野良猫を観光資源にしている尾道市は動物福祉に反する~尾道市の地域猫を否定する広島大学の論文

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Domestic/Inländisch
近年日本は「猫ブーム」で、野良猫を観光資源にして、観光客誘致を図る地域が出現し始めました。その一つが広島県尾道市です。尾道市の浜手地区は漁師町だったこともあり、もともと野良猫が多かったのですが、昨今の「猫ブーム」に便乗して尾道市観光協会は「猫の細道」と名づけて広報しています。この尾道市の「猫の細道」では、地域猫活動は行われています。しかし広島大学大学院・生物圏科学研究科のチームの学術調査では、「猫の細道」の猫たちの調査を行ったところ、ほぼすべての猫が健康上の問題を抱え、ほぼ3年以内に姿を消す(おそらく事故死や病死、衰弱死と思われる)となりました。その上で、「地域猫は動物福祉上問題である」と結論づけています。
まず、広島県尾道市環境協会の広報から。「猫の細道」に関する記述から引用します。この記述からは、完全に野良猫を「観光資源」ととらえています。(一社)尾道環境協会 猫の細道 2018年2月16日最終更新。こちられはこの様な記述があります。「みどころ紹介 猫の細道 猫の細道は艮神社の東側から天寧寺三重塔にかけて続く約200mの細い路地。 猫の気分でそぞろ歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか」。
尾道市の「猫の細道」の野良猫を見ることを目的に、観光客も多数訪れています。「尾道市 猫 観光」というワードで検索すれば、それが伺えます。
しかし野良猫愛好家の観光客が一時の娯楽のために野良猫と戯れることは、猫の動物愛護上、ひいては動物福祉上、好ましいとは言えません。尾道市の、「野良猫を観光資源」とした、「猫の細道」の野良猫の生息状況を学術調査した広島大学大学院・生物圏科学研究科のチームは、野良猫たちの大変厳しい状況を示しています。その上で、「尾道市の屋外猫の状況は動物福祉に反する。また地域猫は好ましいとは言えない」と結論づけています。
その学術論文、Three-year route census study on welfare status of free-roaming cats in old-town Onomichi, Japan 「尾道市旧市街地における、自由に徘徊する猫の動物福祉状態に関する3年間のルート調査」 2017年9月29日(Journal of Applied Animal Welfare Science 掲載)
The free-roaming cat population in Japan is increasing, and these cats are regarded as a tourism resource in some areas.
Thus, this study assessed the welfare status of free-roaming cats in the old town of Onomichi City, Hiroshima, Japan.
Route censuses were conducted 8 times per month for 3 years to estimate cat populations in the uptown and downtown areas of Onomichi.
In the 1st year, we found 124 cats and 80 cats in the uptown and downtown areas, respectively.
Approximately half the cats in each area were in poor physical condition.
By the 3rd year, 99 of the 124 uptown cats and 66 of the 80 downtown cats had disappeared.
Moreover, uptown cats in poor physical condition disappeared in significantly greater numbers than those in good condition.
It was presumed most missing cats died from illness or injury as opposed to having migrated elsewhere.
This study suggests the welfare status of free-roaming cats in Onomichi is poor.
日本の屋外を自由に徘徊する猫の個体数は増加しており、これらの猫は、一部の地域では観光資源とみなされています。
そのために本研究では、広島県尾道市の旧市街地における、自由に徘徊する猫の動物福祉状況を評価しました。
ルートセンサス法による個体数調査が、猫の個体数を推定するために、尾道市の山手地区と浜手地区で3年間にわたり、1ヶ月につき8回実施されました。
1年目には、山手地区で124匹、浜手地区では80匹の猫がそれぞれ見つかりました。
各地域の猫の、約半数の健康状態は悪かったです。
3年目までに、124匹の山手地区の猫のうちの99匹と、80匹の浜手地区の猫のうち66頭がいなくなりました。
さらに、健康状態が悪い山手地区の猫は、健康状態が良いものよりも有意に多く、姿を消しました
ほとんどの行方不明の猫は、他の場所に移動したのではなく、病気や怪我で死亡したと推定されました。
この研究は、尾道市における自由に徘徊する猫の、動物福祉上の状態が悪いことを示唆しています。
尾道市以外でも、例えば近年観光地として脚光を浴びている「猫島」が日本にはいくつかあります。そのような猫島の一つに「青島」がありますが、私も記事にしています。
・猫の島「青島」は、将来の日本の縮図なのか?
・続・猫の島「青島」は、将来の日本の縮図なのか?~ドイツのメディアは「青島」をどのように報じているのか
・続々・猫の島「青島」は、将来の日本の縮図なのか?~アメリカのメディアは「青島」をどのように報じたか
これらの記事では、私はアメリカとドイツの日本の「猫島」に対する報道を取り上げました。海外メディアは、日本の猫島を「動物福祉上問題がある」と否定的な報道をしています。しかし日本のメディアは、好意的な報道しかありません。特にTNR活動に至っては、疑問を呈する記事は皆無です。
刹那的に訪れる観光客が、その場限りで「かわいい~」、「癒される~」というのは、動物福祉の向上にはなんら寄与しません。そのような観光客を呼び込むために、自由に徘徊する猫=外猫を温存し、それを観光資源化するのはむしろ動物福祉に反します。
しかし外猫を温存し、無責任に、「かわいい~」「、「いやされる~」というのは、外猫目当ての観光客のみならず、一般の地域猫活動家や、野良猫へ給餌する人も同類だと思います。動物福祉を考えるのならば、猫は飼い主が不妊去勢をし、完全に室内飼いするのが最も理にかなっています。
(動画)
How Long Do Outdoor Cats Live? 「外にいる猫は一体何年生きられるのでしょうか?」 2016/05/23 に公開
世界最大の動物愛護団体、PETAは、一貫して完全にTNRに反対しています。このビデオは、TNR猫の、悲惨な状況をよく表しています。
Bust the trap-neuter-abandon fantasy.
Keep cats indoors, spay and neuter, and help pass—and get enforced—ordinances that require responsible cat guardianship.
トラップ-ニューター-捨て猫、の空想を破壊してください。
猫を室内で飼うこと、不妊と去勢、そして猫を責任もって飼育することを義務付ける条例の制定を助けてください。
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