所有者不明猫の引取りを、事実上拒否している自治体があります。引き取り拒否の根拠となる公文書が一切存在しない自治体もありますが、所有者不明猫の引取りを制限できると解釈できる条例を制定している自治体も複数あります。それらの条例は、限りなく違法(ブラック)に近いグレーです。 所有者不明犬猫の、自治体による引取りの根拠は動物愛護管理法35条2項です。
第三十五条 都道府県等は犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。
2項 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。 「引き取らなければならない」とあり、明らかに動物愛護管理法においては、都道府県等に所有者不明犬猫の引取りを、理由の如何を問わず義務付けています。しかし複数の自治体では、事実上所有者不明犬猫の引取りを拒否しています。大阪府のようにその根拠となる公文書が一切なく(平成24年11月現在)、「府民の皆様には、府の動物愛護行政への理解と協力を頂いています」というふざけた自治体もあります。「理解と協力」は強制できるものではないでしょう。
それはさておき、所有者不明犬猫の引取りを自治体が制限できると解釈できる条例を定めている自治体が複数あります。以下に例示します。( )内は、最終改正年度です。
・東京都動物の愛護及び管理に関する条例(平成18年)
第21条 3項 知事は、所有者判明しない犬又は猫の引取りを、その拾得者から求められた場合において、当該犬又は猫を引き取ることがやむを得ないと認めるときは、これを引き取るものとする。
・岡山市動物の愛護及び管理に関する条例(平成18年)
第21条 2項 市は,所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者その他の者から求められた場合において、当該犬又はねこを引き取ることについてやむを得ない理由があると認めるときは、これを引き取るものとする。
・北九州市動物の愛護及び管理に関する条例(平成21年)
第17条 市長は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められた場合において、当該所有者が飼養することができないことについてやむを得ない理由があると認めるときは、これを引き取るものとする。
4項 第1項及び第2項の規定は、所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者から求められた場合について準用する。
・横浜市動物の愛護及び管理に関する条例 (平成23年)
第16条 市長は、犬又はねこの引取りを求められたときは、やむを得ない理由があると認めるときに限り、これを引き取るものとする。 動物愛護管理法35条2項で、自治体に所有者不明猫の引取りを義務付ける規程を定めているのにも関わらず、「所有者不明猫の引取りをしない」という書き方をすれば、明らかに憲法第94条、及び地方自治法第14条に違反します。また「下位法の制定は、上位法の規定に反してはならない」との原則にも反します。
そのような文言であれば、もし行政訴訟で訴えられれば、当該条例は無効となる可能性が大です。
憲法第条94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
地方自治法第14条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができる。 そこで明らかに完全にブラック(違法)となるような文言は避けて、「やむを得ない理由があると認めるときに限りこれを引き取るものとする」とし、あたかも犬猫の引取りに関して自治体に審査権があるような書き方をしているのです。「やむを得ない理由」なんて客観的基準はありません。屁理屈をつければいくらでも引取りを拒むことができます。
東京都などの地方自治体の、所有者不明犬猫の「引取り拒否の根拠」「あたかも引取りの審査権が自治体にあると誤認させるような」条例の条文は、私に言わせれば限りなくブラック(違法)に近いグレーです。
最初に条例制定したのは東京都ですが、続く自治体も全く同じ文言
