地域猫活動で野良猫が3年で倍増した猫の島、「青島」

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(Domestic/inländisch)
瀬戸内海に浮かぶ、愛媛県の孤島「青島」。この島ではかねてより野良猫が増殖し、2015年頃までは、島民16名に対して野良猫は100匹あまりが生息していました。青島は「猫島」として脚光を浴び、観光客が押し寄せて餌を与えるために、増えすぎたのです。行政による島民への指導もあり、島民らは「地域猫」として餌やり管理と不妊去勢を行うこととしました。ところが地域猫活動を始めてからわずか3年後には、猫は210匹まで2倍以上と激増しました。これが「地域猫活動」の実情です。
まず、2015年当時の、青島に関するメディアの報道があります。 この青島の猫ですが、フジテレビがドキュメンタリー番組を放映しています。フジテレビの番組HPから引用します。*1、『ネコの楽園と呼ばれて・・・おいらの島に観光客がやってきた』 2015年11月13日フジテレビ放映。
人口わずか16人の島に100匹を超えるネコが暮らす青島。
過疎と高齢化が急速に進む青島。
青島は“ネコの楽園”と呼ばれるようになり、大勢の観光客が訪れるようになった。
観光客に対応するため、島のルールを設け環境づくりも行った。
島民の平均年齢は72歳。
“ネコの楽園”としてにぎわいをみせる一方で、島の活力は急速に失われていた。
そこに新たな問題が持ち上がる。
観光客が与えるエサで栄養状態がよくなり、ネコが増え過ぎているのではないかという懸念。
行政は島民にネコの管理を依頼する。
「青島猫を見守る会」を発足させた。
野良ネコではなく、「地域ネコ」として、エサの量の調整や健康状態などを管理していくことになった。
活動の一環として、ネコの避妊も始めた。
「地域ネコ」という選択。
2015年までは増えたとはいえ、青島の猫の数は100匹あまりでした。しかし行政が主導して「地域猫」による管理を導入したとたん、猫は急増しました。2015年に、多くのメディアが国内外問わず青島に取材に訪れました。日本のメディアはすべて青島の「地域猫活動」を好意的に報道しました。つまり、猫と島民との共存です。
しかしアメリカとドイツのメディアは青島を辛らつに批判しています。日本のメディアでは報じられませんでしたが、「2015年時点での猫の不妊去勢数は10匹程度である」としています。「それで猫の数を抑制しようとしている(バカじゃないか)」という論評です。
ドイツのメディア、Weltの記事から引用します。Katzen, überall Katzen! 「猫、どこもかしこも猫だらけ!」。2015年3月3日 この記事では動画が掲載されています。
über 120 Katzen.
Natürlich sind nicht alle Inselbewohner Fans der Katzen.
Eine ältere Frau scheucht die Tiere mit einem Stock weg .
Die Einheimischen versuchen, die Katzenpopulation in Schach zu halten, mindestens zehn Katzen haben sie kastriert.
120匹以上の猫。
もちろん島民の全てが猫の支援者ではありません。
高齢の女性は棒で猫を怯えさせます。
地元の人々は、少なくとも10匹の猫は去勢されているとし、猫の群れの数を抑制してこの数を維持しようとしています。
対して青島の「地域猫活動」については、朝日新聞のメディア、Sippoが2017年に好意的な報道をしています。この報道があった2017年には、猫の数はさらに100匹あまりから、150匹に急増していました。しかしその報道内容からは、問題点が見えてきます。「管理している島民が全く個体数管理をしていない」、「子猫が生まれて歳を取ればどこかで勝手に死んでいる(無責任放任)」、「餌やりに反対する島民がいる(内部対立)」などです。また「猫島の地域猫」と知らるようになってから、餌の支援が増えたとあります。餌の供給量が「地域猫活動」により増えたことが、猫の急増の原因と思われます。
島民15人に猫150匹! 猫と共に生きる島の住民団体代表 2017年7月1日 から引用します。
瀬戸内海に浮かぶ青島(愛媛県大洲市)は、一周わずか約4キロの陸地に、人間15人・猫150匹が住む「猫の島」だ(註 2015年に「地域猫活動を始めてわずか2年で猫の数は100匹あまりから150匹と50%も激増したことになります)。
一緒に楽しく暮らしたいと、エサやりや去勢などを先頭に立って担うのが、住民で作る「青島猫を見守る会」会長の紙本直子さん(66)。
エサやりは手分けしてやっとる。
会を作ったら、ネットで支援を呼びかけてくれる方が現れて、エサを送ってもらえるようになりました。
――獣医師会などの協力で、去勢も進めていますね。
「市によると約150匹ですけど、私は数えたことがないので、増えたか減ったか分かりません。まだ生まれます。子猫はだんだんやんちゃになり、年がいった猫ちゃんは、どこかで自然とお隠れになる。その繰り返しです」
――猫を守りたい人と、迷惑を防ぎたい人が共存するため、青島のように住民が「地域猫」として管理する動きが広がっています。
