「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~「イギリスでは雌犬の出産は1歳以上6歳まで」という悶絶誤訳

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(summary)
Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999
The law also limits the timing and frequency of breeding from a bitch; bitches cannot be mated before they are a year old; should have no more than six litters in a lifetime; and can have only one litter every 12 months.
(本記事は、7411ブログ中6位を獲得しました)
記事、「殺処分ゼロ議員連」による要望書はデタラメ羅列~読んだ人が悶絶死するレベル、の続きです。
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟(以下、「殺処分ゼロ議員連」と記述する)は、ペットの繁殖業者やペットショップの具体的な数値基準を法制化するように求め、環境大臣に提出する要望書をまとめました。その要望書ですが、さほどページ数が多くないにもかかわらず、見るに堪えない誤りが多数あります。今回記事では、4ページの「犬の飼養管理基準案 繁殖 繁殖回数 定量」の記述、「雌犬の出産は1歳以上6歳まで」(英国動物福祉規則)が全くのデタラメであることを述べます。イギリスには犬ブリーダー対する、このような法令による規定は存在しません(大笑い)。
まずサマリーで示した、犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟が、「ペット繁殖業者とペットショップに対する具体的な数値基準の法制化を求める要望書を作成した」ことを伝えるニュースソースから引用します。
犬猫の販売・繁殖業者への数値規制 議連や団体が独自案まとめる 2020年3月25日
身動きがままならないケージで飼育するなど、悪質な繁殖業者やペットショップへの行政指導を効果的にできるようにするため、具体的な数値を盛り込んだ基準作りが、環境省を中心に進められています。
昨年6月の動物愛護法改正の「宿題」で、超党派の議員連盟は独自案をまとめました。
ケージの広さや上限飼育数などを規制する議連案
取りまとめにあたった議連事務局次長の高井崇志衆院議員は、「問題のある業者を取り締まり、改善するためには具体的な数値が必要だ。自治体の職員が使いやすい基準にするとともに、欧州の先進国で行われているような水準の数値規制の導入を目指したい。たとえば、犬のケージの広さは小型犬で最低2平方㍍を確保してほしい」などと話す。
だが動物愛護法にはあいまいな表現しかないため、自治体は悪質業者に対する指導が効果的に行えてこなかった。
こうした状況の改善を目指し、昨年6月に議員立法で成立した改正動愛法には、環境省令により「できる限り具体的な」基準を設けるよう定められた。
同議連では半年にわたり業者や有識者らにヒアリングを重ね、海外事例も調査し、50の重点項目をベースとする基準案を作った。
今回記事では前後しますが、「殺処分ゼロ議員連」が作成した「議員連基準案」の、イギリスの法令の誤りについて述べます。「殺処分ゼロ議員連」が作成した、環境大臣に提出した、議員連基準案はこちらです。犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書。この議員連基準案の4ページには、このような記述があります。「犬の飼養管理基準案 繁殖 繁殖回数 定量」から、「雌犬の出産は1歳以上6歳まで」(英国動物福祉規則)。以下に示したスクリーンショットが、その箇所です。
(画像)
犬猫の言殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書から。4ページの記述。

結論から言えば、イギリス(UK)には、犬ブリーダーに関して「雌犬の『出産』は1歳以上6歳まで」と規定している法令は存在しません。参考法令として挙げられている「英国動物福祉規則」は、本要望書の他の記述から、The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018を指すことは間違いありませんが、本法では「犬ブリーダーに対するメス犬の繁殖頻度や年齢」に関する規定」はありません。殺処分ゼロ議員連には、該当する条文を原文で示していただきたいものです。
イギリスで犬ブリーダーに対するメス犬の繁殖頻度や年齢について規定している法令は、「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)です。さらにこの法律の「犬ブリーダーに関する雌犬の繁殖頻度や年齢に関する規定」は、本要望書の記述とは全く異なります。以下に、「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)から、該当する条文を引用します。
