ドイツには公的動物収容センターがあり、行政による犬猫の捕獲と殺処分も行われている

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(Zusammenfassung)
Was ist die amtliche Tiersammelstelle in Berlin?
・Hunde- und Katzenfang (Tierfang)
記事、
・「ドイツでは民間団体しか犬猫を保護しない」という殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂った論説、
・ベルリン「犬の行政施収容数と殺処分等の処分の内訳と予算」~州下院議会議事録、
の続きです。
これらの記事では、ドイツ、ベルリン州の下院議会議事録を引用して、「ベルリン州(ドイツ全土の自治体でも。なおベルリン州は1市1州の特別市)には公的な動物収容センターがあり、行政が犬などのを収容して殺処分も行っている」ことを述べました。ドイツ連邦共和国ではベルリン州に限らず、迷い犬野良犬など、その他法令に違反した飼い主の犬などの押収没収の収容管理の責務は行政が担うと各法律に定められています。収容動物の行政による処分(飼い主返還、殺処分、検疫など)を終えたのちに、ティアハイム(民間施設)に移譲されます。今回は、ベルリン州の公的な動物収容センター(Die amtliche =官公庁のTiersammelstelle)について説明します。
サマリーで述べた通り、ベルリン州(に限らずドイツ連邦共和国全土の自治体では)には公的な動物収容センターがあり、行政が犬などを収容して殺処分も行っている」ことを述べました。ドイツでは、野良犬など、その他法令に違反した飼い主の犬などの押収没収の収容管理の一次的な責務は行政が担うと各法律に定められています。また浮遊動物の捕獲も行政組織が行っています。収容動物の行政による処分(飼い主返還、殺処分、検疫など)を終えたのちに、ティアハイム(民間施設)に移譲されます。
ベルリン州の公的な動物収容センター(Die amtliche=官公庁の Tiersammelstelle)ですが、ベルリン州のHPに説明があります。Hunde- und Katzenfang (Tierfang) 「犬と猫の捕獲(動物の捕獲)」 ベルリン州リヒテンベルク区域行政事務所HP から引用します。
Hunde- und Katzenfang (Tierfang)
Entlaufene Tiere aus allen Bezirken Berlins werden in die Tiersammelstelle verbracht und dort vorübergehend verwahrt.
Transport und Unterbringung der Tiere sind kostenpflichtig.
Tiersammelstelle
Die amtliche Tiersammelstelle für verlorene und verwahrte Tiere befindet sich im Hausvaterweg 39, 13057 Berlin-Falkenberg, auf dem Gelände des Tierheimes Berlin.
Hinweis
Transport und Unterbringung der Tiere sind kostenpflichtig!
Nach Abholung des Tieres aus der Tiersammelstelle wird Ihnen vom Bezirksamt Lichtenberg gesondert eine Rechnung übersandt!
Gebühren für Unterbringung und Transport von Tieren
Gebühren werden gemäß der Gebührenordnung des Senats von Berlin für die Benutzung der Tierbetreuungseinrichtungen der Bezirke von Berlin erhoben.
Gebühren
Transport von Tieren zur Tiersammelstelle
je Transportbehältnis (Box) / 35,79 Euro
Verwahrung (Unterbringung) von Tieren in der Tiersammelstelle / Hunde und andere Großtiere / Katzen und ähnlich große Tiere / Vögel und Kleintiere
je angefangener Tag / 17,38 Euro / 10,74 Euro / 7,16 Euro
犬と猫の捕獲(動物の捕獲)
ベルリン州の全域では、遁走した動物は動物収容センターに運ばれ、そこで一時的に保管されます。
動物の輸送と保管は有料です。
動物収容センター
逃げ出したのちに保管された動物の公的な(amtliche=「官公庁の」 三修社新現代独和辞典)動物収容センターは、ティアハイム・ベルリン州の敷地内 Hausvaterweg 39、13057 Berlin-Falkenbergにあります。
注意点
動物の輸送と保管は有料です!
飼い主が動物の収容場所から動物を引き取った後、リヒテンベルク区域行政事務所から個別に請求書が送られます!
