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素人ブリーダーによる無法状態のイギリスの子犬販売事情~8週齢未満の子犬の販売も当たり前






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(summary)
The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 (UK)


 記事、
「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事
「イギリスでは犬の命は人と平等」という偏向記事~イギリスでは犬の銃殺が合法
素人ブリーダーによる無法状態のイギリスの子犬販売事情~約4割がインターネット販売
の続きです。
 「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。



 サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?(以下、「本記事」と記述します) 2020年9月26日 問題の記述を引用します。


ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。

具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。

散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。



 本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
 結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
 「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
 「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。イギリスの禁止犬種の口輪装着義務に関しては前回記事、「イギリスでは犬はノーリード」という狂った記事、で述べました。

 今回は、前回記事に続き、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」に関する補足を書きます。前回記事では、全英ケネルクラブの最近の調査(2020年7月8日公表)では、「イギリスでの犬購入に占めるインターネットによる割合は38%で、その多くが非対面での通販、もしくは繁殖上とは無関係な場所での引き渡し」でした。さらに「犬購入者は販売者から『犬や子犬を飼うのに適しているかどうかについて(販売者から)質問されなかった』」との資料を提示しました(One in three puppy buyers could not identify a reputable breeder 「子犬の購入者の3人に1人は評判の良いブリーダーを識別できませんでした」)。
 イギリスでは法的規制を受けない、登録基準に満たない小規模な「素人ブリーダー」が登録ブリーダーでは禁止されているインターネットなどでの非対面での犬の通販を大々的に行っています。その比率は全英ケネルクラブの調査では38%で、それが主な犬の購入手段となっています。また無登録の素人ブリーダーは、登録ブリーダーでは禁止されている8週齢未満の子犬の販売も処罰する法的根拠がないために、インターネット販売で堂々と行っています。さらにこれらのブリーダーは登録ブリーダーと異なり最小ケージサイズの適用も受けませんので極めて矮小なケージで犬を劣悪繁殖していると思われます。なぜならばこれらのインターネット販売されている子犬の健康状態は悪く、購入後にすぐ死ぬ例が大変多いからです。登録を要しない小規模素人ブリーダーは、もちろん行政の検査を受けることもありません。これらを報じるニュースから引用します。


A quarter of puppies are taken from their mothers too young - which is linked to dogs barking excessively and destroying things 「(イギリスで販売される)子犬の4分の1は、あまりにも幼いうちに母犬から離されます。それは犬の無駄吠えや物を壊すなどの問題行動に関係しています」 2020年8月6日

There is concern amateur puppy breeders are not aware of the law.
A quarter of puppies in the UK are being separated from their mothers before they are eight weeks old.
Taking puppies from their mothers too soon has been linked with behavioural problems including barking excessively and destroying things.
Experts believe they miss out on learning self-control, which they are taught by their mother.
A study by Dogs Trust and Bristol University, looking at 1,844 puppies, found one in four was taken from their mother before the age of eight weeks.

アマチュアの子犬のブリーダーが法律を知らないという懸念があります。(*1)
イギリスの子犬の4分の1は、生後8週齢になる前に母親から引き離されています。
母犬から子犬を早期に分離させることは、無駄吠えや物を破壊したりするなどの問題行動と関係しています。
専門家は、母犬から教えられる自制心を学ぶことを(早期に母親から離したことで)逸したと信じています。
ドッグトラスト(註 イギリス最大手の犬保護団体。Dogs Trust)とブリストル大学が1,844頭の子犬を調べた研究では、4頭に1頭が8週齢前に母犬から取り上げられたことがわかりました。


(*1) イギリスの法律では、登録の規模基準に満たない小規模ブリーダーは法規制の対象ではないので、登録が免除されている規模のブリーダーは8週齢未満の販売禁止により処罰されることはありません。この記事の書き方も偏向があると思います。


Prospective pet owners warned against buying from unscrupulous breeders amid rise in demand since lockdown 「ペットの飼い主になろうとしている人は新型コロナウイルスでもロックダウンによる子犬の需要の増加の中で、悪意のあるブリーダーからの購入に対して警告を受けています」 2020年7月23日

Despite a huge 125% increase in adverts posted across online marketplaces during lockdown for puppies, kittens, dogs and cats, demand continues to outstrip supply.
However, the British Small Animal Veterinary Association (BSAVA) has advised that vets are dealing with ongoing cases where owners have been sold sick puppies and kittens by unscrupulous dealers as a result of new owners not researching sellers before buying their new pet.
The devastating consequences include crippling vet bills and, in the worst cases, animals having to be put down.

新型コロナウイルスでのロックダウン中に、子犬、子猫、犬、猫のオンラインによる販売全体での広告の掲載数が125%も大幅に増加したにもかかわらず、犬猫の需要は供給を上回り続けています。
しかしイギリス小動物獣医師会(BSAVA)の獣医師らは、新しい飼い主が新しいペットを購入する前にオンラインでの犬猫販売業者を調査しなかった結果、悪意のある販売者によって飼い主が病気の子犬や子猫を買わされ、病気が進行中の犬猫を治療中である症例があるとアドバイスしています。
ひどい結末では獣医師の費用による損害や、最悪の場合には購入した子犬子猫を安楽死させなければならないことも含まれます。



 ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?では、次の記述があります。


(日本では)既に、今現在も素人が犬を繁殖させ譲渡したり売買されている。ブリーダー規制ばかりが強まる一方で知識のない素人の繁殖は取り締まりの対象外なのだ。
一般人の繁殖は悪質ブリーダーよりもタチが悪い。
繁殖に責任もなければ、逃げ道もいくらだってあるからである。
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた『対価』をブリーダーに支払っているのである。
どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。



 この記述では、「イギリスでは犬の社会的地位が高く、それに見合ったブリーディングをプロのブリーダーが行っているために、日本のような素人ブリーダーのような劣悪繁殖がない」という意味になります。しかしそれは正反対です。
 日本では犬ブリーダーは「年2回以上もしくは2頭以上」の犬を販売すれば第一種動物取扱業として認可を受ける義務があり、行政の監視を受けます。つまりほぼすべての犬を繁殖させ、販売する者が対象です。しかしイギリスでは連載記事で述べた通り、認可を要する規模基準が日本より甘いために、8割以上の犬ブリーダーが未登録です。つまりイギリスでは8割以上が法規制を受けず、行政の監視下にもなく、まさに危険な素人繁殖を行い、摘発もできない状態なのです。 


(動画)

 Help Dogs Trust put a STOP to Puppy Smuggling 「犬販売の信頼のために、子犬の密輸をやめさせる手助けをしてください」 2017/10/23 に公開 Dogs Trust (愛犬 犬保護団体)の啓発ビデオ
 イギリスでは、東ヨーロッパなどの大量劣悪飼育の営利生産を行っている犬ブリーダーからかなりの数が密輸されています。ほとんどの場合は、そのような子犬はインターネットで非対面販売されますが、多くの場合「イギリス産」と偽られ、ニセのワクチン証明や血統書がつけられ、認可が不要な小規模な「素人ブリーダー」の名義を借りて販売されています。2020年の全英ケネルクラブの調査では、イギリスでの犬入手は、約4割が非対面を主にするインターネット販売によるものです。
 
This is Charly, he is just one of the thousands of puppies smuggled into Great Britain illegally.
Every day, people in Great Britain are duped into buying underage, unvaccinated and unwell puppies online.
Underhand breeders take them from their mum at just weeks old, because a smaller, cuter puppy can fetch more money.

チャーリーという名の犬は、イギリスに不法に密輸された数千頭の子犬のうちの一つです。
毎日のように、イギリスの人々は、幼すぎる子犬、ワクチン接種されていない子犬、オンラインで違法な子犬を騙されて買っています。
無免許の犬ブリーダーは、わずか数週間で母親から子犬を離します、なぜならば、小さくてかわいい子犬は、よりお金を儲けることができるからです。





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The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 (UK)


 記事、
「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事
「イギリスでは犬の命は人と平等」という偏向記事~イギリスでは犬の銃殺が合法
の続きです。
 「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。



 サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?(以下、「本記事」と記述します) 2020年9月26日 問題の記述を引用します。


ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。

具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。

散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。



 本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
 結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
 「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
 「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。イギリスの禁止犬種の口輪装着義務に関しては前回記事、「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事、で述べました。

 今回は、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」が大嘘であることを述べます。
 全英ケネルクラブの最近の調査では、イギリスでは子犬の購入者の38%がインターネットで購入しているとされています。約4割と非常に高い比率
です。インターネットでの販売のほとんどは非対面での宅配か、犬の繁殖が行われている場所ではなく、高速道路のサービスエリアなどで引き渡されたりします。
 One in three puppy buyers could not identify a reputable breeder 「子犬の購入者の3人に1人は評判の良いブリーダーを識別できませんでした」 2020年7月8日(全英ケネルクラブによる記事) から引用します。


Over one in three (38 per cent) admit to sourcing their four-legged friend from third party sellers, directly over the internet or from an online pet shop.
37 per cent don’t collect their puppy from where it was bred, instead the seller delivered or met the puppy buyer in a neutral location, like a motorway services.
Three in four puppy buyers admit they weren’t asked any questions about their suitability for owning a dog or puppy.

