「日本は動物虐待に対する処罰が甘い」という、杉本彩氏の嘘プロパガンダ

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(Summary)
"The punishment for animal cruelty is light in Japan."
Is it the truth?
杉本彩氏らは、「日本は海外と比べて動物虐待に対する処罰が甘すぎる」と、厳罰化を主張しています。そしてバカの一つ覚えのように、アメリカ合衆国の一部の動物虐待事件の判決、さらにそれらの事件の都合の良いところだけを抜き出して取り上げています。まさに意図的な「言論テロリスト」です。そもそも刑事司法制度が異なる国の、一部の事件は比較になりません。
杉本彩氏は、「日本は動物虐待に対する処罰が海外に比べて甘すぎる。動物愛護法の法定刑の上限を懲役5年以下、罰金500万円以下に引き上げるべきだ」と主張しています。例えばこのようなサイトで、アメリカの事件を取りあげて、「日本の動物虐待に対する処罰が甘すぎる」と主張しています。2017年9月「改正動物愛護管理法を考えるシンポジウム」 2017年12月13日 から引用します。
■米カリフォルニア(1)
21匹の猫を殺害した26歳の被告に収監16年の判決が下った。(2017年)
■米オレゴン州(2)
最高裁が、飼い主が扱う(または酷使する)動物を単なる所有物(器物)ではなく、それ以上の者としてみなす。ひどい扱いを受けた動物は法的な”被害者”とみなされ、虐待から守られるべき対象となる。(2014年)
前提として、刑事司法制度が異なる国の、一部の事件を取り上げて比較することはナンセンスです。(1)の、「米カリフォルニア 21匹の猫を殺害した26歳の被告に収監16年の判決が下った」事件ですが、この事件で殺害された猫は飼い猫で盗まれたものです。窃盗罪が主たる犯罪です。アメリカ合衆国においても、動物虐待罪よりも、窃盗罪のほうがはるかに法定刑が重いのです。動物虐待罪の法定刑は、カリフォルニア州では懲役1年以下と、日本の動物愛護管理法の2年より懲役の刑期は短いのです。
また、アメリカの刑事訴訟においては、刑期は単純加算されます(有期刑の上限引き上げ)。対して日本は、併合罪の場合、最も重い刑にその2分の1を加重したものが最大の懲役期間となります。ですから、アメリカでは連続窃盗事件などでは、数百年の懲役が言い渡されることも珍しくありません。
(2)の、「米オレゴン州 最高裁が、飼い主が扱う(または酷使する)動物を単なる所有物(器物)ではなく、それ以上の者としてみなす。ひどい扱いを受けた動物は法的な”被害者”とみなされ、虐待から守られるべき対象となる」は、オレゴン州で起きた事件のアメリカ連邦最高裁判所の判決と言う意味でしょうか。
オレゴン州の動物虐待に対する法定刑は懲役が1年以下で、実は日本の動物愛護管理法の懲役2年以下より短いのです。さらにこの判決は「人が占有している動物」に対してです。杉本彩氏が「日本の動物虐待事件の処罰が軽すぎる」という根拠にしている元税理士による野良猫殺害事件は、野良猫(無主物)に対してです。アメリカでは一部の州では、野良猫(無主物。とみなされる非占有ものも含む)は狩猟法の適用で、通年殺害が合法です。まさに「曲解」です。
(1)についてですが、日本であればほぼ間違いなく動物愛護管理法違反で有罪になると思われる、アメリカ合衆国での犬猫の殺害、および虐待事件をいくつか取り上げます。(2)については、次回記事で論じます。
・No charges against person who shot dog with an arrow 「犬を矢で撃った人は一切刑事訴追を受けませんでした」 2018年1月25日
The person who shot a dog in the head with two arrows will not face any charges.
The Sanilac County (Michigan) prosecutor’s office made the announcement on Wednesday – the individual responsible for shooting the seven-year-old husky mix stated that the dog, named Marty, had been attacking his goats on the day of the incident.
Marty belongs to Jason Lumley.
Lumley’s two dogs had escaped from their home and had been missing for two weeks – on January 12, Marty returned home with the two arrows lodged in his head.
Michigan law states that a person can kill a dog who is in the act of pursuing, worrying or wounding livestock.
2本の矢を犬の頭に撃ち込んだ人物は、一切刑事訴追を受けることはないでしょう。
サニラック郡(ミシガン州)の検察庁が水曜日に発表したところによればーマーティという名の7歳のハスキー種の雑種犬を弓矢で撃った当事者は、事件当日にその犬がヤギを襲っていたと述べました。
マーティ(註 犬の名前)は、ジェイソン・ルムリー氏の飼い犬です。
ルムリー氏の2頭の犬は自宅から脱出して、2週間行方不明でしたがー、1月12日にマーティは頭に2本の矢が突き刺さった状態で帰宅しました。
ミシガン州の法律によれば、家畜を追いかけたり、怖がらせたり、傷つけたりする犬を殺すことが合法です。
・No charges to be filed in Middleville dog shooting incident / 5-3-18 「ミッドヴィルの犬の射殺事件では、一切刑事訴追されません 2018年3月5日」 2018年3月5日
No charges will be filed by the Barry County Prosecuting Attorney’s office after a Middleville man shot and killed a neighbor’s dog in his yard.