「犬又は猫を引き取ることがやむを得ないと認めるとき」というのには呆れます。最初に条例制定をした東京都は条例案が首長提出なのか議員立法なのかは存じませんが「うまく愛誤の、所有者不明犬猫の引取りを拒否しろと言う要求に応じることができた」のには間違いないようです。このような規定であれば、行政訴訟を提起して条例の無効を訴えても必ずしも訴えが認められるとは限りません。しかし引取りの窓口では、担当者の裁量によりいくらでも所有者不明犬猫の引取りを拒否出来るのです。
自治体が所有者不明犬猫の引取りを事実上拒否したとしても、それが動物愛護に適うとは思いませんし、根本的解決方法でもありません。保健所による殺処分が減ったからといって、不幸な死に方をする犬猫が減るわけではないのです。例えば路上死猫の処分数は、保健所での殺処分数の約2倍です(尼崎保健所所長が書いた本の記述などによれば)。路上死猫の1匹あたり処分費は、保健所での殺処分よりコストがかかります。また衛生上も良くないでしょう。
保健所で所有者不明猫の引取りを拒否し、拾得者に元の場所に戻すよう指導している熊本市保健所などもあります。拾得後の再遺棄は、動物愛護管理法44条3項違反が成立する可能性があります。
自治体の所有者不明犬猫の引取り拒否は、単ある数合わせで何の意味もありません。記事で取り上げた所有者不明犬猫の引取り拒否を条例で規定している自治体以外でも、事実上引取り拒否をしている自治体は多くあります。私は、動物愛護管理法35条2項に従い、所有者不明犬猫の引取りが正常化することを望みます。
(追記)
自治体に、拾得した所有者不明猫の引取りを拒否された場合の対処方法が書かれたブログ記事があります。リンクをつけておきます。
自治体の飼い主不明猫引取り拒否について行政手続法で対抗できるそうです。Byサーバント様・画像は、神戸市動物管理センター内の動物慰霊碑。献花とお供え物が絶えないです。日本は、実数では、ペットの殺処分が際立って少ない国です。米国では、シェルターに収容されたものだけで、年間700万頭の犬猫が殺処分されますが、その他にも警察官や民間人による駆除も一般に行われています。また獣医師による安楽死も広く行われています。
ドイツ、イギリスでも、野良猫は射殺駆除することは普通に行われており(ドイツでは、狩猟駆除だけで猫は年間40万頭。日本の保健所による殺処分数の3倍近く)、獣医師による安楽死も広く行われています。
日本は明治時代まで、仏教による不殺生戒が浸透しており、動物を殺すことに関しては大変抵抗感がある国民性です。また画像のように、動物でも供養を行います。イギリスでは、BSE発生まで、殺処分した犬猫の死体は飼料や工業原料としていました。米国では今でも広く行われています(ただし牛の飼料として用いることは禁止されました)。
「欧米では虐待ゼロ、殺処分ゼロ」と言い、日本での殺処分を攻撃している愛誤団体は多いですが。彼らは本気で思っているのでしょうか。欧米の事情を知っているのでしょうか。

神戸市動物管理センターの、民間共同犬猫譲渡事業を取材してきました。譲渡対象になるのは、健康状態や外見が良いものだけです。それでも猫はほぼ100%雑種です(安易にペットショップで買った人が捨てるという愛誤の主張は大嘘です)。犬はたまに純血種がいます。
職員の方から話をお伺いしましたし、写真撮影もしました。
(追記)
本記事が書かれたのは2012年11月2日です。その後、横浜市は「横浜市動物の愛護及び管理に関する条例」の改正を行い、 「規定により犬又はねこの引取りを求められたときは、やむを得ない理由があると認めるときに限り、これを引き取るものとする」の文言を削除しました。改正後の施行は、平成25年9月1日からです。
市第 13 号議案 横浜市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正について
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有益な情報を提供していただき感謝しています。
今後も被害者救済の為に専門知識をお持ちの方にご教示頂きたいと思います。
しかし、止むを得ない場合とは何ですか?
論理的な反論知識を持たない一般被害者が困るだけですよね。
別に条例で書く文言ではないと思います。
何が止むを得ないのか具体的に示せと言いたいです。
多分、具体化したら行政が法的に負けるリスクがあるから書けないのだと私は思います!
猫糞被害者@名古屋様
>止むを得ない場合とは何ですか?
