3分の1のティアハイムが破産に直面しているドイツ、バイエルン州

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(Zusammenfassung)
Im Landtag zerschellte Ende Juni der „Aktionsplan zur Gewährleistung des Tierschutzes in Bayern“ an der CSU-Mehrheit.
Dabei fehlen den bayerischen Tierheimen 65 Millionen Euro für dringende Investitionen.
Jedes dritte Tierheim steht vor der Insolvenz.
日本では、ドイツのティアハイム(動物保護施設)に関する正確な情報はほぼありません。「運営費はすべて民間の寄付による。公的な補助は一切受けていない」もその一つです。ティアハイムは拾得動物の収容と管理が法的に義務付けられており、自治体から飼育費が補助されます。また設備投資とその維持費などに最大75%の補助金が支払われる州もあります。認可を受けたティアハイムで自治体からの業務受託を行っていないところはありませんので、100%のティアハイムが公的資金を受けています。さらに近年のティアハイムの経営悪化により、ティアハイムの統括団体でるドイツ動物保護連盟は一貫して補助金の引き上げを求めています。バイエルン州では3分の1のティアハイムが倒産の危機に直面しています。
前回記事、寄付金収入の割合が20%のドイツのティアハイム~三菱リサーチ三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデタラメ、で書いた通りですが、ティアハイムの統括団体であるドイツ動物保護連盟(Tierschutzbund.e.V)は、2010年に各ティアハイムの広範な補助金依存率の調査を行いした。その結果は、「ティアハイム1施設当たりの運営費に占める公的な補助金が占める割合は25%」でした。なおこの数字には、自治体から拾得動物の収容と管理を委託された動物の飼育費の補助金は含まれていません。その「広義の補助金」を含めれば、ドイツのティアハイムの運営費に占める補助金の比率は25%よりさらに高くなります。
それにもかかわらず、現在ティアハイムは多くが経営危機に陥っており、ドイツ動物保護連盟の本部をはじめ、州の支部においてもさらなる補助金の増額を求めています。昨年はバイエルン州の動物保護連盟がバイエルン州に対して、ティアハイムの補助金の増額を求めました。バイエルン州では、3分の1のティアハイムが、倒産の危機に直面しています。
Der Tierschutzverein Pfaffenhofen redet Tacheles 「動物保護協会のプファッヘンホッヘン氏はタへレス氏と会談する」 2018年7月13日 から引用します。
Finanznot in den Tierheimen
Dabei fehlen den bayerischen Tierheimen 65 Millionen Euro für dringende Investitionen.
Jedes dritte Tierheim steht vor der Insolvenz.
Viele Tierschutzvereine kämpfen Jahr für Jahr ums Überleben.
Viele Menschen wissen nicht, dass die Zuständigkeit für Fundtiere bei den Kommunen liegt.
Durchschnittlich sind die Tierheime zu rund 80 Prozent mit Fund- und beschlagnahmten Tieren belegt, für deren Unterhalt eigentlich die Kommunen zuständig sind.
Aber nur etwa 25 Prozent der hierdurch anfallenden Kosten werden von ihnen tatsächlich erstattet.
Nicht von ungefähr seht ein Drittel der Tierheime vor der Insolvenz.
Die Unterstützung der über 80 Tierheime in Bayern ist die vordringlichste Aufgabe.
Immerhin gewähren fast alle Bundesländer den Heimen Zuschüsse, damit diese ihre Aufgaben wahrnehmen können.
Eines der reichsten Bundesländern, der Freistaat, hält sich vornehm zurück.