2 Licence conditions.
(2)
(f) that bitches are not [mated] if they are less than one year old;
(g) that bitches do not give birth to more than six litters of puppies each;
(h) that bitches do not give birth to puppies before the end of the period of twelve months beginning with the day on which they last gave birth to puppies; and
(i) that accurate records in a form prescribed by regulations are kept at the premises and made available for inspection there by any officer of the local authority, or any veterinary surgeon or veterinary practitioner, authorised by the local authority to inspect the premises;”
2条 犬ブリーダーのライセンス要件
2項
(f) 1歳未満で雌犬を『交尾(交配)』させることはできない。
(g) それぞれの雌犬に生涯の間に6回を超えて出産をさせてはならない。
(h) 雌犬が最後に子犬を出産した日から起算してから、12ヵ月の期間が終了する前に子犬を出産させないこと。
(i) 本規則で定められた形式の、正確な記録簿が施設に保管され、地方自治体の担当者、または任意の獣医師か地方自治体より施設の検査を許可された民間の開業獣医師のいずれかに検査ができるようにしなければならない。
犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書の、4ページの記述、「犬の飼養管理基準案 繁殖 繁殖回数 定量」から、「雌犬の『出産』は1歳以上6歳まで」(英国動物福祉規則)は、とんでもないデタラメ記述です。まとめると以下の通りです。
1、出典としているイギリスの法令が間違っています(「英国動物福祉規則」では、ブリーダーの雌犬に対する『出産』年齢に関する規定は皆無である)。
2、イギリスで犬ブリーダーの雌犬に対する繁殖頻度と年齢に関する規定は別の法律、「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)にあります。
3、さらに、「雌犬の『出産』は1歳以上6歳まで」も間違い。正しくは「1歳未満の『交配』を禁じる」のみで、出産の上限年齢を定める規定はありません。犬の妊娠期間は約2か月ですので、「交配」と「出産」では2か月も違ってきます。ひどい間違いです。
それにしても獣医学の大学教授(津曲 茂久 氏)がこのような初歩も初歩の誤りをするとは信じがたいことです。獣医学の教授が、mate がわからないとは驚きです。mate ですが、動詞で用いた場合、「動物を交配させる」、「動物が交配、交尾する」の意味になります。高校生レベルの単語なんですが。もうこの方は認知症で入院されて、世間に出てこない方がよいでしょう。
この「犬ブリーダーは雌犬に1歳未満6歳以上で『出産』させてはなない」ですが、日本で悪質なデマを拡散させている人物がいます。その1人が、アメリカ在住の獣医師、西山ゆう子 プロフィール氏です。「(欧米先進国では)犬ブリーダーは雌犬に1歳未満6歳以上で『出産』させてはなない(という法令がある)」という情報を拡散させていますが、完全な悪質デマです。イギリスをはじめ、ヨーロッパの複数の国(ドイツ、スイス、オーストリア、オランダは私は調べました)は、「犬ブリーダーに対して雌犬の『出産』の下限上限年齢」を定めている法令はありません。またアメリカ合衆国でもありません。強制力がない「行政指導」や、「民間の自主規制」はあるかもしれませんが。また私は、上記の国以外でも、「犬ブリーダーに対して雌犬の『出産』の下限上限年齢」を強制力のある法令(罰則規定。例えば罰金や犬ブリーダーの業務停止や取り消しなど)で定めている国は皆無であると断言します(よほどボンクラ議員がそろった小自治体では可能性はあるかもしれませんが、早晩その規定は廃止されるはずです)。その理由は次回以降の記事で述べます。
反論のある読者様は、欧米の、「犬ブリーダーの雌犬の『出産』の下限上限年齢を定めた、強制力(罰則規定。例えば罰金や犬ブリーダーの業務停止や取り消しなど)がある法令」の名称、および該当する条文を原語でコメントください。特に西山ゆう子氏の熱烈な支持者の愛誤さん、ぜひよろしくお願いします(笑い)。
(動画)
動物の殺処分に対して真実から目を背けてはいけない 2016/03/25公開
「殺処分ゼロ議員連」で長らく事務局次長を務められた高井たかし議員の国会質問。最後の方でガンジーの、ニセとされている格言、「国の偉大さと道徳の進展はその国の動物の扱い方でわかる」(Greatness of a nation and its moral progress can be judged by the way its animals are treated.) を絶叫しておられました(このガンジーの格言がデマであるという資料はこちら。Gandhi Hoax greatness of a nation)。
それ以前に「ドイツでは殺処分ゼロ」というデマも国会で発言していました(ドイツでは日本にはない禁止犬種法がある国ですし、法律で禁止されている犬種や咬傷犬を行政が強制的に殺処分する権限を法律で定めています。また狂犬病清浄国ではありませんし、狂犬病対策としての殺処分の規定は日本より厳格です)。そのような方が主力メンバーの「殺処分ゼロ議員連」の程度は知れたものです。
(動画)
Local group announces reward for killing stray dogs in Kerala 「地方のグループがケララ州で野良犬を殺したことに対する報酬を発表しました」 2015/09/25
インドでは例えば野犬被害の大きいケララ州では、州政府も公的に野犬を殺害駆除しています。公的な殺害だけで4,5万頭、民間人の私的な殺害も合わせれば50万頭の野犬がケララ州だけで殺されているという推計があります。これは日本の公的殺処分の人口比で数百倍です。
With Rs. 500 as reward for killing stray dogs in Ernakulam district, 11 dogs have reportedly been dragged and killed in crude ways by untrained locals in the past two days in Kerala.
