続・「奄美大島のノネコ対策は世界でも例を見ない広さ」というデマ記事と悪用する愛誤政治家

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記事、
・「外来生物の猫を根絶させれば在来生物の生息数は回復する」多くの実例~学術論文、
・「外来生物の猫を根絶させれば在来生物の生息数は回復する」多くの実例~政府文書、
・「奄美大島のノネコ対策は世界でも例を見ない広さ」というデマ記事と悪用する愛誤政治家、
の続きです。
現在日本では、多くの島嶼で猫による希少な在来生物の食害が大きな問題になっています。固有種のアマミノクロウサギなどが猫に食害されている奄美大島と徳之島では、猫愛誤活動家が環境省の猫捕獲事業に反対しています。捕獲した猫は飼猫として譲渡する方針で、殺処分はゼロです。しかし「殺処分を行う」というデマを流し、さらに愛誤国会議員は「ノネコ対策では奄美大島では世界に例がない広さである(つまりノネコ対策をすることは無意味)」との事実無根の誤った嘘記事を引用し、ノネコ野良猫の温存、さらには飼い猫の放し飼いまで主張しています。
サマリーで挙げた、「ノネコ対策では奄美大島では世界に例がない広さである(つまりノネコ対策をすることは無意味)」との事実無根の誤った嘘記事を引用し、ノネコ野良猫の温存、さらには飼い猫の放し飼いまで主張している愛誤国会議員は串田誠一衆議院議員です。以下に、同議員のツイッターの投稿を示します。
(画像)
衆議院議員 串田誠一(くしだ誠一) 日本維新の会 横浜市 旭区 保土ケ谷区 から。

上記の画像の、串田誠一衆議院議員が「非常に参考になる」としている記事、奄美大島の「ノネコ問題」。猫と希少種たちがともに生きる道へ 2019年7月9日 から引用します。
(奄美大島は)世界のノネコ対策でも例がない面積の広さ、欧米とは異なる日本の動物観、猫と人との歴史的な関わり方など……あらゆる角度からの観察が必要。
複数の方から聞いたのは、(猫は)ハブから人の命を守る “益獣”としての考え方だ。
ハブはネズミを捕食するため、猫を放し飼いにしておくことでネズミを遠ざけ、その結果ハブをも遠ざけることができる。
奄美市では「飼い猫条例(奄美市飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例)」によって猫の登録やマイクロチップの装着が定められているが、飼育場所については「飼い猫を室内で飼養するようにつとめてください。やむを得ず屋外飼養する場合には、不妊・去勢手術を必ず行ってください」となっている。
現地では、「隙間がある家で室内飼いができるか」「猫を放し飼いにできないならハブからどう身を守ったらいいか」という声もあった。
つまり串田誠一衆議院議員は、「1、(奄美大島は)世界のノネコ対策でも例がない面積の広さである(「このような広い面積でのノネコ野良猫の駆除は生態系回復に効果がない」と理解できる)」、「2、欧米とは異なる日本の動物観」、「3、猫と人との歴史的な関わり方~奄美大島ではハブの防除に猫の放し飼いが効果があり利用されてきた」の理由により、「奄美大島でのノネコ野良猫の駆除は行わずそれらの猫は温存し、さらに住民の猫の放し飼いも許容すべきである」と主張しています。
例えば次のような、串田誠一衆議院議員のツイッターの投稿によりその主張が裏付けられます。以下にそのツイッターの投稿のスクリーンショットを示します。
(画像)
衆議院議員 串田誠一(くしだ誠一) 日本維新の会 横浜市 旭区 保土ケ谷区 から。

しかし、 「1、(奄美大島は)世界のノネコ対策でも例がない面積の広さである(「このような広い面積でのノネコ野良猫の駆除は生態系回復に効果がない」と理解できる)」、「2、欧米とは異なる日本の動物観」、「3、猫と人との歴史的な関わり方~奄美大島ではハブの防除に猫の放し飼いが効果があり利用されてきた」は、すべて誤り、もしくは偏向です。「奄美大島でのノネコ野良猫の駆除は行わずそれらの猫は温存し、さらに住民の猫の放し飼いも許容すべきである」と串田誠一衆議院議員はこれらを前提として主張しています。
「1、(奄美大島は)世界のノネコ対策でも例がない面積の広さである(「このような広い面積でのノネコ野良猫の駆除は生態系回復に効果がない」と理解できる)」、が誤り、デマであることは私の前回記事、「奄美大島のノネコ対策は世界でも例を見ない広さ」というデマ記事と悪用する愛誤政治家、で述べました。海外でノネコ対策を行っている例としては、奄美大島は特段面積は広くありません。完全に猫の根絶を計画し、それが実現される可能性が高い例としては、「オーストラリアの2030年までに猫を根絶させる重点の5つの島計画」がありますが、その中の一つであるカンガルー島は、奄美大島の6.2倍の広さです。このカンガルー島の猫根絶計画について、オーストラリア政府文書を引用します。
・Kangaroo Island Feral Cat Eradication Program 「カンガルー島におけるノネコ野良ネコ根絶計画」
The aim of the Kangaroo Island Feral Cat Eradication Program is to eradicate feral cats from Kangaroo Island (KI) by 2030.
