諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問

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(summary)
Domestic/Inländisch
記事、
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~海外情報はすべて誤り、
・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・続・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
の続きです。
最初の記事では、串田誠一衆議院議員(日本維新の会)が行った2019年2月27日の、衆議院予算委員会第六分科会、質問内容において、海外に関する事柄が、すべてにわたり何らかの誤りがあることを述べました。今回は「諸外国では犬猫の繁殖の最低年齢や生涯回数を法律で定めている」との発言が真っ赤な嘘であることを述べます。私が確認した限りヨーロッパでは、「繁殖最低年齢と生涯繁殖回数」を法律で制限しているのは、イングランドの犬だけです。猫ではありません。アメリカでは犬猫とも連邦法はおろか、全州においてもありません。今回は、ヨーロッパについて述べます。
まず問題の、串田誠一衆議院議員の発言内容はこちらです(ビデオ録画)。衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会
(画像)
衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会 串田誠一(日本維新の会) より

上記国会質問における、串田誠一議員の誤った質問内容には次の一つに、次のようなものがあります。
(串田誠一議員の質問)
日本は犬猫のブリーダーに対する規制が足りない。
諸外国(笑い)では、犬猫の繁殖の最低年齢や、生涯の繁殖回数の上限を法律により規制している。
上記の発言ですが、結論を言えば真っ赤な嘘、デタラメです。まずヨーロッパでは、私が調べた限りでは、イングランドは、犬のブリーダーの繁殖の最低年齢や生涯繁殖回数を法律で定めています。しかしドイツ、スイス、オーストリアでは、犬猫とも具体的な数値による繁殖制限(繁殖の最低年齢、生涯繁殖回数など)を規定している法律がありません。これらの3国は、ヨーロッパの中でも動物福祉に先進的な国です。おそらくヨーロッパでは、法律により、犬猫の繁殖を具体的な数値(繁殖最低年齢や生涯繁殖回数など)を規制している国は極めて例外だと思います(私が確認した限りイングランドの犬のみ。猫は皆無)。もし、ヨーロッパにイングランド以外に、法律で犬猫のブリーダーの犬猫の最低繁殖年齢を数値基準で制限している国があれば、その法律名と該当する条文を、読者様はコメントしてください。ただし、その国の原語のリンクをつける場合に限らせてもらいます。
さらにアメリカ合衆国では、ブリーダーの犬猫の繁殖を制限する数値基準(繁殖最低年齢や生涯繁殖回数など)は連邦法はもちろんのこと、州法でも確認していません。それを「諸外国では、犬猫の繁殖の最低年齢や、生涯の繁殖回数の上限を法律により規制している」というデタラメを、国会という場で発言するとは驚きです。
まず、まずイングランドの犬の繁殖制限に関する法律の、イギリス政府による、解説サイトから引用します。Animal welfare in England: domestic pets Contents 3Dogs 「イングランドの動物福祉:家庭用ペットの内容」
The Breeding of Dogs Act 1973 and the Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999
The law also limits the timing and frequency of breeding from a bitch; bitches cannot be mated before they are a year old; should have no more than six litters in a lifetime; and can have only one litter every 12 months.
犬の繁殖法 1973 と 犬の繁殖と販売法 1999
法律ではで、雌犬の繁殖の時期(年齢)と繁殖回数も制限しています。
メス犬は1歳になる前には繁殖できません。
一生涯では、繁殖回数を6回以下にする必要があります。
そして12ヶ月間では、1回の繁殖しかできません。
なお、ドイツ、スイス、オーストリアでは、民間団体のケネルクラブが、犬の繁殖制限(最低年齢や生涯繁殖回数)の自主規制をしています。これに反した場合は、血統登録を行わないということです。これはあくまでも民間の自主規制ですので、法律とは全く異なりますし、強制力もありません。それぞれの国では、複数のケネルクラブがそれぞれ異なる自主規制をしています。以下に、それぞれの国のケネルクラブの自主規制を例示します。
・Allgemeine Rahmenzuchtordnung für den Internationalen Dachverband der Rassehundevereine Eintragungsbestimmungen in das Zuchtbuch des IDR 「ドイツ純血種犬クラブ国際連盟のための一般的飼育規則 IDR繁殖教本の登録規則」 (ドイツのケネルクラブ 民間団体)
~
§2 Zuchtvoraussetzungen
Rüden aller Rassen unter 45 cm und über 45 cm dürfen frühestens ab dem vollendeten 12. Monat zuchttauglich geschrieben werden.
