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続・「ティアハイムでは殺処分が禁じられている」は大嘘~「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は欠陥資料





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(Zusammenfassung)
・(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.
VII. Einschläfern von Tieren


 記事、「「ティアハイムでは殺処分が禁じられている」は大嘘~「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は欠陥資料、の続きです。
 ドイツでは殺処分ゼロ」と主張している人たちが根拠としているのは、「ドイツには民間のティアハイム(Tierheim)という動物保護施設があり、そこでは殺処分が(禁止されているために)行われず、譲渡されない収容動物でも終生飼育されるからである」があります。しかしティアハイムが収容した動物の殺処分を禁じる法令はありません。さらに、ティアハイムの上部団体である民間団体の、ドイツ動物保護協会がティアハイムの運営指針(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. の、収容動物の安楽死(殺処分)に関する指針ではむしろ、「いくつかのケースでは安楽死は行わなければならない」としています。そのケースとしては、「1、傷病動物」とともに、「2、問題行動がある動物」、「3、危険回避のために緊急性を要する場合」は、安楽死(殺処分)は不可避(しなければならない)とあります。


 
 前回記事では、国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 (2014年)の中の、ティアハイムの安楽死(殺処分)に関する誤解を招く記述があり、さらにそれが歪曲して日本で拡散されていることを述べました。
 本資料は、ドイツ動物保護連盟(協会)の、ティアハイム指針の安楽死に関して記述していますが、著しく「ティアハイムは傷病動物しか殺処分が行われていない」と誤解させる欠陥資料です。そのほかにも本資料は、ドイツの殺処分について、ドイツは州や連邦政府が行う犬猫などの公的殺処分制度があり、相当数行われているにもかかわらず、そのことには一言も触れていません(「ドイツには公的殺処分がない」とも一言も書かれていませんが)。そのために「ドイツでは犬猫の狩猟駆除があるが公的殺処分はない」という誤った情報が日本で定着しています。国が出す文書としては、きわめて問題があると言わざるを得ません。


 読者様から、某大学の、猫サークル(猫のTNR活動などを行う)の、2017年 の報告書 (一般へは非公開)写しのご提供をいただきました。その資料は、「ドイツでは犬猫の狩猟駆除があるが公的殺処分がない」、「ドイツのティアハイムでは治る見込みがない動物しか殺処分を行っていない(と著しく誤認させる)」という、まさに典型的な、衆愚愛誤の嘘プロパガンダの羅列です。当初、この報告書(某大学 猫サークル)はインターネットで一般公開する予定との代表者の話でした。

 非公開資料ですので大学名は伏せてあります。70ページ近くにに及ぶ大きな資料ですが、ドイツに関する記述(引用した出典そのものにあやまりがあるケースもあります)にかぎらず、誤りの多さ、ひどさは目に余ります。
 「ドイツでは家畜の食用と殺は麻酔下で行わなければならない」など、メンバーに医学部学生もいるのに絶句します。医学残留物があれば、食肉として流通できないのは先進国では共通しています。ドイツ以外の記述でも、「イギリスではペットショップでは犬の現物を売っておらず、ブリーダーへ繁殖の予約の取次ぎをする(私が調べた限り、そのようなペットショップは確認できませんでした。ソースを挙げられたい。仮にあったとしても、そのような犬の販売方法は例外と思います。なお、イギリスでの犬の入手は、3分の1が非対面のインターネットなどによる通信販売です)」、「アメリカでは民間の動物愛護団体が逮捕などの司法権限が与えられている(ニューヨーク州のみ2014年までASPCAに限り限定的に司法権限が与えられていましたが、現在は廃止されています。現在、アメリカでは全州で民間の動物愛護団体で司法権限を付与されている団体はありません)」などと、誤りの羅列です。そのほかにも決定的な誤りが多数あります。

 この資料のごく一部の引用を下記に示しましたが、「行政が引き取った犬を殺処分することはない(などとは、「国会図書館 諸外国をめぐる犬猫殺処分をめぐる状況」には一切このような記述はありませんが)」、などという誤りがあります。この記述は、国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況、を出典として挙げています。事実誤認の拡散という点では、「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は、きわめて有害な資料であることが分かります。
 また、大学生の、自ら原典を調べない姿勢と学力にははなはだ疑問です。「猫サークル」の資料は一般公開をしていませんが、情報拡散力は一般公開される資料には劣るものの、批判にさらされない、誤りを指摘されないという点では、一般公開される資料より考え方によっては問題です。この資料の誤りについては、折々引用します。
 

