「野良猫へ餌やりすれば3,000万円超(25万ユーロ)の制裁金か6か月までの拘留を課す」というドイツの判決

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(Zusammenfassung)
AG Bottrop, Urteil vom 10.01.2013, AZ: 20 C 55/12
Wohnungseigentum : Füttern von wilden Katzen
Das Gericht verurteilte die beklagte Wohnungseigentümerin es zu unterlassen, auf dem Grundstück im Garten- und Terrassenbereich Katzenfutter zum Zwecke des Anlockens von Wildkatzen auszulegen.
Für jeden Fall der Zuwiderhandlung wurde ein Ordnungsgeld bis zu 250.000,00 Euro festgesetzt, ersatzweise Ordnungshaft oder Ordnungshaft bis zu 6 Monaten.
ドイツのマンション(区分所有建物)で、マンションの共用庭や自室のテラスで、野良猫に餌やりをしている住民がいました。ほかの住民は餌やりをしている住民に対して野良猫の餌やりの差し止めを求める民事裁判を提起しました。判決は「餌やりをしていた被告に今後は禁止する。餌やりをした場合は1回につき、25万ユーロ(3千25万円)までの制裁金を課す、もしくは6か月間拘留する」でした。
サマリーに示した、ドイツ、ボットロップ地方裁判所が、「被告に被告の区分所有建物の、野良猫を庭とテラスのある敷地内で、猫を呼び寄せる目的で、猫の餌を置くことを止めるように命じた。また被告がそれに違反した場合は被告は一回につき、250,000ユーロ(3千万円あまり)までの制裁金が科されるか、もしくは6か月間までの拘禁を命じる」判決の原文から引用します。
AG Bottrop, Urteil vom 10.01.2013 - 20 C 55/12
Tenor
Die Beklagte wird verurteilt, es bei Meidung eines für jeden Fall der Zuwiderhandlung festzusetzenden Ordnungsgeldes bis zu 250.000,00 Euro, ersatzweise Ordnungshaft oder Ordnungshaft bis zu 6 Monaten zu unterlassen, auf dem Grundstück in C im Garten- und Terrassenbereich Katzenfutter zum Zwecke des Anlockens von Wildkatzen auszulegen.
Die Kosten des Rechtsstreits tragen die Beklagte zu 75 %, die Kläger zu 25 %.
Das Urteil ist vorläufig vollstreckbar.
Der Streitwert wird auf 6.000,00 Euro festgesetzt.
Tatbestand
Die Kläger nehmen die Beklagte auf Unterlassung In Anspruch.
Sie tragen vor, die Beklagte sei dazu übergegangen, im Bereich des im Gemeinschaftseigentums stehenden Gartens sowie der Gartenterrasse Katzenfutter auszulegen, um verwilderte Katzen zwecks der Ermöglichung ärztlicher Untersuchung anzulocken.
Darüber hinaus komme es zu nächtlichen Ruhestörungen durch Tiergeräusche.
Die Kläger beantragen, die Beklagte zu verurteilen, es bei Meidung eines für jeden Fall der Zuwiderhandlung festzusetzenden Ordnungsgeldes bis zu 250.000,00 Euro, ersatzweise Ordnungshaft oder Ordnungshaft bis zu 6 Monaten zu unterlassen, auf dem gemeinschaftlichen Grundstück C in C Katzenfutter zum Zwecke des Anlockens von Wildkatzen im Garten- und Terrassenbereich auszulegen.
Die Beklagte beantragt,die Klage abzuweisen.
Gründe
Die Klage ist zulässig und begründet. Die Kläger können von der Beklagten gemäß §§ 14 Ziffer 1, 15 Abs. 3 WEG, 1004 BGB verlangen, dass sie das Auslegen von Katzenfutter unterlässt.
Gemäß § 14 Ziffer 1 WEG ist jeder Eigentümer verpflichtet, sowohl von seinem Sondereigentum als auch vom gemeinschaftlichen Eigentum nur in solcher Weise Gebrauch zu machen, dass den anderen Eigentümern kein Nachteil über das bei einem geordneten Zusammenleben unvermeidlichen Maß hinaus entsteht.
