「ドイツでは殺処分は法律で認められていない」という、株式会社シロップの狂気発言

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(Zusammenfassung)
・Hundeverordnung Hessen
§ 11 Sicherstellung und Tötung von Hunden
(2) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines gefährlichen Hundes anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, daß von dem Hund eine Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht.
Die Tötung ist anzuordnen, wenn der Hund einen Menschen getötet oder ernstlich verletzt hat.
記事、
・日本よりペットショップがはるかに多いイギリス(人口比で1.6倍)~株式会社シロップの狂気「イギリスには全くと言っていいほどペットショップがない」、
・株式会社シロップの狂気「イギリス、ドイツでは犬はノーリードで良い」
の続きです。
これらの記事では、動物愛護に関する、特に海外情報においては私が確認した限り、全ての記事において嘘、誤り、偏向がある問題サイト、ペトことと、その運営会社、株式会社シロップに関する記事について書きました。今回は、記事、保護犬猫と里親を結ぶWebサービス「OMUSUBI」を立ち上げた理由、における社員の発言、「ドイツ:殺処分は法律で認められていない」が、真っ赤な嘘であることを書きます。
保護犬猫と里親を結ぶWebサービス「OMUSUBI」を立ち上げた理由、から問題の記述を引用します。
国立国会図書館 によれば、日本の約8万3000頭という殺処分数と比べて、イギリス・ドイツ・アメリカの各国の犬・猫を合わせた殺処分数は下記の通りである。
ドイツ:殺処分は法律で認められていない。
しかし、狩猟者による野良犬・猫の駆除が合法であるために処分されている犬猫が存在するが、公的な発表はない。
結論から言えば、ドイツには公的な犬猫の殺処分が法律に基づき、制度として存在します。また相当数ありますし、公的統計もあります。上記で「ドイツでは殺処分は法律で認められていない」とする根拠として挙げられているソース、「国立国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ― 」ですが、「ドイツでは殺処分は法律で認められていない」とは一言も書かれていません。ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetz)23条において、非占有の犬猫は通年狩猟が合法(というよりハンターの責務とされています)であることが定められており、推計で年間46万5,000頭の犬猫が狩猟駆除されているのは真実です。
その他にも、ドイツには州政府や連邦政府の行政組織が行う犬猫の公的殺処分制度が厳然と存在し、相当数あります。また公的統計もあります。さらに、民間組織のティアハイム(いわゆるアニマル・シェルター)も、一定の条件を満たせば、殺処分が合法ですし、相当数行われています。私は、「殺処分」を次のように定義しています。
1、法律に基づき、
2、制度として定められて一定数あり、
3、便益(例えば研究目的や工業製品に用いるなど)を目的としない、公衆衛生や安全対策上の犬猫の殺害。
さらに、
4、上記を、行政組織が行うものを「公的殺処分」と私は定義しています。
まず、ドイツにおける「公的殺処分」について述べます。ドイツにおける犬猫などの公的殺処分は次のようなものがあります。
1、全州に犬法(Hundegesetz)が定められており、本法に基づき飼育が禁止されている犬種の犬や、咬傷犬を州が押収して強制的に殺処分しなければならないと言う規定があります。(*1)
2、連邦狂犬病予防規則(Verordnung zum Schutz gegen die Tollwut (Tollwut-Verordnung))では、狂犬病の疑いが蓋然的にあるだけでも、その動物は押収~殺処分しなければならないとあります(例えば狂犬病感染動物と同じケージで輸送しただけでも、症状がなくても押収~殺処分しなければならないとあります。実際にそのようなケースで強制殺処分が行われています)。(*2)
3、ドイツ連邦通関法(Zollverwaltungsgesetz (ZollVG))において、検疫不備の犬猫は、通関事務所が押収して強制的に殺処分しなければならないとあります(日本にはそのような規定はない)。(*3)
4、各州の警察法(Polizeirecht)において、「市中の危険防止のために警察官は犬などの動物を射殺することは職務権限である」と定めています。相当数あり、2015年の犬などの射撃は11,901であり、制度としての「公的殺処分」と言っても差し支えないと思います。(*4)
そのほか民間においても、「合理的な理由があり」、かつ「原則意識喪失状態(麻酔下)でされば殺害ができる」とし、さらに、「それが不可能な場合であっても他の法律の規定があれば、回避不能な苦痛の範囲内であれば意識下でも殺処分できる」と、動物保護法(Tierschutzgesetz)に規定があります。
事実ドイツでは、民間の獣医診療所では多くの殺処分(麻酔下での安楽死)が行われています。また民間の動物保護施設であるティアハイムでも、相当数・率の殺処分が行われています。2014年に行われた、ハノーバー(ハノーファー)獣医大学の調査によれば、ティアハイムに収容された犬のうち、26.2%が合法的に殺処分されています。(*5)