子犬の購入者の3人に1人(38%)が、4本足の友人を(註 犬のこと)サードパーティ(註 ブリーダー以外の犬の扱い業者)の販売者からインターネット経由で、またはオンラインのペットショップから入手していることを認めています。
37%は子犬を繁殖した場所から購入せずに、代わりに販売者が子犬を宅配したか、高速道路のサービスエリアのような無関係の場所で購入者が会い、子犬を引き渡されました。
子犬の購入者の4人に3人は、犬や子犬を飼うのに適しているかどうかについて(販売者から)質問されなかったことを認めています。



 つまり、ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?の記述、「(イギリスでは)日本のように簡単に犬が飼えない。犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない」は、正反対の大嘘ということになります。

 イギリスでは、2018年に成立施行した、The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 「動物福祉規則 2018」 により、「犬ブリーダーは登録義務があり、犬ブリーダーが子犬を販売する際は必ず繁殖の現場を購入客に見せなければならない」と法律で規定されました。この法律では「登録ブリーダー」は、インターネットでの非対面販売は禁止されています。
 インターネットによる非対面の子犬販売での入手割合が約4割と、イギリスで登録犬ブリーダーの非対面販売が禁止されているにもかかわらず高い理由は、イギリスでは犬ブリーダーの登録の規模基準が緩いからです。例えばスコットランド(イギリス=UKとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4ヵ国連合)では、犬ブリーダーがの登録義務があるのは年5産以上からです(Dog breeding regulations)。ですからスコットランドでは年4産までですと、「犬ブリーダーの登録義務」がないので、登録犬ブリーダーのみが適用となる、The Animal Welfare (Licensing of Activities Involving Animals) (England) Regulations 2018 「動物福祉規則 2018」に従わなくいてもよいのです。ですから非対面のインターネットで子犬販売をして宅配をするのも、8週齢未満の子犬を売るのも、極めて矮小なケージで劣悪飼育するのも合法なのです。

 そのためにイギリス、イングランドでは、全英ケネルクラブに登録した犬ブリーダーのうち、わずか18%しか法定の登録を行っていません(*1)。つまりイギリスで犬の営利繁殖販売を行っているのは、ほとんどが法の規制外の素人ブリーダーなのです。そのためにイギリスの犬販売においては、「素人犬ブリーダーによる無法地帯」と化しているといっても過言ではありません。
 すでに述べた通り、インターネットでの非対面販売がイギリスではもはや主力の販売方法となっています。登録規模に満たない素人ブリーダーは法規制を受けませんので8週齢未満の犬も売りますし、飼育環境の行政による検査もありません。そのために劣悪飼育になりやすく、販売時には子犬はすでに病気であったり、先天的な欠陥があったりすることが多いのです。さらに悪質なケースでは、インターネットでの子犬販売を騙り、代金をだまし取る詐欺も横行しています。まさにイギリスの犬販売は、素人ブリーダーが跋扈する無法地帯と化しています。次回記事では、その具体例を挙げます。


(参考資料)

(*1)
The review of animal establishments licensing in England Next steps February 2017 「イングランド(England)の動物に係る事業所におけるライセンスの見直し 次のステップ 2017年2月」 イギリス(uk)政府文書

This document provides a summary of the next steps in the review of animal establishment licensing in England.
Estimates show that there are approximately 2,300 licensed pet shops, 650 licensed dog breeders, 1,800 licensed riding establishments, and 6,300 licensed animal boarding establishments in England.
in 2015 the Kennel Club registered 4,443 dog breeders in the UK that had two litters per annum.

推定によると、イングランド(England)には約2,300のライセンス(註 license とあるが実際は登録制)を受けたペットショップ、650のドッグブリーダー、1,800の乗馬施設、6,300のペット預り業があります。
2015年に全英ケネルクラブは、イギリス(英国 UK United Kingdom)では、年間2回の同腹仔の繁殖をしている4,443事業者の犬のブリーダーを登録しました。



(画像)

 freeads.co.uk Puppies & Dogs For Sale & Rehome in UK から。イギリスではこのような子犬販売の販売サイトがいくつもあります。常に数千~数万の子犬が出品されています。非対面のインターネットによる子犬販売は、イギリスでは最もメジャーな販売方法の部類と言えます。

イギリス インターネット 子犬販売 20200723


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The Captive bolt gun - It is fully legal for any untrained and unlicensed person to attempt to destroy a greyhound by use of the captive bolt gun, when the dog is no longer commercially viable.


 記事、「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事、の続きです。
 「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。



 サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか?(以下、「本記事」と記述します) 2020年9月26日 問題の記述を引用します。


ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。

具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。

散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。



 本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
 結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
 「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
 「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。イギリスの禁止犬種の口輪装着義務に関しては前回記事、「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事、で述べました。

 今回は、イギリスでは「2、犬の命は人間と同等に扱われている」がデマであることを述べます。結論から言えば、イギリスでは犬の所有者管理者であれば、銃殺が合法です。さらにイギリスでは、犬などの殺害においては、2019年の法改正まで「正当な理由」すら必要ありませんでした。
 イギリスを含めて「犬の命が人間と同等に扱われている」国は地球上で皆無であると断言します。本記事のライターは、この根拠となる法令を原文で挙げ、該当する条文を示していただきたい。

 イギリスでは世界でも例外的な「禁止犬種法」がある国です。この法律は、「法律で原則飼育等を禁止する犬種を定め、無許可飼育の犬は行政が押収して没収して強制的に殺処分を行う権限がある。これらの犬を公共の場に出す場合は必ず口輪を使用しなければならない」などを規定した内容です。イギリスの「禁止犬種法」に関しては、前回記事で概要を述べましたので今回は割愛します。「法律で禁止した品種」という理由だけで飼い主から無理やり犬を取り上げて強制的に殺処分をする国が、「犬の命は人間と同等」とはお笑いです。
 またイギリスでは、犬の所有者である保護施設や管理者である犬トレーナーは、自ら殺処分を行うことが合法です。多くの場合は家畜のと殺銃が使用されます。イギリスで最も権威があるRSPCAのアニマルシェルターでは健康上問題がない犬猫の約半数を銃殺していました。またイギリスではドッグレースが盛んですが、年間1万頭余りの廃レースドッグが主に銃で殺処分されています。第三者機関の審査を経ずに、飼い主、管理者が犬を銃殺してよい国が「犬の命は人間と同等」とは私はとても思えません。
 まず最初に、RSPCAのアニマルシェルターが健康な犬猫を主に銃で殺処分していたというニュースから引用します。デイリーメール紙 Revealed: RSPCA destroys HALF of the animals that it rescues - yet thousands are completely healthy 「RSPCAは、救済という名目で、半数の健康上問題のない数千もの動物を殺す」 2016年2月1日


Shock figures reveal 3,400 animals put down for 'non-medical reasons'
Whistleblower claims she shot healthy dogs 'because there was no room'
The RSPCA destroys nearly half the animals it ‘rescues’ each year, with thousands being put down for non-medical reasons,
The charity insists the vast majority of the animals were put down to end their suffering, but it admits that last year alone 3,400 animals were destroyed for ‘non-medical’ reasons, such as the lack of space in kennels and catteries.

衝撃的な数字(殺処分数・率)は、健康上問題がないのに3,400ものペットを殺処分したことを明らかにしました。
内部告発者は、「収容する余地がなかったので、健康な犬を銃殺した」と証言しています。
RSPCAは、保護した健康上問題のないペットの約半数を殺しています。
RSPCAは、動物の大半は、苦しみを終わらせるために3,400頭もの殺処分したと主張しますが、犬舎と猫舎のスペースの不足など「非医学的」な理由だけで殺処分したことを昨年認めています。



(画像)

 画像は、ESPCAがペットの殺処分に用いた家畜屠殺銃です。興味のある方はこちら。Captive bolt pistol

Humane bolt guns, like the one pictured, are often used to kill pets.
In 2009, the RSPCA, which is one of Britain’s biggest charities and receives £120 million a year in donations, stopped accepting stray animals and unwanted pets.

画像のような「人道的(?)ボルト銃」が、しばしばペットの殺害で用いられました。
2009年には、英国最大の慈善団体の一つであるRSPCAは、野良犬猫や不要なペットの受け入れを停止していたにもかかわらず、年間1.2億ポンドの寄付を受け取っていました。

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 次は、イギリスではドッグレースが盛んにおこなわれ、年間1万頭余りの廃レースドッグが主に銃で殺処分されている件に関する資料をいくつか挙げます。イギリスでは犬の所有者やトレーナーなどの管理者は、犬を自分の判断で殺処分することができ、銃殺も合法です。


What is Wrong With Greyhound Racing ?
「グレイハウンドレースの何が悪いのですか?」 

Problems in Greyhound Racing
Approximately 20,000+ greyhounds are bred each year in Ireland and England, two thirds are registered to race and around 8,000 to 10,000 greyhounds go missing per year (Presumed dead).
1. Intentional over-breeding of greyhounds leading to hoarding of dogs, euthanasia, and rescue centres struggling to cope both financially and to re-home the dogs.
3. There is no legislation to prevent a greyhound being killed solely on economic grounds.
4. The Captive bolt gun - It is fully legal for any untrained and unlicensed person to attempt to destroy a greyhound by use of the captive bolt gun, when the dog is no longer commercially viable.
The Captive bolt gun has a massive capacity for misuse, it can cause extreme and prolonged agony for a dog, as it may NOT always render them dead.
5. There is no known legislation to prevent a greyhound trainer/owner killing their own dog, rather than euthanasia by a qualified vet.

グレイハウンドレース(ドッグレース)の問題点
アイルランドとイングランドでは、毎年およそ20,000頭以上のグレイハウンドが繁殖されますが、レースに登録されるのは3分の2であり、1年に8000〜10,000頭のグレイハウンドが行方不明になります(死んでいると推定されます)。
1、レースドッグの過剰繁殖は、無駄な犬の大量保有につながり、犬の安楽死(殺処分)や、動物保護団体(レスキューセンター)の財政状況の困難と、犬を飼い主に一般譲渡することの苦労をもたらします。
3、グレイハウンドが、経済的理由だけで殺されることを防ぐ法律はありません。
4、家畜用と殺銃 - 犬がもはや商業的に利用することが不可能になったときに、訓練されていない無免許の人が銃を使ってグレイハウンドを殺害しようとするのは完全に合法です。
家畜用と殺銃の誤用は常に犬を速やかに死に至らせないために、犬が極端に長く苦しむ可能性があり、悪影響は大きいのです。
5、グレイハウンドの訓練士/所有者が、資格のある獣医師による安楽死ではなく、自己所有の犬を殺すのを防ぐための既存の法律はありません。



10 MISUNDERSTOOD FACTS ​ABOUT GREYHOUND RACING
「10の誤解されている事実 グレイハウンドレース」 

3) Is it legal for a greyhound trainer to kill his own dog using a Captive bolt gun?
Yes, unless unnecessary suffering to the dog is proven, it is not a crime, but pithing must be carried out following use of the Captive bolt gun to prevent a dog that is rendered unconscious from regaining consciousness. (Pithing is a horrific method where the spinal cord must be severed to ensure the death of the dog)

3)グレイハウンド(レースドッグ)の訓練士がキャプティヴ・ボルトガン(註 家畜のと殺用の拳銃)を使って、自分の犬を殺すのは合法ですか?
はいそうです、犬への不必要な苦しみが証明されない限り、それは犯罪ではありません、
しかし意識を失った犬が意識を取り戻すのを防ぐために、キャプティヴ・ボルトガンを使った後に、ピッシングを行わなければなりません(ピッシングとは犬の死を確実にするために、脊髄を切断しなければならないという恐ろしい方法です)。