解釈により、いくらでも引取りを拒否できる理由になりえます。
破産して家を失ってホームレスになったとしても、大阪城公園や扇町公園では、犬猫を飼育しているホーレスがいます。
拡大解釈すれば、犬猫を飼育できない状況なんてありえないでしょう。
> 論理的な反論知識を持たない一般被害者が困るだけですよね。
このような条文を示されれば、届け出た人は窓口で言いくるめられてしまいます。
再遺棄が犯罪ならば、知らずに保健所に届け出た人が元の場所に遺棄すれば犯罪者にされてしまいます。
では届け出た人が、その猫を一生飼育しなければならないのですかね?
そんな恐ろしい規定をよく作ったものです。
私の父が存命の頃は、家の前に犬猫をよく捨てられました。
この条例に従えば、そのまま死ぬまで待って処分するということになります。
> 多分、具体化したら行政が法的に負けるリスクがあるから書けないのだと私は思います!
それもあるでしょうね。
さんかくたまご様
久しぶりのコメント投稿になります。
以前(7月頃)数回アドバイスをいただきました福岡の「猫害で頭が痛いです」です。
その後も毎日のようにさんかくたまご様のブログを拝読しています。
その後、私の住んでいる地域ではしばらくは猫による被害は落ち着いていましたがこの1週間くらいからまた糞、尿の悪臭、鳴き声がひどくなりました。(秋の盛りの時期なのでしょうか。)
あまりにもひどかったのでダメ元でしたか動物管理センターに相談しました。その返事たるや相変わらず「被害に遭わないように自衛してください。」という返事でした。具体的には「捕獲器は貸せない、駆除はできない(法律がないからという理由)」でした。
逆に猫が家の敷地に入れないように「釣り糸を仕掛けていますか、唐辛子を撒いてみましたか、トゲトゲシートを敷いていますか」という返事が返ってきて逆にこちらが何か悪いことをしたような言い方で不愉快な思いをしたところです。町内会長との話で「このままだと、何らかの強硬手段にでも出なければなりませんね。」と先日相談をしてたところです。
該当している猫は近所の飼い猫でいつも我が家周辺をうろついている三毛猫です。飼い主に苦情を言っても効果はないでしょうが思い切って苦情を言ってみようかとも思います。また、次回糞があったら問答無用で「猫定食」を配膳しようかと思います。
お手数ですがさんかくたまご様のご意見、アドバイスがいただければありがたいと思う次第です。
猫害で頭が痛い様に何の非があって猫害を受忍しなければならないのですか?
そんな事はありませんよね。
動物管理センターの職員の名前は聞きましたか?
被害者なのに悪者にされてさぞ嫌な気分でしたでしょう?
拙記事をご覧になって、くされ職員を法を持って追い込む事をおすすめします。
「法律がないから駆除できない。」
私は本来、保護して引取ると言う法的に王道スタイルを支持していますが、罰則が適用できない論な話なら、自分の敷地内に「ドブネズミ駆除」の毒餌を置いて、勝手に猫食べてしまうのも勝手ということになります。
身勝手な猫飼い主は猫がどのような事故にあっても自業自得。
マナーを守って室内飼育して下さい!
