ドイツの司法判断は犬猫の殺害に寛容~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか

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(Zusammenfassung)
Bundesjagdgesetz
§ 23 Inhalt des Jagdschutzes
Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.
*本記事は7,756ブログ記事中、1位を獲得しました(2018年10月24日)
記事、
・日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問、
・アメリカ、カリフォルニア州では私有地内に侵入する犬猫の毒餌による駆除は合法~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・アメリカ、カリフォルニア州では動物虐待の法定刑は懲役1年以下または2万ドル以下の罰金もしくはその併科~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・イギリスの動物虐待罪の法定刑は、357日以下の懲役または2万ポンド以下の罰金、もしくは併科~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・イギリスと日本の動物虐待に対する処罰の比較~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・動物福祉に先進的なオーストリアの動物虐待の法定刑は懲役2年以下~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・人の占有下にない犬猫は、狩猟駆除が推奨されているオーストリア~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・スイスで猫をハンマーで撲殺し写真を公開した男の処罰は罰金240スイスフラン(2万7,600円)~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・スイスの動物虐待罪に対する平均の処罰はわずか300スイスフランの罰金~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・犬猫の殺害に寛容なドイツ~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
・続・犬猫の殺害に寛容なドイツ~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか、
の続きです。
これらの記事では、杉本彩氏らが「日本は外国と比べて動物虐待に対する処罰が甘い。動物愛護管理法における動物虐待罪の法定刑の上限引を、懲役5年以下、罰金500万円以下に引き上げるべきである」と主張していることを書きました。
前回記事では、ドイツでは犬猫に関しては連邦狩猟法及び各州の狩猟法により通年狩猟駆除が推奨されており、犬猫の狩猟による殺害に対しては寛容であることを書きました。さらにドイツにおいては、狩猟法以外の動物保護違反の処罰も寛容であると感じます。
前回記事で書いた通り私は、その国の動物虐待に対する処罰が寛容なのか、それとも厳しいのかの比較は、総合的に次の事柄を考慮しなければならないと思います。
1、法定刑
2、法律の適用範囲、犯罪が成立する構成要件
3、実際の司法判断
ドイツにおいては、動物保護に関して包括的に定めている法律は、「連邦動物保護法」(Tierschutzgesetz)です。ドイツにおいては、「1、法定刑」は、「理由がない動物の殺害(虐待)」は、懲役3年以下、または罰金2万5,000ユーロとしています。
日本の動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)44条1項で定める「みだりな愛護動物の殺傷」の法定刑は「懲役2年以下または罰金200万円以下」です。ですから法定刑の上では(表面上は)、日本よりドイツのほうが動物の正当な理由がない殺害(虐待)に対する処罰が重いといえます。
しかしドイツは犬猫に限り、通年連邦狩猟法と各州の狩猟法により狩猟駆除が推奨されています。非占有の犬猫の狩猟による殺害が合法で、かつその範囲が広く解釈されています。対して日本の動物愛護管理法では、44条3項で定める愛護動物は人の占有になくても、さらには無主物であっても法の保護を受けます。
日本では当然有罪となるようなケースでも、非占有犬猫(野良犬猫=無主物、はもちろんのこと、自由に徘徊している状態の犬猫は飼い主があったとしても)の殺害は、ドイツで合法であるために刑事訴追がない、または無罪となっています。したがってドイツでは犬猫の殺害においては、「2、法律の適用範囲、犯罪が成立する構成要件」という見地からは、日本よりはるかに寛容です。
なおドイツ動物保護法(Tierschutzgesetz)4条後段においては、ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetz)が同法に優越すると明記されています。「動物保護法で脊椎動物の殺害において意識喪失状態か、麻酔による疼痛回避を行う義務」は、狩猟法における動物の殺害と、有害動物の駆除には適用しないとされています。
