アメリカ合衆国の民間動物愛護団体の法執行権限は極めて限定的~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)

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(summary)
Table of Enforcement Powers Granted to Humane Societies by State Michigan State University College of Law Animal Legal & Historical Center
記事、
・アメリカ合衆国ではTNRが一般的に行われているという、大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・続・アメリカ合衆国ではTNRが一般的に行われているという、大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国ではTNRは懲役刑もある犯罪である~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国連邦政府機関はTNRを完全否定~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国の複数の政府機関はTNRを完全否定~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国における野良猫管理は「捕獲殺処分」が一般的~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
・アメリカ合衆国のTNRマネジメントと日本の地域猫は異なる~大手シンクタンク(三菱リサーチ&コンサルティング)のデタラメ記述、
の続きです。
広島県が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して作成した、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(著者 三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員 武井泉氏 以下、「本報告書」と記述する)、ですが、これはドイツ、イギリス、アメリカ合衆国の動物愛護管理に関する調査報告書です。この報告書はすべてにわたり、嘘誤り偏向がびっしりと記述され、正確な記述はほぼないという、目を覆いたくなるほどひどい内容です。すでにドイツ、イギリスに関しては記事にしました(「続き」をご覧ください。過去記事をすべてリンクしてあります)。今回記事は引き続き、アメリカ合衆国に関して述べます。本報告書の記述、「全米人道協会(Humane Society of the United States)は、州の警察と同様の権限が与えられている」が大嘘であることを述べます。
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、「本報告書」と記述する)の、アメリカ合衆国に関する問題となる記述には、次のようなものがあります。
「全米人道協会(Humane Society of the United States:HSUS)
米国最大の動物保護団体。
虐待された動物を、州の警察と同様の法執行の権限を与えられ、保護している(44ページ)。
この記述においては、Humane Society of the United States (以下、 「全米人道協会」と記述する)とあり、単数形ですので、全米人道協会(の本部。統括組織)と解釈できます。つまり、「アメリカ合衆国ではすべての州において、動物虐待の保護に関しては、全米人道協会は州の警察と同様の法執行の権限が与えられている」という意味になります。しかしそれはデタラメです。
全米人道協会は各州に支部があり活動していますが、動物虐待犯罪に対する法執行権限の付与は、州によって大きく異なります。全く法執行権限が与えられていない州が多数ありますし、法執行権限の付与は極めて限定的である州もあります。「州の警察と同様」、つまり「完全なる法執行権限を全米人道協会に付与している州」はむしろ例外です。
全米人道協会に対する、法執行権限の範囲について、各州の州法を一覧にした資料があります。
Table of Enforcement Powers Granted to Humane Societies by State Michigan State University College of Law Animal Legal & Historical Center 「全米人道協会に付与された法執行権限の州による一覧表」 ミシガン州立大学法学部 動物法と歴史研究センター 2012年 から引用します。
This table outlines the powers granted to agents of humane societies in some states to enforce anti-cruelty statutes.
Approximately 34 states have granted agents of humane societies the power to enforce anti-cruelty statutes.
Humane officers’ enforcement powers vary by state, but include serving search warrants, seizing animals, and arresting offenders.
In other states, the humane officers’ powers are more limited, and they must act in concert with law enforcement officers to address violations of animal cruelty laws.
