続・ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏

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(Zusammenfassung)
・Rettte die Tierheime!
記事、
・呆れた動物愛護(誤?)専門家たち~ペトことと武井泉氏、
・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは飼い猫については自治体においても登録制度はない」は大間違い~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは、最寄りの複数の居住用建物から300メートル上離れた狩猟区域内で発見された場合、野良猫とみなされる」はデタラメ~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・わなで殺傷されるドイツの猫と犬~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・違法なわなで殺害されるドイツの猫~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・違法ではないわなでも殺傷されるドイツの猫~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・ドイツのティアハイムは危険犬種の殺処分は必須という嘘~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・続・ドイツのティアハイムは危険犬種の殺処分は必須という嘘~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
・ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏、
ドイツではティアハイムから犬を入手する割合は2パーセント台?~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏の続きです。
これらの記事では、武井泉氏による、広島県から委託を受けて作成した、海外の動物愛護政策等に関するレポート(動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)が、嘘、誤り、偏向に満ちていてひどい内容であることを書きました。今回記事は前回記事に続き、本資料のドイツのティアハイムの動物保護数と譲渡率に対する疑義について取り上げます。
武井泉氏の、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、「本報告書」「と記述する)は、その内容のデタラメの羅列には、まさに悶絶します。
本報告書では、ドイツのティアハイムの平均動物保護数と譲渡率が、「ドイツ動物保護連盟から提供を受けた資料に基づいて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが作成した」として、一覧表にまとめられています。しかし同時期に公表されている、当の動物保護連盟が公表いた数字とはかけ離れており、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが何ら名の資料の読み間違いなどをしているとしか考えられません。今回は、前回記事に続いてその疑義について述べます。
まず、武井泉氏による本資料の、「ドイツのティアハイムの保護動物の平均数」についての一覧表はこちらです。「ドイツ動物保護連盟から提供された資料に基づき作成」と注釈があります。
(画像 1)
武井泉氏による、広島県から委託を受けて作成した、海外の動物愛護政策等に関するレポート(動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 13ページより。

上記の表の数値に、ドイツ全土のティアハイムの総数をかければ、ドイツ全体のティアハイムの動物保護数が求められます。なおドイツのティアハイムの総数は、おおむね550施設程度で安定しており、経年により増減はほとんどありません。このドイツにおけるティハイムの総数は、本報告書にも記載があります。
本報告書の、上記の「ティアハイム平均動物保護数」の表により、ドイツにおけるティアハイムの犬の保護総数を年別に求めると、次の数値になります(ティアハイムの平均年犬保護数×ティアハイム総数)。
ドイツにおけるティアハイムの犬の保護総数(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告書から求めた数値)
1996年 25,300頭
2000年 32,450頭
2006年 21,450頭
2010年 22,000頭
また武井泉氏は、「ドイツ動物保護連盟から提供を受けた資料から三菱UFJリサーチ&コンサルティングが作成した資料として、ドイツのティアハイムの保護動物の譲渡率も一覧表にしています。
(画像 2)
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 14ページより。「ティアハイムの保護動物の平均譲渡率」