猫害で頭が痛い様、お久しぶりです。
> その後も毎日のようにさんかくたまご様のブログを拝読しています。
ありがとうございます。
今後とも応援よろしくお願いします。
> ダメ元でしたか動物管理センターに相談しました。その返事たるや相変わらず「被害に遭わないように自衛してください。」という返事でした。具体的には「捕獲器は貸せない、駆除はできない(法律がないからという理由)」でした。
もしかしたら猫を引き取らないという北九州市なのでしょうか。
「自衛」はどこの保健所でもいいますね。
しかしそれは根本的解決ではありません。
自衛すれば、他で糞をするだけです。
「他人に嫌なことを押し付ければいい」というエゴイズムです。
>町内会長との話で「このままだと、何らかの強硬手段にでも出なければなりませんね。」と先日相談をしてたところです。
もし保健所が事実上所有者不明猫を引き取らない自治体の方でしたら、自治会で猫を保護して保健所に持ち込むという方法は難しいです(保健所の方が違法なんですがね)。
>近所の飼い猫でいつも我が家周辺をうろついている三毛猫です。飼い主に苦情を言っても効果はないでしょうが思い切って苦情を言ってみようかとも思います。また、次回糞があったら問答無用で「猫定食」を配膳しようかと思います。
数は少なくて飼い猫なんですね。
飼い主に自治会からも注意はするべきでしょう。
飼い主が飼い猫と自覚していれば、保護して保健所に持ち込んでも引き出されるし、所有権を言い出すから面倒です(反面、民法718条により、飼い主に損害賠償を請求できますが)。
私は本来は、保有者不明猫は保健所に届ける、飼い猫であれば飼い主に室内飼いしていただくという、王道をお勧めします。
しかしそれで解決しなかったのが猫問題です。
一般論を申し上げますが、私有地内に規制のないものをどのように保管しても罰することはできまえん。
例えば「埠頭駅定食」ですが、これはエチレングリコールと猫餌を混ぜたものです。
エチレングリコールの毒性は、米国でも広く知られているようです。
日本での規制は、消防法で4,000リットル以上保管する場合は届出が必要です。
それに満たない場合は、私有地内であればどのように保管しても罰することは出来ません。
不凍液は不倒。
カツオは勝つ男。
それらを混ぜて庭において「お供えです」でもいいのです。
イワシの頭をヒイラギの枝にさしたものよりは霊験がありそう。
それとかアセトアミノフェン(市販鎮痛剤)や、農薬以外の殺鼠剤をどのように(猫餌に混ぜる等)
庭においても罰することは出来ません。
もしそのようなものを私有地に勝手に入ってきた猫が誤食して死んだとしても、あなたは何の責任も負いません(もし単なるおまじないをおいて、猫を殺傷する意図がなかったとすれば)。
な告訴被害者@名古屋様
> 拙記事をご覧になって、くされ職員を法を持って追い込む事をおすすめします。
おかしな猫引き取り拒否の自治体に抗議するためにも、行政上の手続きを取り頑張る方が出てくることを内心期待します。
>保護して引取ると言う法的に王道スタイルを支持していますが、罰則が適用できない論な話なら、自分の敷地内に「ドブネズミ駆除」の毒餌を置いて、勝手に猫食べてしまうのも勝手ということになります。
私も野良猫対策は、保護~保健所届出、という王道を支持しています。
しかし法に反して、所有者不明猫を引き取らない自治体が多いのです。
ですからインターネットで広く流布されている方法を用いるのもやむを得ないと思います。
「自治体が野良猫を捕獲する根拠となる法律がない」のならば「私有地内に規制のないものをどのように保管しようが罰する法律はない」のです。
> 身勝手な猫飼い主は猫がどのような事故にあっても自業自得。
> マナーを守って室内飼育して下さい!
放し飼いする方が悪いのです。
猫を危険に晒しているのは飼い主です。
私は家の前に「当敷地内では、合法的な農薬、殺鼠剤などペットに有害なものを置いています。ペットは、当敷地内に入らないようにしてください」という看板を掲げています。
しかし放し飼いを「やめないのが基地害です。
>放し飼いする方が悪いのです。
>猫を危険に晒しているのは飼い主です。
>私は家の前に「当敷地内では、合法的な農薬、殺鼠剤などペットに有害なものを置いています。ペットは、当敷地内に入らないようにしてください」という看板を掲げています。
しかし放し飼いを「やめないのが基地害です。
屋外で猫が晒されるリスクと、屋内のリスクでは比較しようがないほどの差があります。
ちょっと想像力があればわかる話ですし、飼っている猫が大切だと思うなら、外に出すなんて思いもよらないと思います。
外飼いしている方にも「ペットは大切な家族」とクチにする方がいますが、普通に考えて大切な家族を死のリスクに晒す**がいますかね?
