続・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問

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Domestic/Inländisch
記事、
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~海外情報はすべて誤り、
・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
の続きです。
前回記事では、串田誠一衆議院議員(日本維新の会)が行った2019年2月27日の、衆議院予算委員会第六分科会、質問内容において、海外に関する事柄が、すべてにわたり何らかの誤りがあることを述べました。今回は前回記事に続き、「欧米では犬猫の安楽死はすべて注射による安楽死である。二酸化炭素等のガス室での殺処分は禁止されている」との発言が真っ赤な嘘であることを述べます。
まず問題の、串田誠一衆議院議員の発言内容はこちらです(ビデオ録画)。衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会
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衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会 串田誠一(日本維新の会) より

上記国会質問における、串田誠一議員の誤った質問内容には次の一つに、次のようなものがあります。
(串田誠一議員の質問)
二酸化炭素によるガス室での犬猫殺処分を行っているのは日本だけである。欧米は、犬猫の殺処分は、すべて注射による安楽死(ペントバルビタールのことを指していると思われる)である。
日本も、二酸化炭素による殺処分を法律で禁止すべきである(日本「も」としているところから、欧米では、二酸化炭素によるガス室での殺処分を法律で禁止しているとの意味になります)。
アメリカ合衆国においては、ガス室(一酸化炭素もしくは二酸化炭素)による犬、猫の殺処分を禁止する連邦法はありません。各州により異なります。
アメリカ合衆国では、ガス室による犬猫の殺処分を法律で禁止している州は、50州中22州にすぎません。しかも法律で明文化して禁止している州においても、例えば「禁止するのは一酸化炭素のみ」としているところがあります。そのために、「二酸化炭素によるガス室の殺処分を禁止することができず、一部のアニマルシェルターで二酸化炭素によるガス室での殺処分が行われていた」例(カリフォルニア州)があります。また一応法律で禁止した州であっても、獣医師の立ち合いがあれば認めるという州もあります。アメリカ合衆国においては、一応ガス室による殺処分を法律で明文化して禁止している州でも、いわゆる法律が「ザル法」であるがために、事実上禁止している州でも、一部ガス室による殺処分が存続していた例や、存続している可能性があります。
これらについて報じる記事から引用します。Closing the door on the gas chamber 「殺処分のガス室のドアを閉めること」 2017年1-2月号 The Humane Society of the United States
It turns out there was a loophole in the California law that made the carbon dioxide chamber legal in the city shelter in small, remote Coalinga.
The law banned only carbon monoxide chambers, inadvertently leaving out carbon dioxide, another commonly used gas.
Some state bans have loopholes.
And often, the shelters that still use chambers have myriad other issues.
Carbon monoxide and carbon dioxide gas chambers are still “approved with conditions” for companion animal euthanasia.
Since they’re not completely banned, some states continue to use them.
Gas chambers are safer for staff, especially when animals are aggressive.
Another complication is that controlled-substances laws in some states prevent shelters from getting direct access to the euthanasia drugs for EBI.
Today, 22 states have full, formal bans on gas chambers for euthanizing dogs and cats, while 19 states have no known use of chambers but no formal ban either.
Five states have partial bans, prohibiting only carbon monoxide or allowing chamber use under the direction of a veterinarian.
カリフォルニア州の法律には、中心地から遠く離れた、小さなコーリンガという市の市営のアニマルシェルターで、二酸化炭素によるガス室を合法にするという抜け穴があったことが発覚しています。
法律は一酸化炭素室のみを禁止し、不注意で不用意にも、もう一つの一般的に使用されるガスである、二酸化炭素を除外しました(註 法律上、二酸化炭素は違法ではないということとなります)。
いくつかの州の、ガス室での殺処分のための禁止は、抜け穴があります。
そして多くの場合は、まだ殺処分のためのガス室を使用しているアニマルシェルターは、多くの他の問題を抱えています。
一酸化炭素および二酸化炭素によるガス室は、コンパニオンアニマルの安楽死のために、「条件付きで承認された」ままです。
完全には禁止されていないので、いくつかの州はそれらを使い続けています。
特に動物が攻撃的な場合、ガス室はスタッフにとってより安全です。
もう1つの問題は、一部の州の規制薬物法により、アニマルシェルターが注射による安楽死を行うための安楽死薬を直接入手できないことです。
今日では22州が、犬や猫を安楽死(殺処分)させるためのガス室を完全かつ正式に禁止しているのに対し、19州では、殺処分のためのガス室の使用は確認されていませんが、正式には禁止されていません。
5つの州では一酸化炭素のみを禁止するものの(註 法解釈により二酸化炭素は合法となる)、(一酸化炭素であっても)獣医師の指示の下で殺処分のガス室の使用を認めるという、限定的な禁止はあります(註 獣医師が指示すればガス室での殺処分が合法となる)。
(動画)
stop the "death box" aka gas chambers 「『デス・ボックス(死の箱)』のガス室を止めさせよう」 2013/06/24 に公開
アメリカにおける、ガス室による犬猫殺処分に反対するビデオ。
(画像)
FaceBookの、Saving Gas Chamber Animals 「ガス室で殺処分される動物を救え」という、アメリカ人のウォール。その2018年7月3日の投稿のスクリーンショット。「アメリカ、サウス・ユタの、アニマルシェルターでのガス室で殺処分される予定の猫をレスキューしてください」という内容です(Saving Gas Chamber Animals hat ein neues Foto zu dem Album „SUVAS CATS SAFE - South Utah Valley Animal Shelter“ hinzugefügt — mit Carl Merritt und Ruth J. Bradfield.)。
串田誠一議員、「欧米では二酸化炭素のガス室による殺処分は行われていないのです(キリッ!)。欧米では、すべて犬猫の殺処分は注射による安楽死です(笑い)」。

