イギリスの犬飼養の数値基準は殺処分ゼロ議員連の要望より緩い

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(summary)
・The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020
The minimum legal cage size for dogs in the UK is 0.5 m².
記事、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~読んだ人が悶絶死するレベル、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~「雌犬の出産は1歳以上6歳まで」という悶絶誤訳、
・「犬の出産の下限上限年齢を制限する法令はない」~西山ゆう子氏のデマ、
・「犬の出産の下限上限年齢を制限する法令はない」理由~西山ゆう子氏のデマ、
・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~ドイツの法令は妄想作文レベル、
・続・「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~ドイツの法令は妄想作文レベル、
・「殺処分ゼロ議員連」の役立たずの偏向文書~なぜ立法の参考で法令ではなく強制力がない行政指導を挙げるのか?、
の続きです。
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟(以下、「殺処分ゼロ議員連」と記述する)は、ペットの繁殖業者やペットショップの具体的な数値基準を法制化するように求め、環境大臣に提出する要望書をまとめました。その要望書ですが、立法に対する要望書であるにもかかわらず、外国の強制力を伴わない「行政指導文書」を参考資料として挙げています。例えばイギリス、アメリカですが、ペット業者の検査~業務停止などの行政処分を行う根拠となる法令の数値基準があるにもかかわらず。それはおそらくこれらの国の強制力がある数値基準は、極めて寛容であるために、殺処分ゼロ議員連が恣意的に「厳しい数値基準が外国ではある」というデマを広げているために都合が悪いからだと推測します。
まずサマリーで示した、犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟が、「ペット繁殖業者とペットショップに対する具体的な数値基準の法制化を求める要望書を作成した」ことを伝えるニュースソースから引用します。
犬猫の販売・繁殖業者への数値規制 議連や団体が独自案まとめる 2020年3月25日
身動きがままならないケージで飼育するなど、悪質な繁殖業者やペットショップへの行政指導を効果的にできるようにするため、具体的な数値を盛り込んだ基準作りが、環境省を中心に進められています。
昨年6月の動物愛護法改正の「宿題」で、超党派の議員連盟は独自案をまとめました。
ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案
取りまとめにあたった議連事務局次長の高井崇志衆院議員は、「問題のある業者を取り締まり、改善するためには具体的な数値が必要だ。自治体の職員が使いやすい基準にするとともに、欧州の先進国で行われているような水準の数値規制の導入を目指したい。たとえば、犬のケージの広さは小型犬で最低2平方㍍を確保してほしい」などと話す。
だが動物愛護法にはあいまいな表現しかないため、自治体は悪質業者に対する指導が効果的に行えてこなかった。
こうした状況の改善を目指し、昨年6月に議員立法で成立した改正動愛法には、環境省令により「できる限り具体的な」基準を設けるよう定められた。
さらに上記の記事で報道されている、「ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案 」はこちらです。犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準移管する要望書 2020年4月3日(以下、「本要望書」と記述します)。
サマリーで示した通り本要望書は、多くの誤り、さらには著しい偏向があります。それらは以下の通りです。この点については、最初の記事でまとめています。その記事の内容を「続き」で示してあります。
前回記事では、この本要望書は、強制力がある「法令」での数値基準を立法化することを求めているにもかかわらず、参考としている資料は、多くが強制力のない行政指導、はなはだしきは民間の「ガイドライン 規範」としていることを述べました。具体的に挙げられているのはイギリスの行政指導文書とアメリカ合衆国の民間団体が作成した、「実験動物の飼養に関する規範文書」といった資料です。
イギリスですが、本要望書として挙げている飼養基準の文書は、
・犬の飼育に関する実施規則(イギリス)」(Guidance Code of practice for the welfare of dogs )
・(Guidance Code of practice for the welfare of cats )
です。しかしこの2つの文書は法的強制力がないガイドライン(行政指導)であることが冒頭で明記されています。またイギリスの文書は具体的な「数値基準」はなく、ブリーダー、ペットショップなどの営利事業者のみならず、すべての犬猫の飼主が対象です。
「ペット業者の規制のための数値基準を法制化する要望」で、「ペット業者に限らない」、「強制力がないあくまでもガイドライン、規範お手本となる基準」を参考資料として持ち出すこと自体、偏向です。実はイギリスには、ペット営利業者のライセンス取り消しや停止といった行政処分を行う際の基準となる数値基準があります。しかしそれをわざわざ殺処分ゼロ議員連は挙げていません。おそらくこの基準がゆるゆるなので、「外国ではペット業者に対する厳しい数値基準がある」という嘘プロパガンダを拡散してきた彼らにとっては表に出すことが都合が悪いということでしょう。
では、イギリスのペット業者を規制する強制力がある法令による数値基準を挙げます。ペットショップやブリーダーなどの営利業者のみが適用範囲で、業者のライセンスの停止や失効などの行政処分の基準となる法令に紐づけされた文書です。
それは、The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020 「動物福祉(動物に関する事業活動の許可)(イングランド)規則2018 に関する指導文書 ペットとして動物を販売するための条件について」(以下、「イギリスのペット業者指導文書」と記述する」)です。以下に、犬に関する「最低ケージ広さの数値」を具体的に例示します。
(画像)
The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020 「動物福祉(動物に関する事業活動の許可)(イングランド)規則2018 に関する指導文書 ペットとして動物を販売するための条件について」 35ページから転載「犬の最低ケージ広さの基準」。
この文書は法令に紐づけされており、行政がブリーダーやペットショップの行政処分を行う際に用いられる資料です。強制力があります。

