野良猫が原因の交通事故で給餌者が賠償命令を受けた判決~ドイツ

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(Zusammenfassung)
Betreuer einer zugelaufenen Katze haftet für durch Katze verursachten Autounfall.
記事、野良猫の放置は交通事故の原因となりうる、の続きです。
前回記事では、「徘徊する猫が原因で交通事故が起きた場合、猫に関わっていたものは法理上賠償責任を負うであろう」と述べました。日本ではまだ司法判断は無いようですが、ドイツではあります。野良猫が原因で交通事故が発生したのですが、ドイツの裁判所は野良猫の世話をしている者に賠償命令を言い渡しました。裁判所は、野良猫に給餌やノミ取り首輪をつけるなどの世話をすることは、飼い主と同等の責任が生じると判断しました。
サマリーで示した、「野良猫が原因で交通事故が発生したことに対し、ドイツの裁判所は野良猫の世話をしている者に事故被害者に対して賠償命令を言い渡した」判決ですが、1995年とかなり古い判決です。しかしその後の下級審の判断では、概ねこの判決を踏襲しています。この判決に関する資料から引用します。
Betreuer einer zugelaufenen Katze haftet für durch Katze verursachten Autounfall 「猫が原因で発生した自動車事故では、猫の世話人は責任があります」 2013年8月8日
Eigentum oder Eigenbesitz sind für Tierhaltereigenschaft keine Voraussetzung.
Wer eine ihm zugelaufene Katze in seine Obhut nimmt und sich um die Katze kümmert, haftet als Tierhalter für einen Schaden, den diese Katze anrichtet (hier: Autounfall).
Dies hat das Landgericht Paderborn entschieden.
Im zugrundeliegenden Fall nahm ein Tierfreund eine ihm zugelaufene Katze auf.
Er gab der Katze Futter und kaufte ihr ein Flohhalsband.
In der Folge hielt sich die Katze oft - natürlich naturgemäß nicht ständig - auf dem Grundstück des Mannes (Beklagter) auf.
Eines Tages verursachte die Katze eine Kollision mit einem Auto.
Katzenfreund will nicht für die Kosten des Unfalls aufkommen Für die Kosten des Unfalls wollte der Mann nicht aufkommen,
weil er der Ansicht war, nicht für die ihm zugelaufene Katzen haften zu müssen.
Der Autofahrer verklagte daraufhin den Katzenfreund auf Schadenersatz wegen des Unfalls.
Landgericht sieht den Katzenfreund als Tierhalter gem. § 833 BGB an.
Das Landgericht Paderborn gab der Klage teilweise statt.
Es verurteilte den Beklagten 2/3 der Unfallkosten zu tragen.
Mitverschulden
Allerdings trage der Kläger (Autofahrer) eine Mitschuld an den Unfall.
Gefährdungshaftung auf beiden Seiten
それが財物である、または自分の所有物であることが、ペットの飼い主の要件ではありません。
誰であっても猫の世話をするものは、この猫によって引き起こされたいかなる損害についても、飼育動物の所有者として責任を負います(このケースでは自動車事故です)。
それは、パーダーボルン地方裁判所が決定しました。
基本的なケースですが、動物好きが猫を拾いました。
動物好きは猫にキャットフードを与え、ノミ取り首輪を買いました。
その結果、猫はしばしば - もちろん、いつもというわけではありませんが - その男性(被告)の私有地内にいました。
ある日、その猫は自動車と衝突しました。
その猫の世話をしていた猫好きは、事故を起こした自動車の損害に対する弁償を支払いたくはありませんでした。
なぜならば、猫の世話をしていた者は、自分が単に出会った猫に責任を負う必要はないという考えを持っていたからです。
運転手は、事故による損害賠償を、猫の世話をしていた者に求め訴えました。
地方裁判所はその猫の世話人を、民法833条により、飼い主と認定しました。
パーダーボルン地方裁判所は、原告(運転手)の訴えを一部認めました。
裁判所は、被告(猫の世話人)に、2/3の事故費用の負担を命じました。
過失相殺
しかし、原告(運転手)側にも、事故の原因があります。
双方の厳格責任
したがって、審理において裁判所は、損害賠償の配分では被告(猫の世話人)は2/3、そして原告は事故の損害の1/3を負担しなければならないとしました。
このドイツの判決では、「もともと所有者のない野良動物であっても、一定の関与があれば飼い主とみなし、飼い主と同様の責任が生じる。したがって徘徊する猫が走行中の自動車の前に飛び出すなどして事故原因となった場合は、飼い主とみなされるものも損害賠償責任を負う」が骨子です。このドイツの判決は、日本における、放し飼い猫、地域猫、給餌などの世話を受けている野良猫などが交通事故の原因となった場合にも、日本国内の法律に当てはまります。
前回記事で述べた通り、民法第718条(動物の占有者における不法行為)、ないし、民法第709条(一般不法行為)により、責任を猫に関わった者に対して問えると思います。さらに制度化され、行政が認めている地域猫であれば、仮に行政が事実上地域猫活動を強制した場合(所有者不明猫の引き取り拒否を行い、地域猫での管理を求めたなど)は、民法第719条による、共同不法行為が成立し、行政が連帯責任を負う可能性もあります。
私は、日本はドイツやアメリカ合衆国などに比べて、ペットの所有者の管理責任について寛容であると思います。近年、例えば野良猫への給餌者に対して民事訴訟を提起し、損害賠償を求めることも行われつつあります。しかし環境省をはじめ、法的な責任についての考察を十分に行わないまま、行政指導により地域猫を推進しています。
例えば私はかつて、アメリカでTNR猫が原因で発疹チフスが流行した事件について記事にしました。この事件では、TNR活動を行政指導により停止を求められていたのにも関わらず強行していた団体が、刑事訴追を受けました。猫を自由に徘徊させることは、糞尿などの衛生被害のみならず、感染症の原因にもなります。近年では、マダニが感染源となる新型感染症SFTSが、野良猫が感染源となったケースが報告されています。そして今回の猫が交通事故の原因となったケースもあります。行政が地域猫を推進していますが、地域猫が原因となった被害に対しての考察を、行政は行っているのでしょうか。
(動画)
Katzen rennen nie über die Strasse 「猫は決して道路を走って横切ることはありません」 2018/08/10 に公開
これはスイスの動画です。もちろんタイトルは皮肉で、Katzen rennen nie über die Strasse , Ausser 980'000 Mal letztes Jahr. 「猫は決して走って道路を横切ることはありません、昨年の98万回以外では」と続きます。つまり頻繁に猫は道路を横切るということ。98万回もあれば、重大事故につながったケースもあるでしょう。この98万回とは、どこから来た数字なのでしょうか。路上死猫でしょうか。迷惑な話です。
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