「大学猫」は是か非か~アメリカ、ロサンゼルス郡では教育施設構内での餌やりは全面禁止


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(Summary)
An Army of Cat Lovers Is Feeding L.A.'s Feral Felines. Should They Be?
The Los Angeles Unified School District includes feral cats on its "Pest Management" guide and bans the feeding of cats on campus due to the risk they pose to children.
記事、「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル、の続きです。日本では近年、大学構内での地域猫的活動が増えつつあるようです。大学から公認を得て、組織化して行っているケースもいくつかあります。対して大学構内での給餌などの、地域猫的活動を禁止した福井大学があります。アメリカ合衆国では、教育施設の構内での野良猫への給餌を一律で禁じている自治体があります。構内での餌やりなどを禁じ、野良猫を捕獲して行政組織に引き取らせている(多くが殺処分される)フロリダ州立大学などもあります。近年では、アメリカではTNR活動であっても、給餌を禁じる条例がむしろ増えつつあり、それに伴い、大学などの教育施設においても野良猫の給餌を禁じるケースが増えているように思います
まず、自治体内の教育施設内での野良猫への給餌を一律に禁じている、アメリカ、ロサンゼルス郡のケースです。An Army of Cat Lovers Is Feeding L.A.'s Feral Felines. Should They Be? 「猫偏愛者の軍隊は、ロサンゼルスの野良猫へ餌やりをしています。それはするべきことでしょうか?」。2015年3月31日、から引用します。
Feeders might be doing as much harm as good.
There are a lot of feral cats in L.A.; though it's impossible to truly get a handle on the population, estimates of Los Angeles County's feral cat population range from 1 million to 3 million across the county — which could be as many as one cat for every four humans.
The Los Angeles Unified School District includes feral cats on its "Pest Management" guide and bans the feeding of cats on campus due to the risk they pose to children.
The L.A. County Department of Public Health advises residents to avoid any interaction with feral cats.
Because they might be carrying fleas infected with typhus, which can spread to humans through the fleas' feces or bite.
L.A. County documented 379 cases of flea-borne typhus between 2001 and 2014, according to the state Department of Public Health.
Feral cats may also carry toxoplasmosis, a parasitic disease that's spread through a cat's feces.
Symptoms often begin like a flu but in extreme cases can develop into seizures, brain infections and schizophrenia.
Pregnant women and those with compromised immune systems are especially at risk.
野良猫への餌やりは、良いことをしていると思っていながら、実は多くの損害を与えているかもしれません。
ロサンゼルス郡には多くの野良猫が存在し、その正確な数を把握することは不可能ですが、ロサンゼルス郡の野良猫の数の推定値は、郡全体で100万〜300万の範囲です- それは人4人につき1匹の猫の割合になる可能性があります。
ロサンゼルスでは、すべての学区は一律に野良猫は「有害動物管理」指針に記載されているとおり、子供たちに与えるリスクにより、学校構内においては猫への給餌を禁止しています。
ロサンゼルス郡公衆衛生局は、野良猫との相互作用を避けるように住民に助言しています。
なぜならば、野良猫はチフスに感染したノミを持っているかもしれませんし、チフスがノミの糞やかみ傷から人に伝染する可能性があるからです。
ロサンゼルス郡の公衆衛生省によると、2001年から2014年までの間に、379のノミ媒介性発疹チフスの症例を報告ました。
野良猫はまた、猫の糞便を通じて広がる寄生虫性疾患である、トキソプラズマ症を感染させる可能性があります。
トキソプラズマ症の症状はしばしばインフルエンザのように始まりますが、極端な場合には発作、脳の感染症および統合失調症に発展する可能性があります。
妊娠している女性や、免疫システムが損なわれている人は特に危険にさらされます。
カリフォルニア州ロサンゼルス郡のケースは、行政指導により教育施設構内での野良猫への給餌を禁じています。しかし私有地内であっても、TNR活動の一環であっても、いかなるケースにおいても、野良猫(飼い猫登録が無登録)への給餌を禁じる条例がアメリカの自治体ではいくつもあります。そのような自治体では、自動的に大学内での餌やりが禁止されることになります。
例えば、ニュージャージー州の、ウエスト・オレンジ・タウンなどがそうです。New Jersey Town Bans Feeding Stray Cats 「ニュージャージーの町は、野良猫への給餌を禁じた」。2014年9月14日、から引用します。
The New Jersey town of West Orange just announced a complete ban on feeding stray cats.
Residents and visitors have been prohibited from feeding strays or wildlife anywhere in the town.
Now the law outright bans even the feeding of animals of any kind, anywhere in the town, including on their own private property.
The ordinance has sparked a debate as feeding strays is part of the implementation of the TNR Program.
The new law would make this illegal.