次に、殺処分ゼロ議員連が本要望書で示した、「犬の最低ケージ広さ」は次の通りです。
(画像)
犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準移管する要望書 2020年4月3日 2ページから転載

まとめると次の通りになります。つまり、殺処分ゼロ議員連の本要望書では、「犬1頭当たりの最低ケージ面積」は、イギリスが営利事業者の行政処分の根拠となる数値よりも、2倍も広いということです。
・イギリスでは犬1頭当たりの最低ケージ面積は0・5㎡である。
・殺処分ゼロ議員連の本要望書では、犬1頭当たりの最低ケージ面積は1㎡である。
一方猫においては、殺処分ゼロ議員連の本要望書の「最低ケージ広さ」の数値基準はほぼ、The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020 「動物福祉(動物に関する事業活動の許可)(イングランド)規則2018 に関する指導文書 ペットとして動物を販売するための条件について」に準拠しています。
(画像)
The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020 「動物福祉(動物に関する事業活動の許可)(イングランド)規則2018 に関する指導文書 ペットとして動物を販売するための条件について」 41ページから転載「猫の最低ケージ広さの基準」。
この文書は法令に紐づけされており、行政がブリーダーやペットショップの行政処分を行う際に用いられる資料です。強制力があります。

(画像)
犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準移管する要望書 2020年4月3日 8ページから転載

