「ドイツでのティアハイムでの安楽死の統計はない」という環境省のデタラメ資料⑱~殺処分率36%のティアハイムが統計を公表していますが(笑い)

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(Zusammenfassung)
Euthanasie Statistiken der Tiere im Tierheim
環境省が2017年に公表した、ドイツに関する資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス (以下、「本資料」と記述する)、があります。本資料は全編にわたり嘘、誤りがびっしりと詰め込まれた、まさに見るに耐え難い資料です。本資料においては、「ドイツでの殺処分の現状については、ティアハイムでの安楽死の統計はない」(23ページ)との記述があります。ドイツではティアハイムの犬猫の安楽死(殺処分)統計はありませんが、大学による犬の安楽死(殺処分)調査や、個別に年次報告書として犬猫の安楽死(殺処分)数の統計を公表しているティアハイムが多数あります。本報告書の記述ですと、「ドイツにはティアハイムの安楽死(殺処分)統計は一切ない」という意味になり誤りです。
サマリーで示した、環境省が2017年に公表した、ドイツに関する資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス (以下、「本資料」と記述する)の、問題記述を引用します。
ドイツでの殺処分の現状については、ティアハイムでの安楽死の統計はない。(*2)
ただ、実際の例で言えば、猫が事故にあった手術費が 1,500 €(18 万円)かかる場合であっても安楽殺してはならないという裁判結果があった。(*1)
治療が可能である限り、治療が前提となる。 (23ページ)。
上記の記述(*1)、は、「ドイツの司法判断においては、動物は治療が可能である限り治療を行わなけれればならず、安楽死してはならない」という意味になります。しかしドイツ連邦最高裁判決では、それとは全く逆の判断が示されています。つまり「獣医師は飼い主の経済的利益に配慮して、動物の治療を打ち切り安楽死しなければならない」という判例です。
この点については記事、「ドイツでは動物は可能である限り治療が前提となる」という、環境省のデタラメ資料⑯ で、ドイツ最高裁の本判例の原文全文のリンクをつけて説明しました。
今回記事では、(*2)の記述、「ドイツでの殺処分の現状については、ティアハイムでの安楽死(殺処分)の統計はない」について取り上げます。本資料の記述では、「ドイツではティアハイムの安楽死(殺処分統計)は一切存在しない」という意味になります。しかしそれは誤りです。ドイツのすべての犬猫共のティアハイムの安楽死(殺処分)統計はありませんが、犬に限り殺処分について調査した大学の資料や、個別のティアハイムの殺処分の年次報告書が公表されています。これらの資料においては、かなり高い殺処分率が示されています。ハノーファー獣医大学による2014年の調査資料においては、記録を公開しているティアハイムで犬に限り殺処分率の調査結果が記載されていますが、殺処分率は26.2%です。この数値は、日本の公的な犬の殺処分率の、21.6%よりはるかに高いのです(平成30年度 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況)。また個別のティアハイムの殺処分の公表統計では、犬猫の殺処分率が36%という施設があります。
まずハノーバー(ハノーファー)獣医大学が2014年に公表した、ノルトラインーヴェストファーレン州におけるティアハイムの、行政から収容を委託された犬に関する調査資料があります。この中では、「ドイツのティアハイムの安楽死率(殺処分)率は26.2%である」としています。また必ずしも傷病のみが安楽死(殺処分)の原因ではなく、収容期間が長期に及んだことや、単なるスペース不足(つまり傷病以外の事業者の経済的利益のため)なども高い割合を占めています。
2014年に、ハノーバー(ハノーファー)獣医大学が行った、詳細なノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムに関する調査資料から引用します。Tierärztliche Hochschule Hannover Bedeutung der Pflege- und Haltungsbedingungen für Gesundheit und Wohlbefinden von Hunden als Fund- und Abgabetierein Tierheimen des Landes Nordrhein-Westfalen 「ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムにおける、行政が拾得した犬の健康と福祉のための世話や飼育環境の調査」。2014年。
Die vom DEUTSCHEN TIERSCHUTZBUND E. V. (1995) erstellte Tierheimordnung hat klare Kriterien für das Töten von Tieren in Tierheimen festgelegt.
dies ist nur in Ausnah- mefällen zulässig.