(画像 1)、(画像 2)の表から、直近の2010年の、ドイツ全土でのティアハイムの犬の譲渡総数を求めます。保護数は2010年、譲渡率は2009年と集計年は一致しませんが、同年での数値がありませんのでやむを得ず、2010年の譲渡数を前年の数字を用いて計算します。
22,000×0.66=14,520頭
さらに、ドイツ全土でのティアハイムの犬の譲渡割合(犬の入手シェア)を求めます。それは、ドイツ全土で犬を入手した総数に、ティアハイムが譲渡した数値の割合で求められます。ドイツで入手された犬の数ですが、全独ケネルクラブがドイツにおける子犬の商業販売数の推計値を出しています。
Daten zur Hundehaltung 「犬の飼育に関するデータ」(2013年)から、引用します。
Daten zur Hundehaltung
Absolut gesicherte Daten zum Hundebestand und zur Hundezucht in Deutschland gibt es nicht, so dass man von Schätzungen ausgehen muss.
Danach finden in Deutschland jährlich ca. 500.000 Hundewelpen einen neuen Besitzer.
Davon werden ca. 400.000 Welpen in Deutschland gezüchtet – ca. 100.000 Welpen werden importiert.
Insgesamt werden damit jährlich ca. 345.000 Rassehunde- und ca. 155.000 Mischlingswelpen in Deutschland verkauft.
犬の飼育に関するデータ
犬の個体数や犬の繁殖に関するデータは絶対的に正確なデータはありませんので、推定値によらなければなりません。
約50万匹の犬の子犬が、ドイツで毎年新しい飼い主を見つけるでしょう。
このうち約40万頭の子犬がドイツで繁殖されたものであり、約10万頭の子犬が輸入されています。
合計で、約345,000の純血種の子犬と、約155,000のミックス種の子犬がドイツで毎年販売されています。
以上の数値により、ドイツ全体の、ティアハイムから犬を入手する割合を求めます。つまり武井氏が作成した資料によれば、ドイツでティアハイムから犬を入手する割合は、最大でも2パーセント台ということです。ドイツにおいても、商業販売やティアハイムから犬を入手する以外にも、当然「自家繁殖」や、「友人、知人からもらった」、「野良犬を拾った」というケースもあるでしょう。ですから武井氏の資料によれば、ティアハイムから犬を入手した割合は、ドイツでは2.57%よりさらに低くなる可能性があるということです。
14,520÷(14,520+550,000)×100=2.57%
上記の「ドイツにおけるティアハイムから犬を入手した割合は2.57%」ですが、この数字は、「日本の保健所+保護団体から入手した割合」の、6.3%よりはるかに少なく、半分にも満たないのです。東京都と比較すれば、ティアハイムの犬の入手シェアは、4分の1ないし3分の1になります。
日本で喧伝されている「ドイツでは犬はほとんどがティアハイムから入手する」はもちろん誇張を超えた「嘘」ですが、武井泉氏のこの数字もあり得ない数字です。おおむね、ドイツ動物保護連盟が公表している数値をもとにすれば、1割弱になります。なお、この数字は東京都の保護犬が占める犬の入手シェアとほぼ同じです。
しかし武井泉氏は、「ドイツでも生体販売をしているところはありますが、ティアハイム(保護動物のシェルター)が各地にたくさんあり、動物を飼いたい時にペットショップに行くよりもティアハイムから譲り受けることが一般的になっている」と、【レポート前編】ペット産業の社会的責任を考えるシンポジウムで述べています。武井氏は小学生の算数ができないのか、それともメンタリティーが危ないのか。
(画像 3)
日本全体における、犬の入手方法についての統計があります。○犬猫の入手経路(環境省資料 (平成23年調査)によれば、犬の入手経路に占める、「保健所や動物愛護センターなどで譲り受けた(1.6%)」+「民間の動物愛護団体などから譲り受けた(4.7%)」の合計は6.3%です。

なお、蛇足です。(画像 2)の 動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 14ページより。「ティアハイムの保護動物の平均譲渡率」では、ティアハイムの野生動物の平均譲渡率が示されています。それによれば、2005年は75%、2009年は71%とあります。
しかしティアハイムが野生動物を保護し、一般譲渡する、しかもかなりの高率ということはあり得ません。ドイツでは連邦狩猟法、州狩猟法により、野生動物の保護(捕獲)や飼育は厳しく制限されています。違反者は動物種によりますが、刑事罰の対象です。ましてや高率で一般譲渡することはあり得ません。何らかの資料の読み間違い(誤訳)と思われます。
ティアハイムの上部組織であるドイツ動物保護連盟は、Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. 「ドイツ動物保護連盟 ティアハイムの運営指針」で、次のように述べています。「ティアハイムは野生動物の保護は緊急時に限る。また速やかにリリースすること」。以下に引用します。
2. Aufnahme von Wildtieren
Wildtiere können in einem Tierheim grundsätzlich nur in Notfällen Aufnahme finden.
Sie sollten, soweit dies mit dem Gesundheitszustand der Tiere vereinbar ist, so schnell wie möglich wieder in die Freiheit gesetzt oder, soweit es sich um nicht einheimische Tiere handelt, an eine geeignete Einrichtung abgegeben werden.
2.野生動物の収容
野生動物は、緊急時にしかティアハイムに収容できません。
動物の健康状態が野生状態に適合する限り、できるだけ早くリリースすべきです。
外来動物に関しては、それらは適切な施設にひきとられます。
以上より、動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの13ページの、「ドイツのティアハイムの動物種別平均保護数と平均譲渡数」に関する記述は、全く信頼に値しません。
(画像 2)は、「三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、ドイツ動物保護連盟から提供資料により作成」とあります。n は当然ドイツにおけるティアハイムの総数N(550)に対する標本数です。276から328と、標本数は母数に比べて十分な数字ですが、標本抽出の際に小規模事業者にバイアスがかかったか、もしくは保護動物が「行政委託」によるもののみの数字であるなどが考えられます。
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