(画像)

 問題の、某大学の猫サークル 2017年の資料。スクリーンショットを撮りましたが、「公開を認めない」ということですので、記述をそのまま引用しました。

某大学 猫サークル資料 2017年 Annual report

よくティアハイムが犬猫を保護し、飼い主を斡旋しているため、ドイツでは犬猫の殺処分数が0であるという主張が見受けられるが、このように行政が引き取った動物を殺処分することはない(*1)が、法令で駆除対象と決められている動物は犬猫も駆除(*2)されているということになる。
さらに述べれば、ティアハイムは殺処分はしてはならないとされているが、治る見込みがない病気やけがに苦しむ動物については(*3)動物福祉の観点から殺処分が行われているようである。



(*1)
 ドイツ連邦共和国においては、全州で州法または州規則により「咬傷犬や飼育が禁止されている犬種などを州が押収して強制的に殺処分する権限を定めています。殺処分数も相当数あります。また、狂犬病規則においては、狂犬病の疑いがある犬猫を行政が押収して強制的に殺処分する権限を定めています。通関法においては、検疫不備の犬猫などを通関事務所が押収して殺処分する権限(日本にはない)を定めています。

(*2)
 ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetzにおける、ハンターの狩猟鳥獣保護の責務(狩猟鳥獣を捕食する有害獣の狩猟)についての記述と思われますが、「1年を通じて狩猟を推奨する」という、本条文が適用されるのは犬猫のみです(§ 23 Inhalt des Jagdschutzes Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.)。

(*3)
 ドイツ動物保護連盟(協会)がティアハイム運営指針として「安楽死(殺処分)しなければならないケース」として挙げているのは、「傷病動物」、「問題行動」、「問題行動により差し迫った危険性がある場合」の3つです。


(動画)

 Eine Tierärztin erklärt, wie „Chico“ sein Frauchen und deren Sohn totbeißen konnte 「獣医師は、咬傷犬『チコ』が、飼い主の女性とその息子をどのように咬むことが可能かを説明します」 2018/04/06 に公開

Nach der tödlichen Attacke auf seine Besitzerin Lezime K. (†52) und deren kleinwüchsigen Sohn Liridon K. (†27) in Hannover wurde der Staffordshire Terrier Chico ins Tierheim gebracht.
Chico wird zeitnah eingeschläfert.
Das gab Udo Möller, Sprecher des Landeshauptstadt Hannover, am Freitagnachmittag bekannt.

飼い主の、リツッイマ・K.(52歳)さんと、短命におわった息子リリドン・K.(27歳)さんを、ハノーバーで攻撃して死に至らしめた、スタッフォードシャー・テリア種の犬チコは、ティアハイムに収容されました。
チコはすぐに安楽死(ヘッセン州による強制殺処分)させられます(すでに執行済み)。
これは金曜日の午後に、州都ハノーファー市の、広報官ウド・メラー氏が発表したものです。




(参考資料)

 ドイツ、ヘッセン州の州が行う犬の押収(強制引き取り)と殺処分についての法令を引用します。ヘッセン州に限らず、ドイツではすべての州で咬傷犬や、法律で飼育を禁じている犬の押収と強制殺処分を定めています。その数は相当数あり、人口比では日本の自治体の数倍を殺処分している州もあります。
 なお、州が押収した犬はティアハイムに収容を委託し、州が殺処分のために獣医師をティアハイムに派遣します。その数は、ティアハイム内の殺処分数に集計されます。行政委託と契約を結んでいるティアハイムは、法律により、犬の殺処分などの処分の内訳を公表する義務があります。それはいくらでもインターネット上で見つかります。

Hundeverordnung Hessen

§ 11 Sicherstellung und Tötung von Hunden
(2) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines gefährlichen Hundes anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, daß von dem Hund eine Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht.
Die Tötung ist an zuordnen, wenn der Hund einen Menschen getötet oder ernstlich verletzt hat.

11条 犬の押収と殺処分
(2)その犬が人間や動物の生命や健康に脅威をもたらすと信じるに足る理由がある場合は、権限のある(州の)当局は、危険な犬の殺処分を命ずることができます。
犬が人を殺した、もしくは重傷を負わせた場合は、その犬の殺処分を手配(Tötung ist an zuordnen)しなければなりません。
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
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