The incident occurred Feb. 24 in a quiet cul-de-sac of about 12 homes on Holes Avenue.
He said he tried various ways to separate the two dogs before shooting.
Assistant Prosecuting Attorney Chris Elsworth said after reviewing the Michigan State Police report, the prosecuting attorney’s office did not feel it could prove anything criminal.
Owners of the dog, Meghan and Jeremiah Bossenberger, admitted the dog escaped out of their fenced-in yard, but said the dog is normally friendly, and they didn’t believe the dog needed to be shot.
ミドルヴィルの男が銃で隣人の犬を銃で撃って殺しましたが、バリー郡の検察庁はその男を起訴しません。
この事件は、2月24日にホールズ・アヴェニューの約12戸の静かな袋小路で起きました。
ダグラス・バッキング氏は、彼の庭に犬が侵入し、彼の飼い犬を襲った後に、その犬を撃ったことを認めました。
ダグラス・バッキング氏は、犬を撃つ前に、2頭の犬を引き離す試みをいろいろと試したといいました。
クリス・エルワース副検事は、ミシガン州警察の報告書を見直した後に、検察庁はダグラス・バッキング氏を犯罪者であると証明できないと感じていました。
射殺された犬の飼い主のメーガンさんとジェレミア・ボッセンベルガー氏は、自分の犬が庭のフェンスを越えて逃げ出したことを認めましたが、その犬は普段は友好的で、その犬を撃たなければならなくなったとは信じていませんでした。
日本では、自己所有地に侵入した猫を弓矢で撃った者に対しては、動物愛護管理法違反での有罪判決があります。例えば、平成13年に、私有地内に侵入した猫(無主物?)を、クロスボーで撃って殺害した者に対しての、略式の有罪判決(罰金30万円)です。(環境省資料) から引用します。
事実関係
被告人は、第1 平成12年12月23日、東京都世田谷区内の被告人方において、同人方敷地内に入ったねこ1匹に対し、所携のクロスボーで金属製の矢1本を放ち、これを同ねこの左肩部に命中させて胸部に刺入させ、よってそのころ、同区内において、同ねこを出血性によるショックにより死亡するに至らせ、もって愛護動物をみだりに殺した。
第2 同月24日、前記被告人方において、同人方敷地内に入ったねこ1匹に対し、所携のクロスボーで金属製の矢1本を放ち、これを同ねこの左頸部付近に命中させて同部付近皮下にろう管を形成させる傷害を負わせ、もって愛護動物を傷つけた。
刑罰
略式命令 罰金30万円
杉本彩氏らが、「盗んだ猫を殺害した事件」をことさら取り上げて、「日本は海外と比べて動物虐待に対する処罰が甘すぎる」と主張しているのは、都合よく事実を抜きだした「嘘プロパガンダ」と断言しても間違いありません。(2)の「嘘」については、次回記事で取り上げます。
(画像)
アメリカ、CBSニュース、No charges for Texas veterinarian who killed cat with bow and arrow 「弓と矢で猫を殺したテキサス州の女性獣医師に対する刑事告発はありません」。2015年6月25日 から。これが女性獣医師が猫を弓矢で殺害し、FaceBookでその死体を公開した画像。
「私有地内に侵入した猫を弓矢で殺害して、その死体をFaceBookで公開した女性獣医師」の事件は、日本では間違いなく動物愛護管理法44条1項の、「みだりな愛護動物の殺傷」となり、有罪になると考えられます。ですから、「日本が著しく動物虐待に対する処罰が海外と比べて軽い」とは言えません。杉本彩氏らの、「日本は動物虐待に対する処罰が外国と比べて甘すぎる」という主張の根拠として挙げているアメリカの事件は、まさに「都合の良い事実の抜き書き」です。このような詭弁は信用できますか。

(動画)
Texas vet cat killer: Bow & arrow using Kristen Lindsey fights to keep license - TomoNews 「テキサスの猫殺し獣医師:弓矢を使った、クリスティン・リンゼイ獣医師は、獣医師免許を守るために戦うーアメリカ、TOMOニュース」 2016/05/02 に公開
私有地に侵入した近所の飼い猫を弓矢で射殺し、その死体をFaceBookに公開した女性獣医師は、刑事訴追を受けませんでした。しかし獣医師免許の停止処分を受け、その無効を訴えて裁判を提訴しました。私見ですが、違法行為があったわけではありませんから、獣医師免許の停止処分は私はおかしいと思います。
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