アメリカでは、犬の8週齡未満販売禁止の州が規制がない州よりはるかに犬咬傷死亡事故が多い~犬猫8週齡未満販売禁止の考察

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(summary)
8-Year U.S. Dog Bite Fatality State Map - 2005 to 2012 During this 8-year period, 251 Americans suffered death due to dog bite injury.
記事、
・TOKYOZEROキャンペーンの「犬猫の8週齡未満販売禁止は殺処分を減らす」は欺瞞~犬猫8週齡未満販売禁止の考察、
・太田匡彦氏の「欧米先進国では『(犬猫)8週齢販売規制』は常識」は嘘~犬猫8週齡販売禁止の考察、
の続きです。
「日本の殺処分の多さ(註 実は、日本は国際比較ではむしろ極めて少ない国である)は、ペットショップの展示販売、特に幼齢犬猫の販売が原因だ」と主張している団体とジャーナリストがいます。TOKYOZEROキャンペーンと、朝日新聞記者の太田匡彦氏は、その最右翼です。「幼齢で親から離すと犬猫は噛みぐせなどの問題行動を起こし、それが飼育放棄の原因となり、殺処分につながる」としています。しかし8週齡未満の販売規制が犬の問題行動である噛みぐせ、つまり咬傷事故を防止することを裏付ける統計はありません。逆にアメリカ合衆国の犬の死亡咬傷事故数は、犬の8週齡未満販売禁止の州より、規制がない州の方がはるかに少ないのです。
朝日新聞記者である太田匡彦氏の、TOKYOZEROキャンペーンのイベントでの発言を引用します。宮本亜門さん・とよた真帆さんが語る「保護犬・保護猫と暮らす幸せ」。2017年10月27日。
イベントは元衆議院議員で料理研究家の藤野真紀子さんが代表を務める「TOKYO ZERO キャンペーン」が主催したのもので、対談の司会は宮本さん、とよたさんを取材したこともある朝日新聞の太田匡彦記者が務めました。
太田:日本の犬のほうがアメリカで飼われている犬より4〜5倍くらい問題行動を起こしやすいっていうデータもあったりします。
今日の冒頭で「TOKYO ZEROキャンペーン」の取り組みとして「8週齢」っていう話がありましたけど、やっぱり初期の適切な社会化を経ていないがために無駄吠えとか噛み癖(註 攻撃性そのものである)とか、他の犬や人への恐怖心が芽生えてしまうというのがあって。
引用のとおり、太田匡彦氏は、・犬の8週齡未満販売を禁止しているアメリカ(註 実はアメリカ合衆国50州のうち、半数未満の23州に過ぎないのですが)は、日本より、噛みぐせ(つまり攻撃性、咬傷事故そのものです)が4倍も多いデータがある」と述べています。私は該当する文献を英語で検索しましたが、ありませんでした(*1)。
さらに記事、宮本亜門さん・とよた真帆さんが語る「保護犬・保護猫と暮らす幸せ」、を報じたメディアに問い合せました。しかし、一切返事はありません。以下が、その問い合わせメールです。
御社の記事についてお問い合わせします。
1、「太田:日本の犬のほうがアメリカで飼われている犬より4〜5倍くらい問題行動を起こしやすいっていうデータもあったりします」。
の記述について。
①「犬の問題行動」とはどのようなことを指しているのでしょうか。
②「データがあったりします」~の出典をお示しください。
学術調査、論文があるのですか。
原文の一次ソースをご提示ください。
まず、太田氏が犬の問題行動として挙げている「噛みぐせ」、これはイコール咬傷事故そのものです。しかし犬の咬傷事故数は、アメリカの方が人口比で日本の400倍も多いのです。太田氏の、「日本は犬の問題行動(噛みぐせ)が4〜5倍くらい多い」は全く矛盾します。出典を示さないのは、口からでまかせの嘘である可能性が高いです。
アメリカの犬の咬傷事故数が人口比で、日本より約400倍も多いデータはこちらです。All Dog Bite Statistics 「アメリカ 犬の咬傷事故統計」。対して日本の犬の咬傷事故数は、概ね4,000件台で推移しています(3.動物による事故 (1)犬による咬傷事故件数(全国計:昭和49年度~平成26年度)(環境省調べ)。人口比では、アメリカの犬の咬傷事故数は、日本の約400倍です。
The number of victims
The most recent USA survey of dog bites conducted by CDC researchers concluded that in 2001, 2002 and 2003 there were 4.5 million American dog bite victims per year (1.5% of the entire population).
Dog bites send nearly 316,200 victims to hospital emergency departments per year (898 per day).
Approximately 750,000 dog bite victims require medical care each year.
In 2015, more than 28,000 reconstructive surgery procedures were performed because of dog bites.
5,900 letter carriers were bitten in 2012.