外飼いしている方というのは、何だかんだ言っても猫なんて生きたおもちゃ程度の認識なのか、絶望的に想像力が欠落しているかだと私は思っています。
迷惑餌やり反対派様、コメントありがとうございます。
> 屋外で猫が晒されるリスクと、屋内のリスクでは比較しようがないほどの差があります。
放し飼い愛誤はすぐに人による「虐待」を騒ぎますが、それと比べ物にならないくらい多くの交通事故や感染症などの病死、ケンカほかの動物による殺害などがあります。
> 外飼いしている方にも「ペットは大切な家族」とクチにする方がいますが、普通に考えて大切な家族を死のリスクに晒す**がいますかね?
近所でも、放し飼い猫が行方不明になったと貼り紙をして大騒ぎした愛誤がいますが、放し飼い猫の屋外での死亡行方不明は必然でしょう。
> 外飼いしている方というのは、何だかんだ言っても猫なんて生きたおもちゃ程度の認識なのか、絶望的に想像力が欠落しているかだと私は思っています。
想像力の欠落は激しく同意します。
想像力の欠落=バカということです。
大阪城の近くに住むものなんだが、自分は猫は嫌いでも好きでもない中立な立場。だが公園を散歩して餌の散らかしや、放置、そこに群がるカラスの群れ、梅雨時期の糞尿の臭い、もう簡便してくれという気持ちだ。
衛生上悪いのではないかと思う、
猫は野生化したものは、鳩やねずみを捕獲して食べる。
必要以上に餌などやらないでいいんだ。
そのうち弱いものは死んでいくんだし。
過剰に餌をやりねこを集める行為がはなにつく。
保健所に駆除してもらうことはできないのか。
公的場所にいる猫を捕獲して保健所にもっていくことは法律的には問題ないですか?
山田様、はじめまして。
コメントありがとうございます。
> 大阪城の近くに住むものなんだが、餌の散らかしや、放置、そこに群がるカラスの群れ、梅雨時期の糞尿の臭い、もう簡便してくれという気持ちだ。
大阪城公園でも、大阪城公園駅近くですか。
そのあたりは餌やりがひどいと聞いています。
> 衛生上悪いのではないかと思う、
> 必要以上に餌などやらないでいいんだ。
仰るとおりです。
それが平均的な考えだと思いますよ。
> 保健所に駆除してもらうことはできないのか。
大阪府には、行政が猫を捕獲する制度(要綱)などはありません。
それどころか、市民が捕獲した所有者不明猫まで引取りを渋る(子猫以外は引き取らない)有様です。
よく愛誤団体が「行政が野良猫を捕獲するのは動物愛護管理法違反」と大嘘をたれています。
野良猫を行政が捕獲する義務を定めた法律のありませんし、禁止する法律もありません。
要綱で、野良猫を捕獲することを定め、実際におこなっている自治体は多数あります。
逆に、所有者不明猫の引取りは動物愛護管理法35条2項で定めがあり、それをしないのは違法です。
山田様
> 公的場所にいる猫を捕獲して保健所にもっていくことは法律的には問題ないですか?