The Board formally launched the Kangaroo Island Feral Cat Eradication 2015 -2030 Prospectus at the Threatened Species Summit in Melbourne in July 2015.
The program is funded by the Australian Government with in-kind support from the Department for Environment and Water and further contributions and support from Agriculture KI, PIRSA, Nature Foundation South Australia and other public donations.
Why eradicate feral cats?
Feral cat predation is a major threat to the Island's valuable and endemic fauna, with up to 50 native animal species at risk including.
Feral cats also spread livestock diseases (sarcocystis and toxoplasmosis) that have a huge impact on primary production and profitability, causing substantial economic cost to the Kangaroo Island sheep industry (approximately $2 million annually).
2016-2019
Trialling feral cat control techniques, establishing baseline monitoring programs and improving domestic cat management.
2019-2023
Feral cats will be eradicated using trapping, baiting and shooting methods, and eradication will be verified by a range of methods including camera monitoring and detector dogs.
Curiosity® feral cat bait trial
Curiosity® feral cat baits present a good addition to the tools available for the eradication program because the off-target uptake (i.e. impacts on native animals) is very low.
2023 - 2030
The aim is to eradicate feral cats from Kangaroo Island and continue to monitor the success of control techniques.
Responsible (domestic) cat ownership
Since 2007 the KI Council has had in place strict bylaws governing the ownership of domestic cats. Cats on Kangaroo Island must be:
Registered
Micro-chipped
De-sexed*
Contained to your premises (House) unless in a contained run
Restricted to no more than two cats per premises*
A person must not, in any circumstances, bring or cause, suffer or permit to be brought onto Kangaroo Island an un-spayed cat that is not registered with the Council as a breeding cat at the date this By-law commences operation.
カンガルー島のノネコ野良猫根絶計画の目的は、2030年までにカンガルー島(KI)からノネコ野良猫を根絶する(完全になくす)ことです。
環境保全局は2015年7月に、メルボルンで開催された絶滅危惧種サミットでカンガルー島の野良猫根絶2015-2030の目論見書を公式に発表しました。
この計画はオーストラリア連邦政府によって資金提供されており、環境保全局からの物資の支給と、さらにカンガルー島農業課、PIRSA、南オーストラリア自然財団、およびその他の公的な寄付による支援があります。
なぜノネコ野良猫を根絶するのですか?
