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続・イギリスに野良猫が突出して多い理由~「イギリスでは野良猫は消滅した」と言う東大教授の痴性







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(summary)
Among the Western European countries, the United Kingdom has a remarkable number of stray cats and stand out the number of stray cats.


 記事、
「野良猫の多い国は子供が少ない」と言う東大教授のトンデモ理論(笑)
「18世紀にイギリスにクマがいた」と言う東大教授の痴性
イギリスに野良猫が突出して多い理由~「イギリスでは野良猫は消滅した」と言う東大教授の痴性
の続きです。
 東京大学教授の小野塚知二氏は、「イギリスやドイツでは20世紀中葉に野良猫は消滅した(野良猫はゼロと言う意味になる)」と主張しています。しかしイギリスは自然条件や社会制度、人口密度などが近い西ヨーロッパの国の中では、突出して野良猫が多いという推計があります。その理由を考察します。



 東京大学の小野塚知二教授(経済学)氏は、繰り返し「イギリスやドイツでは20世紀中葉に野良猫は消滅した(「野良猫はいない。野良猫ゼロ」と言う意味になります)」と主張しています。例えば、東京大学の広報誌「淡青」(*1)や、東京大学農学部教授が主催している、「日本ペットサミット」での講演会(*2)、山口大学での講演会などです(*3)。
 いかし小野塚教授は、「イギリスやドイツでは20世紀中葉に野良猫が消滅した」ことの根拠となる出典を一切挙げていません。私は数回東京大学にメールをして問い合わせをしましたが、一切お返事はありません。

(*1)野良猫のいる社会といない社会 | 広報誌「淡青」37号より(東京大学) 2018年12月4日 
(*2)野良猫のいる社会といない社会 その比較と移行過程(小野塚知二先生)
(*3)山口大学の「山大ニャンコ大作戦勉強会」講演会 2019年10月7日

 小野塚知二教授の上記の論旨は、次の通りです。
1、世界の国は、野良猫がある国とない国にはっきりと二分できる。
2、野良猫がない国はイギリス、ドイツなどで、これらの国は20世紀中葉に野良猫は消滅した。
3、野良猫がこれらの国で消滅した原因は、帝国主義の進展に伴う核家族化である。


 しかし上記の、小野塚教授の論旨はデタラメです。小野塚教授は「野良猫がない国」の筆頭としてイギリスを挙げていますが、前回記事で示した通りイギリスは、自然条件や人口密度などが比較的近い西ヨーロッパの、ドイツ、スイス、オランダに比べれば、突出して野良猫の数が多いのです。イギリスは、これらの国と比較すれば、人口比で20倍から2.2倍も野良猫が多いのです。つまり前提条件で、「2」で誤りがあるのですから、導かれた結論、「3」もデタラメ、誤りと言うことになります。
 結論から言えば、その国の野良猫の数は、帝国主義の進展とは何ら関係がありません。前回記事で述べたことですが、野良猫も外来生物の一種です。外来生物がその地域で定着して個体数を増やすか否かは、前回記事でも述べた通り、次の要因が挙げられます。

1、気候、地勢などの自然条件がその種に適している。
2、強力な捕食者や、競合する種がいない(人による駆除も含まれる)
3、餌となるものが多く、採餌が容易である(人による給餌も含まれる)。

4、その他に、犬猫やカワラバトなどのように人が飼育している動物種に限り、飼育されている個体数が多く、遺棄や遁走などで常に供給圧力があるかどうかでも、その地での個体数は影響を受けます。

 イギリスと、ドイツ、スイス、オランダの3カ国は、「1」はほぼ同じ条件です。決定的にイギリスが他の3カ国と異なる点は、「2」です。ドイツ、スイス、オランダの狩猟法は、通年非占有猫(その多くが野良猫である)の駆除が合法です。また、積極的な駆除をむしろ国が推奨しているといえます。対してイギリスは、非占有猫の狩猟に対する制限があり、ほぼ野良猫の狩猟駆除が行われていません。
 その他に、イギリスは猫のTNRの公的助成制度があり、比較的他の3国に比べれば、野良猫への給餌に寛容です。それは「3」の条件に該当します。またイギリスは人口比での猫飼育数が他の3カ国に比較すれば多いです。それは「4」の条件に該当します。しかし最も野良猫の数に大きな影響を与えているのは、「2」の、人による狩猟駆除が広く行われているか否かという点でしょう。以下に、イギリスと、ドイツ、スイス、オランダの狩猟法を引用します。


・ドイツ
Bundesjagdgesetz § 23 Inhalt des Jagdschutzes 「連邦狩猟法」
Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.

