続・奄美群島での猫駆除は複数手段を組み合わせるべき~先進国オーストラリアを見習え

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Australian feral cats slaughter.
Statistics from The Royal Melbourne Institute revealed individual shooters killed 83 percent of feral cats who were deliberately killed across the country.
前回記事、奄美群島での猫駆除は複数手段を組み合わせるべき~先進国オーストラリアを見習え、の続きです。
オーストラリアでは、猫による在来生物の被害が深刻です。そのために連邦政府は「5ヵ年ノネコ野良猫200万匹駆除計画」を実施中です。しかしオーストラリアでノネコ野良猫駆除で最も貢献しているのは公的部門ではなく、個人ハンターです。ロイヤルメルボルン研究所の推計によれば、オーストラリア全土で駆除される猫に占める個人が貢献する割合は、80%以上を占めるとされています。公的部門と民間で、オーストラリアは年間100万匹前後の猫が駆除されています。日本では現在奄美群島で、猫から食害にあっている希少な在来生物を保護するために、猫の捕獲(駆除)を進めています。しかし行っているのは環境省で大変効率が悪いといえます。民間人の活用など、海外先進国に学ぶことは多いかもしれません。
前回記事で引用したニュースソースAustralia is killing millions of feral cats with poisoned sausages 「オーストラリアは毒入りソーセージで数百万匹のノネコ野良猫を殺しています」 2019年4月26日 には、このような記述があります。
Statistics from The Royal Melbourne Institute revealed individual shooters killed 83 percent of feral cats who were deliberately killed across the country.
ロイヤルメルボルン研究所の統計によると、オーストラリア全土で意図的に殺害されたノネコ野良猫の83%が、個人のハンターによるものと明らかにされています。
上記のニュースソースで引用された、ロイヤルメルボルン研究所の統計資料とはこちらです。
An assessment of the national effort towards feral cat control RMIT University, Melbourne, Australia 「オーストラリのノネコ野良猫のコントロールの政府の取り組みに対する評価」 オーストラリア メルボルン大学 ロイヤルメルボルン研究所 2017年 から引用します。
This research project assesses progress towards achieving the target articulated in the Threatened Species Strategy of 2 million feral cats culled by 2020 (Australian Government 2015).
We estimate that the current approximate annual cull rate is 211,560 cats, with plausible bounds between 135,522 and 287,598.
Our survey results indicate that the contribution of private individuals to feral cat control is extremely significant, and that the vast majority (in excess of 80%) of feral control may currently be unreported through official channels.
Shooting (or trapping then shooting) is the main method of feral cat control.
この研究プロジェクトでは、「絶滅危惧種保護の戦略」に明記されている、2020年までに200万匹のノネコ野良猫を駆除する目標の達成に向けた進捗状況を評価します(オーストラリア政府2015)。
現在のおおよその年間のノネコ野良猫の駆除数はおよそ211,560匹と考えられ、下限135,522から上限287,598の間が妥当であると推定されます。
私たちの調査結果は、野生の猫のコントロールに対する私人の貢献が非常に重要であり、ノネコ野良猫のコントロールの大部分(80%を超える)が現在、公の駆除数の推計を通じて報告されていないことを示しています。
ノネコ野良猫をコントロールする主な方法は、射殺(またはトラップして捕獲してから後に射殺する)です。
つまり公費を投じて国家事業としてノネコ野良猫駆除を行っていても、それよりもはるかに多くの私人のハンターによるノネコ野良猫が駆除されているということです。寄与の割合は、公的部門2割、民間8割です。なおこの推計値に基づき求めたオーストラリアのノネコ野良猫の年間駆除数は、概ね68万匹~144万匹となります。