全く問題ありません。
所有者不明猫は、所有者の明示がないものすべてです。
所有者の明示とは、所有者と連絡先が明らかにされていることが必要です。
ですから首輪をしているだけ、耳カットだけは、所有者不明猫です。
動物愛護管理法35条2項では「所有者不明猫を拾得者から引取りを求められたときは自治体は引き取らなければならない」と明記されています。
しかし大阪府は難癖つけて、仔猫以外は引き取りません(明らかに違法行為です)。
この件は、私のブロ友さんも記事にしていますし、私も引き続き問題提起していきます。
記事中で挙げられている引取り拒否規定がある条例のうち、横浜市の条例は、有志による法違反の指摘により撤回に追い込まれました。大阪城の所在地の動愛管理法所管自治体は大阪市のようですが、大阪市の条例には引取り拒否規定は見当たりません。それでも、横浜市の例は、行政実務上引取り拒否をできない事を条例改正という最大限の形で明らかにしたものですから、その過程は大阪市への追求の際にも参考になると思われます。
また、条例の規定によらず引取りを拒否しようとした場合の対抗手段については、「猫糞被害者」さんのサイトに掲載されています。自治体と折衝するにあたっての留意事項としては
・やりとりする相手の所属と所管法令を確認する。正確に自分の要望を伝えないと、目的実現のために必要な部署とは異なる部署に対応される可能性があります。公園ひとつとっても、公園の指定管理者、指定管理者との契約ルールを管轄する部署、指定管理者への契約発注元(公有財産管理者)、鳥獣保護法に関する野生動物の部署、動愛管理法に関する所有者不明猫を担当する部署、廃棄物処理に関する部署、警察、等々。
・職員は、法的分野に関して熟知した高学歴かつ優秀な者も、そうでも無い者もピンキリです。そして残念ながら動物愛護管理に関わる部署に配置されている職員は後者の場合が多いようです。後者にあたってしまった場合、いくらその職員に道理を説いても理解されなかったり、闇に葬られる可能性があります。しかし「上司を出せ」「他の者に替われ」と求めるとクレーマー要件に該当しむしろ立場が悪くなる恐れがありますので、できれば正規な手続きにより他の者の判断が介在したり公開されたりする手段が望ましいです。大阪市であれば「市民の声」の制度、不適正職務に対する「公益通報制度」を活用することが可能と思われます。(後者については自分自身ではできないようなので、拒否された事実を明らかにし第3者に通報してもらう必要があるかもしれません)
・意思表示ははっきりと、やりとりの記録を残す。できれば書面で「引取り申請の任意の取り下げには応じません」と提出する。
サーバント様、コメントありがとうございます。
横です。
> 記事中で挙げられている引取り拒否規定がある条例のうち、横浜市の条例は、有志による法違反の指摘により撤回に追い込まれました。
情報ありがとうございました。
よろしければ資料を紹介していただけたらありがたいです。
記事にしたいので。
「条例の無効行政訴訟」ですか、それとも司法によらない市民運動ですか。
サーバント様
> 記事中で挙げられている引取り拒否規定がある条例のうち、横浜市の条例は、有志による法違反の指摘により撤回に追い込まれました。
確かに「市第 13 号議案 横浜市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正について 」では、本案通り「やむを得ない理由があると認めるときに限りこれを引取る」との規定は、削除されました。平成25年5月24日。
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j5-20130524-kf-2.pdf
しかし横浜市の資料では「環境省令で引取りを拒否できる事由」が定められたことによる」とあります。
環境省令により、それが拡大解釈され、全国規模で引取り拒否が横行するとしたらむしろ後退ではないでしょうか。
なお、「有志による法違反の指摘」は、ネット上では情報は見つかりませんでした。
これで具体的にどのような事実があったのか、教えていただければありがたいです。
訴訟ではなく、既存の意見公表手続きによるものです。投稿への回答公表制度と、行政手続法に基づく意見公募手続き(いわゆるパブリックコメント)、自治体の条例改正に伴うパブリックコメント的制度を利用しています。
経緯
横浜市が条例で所有者不明猫の引取りを拒否できる規定を設けていることに関し、202年1月に愛護団体が主催した会合で、地域猫活動を推進する横浜市の職員が「引き取り義務の件、横浜市ではでは“やむおえない理由がある時に限り”…という文言を条例に追加した。その際、環境省からは“法律の規定とは齟齬はない”という回答をもらった。」と発言した。
ttp://togetter.com/li/244491
関連する文書の内容について横浜市に尋ね、回答が公表された。2件の文書が存在し、1件は平成21年12月25日横浜市文書、環境省動物愛護管理室長から保健所長あて回答についての文書で、横浜市からの「所有者不明の猫の引取りを拒否することができるか」という照会に「拒否することでできない」という主旨で回答されたもの。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24002085.html