 私はイギリスの犬の殺害が専門性のある第三者の確認なく、飼い主やトレーナーの一存で行うことが合法で、かつ銃殺が認められている国は到底「犬の命が人と同等」とは思えません。イギリスの犬等の殺処分について定めた法律、Animal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」においては、「不必要な苦痛を与えてはならない」とは規定されていますが、銃殺は瞬時に絶命させるために「苦痛ではない」と解釈されるためです。
 イギリスでは2019年に法改正があるまでは、犬などの飼育動物の殺害に関しては「不必要な苦痛を与えなければ」理由は問われませんでした。その点においてはドイツの動物保護法(Tierschutzgesetz)17条では「正当な理由のない脊椎動物の殺害」を禁じ、日本の動物愛護管理法で犬猫に限り終生飼育を努力義務としていることと、「みだりな(=正当な理由がない)」殺傷を44条1項で禁じているのとは大きな差です。到底イギリスでは、「犬の命は人間と同等」に扱われているとは思えません。


(動画)

 Professor Green: Dangerous Dogs (Documentary - 2016) 「グリーン教授:危険な犬(ドキュメンタリー2016年)」 2017年8月5日公開

 イギリスでは世界でも数少ない「禁止犬種法」がある国です。法律で飼育等を禁止する犬種を定め、特別な飼育許可を得ない飼い主から該当する犬種を押収し、行政が強制的に殺処分するという内容の法律です。そのような国が「犬の命は人間と同等」のわけがないでしょう。おそらく日本だけと思われますが、犬猫に限り法律で終生飼育を義務付けている日本は世界でもまれな、犬猫偏重国家と言えます。

Professor Green, aka Stephen Manderson, delves into the murky world of illegal dogs to investigate a worrying new trend.
In the last decade, 27 people have been killed by dogs and hospitalisations have risen by 76%.
A banned breed whose dog is facing a death sentence.
Stephen asks whether the controversial Dangerous Dogs Act - which is 25 years old this year - is making things better or worse.

グリーン教授、別名スティーブン・マンダーソン氏は、違法犬の闇の世界を掘り下げて危惧されている新しい傾向を調査しています。
過去10年間でイギリスでは27人が犬に殺され、入院数は76%増加しました。
死刑判決(強制殺処分)に直面している禁止された犬の品種。
スティーブン氏は物議を醸している危険な犬法(今年で施行25年目)が、事態を良くしているのか悪くしているのかを聞いています。






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「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事






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(summary)
Controlling your dog in public (UK)


 「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。


 サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか? 2020年9月26日 問題の記述を引用します。


ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。

具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。

散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。



 本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
 結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
 「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
 「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。

 前後しますが、「3、イギリスでは犬はノーリードでよい」が嘘であることを述べます。イギリス(UK)政府の犬のリード義務に関する広報文書、Controlling your dog in public 「公共の場での犬の管理」 から引用します。


Public Spaces Protection Orders
In public areas with PSPOs, you may have to:
keep your dog on a lead
put your dog on a lead if told to by a police officer, police community support officer or someone from the council
stop your dog going to certain places - like farmland or parts of a park
Penalties
If you ignore a PSPO, you can be fined:
£100 on the spot (a ‘Fixed Penalty Notice’)
up to £1,000 if it goes to court
If dogs are not allowed in a park, there must be signs saying so.

公共の場所の保全規則(PSPO)
PSPO(公共の場所の保全規則)がある公共の場所では、次のことを行う必要があります。
犬にリードすること
警察官、警察の地域社会における補助職員、または自治会職員のいずれかの者に指摘されたら犬にリードをしなければなりません
犬が農地や公園の一部などの特定の場所に入るのは禁じられています
罰則
PSPO(公共の場所の保全規則)に違反すると、罰金が科せられます。
その場で100ポンド(日本円で1万3,800円 1ポンド=138円)(通常の罰金の言い渡し)
起訴された場合は最大13万8000円の罰金が科されます
公園への犬の同伴が禁止されている場合は、その旨の標識が必要です。



 日本では法律での犬のリードは義務付けられてはおらず、条例での規定がある自治体はありますが罰則規定を定めていない条例もあり、犬のリードに関する条例がない自治体も多くあります。ですから犬のリード義務は、ドイツほどは厳しくはありませんが、イギリスは日本よりはるかに厳しいといえます。
 さらにイギリスでは禁止犬種法がある国です。この法律は「法律で原則飼育等を禁止する犬種を定め、違法飼育者から犬を没収して行政が強制的に殺処分する権限がある」などという内容です。「2、犬の命は人間と同等に扱われている」ですが、到底禁止する犬種というだけで強制的に殺処分する国が「犬の命を人間と同等に扱っている」とは思えません(笑)。「また法律で定める犬の、公共の場での口輪の使用を義務付ける規定もあります。
 イギリス政府の広報、Controlling your dog in public 「公共の場での犬の管理」から、「禁止犬種」に関する記述を引用します。


2. Banned dogs
In the UK, it’s against the law to own certain types of dog.
These are the:
Pit Bull Terrier
Japanese Tosa
Dogo Argentino
Fila Braziliero
It’s also against the law to:
sell a banned dog
abandon a banned dog
give away a banned dog
breed from a banned dog
Whether your dog is a banned type depends on what it looks like, rather than its breed or name.
If your dog is in:
a public place, the police don’t need a warrant.
a private place, the police must get a warrant.
they can seize your dog.
You can give up ownership of your dog but you can’t be forced to. If you do, your dog could be destroyed without you even going to court.
You can get an unlimited fine or be sent to prison for up to 6 months (or both) for having a banned dog against the law.
Your dog will also be destroyed.
If your dog is banned but the court thinks it’s not a danger to the public, it may put it on the IED and let you keep it.
Your dog must be:
neutered
microchipped
kept on a lead and muzzled at all times when in public
kept in a secure place so it can’t escape

法律で禁止する犬種
イギリス(UK)では、特定の犬種の犬を所有することは法律違反です。
これらの犬種は次のとおりです。
ピット・ブル・テリア
日本の土佐犬
ドゴ・アルヘンティーノ
フィラ・ブラジレイロ
以下の行為は法律に違反します。
禁止犬種の販売
禁止犬種を捨てること
禁止犬種を誰かに譲渡すること
禁止犬種の繁殖
犬が禁止されている種類であるかどうかは、犬の品種や品種名よりもむしろ、その犬の外見に依存します。
そのような犬がある場合:
公共の場所では、警察が令状を必要としません。
私的な場所では、警察が令状を取得する必要があります。
警察官は犬を押収することができます。
違反者は犬の所有権を放棄することができますが、強制することはできません。
違反者が犬の所有権を放棄した場合は、違反者は裁判所に召喚されることなく犬は殺処分することができます。
違反者は、*1、金額が不定の罰金を科される可能性があります。
または、法律に違反し禁止犬種を持ったことにより、6ヶ月までの懲役、(あるいは罰金との併科)が科されます。
さらに犬は殺処分されます。
禁止犬種であったとしても、もし裁判所がそれが公衆に対して危険ではないと判断した場合は、IEDの条件を満たせばその犬の飼育が可能です。
その場合にしなければならないこと。
去勢。
マイクロチップの装着。
公共の場においては、常にリードで保持しかつ口輪をすること。
逃げることができないように、安全な場所に保管すること。


*1、法律の条文では、罰金の上限が5000ポンド(69万円。1ポンド=138円)とありますので、その範囲内での罰金。


(動画)

 UK dangerous dog act 1991 enforcement - pitbull seizure 「イギリスの危険な犬法1991 施行 -ピットブルの押収」 2014年8月14日公開
 イギリスの「危険な犬法 1991」に基づき、法律の施行直後に警察は違法飼育の禁止犬種の犬を押収し、強制的に殺処分を多数行いました。現在でもこの法律だけで、ロンドン警視庁だけでも数百頭の犬を押収して強制殺処分しています(野良犬等の自治体が行う公的殺処分とは別の統計で集計されるので、「危険な犬法」による殺処分はイギリスの公的殺処分統計には含まれません)。

A year after the 1991 dangerous dog act was passed the unlicensed pitbull dogs are seized.

「イギリスの危険な犬法 1991」が可決されてから1年後に、無届飼育のピットブル犬が押収されました。


ドイツの狂犬病症例は1990年代には数千例あった






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(Zusammenfassung)
Tollwut in Deutschland


 日本では1957年を最後に、国内での狂犬病発症例はありません。しかしドイツでは1990年代には数千例の狂犬病の症例がありました。1991年には、3,500件もの狂犬病の症例が報告されていたのです。今でこそ激減はしましたが、ドイツはWHO基準ではいまだに狂犬病清浄国ではありません。また、比較的狂犬病の発生が多い東欧や旧ソ連構成国と陸続きです。そのためにドイツでは、狂犬病の疑いのある犬などの殺処分に関しては、日本よりはるかに厳しい規定を法令で定めています。症状が出ていなくても疑いがあるだけ(例えば陽性犬と接触した、同じクレートで移動したなどの犬など)でも、強制殺処分の対象になります。 


 サマリーで記述した通り、ドイツでは1990年代まで国内で数千例もの狂犬病の症例が報告されています。日本が1957年に猫の感染例が報告されて以来、1例も報告がないのとは大きく異なります。ドイツは今でもWHO基準では狂犬病清浄国ではありませんし、狂犬病の発生数が多いとされる東欧や、旧ソ連構成国と陸続きです。したがってドイツでは、法令で日本よりはるかに厳しい狂犬病対策での、犬などの行政による強制殺処分を定めています。
 ドイツ連邦共和国における狂犬病対策の根拠となる主な法令は、連邦狂犬病規則(Verordnung zum Schutz gegen die Tollwut(Tollwut-Verordnung))です。本規則における狂犬病防除のための殺処分規定は、日本よりはるかに厳しいのです。例えば、「狂犬病感染獣と接したなどで感染が疑われるだけも、その動物は即時殺処分しなければならない」などです。日本の狂犬病予防法では、感染が疑われる動物は、保健所が収容して経過観察をして発症後に殺処分~解剖を行い診断を確定するとあります。つまり、症状が出ていない~疑いの状態での殺処分は認められていません。
 まず、ドイツの狂犬病発生状況に関する歴史についての資料を引用します。Tollwut 「狂犬病」(ドイツ版 ウィキペディア)から。


Für Tollwut bei Tieren besteht in Deutschland nach der Verordnung über anzeigepflichtige Tierseuchen eine Anzeigepflicht.
Während noch im Jahr 1980 insgesamt 6800 Fälle gemeldet wurden, waren es im Jahr 1991 noch 3500, im Jahr 1995 nur 855, im Jahr 2001 noch 50 und 2004 noch 12 gemeldete Fälle.
Am 29. Dezember 2008 wurde jedoch im Landkreis Lörrach bei einem aus Kroatien importierten Hund amtlich die Tollwut festgestellt.
Ein weiterer Fall bei einem Hund wurde im März 2010 in Neustadt an der Aisch amtlich festgestellt, nachdem das drei Monate alte, illegal aus Bosnien eingeführte Tier einen Menschen gebissen hatte.
Im Juli 2013 wurde im unterfränkischen Landkreis Haßberge bei einem aus Marokko importierten Hundewelpen Tollwut festgestellt.