Die Beklagte verletzt dieses in § 14 WEG normierte Rücksichtnahmegebot durch das Auslegen von Tierfutter.
Die nachteiligen Folgen sind sowohl vermehrte Verschmutzung (Kot) durch das erhöhte Tieraufkommen als auch eine erhöhte Geräuschentwicklung durch Tierstimmen.
Diese Beeinträchtigungen sind wegen der einhergehenden Gesundheitsgefahren auch erheblich und brauchen von den Klägern nicht geduldet zu werden.
主文
被告に権利侵害、すなわち区分所有権建物マンションCの共用部分である庭及びテラスにおいて、野良猫を呼び寄せる目的でキャットフードをおくことについて、一回の行為につき、それぞれ25万ユーロ(3千25万円 1ユーロ=121円)までの制裁金を支払うこと、または6か月以内の行政拘禁(*1)を命じる。
訴訟費用は、被告が75%を負担し、原告は25%を負担することとする。
本判決は、仮に執行することができる。
訴額は、6,000.00ユーロ(72万6,000円 1ユーロ=121円)とする。
事実関係
訴訟当事者は、マンションCの管理組合の組合員である。
原告らは、被告(餌やり人)の、餌やりの差し止めを請求している。
原告らは、被告が医療目的(註 もしかしたらTNRかもしれません。私の推測です)で野良猫を集めるために、マンションの共用の庭とガーデンテラスのエリアでキャットフードを置き始めたと主張している。
そしてその行為は、野良猫が発する騒音による夜間の迷惑になる。
原告らは、被告(餌やり人)に対して、次のように判決することを請求する。
すなわち、被告(餌やり人)がマンションCの共用部分である庭やテラスエリアで野良猫を呼び寄せる目的でキャットフードを置くことを回避するために、被告のこのような行為一回につき制裁金25万ユーロ(日本円で約3千25万円 1ユーロ=121円)を課すこと、もしくは最長で6か月までの行政拘禁を命令すること。
被告(餌やり人)は、その請求を棄却することを求めた。
判決理由
原告らは、ドイツ連邦区分所有法14条及び民法1004条に従い、キャットフードを置くことを止めるように、被告に要求することができる。
ドイツ連邦区分所有法14条によれば、すべての区分所有者は以下の義務を負う。
自己の私有財産と共用部分の両方を次のような方法でのみ、つまり他の区分所有者が社会通念上、共同生活の受忍限度を超える不利益を受けることなく利用すること。
被告(餌やり人)はキャットフードを置き、野良猫の世話をすることによって、ドイツ連邦区分所有法14条の、通常の義務に違反したものである。
悪影響は、野良猫の個体数の増加による汚染(糞)の増加、および野良猫が発生する音による騒音の増加の両方である。
これらの被害はまた、健康上の危険性とも関連し重大であり、原告によって許容される必要はない。
日本での類似の裁判は、かつての将棋名人、加藤一二三氏が自分が所有かつ居住するマンションで野良猫への給餌などを行い、他の区分所有者から餌やりの差し止めと損害賠償を求めて訴えられた裁判があります。加藤一二三氏の裁判では、いずれも原告の区分所有者らの請求が認められています。加藤一二三氏の裁判の判決は2010年ですが、今回引用したドイツのマンション(区分所有建物)内での餌やりに対する裁判の判決は、2013年です。
加藤一二三氏が訴えられた裁判での判決言い渡しがあった時は、「野良猫の給餌を禁じる判決は、日本が動物愛護後進国の証明だ」といった意見が一般人のみならず、弁護士からもありました。では、愛誤が動物愛護先進国としているドイツではどうなのかということです。