ニュージャージーのウェスト・オレンジ・タウンでは、野良猫への給餌を完全に禁止すると発表しました。
住人や訪問者は、町のいかなる場所においても、野良犬猫や野生生物に給餌することが禁止されます。
現在法律は、自己所有の私有地内を含め、町のいかなる場所においても、あらゆる種類の動物の給餌を禁止しています。
条例は、TNRプログラムが実施されている猫の一部にとっては、栄養失調をもたらすとの議論を巻き起こしています(註 つまりTNR活動であっても給餌は禁じられる)。
新しい法律では、TNRに伴う給餌は違法となります。
既に書いたとおり、ロサンゼルス郡は、郡内で一律に、学校内での野良猫への給餌を禁止しています。理由は、野良猫がもたらす感染症のリスクです。野良猫は自由に徘徊し、給餌を行っている学校の構内にとどまらず、周辺の住民にも感染症のリスクを及ぼす可能性があります。ロサンゼルス郡においては、2014年頃に、野良猫が拡散させたノミにより発疹チフスが流行しました。行政の中止指導に従わずにTNRマネジメント活動を続けた動物保護団体のTNR猫により、人への発疹チフス感染がありました。TNRを行っていた団体は、刑事訴追を受けました。これは私も記事にしています(TNRマネジメントにより発疹チフスが流行したアメリカの事例~野良猫は公衆衛生上の脅威である、TNRにより発疹チフスを拡大させた団体は刑事訴追に直面している~アメリカ、カリフォルニア州オレンジカウンティー)。
日本では、発疹チフスの発症は近年確認されていませんが、新しい感染症が出現しています。例えばマダニが媒介するSFTSですが、感染したマダ二のみならず、猫と犬からの感染も確認されています。猫から感染した患者さんは死亡しました。猫は、感染マダニを拡散させます。また、猫から直接無関係な人へ感染する可能性があります。
アメリカの大学では、構内での野良猫の餌やりを全面的に禁止しているところがいくつもあります。その一つがフロリダ州立大学です。フロリダ州立大学では、「有害生物管理専業職員」を大学内に配置しています。野良猫の餌は見つけ次第廃棄します。そして野良猫を捕獲し、郡のアニマルサービスにそれらの野良猫を持ち込む(多くは殺処分される)という、かなり強硬な手段を講じています。
次回は、このフロリダ州立大学について書きます。フロリダ州立大学では、強硬な野良猫の給餌禁止をしていますが、それでも強引に大学構内で餌やりをする職員などが絶えないようです。その対立は、福井大学の比ではないかもしれません(続く)。
(動画)
ディズニーランドに住み着いたニャンコたち / 推定200匹が “勤務中”。2014年11月24日公開。いまだにカリフォルニア州のディズニーランド園内では猫のTNR活動が行われており、「TNRの素晴らしい成功例。カリフォルニア州のディズニーランドは猫の楽園」との嘘情報が拡散されています。本当に嘘情報の拡散の有害はなはだしい。
しかし、真実は次のとおりです。カリフォルニア州のディズニーランドの猫TNR活動は、2008年にカリフォルニア州行政裁判所により停止命令が出されていました。それにもかかわらず違法に続けられていたのです。さらに周辺自治体で、TNR猫が原因とされる発疹チフスが流行し、例外のない野良猫への給餌を刑事罰で禁じる条例が制定されました。ディズニーランドは、来場者の安全のためなどにより、2015年に園内の猫をすべて殺処分しました。
ネズミの国だけに?アメリカのディズニーランドに住みついた野良猫たちとそのサイドストーリーより。
追記:2015年10月02日
現在、アナハイムは 猫が原因とみられる皮膚疾患が確認されたため、TNR(野良猫を捕獲して去勢・避妊ご元の場所に戻す)と餌やりが禁止されたそうだ。
違反すると罰金及び禁固刑となり、 ディズニーランドの猫は全頭根絶されることとなったようだ。
(参考資料)
・Feral Cats of Disneyland, Anaheim, Prevented from Being Fed 「アナハイムのディズニーランドの野良猫 連邦政府による防止」。
~
As of Jan. 1, 2015, per Anaheim City Code: COD2015-01329, it is illegal to feed feral cats – not just at Disneyland, but all over the Southern California city.
And the feral-feeders who spend time caring for these cats to the best of their abilities think so too – especially because many have been threatened with fines and jail time if they don’t stop caring for these helpless creatures.
2015年1月1日現在、アナハイム市条例コード:COD2015-01329に基づき、ディズニーランドのみならず、カリフォルニア南部の全てで野良猫へ給餌することは違法です。
そして、これらの猫のために、最大限の努力をして時間を費やしている、野良猫の給餌者(TNR活動家)は、これらの無力な生きもの(野良猫)の世話を止めなければ、多くの人が罰金と刑務所での懲役に脅かされることになります。
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