なるほど、日本は動物愛護後進国だ 無管理状態の動物まで保護の対象とする日本の動物愛護管理法の特異性ー5
私は、ドイツの養鶏家やイギリスの農場主が当たり前に野良猫(放し飼いの猫も含まれているでしょう)を殺害駆除していることを過去記事で取り上げました。米国、ドイツ、イギリスなどの欧米の、動物愛護・管理に関する法律の対象となる動物は「人に飼育されている動物」で、人に飼育されていない野良猫、もしくはそう見倣される猫は駆除が合法だからです。
私の過去記事です。
・ドイツでは、農家畜産家が猫を駆除するのは一般的です
・農場主が野良猫射撃団を組織~動物愛護先進国、イギリスの事情
日本の動物愛護管理法44条4項①では、「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」を、人に飼育されていない状態であっても、法の保護の対象としています。この規定は、先進諸外国では例外で、私が知る限り、欧米先進国の動物愛護・管理に関する法律は「現に人に飼育されている状態の動物」に限り、保護の対象としています。
例えばドイツの動物保護法Tierschutzgesetzでは、動物の虐待行為は罰金の最高額が25,000ユーロで、懲役刑も併科される可能性が有る重罪です。しかし対象となる動物は「人に飼育されているもの」のみであり、野良猫犬(及び飼い主がいないとみなされる犬猫)の駆除は合法です。ドイツ狩猟法Jagdgesetzでも、野良猫犬の狩猟駆除はむしろ推奨されています。ドイツの動物保護法Tierschutzgesetzでは、狩猟法が優先されるとの規定もあります。ドイツでは、年間46万5千頭の猫犬が、狩猟駆除されていることは何度も取り上げました。
米国でも米連邦法である、動物保護法Animal welfare actでの保護対象と規定されている動物は、研究、実験、展示、ペットなどに用いられる「人に飼育されてる動物」が対象です。ですから野良猫犬(と見倣される猫犬も含む)は、原則殺害が合法です。
私見ですが、私はそれらの欧米の法規制は妥当だと思います。所有者のない猫犬にまで保護の対象とすれば、それらの被害を受ける側は限度なく受忍しなければならないのでしょうか。所有者がいなければ、それらの猫犬の適正管理を求めて飼い主に被害防止策を講じさせるとか、発生した被害に対して損害賠償を求めることができないからです。
米国の、野良猫被害に対する考え方を紹介しましょう。
「インターネットセンター 野生動物被害に対する管理」Internet Center for Wildlife Damage Management Research-based Wildlife Control and Management Information from Expertsを引用します。
このサイトの編集者らは農業協同組合連合会の研究所員、ネブラスカ大学リンカーン天然資源大学研究室員、米国農務省動植物衛生検査サービス動物被害管理官、グレートプレーンズ農業評議会野生生物委員会委員など務め、大学や公的機関で野生動物による被害防止の学術研究されている方で、まじめなサイトです。編集者らは、野生生物被害防止に関する著書もあります。
Legal Status
Cats without identification are considered feral and are rarely protected under state law.
They become the property of the landowner upon whose land they exist.
These agencies destroy millions of stray cats annually.
State, county, and municipal laws related to cats vary.
Before lethal control is undertaken, consult local laws.
Cage-trapping is a feasible control alternative.
The cat can be captured and turned over to animal control agencies without harm, given back to the owner with proper warnings, or euthanized by shooting, lethal injection, or asphyxiation with carbon dioxide gas.
Conibear or body-gripping traps are lethal traps that work like double-jawed mouse traps.
They should be set only where no other animals will get into them.
Snares are very effective as live traps or kill traps when set properly.
Feral cats can be shot with .22 rimfire and other calibers of centerfire rifles and shotguns in rural areas where it is safe.
In buildings and urban areas, powerful air rifles are capable of killing cats with close-range head shots.
In the final analysis, many problems with feral cats could be avoided if cat owners would practice responsible pet ownership.
The same licensing and leash laws pertaining to dogs should be applied to cats.
Spaying or neutering should be encouraged for household pets not kept for breeding purposes. Neutering is not a cost-effective program for controlling feral populations.
Unwanted cats should be humanely destroyed, not abandoned to fend for themselves.
野良猫の法的地位
(飼い主の)識別がされていない猫は野良猫とみなされ、州法の下で保護されることはまずありません。
野良猫は、その土地に入れば土地所有者の所有物となります。
毎年何百万もの野良猫が殺処分されています。
州、郡、市町村により、猫に関したの法律が異なります。
猫を殺害駆除する前に、現地の法令を参照してください。
箱罠は、野良猫制御の有効な手段です。
捕獲された猫は、正当な警告を伴って飼い主に返還されたり、害がなく動物管理機関に引き渡され、射殺、致死注射、または二酸化炭素ガスで窒息により安楽死させることができます。
コニーベアーまたはボディグリップトラップと呼ばれるトラバサミは、顎が二重になったネズミわなのように作動するデストラップです。
野良猫以外の動物がかからない場所にのみ設置しましょう。
くくりわなは、生け捕りに非常に有効なわなですし、また適切に獲物を殺します。
野良猫は0,22リムファイアー式センターファイアー式、その他の口径の散弾銃で、その使用が安全である農村部で射殺することができます。
建物内部や都市部では、強力なエアライフルでの、至近距離の頭部への射撃で猫を死滅させることができます。
最後に、もし猫の飼い主が、責任あるペットの飼い方を習得するのであれば、最終的には、野良猫の多くの問題を避けることができると分析できます。
犬に関連する飼育免許と、係留飼育の法律を猫に同じように適用する必要があります。
不妊去勢は、繁殖目的のために飼育されていない家庭のペットのためにこそ奨励されるべきです。
去勢は、野生の個体数を制御するためには、費用対効果の高い方法ではありません。
迷惑な猫は人道的に殺害されるべきであり、自力で自分自身を守ることを放棄してはなりません。
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