「青島でも、好き嫌いは半々ぐらいじゃないかな。私らがエサやること自体、反対の人もいます。そういう意見も、仕方ない」
「私も、ここで生活できないとなったら、島を出ないといけん。その時は、自分を心配しないといけないんで、たぶん猫のことまでは考れないです。かわいそうだなと思うけれど、飼い猫ではなくて地域猫、だれのものでもない島の猫なんです」
「だれかエサをやってくれるかもしれんけど、住民がいなくなれば定期船だってなくなるかもしれない」
そして2018年には、猫の数は210匹にまで激増しました。わずか3年で100匹から210匹と、2倍を超える増加率です。TNR団体が乗り出して「島内の猫をすべて不妊去勢する」と申し出ました。
「猫の島」青島、全210匹の猫に不妊・去勢手術実施 猫捕獲のため「観光客の方は実施期間を避けてご来島ください」 2018日8月28日 から引用します。
動物の殺処分ゼロを目指す公益財団法人どうぶつ基金は9月5~6日、愛媛県大洲市・青島に出張し「さくらねこTNR無料不妊手術」を行う。
青島は"猫の島"として有名で、推定210匹の猫がおり、国内外問わず観光客が猫見物に訪れる。
島の人口は今年8月現在9人で、平均年齢は75歳以上。
同島ではこれまでに愛媛県獣医師会や地元ボランティアらによって80頭の不妊手術が行われているが、未手術の猫が繁殖を繰り返しているという。
今回の一斉TNRによりすべての猫への不妊去勢手術が成功すれば、青島の猫はこれ以上増えることなく将来的には減っていく。…
・青島の猫の数と管理を時系列にまとめると、次のようになります。
2015年以前 猫島として脚光を浴び、観光客の増加と給餌が増えたことにより、猫が増えた。猫の数は100匹あまり。
2015年 行政の指導で「地域猫活動」を始める。不妊去勢実績は10匹、猫の数は120匹に増加。
2017年 地域猫活動が継続して行われる。猫の数は150匹に増加。
2018年 地域猫活動が継続。2015年からの不妊去勢実績は80匹。猫の数は2015年の100匹あまりから210匹に激増。
青島の地域猫活動では、わずか3年という短期間で、猫の数が2倍以上に激増しました。その大失敗の原因は主に、「1、一時期にすべての猫の不妊去勢を行なわなかったこと」、「2、地域猫をしているということで餌やり反対派を抑えることができ、餌の支援が増えることで給餌量が激増した」、「3、地域猫の活動家が個体管理などを行わずずさん」が挙げられます。特に最も大きな要因は、「2、」の給餌量が増えたことでしょう。
「地域猫活動をしている」ということで、いわゆる「餌やりのお墨付き」をえて餌やり反対派の口を封じました。また「地域猫活動をしている」ということがメディアで報道されたことにより、餌を提供する人が現れ、不妊去勢をする以前に給餌量が増えたことです。
この青島の地域猫の失敗=むしろ猫の数が激増する、という図式はに特有のケースではないと思います。むしろ一般的な原理とさえ言えます。不妊去勢をする以前に、「地域猫活動」であることで餌やりの免罪符になり、給餌量が増えます。給餌量に増加による出産数の増加と、子猫の死亡率の減少により、猫の繁殖増加効果が不妊去勢の猫の繁殖抑制効果を上回るのです。そして猫の数が制御不可能にまで増え、不妊去勢の費用の調達も難しくなり、反面餌やりはやめられなくなります。そして地域猫活動を始める前より猫の数が増えるのです。私はそのような実例を多く見てきました。
青島の場合は小さな孤島であり、また猫の絶対数が210匹と少ないです。ですから、2018年8月に行ったTNR団体、どうぶつ基金による不妊去勢が効果を表して猫の減少に成功するかもしれません。それよりも青島は高齢化過疎化が進み、現在の島の人口は9名です。早晩無人島になるかもしれません。となれば連絡船もなくなり、観光客の訪問もなくなり、給餌する人がいなくなるでしょう。給餌がなければ、猫は不妊去勢をしなくても減ります。餌となる小動物もなければ、猫は消滅する可能性もあります。
そうなれば、不妊去勢をした団体は、「猫が減ったのはTNRだ、自分たちの手柄だ」と宣伝するに違いありません。そして動物愛護団体らは、TNR至上主義プロパガンダのために、その詭弁を悪用するに違いありません。動物愛護団体に騙されないようにましょう。
(動画)
ドイツでは多くのマスメディアが青島の猫を驚きを持って報道しています。こちらはドイツ最大手メディア、SpiegelTVによる報道。こちらでは、Auf der japanischen Insel Aoshima herrscht Katzenalarm: Ursprünglich als Mäusefänger importiert.と、青島の猫に対して警告すべき(動物愛護上の問題などでしょう)としています。好意的な報道ではありません。日本のメディアでは報じられていない、高齢女性が棒で猫を叩く様子も写っています。2015年3月4日公開。
(動画)
上記のドイツのメディアのビデオとは対照的に、青島の猫を好意的に報じています。青島での猫の餌やり。2013年10月28日観光客の嬌声が聞こえます。このような状態(餌やり無法状態、健康管理なし、繁殖の極大化~毎年子猫が大量に生まれています)が「地域猫」で望ましいと絶賛する声がインターネット上に溢れています。また訪れた観光客は「きゃーっ!癒されるう!」と好意的な評価をしています。
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