「犬の大量生産販売とオークションは日本独特」という、太田匡彦氏の大嘘~イギリス、ドイツ編

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(summary)
Commercial production of dogs in the United Kingdom and Germany
記事、
・「犬の大量生産販売とオークションは日本独特」という、太田匡彦氏の大嘘、
・続・「犬の大量生産販売とオークションは日本独特」という、太田匡彦氏の大嘘~アメリカ編、
の続きです。
朝日新聞記者である太田匡彦氏が、繰り返し主張している事柄があります。「犬などのペットの大量生産とペットショップでの大量販売、オークションは日本独特である。それは日本が動物愛護後進国である一因である」。しかしそれは真っ赤な嘘です。「ドッグオークション」は日本独特のシステムではなく、アメリカでも広く行われています。また犬の商業生産ですが、アメリカ、イギリス、ドイツと比較すれば、はるかに少ないのです。ドイツ、イギリスでは、ペットショップでの犬の展示販売は日本と比べて少ないのは事実ですが、これらの国では犬などの非対面インターネット販売が広く行われており、店頭販売より安いことが原因です。特にドイツでは、犬などの非対面インターネット販売に関する法規制は一切ありません。
サマリーで示した、太田匡彦氏の主張が述べられている記事から引用します。ペットとどう出会う? 年齢考え「次」は無理 2019年6月2日(朝日新聞デジタル)
いまではブリーダー(繁殖業者)、オークション、ペットショップの3者による、日本独特の生体販売のシステムができあがっています。
日本で発展した、ペットショップチェーンを中心に据えた生体販売ビジネスは、大量生産・大量販売をベースに成り立っています。
そのほかにも太田匡彦氏は「ペット(犬)の大量生産販売は日本独特」と、繰り返し主張しています(太田匡彦 大量生産 大量販売)。しかし先進国の中では、日本は犬(ペットの中では、統計が整備されているのは犬しかない)の商業生産が際立って少ないのです。前回記事では、アメリカ合衆国は、少なくとも人口比で犬の生産は日本の3倍も多いことを書きました。今回は、イギリスとドイツについて述べます。
・イギリス
~
Sourcing of pet dogs from illegal importation and puppy farms 2016-2017: scoping research 「違法な子犬輸入およびパピーファーム(パピーミル)からのペットの犬の調達について2016-2017:公開議論のための調査」 2017年11月9日(スコットランド政府文書)
NGO surveys, 89% report they've seen an increase in pet sales from adverts from the internet in the last 2 years.
and consumers for example, "50% would get a pet from an online advert on a classified website".
The same NGO expert used the data available to estimate annual UK sales of between 800,000 and 1.3 million puppies .
NGOの調査によると89%が、過去2年間にインターネットからの広告によるペットの売り上げが増加したと報告しています。
例えば消費者のうちの、「50%が、ウェブサイトのオンライン広告からペットを買うだろう」と述べました。
同じNGOの専門家が入手可能なデータを使用して、イギリスの子犬の年間売上高は、80万頭から130万頭と推定しました。
・ドイツ
~
DEUTSCHER TIERSCHUTZ 「ドイツの動物福祉」 2018年
Von den ca. 500.000 Welpen, die in Deutschland jährlich ein Zuhause finden, kommen laut VDH (Statistik hier) 1/5 (100.000) aus dem Ausland– Nur ein kleiner Teil der Hunde und Katzen, die neu in Familien aufgenommen werden, kommen aus dem Tierschutz (ca. 10%).
毎年ドイツで家を見つける(註 飼い主に販売される、もしくは譲渡される)約50万匹の子犬のうち、VDH(全ドイツケネルクラブの統計)によると、外国から来たものが5分の1(10万)であり - 新たに家族に迎えられる犬や猫のごく一部は、動物保護団体からのものです(約10%)。
なお、「ドイツ全土で新たに入手される子犬の数50万頭は、全ドイツケネルクラブ(VDH)による統計調査(2014年)によるもので、多く引用されている数字です。しかし近年ドイツでは犬の飼育数が激増しているので、この数は増えているかもしれません。
日本の犬の販売数は、アエラ(朝日新聞系の雑誌)の推計では58万頭です(*1)。個人的には、この数字はかなり過大だとは思います。なお、一部朝日新聞の記事を引用した、「日本の犬猫生産数85万頭」という数は犬猫の各流通段階のすべてを重複した数字ですので、生産数でも販売数でもありません。
日本の犬の販売数においては、アエラ推計値を用います。それにより、日本とドイツ、イギリス、アメリカ合衆国の犬の販売数もしくは生産数を人口比で比較します。
・イギリス
イギリスの犬の販売数は、80万頭~130万頭です。人口比では、イギリスは日本の2.8倍~4.5倍の犬を営利販売しています。
・ドイツ
ドイツの犬の販売数は、保護犬を除外した数は45万頭です。人口比では、ドイツは犬の営利販売数は日本の1.2倍になり、日本より多いのです。
ところで、「あるものの大量生産大量販売化が進展すれば、そのものの価格は低下する」という、経済の大原則があります。子犬のペットショップでの店頭展示販売においては、日本と比べれば、ヨーロッパはかなり安いのです。例えばイギリスの巨大店舗チェーンの子犬の安売りに特化したペットショップでは、血統書付きの子犬が500ポンド(日本円で約7万円)から売られています。ドイツの世界最大の生体販売ペットショップでは、700ユーロ(8万円半ば程度)から純血種の子犬が展示販売されています。
イギリス、ドイツをはじめとする西ヨーロッパ先進国は、日本より物価が体感的に~5割程度高いです。ですから、イギリス、ドイツにおけるペットショップでの子犬の販売価格は、日本に比べてかなり安いのです。スペインなどは、さらに安いと思います。ペットショップ以外のインターネット販売(特にドイツは、犬などのインターネットによる非対面販売は全く法的規制がありません)はさらにさらに安く、まれに純血種の子犬が200ユーロ台(2万円半ば)で出品されています。
経済の大原則、「あるものの大量生産大量販売化が進展すれば、そのものの価格は低下する」に従えば、日本の子犬の販売価格は、イギリスやドイツより安くなければおかしいのです。その矛盾点を、太田匡彦氏に是非説明していただきたいものです。
(画像)
ドイツにある、世界最大の生体販売ペットショップ、Zoo Zajac における、子犬の展示販売。)700ユーロで、長毛ダックスフントの子犬が販売されています。

