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「ドイツでは家畜のと殺は麻酔をかけなければならない」という「珍訳」~国立国会図書館調査及び立法考査局の痴性






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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Schlachten von Tieren vom 21. April 1933 01.05.1933
Warmblütige Tiere sind beim Schlachten vor Beginn der Blutentziehung zu betäuben.


 記事、大学教員のドイツ動物法の「珍訳」論文~四天王寺大学 中川亜紀子氏、の続きです。前回記事では、ドイツ動物法の大学教員の論文の、明らかな誤訳について取り上げました。「ドイツ法(Gesetz über das Schlachten von Tieren〉においては家畜の(食用)と殺においては麻酔下で行わなければならない」という記述です。少し考えればありえない、滑稽な「珍訳」です。しかし同様の「珍訳」を、日本の海外の立法研究を行っている国の機関が論文を出しています。「国立国会図書館調査及び立法考査局」です。ドイツは麻酔薬が混入した食肉を流通させれば、刑事罰の対象になります。


 ドイツ法(Gesetz über das Schlachten von Tieren〉においては家畜の(食用)と殺においては麻酔下で行わなければならない」という記述がある、問題の論文を引用します。なお、この著者は、国立国会図書館調査及び立法考査局 海外立法情報課の方です。
 【短信:ドイツ】 ドイツ連邦共和国基本法の改正――動物保護に関する規定の導入 渡邉 斉志(わたなべ ただし・海外立法情報課) 外国の立法 214(2002.11) 国立国会図書館


ドイツでは、古くから家畜の解体に際しては 麻酔を用いることが一般的だった。
動物保護法第4 a条第1項は、温血動物の 屠畜は血抜き前に麻酔をかけた場合にのみ許されることを定めており、これは基本権に介入するものである。
イスラム教徒の肉屋は、この例外的認可を与えられない場合、輸入によって (麻酔を用いない屠畜によって得た)肉を入手 して販売するか、こうした肉の販売を諦めるかという決定を迫られる。
したがって、動物保護という価値と肉屋の職業の自由とは対立する。
しかし、この対立は、麻酔を用いない屠畜を 例外的に認めることで解消されうるものであ り、動物保護法にもそのような規定が盛り込まれている(第4 a条第2項第2号)。



 該当する、ドイツ動物保護法(Tierschutzgesetz)から該当する条文を引用し、拙訳を付けます。なお、ドイツ動物保護法は当時より改正していますが、該当する条文は改正はありません。


§ 4a
(1) Ein warmblütiges Tier darf nur geschlachtet werden, wenn es vor Beginn des Blutentzugs zum Zweck des Schlachtens betäubt worden ist.
2.
sie darf die Ausnahmegenehmigung nur insoweit erteilen, als es erforderlich ist, den Bedürfnissen von Angehörigen bestimmter Religionsgemeinschaften im Geltungsbereich dieses Gesetzes zu entsprechen,

4条a
(1)温血動物は、放血開始前に屠殺のために意識を喪失(betäubt worden )させた場合にのみ屠殺することができます。
2
この法律の範囲内で、特定の宗教共同体の構成員の要求を満たすことが必要な場合に限り、この規定の免除を認めることができる。



 上記においては、betäubt worden を「麻酔」と訳すのは不適切です。betäubt は「意識を喪失した状態」を意味し、麻酔そのものではなく、「麻酔が効いて意識がない状態」という意味のほうが強いでしょう。一般的に、または医学用語では、ドイツ語では麻酔は、Anästhesie です。麻酔科医は、Anästhesist です。
 ドイツでの家畜の法定のと殺方法は、家畜用ボルト銃(と殺銃 英:Captive bolt pistol 独:Schlachtschussapparat)で脳組織を破壊し、脳死状態(意識喪失 betäubt )にしたのちに放血をします。この、家畜用ボルト銃での処置の前には、一般には疼痛管理は行われません(豚のと殺ではドイツをはじめ、二酸化炭素であらかじめ意識喪失させる場合があります)。


(動画)

 Missstände in Schlachthäusern ZDF Frontal 21 「食肉処理場での動物虐待 ZDF(ドイツ第二公共放送 Frontal 21)」 2017/06/11 に公開(閲覧注意)
 4:24~が、家畜用ボルト銃(と殺銃)による牛のと殺の映像です。これがドイツの法定のと殺方法です。ボルト銃で脳組織を破壊するまでは、意識がありますし、この処置の前には疼痛管理は行いません。これが「麻酔をかける」と言えますか。




 麻酔の定義ですが、「外科手術の際の痛みを取り除くため、一定時間、無痛、反射喪失の状態を作り出す方法を『麻酔』といいます。中枢神経あるいは末梢神経を、一時的に、しかも可逆的に抑制するものを『麻酔薬』と呼び、それによって引き起こされる状態が『麻酔』です」(麻酔とは?)。つまり麻酔とは、「医療行為で」、「健康被害なく可逆的に意識を回復させる」、「一定時間、無痛、無反射の状態にすること」です。そのためには、「ペントバルビタールなどに薬剤か、笑気ガスが用いられ」ます。
 脳組織を物理的に破壊することにより脳死状態に陥らせ、意識を喪失させるのは麻酔ではありません。脳組織が破壊されればそのまま死に至ります。二酸化炭素を用いた場合にも、「麻酔効果」はあるにしても、可逆的に意識を回復させることができませんから「麻酔」というのは不適切です。何よりも、同様のと殺方法を行っている日本のと殺の現場では、「家畜用ボルト銃」や「二酸化炭素」の使用を麻酔とは言いません。また、ドイツをはじめ、ほぼすべての国では麻酔薬が混入した食肉の流通を禁じています。