この一覧は、動物虐待の法令違反に対する法執行を行うための、いくつかの州での全米人道協会の調査員に与えられた法的能力を概説しています。
約34の州が全米人道協会の調査員に動物虐待の法令違反に対しての法執行権限を与えています(註 限定的な付与も含む)。
全米人道協会の職員の法執行権限は州によって異なりますが、捜索令状の提供、動物の押収、違反者の逮捕などがあります。
他の州では、全米人道協会の職員の権限はより制限されており、動物虐待法の違反に対処するためには、法執行官(註 警察官など)と協力して行動しなければなりません(註 さらには、全く法執行権限が付与されていない州もあります)。
Table of Enforcement Powers Granted to Humane Societies by State Michigan State University College of Law Animal Legal & Historical Center 「全米人道協会に付与された法執行権限の州による一覧表」 ミシガン州立大学法学部 動物法と歴史研究センター 2012年 の一覧によれば、各州別の全米人道協会に対する法執行権限の付与は、次の通りになります。
1、法律上、全く法執権の権限が全米人道協会に付与されていない州(表1)
・アラスカ州
・アリゾナ州
・ワシントンD.C
・ジョージア州
・アイダホ州
・アイオワ州
・メイン州
・ミズーリ州
・モンタナ州
・ネブラスカ州
・ニューメキシコ州
・オクラホマ州
・テキサス州
・ユタ州
・ウエストヴァージニア州
・ウィスコンシン州
・ワイオミング州
対して、動物虐待犯罪に限り、「私有地内や施設の捜査」、「容疑者の逮捕」など高度な法執行権限が与えられているのは次の州のみです。さらに、「州警察官と同様の権限」と明記され、単独で逮捕などの法執行が、全米人道協会の職員にに付与されているのは、この一覧表を見る限り、・インディアナ州、・ネヴァダ州、・ロードアイランド州の3州です。その他の以下の州では、「私有地内や施設の捜査」、「容疑者の逮捕」という、高度な法執行権限の行使は、警察官の同行や事前の許可などの制限があります(表2)。
(表1)、(表2)、のいずれにも記載がない州は、限定的な法執行権限は全米人道協会に付与されていますが、「私有地内や施設の捜査」、「容疑者の逮捕」といった高度な法執行権限は付与されていません。限定的な調査権限や、小火器(武器。小型拳銃)の携行が認められています。つまり、「州警察と同様の法執行権限」が全米人道協会に付与されている州は、この一覧を見る限り、3州ということになります。
2、動物虐待犯罪に限り、「私有地内や施設の捜査」、「容疑者の逮捕」など高度な法執行権限が全米人道協会に与えられている州(なお、「警察官の同行を要する」、「事前に警察などの許可を得ること」などの制限がある州も含みます(表2)。
・カリフォルニア州
・コネティカット州
・デラウェア州
・ハワイ州
・インディアナ州(私有地内や施設の捜索や逮捕権限は州警察官と同等)
・ケンタッキー州
・ルイジアナ州
・メリーランド州
・マサチューセッツ州
・ミシガン州
・ミネソタ州
・ネヴァダ州(警察官と同様に逮捕権限がある)
・ニューハンプシャー州
・オハイオ州
・ペンシルベニア州
・ロードアイランド州(逮捕に限り、警察官と同様の権限)
・サウスダコタ州
・テネシー州
・バーモント州
・ワシントン州
以上より、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの記述、「全米人道協会(Humane Society of the United States:HSUS)米国最大の動物保護団体。虐待された動物を、州の警察と同様の法執行の権限を与えられ、保護している」は、完全にデタラメと言って差し支えないでしょう。
本報告書のアメリカに関する記述に関する連載はこれで終了します。しかし連載で指摘しなかった記述が、すべて正確だということではありません。そのほかにもあからさまに誤りとは言えないものの、誤解を招く記述、偏向した記述は多数あります。
(動画)
Mississippi Puppy Mill a Living Horror 「ミシシッピのパピーミル 生きていることの恐怖」 2013/05/21 に公開
The Humane Society of the United States 「全米人道協会」による、パピーミルからの犬レスキュー。全米人道協会が、すべての州で、単独でこのようなアニマル・レスキュー活動を行えるわけではありません。警察官などの立会いの下で行うなどの制限が、多くの州であります。
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、ドイツに関する、嘘、誤り、偏向に関する記事
・呆れた動物愛護(誤?)専門家たち~ペトことと武井泉氏、
・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは飼い猫については自治体においても登録制度はない」は大間違い~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
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・ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
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・続々・「ドイツ憲法は動物の権利を保障した」と言う悶絶解釈~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏~ドイツ編(まとめ)
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの、イギリスに関する嘘、誤り、偏向に関する記事
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