殺処分ゼロ議員連のペット業者に対する数値基準の法制化要望の決定的な欠陥

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domestic/inländisch
記事、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~読んだ人が悶絶死するレベル、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~「雌犬の出産は1歳以上6歳まで」という悶絶誤訳、
・「犬の出産の下限上限年齢を制限する法令はない」~西山ゆう子氏のデマ、
・「犬の出産の下限上限年齢を制限する法令はない」理由~西山ゆう子氏のデマ、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~ドイツの法令は妄想作文レベル、
・続・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~ドイツの法令は妄想作文レベル、
・「殺処分ゼロ議員連」の役立たずの偏向文書~なぜ立法の参考で法令ではなく強制力がない行政指導を挙げるのか?、
・イギリスの犬飼養の数値基準は殺処分ゼロ議員連の要望より緩い、
・アメリカの犬1頭当たりの最小ケージ広さの法定数値基準はハンカチ1枚分の広さ、
・アメリカの離乳前子猫1頭当たりの最小ケージ広さの法定数値基準はコースター1枚分の広さ、
の続きです。
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟(以下、「殺処分ゼロ議員連」と記述する)は、ペットの繁殖業者やペットショップの具体的な数値基準を法制化するように求め、環境大臣に提出する要望書をまとめました。その要望書ですが、まさにデタラメと偏向に満ちた何の役にも立たないゴミ文書です。1、根拠として挙げた法令の著しい誤訳があり、さらに根拠として挙げた法令にその規定がなく他の法律などという誤りが多数ある。2、強制力のある立法の要望書であるにもかかわらず参考としている文書が強制力がない行政指導や民間の規範文書である(当該国に強制力がある法令があるにもかかわらずそれを挙げない、などを連載記事で取り上げました。さらに本要望書には決定的な欠陥があります。
まずサマリーで示した、犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟が、「ペット繁殖業者とペットショップに対する具体的な数値基準の法制化を求める要望書を作成した」ことを伝えるニュースソースから引用します。
犬猫の販売・繁殖業者への数値規制 議連や団体が独自案まとめる 2020年3月25日
身動きがままならないケージで飼育するなど、悪質な繁殖業者やペットショップへの行政指導を効果的にできるようにするため、具体的な数値を盛り込んだ基準作りが、環境省を中心に進められています。
昨年6月の動物愛護法改正の「宿題」で、超党派の議員連盟は独自案をまとめました。
ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案
取りまとめにあたった議連事務局次長の高井崇志衆院議員は、「問題のある業者を取り締まり、改善するためには具体的な数値が必要だ。自治体の職員が使いやすい基準にするとともに、欧州の先進国で行われているような水準の数値規制の導入を目指したい。たとえば、犬のケージの広さは小型犬で最低2平方㍍を確保してほしい」などと話す。
だが動物愛護法にはあいまいな表現しかないため、自治体は悪質業者に対する指導が効果的に行えてこなかった。
こうした状況の改善を目指し、昨年6月に議員立法で成立した改正動愛法には、環境省令により「できる限り具体的な」基準を設けるよう定められた。
さらに上記の記事で報道されている、「ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案 」はこちらです。犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準移管する要望書 2020年4月3日(以下、「本要望書」と記述します)。
本要望書の問題点については、連載の記事で次の点を指摘しました。
第1
本要望書においては参考とした法令の誤訳や、規定の根拠法として挙げた法律が間違っているなどの誤りが多数あります(というか完全に正確な記述があるのか)。
ドイツ犬保護規則(Tierschutz-Hundeverordnung)の誤訳がひどいです。また、イギリスの法令、「英国動物福祉規則」 the Animal protection regulations 2018 (正しい名称はこちら The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018)で、「犬ブリーダーの雌犬の下限上限生涯出産数の規定」が本法で規定されているとありますが、この規定は別の法律(「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)にある規定です。
第2
本要望書で挙げられている、【参考にした規定等の出所】では、その国に法的強制力がある法令(もしくは付属文書)での犬猫等の飼養の数値基準があるにもかかわらずそれを挙げずに、強制力がない行政指導やはなはだしきは民間の団体が作成した、まったく強制力がなくかつ政府機関とは関係がない、愛玩動物ではない実験動物の飼養の規範文書を挙げるなどの、著しい偏向があります。
具体的にはイギリス、アメリカ合衆国ですが、両国にはペットの営利業者(ブリーダーやペットショップ)に対する強制力があり、かつ行政処分の根拠となる数値基準を示した法令もしくは法令の付属文書がある実も関わらずにです。つまり殺処分ゼロ議員連は、これらの文書による数値基準があまりにも緩やかなので、示しては不都合と判断したと思われます。このような「都合の良い抜き書き、つまみ食い」の資料は何ら参考にならないゴミ文書です。
第3
