なるほど、日本は動物愛護後進国だ 無管理状態の動物まで保護の対象とする日本の動物愛護管理法の特異性ー2
日本の動物愛護の特異性がよく示される事件として、久留米市競輪場内での野良猫餌やり事件があります。この事件は、私が楽天時代でも取り上げましたが、日本の動物愛護の後進性をよく表していますので、再度ご紹介します。
asahi.com 2009年11月20日の記事から
http://www.asahi.com/national/update/1119/SEB200911190002.html
(元記事はリンク切れになっていますので、ほかのサイトから引用しました。全文はこちらhttp://satsusyobun.seesaa.net/archives/200911-1.html))
福岡県久留米市の久留米競輪場で、野良猫をめぐる騒動が起きている。
バンク(走路)に乱入し、選手たちの邪魔をするのだ。
時速約70キロで疾走中に衝突し、転倒すれば命にかかわる。
市は猫の捕獲(殺処分)を検討したが、動物愛護団体が反対。
里親探しに切り替えたものの、騒動は収まっていない。
競輪場の内外に住み着いた野良猫は50?60匹。
「無責任に捨てたり、えさをやったりする人がいて増えたのでは」とみる。
バンクを囲む高さ約3メートルの金網も猫にとっては出入り自由だ。
バンクに入る通路や建物内で目撃するのは日常茶飯事。
これまでレース中にバンクへの乱入はないが、練習中はしばしばで、選手から苦情が出ていた。
かねてより久留米市競輪場では、開催日以外に野良猫に餌をやるグループの一部がフェンスを乗り越えて競輪場敷地内に違法に侵入し、餌やりをするので問題になっていました。餌をやり始める人が現れてから、野良猫は急激に増えました。
競輪選手の練習中に野良猫がバンクに入り込み、衝突寸前となることもしばしばでした。競輪では、時速70キロくらいの速度になり、レース用自転車はブレーキがないことからより衝突の危険が高いのです。猫と競輪選手が衝突し競輪選手が転倒すれば、死亡事故にも繋がりかねません。そのために、競輪場を運営する久留米市は、2009年に猫の捕獲と保健所届出を行う方針を明らかにしました。
「期限内にすべての猫を引き取ること。期限後は残った猫を速やかに捕獲し、保健所に収容する」との市の方針が動物愛護(誤)団体側に伝えられました。しかし動物愛護(誤)団体は、競輪場内の猫の引取りは期限内にできませんでした。捕獲して一般譲渡を試みたのですが、思うように譲渡先が見つからなかったからです。したがって、久留米市は予定通り競輪場内の猫を捕獲し、保健所に収容しようとしました。
しかし猫捕獲と保健所収容に反対する動物愛護(誤)団体は阻止するために、捕獲反対活動を繰り広げました。動物愛護団体を主催する、東京の動物愛護推進員もネットテロを全国に呼びかけました。その結果、久留米市は競輪場での猫捕獲の中止に追い込まれました。
以下は、久留米市の回答です。久留米競輪場の件。質問に対し競輪場からご回答をいただきました
10月末現在、競輪場内に約15匹、競輪場周辺(公園部分)に約35匹生息しているもようですが、競輪事業を実施する上で問題点は以下のとおりです。
①自転車競技レースまたは競輪選手の練習中に走路へ猫が進入し、選手の身体生命を毀傷する恐れがある。
②自転車競技レースが不成立となり、発売車券が無効となることから、事業に大きな損失与え、多くのファンに多大な迷惑をかけることとなる。
③駐車場での車両事故の要因となる可能性がある。
④来場者や競輪選手の車両へ損傷を与える(事実、損傷を与えております)
以上のようなことから、関係団体からも競輪施行者(市)に対して、事業運営に係る危惧の念が伝えられ、改善・対応の申し入れがあっている状況です。
競輪施行者としましては、これまで関係者に猫の引き取りを積極的にお願いし、昨年来10数匹を引き取ってもらったところですが、根本的な解決には至らず、公平・安全な競争の場を確保するためにも、対応を検討してきたところです。