もう1件は、平成22年8月18日付環境省文書、環境省動物愛護管理室長から食品衛生課長あての文書で、で横浜市が国に送った条例改正案に対する回答として法律と「齟齬は無い」という回答をもらったというもの(愛護団体会合で言及していたものと思われる。横浜市ページからは時間経過により削除。)ただし、国に聞いた改正案は、「やむを得ない理由があると認めるときは」という内容だったものが、条例では「限り」という文言が追加された。原案は、引取りというのは常にやむを得ないものであるのだから、その精神(心構え)を示しただけのもの、としてぎりぎり法律に反しないという解釈もできたと思われるが、限りを追加したことで、引き取らない場合があるような内容となった。その差について横浜市は「同じ」と解釈していると回答した。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24003275.html
2012年8月の動愛管理法改正時の国会附帯決議を受け、愛護団体が悪用することが予見されたため、2012年9月に、自治体における附帯決議の扱いについて確認。過去の附帯決議について特に積極的に配慮していないことを確認。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24002377.html
また、併せて附帯決議に法的拘束力はないこと。法に反する条例や告示というのはありえないことを確認。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24002375.html
地域猫活動の効果の証拠がないこと、実施するのであれば検証が必要なこと、地域猫活動をしていて新たに増えた猫は引取りを求められれば法に基づき対応する。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24002983.html
法に根拠のない公費負担の野良猫手術について、根拠となる住民要望世論調査等はないことなどを確認。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24002510.html
一方で2012年1月 横浜市が一部の条件を設けて引取り拒否を行っていることを明言
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/24003805.html
一連の経過から、横浜市が法解釈を積み上げて引取り拒否を行っているのではなく、環境省からもらったという文書の解釈のみに依拠して拒否の正当性を主張していることが推察された。環境省は一度「拒否できない」という文書を出しているが、それより後の日付の文書があることをたてに正当性を主張しているため、法解釈論では平行線と思われた。そこでより後の日付の環境省見解をもとに誤りを指摘することとした。
平成23年12月21日に開催された環境省の審議会で、愛護団体代表委員が横浜市などの条例をあげ、引取り拒否をしていることを述べた(※引取り拒否を当然として話を進めようとした)ところ、法律専門家代表委員2名から、法律違反であるとの指摘がなされた。自治体は環境省にも確認しているのではないかと愛護団体が聞いたところ、横浜市に文書を出したとされる環境省の「室長」はその件については把握していないと回答。口頭でのやりとりの内容についてたまたま知らないということならともかく、複数の自治体が関わっており横浜市は室長文書があると主張しているにも関わらず環境省が否定した。即ち、環境省は文書の内容を含めて引取り拒否をできるという立場をとっていないことが明らかになった。
ttp://www.env.go.jp/council/14animal/y143-25a.html
平成24年12月に環境省令改正に伴う行政手続法に基づく意見公募手続き(パブリックコメント)が実施され、
「Ⅵ 犬猫の引取りを拒否できる場合について」の項において
意見「この省令改正によって、都道府県等が、所有者不明の犬猫の引取りを拒否できる条例を作れるようになるのか、教えて欲しい」
理由「これまでは、所有者不明の犬猫について引取りを拒否する条例は法律に反するとされていたが、今回改正によってそれが変わったのかどうか知りたいため」
回答「改正法では、所有者不明の犬猫について拒否できる規定とはなっておらず、条例で定めることはできません」
となり、所有者不明の猫の引取りの拒否、および拒否を規定する条例が認められないことが明らかとされた。
ttp://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21794&hou_id=16489
一連の環境省の見解との矛盾、および横浜市の論理が破綻していることを指摘。
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/25000277.html
