続・ドイツ、ニーダーザクセン州の厳しい犬のリード義務~環境省のデタラメ資料⑧

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(Zusammenfassung)
Deutschland, wo die Hunde Leinenpflicht sehr streng ist.
環境省が2017年に公表した、ドイツに関する資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス 、があります。本資料は全編にわたり嘘、誤りがびっしりと詰め込まれた、まさに見るに耐え難い資料です。本資料に関する連載をしていますが、記事数が増えましたので、記事の「続きを読む」に一覧にしてまとめてあります。今回記事では前回に続いて本資料の、ドイツ、ニーダーザクセン州における犬のリード義務に関するデタラメを取り上げます。ニーダーザクセン州はドイツの他州と同じく市街地では通年厳しい犬のリード義務が課せられています。
環境省の資料、平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス (以下、「本資料」と記述する)ですが、次のような画像が掲載されています(7ページ)。
この画像には、「自転車に乗った飼い主が、オフリードの犬と主に走る様子は街中でしばしば見かける」との記述があります。読者に著しく「ドイツでは犬はオフリードが合法である」と認識させます。
(画像)
平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス より(7ページ)。

また、本資料においては、「ニーダーザクセン州では、春になると野鳥がたくさんやってきて犬が反応してしまうので、リード装着義務期間を設けている。4/1~5/15 の期間であり、どんな犬であっても、必ずリードをつけなければならない」という記述があります。この記述に従えば、「ニーダーザクセン州では、1年のうち、4月1日から5月15日に期間に限り犬にリードが必要であるが、それ以外の期間は犬にはリードが必要ない」という意味になります。
しかしこの記述は完全に誤りです。その点については前回記事で詳述しました。真実は、ニーダーザクセン州法で州全域が適用となる、森林地帯に限っての犬のリード義務を定めた法律はあります(市街地は除外)。その内容は、「4月1日から7月15日にかけては例外を除く犬は森林地帯ではリードをしなければならない」です。
ニーダーザクセン州では森林地帯以外では、各自治体が市街地での通年の厳しい犬のリード義務を定めています。また「一定期間に限り森林地帯に限って適用される」ニーダーザクセン州法の犬リード義務ですが、同法では自治体がその期間を超えて、森林地帯での犬のリード義務を定めることを妨げてはいません。多くのニーダーザクセン州の自治体は、本法で規定する期間を超えて~通年の期間で森林地帯でも、犬のリード義務を定めています。
例として、ニーダーザクセン州の州都、ハノーファー(ハノーバー)市の、犬のリードに関する条例を引用します。Verordnung über das Halten von Hunden in der Landeshauptstadt Hannover vom 07.12.1998 (HundeVO) 「犬の飼育に関する条例 ニーダーザクセン州都ハノーファーにおける 1998年7月12日(犬条例)」
§ 4 Leinenzwang in öffentlichen Anlagen und in der Innenstadt
(1) In den öffentlichen Anlagen im Sinne von § 2 Abs. 2 der Verordnung über die öffentliche Sicherheit und Ordnung in der Landeshauptstadt Hannover (SOG-VO) vom 12.07.2007 - mit Ausnahme eingerichteter Hundeauslaufflächen – müssen alle Hunde an der Leine geführt werden.
In den Wäldern gilt dieser Leinenzwang nur in den Schongebieten und in den Eilenriedebereichen zwischen Fritz-Behrens-Allee, Berna-dotte-Allee und Hohenzollernstraße.
(3) Die Leinenlänge darf 150 cm nicht überschreiten
§ 6 Gefährliche Hunde
(1) Gefährliche Hunde sind in der Öffentlichkeit stets an der Leine zu führen und haben einen, Maulkorb zu tragen, der das Beißen sicher verhindert.
Die Leinenlänge darf 150 cm nicht überschreiten.