つまり殺処分ゼロ議員連は本要望書作成の際には、 The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020 「動物福祉(動物に関する事業活動の許可)(イングランド)規則2018 に関する指導文書 ペットとして動物を販売するための条件について」(つまり強制力のある法令に紐づけされた、行政がブリーダーやペットショップの行政処分を行う際の数値基準)にちゃんと目を通していたことがうかがえます。
それなのになぜ、【参考にした規定等の出所】では、この法令に紐づけされた強制力ある数値基準がある文書を掲載せずに、強制力がなくかつ数値基準もない、すべての犬の飼い主を対象にした「ガイドライン、規範」文書を挙げるのでしょうか。
それは前回記事でも申し上げた通り、殺処分ゼロ議員連が思っていたほどイギリスの犬の飼育の数値規制は厳しくはなく、表に出すのが都合が悪いと判断したに間違いありません。このように本要望書は偏向した、参考にあたいないゴミ文書です。
さらに悪質なのか、次回以降の記事で書きますが、アメリカ合衆国についてです。【参考にした規定等の出所】では、「実験動物の管理と飼養に関する指針第8版 2011年」(アメリカ合衆国) (GUIDE LABORATORY ANIMALS FOR THE CARE AND USE OF Eighth Edition)を挙げています。これはアメリカ合衆国の研究者による民間による実験動物に関する扱いに対してのガイドライン、規範をまとめたものです。冒頭に「アメリカ連邦政府の承認と国立衛生研究所の見解や方針を反映するのもではない」と明記されています。さらに実験動物と愛玩動物の扱いは異なります。実験動物では個体間の感染防止などの必要から、より飼育環境に対する基準は厳しくなって当然だからです。
アメリカ合衆国では、連邦規則で犬猫ブリーダーやペットショップの最低ケージ広さの強制力がある数値基準があります。それは「犬の体長(鼻先から尾の付け根まで)+6インチ(約15㎝)四方」です。つまり体長20センチのチワワであれば、35センチ四方という大判ハンカチの面積が最低ケージの広さとなります。この基準を出すのはあまりにも不味いと、殺処分ゼロ議員連は考えたのでしょう。アメリカの犬猫の法定の最低ケージ広さに関しては、次回記事で取り上げます。
(動画)
alimgazi pet shop in london 2012/01/07 に公開
ロンドンのペットショップ。鳥が主体ですが、鳥をはじめ犬猫もケージでの展示販売をしています。さほど日本のペットショップより、展示環境が良いとは思えません。
(動画)
RSPCA exposes puppy farms 「RSPCAはパピーファーム(イギリスでのパピーミルの言い方)を暴露する」 2016年2月19日
上記の記事で報道されている、「ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案 」はこちらです。犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準移管する要望書 2020年4月3日(以下、「本要望書」と記述します)。サマリーで示した通り本要望書は、多くの誤り、さらには著しい偏向があります。それらは以下の通りです。
第1
1、ドイツ犬保護規則(Tierschutz-Hundeverordnung)を根拠とした記述では、元となる条文と完全に異なっている誤訳記述が多数ある(作成者はドイツ語を理解していないのではないか?)。
2、イギリスの法令、「英国動物福祉規則」 the Animal protection regulations 2018 (正しい名称はこちら The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018)を根拠としている、犬ブリーダーのメス犬の出産頻度に関する記述であるが、本法では犬ブリーダーのメス犬の出産頻度や年齢に関する規定はない。
3、「2、」に関する規定であるが、犬ブリーダーのメス犬の繁殖に関する規定は、「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)に規定がある。しかし訳文が全くのデタラメである(作成者は基本的な英語の読解力すらないと思われる)。
誤りではありませんが、次のような問題点があります。この本要望書は、強制力がある「法令」での数値基準を立法化することを求めています。しかし参考としている資料は、多くが強制力のない行政指導、はなはだしきは民間の「ガイドライン 規範」です。なぜ法制化を求める資料で法令以外の行政指導の類や民間のガイドラインを挙げるのでしょうか。
例えば第2に挙げた資料を、本要望書は参考資料として挙げています。いずれも強制力がない行政指導の類、さらには民間団体が作成した「ガイドライン 規範」です。
本要望書はイギリスの犬と猫の飼育に関するガイドライン(強制力を伴わない行政指導文書 すべての飼い主が対象)を参考資料として挙げていますが、イギリスにおいては犬猫などの営利繁殖販売業者やペットショップを自治体が検査や免許停止取り消しの根拠となる、法的強制力を伴う数値規制があります。それは、「イギリスにおける動物福祉(動物に関する活動のライセンス)規制 2018 動物をペットとして販売するための条件に関する行政の指導指針 最終更新日:2020年4月」(The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 Guidance notes for conditions for selling animals as pets Last updated: April 2020)です。本要望書を作成した人物たちが全くイギリスの法令に関して無知なのか、何らかの偏向があったとしか考えられません。
またアメリカ合衆国においても愛玩の犬猫の飼育に関する、法的に強制力がある連邦規則があります。それはブリーダーやペットショップも適用となります。「連邦動物福祉規則」(Animal welfare regulations(USDA)) です。なぜわざわざ民間の、しかも愛玩動物を対象としない実験動物の取り扱いに関する「ガイドライン 指針」と参考資料とするのでしょうか。これもイギリスと同様に本要望書を作成した人物たちがアメリカ合衆国の動物に関する法令に関して全く無知であるか、偏向があったとしか考えられません。
第2
1、「犬の飼育に関する実施規則(イギリス)」(Guidance Code of practice for the welfare of dogs )は、法的強制力がないガイドライン(行政指導)であることが冒頭に明記されています。
2、「猫の福祉に関する実施規則(イギリス)」(Guidance Code of practice for the welfare of cats )は、法的強制力がないガイドライン(行政指導)であることが冒頭で明記されています。
3、「実験動物の管理と飼養に関する指針第8版 2011年」(アメリカ合衆国) (GUIDE LABORATORY ANIMALS FOR THE CARE AND USE OF Eighth Edition)は、アメリカ合衆国の研究者による民間による実験動物に関する扱いに対してのガイドライン、規範をまとめたものです。冒頭に「アメリカ連邦政府の承認と国立衛生研究所の見解や方針を反映するのもではない」と明記されています。さらに実験動物と愛玩動物の扱いは異なります。実験動物では個体間の感染防止などの必要から、より飼育環境に対する基準は厳しくなって当然だからです。
さらに追記すれば、本要望書ではほとんど多くをスウェーデンの法令を参考にしていますが、なぜヨーロッパの中では人口900万人台の小国のスウェーデンの法令を参考にするのか理解できません。EUのDGPに占める比率や人口などを影響力の大きさを考慮すればドイツ、イギリス、フランスの法令を最も重要視するべきでしょう。
猫ではドイツの法令を参考にした事柄は皆無(ドイツでは猫の飼養に関する数値基準を定めた法令は一切ないことも理由ですが。ですからペットショップやブリーダーでの最小ケージ寸法や、販売の最低週齢に関する規定は一切ありません)です。「ドイツでは猫に関する最低飼養条件や販売最低週齢などの規定は一切ない」との注釈を加えるべきはないかと思います。
イギリスでは先に述べた通り、強制力がない行政指導文書を参考にしています。イギリスには、ペットの営利繁殖販売業者に対する使用展示ケージなどの、強制力がある数値基準が現に存在します。なぜそれを用いないのでしょうか。
アメリカ合衆国でももちろん愛玩動物としての犬猫に関する最低ケージ寸法は、強制力がある連邦規則で定められています。しかし本要望書では、民間団体が作成したなんら強制力がない、愛玩動物を対象としない実験動物の飼養のガイドライン、指針を参考にしています。これら著しい偏向で、愛玩動物に対する法令による基準が極めて緩いので、無関係な民間の実験動物の取り扱いに関する指針を無理やり引っ張ってきたということがあからさまです。
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