非占有の犬猫(野良犬猫=無主物のみならず飼い犬猫)の銃殺や、ライブトラップで捕獲したのちの撲殺、刺殺などについては、狩猟法では通年合法です。したがって、狩猟法に則っていれば処罰する根拠がありません。仮に無資格狩猟などの違反があったとしても、狩猟法の違反は多くが金銭罰のみの行政罰です。またドイツでは、連邦狩猟法で非占有犬猫は「狩猟駆除をハンターの責務」としていますので、仮に狩猟法での違反があっても、非占有、特に無主物の犬猫の殺害は、問われることはほとんどないと感じます。
では、ドイツにおける狩猟法以外の動物保護法違反である、動物の正当な理由がない殺害(虐待)では、「3、実際の司法判断」(刑事事件として扱われない、もしくは不起訴も含めて)はどうなのでしょうか。先に述べた通り、ドイツは動物保護法での正当な理由がない動物の殺害(虐待)に対する法定刑は「懲役3年以下、または罰金2万5,000ユーロ」です。国際比較では際立って厳しいといえます。しか結論を言えば、ドイツにおける動物保護法違反(正当な理由がない動物の殺害。虐待)の処罰は比較的寛容です。
飼い犬猫についてですが、私はすでに記事にしていますが、比較的処罰は軽いと感じます。「意図的に18匹の猫をアパートの一室に閉じ込めて餓死させた事件」では、被告人に対する判決は、900ユーロ(約11万7,000円 1ユーロ=130円)の罰金を科すのみでした(猫18匹を餓死させた男の処罰は900ユーロの罰金のみ~ドイツ、ハンブルク地方裁判所)。犬をマンション4階の自室から投げ落として殺害した飼い主に対しては1,000ユーロの罰金のみでした(動物虐待に対する刑罰は、ドイツは日本より厳しいのか~ドイツ、動物保護法と日本の動物愛護管理法の比較 続・動物虐待に対する刑罰は、ドイツは日本より厳しいのか~4階から犬を投げ落として殺害した犯人の罰金1,000ユーロ(12万円)に対する論評)。
以上の、ドイツにおける狩猟法違反事件および動物保護法違反事件は、私はドイツ連邦司法省の判例データベース、もしくは民間のドイツの判例データベースで確認しています。また、常にドイツのマスメディアの報道などで、動物虐待事件に目を通しています。
ここで私が述べたことは、単なる憶測ではなく、生のドイツの信頼性のある情報(連邦司法省判例データベースなど)を原語で調べて至った結論です。例えば次のサイトです。英文でも対応していますので興味のある方はぜひご確認ください。
・Justizportal des Bundes und der Länder ドイツ連邦司法省 判例検索ポータル(英文対応あり)
~
Rechtsprechung
Das Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz, die Bundesgerichte und einige Landesjustizverwaltungen veröffentlichen über das Internet Gerichtsentscheidungen im Volltext.
裁判所
連邦司法省および消費者保護庁、連邦裁判所および一部の州司法行政当局は、インターネット上で裁判所の判決を全文で公表しています。
次に、インターネットでの検索です(2018年10月22日時点)。Gefängnis wegen Tierquälerei 「動物虐待 実刑判決」(条件:ドイツ)での検索ですが、ざっと3ページほど調べたところ、多くがアメリカなどの外国の事件の報道です。ドイツでも動物虐待では~20か月の実刑判決がありますが、多くは牛、馬、豚の家畜の虐待です(なお、犬の虐待で6か月の懲役判決がありますが、被告人は前科があります。初犯の判決とは比較できないと思います)。
また、ドイツでは動物虐待事件はほとんどが罰金刑で済むとの記事もあります(Bewährungsstrafe für Tierquäler 2013年 近年はドイツにおいては全般的に刑事事件が厳罰化の傾向です)。さらに無主物の犬猫の殺害に関しては、一件も確認できませんでした。次回は、この検索結果について、具体的な事件を例示して考察したいと思います。
(画像)
ちなみに、ドイツでは無主物(野良)の猫の殺害で懲役で実刑になった判例すら、ドイツ連邦司法省の判例データベースでも、大学などの民間の判例データベース、メディアの報道でも皆無です。
猫伯爵さんや支持者はお金を出し合って、ドイツ渉外弁護士事務所に依頼して、「ドイツで野良猫(無主物)の殺害のみで懲役10年以上になった確定判決」を一つでも例示した報告書の作成を依頼してはいかがですか。~30万円ぐらいかかるでしょうが。係属裁判所と事件番号、判決文原文を示していただければ、私はこのブログを止め、過去記事を全削除します。これは皆様方にとってよい提案だと思います。ぜひ実行されることをお勧めします。この質問は1年半以上公開していますが、いまだに懲役刑の確定判決すら一件も提示された方いないとは、どういうことなのでしょうか。
猫伯爵さんのツィート 「狩猟解禁前に狩猟を行う事が法律違反」ですが、ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetz)23条で、犬猫に限り、一年中狩猟が推奨されています。もう少し、調べてからツィートされてはいかがかと。それにしても、Dr. ネコノミスト 猫先生やら「専門家」、「ジャーナリスト」を自称される方に限って、まともなことは一つも書いていない。知ったかぶりと口から出まかせばかり。恥を知るべきです。
杉本彩氏も、馬鹿の一つ覚えのように、野良猫の殺害で執行猶予が付いた日本の判決を「日本は外国に比べて動物虐待の処罰が軽すぎる、ムキーッ!」と騒いでいます。ドイツでは、連邦司法省の判例データベースを確認し、さらにインターネット検索で調べても、野良猫の殺害で懲役刑で実刑になった判決は一つも確認できていません。あまりの無知蒙昧ぶりには、こちらが赤面します。

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