ドイツ動物保護協会では、ティアハイムの運営指針として、動物の安楽死(殺処分)について指針を出しています。それは、「1、末期の傷病動物は殺処分(安楽死)させなければならない」としています。そのほかに殺処分(安楽死)しても良いとしているケースは、「2、行動障害があり、それによりその動物が生存するうえで苦痛をもたらしている場合」と、「その動物が行動障害があり、周囲に危険を及ぼし緊急性がある場合」があります。(*6)
上記の事柄は、既に私が何度も根拠を上げて記事にしてきました。対して、ドイツ連邦共和国の法令においては、「動物の殺処分を禁じる規定」はありません。ぜひ山本氏に、「ドイツ:殺処分は法律で認められていない」を定めている法律と、該当する条文を原文で示していただきたいです(ここでも「嘘つきは出典を上げない」という大原則通りです)。
「続き」でそれらの記事のリンクを貼っておきます。各記事に、全て根拠となる出典(ドイツ連邦共和国が公表している法令原文、公的統計資料、大学の学術調査、マスメディアの記事など)を示しています。それと補足すべき点をいくつか挙げておきます。
日本で、「ドイツには犬猫の狩猟駆除はあるが殺処分がない、殺処分ゼロである」、「ドイツでは犬猫の狩猟駆除はあるが、行政が行う公的殺処分はない」と主張している人たちが、唯一バカの一つ覚えとして根拠にしているのが、「国立国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ― 」です。しかしこの文献には、「ドイツには行政が行う殺処分はない」とは一言も書かれていません。
嘘には狭義の嘘と広義の嘘があります。狭義の嘘とは、ありもしないことを「ある」と言うことです。例えばこの連載で取り上げた、株式会社シロップの、「イギリス、ドイツにはほぼペットショップがない」、「イギリス、ドイツでは犬はノーリードでも良い」などです。対して広義な嘘とは、意図的に伝えるべき事を伝えないことです。「国立国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ― 」では、ドイツの狩猟駆除について述べているにもかかわらず、そのほかの殺処分制度について一言も触れていなのは読者に「狩猟駆除以外ドイツには殺処分はない」と著しく誤解させます。その点では、広義の嘘と言えます。その他にも、この文書は問題点が多々あります。
私が「ドイツには公的殺処分がある」ことを、Q&Aサイトなどで、ドイツの法令原文を引用して訳しても一切聞く耳持たない人が多かったです。「ドイツ語はわからない」から。「わからないのもは=存在しないということにしておこう」ということでしょうか。そして、「国立国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ― 」を唯一あげて「ドイツには公的殺処分がない」と言い張ります。
では、日本語しか読めない方にこの資料を引用します。在日本ドイツ連邦大使館・総領事館が、日本向けに日本語で情報提供しているサイトです。ドイツへの犬、猫などの持ち込みについてから引用します。
ドイツに直接入国し、ドイツ国内に留まる場合には、狂犬病予防接種の証明とマイクロチップの装着の証明が必要となります。
狂犬病の予防接種の証明書がないペット、もしくはマイクロチップを提示するこ とができないペットは、管轄官庁によりもと来た国へ送致されるか、健康検査が終わるまで検疫所に預けられます(費用は飼い主負担)。
非常手段として、飼い 主の費用負担なしに殺処分されることもあります。
これは通関事務所(ドイツ連邦共和国の行政組織)が行うことですから、「公的殺処分」そのものです。「殺処分を禁止」どころか、「殺処分しなければならない」という規定です。
しかし少し考えれば、ドイツ連邦共和国は人口が8,000万人を超える、先進国で大国です。また狂犬病清浄国ではありません。第二次世界大戦後の政治混乱期と、旧共産圏諸国の政情不安と東西ドイツ統一時、そして旧ユーゴスラビア内戦時には、ドイツに国境を接する東ヨーロッパでは狂犬病が多発しました。そのような状況で、ドイツという国が、公衆衛生政策が無為無策のわけがありません。市中で狂犬病に感染している恐れがある犬が見つかった場合、民間人ハンターが狩猟駆除してくれるまで待つのですか。また通関時に狂犬病に感染してると疑われる犬があった場合、街中に放して民間人ハンターに射殺させるのですか。株式会社シロップの社員や「ドイツには公的殺処分がない」と言い張ってる人の言うことが真実だとすればそうなります。実に馬鹿げたことです。またドイツは、人口比で日本の10倍も犬の咬傷事故が多いのです。今年の4月だけで、3名の方が犬に殺されました。では、ドイツでは、街中で大型犬が人を襲っている時に、民間人ハンターが射殺してくれるまで待つのでしょうか。
冷静になって考えれば分かることです。私は「先進国では公衆衛生上と安全対策上、行政が犬などの殺処分を行わない国は皆無である」と断言します。
(動画)
Nach tödlicher Attacke: "Listenhund Chico" wurde eingeschläfert 致命的な攻撃の後に: 「リストの犬(ドイツでは全州で飼育などが禁止されている犬種があり、特別な許可を得なければ犬は押収されて殺処分、飼い主は刑事罰を受けるとの法律があります。その禁止犬種にリストアップされた犬という意味)」を安楽死させました 2018/04/16 に公開
ドイツでは、今年4月だけでも、3名の方が犬に咬まれて死亡しています。この報道は、それらの事件のうちの一つです。ドイツでは、無許可飼育の禁止犬種や、咬傷事故を起こした犬などを州が強制的に殺処分しなければならないという法律の規定があります。法律に則って、殺処分回避のデモも起きましたが、死亡咬傷事故を起こした犬は2週間を経ずに、速やかに殺処分されました。この事件と、他のドイツの咬傷死亡事故に関しては、改めて記事にします。日本語記事 ペットの犬が飼い主親子を殺害か、自宅に遺体 ドイツ 2018年4月4日
Kampfhund „Chico", der seine Halterin und dessen Sohn totgebissen hatte, wurde eingeschläfert.
