「奄美大島のノネコの殺処分は世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する」という支離滅裂な主張~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する

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・「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する 、
・「ノネコ・野良猫は在来生物と共存関係にある」という妄言~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する、
・「アマミノクロウサギの死因は交通事故が多い」はトリック~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する、
・「アマミノクロウサギの生息域が拡大し、生息数が増えた」という嘘のからくり~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する、
・猫に捕食されている希少生物を保護するためにTNRを行う狂った日本~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する、
の続きです。
アマミノクロウサギなどの希少生物が猫の捕食被害を受けている徳之島で、TNRを行っている愛護(誤)団体などは、「奄美群島全域で猫のTNRをすべきで捕獲殺処分をするべきではない」と主張しています。奄美群島はユネスコの世界自然遺産登録の申請をしていますが、これらの団体などは「ノネコの殺処分は世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する」と主張しています。しかしそれは正反対で、支離滅裂もはなはだしいです。海外の、猫が在来生物を食害していた世界自然遺産登録地では、厳格に猫などの外来生物を駆除(殺処分)し、根絶しました。
「ノネコの殺処分は世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する」と主張しているのは、徳之島でTNRを実施したTNR団体で活動している獣医師です。その主張を引用します。
ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない。沖縄、奄美大島。2017年10月23日 。
アマミノクロウサギ絶滅危惧の原因はノネコにあり殺処分・安楽死を、というキャンペーンの根拠に獣医師らが疑問を呈している。
不妊手術を検討する前に大量殺処分を実施してしまうことは、世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する。
しかし、奄美群島の希少生物を食害する外来種である猫を殺処分することが「世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する」との主張は支離滅裂です。この発言をした獣医師も、報道したメディアも、自らの無知蒙昧を恥じるべきでしょう。
ユネスコの世界自然遺産とは、「顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など」であり、「地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきたかけがえのない宝物」としています。その上で、「世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産」と定義されてます(世界遺産とは 公益財団法人 日本ユネスコ協会連盟)。
つまり、「奄美群島の普遍的価値を有する、アマミノクロウサギなどの絶滅危惧種を含む生態系を保全し、元のままの形で次世代に引き継いでいくこと」が、世界自然遺産の登録の理念なのです。つまりアマミノクロウサギなどを食害する外来種の猫を島外排出、引き取り手がなければ殺処分やむなしとの方針は、世界自然遺産登録の理念に全く合致しているのです。
奄美群島と同様に、島嶼での貴重な生態系が価値があるとされ、世界自然遺産に登録された近年のケースを取り上げます。近年オーストラリアで世界自然遺産に登録された島嶼には、マッコーリー諸島があります(オーストラリアの世界遺産)。
マッコーリー島は、かつて人間が持ち込んだ猫などの外来種が移入しており、貴重な在来生物を食害していました。しかしオーストラリア政府は、世界自然遺産登録を機に、大変厳格にこれらの島内の猫の駆除(殺処分)を行い、ほぼ根絶に成功しました。猫などの外来種の駆除は、銃による射殺とわな、探知犬によります。
オーストラリア政府の文書、This week at Macquarie Island: 17 February 2017 「今週のマッコーリー諸島 2017年2月17日」。2017年2月17日、から引用します。
Macquarie Island was discovered in 1810 by commercial fur sealers, and over the ensuing 80 years, six feral animal species established populations on the island as well.
Dogs and cats were reported as being feral in 1820.
Cats severely affected the island’s native fauna with estimates that a population of about 500 cats was killing around 60,000 seabirds per year.
Opportunistic cat control began in 1974 .
The cat eradication strategy grew from a single winter ranger in 1985 to a team of six in 1998 and employed techniques including hunting and trapping.
The last cat was shot on the island in June 2000, bringing the total of cats destroyed to 1689.
In late 2000, two dogs trained in cat detection were deployed to the island for the verification phase.
These dog teams combed the island to make sure that all signs of cats were gone.
The eradication was a success.
