素人ブリーダーによる無法状態のイギリスの子犬販売事情~8週齢未満の子犬の販売も当たり前

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(summary)
・The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 (UK)
記事、
・「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事、
・「イギリスでは犬の命は人と平等」という偏向記事~イギリスでは犬の銃殺が合法、
・素人ブリーダーによる無法状態のイギリスの子犬販売事情~約4割がインターネット販売、
の続きです。
「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。
サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?(以下、「本記事」と記述します) 2020年9月26日 問題の記述を引用します。
ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。
具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。
散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。
本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。イギリスの禁止犬種の口輪装着義務に関しては前回記事、「イギリスでは犬はノーリード」という狂った記事、で述べました。
今回は、前回記事に続き、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」に関する補足を書きます。前回記事では、全英ケネルクラブの最近の調査(2020年7月8日公表)では、「イギリスでの犬購入に占めるインターネットによる割合は38%で、その多くが非対面での通販、もしくは繁殖上とは無関係な場所での引き渡し」でした。さらに「犬購入者は販売者から『犬や子犬を飼うのに適しているかどうかについて(販売者から)質問されなかった』」との資料を提示しました(One in three puppy buyers could not identify a reputable breeder 「子犬の購入者の3人に1人は評判の良いブリーダーを識別できませんでした」)。
イギリスでは法的規制を受けない、登録基準に満たない小規模な「素人ブリーダー」が登録ブリーダーでは禁止されているインターネットなどでの非対面での犬の通販を大々的に行っています。その比率は全英ケネルクラブの調査では38%で、それが主な犬の購入手段となっています。また無登録の素人ブリーダーは、登録ブリーダーでは禁止されている8週齢未満の子犬の販売も処罰する法的根拠がないために、インターネット販売で堂々と行っています。さらにこれらのブリーダーは登録ブリーダーと異なり最小ケージサイズの適用も受けませんので極めて矮小なケージで犬を劣悪繁殖していると思われます。なぜならばこれらのインターネット販売されている子犬の健康状態は悪く、購入後にすぐ死ぬ例が大変多いからです。登録を要しない小規模素人ブリーダーは、もちろん行政の検査を受けることもありません。これらを報じるニュースから引用します。
・A quarter of puppies are taken from their mothers too young - which is linked to dogs barking excessively and destroying things 「(イギリスで販売される)子犬の4分の1は、あまりにも幼いうちに母犬から離されます。それは犬の無駄吠えや物を壊すなどの問題行動に関係しています」 2020年8月6日
There is concern amateur puppy breeders are not aware of the law.
A quarter of puppies in the UK are being separated from their mothers before they are eight weeks old.
Taking puppies from their mothers too soon has been linked with behavioural problems including barking excessively and destroying things.
Experts believe they miss out on learning self-control, which they are taught by their mother.
A study by Dogs Trust and Bristol University, looking at 1,844 puppies, found one in four was taken from their mother before the age of eight weeks.
アマチュアの子犬のブリーダーが法律を知らないという懸念があります。(*1)
イギリスの子犬の4分の1は、生後8週齢になる前に母親から引き離されています。
母犬から子犬を早期に分離させることは、無駄吠えや物を破壊したりするなどの問題行動と関係しています。
専門家は、母犬から教えられる自制心を学ぶことを(早期に母親から離したことで)逸したと信じています。
ドッグトラスト(註 イギリス最大手の犬保護団体。Dogs Trust)とブリストル大学が1,844頭の子犬を調べた研究では、4頭に1頭が8週齢前に母犬から取り上げられたことがわかりました。
(*1) イギリスの法律では、登録の規模基準に満たない小規模ブリーダーは法規制の対象ではないので、登録が免除されている規模のブリーダーは8週齢未満の販売禁止により処罰されることはありません。この記事の書き方も偏向があると思います。
・Prospective pet owners warned against buying from unscrupulous breeders amid rise in demand since lockdown 「ペットの飼い主になろうとしている人は新型コロナウイルスでもロックダウンによる子犬の需要の増加の中で、悪意のあるブリーダーからの購入に対して警告を受けています」 2020年7月23日
Despite a huge 125% increase in adverts posted across online marketplaces during lockdown for puppies, kittens, dogs and cats, demand continues to outstrip supply.