さらに今回記事で追記すれば、本要望書ではほとんど多くをスウェーデンの法令を参考にしています。なぜヨーロッパの中では人口900万人台の小国のスウェーデンの法令を参考にするのか理解できません。EUのDGPに占める比率や人口などを影響力の大きさを考慮すればドイツ、イギリス、フランスの法令を最も重要視するべきでしょう。なお私はスウェーデン語が分かりませんので、スウェーデンの法令は検証していません。英語、ドイツ語の法令でこれほどの誤訳等の誤りがあるということは、スウェーデン語の法令においても、多くの誤訳等の誤りがあると考えるのが自然です。
なおドイツでは猫に関しては飼養の数値規制は連邦法州法では皆無です(おそらく条例でもない)。販売(親と分離する)の、最低週齢規制すらありません。このような事実も述べるべきではないでしょうか。
最後に追記したい事柄があります。本要望書の数値規制は、「第一種動物取扱業者」のみが適用です。私は前提として「動物取扱業者」を「第一種(営利)」と「第二種(非営利)」を区分する必要はないと思います。法令による強制力を伴う数値規制は、犬猫等の飼養環境を良好にすることを担保するためが目的です。であれば適用範囲を広げることがより犬猫等の飼養環境のが期待できます。
なぜ第一種動物取扱業者のみが、飼養の数値基準の法制化の適用範囲としなければならないのか理解できません。第二種も同じ基準で行政処分等の対象とすべきです。第二種が第一種に比べて特段モラルが高いなどありないです。しばしば第二種動物取扱業者(動物保護団体)の虐待飼育とそれに伴う多数の虐待死は内部告発などがありました。最近も京都市で、犬猫保護活動をしていた女性がネグレクトの虐待飼育に陥り、多数の死んだ犬猫の死体が発見されました。以下の動画を参考にしてください。
(動画)
住宅に犬や猫の死骸 警察が捜査|06月05日 京都府のニュース 2020/06/08公開
八幡市の住宅で、犬や猫、数十匹が死んでいるのが見つかりました。
家を管理している女性は、犬や猫を預かるボランティアをしていたということで、警察が動物愛護法違反の疑いで調べています。
警察が5日午前中からこの住宅の捜索を行った結果、室内にふんやごみなどが散乱し、犬や猫、数十匹が死んでいるのが確認されたということです。
この家を管理しているのは50代の女性で、長年、野良犬や捨て猫を預かるボランティア活動をしていたということです。
このようなものもあります。「東京キャットガーディアンズ」という猫保護団体がありますが、元スタッフが、この団体の収容した猫の虐待的飼育についての、「東京キャットガーディアンについてお伝えしたい真実 2019年5月26日」という内部告発サイトを立ち上げています。概ね次のような内容です。
・パルボ(致死率の高い感染症)が発生しても、発生の事実を隠し収容を止めない
・立ち座りのできない狭さの不衛生なケージでの飼育
・死亡した猫を譲渡したとHPで公表、行政に虚偽の報告を行う
・猫の遺体を冷解凍する、ゴミ箱へ捨てる
・広告と異なる『ねこのゆめ』の実態
(画像)
上記の、東京キャットガーディアンについてお伝えしたい真実 2019年5月26日 から画像を引用したツィート。左側が、東京キャットガーディアンの告発サイトから盗用した、東京キャットガーディアンの猫の飼養状況です。なお右側の画像は、アメリカのマスメディアがアメリカのパピーミルの惨状について伝えるニュースソースから盗用したものです。
このツィートの投稿者は、ペットショップでの犬猫生体販売に反対する、保護犬猫活動家かつ保護犬猫販売を行う人物のようです。明らかに「ペット業界」への批判で、「繁殖場もショップもOKというもの」とあり、読み手は掲載されている写真は「繁殖場(ブリーダー)」と認識するはずです。また「現状の部屋よりも『退化』した基準を作ろうとしている業界と、絆されそうな環境省」という記述があります。これは、明らかにこれらの画像が、日本のペット業界のものという意味になります。つまり「嘘」ということです。

日本にはこのような劣悪、虐待的飼育を行っている犬猫保護団体(第二種動物取扱業者、もしくは無登録)の情報が多数あります。水面下では多くの同様のケースがあると考えられます。しかし殺処分ゼロ議員連の要望書による業者の数値基準の法令化は、「第一種動物取扱業者」のみが適用です。
これは決定的な欠陥です。むしろ伝え聞くところによれば、虐待飼育での犬猫などの虐待死などは、私はむしろ第二種動物取扱業者、もしくは無届の犬猫保護団体の方がむしろ多いのではないかと思います。なぜかと言えば現行法では第二種動物取扱業者は、行政の監視下に事実上ないからです。
海外で犬猫などの法的強制力がある数値基準を取り入れている国は、「営利業者」だけと言う国は私は確認していません。例えばアメリカの連邦規則での規定は、営利非営利問わずすべての飼い主が対象です。ドイツの犬保護規則では犬舎の最低広さなどの数値規制では、すべての飼い主が対象となります(なおドイツでは連邦、州の法令では猫に関する飼養の数値基準はありません。最低販売週齢規制すらありません。ですから例えば5週齢の子猫をペットショップで展示販売することも合法です。おそらく条例でもない)。イギリスではペットの販売(保護団体の有償譲渡も販売である)等を行う者を含めた多くの事業者が対象です。
日本のように犬猫等の飼養の厳しい数値基準を法令で規定し、適用を第一種動物取扱業者(営利)のみとし、第二種動物取扱業者(前提として、事実上「販売」を行っているので非営利業者として区分すること自体問題)を適用外とすることは、国際的に恥ずべき悪法です。これは憲法の法の下の平等原則にも反します。
(追記)
殺処分ゼロ議員連による本要望書の問題点の指摘に関する記事は、これを最後にします。しかし誤りや問題点は指摘した事柄以外にも多数あります。このようなゴミのような文書がいやしくも立法府の方々である国会議員、大学教授などにより作成されたことは、私は非常に遺憾です。
国会議員には政策秘書が付いており、彼らは外国の資料の確認などをしなかったのでしょうか。また国会議員には法曹資格をもつ方もおり、又顧問弁護士も同団体にはついています。それにもかかわらず、刑法の原則中の原則である、「責任原則」を理解されている方が一人もいないとは絶望的です。この要望書には多くの方がかかわり、おそらく何重にもチェックされているはずですが、私1人がざっと目を通しただけでも決定的な誤りがすぐに見つかりました。これこそが、日本の動物愛護の世界に恥じるべき後進性です。
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