アメリカ合衆国では連邦がブリーダーのライセンス付与の法整備を行っているというデタラメ~三菱UFJリサーチ&コンサルティング

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(summary)
Detailed Discussion of Commercial Breeders and Puppy Mills
記事、
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(アメリカ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(イギリス編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(ドイツ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・続・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(ドイツ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・イギリスでは飼い主から行政が不要犬猫の引取をしているというデタラメ~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・ドイツ、イギリスでは行政が野良猫の捕獲を行っているというデタラメ~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
の続きです。
広島県が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して作成した、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(著者 三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員 武井泉氏 以下、「本報告書」と記述する)、ですが、これはドイツ、イギリス、アメリカ合衆国の動物愛護管理に関する調査報告書です。この報告書はすべてにわたり、嘘誤り偏向がびっしりと記述され、正確な記述はほぼないという、目を覆いたくなるほどひどい内容です。すでにドイツ、イギリス、アメリカに関しては記事にしました(「続き」をご覧ください。過去記事をすべてリンクしてあります)。今回記事からは、本報告書の「まとめ」(50ページ)における誤りを指摘していきます。
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、「本報告書」と記述する)の、「まとめ」(50ページ~)の、誤り、もしくは誤解を招く問題となる記述には、次のようなものがあります。順を追って指摘します。
調査項目
・犬猫の飼育状況
飼えなくなった犬猫の処遇は次の通り。動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみである。(1、)
① 行政による引取(ドイツにはない)(2、)
・野良犬・野良猫の実態と対応状況
(ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国では)野良犬・野良猫は行政による捕獲の他、民間レスキュー団体によっても捕獲される。(3、)
ドイツ連邦狩猟法では、野良犬野良猫は合法に殺傷や捕獲を行うことができる。(4、)
・行政と民間の役割分担
(ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国では)ブリーダーの認証、登録等は行政が実施している。(5、)
・保護施設(シェルター)の運営状況
ドイツのティアハイムは基本的に殺処分は行わない。(6、)
・登録制度・マイクロチップ装着の状況
ドイツでは犬税を導入している自治体が多く、犬についてはこれが実質的な「登録」となっている。(7、)
5、(ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国では)ブリーダーの認証、登録等は行政が実施している。
~
前後して申し訳ありませんが、本報告書のアメリカに関する記述にこのようなものがあります。「米国においても中央省庁が法整備、規制枠組みの制定を行い、自治体はブリーダー等へのライセンスの付与を担当している」(46ページ)。これらの記述は、「アメリカ合衆国では連邦法によりブリーダーのライセンスの付与に関して下位法令に委任している」という意味になります(なお本報告書の作成者、武井泉氏は、「州」を自治体と認識しています。全くの誤りですが)。
論から言えば、この記述は全くのデタラメ、大嘘です。アメリカ合衆国においては、犬などのブリーダーのライセンス付与に関する連邦の法令はありません。本資料には根拠法が示されていませんが。また半数の25州で、犬などのブリーダーの登録や規制に関する州法が存在しません。その根拠となる資料から引用します。
Detailed Discussion of Commercial Breeders and Puppy Mills 「商業ブリーダーとパピーミルに関する詳細な討論」 Michigan State University College of Law Animal Legal and Historical Center ミシガン州立大学法学部 動物法と歴史に関する研究所 (なお本資料は2008年公開ですが、その後もアメリカ合衆国におけるブリーダーを規制する州法の立法はなく、1州で廃止されました。2017年時点で商業犬ブリーダーの規制に関する州法がある州は、アメリカ合衆国では25州です)
According to the Humane Society of the United States (“HSUS”), 2-4 million dogs bred in puppy mills are sold each year to uninformed, eager consumers.
This trend is further complicated by the fact thatonly twenty-six states have laws implementing regulations on commercial kennels.
The laws of each state differ drastically from one another, giving motivated breeders room to travel between states to find the location that has the least restrictive way to make money from breeding.
The lack of overarching federal law and lack of state law enforcement leads to the problem of puppy mills.
Only twenty-six states currently have laws that govern commercial kennels.
There is no inspection requirement for Arizona.
Some states have no discussion of breeding regulations in their statutes.
These states include: Alabama, Alaska, Arkansas, Florida, Hawaii, Idaho, Kentucky (repealed in 2004), Minnesota, Mississippi, Montana, New Mexico, North Dakota, Oklahoma, Oregon, South Carolina, South Dakota, Texas, Utah, Washington, Wisconsin, and Wyoming.
While these states provide little or no overall regulation of commercial breeders.