ドイツの判決では、被告が再び野良猫に給餌をした場合は、「1回につき25万ユーロ(日本円で3,000万円以上)の制裁金か。6ヵ月以内の勾留が行われる」との判決が出されました。日本の判決では、今後の餌やりの再開の抑制については、実効性が疑問です。ドイツの判決のほうが、餌やりに対しては厳しいと感じます。加藤一二三氏の裁判については、https://ja.wikipedia.org/wiki/加藤一二三 から引用します。
2008年12月、加藤が自宅マンションそばで野良猫を餌付けしたため、糞尿をまき散らされるなどの被害を受けたとして、マンションの他の住人や管理組合から、餌やり中止と慰謝料など約645万円の賠償を求める訴訟を起こされた。
2010年5月13日、東京地裁立川支部は、(1)マンション敷地内での餌付けを中止すること、(2)慰謝料204万円を支払うこと、を加藤に命じる判決を出した。
なお、判決によると、加藤の餌付けによって一時は18匹にまで増えた野良猫は、加藤が野良猫に不妊手術・去勢手術を受けさせたことで、4匹にまで減少していた。
(参考資料)
元帯広畜産大学教授、弁護士である吉田眞澄氏の、「京都市野良猫餌やり禁止条例」に対する反対表面の文書から引用します。京都緊急集会のご報告 平成27年2月7日京都緊急集会「京都市・野良猫餌やり禁止条例と野良猫保護」―今みんなで考える問題・猫餌やり禁止 殺処分の新たな形―。
この文書は、京都市の餌やり禁止条例に反対する集会を、THEペット法塾のメンバーらが開催した際の報告書です。吉田真澄氏は本集会で講演会を行っています。その発言要旨です。吉田真澄氏は、この講演で、京都市の本条例で野良猫に対する給餌を禁止することを激しく非難しています。
1 吉田眞澄(弁護士/元帯広畜産大学理事・副学長)講演
犬や猫を家に閉じ込め、社会的門戸を閉じようとする傾向が極めて強く 「共生」とは逆行するものである。
地域猫活動をこれまで以上に積極的に推進するが必要であり、餌やり活動をする人の協力が必要不可欠。
犬や猫を事実上締め出す社会、つまりペットに対し閉鎖的な社会は、ペットに対する無知・無理解、偏見の横行する街になりがちである。
欧米人の感覚からすると、動物に対する無理解・偏見の横行する未文化都市、倫理の成熟度の低い思いやりに欠ける街と映ることは間違いない。
(動画)
THEペット法塾 京都緊急集会「京都市・ノラ猫餌やり禁止条例と野良猫保護」。全く実効性のない餌やり禁止条例に、狂ったように反対している弁護士らの集会。2015年2月15日公開。アメリカ合衆国では、例外なく(TNRも含めて)野良猫への餌やりを最高180日の懲役と罰金の併科で罰する条例も、平穏に可決成立しています。
吉田真澄氏「餌やり活動をする人の協力が必要不可欠。(京都市餌やり禁止条例は)欧米人の感覚からすると、動物に対する無理解・偏見の横行する未文化都市、倫理の成熟度の低い思いやりに欠ける街と映ることは間違いない」。吉田眞澄氏は弁護士(他の講演会のメンバーも多くが弁護士)であるにもかかわらず、外国の法令や判例を一切調べないのでしょう。「愛誤になると白痴化する」のは、弁護士でも国立大学の副学長でも例外ではない、もしくは病的な嘘つきなのでしょうか。吉田氏には、日本以外の先進国で、日本より野良猫の餌やりに寛容な国名を是非、具体的に教えていただきたい。
(+1)
ドイツにおいては、民事上の債務不履行に対しても、債務者を拘禁できます。
・間接強制
~
ドイツでは、民事訴訟法 (ZPO) 中に間接強制の制度が存在し、種類としては、不代替作為義務のうち債務者の意思のみで義務の履行が可能なものにつき、強制金 (Zwangsgeld) あるいは強制拘禁 (Zwangshaft) という方法による間接強制、不作為義務につき、秩序金 (Ordnungsgeld) あるいは秩序拘禁 (Ordnungshaft) という方法による間接強制が認められている。
日本やフランスと異なり、金銭の支払だけでなく、債務者の拘禁が可能な点に特色がある。
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