(3) Als gefährliche Hunde im Sinne dieser Verordnung gelten:
1. Hunde, die bereits Menschen oder Tiere gebissen haben,
2. Hunde, die in aggressiver und damit gefährdender Weise Menschen angesprungen haben,
3. Hunde, die bewiesen haben, dass sie unkontrolliert Wild, Vieh, Katzen oder Hunde het-zen oder reißen.
4条 公共施設および市内中心部の犬のリード義務
(1)ハノーファー州都の公安と秩序に関する条例 2007年7月12日(SOG-VO)の、2条2項で定義する公共施設と-ドッグランエリアを除き、すべての犬はリードにつながれていなければなりません。
森林ではこのリード義務は、野生動物保護地域と、フリッツベーレンスアリー、ベルナドッテアリー、ホーエンツォレルンシュトラーセ間のアイリーンリートエリアにのみ適用されます。
(3)リードの長さは150 cmを超えてはなりません。
6条 危険な犬
(1)危険な犬は常に公共の場ではリードにつないでおき、咬むのを防ぐ安全対策として口輪を装着させる義務があります。
リードの長さは150 cmを超えてはなりません。
(3)この条例での危険な犬の定義は次の通りです。
1.すでに人や動物を咬んだ犬
2.攻撃的で危険な動態で人に飛び掛かった犬
3.野生動物、または犬を制御できないほど咬みついて怪我をさせた犬
つまりニーダーザクセン州都のハノーファー市では、犬のリード等に関して、条例で次のように定めています。
1、公共施設と市中心部では、犬はドッグランを除外して必ずリードを通年しなければならない。
2、リードの長さは150㎝までである。
3、危険な犬はリードに加え、口輪も義務である。
(註 これらの違反に対しては、5000ユーロまでの罰金が科されます)
ニーダーザクセン州では、州都ハノーファー市に限らず、傘下の自治体では同様の厳しい犬のリード義務を定めた条例があります。つまり公共施設と市街地での通年の犬のリード義務と、リードの長さの規定などです。環境省の本資料における、「ニーダーザクセン州では、春になると野鳥がたくさんやってきて犬が反応してしまうので、リード装着義務期間を設けている。4/1~5/15 の期間であり、どんな犬であっても、必ずリードをつけなければならない」との記述は、根拠法も示さずに、元の記述を都合よく改ざんしています。またこの記述と先に上げた画像と共に、著しくニーダーザクセン州、さらにはドイツ全土において、犬のオフリードが寛容、合法で認められていると、読者を誤った認識に導くことを意図した悪質な嘘記述です。
正確中立、客観性が求められる公的機関である環境省の資料としては全く許容範囲を逸脱しています。省庁が公費でもって嘘の拡散と、国民の世論を嘘情報で誘導しているわけですから極めて悪質です。本資料の嘘デタラメをすべて指摘し終わるには、おそらく1年以上かかると思いますが、暫時環境省は問い合わせに対して真摯に対応すべきでしょう。
その他ニーダーザクセン州においては、狩猟区域内においては通年、リードをしていない犬を狩猟駆除で殺害しても合法であると、州狩猟法で規定しています。つまりリード義務の適用地域外であったとしても、狩猟区域内の森林地帯では、犬をオフリードで非占有状態にしていれば、その犬は殺されても文句を言えませんよ、ということです。
Niedersächsisches Jagdgesetz (NJagdG) Vom 16. März 2001 「ニーダーザクセン州狩猟法 2001年3月)から引用します。
§ 29 Jagdschutz
(1) Die Jagdschutzberechtigten sind in ihrem Jagdbezirk befugt,
2.wildernde Hunde zu töten, die sich nicht innerhalb der Einwirkung einer für sie verantwortlichen Person befinden und nicht als Jagd-, Rettungs-, Hirten-, Blinden-, Polizei- oder sonstige Diensthunde erkennbar sind, und
3.wildernde Hauskatzen, die sich mehr als 300 m vom nächsten Wohnhaus entfernt befinden, und verwilderte Frettchen zu töten.
29条 狩猟鳥獣の保護
(1)狩猟保護官は、当該狩猟地区で以下の権限を(ハンターに等に)付与できるものとします。
2. 責任者の管理下にない、狩猟犬、救助犬、牧羊犬、盲導犬、警察犬、またはその他の介助犬として認められない、狩猟鳥獣を捕食している犬を殺害すること、および
3.最寄りの住居(註 単数形)から300 m以上離れている野生動物を捕食するイエネコと野生化したフェレットを殺害すること。