マッコーリー島は1810年に商業的なアザラシの毛皮業者によって発見され、その後80年間にわたり6種の移入野生動物種が島で増殖しました。
犬と猫は1820年に野生化していると報告されました。
約500匹の猫の集団が、年間約6万羽の海鳥を殺していたと推定されていて、島の原生動物相に深刻な影響を与えていました。
その場しのぎの猫の管理は、1974年に始まりました。
猫の根絶戦略は、1985年に1人の冬期の自然保護官から始まり、1998年には6人のチームに拡大し、狩猟やわななどの技術を採用しました。
最後の猫は、2000年6月に島で射殺されて、総数は1,689匹の猫が殺害されました。
2000年代後半には、猫探知の訓練を受けた2頭の犬が、猫の生存を確認する段階にある島に配備されました。
これらの猫探知犬のチームは、猫のすべての兆候がなくなったことを確認するために島をくまなく探しました。
マッコーリー島の猫根絶は成功しました。
このように、オーストラリア政府は、マッコーリー諸島の世界自然遺産の登録を申請することを機会に、徹底した外来生物(猫など)の駆除を進めて、根絶にほぼ成功しました。それが、ユネスコの世界自然遺産登録の理念に合致するからです。その他に、オーストラリアでは多くのユネスコの世界自然遺産や世界複合遺産が登録されていますが、いずれも猫などの外来生物は駆除~根絶に成功したり、根絶の努力を続けています。複合遺産のタスマニア原生地域でも、現在、猫の根絶事業に大変力を入れています。
まさに、徳之島で猫TNRを行っている団体関係者の、「不妊手術を検討する前に大量殺処分を実施してしまうことは、世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反する」は、正反対の大嘘です。このような発言をした方や報道したメディアは、本気でそう思っているのでしょうか。もしそうならば、あまりにも愚かですし、自らの無知蒙昧を恥じ入るべきです。このような方は、野生動物や生態系保全にはかかわらず、発言もしないでいただきたい。
(動画)
Macquarie Island Pest Eradication - Hunting 「マッコーリー島における有害生物の根絶-狩猟」 2012/07/18 に公開
探知犬による、ウサギや猫の探査作業。根絶に成功したとされながらも、その後も有害な外来生物が生き残っていないか、再移入していないかを徹底して調べています。それが、ユネスコ世界自然遺産の登録の意義、「顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など」であり、「地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきたかけがえのない宝物」を、「世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産」を守るということです。
奄美群島でノネコ対策がおろそかになり、アマミノクロウサギが仮に絶滅してしまったのならば、それこそユネスコの世界自然遺産登録の理念に反します。正直、「バカも休み休み言え」と言いたくなります。
わざわざ独立した記事で書くほどでも無いので、こちらで書きます。前回記事、猫に捕食されている希少生物を保護するためにTNRを行う狂った日本~「ノネコ殺処分・安楽死計画の根拠は科学的ではない」の非科学性を検証する、でも取り上げました、(財)どうぶつ基金の会員、小池英梨子(Eriko Koike )さんが、2017年に開始した、インターネット署名サイトです。
世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!(2017年開始)、から引用します。
ユネスコの理念(多様性の尊重、非排他性)に反した非科学的、非人道的な根拠に乏しい大量殺処分であり、世界遺産登録の努力を逆に台無しにしかねないため、反対します。
奄美大島とその周辺の島は、世界自然遺産の候補地です。
アマミノクロウサギやヤンバルクイナといった希少種が生息しているためです。
(その他にも、誤り、偏向した箇所が多数あります。しかし既にこの連載で述べてきたことですので割愛します)。
鹿児島県の奄美大島と、その周辺の島(奄美群島)には、ヤンバルクイナは生息していません。ヤンバルクイナの生息地は、沖縄県沖縄島北部やんばる地域のみです(環境省 ヤンバルクイナ)。
インターネットでの、署名サイトを立ち上げるくらいならば、それぐらいの事実関係を確かめないのでしょうか。また、その誤りを指摘しない署名者ばかりというのも、いわゆる「猫愛誤」のレベルの低さだと思います。また、(財)どうぶつ基金の代表者も、「オランダでは8週齡未満犬猫販売禁止」という誤りを堂々と公言しています(動物愛護管理法の改正/仔犬編 2011年記事)。しかし現在オランダは、犬猫とも7週齡未満で母親から分離することを禁じています(根拠法 Besluit houders van dieren2014年成立施行)。(財)どうぶつ基金のこの記述は大嘘、もしくは誤りです。
また、世界遺産登録の基準としては、こちらにあります。世界遺産活動 世界遺産の登録基準。世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!で引用されている、ユネスコの理念、「多様性の尊重、非排他性」は、どちらからの引用でしょうか。私が確認したところ、ユネスコ憲章(つまり「理念」)を始め、その記述は見出すことはできませんでした(日本ユネスコ国内委員会)。
ぜひ、出典を示していただきたいものです。署名発起人の勝手な思い込み、もしくは「創作、捏造、嘘」でしょうか。公に意見表明し、署名を募るのであれば、その出典を明らかにする責務があると思います。この署名発起人に限らず、いわゆる動物愛護(誤)団体の情報のいい加減さは目を覆うばかりです。嘘、誤りが前提ならば一般に対する説得力もないとも思われますが、それでも動物愛護(誤)関係の署名が集まるのが、日本の動物愛護の後進性そのものでしょう。
さらに付け加えれば、かつて野良猫を殺害した税理士(当時)の事件があり、その容疑者(当時)に対する温情判決を求める署名がありました(この署名サイトの発起人が私とだとの情報がインターネット上で拡散されましたが、私ではありません)。この署名サイトで、私はドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetz)のリンクをつけて、「ドイツでは本容疑者を処罰することはできない。ドイツでは非占有猫の殺害(狩猟)は合法だからである」とコメントしたところ、それをスクリーンショットを取られ、「さんかくたまごは大嘘つきでデタラメ」と拡散されました。この根拠は、ソースを示さないツイッターの「ドイツ人の弁護士がこのような事件では懲役10年になると言っていた」というツイートです。
ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetz)では、明確に、23条で「ドイツでは(非占有の)犬猫の通年狩猟をハンターの責務としている」とし、19条で「ライブトラップで捉えた狩猟鳥獣を速やかに殺害しない」ことを禁じてはいますが、罰則規定はありません。また、狩猟免許がない場合での非占有犬猫の狩猟(殺害)は、刑事罰がありません。行政罰の過料(最高で5,000ユーロ。通常は数百ユーロ、数万円の処罰)だけです。事実、非占有犬猫の殺害に対しては、懲役10年どころか、懲役が科されたという判例はドイツでは皆無です。これらは、ドイツ連邦法務省や、大学の判例サイトで確認できます。
まさに日本の「愛誤」は狂人、白痴レベルです。真実よりも、彼らの頭の中の妄想が彼らにとっての「真実」です。このような人たちとは、建設的な議論はもとより、正常なコミュニケーションは不可能でしょう。
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