(動画)
Dogs 4 Us Demo Jan 2012.wmv 2012/02/01 に公開
イギリスで子犬の安売りに特化した、巨大店舗を複数チェーン展開しているペットショップチェーン、Dogs4us。動画では「500ポンド(約7万円)から子犬が売られており、買ってそのまま持ちかえれる」とあります。なお日本で一部報道されている「2019年(2018年にすでに施行済みという報道もあります)からイギリスではペットショップは犬猫は6か月齢以上でなければ販売できなくなった」は誤りです。そのような法案作成の動きがあるということです。現に、このペットショップは現在(2019年6月本記事公開時)、8週齢程度の子犬を展示販売しています(Dogs4Us)。
(画像)
ドイツの大手インターネット通販サイト、e-bay の、「子犬販売」のポータル。ペットショップでの展示販売より、さらに安価です。ドイツでは、インターネットなどによる非対面の犬の販売に対しては全く法規制がありません。犬のインターネットオークションも規制がなく、実際に行われています。
環境省の資料では、禁じられているとありますが、全くのデタラメです。まさに税金泥棒環境省(平成 29 年度 ドイツにおける動物保護の 取組みに係る調査業務 報告書 53ページにわたり、嘘デタラメがぎっしりてんこ盛りにされた資料。まさに狂人の妄想といったレベルです。次に取り上げますが、誤りをすべて指摘するとなれば、1年以上はかかりそうです)。

犬に「犠牲」強いるペットビジネス 大量生産大量消費の悲劇2015年6月5日(アエラ)
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