そと若干、イギリスの犬猫の殺処分の事情について述べておきます。イギリスでは、明確に法律で犬猫の殺処分方法を定めていません。包括的に飼育動物の扱いを定めた法律は、Animal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」です。しかし殺害方法については、whether the conduct concerned was in all the circumstances that of a reasonably competent and humane person. 「それらの関係する行為がすべての状況において、人道的であり、有資格者によって合理的におこなわれていたかどうか」とだけあり、具体的な殺処分方法や禁止行為は定めていません。
そのために、「銃殺」も人道的な殺処分方法と解釈でき、公営シェルターでは行われていないようですが、民間のアニマルシェルターでは行われています。前回記事では、イギリスで最も権威ある、RSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の収容犬猫を銃殺していたことを取り上げました。またイギリスではドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの殺処分においては、銃殺が一般的に行われています。レースドッグの殺処分数は年間1万頭と推定されています。例えばこのようなサイトがあります。10 MISUNDERSTOOD FACTS ABOUT GREYHOUND RACING 「10の誤解されている事実 グレイハウンドレース」 から引用します。
3) Is it legal for a greyhound trainer to kill his own dog using a Captive bolt gun?
Yes, unless unnecessary suffering to the dog is proven, it is not a crime, but pithing must be carried out following use of the Captive bolt gun to prevent a dog that is rendered unconscious from regaining consciousness. (Pithing is a horrific method where the spinal cord must be severed to ensure the death of the dog)
3)グレイハウンド(レースドッグ)の訓練士がキャプティヴ・ボルトガン(註 家畜のと殺用の拳銃)を使って、自分の犬を殺すのは合法ですか?
はいそうです、犬への不必要な苦しみが証明されない限り、それは犯罪ではありません、
しかし意識を失った犬が意識を取り戻すのを防ぐために、キャプティヴ・ボルトガンを使った後に、ピッシングを行わなければなりません(ピッシングとは犬の死を確実にするために、脊髄を切断しなければならないという恐ろしい方法です)。
前回記事では、アメリカの公営アニマルシェルターが犬を銃殺していたことも取り上げましたし、カナダのアニマルシェルターも一部で犬猫の銃殺を行っています。犬猫の殺処分での銃殺は私が調べた限り、アメリカ、カナダ、イギリスで行われています。他の欧米諸国でも行われている可能性があります。私の個人的な感想ですが、銃殺より二酸化炭素死のほうがまだ人道的なのではないかと思います。
いずれにしても、串田誠一議員の、「二酸化炭素によるガス室での犬猫殺処分を行っているのは日本だけである。欧米は、犬猫の殺処分は、すべて注射による安楽死(ペントバルビタールのことを指していると思われる)である」との国会での発言は、真っ赤な嘘です。
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