧があります。
https://www.gesetze-im-internet.de/bjagdg/BJNR007800952.html
A)
ちなみに犬猫も一般の狩猟鳥獣ではありません。
こちらは23条です。犬猫も在来種ではありませんので。
一般の在来種の狩猟鳥獣とは猟期(一般の在来種は休猟期がある。犬猫は通年)、狩猟区域(犬猫は禁猟区や自然保護区でも狩猟できる)も、在来種の一般の狩猟鳥獣とは別の規定が定められています。
https://www.gesetze-im-internet.de/bjagdg/BJNR007800952.html#BJNR007800952BJNG001000325
A)
ヨーロッパでは外来種問題対策として「ベルン条約」を締結しており、アライグマは「侵略的外来種」としてリストアップされています。
またEU規則でもアライグマは「侵略的外来種」としてリストアップされており、加盟各国に厳格な狩猟駆除等を求めています。
国際法(条約)が加盟国の法令に優越するか否かは議論があるところですが(国際法が優越するとの学説あり)それに従えば条約やEU法で「アライグマは外来種でその対策を求める」とあらば、条約批准国やEU加盟国は「アライグマを在来種として扱う」という法令を立法することはできません。
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/DE/TXT/PDF/?uri=CELEX:32016R1141&from=en
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