動物の狂犬病については、ドイツでは「届け出なければならない動物の感染症に関する規則」(der Verordnung über anzeigepflichtige Tierseuchen eine Anzeigepflicht) 届け出をしなければならない義務があります。
ドイツでは1980年には6,800件の狂犬病の症例が報告され、1991年には3,500件、1995年には855件、2001年には50件、2004年には12件の報告がありました。
2008年12月29日、レーラッハ(Lörrach)地区で、クロアチアから輸入された犬の狂犬病が公式に診断されました。
ボスニアから違法に輸入された生後3か月の犬が人を噛んだ後に、2010年3月にノイシュタット・アン・デア・アイシュでほかの犬の症例が正式に診断されました。
2013年7月には、フランコニア南部のヘスベルゲ地区で、モロッコから輸入された子犬から狂犬病が発見されました。



 「ドイツでは1980年には6,800件の狂犬病の症例が報告され、1991年には3,500件」。この数値を見て、「ドイツでは公的殺処分がゼロ」と本気で思っている人は知能が正常ではないでしょう。
 上記のドイツ版、ウィキペディアの「2013年の、モロッコから輸入された子犬から狂犬病が発見されたニュースに関しては、私は記事にしています。この件では狂犬病の症状がある子犬はもちろん強制的に殺処分されて脳組織の剖検が行われ狂犬病感染が確定診断されました。また、同じクレートで輸送された他の犬は全て強制的に殺処分されました。この件について、ニュース(行政によるプレスリリース)を再び引用します。
 Landkreis Bbamberg Tollwut im Landkreis Bamberg 「バンベルク郡におけるプレスリリース バンベルク郡で狂犬病が発生しました」 2013年7月26日


Landesamt für Gesundheit und Lebensmittelsicherheit bei einem importierten Hundewelpen aus dem Landkreis Bamberg Tollwut nachgewiesen.
Impfpass erfolgte in Marokko die vorschriftsmäßige Tollwutimpfung.
Der behandelnde Tierarzt reagierte äußerst schnell und umsichtig und äußerte den Verdacht auf Tollwut.
Der erkrankte Welpe wurde eingeschläfert und zur Untersuchung an das Bayer.
Der Tollwutverdacht wurde vom Labor am nächsten Tag bestätigt.
Nicht bzw. unzureichend geimpfte Tiere, die Kontakt zu einem tollwutkranken Tier hatten, werden auf behördliche Anweisung sofort getötet.

バンベルク郡の「健康と食品安全局」において、(モロッコから)輸入された子犬に狂犬病が検出されました。
その子犬は、(記録上では)モロッコで適切にワクチン接種が行われていました。
担当の獣医師は、(症状から)非常に迅速かつ慎重に対応し、その子犬の狂犬病の感染の疑いがあることを表明しました。
その病気の子犬を安楽死させ、バイエルン州が調査を行いました。
狂犬病の疑いは翌日に、実験室で診断が確定されました。
ワクチン未接種、もしくは不適切なワクチン接種をした動物、さらには狂犬病に感染した動物と接触した動物は、公式見解により、即時殺処分しなければなりませんでした。



(画像)

 Tollwutgefahr ! freilaufende hunde u. katzen werden erschossen 「狂犬病の危険!自由に徘徊している犬と猫は射殺すべきと書かれています。例えばかつて狂犬病清浄国であった島国のイギリスでは、犬猫の狩猟を禁じています。対してドイツでは犬猫の狩猟が合法であり、むしろ奨励していますが、それは狂犬病対策の一環でもあります。またドイツでは、森林地帯も市街地も犬のリードが厳しく義務付けられていますが、狂犬病対策も理由です。「狂犬病の危険あり 犬のリードは義務です」という看板もあります。
 ドイツが比較的近代まで数千例も狂犬病が発生しており、いまでも狂犬病清浄国ではないことを鑑みれば、「ドイツでは公的殺処分がゼロ」、「ドイツでは犬はノーリードでもよい」と公言できる人は、知能が正常ではないでしょう。

狩猟支持看板 (640x480)


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 これはオーストリアのものですが、オーストリアとドイツの法制度は大変近いです。Jagdgebiet! Frei herumlaufende Hunde werden erschossen! Hunde an die leine. 「ここは狩猟区域です!自由に走りまわっている犬は射殺されます。犬はリードにつなぐこと」という、ドイツ語の看板。Streitthema: freilaufende Hunde im Fadenkreuz der Jägerschaft から

ドイツ 犬 狂犬病 リード 看板


(画像)

 ツイッター、じゅにぺこ さんの投稿。なぜドイツの放棄にかかわることを匿名のネットワーカーに聞くのか、よほどこの方は知能が低いらしい。正確さを求めるのならば、ドイツ大使館に聞けばよいのです。ドイツ大使館は日本語対応していますので。
 このような知ったかぶりの妄想を無責任に回答する、maimaimaifulさんも、デマ情報の拡散は社会に有害ということを自覚されたい。「(ドイツでは)繋がれていない犬は~阻む権利は誰にもありません」は、「ドイツでは犬のリード義務を定める法律はない」という意味になります。ドイツではきわめて厳しい犬のリード義務があります。例えばノルトラインーヴェストファーレン州など複数の州では、犬にリードをせずに森林地帯に放せば、2万5,000ユーロまでの罰金に処せられます。お二人とも精神病院にでも行くべき方です。

maimai.jpg


(動画)

 ドイツの殺処分ゼロのカラクリを話しましょう(教授の受け売りで(笑)) 2019/11/15公開

 こちらの動画主も、知能が正常ではない方です。「ドイツでは射殺はあるが公的殺処分はゼロである」。このような悪質なデマと捏造資料を、精力的に拡散している方です。本当に根拠のないデマは社会に有害です。そして相変わらずの嘘つきの常とう手段の「伝聞」しか根拠としていません。「教授の受け売り」ならば、なんという大学で何という方で、その情報は著作なのか講演会なのか、そこまで明示しなければ根拠ゼロということをこの方はわかっているのですかね? 具体的の園教授のお名前を教えていただきたい。「ドイツでは公的殺処分がゼロ」という、出典を求めますので。






まとめ・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります







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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  


 記事、
ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
続・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
続々・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
続続々・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
の続きです。
 ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。



 ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
 「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
 
 私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
 「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。


Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)

§ 31 Datenschutz (Artikel wird weggelassen)

§ 32 Verordnungsermächtigung (Artikel wird weggelassen)

§ 33 Bußgeldvorschriften
(1) Ordnungswidrig handelt, wer vorsätzlich oder fahrlässig
1. entgegen § 12 Absatz 1 nicht für die fälschungssichere Kennzeichnung sorgt oder das Auslesen des Transponders durch die zuständige Behörde nicht duldet und unterstützt,
2. entgegen § 12 Absatz 2 einem Hund das vorgeschriebene Halsband oder Brustgeschirr nicht anlegt,
3. entgegen § 13 Daten nicht an das zentrale Register meldet oder seiner Nachweispflicht nicht nachkommt,
4. entgegen § 14 Absatz 1 keine Haftpflichtversicherung unterhält,
5. entgegen § 14 Absatz 2 einen Hund, für den keine Haftpflichtversicherung besteht, im Land Berlin führt,
6. entgegen § 15 einen Hund an einen der genannten Orte oder in einen Bereich, für den ein Hundemitnahmeverbot angeordnet wurde, mitnimmt,
7. entgegen § 16 Absatz 1 oder § 17 Hunde züchtet, vermehrt, ausbildet, abrichtet oder abgibt,
14. entgegen § 19 Absatz 4 die Plakette nicht am Halsband oder Brustgeschirr des Hundes befestigt oder vor Erteilung der Plakette die Bescheinigung nach § 18 Absatz 1 Satz 4 nicht mitführt oder nicht auf Verlangen der zuständigen Behörde zur Prüfung aushändigt,
15. entgegen § 20 Absatz 1 einen Hund ohne beißsicheren Maulkorb führt,
17. entgegen § 21 Absatz 1 einen Hund nicht ausbruchssicher unterbringt oder nicht die vorgeschriebenen Hinweisschilder anbringt,
20. entgegen § 23 oder § 28 einen Hund ohne die vorgeschriebene Leine führt,
22. entgegen § 26 Absatz 3 mehr als vier Hunde gleichzeitig führt,
(2) Die Ordnungswidrigkeit kann in den Fällen des Absatzes
1 Nummer 7 oder Nummer 25 mit einer Geldbuße von bis zu fünfzigtausend Euro, in den übrigen Fällen mit einer Geldbuße von bis zu zehntausend Euro geahndet werden. Hunde, auf die sich eine Ordnungswidrigkeit nach Absatz 1 Nummer 7, 13, 24 oder 25 bezieht, können eingezogen werden. § 23 des Gesetzes über Ordnungswidrigkeiten ist anzuwenden.