ttp://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/25000803.html
横浜市が平成25年2月から3月にかけて実施した条例改正に伴うパブリックコメントにおいて、改正法律の条文上拒否が認められないことが明確になったことを指摘。条例改正案から変更し、引き取り拒否条項が削除された。
ttp://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/hokenjo/genre/douai/subsidy/ikenjissikekka.pdf
サーバント様、コメントありがとうごあいます。
> 訴訟ではなく、既存の意見公表手続きによるものです。投稿への回答公表制度と、行政手続法に基づく意見公募手続き(いわゆるパブリックコメント)、自治体の条例改正に伴うパブリックコメント的制度を利用しています。
丁寧なご回答をありがとうございます。
リンクの資料を含め、改正後の動物愛護管理法や、環境省の「犬猫引取りに関する指針」での所有者不明猫の引取り問題についても、近々記事にするつもりです。
> 経緯
>横浜市ではでは“やむおえない理由がある時に限り”…という文言を条例に追加した。その際、環境省からは“法律の規定とは齟齬はない”という回答をもらった。」と発言した。
それって、嘘っぽいじゃないですか。
> 2012年8月の動愛管理法改正時の国会附帯決議を受け、愛護団体が悪用することが予見されたため、2012年9月に、自治体における附帯決議の扱いについて確認。過去の附帯決議について特に積極的に配慮していないことを確認。
この付帯決議は、明らかに動物愛護管理法の趣旨に反すると私は理解しています。
この付帯決議を盾に、所有者不明猫の引取り拒否を行う自治体が増えることを懸念していました。
> 地域猫活動の効果の証拠がないこと、実施するのであれば検証が必要なこと、地域猫活動をしていて新たに増えた猫は引取りを求められれば法に基づき対応する。
これは記事で紹介します。
EUの公的機関でも、同様の見解があります。
> 法に根拠のない公費負担の野良猫手術について、根拠となる住民要望世論調査等はないことなどを確認。
これらは、根拠を条例に定めている自治体は私は知りません。
多分皆無なのではないでしょうか。
> 一方で2012年1月 横浜市が一部の条件を設けて引取り拒否を行っていることを明言
明らかに、動物愛護管理法に違反します。
「自治体による、犬猫の引取り拒否の可否」については、多くの問題を抱えていますので、かなりの文章量になると思います。
しかし重要な事項なので、機会を見て、集中して論じたいと思います。
折しも動物愛護管理法改正施行が先日あったばかりなので。
環境省告示の「緊急避難」の意味をまったく逆の意味に曲解して引き取り拒否の理由に仕立てた理屈は、上記横浜市への意見の中で否定されています。
また、国会附帯決議は、法的拘束力がないものの、配慮する責務があるという見解もあります。ただし、それもあくまで政府が国会に対して配慮するものであって、自治体には配慮責務すら存在しません。現に決議には、「~ように自治体を指導すること」のような書き方であって自治体には求めていません。それを受けて政府(この場合環境省)が配慮するかどうかを決めるわけですが、引き取り拒否に関してはすでに見解が示されています。環境省告示の改正案に対するパブコメで所有者不明の猫の引き取り拒否に関する附帯決議を引用した意見は指針には採用されず、法に従って自治体が適正に処理するべき旨、指針に従って自治体が行うべき旨が示されています。
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=22936&hou_id=17073
14ページ、73ページ
拒否できる場合は所有者からの引き取りのみであることが本改正法において文理上明確になったことは、真っ当な法務担当者であれば容易に理解できることです。
サーバント様
情報提供ありがとうございます。
動物愛護管理法の改正年でもありますし、自治体による所有者不明猫の引取り(拒否)問題について、まとめておこうと思っています。
ただテーマが大きいので、かなりの分量にもなると思います。
>決議には、「~ように自治体を指導すること」のような書き方であって自治体には求めていません。それを受けて政府(この場合環境省)が配慮するかどうかを決めるわけですが、引き取り拒否に関してはすでに見解が示されています。環境省告示の改正案に対するパブコメで所有者不明の猫の引き取り拒否に関する附帯決議を引用した意見は指針には採用されず、法に従って自治体が適正に処理するべき旨、指針に従って自治体が行うべき旨が示されています。
この付帯決議については、私も記事にしています。
すでに、愛誤団体の一部は、この付帯決議を課題に評価して自治体に対して圧力をかけているところもあると聞いています。
もとより付帯決議には法的拘束力はありません。
全く愛誤議員団は迷惑な方たちです。