犬の咬傷事故の被害者の数
CDCの研究者らが実施した最近の犬の咬傷に関する米国の調査では、2001年、2002年および2003年に、年間450万人のアメリカ人の犬の咬傷事故被害者(全人口の1.5%)がいると結論付けました。
犬の咬傷事故においては、年間316,200人の被害者を救急病院に搬送します(1日あたり898人)。
毎年、約75万人の犬の咬傷被害者が医療期間による治療を必要としています。
2015年には、犬の咬傷のために28,000以上の形成外科手術が行われました。
2012年に5,900人の郵便配達員が犬に噛まれました。
さらに興味深いデータがあります。先の述べた通り、アメリカ合衆国においては、犬の8週齡未満販売を禁止している州は現在23州です(半分未満)。犬の8週齡未満販売禁止をしている州と、規制がない州の犬の死亡咬傷事故数を比較すると、はるかに犬の8週齡未満販売を禁じている州の方が多いのです。
8-Year U.S. Dog Bite Fatality State Map - 2005 to 2012 During this 8-year period, 251 Americans suffered death due to dog bite injury. 「アメリカ合衆国の8年間の犬の咬傷死亡数の州地図 - 2005年から2012年 この8年間に、251人のアメリカ人が犬の咬傷により死亡した」。2013年3月9日統計資料(Dogs Bite.orgより)。
(画像)
8-Year U.S. Dog Bite Fatality State Map - 2005 to 2012 During this 8-year period, 251 Americans suffered death due to dog bite injury. 「アメリカ合衆国の8年間の犬の咬傷死亡数の州地図 - 2005年から2012年 この8年間に、251人のアメリカ人が犬の咬傷により死亡した」。2013年3月9日統計資料。

上記の画像のとおり、犬の咬傷死亡事故数が多い州のうち、上位5位の州は以下のとおりです。私が前回記事で引用した、Table of State Laws Concerning Minimum Age for Sale of Puppies 「アメリカ合衆国における子犬販売の最低年齢に関する州法の一覧」、のとおり、以下の州は、全て犬の8週齡未満販売を禁じています。
1、テキサス州 (32名)
2、カリフォルニア州 (28名)
3、ジョージア州 (16名)
4、フロリダ州 (14名)
5、ミシガン州 (12名)
対して、同じ期間で、犬の死亡咬傷事故数がゼロの州がいくつかあります。次のとおりです。これらの州は、いずれも犬の、8週齡未満の販売を禁じていません。
・ワシントン州 (0名)
・ノース・ダコタ州 (0名)
・サウス・ダコタ州 (0名)
・アイダホ州 (0名)
・ワイオミング州 (0名)
・ニューハンプシャー州 (0名)
・ヴァーモント州 (0名)
アメリカ合衆国における、州別の犬による死亡咬傷事故発生は、8週齡未満販売禁止とは、全く相関性がないことが伺われます。むしろ数値の上では、逆相関にすら見えます。つまり、「犬の8週齡未満販売禁止は、犬の問題行動、特に噛みぐせ=咬傷事故の防止には全く効果がない」と思われます。
さらには、犬の8週齡販売禁止は、犬の殺処分数にも、影響を及ぼさないと考えられます。また、50州のうち23州で犬の8週齡未満販売禁止、17州で猫の販売禁止をしているアメリカ合衆国は、犬猫の8週齡未満販売禁止をしていない日本より、約11倍(ASPCAの2017年公表推計値。低位推計)も犬猫の殺処分数が多いのです。さらに、犬猫とも8週齡未満販売禁止をしているフランスでは年間の殺処分数が50万頭と推定されており、その数は人口比で日本より約20倍も多いのです。この点については、次回以降の記事で取り上げます(続く)。
(動画)
Dog Bite Prevention and Awareness Tips 「犬の咬傷の予防と意識へのヒント」。USPS TV 2017年4月4日公開
アメリカは大変犬による咬傷事故が多く、社会問題となっています。CDC(アメリカ連邦政府疾病予防管理センター)も、犬の咬傷事故に対しての警告を促しています。とても「日本の犬はアメリカより4~5倍も噛みぐせなどの問題行動が多い」とは思えません。
The CDC reports that “dogs bite 4.5 million people” annually.
Each year, more than 6,000 letter carriers will be victims of dog attacks.
CDC(アメリカ連邦政府疾病予防管理センター)は、「犬は450万人を毎年咬む」と報告しています。
毎年、6,000人を超える郵便配達員が犬の攻撃の被害者になります。
(*1)
・ジェームス・サーベル著「The Domestic Dog -its evolution, behavior and interactions with people」「犬 -その進化、行動、人との関係」(ジェームズ・サーペル編 森裕司監修 武部正美訳:チクサン出版社)」を何度も挙げられた方がいます(犬猫幼齢動物の販売日齢について(環境省))。
~
この点について、FaceBookで、「これが太田匡彦氏の『日本は犬の問題行動(噛みぐせ)が4〜5倍くらい多い』の」出典だ」と何度もコメントされた方がいます。しかし本書で引用されている学術論文ですが、概要をすべてインターネットで調べましたが、太田匡彦氏が言われる、「日本は犬の問題行動(噛みぐせ)がアメリカより4〜5倍くらい多い」という記述は一切ありませんでした。ぜひ、その記述の箇所を原文で示していただきたいです。この方は、「室内実験で得られた結果」と、「現実の社会現象の統計値」との区別がつかないのでしょうか。
- 関連記事
-
- ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は、成功かそれとも偽善か?~アメリカのメディアの記事から
- ペットショップ規制で犬のインターネット販売が激増したロサンゼルス市~狂気の動物愛誤家たち
- 「ロサンゼルス市には生体販売ペットショップがない」という、懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
- アメリカでは、犬の8週齡未満販売禁止の州が規制がない州よりはるかに犬咬傷死亡事故が多い~犬猫8週齡未満販売禁止の考察
- 「アメリカでは一部の州でペットショップでの生体販売を禁じている」という大学准教授の無知蒙昧~加隈良枝帝京科学大学准教授
- 「アメリカには、犬猫の生体販売を行っているペットショップはありません」という驚愕大嘘
- 続・「インターネットで犬などのペット販売を行っていた日本は動物愛護後進国。他の先進国ではありえない」~と言うNHKの大嘘を暴く(アメリカ編)