31条 犬登録に係る情報の保護(条文は省略)

32条 ベルリン州上院に、本法に基づき規則を制定する許可に関して(条文は省略)

33条 罰金規定
1項 故意または過失により、これらの行為を行う者は全て行政犯罪としての処罰を受けます。
1号 12条1項に違反して、偽造防止された犬の個体識別での登録をしないか、管轄当局によるマイクロチップ読み取り機での読み取りを拒否したり容認しないこと、
2号 12条2項に違反して、所定の首輪もしくはハーネスを犬に装着しなかった者、
3号 13条に違反して、犬の中央登録簿(註 州の犬登録データベース)に情報を届け出なかったか、情報を提供する義務を行わなかった者、
4号 14条1項に違反して、犬の責任賠償保険の契約を締結しなかった者、
5号 14条2項に違反して、ベルリン州内で責任賠償保険未加入の犬を連れて歩き、
6号 15条に違反して、本条で示された場所のいずれか(註 児童公園、遊泳場、芝生)、または犬の同伴が禁止されているエリアに犬を連れて入った者、
7号 16条1項、または17条に違反して、犬を繁殖、増やすことを行った、訓練、しつけ、または販売した者、
14号 19条4項に違反し、危険な犬の飼育許可証明標識を犬の首輪またはハーネスに取り付けていない、または標識が発行される前に、18条1項4号の規定による証明書を携帯していないか、要求に応じて検査のために管轄当局に証明書を示さない者、
15号 20条1項に違反して、咬みつき防止の口輪をしていない犬(註 危険な犬)を連れて歩く者、
17号 21条1項に違反して、遁走防止がされていない方法で犬を収容していない、または所定の標識を掲示していない者、
20号 23条または28条に違反して、既定のリードなしで犬を連れ歩く者、
22号 26条3項に違反して、同時に4頭以上の犬を連れ歩く者、
2項 1号から7号、または25号の違反は最大5万ユーロ(日本円で620万円 1ユーロ=124円)まで、その他の場合は最高で1万ユーロ(124万円)までの罰金が科されます。また1号から7号、13号、24号、または25号で規定されている行政犯罪に係る犬は行政により没収される可能性があります。 行政犯罪法(Ordnungswidrigkeiten ist anzuwenden)第23条が適用されるからです。



(解説)

31条
 ベルリン州ではすべての一般飼育者の犬の個体識別とそれに基づく登録を州の機関に登録することを義務付けています。その情報の保護についての規定です。

32条
 ベルリン州の立法機関は、形式的には二院制議会です。しかし上院議員は行政から任命された者であり、行政機関としての性格が強いのです。下院議会の諮問機関といった位置づけです。この条項では、本法での細部にわたる施行のための規則を、上院が単独で制定できることを規定しています。

33条
 連載で抄訳してきた、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 *
「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の、罰則規定です。行政罰の罰金(過料)までであり、刑事罰の自由刑はありませんが、極めて高額の罰金が規定されています。

・5万ユーロ(620万円 1ユーロ=124円)までの罰金(過料)

1項1号 犬の登録義務に違反して虚偽登録等を行った
2号 公共の場で犬に首輪、もしくはハーネスを未装着
3号 犬の登録義務に違反し行わなかった
4号 犬の損害賠償責任保険に未加入で犬を飼育した
5号 公共の場に、犬の損害賠償保険未加入の犬を連れて出した
6号 犬禁止の場所に犬を入れた(児童公園や遊泳場)
7号 禁止されている危険な犬の繁殖、訓練、販売等を行った

1万ユーロ(124万円)までの罰金(過料)

17号 遁走防止対策が不十分な場所で犬を飼育する
20号 リード義務の場所(公共の場では公に認められたドッグラン以外ではほぼ全域)でリードなしで犬を連れ歩いた
22号 同時に4頭以上の犬をリードにつないで連れ歩いた

*私はこのブログ記事で過去に何度か「ベルリン州の犬のリード義務違反は5,000ユーロ(62万円)までの罰金」と記述しています。しかし2016年に新たに立法され、旧法から移行した本法(現行法)では、1万ユーロ(124万円)までの罰金です。


 上記のように、「ベルリン州犬法」ではきわめて厳しいリード義務が課され、公に認められたいわゆるドッグラン以外でリードなしで犬を連れ歩けば、最高で1万ユーロ(124万円)の罰金が科されます。さらに犬の登録義務に違反すれば、最高で5万ユーロ(620万円)の罰金が科されます。さらにベルリン州の所管する行政組織は、徘徊する犬猫、野良猫の捕獲を行い、公的動物収容所に収容します。そこでは公的殺処分も行われています。所有者不明の野良犬は、判明すれば最後の飼い主は、捕獲から収容、殺処分までの費用が行政から請求されます。また不適正な犬(危険な犬の違法飼育等)では、行政が飼い主から取り上げて、強制的に殺処分する規定もあります。
 法律で規定されていることは、真実であることは微動だにしません。しかし日本では全く真実に反する、事実無根のデマが繰り返されています。例えば「ドイツでは殺処分がない」、「ドイツでは犬はノーリードでよい」、「ドイツでは行政ではなく民間団体が犬猫の保護をする」などです。なぜこれほどのひどい、まさに正反対、真逆のデマが繰り返し流布され、それを信じる人が絶えないのか私は理解に苦しみます。環境省をはじめとする省庁、大学、マスコミ、動物愛誤団体は言うに及ばず。今回は「ドイツ、ベルリン州 犬法」と取り上げました。多くの関係者が原文を確認し、ドイツ語に堪能な方に訳してもらってください。動物愛護関係者はおやめになった方がよいでしょう。彼らは嘘つきで、都合よく歪曲誤訳をするか、極めて語学の能力が低いからです。


(動画)

 まるでドイツ?ノーリードで散歩するdoberman 2012年12月24日公開

 このような無知蒙昧な悪質なデマを流す動画公開主もどうかと思う。悪質なデマはおやめください。ドイツは世界で最も犬のリード義務が厳しい部類の国で、例えばノルトラインーヴェストファーレン州では、最高で2万5,000ユーロ(310万円)の罰金が科されます。

続続々・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります







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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  


 記事、
ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
続・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
続々・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります
の続きです。
 ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。



 ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
 「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
 
 私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
 「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。


Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)

Abschnitt 5 Anordnungsbefugnisse, Datenschutz, Verordnungsermächtigung, Bußgeldvorschriften

§ 30 Anordnungsbefugnisse
(1) Die zuständige Behörde kann anordnen, ihr einen Hund
(2) Die zuständige Behörde kann eine amts- oder fachärztliche Untersuchung anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, dass eine Person, die einen gefährlichen Hund ( § 5 ) hält oder wiederholt geführt hat, nach § 22 Absatz 2 Nummer 3 oder 4 ungeeignet ist.
(3) Die zuständige Behörde kann bei begründeten Zweifeln an der Zuverlässigkeit oder der Sachkunde
(4) Die zuständige Behörde kann das Halten eines gefährlichen Hundes ( § 5 ) untersagen, wenn die Halterin oder der Halter
(5) Die zuständige Behörde kann das Führen eines gefährlichen Hundes ( § 5 ) untersagen, wenn die betroffene Person
(6) Die zuständige Behörde kann das Halten eines Hundes mit Auflagen versehen, wenn der Hund ein Verhalten gezeigt hat, durch das Menschen oder Tiere geschädigt, gefährdet oder erheblich belästigt oder fremde Sachen beschädigt oder gefährdet wurden.
(7) Die zuständige Behörde kann zur Beseitigung und Verhütung von Gefahren für Leben und Gesundheit von Menschen oder Tieren
1. das Halten und das Führen von Hunden im Einzelfall oder generell untersagen sowie
2. die Sicherstellung eines Hundes anordnen.
(8) Im Falle der Sicherstellung eines Hundes gelten, die Kosten der Sicherstellung und Verwahrung hat abweichend von § 41 Absatz 3 Satz 1 des Allgemeinen Sicherheits- und Ordnungsgesetzes die Halterin oder der Halter des Hundes zu tragen, bei herrenlosen Hunden die letzte Halterin oder der letzte Halter.
(9) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines Hundes anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, dass
1. auch in Zukunft von dem Hund eine konkrete Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht und
2. dieser Gefahr nicht auf eine andere zumutbare und tierschutzgerechte Weise begegnet werden kann.

第5章 行政が犬の飼い主に対して命令を行う権限、犬の飼育に関するデータ保護、行政の規則を制定する権限、罰金に関する規則について

30条 行政が命令を出す権限
1項 所管する官庁は、犬の飼い主に命令することができる
2項 所管官庁は、危険な犬を飼っている者(5条)または繰り返し、22条2項3号又は4号による不適切は方法で犬を連れ歩いたとの事実が疑われそれが正当である場合はその者に対して、公的で専門的な検査を命じることができる。
3項 危険な犬の飼い主の信用または専門知識について正当な疑いがある場合は所管する官庁は
4項 所轄官庁は、飼い主が危険な犬を飼うことを禁止することができます(5条)
5項 所管官庁は、関係者が危険な犬を(公共の場で)連れ出すことを禁止することができます(5条)
7項 所管官庁は、人間または動物の生命および健康への危険を取り除き、防止することができます
1号 個々の場合または全般的に、犬の飼育および連れ出しを禁止すること
2号 飼い主に犬を束縛するように命令することができます。
8項 犬を安全上所管官庁が捕獲する場合は、捕獲と収容(保管)費用は、一般安全秩序法(des Allgemeinen Sicherheits- und Ordnungsgesetzes)に違反することになるために犬の所有者が負担する必要があり、野良犬の場合は最後の所有者が負担しなければなりません。
9項 これらの事実により次の推定が正当化される場合は、所管官庁は犬の殺害を命じることができます
1号 その犬が将来、人や動物の生命や健康に具体的に危険をもたらす可能性があること、
2号 この危険に対しては、他の合理的で動物福祉に優しい方法では対処することはできません。
犬の飼い主は犬の殺処分の費用や捕獲の費用を負担しなければならず、野良犬の場合は最後の飼い主が負担しなければなりません



(解説)

 本法の30条は、ベルリン州の行政組織が犬の飼い主に対して命令できる事柄に関してです。危害を及ぼす可能性がある危険な犬においては本法は、飼い主にその犬の検査、公共の場に連れ出すことの禁止、飼育の禁止、最終的には没収して強制的に殺処分する権限を行政に与えています。さらにこの強制的な犬の殺処分においては、飼い主が殺処分や死体の処分費用を負担する義務があることを規定しています。
 さらに浮遊犬、野良犬を行政組織が捕獲して殺処分する権限があることを規定しています。野良犬の場合は、もし判明すれば、最後の飼い主が捕獲や殺処分等の費用を負担しなければならないと定めています。

 ベルリン州(ベルリン州に限らず連邦法での定めがあり、ドイツ連邦共和国全州においては同様の州法令が制定されている)では、浮遊犬野良犬の捕獲から一時収容は行政の責務と複数の連邦法と州法で明記されています。ベルリン州(ベルリン州に限らずドイツ連邦共和国16州全州においても)では、もちろん公的な動物収容所があり、そこでは行政が捕獲した浮遊犬猫、野良犬猫等の収用保管を行い、飼い主返還や公的殺処分も行っています。
 日本で喧伝されている、真逆のデマ、「ドイツでは公的殺処分がない。殺処分場もない。犬猫の保護は行政は行わず民間団体が行う」がなぜ流布され、定着しているのかわかりません。今回示した、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 * 「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」のみならず、ベルリン州以外のドイツ連邦共和国の全州での州法令や連邦法令により、「浮遊犬猫野良猫の一次捕獲収容は行政の責務である」と明記されているからです。このような情報は意図的なデマなのか、全く無知無学で出典を一切調べなかったのか、いずれにしても、「ドイツでは殺処分ゼロ」という、真逆も甚だしいデマを広めたものは恥を知れと言いたいです。

 なお、ベルリン州では、「公的動物収容所での犬の収容と殺処分等の処分内訳と予算」に関しての下院議会議事録をインターネットで公開しています。私はそれについて記事にしています。

「ドイツでは民間団体しか犬猫を保護しない」という殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂った論説
ベルリン「犬の行政施収容数と殺処分等の処分の内訳と予算」~州下院議会議事録
ドイツには公的動物収容センターがあり、行政による犬猫の捕獲と殺処分も行われている


(動画)

 ドイツの殺処分ゼロのカラクリを話しましょう(教授の受け売りで(笑)) 2019/11/15公開

 「ドイツでは射殺はあるが公的殺処分はゼロである」。このような悪質なデマと捏造資料を、精力的に拡散している方です。本当に根拠のないデマは社会に有害です。そして相変わらずの嘘つきの常とう手段の「伝聞」しか根拠としていません。「教授の受け売り」ならば、なんという大学で何という方で、その情報は著作なのか講演会なのか、そこまで明示しなければ根拠ゼロということをこの方はわかっているのですかね。?