Sofern es die Gesundheit des Rüden zulässt ist ein Höchstalter nicht festgelegt.
Hündinnen Aller Rassen unter 45 cm dürfen frühestens ab der 2. Hitze und einem Mindestalter von 12 Monaten zuchttauglich geschrieben werden.
Das Höchstalter für eine Hündinnen liegt beim vollendeten 8. Lebensjahr.
第2条
45 cm未満および45 cm以上のすべての品種のオス犬は、最も早くは12ヶ月齢から繁殖ができます。
繁殖が犬が健康で可能な場合は、年齢の条件は決められていません。
45 cm以下のすべての品種のメス犬は、最も早くは、2回目の発情かつ最低年齢が12ヶ月から繁殖の準備ができていることと記述されています。
雌犬の繁殖年齢の上限は8歳です。
・Zucht- und Körreglement des Border Collie Club der Schweiz (BCCS) 「繁殖と会の規則 スイス ボーダーコリークラブ」(スイスのケネルクラブ 民間団体)
~
Der Anmeldung zur Ankörung sind beizulegen:
• Eine Kopie der Abstammungsurkunde
• Eine Kopie des HD-/OCD (Schulter)-Attests (Mindestalter 12 Monate)
Welpenzahl
Nach einem Wurf von mehr als 8 Welpen ist eine Zuchtpause von mindestens 12 Monaten einzuhalten.
子犬の血統登録には、次のものが添付されていなければなりません。
•(母メス犬の)出生証明書のコピー
•HD / OCD(骨格)検査のコピー1部(最低年齢12ヶ月)
子犬の数
メス犬に8匹以上の子犬が産まれた後は、最低でも12ヶ月間の繁殖休憩がとられなければなりません。
・Gültig ab 20.11.2016 Leitfaden - Zuchtbestimmungen 「2016年11月20日から有効となるガイドライン - 犬の繁殖の規則」 (オーストリアのケネルクラブ 民間団体)
Der Hund muss dazu das 1. Lebensjahr vollendet haben.
Empfehlenswert für unsere großen Rassen ist ein Alter von ca. 18 Monaten.
犬は生まれてから最初の1年を経過しなければ、繁殖させてはなりません。
我々は、大きい品種の犬の繁殖は、生後18カ月以上を推奨しています。
民間団体がおれぞれ異なる犬の繁殖のガイドラインを設けているということは、法律による規制がないということの証明です。なお、日本最大のケネルクラブである、JKC(一般社団法人 ジャパンケネルクラブ)も、犬の繁殖制限(最低繁殖年齢など)を自主規制しています(交配月齢について)。つまり、ヨーロッパではイングランドの例外を抜き、犬の繁殖制限(最低繁殖年齢や生涯繁殖回数)を法律で定めている国はないと思われます。猫は一国も確認していません。ドイツ、スイス、オーストリアは民間団体の自主規制(それに反した場合は子犬の血統登録を認めない)はあります。
民間団体の、犬の繁殖制限(最低年齢や生涯繁殖制限など)は、日本の民間団体も自主規制をしています。ですから、犬猫の繁殖制限(最低繁殖年齢や生涯繁殖回数など)の法制化が、日本が極端に諸外国に比べて遅れているとは言えません。なお、アメリカ合衆国では連邦法はおろか、州法ですら犬猫とも繁殖制限(繁殖の最低年齢や生涯繁殖回数など)は一つもありません。串田誠一議員の、「日本は犬猫のブリーダーに対する規制が足りない。諸外国では、犬猫の繁殖の最低年齢や、生涯の繁殖回数の上限を法律により規制している」との国会発言は、正気とは思えません。次回記事では、アメリカ合衆国について書きます。
(動画)
The Dark Side of Britain: Puppy Farms | UNILAD Original Documentary 「イギリスののダークサイド:パピーファーム UNILAD オリジナルドキュメンタリー」 2018/05/18 に公開
ブリーダーの繁殖制限(最低繁殖年齢や生涯繁殖回数など)を定めているのは、私が調べた限りイングランドの犬に関してだけです。しかしイギリスの犬ブリーダーの飼養環境がすべて素晴らしいわけではありません。puppy farm (パピーファーム パピーミルのこと)の劣悪な飼育環境を暴く動画は極めて多く公開されています。毎週のように新作がアップされています。
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