ヨーロッパの犬8週齡未満販売禁止の国の犬咬傷事故数は日本よりはるかに多い~犬猫8週齡未満販売禁止の考察

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(summary)
Dog bite accident
・Nearly 2000 children savaged by dogs every year as attacks soar to record high
・Epidemiologic surveys of dog and cat bites in the Lyon area, France
記事、
・TOKYOZEROキャンペーンの「犬猫の8週齡未満販売禁止は殺処分を減らす」は欺瞞~犬猫8週齡未満販売禁止の考察、
・太田匡彦氏の「欧米先進国では『(犬猫)8週齢販売規制』は常識」は嘘~犬猫8週齡販売禁止の考察、
・アメリカでは、犬の8週齡未満販売禁止の州が規制がない州よりはるかに犬咬傷死亡事故が多い~犬猫8週齡未満販売禁止の考察、
の続きです。
前回記事では、アメリカ合衆国における州別の犬咬傷死亡事故発生数と、各州の犬の8週齡未満販売禁止規制を取り上げました。アメリカ合衆国では、約半数の23州で犬の8週齡未満の販売禁じています。州別の犬の死亡咬傷事故者数によれば、州による犬の8週齡未満販売規制が、咬傷事故を防止するとの結果は認められませんでした。今回は、ヨーロッパにおける、犬の8週齡未満販売規制がある国の咬傷事故を取り上げます。結論を述べると、それらの犬の咬傷事故件数は、日本よりはるかに多いです。
ヨーロッパで犬の8週齡未満販売禁止を法制化しているのは、EU(イギリスは離脱予定ですが)では、イギリス、ドイツ(販売そのものは禁じてはいないが、8週齡未満での母犬との分離を禁じている)、フランスがあります。EUに未加入のスイスも、8週齡未満の犬の販売を禁じています(*1)。それらの国は、いずれも、8週齡未満の犬の販売を禁じていない日本より、はるかに犬による咬傷事故が多いのです。それらの国の、犬の咬傷事故について比較的正確な統計資料があるのはスイスとイギリスです。
まず、スイスの犬の咬傷事故統計を取り上げます。JAHR 2009: GESAMTBILD DER VORJAHRE BESTÄTIGT 「2009年 前年に確認された犬咬傷事故の全体」(2010年 Vereinigung der Schweizer Kantone Tierärztinnen und Kantonstierärzte スイス州獣医師会の調査報告書)。
(画像)
JAHR 2009: GESAMTBILD DER VORJAHRE BESTÄTIGT 「2009年 前年に確認された犬咬傷事故の全体」、に掲載されているグラフ。Abb. 1: Anzahl Meldungen über Vorfälle mit Hunden in den Jahren 2007, 2008 und 2009 「図1:2007年、2008年および2009年の犬による咬傷事故の報告数」。bisse bei menschen 「対人咬傷事故」では、2009年は2843件発生しています。