(画像)

 ドイツ大使館広報 ドイツへの犬、猫などの持ち込みについて。少なくとも「公的殺処分はゼロ」ではないことがお分かりいただけると思います。
 ドイツではこの連載記事で取り上げた通り、各州に危険な犬(犬種や咬傷事故を起こした、もしくは行動などにより危険と行政が判定したもの)を、行政が強制的に殺処分する権限を州法令で定めています。浮遊野良犬猫を、ドイツ全州では捕獲し、公的動物収容所に収容して公的殺処分も行っています。また連邦法では、狂犬病法での犬猫の殺処分規定を厳格に定めています。その他でも犬猫の殺処分の根拠となる法令は複数あり、相当数が行われています。

ドイツ大使館


(画像)

 澤木崇氏。過去にも多くの捏造投稿をしています。  

https://twitter.com/gold_24karats/status/1232250437509599232からのスクリーンショット。元のツィートは削除されたようです。

ツイッター


 このツィートの投稿者は、ペットショップでの犬猫生体販売に反対する、保護犬猫活動家かつ保護犬猫販売を行う人物のようです。ネット上の情報では、ペット業界を攻撃する、動物愛護(誤)界ではかなり影響力がある人物とのことです。短い文面ですが、明らかに「ペット業界」への批判です。「繁殖場もショップもOKというもの」とあり、読み手は掲載されている写真は「繁殖場(ブリーダー)」と認識するはずです。
 また「現状の部屋よりも『退化』した基準を作ろうとしている業界と、絆されそうな環境省」という記述があります。これは、明らかにこれらの画像が、日本のペット業界のものという意味になります。
 この方は他にも、「ドイツでは殺処分がない」、「アメリカでは生体販売ペットショップがほとんどない。日本は異常(つまり「日本は生体販売ペットショップの数が多すぎる」という意味になります。真実は、アメリカ合衆国には人口比で日本の2.7倍の生体販売ペットショップが存在します)」というデマも拡散しています。影響力がある人物ならば、提供する情報にも責任を持つべきです。

 しかし左右の写真とも、日本のペット業界のものではありません。まず左の画像ですが、これは猫保護団体のあまりにひどい内部事情を告発する、猫保護団体関係者による告発サイトから盗用したものです。盗用された元のサイトはこちらです。東京キャットガーディアンについてお伝えしたい真実 2019年5月26日 なおこのサイトの管理人は、「記事の引用、画像の転載」を一切禁じています。それにもかかわらず無断盗用したということです。
 次に右の画像です。これは日本のペット業者ではなく、アメリカのミズーリ州の「パピーミル規制法案が否決された」というニュースを報道している、アメリカのマスメディアの記事からの盗用です。記事はこちらです。Missouri State Senate Overturns Puppy Mill Law Favored By Voters 「ミズーリ州上院は有権者に支持されていたパピーミル法案を否決しました」 2011年3月10日

続々・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります







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 記事、
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の続きです。
 ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。



 ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
 「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
 
 私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
 「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。


Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)

Abschnitt 4
Nicht gefährliche Hunde
§ 26
Unterbringung, Beaufsichtigung und Führen nicht gefährlicher Hunde
(1) Ein eingefriedetes Grundstück, auf dem ein Hund, der nicht unter § 5 fällt, gehalten wird, muss gegen das Entweichen des Hundes angemessen gesichert sein.
(2) (Artikel wird weggelassen)
(3) Eine Person darf nicht gleichzeitig mehr als vier Hunde führen.

§ 27 Gewerbsmäßiges Führen
(1) Wer im Geltungsbereich dieses Gesetzes Hunde gewerbsmäßig führt, bedarf für das Führen von mehr als vier Hunden der Genehmigung durch die zuständige Behörde.

§ 28 Leinenpflicht
(1) Außerhalb des eingefriedeten Grundstücks, auf dem ein Hund, der nicht unter § 5 fällt, gehalten wird, und bei Mehrfamilienhäusern außerhalb der Wohnung sind Hunde an der Leine zu führen.
(2) (Artikel wird weggelassen)
(3) Die Leinenpflicht gilt ferner nicht in speziell ausgewiesenen und kenntlich gemachten Hundeauslaufgebieten sowie in anderen von der zuständigen Behörde speziell ausgewiesenen und kenntlich gemachten Bereichen öffentlicher Grün- und Erholungsanlagen, soweit
1. der Hund sich im Einwirkungsbereich der führenden Person befindet,
2. der Hund jederzeit zurückgerufen werden kann und
3. keine Gefahr für die öffentliche Sicherheit oder keine erhebliche Belästigung von dem Hund ausgeht.
(4) Die Leine muss so beschaffen sein, dass der Hund sicher gehalten werden kann. Die Leine muss reißfest sein.
In den in § 24 Absatz 3 Satz 1 Nummer 2 bis 5 bezeichneten Bereichen ist der Hund an einer höchstens zwei Meter langen Leine zu führen.
Ausgebildete Jagdhunde und in Ausbildung befindliche Jagdhunde dürfen in diesen Bereichen ohne Leine geführt werden, soweit dies zur waidgerechten Jagdausübung oder zur Ausbildung zum Jagdgebrauchshund erforderlich ist.

§ 29 Befreiung von der Leinenpflicht
(1) Ein Hund, der nicht unter § 5 fällt, ist vorbehaltlich der Bestimmungen des Absatzes 2 von der Leinenpflicht befreit, wenn
1. er von einer Person geführt wird, der von der zuständigen Behörde eine Sachkundebescheinigung ( § 6 Absatz 3) erteilt worden ist, und
2. für ihn kein Leinenzwang angeordnet ist.
Die den Hund ohne Leine führende Person hat die Bescheinigung nach § 6 Absatz 3 jederzeit mit sich zu führen und der zuständigen Behörde auf Verlangen zur Prüfung auszuhändigen.
(2) Die Befreiung von der Leinenpflicht nach Absatz 1 gilt nicht
1. in den Fällen des entsprechend anzuwendenden § 23 Absatz 2,
2. in den in § 24 Absatz 3 Satz 1 Nummer 2 bis 5 bezeichneten Bereichen und
3. für läufige Hündinnen.
Darüber hinausgehende Vorschriften bleiben unberührt.
(3) Hunde sind ferner von der Leinenpflicht befreit, soweit dies für
1. eine ordnungsgemäße Sachkundeprüfung ( § 7 ),
2. einen ordnungsgemäßen Wesenstest ( § 9 ) oder
3. die Ausbildung zum Assistenzhund ( § 2 Absatz 3)
notwendig ist.
(4) Unbeschadet der §§ 28 und 29 sind Hunde stets an einer höchstens einen Meter langen, reißfesten Leine zu führen
1. in zugänglichen Bereichen von Mehrfamilienhäusern, insbesondere in Aufzügen, Treppenhäusern, Kellern und auf Hofflächen und Zuwegen,
2. in Büro- und Geschäftshäusern, Ladengeschäften, Verwaltungsgebäuden und anderen öffentlich zugänglichen baulichen Anlagen und deren Zuwegen,
3. bei öffentlichen Versammlungen und Aufzügen, Volksfesten und sonstigen Menschansammlungen auf öffentlichen Straßen und Plätzen,
4. in öffentlichen Verkehrsmitteln, auf Bahnhöfen und an Haltestellen sowie
5. in Fußgängerzonen.

第4章 危険ではない犬

26条 危険ではない犬の収容、管理および取り扱い
1項 5項に該当しない犬が飼育されているフェンスで囲まれた犬の飼育施設は、犬の遁走を防止するために適切に収容されなければならない。
2項 (条文は省略)
3項 1人が同時に、4頭以上の犬をリードでつないで連れ歩くことはできません。

27条 専門家による管理
1項 この法律の範囲内で商業目的で犬をリードで連れて歩く者(註 散歩の代行業者など)は、4頭以上の犬を連れ歩く場合は所管官庁の許可を必要とします。

28条 犬のリード義務
1項 第5項に該当しない犬が飼育されているフェンスで囲まれた敷地の外、および集合住宅の部屋の外部では、犬はリードにつないで保持しなければなりません。
2項 (条文は省略)
3項 犬をリードで保持する義務は、特別に指定され、明示された犬の運動エリア(註 いわゆる公共のドッグラン)、および所管する当局によって特別に指定され明示された公共の緑地およびレクリエーション施設などの他の区域には適用されません。ただし、
1号 犬は飼い主の影響が及ぶ範囲にいること、
2号 犬はいつでも呼び戻しができ、
3号 犬が公共の安全に危険を及ぼすことも、重大な迷惑をかけることもないこと。
4項 リードは犬をしっかりと保持できるように作られているなければならず、切断防止がなされていなければなりません。ただし24条3項の2号から5号で指定された区域では、犬は2メートル以内のリードにつないでおく義務があります。
訓練を受けた狩猟犬と訓練中の狩猟犬はリードなしでこれらの地域に同行することができますが、それは狩猟の訓練や使役犬になるための訓練に必要な場合に限ります。

