ベルリン州の犬の咬傷事故は日本の5.5倍~環境省のデタラメ資料⑨

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(Zusammenfassung)
Anzahl der Hundebiss Unfälle in Berlin
環境省が2017年に公表した、ドイツに関する資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス (以下、「本資料」と記述する)、があります。本資料は全編にわたり嘘、誤りがびっしりと詰め込まれた、まさに見るに耐え難い資料です。本資料に関する記事の連載をしていますが、記事数が増えましたので「続きを読む」に一覧としてまとめています。本資料においては「ドイツでは犬による咬傷事故は極めて少ない」と誤認させる記述があります。しかしそれは真逆です。ドイツは犬の咬傷事故は大変多く、例えばベルリン州では人口比で日本の5倍以上です。
環境省の資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス ですが、次のような「ドイツでは著しく犬による咬傷事故が少ない」と誤認させる記述があります。以下に引用します。
危険な犬については州ごとに対応が決められるが、ニーダーザクセン州での「危険な犬のテスト」は、州の法律に基づいて実施されている。
現在、犬が人間をかむ事故はほとんど発生していない。
これは、飼い主に試験を導入し、犬を飼うための知識を、筆記試験と実地試験(飼い犬との散歩)を行い、合格した人だけが飼って良いことにしたからである。 (25~26ページ)。
この記述はニーダーザクセン州についての記述ですが、読者は著しく「ドイツ全土において犬による咬傷事故は少ない」と誤認させる記述です。実はニーダーザクセン州は、ドイツ連邦共和国の州の中では、数少ない犬の咬事故数や犬の安楽死数に関する公的統計を公表していない州の一つです。
ですから、ハノーファー獣医大学でのヒヤリング調査で(本資料はハノーファー獣医大学のどの部署に取材したのかも不明で、その点では全く資料としての価値はないといえます)、「現在、犬が人を咬む事故はほとんど発生していない」との情報は、根拠薄弱な伝聞です。また州による犬の咬傷事故の公的統計が公表していないことから、大学がこのような回答をするか疑問です「伝聞」はうそつきの常套手段です。また嘘つきは「ほとんど」などという形容詞、形容動詞を多用し、具体的な数値を挙げません。情報としては、「〇年のニーダーザクセン州の犬による咬傷事故は〇件であり、そのうち死亡事故は〇件、入院事故は〇件である」としなければ意味がありません。以下の画像は、ドイツ連邦政府がまとめた、ドイツ16州のうちの11州に限った2012年の犬の咬傷事故統計です。ニーダーザクセン州は犬の咬傷事故数が未公表のために、同州の数値は含まれていません。おそらく統計が未公表の5州を加えれば、1万5000件程度になるのではないかと思います。
(画像)
Beißvorfälle unter Berücksichtigung der Hunderassen in Deutschland und Umfrage bei Hundebisspatienten in vier Berliner Kliniken Freien Universität Berlin 「ドイツの犬咬傷事件の犬種による考察とベルリン州の4つの診療所における犬咬傷事故患者の調査」 2016年 から ニーダーザクセン州は、犬による咬事故の公的統計の公表が無い州であることがわかります。

結論から言えば、ドイツは日本に比べてはるかに犬の咬傷事故が多いのです。一例として詳細な犬の咬傷事故の統計を公表している、ベルリン州の公的統計資料の数値と、日本の犬による咬傷事故の比較を行いました。その結果は、ベルリン州(人口350万人)の2018年の、警察などに届けられた犬による咬傷事故の数は、人口比で日本の5.5倍でした。
なおこの資料は、「ベルリン州で警察などの規制当局に届け出があった犬の人身咬傷事故のみ」の統計です。日本の環境省の、「保健所に届け出があった犬咬傷事故数」の統計と条件は同じです。
・Berlin Hundebiss-Statistik: Mehr Menschen angesprungen 「犬の咬傷事故統計:より多くの人が犬に襲われました」 2019年5月5日
In Berlin ist die Zahl der erfassten Hundeangriffe im vergangenen Jahr leicht gestiegen.
Gezählt wurden 625 Fälle, in denen Hunde Menschen ansprangen oder verletzten.
Die Statistik beruht auf Meldungen der Ordnungsämter, inklusive Meldungen der Polizei.