対して、日本で行われている奄美群島の捕獲(駆除)事業は環境省が単独で行っています。また手段も「飼い猫として譲渡する」ために、無傷で捕らえるライブトラップのみです。日本の有害外来生物である猫の駆除は、オーストラリアと比較すれば、大変効率が悪いと言わざるを得ません。またオーストラリア以外の国でも、外来生物の猫駆除は「わな、射殺、毒餌、ウイルス感染」などの複数手段を用いています。民間人ハンターへ駆除を推奨しており、そのための法整備がされています。オーストラリアでは、猫駆除に対して報奨金を支給する自治体もあります。
日本に「外来ネコ問題研究会」という、学際組織があります。中心メンバーの諸坂佐利神奈川大学准教授(法学部)は、2017年に、次のように述べています。外来ネコ問題研究会 Invasive Cat Research Japan 2017年 から引用します。
南海日日新聞 8/30(水) 12:01配信 野外猫 早急な捕獲排除を 環境省に要望書提出へ
東京で「島のネコ問題」シンポジウム 離島の猫問題について意見交換したシンポジウム=26日、東京・新宿
シンポジウム「第5回島のネコ問題」が26日、東京・新宿の早稲田大学であった。
来夏の世界自然遺産登録を目指す奄美大島と徳之島では「固有希少種の絶滅が起きる可能性が高い」として、近く国に対し、有効な保全対策を求める要望書を提出することが報告された。
諸坂佐利・神奈川大学法学部准教授は鳥獣保護法の狩猟対象がノネコに限定されている一方、TNRされた野良猫や放し飼い猫が山中に存在する現状から「飼い猫・野良猫・ノネコ」の定義を「所有物・無主物」として再編成することを提案。
「自然生態系に脅威を与える猫は山から排除するのがファーストステップとして重要」とした。
これは2017年に行われた提言ですが、全くそのような法改正の動きはありません。例えば私が確認した限り、ヨーロッパでは、ドイツ(年間猫駆除数の中位推計40万匹。1州では認められていない)、オーストリア、スイス(10万匹)、オランダでは、民間人ハンターよる非占有猫の狩猟駆除が合法です。またアメリカでもワイオミング州など複数の州では、非占有猫は通年狩猟対象です。ヨーロッパのこれらの国々では、民間人ハンターによる非占有猫の駆除数の推計値が出されていますが、人口比で日本の公的殺処分数よりはるかに多いのです。それが非占有猫の数の抑制、ひいては猫による在来生物の被害の防止に役立っていることは間違いないです。
対して、本年の動物愛護管理法の改正では、愛護動物の殺傷の処罰が、懲役5年以下または罰金500万円以下に引き上げられました。前述、神奈川大学諸坂佐利准教授の、「愛護動物、狩猟動物、外来生物の境界があいまい。動物愛護管理法、鳥獣保護狩猟適正化法、外来生物法を再編成して適用動物の定義を見直すべき」との提言を、私は最初に実行すべきであったと思います。「野良猫=動物愛護管理法の適用を受ける愛護動物」と、「ノネコ=狩猟法の適用を受ける狩猟鳥獣」の境界があいまいであるとの問題点は、かねてから指摘されていました。動物愛護管理法上の保護が適用される野良猫の範疇を限りなく拡大解釈して、希少生物生息地のノネコの駆除を妨害する勢力があります。動物愛護管理法の厳罰化は、ノネコ駆除を委縮させる可能性があります。
私見ですが、私は諸坂佐利准教授の提言通り、「無主物は狩猟動物のノネコとする」との分類で良いと思います。さらには非占有であり、かつ狩猟区域にあれば、狩猟対象とみなしてよいと思います。ドイツやスイスの狩猟法ではそのように規定しています。そのように法改正すれば、猫が狩猟対象であるか否かの線引きが明確になります。さらに私見を申し上げれば、悪性の外来種という性格を持つ猫と、学術的にも価値が高い天然記念物指定の希少生物の殺傷の処罰が等しい(懲役5年以下)と言うのは、著しく整合性を欠いていると思います。
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Shooting Cats: Australia's War on Feral Cats 「猫の射殺 オーストラリアでの猫戦争」 2018/11/26 に公開
For residents of the country’s rural fringes, they’re a diabolical pest and scourge on wildlife.
That devastation has seen Kangaroo Island local Barry Green declare a personal war against cats; trapping and skinning them, before turning them into hats and fridge magnets.
オーストラリアの農村部に住む人々にとっては、猫は野生生物を襲う悪魔のような害獣です。
クリスマス島に住む老人、バリー・グリーン氏は、オーストラリアの生態系を破壊する猫を憎んでいます。
そして彼は個人的に猫に宣戦布告しました。
彼は猫をわなで捕らえて、それを帽子や冷蔵庫のマグネットに変えてしまいます。
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