29条 犬にリードをすることの義務の免除
1項 5条に該当しない犬は、2条の規定に従い、次の場合にリードにつながれることを免除されます。
1号 所管官庁から専門知識証明書(第6条3項)を発行された者においては。
2号 犬にはリードは義務付けられません。
リードなしで犬を連れる者は、6条に従って証明書を常に携帯し、要求に応じて管轄当局に渡して確認を受けなければなりません。
2項 以下の場合は1項によるリーシュ義務の免除は適用されません。
1号 23条2項が適用される場合、
2号 24条3項2号から5号で指定された区域、そして
3号 発情中の雌犬においては。
さらに強化された規制を自治体が条例等で制定することは、本法本条の影響を受けません。
3項 犬はまた、以下が目的である場合に限り、リードにつなぐ義務が免除されます
1号 専門知識の試験(註 犬を飼育する者の専門知識の試験を所轄官庁が行う場合)(7条)
2号 犬の気質検査を適正に行う場合(註 法律で飼育が原則禁止される危険な犬の飼育を希望する場合は、所管官庁によりその犬の気質検査を受けなければならない)(9条)または
3号 介助犬にするための訓練(2条3項)
であることが必要です。
4項 28条に定める区域では29条の規定は及ばず、犬は常に長さ1メートル以下の切れにくい丈夫なリードで保持しなければなりません。
1号 集合住宅の自由に立ち入りがができる範囲、特にエレベーター、階段の吹き抜け、地下室、中庭や進入路、
2号 事務所や商業ビル、店舗、行政機関の建物、その他の公の立ち入りができる建物およびそれらへの進入路。
3号 公の集会やエレベーター、お祭り、その他の公道や広場での人々の集会で、
4号 公共交通機関、駅、バス停留所においても
5号 歩行者のいるところにおいては。



(解説)

26条 27条 
 犬の飼育においては、フェンスで囲われて犬が遁走できない施設内で行わなければなりません。また一般飼育者は同時に4頭以上の犬をリードにつないで公の場で連れて歩くことが禁じられます。所管する官庁から許可を受けた商業目的の業者(註 散歩の代行や訓練士など)は、4頭以上の犬をリードにつないで公の場で犬を連れることができます。

28条
 本法5条で規定する「危険な犬」以外の犬は、フェンスで囲われた施設以外では、ベルリン州全土で例外を除き、リードを装着する義務があります。例外は一般の犬においては、「州により特別に指定され、明示された犬の運動エリア(いわゆる「ドッグラン」)に限られます。また猟犬や介護犬などの使役犬は、訓練中やその用に供されている場合にかぎりリード義務が免除されます。

29条
 本法5条で規定される危険な犬以外の一般の犬においては、例外的に指定された、いわゆるドッグランでのリード義務は免除されます。また犬を扱うものの専門性の試験、危険な犬の気質テストの実施、介護犬の訓練においてはリード義務は免除されます。つまり一般の犬においては、特別に指定された公共のいわゆるドッグラン以外では、ベルリン州の特に市街地では全土ではリードが義務付けられるということです。


(画像)

 日本で「全域で犬のノーリードが認められている広大な公園」と流布されているベルリン州のグリューネヴァルトですが、「犬のノーリード(これは和製英語で通じません)エリア」の面積は、全体のわずか4%です。これがグリューネヴァルトの、ごく限られた犬のリードフリーエリアを示す地図です。黄色が「犬にはリー度が必要なエリア」、赤が「犬全面禁止エリア」、緑が「犬のリードフリーエリア」です。

1グリューネヴァルト 地図


(画像)

 ベルリン、グリューネヴァルトの「犬全面禁止エリア」の表示。このエリアに犬を連れて入れば、罰金が科されます。

シュラハテンジー 犬禁止

続・ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります







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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  


*本記事は7,630ブログ中2位を獲得しました。

 記事、ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります、の続きです。
 ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。



 ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
 「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
 
 私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
 「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。


Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)


Abschnitt 2
Allgemeine Pflichten

§ 12 Kennzeichnungspflicht
(1) Die Halterin oder der Halter hat auf eigene Kosten dafür zu sorgen, dass ein Hund, der den dritten Lebensmonat vollendet hat, mit einer fälschungssicheren Kennzeichnung ( § 4 ) versehen wird.
(2) Außerhalb des eingefriedeten Grundstücks, auf dem der Hund gehalten wird, und bei Mehrfamilienhäusern außerhalb der Wohnung müssen Hunde stets ein geeignetes Halsband oder Brustgeschirr mit dem Namen und der Anschrift der Halterin oder des Halters sowie der Hundesteuermarke tragen.

§ 13 Registrierungspflicht

§ 14 Haftpflichtversicherung
(1) Die Halterin oder der Halter hat von Beginn der Haltung an fortlaufend eine Haftpflichtversicherung zur Deckung von durch den Hund verursachten Personen- und Sachschäden über eine Mindestdeckungssumme von einer Million Euro je Versicherungsfall zu unterhalten.

§ 15 Mitnahmeverbote
(1) Hunde dürfen nicht mitgenommen werden
1. auf Kinderspielplätze,
2. in Badeanstalten und an öffentliche Badestellen mit Ausnahme an als solche gekennzeichnete Hundebadestellen sowie
3. auf als solche gekennzeichnete Liegewiesen.
(2) Die zuständige Behörde kann in Gebieten, die aufgrund von Gesetz, Rechtsverordnung oder Widmung der Erholung der Bevölkerung dienen, für bestimmte Bereiche ein Hundemitnahmeverbot anordnen.
(3) Hundekämpfe oder Hundewettkämpfe sind verboten, soweit Bissverletzungen des Hundes oder anderer bezweckt sind oder in Kauf genommen werden.
(4) Darüber hinausgehende Vorschriften bleiben unberührt.

§ 16 Zucht, Vermehrung, Aufzucht, Ausbildung, Abrichten, Abgabe und Erwerb (Artikel wird weggelassen)

Abschnitt 3
Gefährliche Hunde

§ 17 Verbot der Zucht, Vermehrung und Abgabe
Die Zucht und Vermehrung von gefährlichen Hunden nach § 5 Absatz 1 sowie deren Abgabe sind verboten.
Hiervon ausgenommen ist die Abgabe an und durch Tierheime und ähnliche Einrichtungen, die über eine tierschutzrechtliche Erlaubnis zum Halten von Tieren verfügen.

§ 18 Anzeigepflicht (Artikel wird weggelassen)

§ 20 Maulkorbpflicht (Artikel wird weggelassen)

§ 21 Unterbringung, Beaufsichtigung und Führen gefährlicher Hunde (Artikel wird weggelassen)

§ 22 Zuverlässigkeit und Eignung (Artikel wird weggelassen)

§ 23 Besondere Leinenpflicht
(1) Außerhalb des ausbruchssicheren Grundstücks, auf dem der Hund gehalten wird, und bei Mehrfamilienhäusern außerhalb der Wohnung sind gefährliche Hunde ( § 5 ) vorbehaltlich der Bestimmungen des Absatzes 2 stets an einer höchstens zwei Meter langen, reißfesten Leine zu führen.
Die Leinenpflicht gilt nicht in speziell ausgewiesenen und kenntlich gemachten Hundeauslaufgebieten, sofern
(2) Gefährliche Hunde sind
1. in der Hausgemeinschaft zugänglichen Bereichen von Mehrfamilienhäusern, insbesondere in Aufzügen, Treppenhäusern, Kellern, auf Hofflächen und Zuwegen,
2. in Büro- und Geschäftshäusern, Ladengeschäften, Verwaltungsgebäuden und anderen öffentlich zugänglichen baulichen Anlagen und deren Zuwegen,
3. bei öffentlichen Versammlungen und Aufzügen, Volksfesten und sonstigen Menschenansammlungen auf öffentlichen Straßen und Plätzen,
4.in öffentlichen Verkehrsmitteln, auf Bahnhöfen und an Haltestellen sowie
5.in Fußgängerzonen
stets an einer höchstens einen Meter langen, reißfesten Leine zu führen.

§ 24 Befreiung von der besonderen Leinenpflicht 1)
(1) Gefährliche Hunde ( § 5 ) sind von einer Leinenpflicht befreit, soweit dies für
1. eine ordnungsgemäße Sachkundeprüfung ( § 7 ) oder
2. einen ordnungsgemäßen Wesenstest ( § 9 ) unerlässlich und die Sicherheit von Menschen und Tieren gewährleistet ist.
(2) Auf Antrag der Halterin oder des Halters kann die zuständige Behörde einen gefährlichen Hund nach § 5 Absatz 1 von einer Leinenpflicht befreien, wenn
(3) Die Befreiung von der Leinenpflicht nach Absatz 2 gilt nicht
1. in den Fällen des § 23 Absatz 2,
2. in öffentlichen Grün- und Erholungsanlagen, soweit in diesen nicht die Aufhebung der Leinenpflicht im Sinne des § 28 Absatz 3 speziell ausgewiesen und kenntlich gemacht wurde,
3. auf Waldflächen, die nicht als Hundeauslaufgebiete speziell ausgewiesen und kenntlich gemacht sind,
4.auf Sport- und Campingplätzen,
5.in Kleingartenkolonien und
6.für läufige Hündinnen.
Darüber hinausgehende Vorschriften sowie § 20 bleiben unberührt.