ノネコ野良猫の在来生物の捕食は、島の貴重で固有の動物相に対する主な脅威であり、最大で50種の在来動物が危険にさらされています。
ノネコ野良猫はまた第一次産業と、その収益に大きな影響を与える家畜の病気(肉胞子虫とトキソプラズマ症)の感染を蔓延させ、カンガルー島の羊産業にかなりの経済的損失を引き起こします(年間約200万ドル)。
2016-2019年
ノネコ野良猫の管理技術を試し、基本的なノネコ野良猫の監視計画を策定し、飼い猫の管理を改善します。
2019-2023
ノネコ野良猫はわなによる捕獲、毒餌、射殺による方法を用いて根絶し、それはカメラによる監視や探知犬などのさまざまな方法で検証されます。
キュリオシティ(註 Curiosity® オーストラリア政府が開発したノネコ野良猫を毒殺するための餌)という、ノネコ野良猫の毒餌の試験
キュリオシティ(Curiosity®)というノネコ野良猫の餌は、対象外の動物の摂取(つまり在来動物への影響)が非常に低いためにノネコ野良猫の根絶計画で利用できる手段に、優れた機能を付け加えられることとなります。
2023〜2030年
カンガルー島からノネコ野良猫を根絶させて、ノネコ野良猫の制御技術が成功したことを監視し続けます。
責任ある(いわゆる「イエネコ」)猫の飼主として
2007年の制定以来、カンガルー島の自治体は、飼猫の飼い主に対する猫の管理の厳格な条例があります。
カンガルー島の猫は次のように規定されています。
登録済みであること。
マイクロチップがされていること。
繁殖が不可能にされていること。
完全に閉じ込められた状態でない限り、完全に家の中で飼育すること。
1世帯当たりの猫の飼育は2匹以下に制限されています。
誰でもいかなる状況においても、この条例が運用を開始した日に繁殖猫として自治会に登録されていない未去勢の猫をカンガルー島に持ち込む、その原因となることを行う、その行為を黙認する、または持ち込むことを許可してはなりません。
「世界のノネコ対策でも例がない面積の広さである」、ですが、「ノネコ対策」とは、この記事の著者は何を意味しているのでしょうか。「ノネコ野良猫を完全にゼロにする計画であり、その実現性が高く、公的事業である」と定義を厳格にかつ狭義に解釈しても、今回記事で述べたオーストラリアのカンガルー島は奄美大島の6.2倍です。けしてノネコ対策を行っている奄美大島は「世界で例がない広さ」ではありません。
さらにニュージーランドは、国土全体の捕食性のノネコ野良猫を含む外来哺乳類を2050年までに根絶させる計画を実行中です。ニュージーランドの面積は、26万8,680㌔㎡です。ちなみに日本の本州は、22万7,943㌔㎡で、ニュージーランドの国土面積は本州より広いのです。
なお根絶は不可能とはしつつも、「根絶が望ましい」として、オーストラリア全土では苛烈なノネコ野良猫を致死手段により駆除を行っています。これは完全に「ノネコ対策」と言えるものです。オーストラリア全土の面積はどうなのでしょうか。
このような何ら調べずに誤り、嘘デタラメの記事を嬉々として引用して、「とても冷静で参考になる記事です」としている串田誠一衆議院議員の見識には呆れたものです。ましてやこの記事では査読を経た学術論文でもありませんし、政府機関の文書でもありません。また出典も示していません。所詮愛誤議員は、このようなガセネタ記事しか根拠を示すことしかできませんし、自ら出典を調べることもしません。
次回は、「オーストラリアの2030年までに猫を根絶させる重点の5つの島計画」の他の島や、オーストラリア連邦政府によるノネコ野良猫の駆除事業(政府は「ノネコ野良猫の根絶は難しいとはいえ、根絶が望ましい」として苛烈なノネコ駆除事業を推進しています)、ニュージーランドのノネコ野良猫駆除対策について取り上げます。
(参考資料)
・カンガルー島
~
カンガルー島の面積は、4,405㌔㎡。奄美大島の面積の約6.2倍の広さがある。
・奄美大島
~
奄美大島の面積は、712.35㌔㎡。
・Predator-Free New Zealand: Conservation Country 「プレデター-フリー(捕食哺乳類ゼロ化)計画」 ニュージーランド」 2015年
(動画)
Shooting Cats: Australia's War on Feral Cats 「猫の射殺オーストラリアのノネコ野良猫戦争」 2018年11月18日
今回記事で取り上げた、カンガルー島での猫根絶活動の様子。公的事業もさることながら、民間人の猫駆除(狩猟による射殺)による貢献が大きいです。
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