次は、イギリスの統計です。Nearly 2000 children savaged by dogs every year as attacks soar to record high 「犬による攻撃が激増して記録的となり、毎年犬によって死傷させられる子供は2000人近くになります」。2016年3月26日(イギリス、ミラー紙記事)、から引用します。
The rise comes despite tougher laws against owners of dangerous dogs.
Nearly 2,000 children a year now need hospital treatment after being savaged by dogs .
The 1,733 traumatised kids were among 7,332 dog-attack victims needing hospital treatment.
Dogs which have not been trained or socialised and are not taken for walks are more likely to be aggressive.
Puppies and young dogs are not being socialised and exposed to positive experiences,which is having catastrophic results.
(イギリスでは)危険な犬の飼い主に対する厳しい法律があるにもかかわらず、犬の咬傷事故数は増加しています。
犬に傷害を負わされた後に、今年は約2,000人の子供が入院治療を受ける必要がありました。
1,733人の怪我をした子供たちは、病院での入院治療を必要とする、犬から攻撃攻撃を受けた被害者7,332人に含まれます。
訓練されていない、もしくは社会化されていない、散歩に向かない犬は攻撃的である可能性が高いのです(註 あらっ、TOKYOZEROキャンペーンや太田匡彦氏の説では、「8週齡未満販売禁止をすれば犬の社会化が十分に行われ、噛みぐせ(=攻撃性)は防げる」のではなかったのでは?)。
(イギリスでは)子犬や若い犬は社会化されておらず(註 あららららっ!太田さん「8週齡未満販売禁止は犬の社会化になる」のではなかったのじゃないですか。ぜひご本人に説明していただきたい)、人に対して致命的な結果をもたらす自信過剰な経験にさらされています。
対して日本では、対人咬傷事故数は、平成23年度は4,149件、平成24年度は4,198件、平成25年度は4,443件、平成26年度は4,364件です(平成22年度以前の統計値は対人対動物の咬傷事故が合算して集計されているために、同時期の統計値の比較ができませんでした。従って平成23年度以降の数値を用います)。(1)犬による咬傷事故件数(全国計:昭和49年度~平成26年度) 環境省。
まずスイスですが、日本の人口はスイスの16倍ですので、スイスの2009年の対人咬傷事故件数2,843件を16倍すれば、45,488件になります。つまり犬の咬傷事故発生率は、単位人口当たりではスイスは、日本の10倍以上になります。
次にイギリスです。イギリスの人口は2016年は65,648,000人で、年間咬傷事故者数は7,332人(入院治療を要する被害者数のみ)です。8,954人に1人が犬の咬傷被害に遭いました。対して日本の平成26年度の人口は1億2,676万人で、咬傷事故数は4,364件です。29,047人に1人が犬の咬傷事故に遭ってるということです。つまり、イギリスは、人口比で日本の3.34倍も犬による咬傷事故数が多いということになります。ただし、イギリスの統計は「入院治療した被害者数」です。日本の犬咬傷事故統計は保健所に届出があったもので、必ず入院治療が必要な事故だけとは限りません。この点を考慮すればこの数値より、イギリスの犬咬傷事故の人口当たり発生数は、日本よりはるかに多いのです。
以上より、「犬の8週齡未満の販売は、噛みぐせ(つまり「攻撃性」そのものです)などの問題行動の原因になる」という説が正しければ、スイス、イギリスと、日本の犬の咬傷事故の人口当たり発生数は矛盾することになります。
なお、ヨーロッパでは、犬の8週齡未満の販売を禁じている国は他にも、ドイツ、フランスがあります。ドイツとフランスは、詳細な犬の咬傷事故統計がありません。ただしドイツでは、犬の咬傷事故発生数が、年間35,000件という推計があります(ドイツの犬咬傷事故は日本の約10倍~ドイツにおける犬の咬傷事故35,000件の分析結果)。その推計値によれば、ドイツの人口当たり犬の咬傷事故発生数は、日本の10倍以上になります。
フランスも全土の詳細な統計値はありません。しかし「フランスにおける犬と猫の咬傷事故発生数は、リヨンで10,000人に対して37.5人の発生数」とあります。ほとんどが犬と思われます。それによれば、フランスの犬と猫の咬傷事故発生数は、人口当たりで、日本の犬の咬傷事故約11倍になります(Epidemiologic surveys of dog and cat bites in the Lyon area, France「フランス・リヨン地域における犬と猫の咬傷の疫学調査」)。
スイス、イギリス、ドイツ、フランスに比べて日本は小型犬の比率が多いと推測されます。そのほかに、日本人は事故を表沙汰にしたがらないという国民性などの特殊要因はあるとは思われます。しかしそれらを差し引いても、犬の8週齡未満販売を禁じているヨーロッパ諸国にくらべて、日本は犬の咬傷事故は少ないと言えると思います。
太田匡彦氏らは、「日本の犬のほうが、日本は8週齡未満の販売を禁じていないので、噛みぐせ(=攻撃性、咬傷事故そのものです)などの問題行動を起こしやすい」という主張をしています。しかし8週齡未満販売禁止をしている欧米諸国と日本の犬咬傷事故数の統計を見る限り、その主張には甚だ疑問を感じます。
(動画)
Chatham Dog Attack: Toddler ‘Critically Ill’ After Police Shoot Dog Dead 「イギリス、チャサムの犬の攻撃:警察官は犬を射殺しましたが、そののちの幼児の容態は命に関わる重体です。2017/04/05 に公開
(動画)
犬猫の殺処分0へ、宮本亜門さん「生体販売禁止」訴え(2017年10月11日)では、宮本亜門氏は次のように述べています。「(ペットショップの)店頭で蛍光灯に照らされている犬の光景など、海外では見たことがありません」。宮本亜門氏は、前回の私の記事で取り上げた、宮本亜門さん・とよた真帆さんが語る「保護犬・保護猫と暮らす幸せ」、でのイベントでの発言者です。太田匡彦氏とともに同類が群れますね。こんなこと言って恥ずかしくないのでしょうか。欧米各国では、ショーケースに子犬や子猫を展示して、蛍光灯で煌々と照らしているペットショップがいくらでもあります。無知蒙昧で口から出まかせを言っているのか、嘘付きなのか。私には理解不能な人たちです。
宮本亜門 店頭で蛍光灯に照らされている犬の光景など、海外では見たことがありません。
さんかくたまご 海外で、犬を蛍光灯の照明のショーケースに入れて、犬を展示販売しているなど普通にあります。
宮本亜門 実は、私は海外に行ったことがないんだ(ナンチャッテ 笑い)。
・Pet's shop in Paris 「フランス、パリのペットショップ」。2011/06/24 に公開
・Dogs 4 Us Demo Jan 2012.wmv 「Dogs4Us(イギリスの子犬安売り巨大ペットショップチェーン) デモビデオ」。2012/02/01 に公開
・Bund deutscher Tierfreunde e.V. bei Zoo Zajac 「Zoo Zajac(ドイツにある世界最大のペットショップ)での、ドイツの動物の友達」。2012/02/09 に公開。ドイツでも、蛍光灯で照らしたショールームで犬猫の展示販売を行っています。
(画像)
スイスの犬雑誌、Hundemagazin-Schweiz(フントマガジンースイス)の記事、Billigwelpen 「格安の子犬」から。東欧からスイスに輸入された格安の子犬がペットショップやインターネットで販売されていることが書かれています。スイスでは、犬猫などのペットショップでのショーケース売を禁じていませんし、行われています。

(*1)
STS-REPORT SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS Auf den Hund gekommen: Illegaler Hundehandel und -import fördern Tierleid und Kriminalität 「STS レポート 動物保護団体STS 犬の飼育:違法な犬の商業取引輸入が犬の苦しみや犯罪を促進させる」。2016年
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