猫は鳥インフルエンザのパンデミックの原因になりうる~早くから猫から人への感染の可能性が指摘されていた


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(summary)
・Outbreak of Avian Influenza A(H5N1) Virus Infection in Hong Kong in 1997
The experience of the H5N1 outbreak in Hong Kong underscores the importance of continuous surveillance of influenza virus strains in humans and in other animal species.
・Subclinical Infection with Avian Influenza A H5N1 Virus in Cats
Also unknown is whether domestic cats play a role in the epidemiology of avian influenza, which could be an undefined hazard for poultry and humans.
前回記事、猫は鳥インフルエンザのパンデミックの原因になりうる~東京大学らの研究、の続きです。前回記事では東京大学らの研究チームが、「鳥インフルエンザ(H7N2型)が猫に感染し、ウイルスが猫の間で保持されていたことが明らかとなった。また、本ウイルスが猫を介して人やそのほかの動物に伝播する可能性が示唆された」との論文を発表したことを取り上げました。しかし10年前から「鳥インフルエンザは猫に感染し、さらに猫から人に感染する。猫が鳥インフルエンザの中間宿主となって感染拡大するリスク」が指摘されていました。今回は、それらの論文を取り上げます。
東京大学らの研究における、「鳥インフルエンザ(H7N2型)が猫に感染し、ウイルスが猫の間で保持されていたことが明らかとなった。また、本ウイルスが猫を介して人やそのほかの動物に伝播する可能性が示唆された」との仮説は、特に日本の動物愛護(誤)関係者らに、少なからず衝撃を与えたようです。一部では「猫は危険ではない」と、猫による鳥インフルエンザの感染拡大の可能性を必死で打ち消すのに躍起です。対して「猫の放し飼い、地域猫などの野良猫温存策の見直しに追い風が吹いた」と評価する人もします。
しかし猫が鳥インフルエンザの中間宿主となり、人への感染拡大のリスク要因になりうるという論文は、10年以上前に、海外ではすでに出されていました。さらにそれ以上前から、鳥インフルエンザの死亡例を含む感染例が報告されていました。仮に猫が中間宿主にならなくても、ウイルスを猫が運ぶ物理的感染もありえます。いずれにしても、野良猫や放し飼い猫は、公衆衛生上のリスクとなることには変わりありません。
まず最初に、鳥インフルエンザが人にも感染し、かつ重症化し、死亡例もあるとの論文を引用します。Outbreak of Avian Influenza A(H5N1) Virus Infection in Hong Kong in 1997 「1997年の香港における鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染の発生」 オックスフォードジャーナル(オックスフォード大学) 2002年5月1日。
The first outbreak of avian influenza A(H5N1) virus in humans occurred in Hong Kong in 1997.
Infection was confirmed in 18 individuals, 6 of whom died.
Infections were acquired by humans directly from chickens, without the involvement of an intermediate host.
The clinical spectrum of H5N1 infection ranges from asymptomatic infection to fatal pneumonitis and multiple organ failure.
The experience of the H5N1 outbreak in Hong Kong underscores the importance of continuous surveillance of influenza virus strains in humans and in other animal species.
人における鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスの最初の流行は1997年に香港で起きました。
感染者は18人確認され、うち6人が死亡しました。
感染は、中間宿主の関与なしに、鶏から直接ヒトに感染しました。
H5N1感染の臨床症状の範囲は、無症候性感染から致命的な肺炎および多臓器不全までです。
香港でのH5N1の流行の事実は、ヒトおよび他の動物種におけるインフルエンザウイルス株の継続的な監視の重要性を強調しています。
つまり上記のオックスフォード大学による記事からは、1997年にすでに鳥から人への鳥インフルエンザの感染が確認され、死亡例もあったということがわかります。さらに、この感染例では中間宿主がなく、鳥から人へ直接感染したとされています。
この論文ではその上で、人や他の動物種への感染を持続的に監視すべきであるとしています。それは、鳥から人への感染のみならず、鳥から他の動物種(哺乳類など)へ、さらにそれが中間宿主となり、鳥以外の動物種から人への感染の可能性もありうることを示唆していると言えます。
次の論文は、鳥から感染するのみならず、鳥以外の動物種である哺乳類(ネコ科動物)間における水平感染が感染されたことが述べられています。実験室内では、鳥インフルエンザに感染したイエネコ(いわゆる「猫」)から、同種のイエネコが感染しました。また、タイの動物園のトラが鳥インフルエンザに複数感染した例では、哺乳類である、トラからトラへと同種間で鳥インフルエンザが感染したとされています。
Subclinical Infection with Avian Influenza A H5N1 Virus in Cats 「鳥インフルエンザH5N1ウイルスによる猫の無症候性感染について」 CDC(アメリカ連邦疾病管理予防センター Centers for Disease Control and Prevention)による論文 2007年2月。この論文でCDCは、2007年にすでに、「猫から人への、致命的な鳥インフルエンザ感染の可能性がある」ことを指摘しています。
Avian influenza A virus subtype H5N1 was transmitted to domestic cats by close contact with infected birds.