インド、ケララ州のエルナクラム地区では、野良犬を殺したことに対する報酬として500ルピーが支払われ、最近の2日間に訓練を受けていない地元住民によって11匹の犬が引きずり回されて乱暴に殺されたと伝えられています。
バ環狂大臣にメールしました
「殺処分ゼロ議員連」の「犬猫の言殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書」に関して
Gesendet
megumi takeda
An:
moe@env.go.jp
Mi., 13. Mai um 10:23
環境大臣
小泉進次郎様
先のメールをお送りしました、「殺処分ゼロ議員連」の「犬猫の言殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟 第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書」(以下、「本要望書」と記述する)に関する問題点の指摘の続きです。
なお前回メールした事柄は、こちらにまとめてあります。
http://blog.fc2.com/blog-entry-1504.html
本要望書においては、4ページに、
「犬の飼養管理基準案 繁殖 繁殖回数 定量」から、「雌犬の出産は1歳以上6歳まで」(英国動物福祉規則)
との記述がありますが、まったくのデタラメです。
1、出典としているイギリスの法令が間違っている(「英国動物福祉規則」にでは、ブリーダーの雌犬に対する『出産』年齢に関する規定は皆無である)。
2、イギリスで犬ブリーダーの雌犬に対する繁殖頻度と年齢に関する規定は別の法律、「犬の繁殖と販売に関する動物福祉に関する法律」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)にある。
3、さらに、「雌犬の『出産』は1歳以上6歳まで」も間違い。正しくは「1歳未満の『交配』を禁じる」のみで、出産の上限年齢を定める規定はありません。犬の妊娠期間は約2か月ですので、「交配」と「出産」では2か月も違ってきます。ひどい間違いです。
そもそもイギリスはもとより、その他の国においても、犬ブリーダーにメス犬の出産年齢の下限上限を強制力のある(例えば犬ブリーダーの免許停止や取り消し処分、罰金など)法令で定めている国は1国も確認できていません。
また法理上、「犬の出産年齢」を根拠にした立法はあり得ません。
その理由は次の通り。
1、犬の妊娠期間は約2ヶ月であるが、正常な分娩で前後1週間程度出産予定日がずれることは頻繁にある。
2、法律による処罰行政処分は厳格に客観性が求められる。つまり「出産日」と根拠にすれば、出産予定日が合法であっても、予想に反して1週間ほど早まり違法となることが普通に発生すると予想される。
3、事業者(犬ブリーダー)は、そのような不確定な法律の規定があれば、経営に支障をきたす。そのために強制力がある法令(例えばイギリス)では、あらかじめ日時が確定できる「交配日」と根拠にしている。
しかしながら、立法を担う国会議員が雁首揃えて、このイギリスの法令の卒倒しそうな誤訳に気が付かないとは笑止千万です。
環境省も似たようなもので、今までに多数の驚くほどの悶絶死しそうなひどい内容の公表していますが(笑い)。
なお追記すれば、犬の福祉向上のためには「最初の発情での交配出産は見送る」のが獣医学や犬ブリーダー、動物愛護団体の共通したコンセンサスです。
犬の多くは、最初の発情は10ヶ月齢以降です。
つまりイギリスの法令「犬ブリーダーは1歳未満で雌犬に交配させてはならない」の規定は、「最初の発情での交配出産を避ける」狙いがあります。
この議員連の基準だと「1歳で出産が合法」、ということは「最初の発情からバンバン繁殖させるべき」ということになります。
呆れた動物虐待団体ですなぁ(大笑い)。
「つける薬がないから死ななきゃ治らない」レベルでしょう、環境省も同類ですが。
この点については、こちらにまとめてあります。
http://blog.fc2.com/blog-entry-1505.html
武田めぐみ
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