今回の件につきましても、その対応策として考えたところですが、動物愛護の観点から更なる検討が必要であることも判明しましたので、対応方法をより一層検討していくという考えから、(猫捕獲~保健所収容の)実施を見合わせることといたしました。
いずれにしましても、競輪事業を運営する上において、重大な支障となる恐れがあり、さらには人命にも影響を及ぼしかねない非常に大きな問題です。
私がこの事件で驚くのは、第一に、一部の餌やりさんが餌やりのために、レースが開催されない日に、閉鎖している競輪場のフェンスを乗り越えて違法に敷地内に入り込み、餌やりを行っていたことです(これは複数のソースから情報を得ています)。
これは明らかに建造物侵入罪が成立します。この違法な行為を反省することもなく、餌やりの権利を主張するのは驚きです。
第二に、競輪場側は、施設管理権があります。ですから施設に入り込んだ野良猫を捕獲し、保健所に届けるのは正当な権利の行使です。
また、事業の円滑な遂行、や競輪選手の人命を守るために、危険な猫を排除する義務が競輪場の主催者にあります。競輪場主催者の、権利義務の行使を制限する権限は第三者にはありません。
第三に、猫捕獲の中止を求めた動物愛護(誤)側には、何の責任も負わないと考えていることです。「餌やり~競輪場に野良猫がいつく~競輪選手の死亡障害事故の発生・レースの不成立~不法行為として民事上の損害賠償責任を負う」という意識はゼロでしょう。
しかしもしそのような事故が起きれば、当然責任が生じます。億単位の損害賠償が発生する可能性もあります。
その他にも、動物愛護(誤)団体の言い分には驚くことが多いです。「競輪場が捕獲して保健所に届けた猫が飼い猫だったらどうするんだ」。もし飼い猫を放し飼いしにしていて、それが原因で競輪選手の死亡障害事故やレース不成立にでもなれば、飼い主に億単位の損害賠償責任が生じます。もし飼い猫であれば、動物愛護団体は、そのような可能性があることを伝え、猫を室内飼いするよう啓蒙するのが筋じゃないでしょうか。
また、バンク内に猫がしばしば入り込み、自転車と衝突寸前になることがあると伝えられているのに、競輪場での餌やりを止めないことです。競輪選手のみならず、猫にとっても競輪場での餌やりは危険で、動物愛護にも反します。
私は、このような野良猫愛誤の幼稚な言い分が通ってしまう、日本の動物愛護の未熟さ特異性を強く感じます。久留米市競輪場での、野良猫捕獲~保健所収容に反対する愛誤団体は、根拠を「動物愛護」としています。日本で「動物愛護」を包括的に定めた法律は動物愛護管理法です。この日本の動物愛護管理法の特殊性も、例えば野良猫愛誤が異常な要求をし、それが通ってしまう一因と私は思います。
日本の動物愛護管理法44条1項で定める愛護動物は、人に飼育されていない状態でも同法の保護の対象です。しかし人に飼育管理、占有されていない状態でも、動物愛護の法的保護の対象としている国は、私は先進国の中で日本以外知りません。
例えばドイツ動物保護法Tierschutzgesetzでは、法の対象となる動物は、人に飼育されている動物Tierhaltung のみが対象です。また、本法に対して狩猟法、環境法が優先されるとしています。die Vorschriften des Jagdrechts und des Naturschutzrechts bleiben unberührt.
つまり飼育されていない野良猫は保護の対象外なのです。ドイツでは、農畜産業などで害を及ぼす野良猫は、当たり前に駆除されています。人に飼育されていない(もしくはそう見倣される)野良猫は、一定の条件で銃や罠による駆除が合法です。
久留米市競輪場のようなケースでは、ドイツであれば、問答無用で野良猫は駆除されます。日本は、特異な動物愛護管理法、そして動物愛護に関わっている人の幼稚性などなどから鑑みれば、正に動物愛護後進国です。
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