 前回記事でも取り上げた大学の教員による論文、そして国の立法調査機関が、「ドイツ法(Gesetz über das Schlachten von Tieren〉においては家畜の(食用)と殺においては麻酔下で行わなければならない」という、呆れた「珍訳」を堂々と論文で公表していることに、私は危機感を覚えます。
 なお、ドイツ動物保護法の該当する条文、Ein warmblütiges Tier darf nur geschlachtet werden, wenn es vor Beginn des Blutentzugs zum Zweck des Schlachtens betäubt worden ist. を、「温血動物は、放血開始前に屠殺のために意識を喪失(betäubt worden )させた場合にのみ屠殺することができます」と訳しているのは私だけではありません。前回記事で取り上げた論文、四天王寺大学紀要 第 54 号(2012年 9 月)ドイツにおける動物保護の変遷と現状 中 川 亜紀子、で引用している、ドイツ法学者のドイツ保護法(Tierschutzgesetz)の日本語訳では、該当する箇所は「意識を喪失させる」と訳しています。本論文の545~ページから引用します。こちらの日本語訳はまともなのですがね。


動物保護法(Tierschutzgesetz)概要
温血動物は血抜きをする 前に気絶させる場合にのみ屠殺できること、コーシャ屠殺に関しては、主務官庁の認可の もとで例外的に可能であること(4a条)。
*訳は、浦川(2003) (1998年5月25日公示版全訳)、及び渋谷(1995) (1993年2月17日公示版全訳) を参考にした。



 【短信:ドイツ】 ドイツ連邦共和国基本法の改正――動物保護に関する規定の導入 渡邉 斉志(わたなべ ただし・海外立法情報課)、および、四天王寺大学紀要 第 54 号(2012年 9 月)ドイツにおける動物保護の変遷と現状 中 川 亜紀子、とくに後者はほかの記述も含めてひどい内容ですが、かなり引用されています。また明らかに影響を受けていると思われる記述があります。
 例えばかつて損保会社が運営していた、Dog actuary というサイトがありました。現在は閉鎖されています。このサイトに寄稿していたライターには、ドイツ連邦獣医師を自称する、京子アルシャーという人物がいます。ドイツ動物法などの日本語訳を寄稿していました。以下がその記述です。


現在、ドイツの動物保護法では動物の殺行為について以下のように明確に定められている。

§4(1)Ein Wirbeltier darf nur unter Betäubung oder sonst, soweit nach den gegebenen Umständen zumutbar,nur unter Vermeidung von Schmerzen getötet werden.
(脊椎動物は麻酔下においてのみあるいは状況により痛みを回避することでのみやむを得ず殺されることとする)

不治の病だとしても酷い痛みを伴わず投薬など治療を継続することで生活に支障がないとされる動物は安楽死の対象にはならない。
やむを得ず動物を殺す際はかならず安楽死でなくてはならない。
現在ドイツの動物保護法から読み取ると安楽死とは「痛みと苦しみを伴わない死」のことであり、家畜の堵殺のみならず犬の場合も麻酔薬を用い痛みと苦しみを回避することでのみ殺すことが許される。



 上記の日本語訳からすると、「ドイツの食肉はすべてが自然死した、もしくは末期の傷病で麻酔薬を用いて安楽死した家畜が原料である」ということになります。あまりにも面白い、「珍訳」、「誤訳」ですが、掲載されていたサイトが閉鎖されてしまいました。特に、京子アルシャー氏の、熱烈な信者が多かったので、まさか閉鎖されるとは思っていませんでした。この歴史的悶絶誤訳が、インターネット上で見られなくなったのは残念です。スクリーンショットを取っておくべきでした。
 自称ドイツ連邦獣医師の京子アルシャー氏は、他にもドイツ連邦規則を「条例」としたり、四天王寺大学紀要 第 54 号(2012年 9 月)ドイツにおける動物保護の変遷と現状 中 川 亜紀子、の影響がうかがえます。京子アルシャー氏が訳した条文の正しい訳は、以下のとおりです(拙訳)。


§4(1)Ein Wirbeltier darf nur unter Betäubung oder sonst, soweit nach den gegebenen Umständen zumutbar,nur unter Vermeidung von Schmerzen getötet werden.

脊椎動物は、合理的な理由があれば、麻酔などの意識喪失下(Betäubung 必ずしも狭義の麻酔、麻酔薬や笑気ガスを用いなければならないという意味ではない )、もしくは痛みを回避する他の方法でのみ殺すことができる。


 つまり「脊椎動物は、合理的な理由があれば殺すことができる。その場合は麻酔などの意識喪失下か、もし麻酔などが使えない場合は他の痛みを回避する方法を用いなければならない」という意味です。
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京子アルシャー氏の、ドイツ動物保護法の悶絶誤訳のコピペがやっと見つかった。
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
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