Wie im Falle einer massiven Überbelegung,verur- sacht durch Langzeitinsassen, verfahren werden soll.
RUPPERT stellte , dass 26,20% aller aufgenommenen Tiere in Tierheimen euthanasiert wurden.
In 32% dieser Fälle er-folgte die Euthanasie auf Grund unheilbarer Krankheiten, in 68% lag „ein anderer vernünftiger Grund“ wie Bissigkeit, hohes Alter, Ängstlichkeit, langer Aufenthalt oder Platzmangel vor .
ドイツ動物保護連盟E. V.によるティアハイム規則(1995年)は、ティアハイムにおける動物の殺処分のための明確な基準を定めています。
殺処分は、例外的な場合にのみ許可されています。
しかし著しい過剰収容の場合と同様に、動物の長期の収容によってもその基準は徐々に緩和されます。
ルパートは、記録されたすべての動物(犬)のうち、26.20%がティアハイム内で安楽死させられたことを発見しました。
これらの例の32%では、難病が原因で安楽死に処せられました。
別の安楽死の原因の68%は、非人道的な「別の合理的な原因」であり、犬が高齢であること、行動上の問題に不安があること(攻撃性か)、長期の収容期間や収容スペースの不足などが続きます。
次に、個別のティアハイムが公表している殺処分統計を例示します。tierheim-altentreptow「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から。
2014年には、犬猫総収容数137(Pensionstiere 3 は有償での老犬老猫ホーム事業による預かりなので総数から除外)に対して、殺処分(Euthanasien)が34頭、施設内死(verstorben)が15頭でした。総収容数に占める殺処分+施設内死の割合は35.8%です(日本の自治体の殺処分数の計算方法に基づく)。この施設の殺処分率は、概ね年次報告書を出しているティアハイムとしては、平均的な数値だと思います。
(画像)
tierheim-altentreptow「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から2014年統計

以上より、環境省の本報告書の記述、、「ドイツでの殺処分の現状については、ティアハイムでの安楽死の統計はない。ただ、実際の例で言えば、猫が事故にあった手術費が 1,500 €(18 万円)かかる場合であっても安楽殺してはならないという裁判結果があった。治療が可能である限り、治療が前提となる」のうち、「ドイツでの殺処分の現状については、ティアハイムでの安楽死の統計はない」は、デタラメであることがお分かりいただけると思います。またティアハイムの殺処分率がかなり高いことも示されています。
本報告書の、「(ドイツでは)治療が可能である限り、治療が前提となる(つまり治療による治癒の可能性があれば治療を続けなければならず、その他の理由、例えば「飼い主の経済的利益による安楽死(殺処分)はできない」という意味になる)」は、記事、「ドイツでは動物は可能である限り治療が前提となる」という、環境省のデタラメ資料⑯、でそれとは真っ向から反する最高裁判例を挙げて、環境省の本報告書がデタラメであることを説明しました。
次回記事では、ティアハイムでの感染症拡大を防止するために、収容猫約40匹すべてを安楽死(殺処分)させた例などを取り上げます。おそらく未感染の健康な猫も含まれていたと思われます。またこの感染症は治療が可能ですし、致死性の感染症ではありません。つまり「飼い主の経済的利益など」、例えば治療のために施設を閉鎖しなければならなずその間の営業ができなくなることによる収入減の防止などにより、健康な猫ですら安楽死(殺処分)が正当化されるということです。
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・続・犬などのペットの非対面インターネット販売の規制が全くないドイツ~環境省のデタラメ資料②
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