 連邦狩猟法23条で、非占有の犬猫は通年狩猟対象と定められている。年間に狩猟駆除される猫の数は、30万匹~50万匹と推定されている。

・スイス
Bundesgesetz über die Jagd und den Schutz wildlebender Säugetiere und Vögel 「スイス連邦狩猟法」
Art. 5 Jagdbare Arten und Schonzeiten
Während des ganzen Jahres können gejagt werden:
a.Marderhund, Waschbär und verwilderte Hauskatze;

 連邦狩猟法 で、猫はアライグマなどと同列で駆除すべき外来生物で、通年狩猟が合法である。年間10万匹の野良猫が狩猟駆除されていると推定されている。

・オランダ
Dutch stray cats in focus(ワーゲニンゲン大学) 「オランダにおける野良猫の焦点」(英語) 2015年5月7日
The Royal Dutch Hunters organization estimates that nowadays yearly between 8,000 and 13,500 stray cats are being shot. 「ロイヤル・ダッチ・ハンターズ(Royal Dutch Hunters)によると、オランダでは現在、年間に8,000匹から13,500匹の野良猫が射殺されていると推定されています」。

 オランダでは、野良猫は狩猟対象であり、相当数(人口比で日本の公的殺処分の3倍)の猫を狩猟駆除している。



 対してイギリスですが、猫(野良猫 非占有猫)の狩猟統計は見つかりませんでした。イギリスにおいては、猫に限らず飼育動物種は、「完全に野生化したものは狩猟が合法だが、人が関与したものは狩猟できない」との「動物福祉法 2006」に規定があります。外見は、放し飼いの飼い猫と野良猫は区別がつきませんので、飼い猫の誤射の可能性があるために、事実上野良猫の狩猟はできないのです。
 Animal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」から引用します。

Section 2. “Protected animal”
An animal is a “protected animal” for the purposes of this Act if—
(a)it is of a kind which is commonly domesticated in the British Islands,
(b)it is under the control of man whether on a permanent or temporary basis, or
(c)it is not living in a wild state.

第2節 「本法で保護される動物」
仮に以下の条件であれば、当該動物は、本法の目的とする「保護される動物」です。
(a)一般的に、イギリス諸島で飼育されている種類のすべてであり、
(b)永続的または一時的に人により管理下に有り、または、
(c)それが野生状態で生きていないもの。



 結論を繰り返しますが、イギリスが、自然条件や人口密度が近い西ヨーロッパの他の国と比べて極めて野良猫の数が多い最も大きな原因は、狩猟法にあります。狩猟法により、野良猫または非占有猫の狩猟駆除が積極的に行われれば、比較的野良猫の増殖は抑制されます。しかしイギリスのように駆除されることがなければ、数が大きく増えるということです。
 いずれにしても、小野塚知二東京大学教授の、
1、世界の国は、野良猫がある国とない国にはっきりと二分できる。
2、野良猫がない国はイギリス、ドイツなどで、これらの国は20世紀中葉に野良猫は消滅した。
3、野良猫がこれらの国で消滅した原因は、帝国主義の進展に伴う核家族化である。
は、前提条件が間違っていますし、荒唐無稽な妄論です。



(参考資料)

(イギリス)
Felis catus (cat)
学術誌。「イギリスには900万の野良猫が生息している」 
The UK's first 'cat census' has been launched to help keep the nation's nine million strays 'safe and warm' 2018年4月11日
「イギリスには800万匹の飼い猫と900万匹の野良猫と150万匹のノネコがいる」

イギリスの1万人当たり野良猫数
野良猫だけの数:1,364匹
ノネコを含む数:1,590匹

(スイス)
«Über 100'000 tote Kätzchen pro Jahr» – nun fordert Petition Kastrationspflicht
「スイスには「30万匹の野良猫が生息し、毎年10万匹の野良猫が殺害されている」 2017年8月2日

スイスの1万人あたり野良猫数(記事の内容からの猫を含む数とした)
350匹

(ドイツ)
Die K-Frage: Braucht Deutschland eine Katzensteuer? 2017年1月23日
「ドイツには250万匹の野良猫が生息している」
Zahl der herrenlosen Katzen enorm gestiegen | wp.de | Hagen 2015年1月9日
「ドイツには300万の野良猫が生息している」