動物の保管費と運搬費
ベルリン州の区域行政事務所の動物飼育施設の使用については、ベルリン州議会上院が定めた料金表に従って料金が請求されます。
手数料
動物収容センターへの動物の輸送
輸送コンテナ(1箱)あたり/ 35.79ユーロ)
動物の収容センター/犬およびその他の大型動物/猫および同程度の大型動物/鳥および小動物における動物の保管(収容)
1日あたりの金額はそれぞれ/ 17.38ユーロ/ 10.74ユーロ/ 7.16ユーロです。
殺処分ゼロ議員連の顧問弁護士である渋谷寛弁護士が寄稿した、新日本法規「法苑」の論説、。ペットの殺処分がゼロの国はあるのか(法苑180号) 2017年1月10日 にはこのような記述があります。「わが国での現状は、迷子になり飼い主のわからないペット、飼い主が飼育困難となったペットたちを動物愛護センターが引き取ります。ドイツでは、行政機関がペットを保護するのでなく、民間の動物保護団体がペットを引き取ります。この記述は完全に誤りです。
繰り返しますが、ドイツ連邦共和国では、「迷い犬野良犬などの捕獲、その他法令に違反した飼い主の犬などの捕獲、押収没収と収容管理の責務は行政が担う」と各法律に定められています。ですからドイツ連邦共和国の全自治体は、行政が管理する公の動物収容センターがあります。ただしハード(建物等)を所有している自治体がある一方で、ハード(建物等)は自治体は所有せず、動物の管理権限もしくは所有権(没収動物の場合)は自治体にあるもの(ソフト)の、動物の実際の収容後の保管を民間施設(ティアハイム)に請負わせている自治体もあります。ベルリン州(1市1州の特別市)は動物収容のための施設(ハード)は行政機関が所有せず、行政の権限で収容、押収、没収した犬などの動物の保管を、民間施設であるティアハイム・ベルリンに請負わせています。そして飼い主返還、殺処分、検疫隔離などの行政による処分(この権限は行政に限られる)を行ったのちに、余った動物を民間の保護施設(ティアハイム)に譲渡します。ティアハイムは、行政から保管を請負っている動物の譲渡を受けたのちに、第三者の譲渡や殺処分を行うなどの権限が生じます。
例えば、住民票の交付などを自治体が民間のビルを借りて支所を開設し、さらに実際の窓口業務を民間の会社に請負わせているケースが日本にあります。この場合、「住民票などの交付を民間が行っている」とは言いません。あくまでも行政の権限に基づく行政事務です。ドイツの自治体が犬などの捕獲や押収没収を行い、その保管を民間施設に請負わせたとしても管理権限や動物の所有権は自治体にあるわけですから、この場合も行政事務です。
さらにわかりやすく例えるのならば、日本で迷い犬や野犬を保健所が捕獲し、民間の保護施設にそれらの犬の保管のみを手数料を払って請負わせるというイメージです。そして飼い主返還などの事務は行政が行い、行政が飼い主に手数料を請求し、また行政がその民間保護施設に行政獣医師を派遣して、殺処分も行うということです。
日本では、動物愛護センターは全てハード(建物)も行政が所有しています。ですからドイツのシステムが理解しずらい面があるかもしれません。ベルリン州が自己所有の動物収容施設(ハード 建物)を持たないことを悪用して、「ドイツでは行政が犬などの動物を保護せずに民間団体が行う=つまり行政が行う殺処分はゼロである」というデマを日本で拡散してきた動物愛誤活動家やジャーナリストがいました。
もしくはこのデマを拡散した彼らも、ドイツの法令や動物の収容のシステムに関して全くの無知蒙昧であった可能性もあります。日本では、ドイツの犬などの捕獲、押収没収の責務は行政にあること、迷い犬等や野犬などの捕獲殺処分や法令違反の犬などの殺処分も行政が行っていることなどを正確に伝えている情報がほぼ皆無であるのを、私は非常に残念に思います。
(動画)
Katzenjagd im Polizeirevier - SPIEGEL TV 「警察署での猫狩り-「シュピーゲル TV」 2009/12/23
Im Berliner Bezirk Prenzlauer Berg hält eine Gruppe ausgesetzter Katzen ein Polizeirevier auf Trab.
Die Tierfängerin Britta Flick bekommt tatkräftige Unterstützung von der Polizei.
ベルリン、プレンツラウアー・ベルク地区では、(行政の)捨猫の担当班が警察署を忙しくしています。
動物捕獲員(行政職員)のブリッタ・フリックさんは、警察から積極的な支援を受けています。
日本でも行政が徘徊猫を捕獲すればいいのに。これで殺処分ゼロ議員連顧問弁護士渋谷寛氏の、「ドイツでは、行政機関がペットを保護するのでなく、民間の動物保護団体がペットを引き取ります」(ペットの殺処分がゼロの国はあるのか(法苑180号) が、大嘘であることがお分かりいただけると思います。
(動画)
Rottweiler Pascha am Hauptbahnhof München von Polizei erschoßen 「ミュンヘン中央駅で警察官がパシャという名のロットワイラー種の犬を射殺しました」 2018/06/11公開
ドイツは迷い犬野良犬などを行政が捕獲して行政施設に収容保管し、殺処分も行っています。また日本と異なり、「禁止犬種法」で法律で禁止している犬種の違法飼育されている犬や、「犬法」で定める咬傷犬や危険と行政が判断した犬は、行政が強制的に殺処分する権限があります。日本では、仮に人をかみ殺した犬ですら、行政が強制的に殺処分する法的根拠がありません。
またドイツ連邦共和国全土では、年間約1万3000頭の犬などを警察官が射殺しています。その動物が危険を及ぼすと判断された場合は、警察官が射殺する権限と責務があります。ドイツ連邦共和国では10年間で警察官が犬などを射殺する数は約倍増しています。背景にはティアハイムが過剰収容で引受不能に陥っていることと、引受希望者の減少があると私は推測しています。さらにドイツ狩猟法では非占有の犬猫はハンターに狩猟駆除を推奨しており、狩猟駆除される犬猫は猫40万、犬6万5000頭という推計があります。
(参考資料)
・帝京科学大学紀要Vol.16(2020)pp.177-186 日本の動物福祉の発展のための、ドイツおよびポーランドのアニマルシェルター視察 山本和弘 について
日本と決定的に違う点は、ドイツには、日本の動物愛護センターのように動物を保護する行政管轄の施設がなく、そのほとんどをティアハイムのような民間の動物保護団体に委譲しているところにある。
ドイツにおいては、犬猫などの動物の保護の一次収容は「行政による動物収容センター(die amtliche=官公庁の Tiersammelstelle )」と法律で明記されています。大学の教員ですらこのようなデタラメな知識しかないとは極めて残念。これこそが日本の動物愛護の後進性です。
- 関連記事