アメリカン・ヒューメイン・ソサエティ(HSUS)によるれば、パピーミルで繁殖された200~400万頭の子犬が、それをもとめる無知な消費者に毎年販売されています。
この傾向は、アメリカ合衆国50州のうち26州のみ(註 アメリカ合衆国では24州が、犬の商業生産に関して規定する法令すらない)が、商業生産の犬繁殖業者に関する規制を規定した法律を持っているという事実によって、さらに複雑化しています。
また各州の法律はそれぞれ大きく異なり、ブリーダーにその気があれば州間の移動の余地を与えることとなり、繁殖からお金を稼ぐための制限が最も少ない場所をブリーダーは見つけます。
アメリカ合衆国全土に及ぶ商業犬ブリーダーに関する連邦法と州法の施行がないことは、いわゆるパピーミルの問題に関連しています。
現在、商業生産の犬ブリーダーを管理する法律を制定しているのは、アメリカ合衆国では26州のみです(註 2008年当時。現在は25州。1州はのちに法律を廃止した)。
(商業犬ブリーダーを規制する州法がある)アリゾナ州では、ブリーダーの検査要件はありません。
いくつかの州では、犬の繁殖の規制に関する立法の議論すらありません。
アラバマ州、アラスカ州、アーカンソー州、フロリダ州、ハワイ州、アイダホ州、ケンタッキー州(2004年廃止)、ミネソタ州、ミシシッピ州、モンタナ州、ニューメキシコ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、オレゴン州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テキサス州、ユタ州、ワシントン州 、ウィスコンシン州、そしてワイオミング州。
これらの州では、商業ブリーダーに対する規制はほとんどないか、またはまったくありません。
・The lack of overarching federal law 「(アメリカ合衆国においては犬などのブリーダーのライセンス付与などに関する)連邦法の施行がない」(Michigan State University College of Law Animal Legal and Historical Center ミシガン州立大学法学部 動物法と歴史に関する研究所)→〇
・「米国においても中央省庁が法整備、規制枠組みの制定を行い、自治体はブリーダー等へのライセンスの付与を担当している」(三菱リサーチUFJ&コンサルティング)→×
もう絶句します。さらに2017年時点では、アメリカ合衆国では上記の資料にある通り、50州のうちの半数の25州では、犬のブリーダーのライセンス付与・登録自体制度がありません。
「米国においても中央省庁が法整備、規制枠組みの制定を行い、自治体はブリーダー等へのライセンスの付与を担当している」。このようなデタラメを堂々と公的機関から受託を受けた報告書で書けてしまうのは、作成者は精神状態が正常とは思えません。
(動画)
Missouri Puppy Mills 「ミズーリ州のパピーミル」 2010/10/19 に公開
若干古い動画ですが。アメリカ合衆国で犬のブリーダーに関する登録などの規制が全くない25州は、中西部に集中しています。したがっていわゆる「パピーミル」も、中西部に集中しています。ミズーリ州は、商業的犬ブリーダーのライセンス付与(登録制度)すらありません。
(参考資料)
・平成29年度第2回広島県動物愛護管理推進協議会 (資料)
この資料においては、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(まとめ)を引用しています。この「まとめ」ですが、少ない字数でぎっしりと誤り、嘘などの問題記述が詰め込まれており、目もあてられないほどです。今回指摘した事柄以外は、おって記事にします。
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、ドイツに関する、嘘、誤り、偏向に関する記事
・呆れた動物愛護(誤?)専門家たち~ペトことと武井泉氏、
・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは飼い猫については自治体においても登録制度はない」は大間違い~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・わなで殺傷されるドイツの猫と犬~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・違法なわなで殺害されるドイツの猫~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・違法ではないわなでも殺傷されるドイツの猫~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・ドイツのティアハイムは危険犬種の殺処分は必須という嘘~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・ドイツのティアハイムは危険犬種の殺処分は必須という嘘~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・ティアハイムの犬の平均譲渡率66%は正しかった(記事の訂正・お詫び)~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・「ドイツ憲法は動物の権利を保障した」と言う悶絶解釈~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツ憲法は動物の権利を保障した」と言う悶絶解釈~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続々・「ドイツ憲法は動物の権利を保障した」と言う悶絶解釈~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏~ドイツ編(まとめ)
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、イギリスに関する嘘、誤り、偏向に関する記事
・大手シンクタンクのイギリスの動物政策に関する嘘デタラメ記述~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・「イギリスではペットのケージ展示販売を禁じている」という狂った大手シンクタンクの報告書、
・「イギリスではぺットショップを経営するためには地方議会の認可が必要」という狂った大手シンクタンクの報告書、
・「イギリスでは野良犬野良猫の管理は自治体の役割である」という狂った大手シンクタンクの報告書、
・大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のイギリスに関するデタラメ記述~まとめ
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、アメリカ合衆国に関する嘘、誤り、偏向に関する記事
・アメリカ合衆国ではTNRが一般的に行われているという、大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・続・アメリカ合衆国ではTNRが一般的に行われているという、大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国ではTNRは懲役刑もある犯罪である~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国連邦政府機関はTNRを完全否定~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国の複数の政府機関はTNRを完全否定~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国における野良猫管理は「捕獲殺処分」が一般的~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国のTNRマネジメントと日本の地域猫は異なる~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国の民間動物愛護団体の法執行権限は極めて限定的~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、まとめに関する、嘘、誤り、偏向に関する記事
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(アメリカ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(イギリス編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(ドイツ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・続・「動物病院での安楽死は、病気、危険犬種等特別な場合のみ」というデタラメ(ドイツ編)~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・イギリスでは飼い主から行政が不要犬猫の引取をしているというデタラメ~三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
・ドイツ、イギリスでは行政が野良猫の捕獲を行っているというデタラメ~三菱UFJリサーチ&コンサルティング
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