However, the British Small Animal Veterinary Association (BSAVA) has advised that vets are dealing with ongoing cases where owners have been sold sick puppies and kittens by unscrupulous dealers as a result of new owners not researching sellers before buying their new pet.
The devastating consequences include crippling vet bills and, in the worst cases, animals having to be put down.
新型コロナウイルスでのロックダウン中に、子犬、子猫、犬、猫のオンラインによる販売全体での広告の掲載数が125%も大幅に増加したにもかかわらず、犬猫の需要は供給を上回り続けています。
しかしイギリス小動物獣医師会(BSAVA)の獣医師らは、新しい飼い主が新しいペットを購入する前にオンラインでの犬猫販売業者を調査しなかった結果、悪意のある販売者によって飼い主が病気の子犬や子猫を買わされ、病気が進行中の犬猫を治療中である症例があるとアドバイスしています。
ひどい結末では獣医師の費用による損害や、最悪の場合には購入した子犬子猫を安楽死させなければならないことも含まれます。
ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?では、次の記述があります。
(日本では)既に、今現在も素人が犬を繁殖させ譲渡したり売買されている。ブリーダー規制ばかりが強まる一方で知識のない素人の繁殖は取り締まりの対象外なのだ。
一般人の繁殖は悪質ブリーダーよりもタチが悪い。
繁殖に責任もなければ、逃げ道もいくらだってあるからである。
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた『対価』をブリーダーに支払っているのである。
どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
この記述では、「イギリスでは犬の社会的地位が高く、それに見合ったブリーディングをプロのブリーダーが行っているために、日本のような素人ブリーダーのような劣悪繁殖がない」という意味になります。しかしそれは正反対です。
日本では犬ブリーダーは「年2回以上もしくは2頭以上」の犬を販売すれば第一種動物取扱業として認可を受ける義務があり、行政の監視を受けます。つまりほぼすべての犬を繁殖させ、販売する者が対象です。しかしイギリスでは連載記事で述べた通り、認可を要する規模基準が日本より甘いために、8割以上の犬ブリーダーが未登録です。つまりイギリスでは8割以上が法規制を受けず、行政の監視下にもなく、まさに危険な素人繁殖を行い、摘発もできない状態なのです。
(動画)
Help Dogs Trust put a STOP to Puppy Smuggling 「犬販売の信頼のために、子犬の密輸をやめさせる手助けをしてください」 2017/10/23 に公開 Dogs Trust (愛犬 犬保護団体)の啓発ビデオ
イギリスでは、東ヨーロッパなどの大量劣悪飼育の営利生産を行っている犬ブリーダーからかなりの数が密輸されています。ほとんどの場合は、そのような子犬はインターネットで非対面販売されますが、多くの場合「イギリス産」と偽られ、ニセのワクチン証明や血統書がつけられ、認可が不要な小規模な「素人ブリーダー」の名義を借りて販売されています。2020年の全英ケネルクラブの調査では、イギリスでの犬入手は、約4割が非対面を主にするインターネット販売によるものです。
This is Charly, he is just one of the thousands of puppies smuggled into Great Britain illegally.
Every day, people in Great Britain are duped into buying underage, unvaccinated and unwell puppies online.
Underhand breeders take them from their mum at just weeks old, because a smaller, cuter puppy can fetch more money.
チャーリーという名の犬は、イギリスに不法に密輸された数千頭の子犬のうちの一つです。
毎日のように、イギリスの人々は、幼すぎる子犬、ワクチン接種されていない子犬、オンラインで違法な子犬を騙されて買っています。
無免許の犬ブリーダーは、わずか数週間で母親から子犬を離します、なぜならば、小さくてかわいい子犬は、よりお金を儲けることができるからです。
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