ドイツの1万人当たり野良猫の数(記事の内容から、ノネコを含む数とした)
301匹から361匹

(オランダ)
Dutch stray cats in focus オランダ ワーゲニンゲン大学
「オランダの野良猫の推計値は、135,590匹から1,207,331匹の範囲」

オランダの野良猫の数(記事の記述からノネコを含む数と判断した)
80匹から710匹



(動画)

 M25 CAT KILLER: Police Investigation 「M25 キャットキラーの警察の捜査」 2017/09/04
 イギリス、ロンドン近郊では、2015年から2017年頃までに、猫の頭部を切断した死体が400体以上見つかりました。放し飼い猫もありますが、多くの野良猫ノネコも犠牲になりました。かなり具体的な犯人像が公開され、情報提供者に10,000ポンド(約140万円)の報奨金も用意されましたが、犯人の逮捕には至りませんでした。狭い範囲でそれだけ多くの猫の殺害死体が見つかるということは、ロンドンは野良猫もノネコもかなり多いということでしょう。

DESCRIPTION OF POTENTIAL SUSPECT: Male, 40s, white, with short brown hair, between 5'8 and 5'11', average build, possibly with some acne scarring to his face, dressed in dark clothing.
A £10,000 Reward has been offered for the conviction of the brutal and sadistic M25 Cat Killer.

潜在的な容疑者の説明:男性、40代、白人、短い茶色の髪、5'8から5'11フィートの間の身長で平均的な体格、おそらく顔にニキビ跡があり、黒っぽい服を着ています。
残忍でサディスティックな、M25キャットキラーの有罪判決のために、10,000ポンドの報酬金が用意されました。





(参考資料)

 Critical assessment of claims regarding management of feral cats by trap-neuter-return. 「トラップ・ニューター・リターンによる野良猫の個体数管理に関する主張に対する批判的評価」(2009年)。アメリカ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、地理学の研究グループによる論文。多くの資料の「イギリスの野良猫の数は900万匹」の根拠はこちらと思われます。
 この論文は若干古いですが、TNRの効果を否定する内容です。論理的でわかりやすい良い内容と思いますので、折々こちらでも紹介しようと思います。

Estimated that the 9 million (feral stray)cats in Britain kill at least 52–63 million mammals, 25–29 million birds, and 4–6 million reptiles each summer.

イギリスの900万匹の(野良)猫が、毎年夏に少なくとも52〜6300万匹の哺乳類、25〜29百万羽の鳥類、および4〜600万匹の爬虫類を殺すと推定されています。

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日本ペットサミット メールアドレス

日本ペットサミット メールアドレス
sakuma@interzoo.co.jp


上記資料ですが、引用させていただきましたのでご報告申し上げます。

http://eggmeg.blog.fc2.com/blog-entry-1414.html#cm
続・イギリスに野良猫が突出して多い理由~「イギリスでは野良猫は消滅した」と言う東大教授の痴性 - さんかくの野良猫餌やり被害報告

それにしても東大教授が、最も重要な各国の野良猫の推計値に関する出典をひとつも挙げていないとは驚きです。
「野良猫が消滅した国」の筆頭に小野塚教授はイギリスを挙げていますが、簡単な英語検索で、700万頭台半ば~(ノネコも含めて)1150万頭という資料は学術論文を含めて多数ヒットします。
多分私は中学3年生のときに、これらの資料の多くを辞書なしで読んで理解できたと思います。
東大教授と言うハロー効果があるから、本当にこのような妄論は有害です。
「ペットサミット」の聴衆が、バカ面して「うんうん」とうなづいている光景を想像すれば、日本の白痴化がこれほどまで進んでいることを思い、恐怖にかられます。

それと援護射撃の環境省室長の、「日本の野良猫推計」ですが、この数値は、「外猫に餌をやっている世帯数×給餌されている猫」に基づいています。
つまり複数の給餌者から給餌されている猫が重複されている数値です。
さらに給餌を受けていない「ノネコ」は除外されます。
かなり乱暴な推計値(推計値ともいえない代物)で、このような内容を東大がかかわった講演会で行うとは、日本の白痴化は絶望的と感じます。
なお比較的マシな野良猫数推計は、東京都がルートセンサス法を用いて、約11万頭と推計しています。

東大がかかわった、しかも農学部です。
農学部は、動物学、生態学もかかわる分野です。
それをこれほど非科学的、奇妙奇天烈な妄論で講演会を行うとは、日本人の白痴化を東大がけん引しているといえるでしょう。

なお学術論文でも「イギリスの野良猫数は約900万」との推計値を用いています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19245489
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
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・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
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よろしくお願いします。

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