ベルリンでは、記録された犬の攻撃の数が昨年わずかに増加しました。
犬に襲われたり怪我をしたりした数は、625件が記録されました。
この統計は警察の報告を含む、規制当局からの報告に基づいています。
・3. 動物による事故 (1)犬による咬傷事故件数(全国計:昭和49年度~平成29年度) 平成29年度は4316件 うち人身事故は4094件
環境省の本資料は、信頼に足る資料をつけずに、さらに具体的な数字も挙げていない、「(ドイツ、ニーダーザクセン州では)現在、犬が人間をかむ事故はほとんど発生していない」との記述は問題です。繰り返しますが、ニーダーザクセン州は、ドイツ連邦共和国16州のの中では犬による咬傷事故の公的統計を公表していない数少ない州の一つです。
しかし犬の咬傷事故は、公的統計を公表している州は日本よりはるかに多いのです。詳細な統計を公表しているベルリン州は、人口比で日本の5.5倍あります。同じドイツ国内であって、ニーダーザクセン州に限り、犬の咬傷事故がほとんど発生しないうことは考えられません。環境省は本資料のこの記述に関して補足資料により説明するべきでしょう。
環境省の本資料では、真実に反する「ドイツでは犬のオフリードが一般的で合法、寛容」と誤認させる記述があります。真実はドイツは世界でも最も犬のリード義務に厳しい部類の国の1つです。「(「ドイツ全土では」と誤認させる)犬が人間をかむ事故はほとんど発生していない」という記述と相まって、嘘を嘘で糊塗するという意図が明らかです。正確さ、客観性、中立性が求められる省庁の資料としては、完全に許容範囲を逸脱しています。まさに環境省は、税金泥棒の嘘プロパガンダ省です。
(参考資料)
・Projektgruppe Gewalt gegen Polizeibeamte - Lagebilderstellung - Schlussbericht
~
ドイツ連邦警察による、暴力犯罪の各州の比較調査。犬の咬傷事故に関しては、ニーダーザクセン州は「未公表で不明」としています(19ページ)。事実、ニーダーザクセン州は、犬の咬傷事故や州による殺処分数を公表していない州です。そのような状況で、獣医大学が「現在、犬が人を咬む事故はほと発生していない」と回答するのか疑問です。
「ほとんど」などという形容詞形容動詞を用い、具体的な数値を挙げないのと伝聞系はうそつきの常套手段です。環境省は、今からでも補足資料としてニーダーザクセン州並びにドイツにおける信頼できる犬の咬傷事故件数の統計を示すべきです。
・Jagdhund beißt Seniorin in ihrem Haus tot 「猟犬が高齢女性を咬んで、その女性は自宅内で死にました」 2019年3月2日
~
これはニーダーザクセン州の事件ですが、ニーダーザクセン州は毎年のように犬による凄惨な死亡咬傷事故が報道されています。2018年は身障者の息子と母親2名が犬にかみ殺されるという事件が起きています。800万人に満たない人口で、毎年犬による死亡事故が起きていながら、「犬が人間をかむ事故はほとんど発生していない」という、環境省のデマ記述には呆れます。犬による死亡事の件数は、人口1億2,600万人の日本の頻度とかわりません。ニーダーザクセン州は犬の咬傷事故件数を公表していないからと言って、これほどのデマを省庁がするとは極めて悪質です。
・犬などのペットの非対面インターネット販売の規制が全くないドイツ~環境省のデタラメ資料①、
・続・犬などのペットの非対面インターネット販売の規制が全くないドイツ~環境省のデタラメ資料②
・「ベルリンでは1歳未満の犬の販売を禁止した」という誤訳~環境省のデタラメ資料③
・ドイツの犬リード義務は厳しく、違反者の犬は射殺されてもやむを得ない~環境省のデタラメ資料④
・犬のリード義務が極めて厳しいドイツ~環境省のデタラメ資料⑤
・続・犬のリード義務が極めて厳しいドイツ~環境省のデタラメ資料⑥
・ドイツ、ニーダーザクセン州の厳しい犬のリード義務~環境省のデタラメ資料⑦
・続・ドイツ、ニーダーザクセン州の厳しい犬のリード義務~環境省のデタラメ資料⑧
- 関連記事