Avian influenza has attracted worldwide attention because highly pathogenic avian influenza virus subtype H5N1 can cause fatal infections in humans and other mammals.
Domestic cats and wild cats in a zoo have reportedly shown severe clinical signs and they may die of natural or experimental infections .
Horizontal transmission by experimentally infected cats has been demonstrated and was also assumed under natural conditions in tigers in Thailand .
Also unknown is whether domestic cats play a role in the epidemiology of avian influenza, which could be an undefined hazard for poultry and humans .
鳥インフルエンザAウイルス亜型H5N1は、感染した鳥類と濃厚に接触したイエネコ(いわゆる「猫」)に感染しました。
高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型が人や他の哺乳動物に致命的な感染を引き起こす可能性があるために、鳥インフルエンザは世界的な注目を集めています。
イエネコ(いわゆる「猫」)や動物園の野生の猫は、重症の臨床症状を示しており、自然感染や実験感染で死ぬ可能性があるだろうと伝えられています。
実験的に鳥インフルエンザに感染した猫による水平感染(同種間の感染)が実証され、そしてタイのトラでは自然条件下でも同様に水平感染が起きたと仮定されました。
また、イエネコ(いわゆる「猫」)が鳥インフルエンザの疫学上における役割を果たすかどうかは不明ではありますが、これは家禽や人間にとっては未定義の危険である可能性があります。
上記の2つの論文ですが、最初のオックスフォード大学の論文では、「鳥インフルエンザは鳥から人へ感染する。死亡例もある」としています。次のCDCの論文では、「鳥インフルエンザは猫から猫へ水平感染(同種間感染)する」ことが実証されたことが述べられてります。
鳥インフルエンザは、鳥以外の哺乳類も感染し、哺乳類の同種間での感染も確認されました。またネコ科動物は、鳥インフルエンザに感染しやすいとも言えます。哺乳類間の水平感染例では、ネコ科動物で実証され、自然下でもあると推測されているからです。そのうえでCDCの論文は、「猫が人間や家禽に鳥インフルエンザの感染拡大の原因となる可能性がある」と結論づけています。
若干長くなりましたので、ここで一旦切ります。次回記事では、「猫が、2009年に世界的に流行した、インフルエンザ(H1N1型)の中間宿主となった可能性がある」、という内容の論文(U.S National Library Medicine NCBI収録)を取り上げます。H1N1型鳥インフルエンザの、2009年から2011年にかけてのパンデミック(大流行)での、推定の全世界の死者数は1万8,000人とされています。
「猫がインフルエンザ(H1N1型)のパンデミックの原因となった可能性、今後もなりうる可能性」を警告する論文が発表されたのは、2010年です。ウイルスの変異の早さを考慮すれば、猫が中間宿主として、さらに鳥インフルエンザのパンデミックの大きな原因となるのは時間の問題という気すらします。しかし日本ではおかしなことに「野良猫放し飼い猫」の公衆衛生上のリスクはあえて触れません。私は、何らかの報道規制すらあるように思えてなりません(続く)。
(動画)
Avian Flu in Pets 「ペットにおける鳥インフルエンザ」。2008/03/15 に公開。すでに2008年頃には、欧米ではかねてより、猫が鳥インフルエンザに感染し、猫が人や家禽への感染流行をもたらす危険性が指摘されていました。
Since 2003, the world has watched with increasing concern as the avian flu virus, H5N1, has destroyed millions of birds in Asia and has taken the lives of more than 100 people.
The appearance of this virus in European domestic cats now has officials and pet owners in this country on high alert.
Is it possible for our cats to bring this deadly disease into our homes?
2003年以来、世界中で鳥インフルエンザウイルスH5N1が、アジアで数百万の鳥類を殺し、100人以上の人々の命を奪ったために、警戒心が高まっています。
ヨーロッパの飼い猫にこのウイルスが発見されたために、国家の公務員やペット所有者の警戒が高まっています。
私たちの猫が、この致命的な病気を家庭に持ち込むことは可能なのでしょうか?
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