Das meldet die Bild-Zeitung.
女性の飼い主とその息子を死傷させた闘犬種「チコ(犬の名前)」は、安楽死させられました。
Bild紙(ドイツ最大手新聞)が報道しています。
(参考資料)
・Hundeverordnung Hessen 「ドイツ ヘッセン州 犬規則」
§ 11 Sicherstellung und Tötung von Hunden
(2) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines gefährlichen Hundes anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, daß von dem Hund eine Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht.
Die Tötung ist an zuordnen, wenn der Hund einen Menschen getötet oder ernstlich verletzt hat.
11条 犬の押収と殺処分
(2)その犬が人間や動物の生命や健康に脅威をもたらすと信じるに足る理由がある場合は、権限のある(州の)当局は、危険な犬の殺処分を命ずることができます。
犬が人を殺した、もしくは重傷を負わせた場合は、その犬の殺処分を手配(Tötung ist an zuordnen)しなければなりません。
飼育が禁止されている犬や咬傷犬、特に重大咬傷事故を起こした犬は、ドイツ全州で「殺処分しなければならない」との法令の規定があります。対して日本では、仮に死亡咬傷事故を起こした犬であっても、強制的に行政が殺処分できる法律の規定はありません。
まさに、「ドイツ:殺処分は法律で認められていない」の発言は、真逆(まぎゃく)も真逆、真実の正反対です。よくもまあ、こんな大嘘誤りを、公のメディアで垂れ流すことができるものだと感心します。株式会社シロップの代表者、大久保氏の発言も然り。
(*1)
・無実の犬を強制殺処分~ドイツでは咬傷犬などは強制的に殺処分され、さらに費用まで請求される
(*2)
・続・ドイツにおける狂犬病対策での殺処分は、日本よりはるかに厳格です
(*3)
・在日本ドイツ連邦大使館・総領事館 ドイツへの犬、猫などの持ち込みについて
(*4)
・ドイツの警察官が年間約1万2,000もの犬などを射殺する根拠~まとめ
(*5)
・ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は3割近く~ハノーバー獣医科大学の学術調査(2014年)
(*6)
・まとめ・ティアハイムの動物虐待と違法殺害~あまりにも多いティアハムの犯罪
・Tierschutzgesetz 「ドイツ連邦動物保護法」
~
§ 4
(1) Ein Wirbeltier darf nur unter wirksamer Schmerzausschaltung (Betäubung) in einem Zustand der Wahrnehmungs- und Empfindungslosigkeit oder sonst, soweit nach den gegebenen Umständen zumutbar, nur unter Vermeidung von Schmerzen getötet werden.
Ist die Tötung eines Wirbeltieres ohne Betäubung im Rahmen weidgerechter Ausübung der Jagd oder auf Grund anderer Rechtsvorschriften zulässig oder erfolgt sie im Rahmen zulässiger Schädlingsbekämpfungsmaßnahmen, so darf die Tötung nur vorgenommen werden, wenn hierbei nicht mehr als unvermeidbare Schmerzen entstehen.
4条
(1)脊椎動物は、意識が喪失した状態でかつ、所定の状況において合理的である場合に限り、痛みを回避するに足る効果的な疼痛管理(麻酔下)でのみ殺害することができる。
牧畜や狩猟における慣行、またはその他法律の条文の規定で麻酔なしの脊椎動物の殺害が許可されている場合、または許容される有害動物の駆除対策の範囲内であれば、回避不能な苦痛の限度内であれば殺害することができる。
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