ティアハイムの経済的困窮
バイエルン州のティアハイムでは、緊急投資のために6500万ユーロが不足しています。
3分の1ティアハイムは、ほぼ倒産に直面しています。
多くの動物保護団体は、毎年存続するために苦労しています。
多くの人々は、拾得された動物に対する責任が地方政府にあることを知りません。
平均するとティアハイムでは、拾得されたり、押収された動物(註 禁止犬種の押収など)が80%を占めており、市が実際に飼育する責任を負っています。
しかし実際に発生する費用の約25%だけが、実際に補助金として支払われます(註 なおこの数値は、ドイツ動物保護連盟が2010年に調査した数値と思われます。なおこの数字には、自治体から支払われる飼育費は含まれません。それを含めれば、公的助成比率はさらに高くなります)。
ティアハイムの3分の1が、倒産に直面しているのは偶然ではありません。
バイエルン州の80を超えるティアハイムの公的支援は、最も緊急の課題です。
実際にほとんどすべてのドイツの州は、政府が義務を果たすことができるように、ティアハイムに補助金を支給します。
最も豊かである州(註 バイエルン州はドイツの中では最も州民の所得水準が高く財政状態も良い)の一つである自由州バイエルン政府は、気位高く(ティアハイムへの補助金増額を)抑制します。
日本では、ドイツのティアハイム(動物保護施設)に関する正確な情報がほぼありません。ティアハイムの運営資金の割合についてもです。日本では「ティアハイムはすべてを民間の寄付金により運営されており、公的補助は一切ない」としている情報が流布されています。しかしそれはデマです。
一例として、シェルターへの補助金や公営シェルターがうまくいかない理由 2016年7月10日 を挙げます。この「Twitterのまとめサイト」は、「ドイツのティアハイムでは補助金なしでうまくやっている。だから日本での動物保護施設に補助金支給に反対」という趣旨のようです。しかし引用しているツイッターの「ドイツにはティアハイムが5,000あり(真実は500あまりです)」などと言うデタラメ記述もあり、痛いです。
はらぺこプリマス @Plymouth760
こういう、三宅洋平ら国会議員の「シェルター作ります」「シェルターに補助金つけます」を支持する人たち、自分たちでちょっとでもドイツのティアハイムについて調べてみたのだろうか? twitter.com/akion189/statu…
(画像)
上記のHN、「はらぺこプリマス@Plymouth760 」さんのツィート(https://twitter.com/MrB97835586/status/751610501776322562
)のスクリーンショット。「自分たちでちょっとでもドイツのティアハイムについて調べてみたのだろうか?」と言う、はらぺこプリマスさんの、上から目線は痛い限りです。引用した記事は、ニセドイツ獣医師の京子アルシャー氏による、時事ドットコムによるデタラメ記事ですし。

なお現在、ドイツのティアハイムでは、運営費に占める公的補助金の割合が50%のティアハムもあります。またシュレースヴィッヒーホルシュタイン州では、昨年ティアハイムへの設備投資などへの補助金率を75%にまで引き上げました。シュレースヴィッヒーホルシュタイン州の自治体は、それとは別に行政から受託した動物の収容については、30日程度の飼育費が支給されます。まさに「補助金漬け」です。これらについては、次回以降の記事で取り上げます。
なお私は、日本での動物保護施設への補助金の支給は今のところ否定的な考えです。なぜならば、資金の使途の適正化を担保するための法整備がまだ整っていないからです。現状のまま公的資金を投入すれば、不正の温床になりかねませんし、動物福祉にも寄与しません。その点は誤解なさらぬよう。むしろ、はらぺこプリマスさんの主張に同意します。願わくば、個人のネットワーカーであっても、原典を調べて正確な情報を入手した上で情報発信していただきたい。
(参考資料)
・動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
全てにおいて誤り、嘘、偏向で埋め尽くされ、ティアハイムに関する記述のみならず、正確な記述がほぼないという、とんでもない資料です。一般読者を対象としたマスメディアの記事のみならず、公的機関がシンクタンクに依頼して作成した資料でもこの有様です。まさに日本の動物愛護は暗黒です。
ティアハイムの運営許可飼育管理に関する監督責任は各自治体が持っており、ティアハイムの予算の一部を負担しているところもある(この記述ですと「ティアハイムの予算を一部負担している自治体は例外」と言う意味になります。ティアハイムの飼育費の補助等を予算計上していないドイツの自治体は、皆無でしょう。つまり100%の自治体がティアハイムの予算の一部を負担しています)。(13ページ)。
ティアハイムは民間の寄付や遺贈により運営されている(この記述では、「全額(またはほぼすべて)が民間の寄付や遺贈」という意味になります)。
財政的に動物保護連盟や自治体から支援を受けているところもある(この記述ですと、「自治体から財政支援を受けているティアハイムは例外であるという意味になり誤りです。広義の補助金である、受託動物の飼育費は、100%のティアハイムが自治体から支給を受けています)。(16ページ)。
(参考記事)
・「ティアハイムは寄付により運営されている」は偏向~三菱UFJリサーチ&コンサルティング
・寄付金収入の割合が20%のドイツのティアハイム~三菱リサーチ三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデタラメ
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