§ 25 Tierärztliche Mitteilungspflichten

第2章 犬の飼い主に対する全般義務

12条 個体識別の義務
1項 犬の飼い主は、3か月齢に達した犬に偽造防止された個体識別を行うことを自己負担で確認する必要があります(4条)。
2項 犬が飼育されているフェンスで囲まれた敷地の外、および集合住宅のアパートの部屋の外では、犬は常に飼い主の名前と住所、および犬の犬税納税済み証が付いた適切な首輪またはハーネスを着用する義務があります。

13条 犬の登録義務

14条 犬の賠償責任保険
1項 犬の飼い主は、犬の飼育を開始しると同時に犬による人身傷害や財産の損害を補償する賠償責任保険を継続しなければならず、一事故ごとに最低でも100万ユーロを保険で補償契約をする義務があります。

15条 犬の同行を禁止する場所
1項 犬が許可されない場所
1号 児童公園
2号 遊泳施設及び公共の遊泳場所
3号 犬禁止が明示された芝生の場所
2項 所管官庁は、法律、条例または行政サービスに基づいて、公衆のレクリエーションに役立つ特定の地域での犬の禁止を命じることができます。
3項 犬や他の人への咬傷が意図的であるか、それが受容されている場合は、闘犬や犬の競技は禁止されます。
4項 規則条例で、本法の規定以上の規制を定めることは本法の影響は受けません。

16条 繁殖、増殖、飼育、訓練、しつけ、譲渡および取得(条文は省略)
(この条項では、「危険な犬」の繁殖の禁止と、犬ブリーダーに対するベルリン州独自の販売規制の規定です。正規の認可を受けた犬ブリーダーは1歳未満の犬の譲渡販売に際しては、犬ブリーダーの登録者であることや犬の品種などの証明書を購入者に交付しなければならない等がさだめられています)。

第3章 危険な犬

17条 危険な犬の繁殖および流通の禁止
5条に定める危険な犬の繁殖と増殖、およびそれらの犬の譲渡は禁止されています。
これは、動物保護法(Tierschutzgesetz)により動物を飼うことを許可されている動物保護施設(ティアハイム)および同様の施設への譲渡と、およびそれらの施設を介した譲渡には適用されません。

18条 危険な犬の通知義務(条文は省略)
(危険な犬の飼い主は、飼い主の住所氏名等の個人情報と、当該犬の特性、マイクロチップ番号、飼育放棄、死亡等の情報を所管官庁に届けなければならないとする)

19条 危険な犬の飼育者に対して、犯罪歴がないことの証明を所轄官庁に提出しなければならない義務(条文は省略)

20条 危険な犬に対する公共の場での口輪装着義務(条文は省略)

21条 危険な犬の収容、監督、取り扱い(条文は省略)
(危険な犬は脱走防止に十分配慮して飼育しなければならず、飼育施設のすべての入り口に「危険な犬を飼育している」ことを掲示しなけれrばならない。危険な犬の飼育は18歳以上で専門知識がなければならないなどの規定)。

23条 危険な犬の特別なリード義務
1項 犬の脱出防止を施した犬の飼育施設の外、および集合住宅の部屋の外では、危険な犬(5条で定義する)は、2項の規定に従い、常に長さ2メートル以下の切れにくい丈夫なリードで保持しなければなりません。
リード義務は特別に指定され、明確に明示された犬の運動場所(註 公共のドッグラン)には適用されません。
2項 危険な犬は、
1号 住民が共用している集合住宅の場所、特にエレベーター、階段の吹き抜け、地下、中庭、進入路においては、
2号 オフィスビルや商業ビル、店舗、行政の建物、その他の公に利用が可能な建物と、それらへの進入路では、
3号 公の集会やエレベーター、お祭り、その他の公道や広場での人々の集会で、
4号 公共の交通機関、駅、停留所においても、
5号 歩道では、
常に1メートル以下の長さの、丈夫で切れないリードに犬をつなぐ義務があります。

24条 危険な犬の特別なリード義務の免除
1項 危険な犬(5条)は、次の理由がある場合はリードにつなぐことが免除されます。
1号 適切な専門家による検査(7条)を受け、または
2号 適切な犬の気質テスト(9条)が不可欠であり、人と動物の安全が保証されていること。
2項 飼い主の申請により、所管官庁は、第5条1項に従い、危険な犬のリード義務を免除することができます。
3項 以下各号においては、第2項によるリード義務の免除は適用されません。
1号 23条2項の場合、
2号 公共の緑地およびレクリエーションエリアにおいて、28条(3号)で定義する範囲内でのリード義務の解除が明確に特定および特定されていない場合においては、
3号 犬の運動エリア(註 いわゆる「ドッグラン」)として特別に指定および明示されていない森林地帯では、
4号 運動場とキャンプ場で、
5号 小さな公園で、
6号 発情中の雌犬は、リード義務免除はありません。
上記を超える危険な犬のリード免除の制限を自治体が条例で制定すること、及び20条は制限を受けません。

25条 獣医への通知義務(条文は省略)
(獣医師は、危険な犬が規制を受けない一般の犬として飼育されていることを発見したら、飼い主の氏名住所を管轄する官庁に報告する義務があります)。



(解説)

12条 13条
 ベルリン州においては、本法で適用される犬は全て、マイクロチップによる個体識別と登録義務、さらに損害賠償責任保険の加入義務があります。前回記事でも述べましたが、日本では「ドイツでは犬税登録があるために、別途登録する制度はない」という情報が流布されていますが、完全に誤りです。犬税登録と、犬の個体識別とそれに基づく登録の二重登録制度になっています。

17条 18条 19条 20条 22条 23条 24条 25条
 法律で定めた「危険な犬」の扱いについてです。危険な犬の繁殖と流通の禁止、飼い主と犬の届け出義務、飼い主の危険な犬の飼育の資格で犯罪歴がないことが求められる等の規定です。
 また「危険な犬」は、公共の場では常に口輪の装着が義務付けられます。申請があり、届け出が認められた場合に限り、「危険な犬」はリード義務がいわゆる公共の「ドッグラン」で免除されます。しかし危険な犬は公共の場では、いかなる場所でも口輪はしなくてはなりません。
 その他、獣医師が「危険な犬」の飼い主が「危険な犬」としての申請と飼育許可を得ておらず、一般の犬として飼育していることを発見したならば、所轄官庁に報告しなければならないとあります。ドイツは「危険な犬」の飼育に対しては、厳しい規制を設けています。後ほどの条文で示しますが、無届の「危険な犬」の飼育は、犬を州が没収して強制的に殺処分する権限があります。


(画像)

 NHKの2012年放送の番組、「地球イチバン 地球でイチバン ペットが幸せな街~ドイツ・ベルリン~」のHPから。この番組で放送された内容はほぼすべてがデタラメです。このHPの「(ベルリンの)街では場所によっては大型犬も首輪やリードなしで歩き回り」ですが、ベルリン州では一般飼い主の犬で使役犬以外は首輪もしくはハーネスの使用が義務付けられています。今回訳した、「ベルリン犬法」の12条2項に明記されています。さらに「危険な犬」は、リードのほかに口輪も義務づけられています。なぜこれほどのひどい真逆のデマ番組をNHKが製作したのか、私は理解に苦しみます。

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ベルリン州「犬法」 日本語訳~ベルリン州では全域が犬のリードは義務で公的殺処分もあります







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(Zusammenfassung)
Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  


 ドイツ連邦共和国の首都州、ベルリン州における、Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG)「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」の抄訳。「ドイツ、ベルリン州全域で一般飼い主の犬のリードが義務付けられている」ことと、「州が咬傷犬などを没収して強制的に殺処分を行う権限がある」規定に関する条文を主に、本法の日本語訳を行います。これは数回に分けて公開します。


 ドイツの動物愛護事情ですが、日本で流布されている情報はほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。例えば主なものには、「ドイツでは犬はノーリード(註 これは和製英語で通じない)でよい」、甚だしきは「ドイツでは犬をリードにつなぐことは恥であり、動物虐待とみなされており、さらに法律で禁止されている」です。しかしそれは正反対の大嘘です。例えば首都ベルリン州では、一般の犬の飼い主に対しては、全域で公共の場ではリードを付けることが州法で義務付けられています。処罰は5000ユーロ(日本円で約62万円)と、大変厳しいです。全州で概ね同様の州法令があります。例外は公共のドッグランです。また猟犬や介護犬で申請が認められた場合など、ごく限られた場合のみリード義務が免除されています。
 「ドイツでは公的殺処分はない」も真逆のデマです。ベルリン州では州法で、「咬傷犬などを州が没収して強制的に殺処分する権限がある」と定めています。概ねドイツの全州では、同様の州法令が定められています。
 
 私はドイツに関するデマ情報の反論のために、何度か根拠となる犬に関する連邦法令や州法令を引用してきました。しかし上記のようなデマの流布は相変わらず繰り返されています。そのために、ベルリン州の犬法(Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG))の、犬のリード義務と、州の犬の強制殺処分の規定に関する条文のほぼすべてを日本語訳することにしました。これは数回に分けて記事を公開します。
 「ドイツでは犬のリードは義務付けられているか否か」、「ドイツでは行政が行う犬等の公的殺処分はあるのかないのか」。このようなことは根拠法を調べれば明らかになることです。その国の法律にかかわることで最も確かで正確な情報は、根拠となる法律だからです。願わくば根拠法も上げずに、「ドイツでは犬はノーリードでよい」や、「「ドイツでは行政が行う犬などの公的殺処分はない」という、あまりにもひどい事実無根のデマがこれ以上流布されないことを期待します。


Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016  「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(2020年11月アクセス)


Abschnitt 1
Allgemeine Vorschriften, Begriffsbestimmungen

§ 1 Zweck des Gesetzes
Zweck dieses Gesetzes ist es, das Halten und Führen von Hunden im Land Berlin zum Schutz der öffentlichen Sicherheit zu regeln,

§ 2 Geltungsbereich
(1) Dieses Gesetz gilt unbeschadet der Absätze 2 und 3 für alle Hunde, die im Land Berlin gehalten oder geführt werden.
(2) Dieses Gesetz gilt nicht für Diensthunde der Polizei, der Bundespolizei, des Zolls, der Bundeswehr, der Rettungsdienste und des Katastrophenschutzes sowie für geprüfte Schutzhunde bei Unternehmen des Bewachungsgewerbes.
(3) § 12 Absatz 2 und die §§ 15 , 28 und 29 gelten nicht für Assistenzhunde.

§ 3 Halterin oder Halter
Halterin oder Halter ist jede natürliche oder juristische Person, die einen Hund nicht nur vorübergehend in ihren Haushalt oder Betrieb aufgenommen hat.

§ 4 Fälschungssichere Kennzeichnung
Fälschungssichere Kennzeichnung ist die dauerhafte Kennzeichnung eines Hundes mit einem elektronisch lesbaren Transponder (Mikrochip) gemäß ISO-Norm, in welchem eine einmalig vergebene, unveränderliche Chipnummer gespeichert ist.

§ 5 Gefährliche Hunde
(1) Hunde, bei denen aufgrund rassespezifischer Merkmale oder Abstammung von einer über das natürliche Maß hinausgehenden Kampfbereitschaft, Angriffslust, Schärfe, einem nicht ständig kontrollierbaren Jagdtrieb oder einer anderen in ihrer Wirkung vergleichbaren, Mensch oder Tier gefährdenden Eigenschaft auszugehen ist, gelten als gefährliche Hunde im Sinne dieses Gesetzes.
(3) Gefährliche Hunde im Sinne dieses Gesetzes sind ferner Hunde, deren Gefährlichkeit die zuständige Behörde festgestellt hat.
1. er einen Menschen
a) gebissen oder
b) in sonstiger Weise wiederholt oder schwerwiegend gefährdet, insbesondere in gefahrdrohender Weise angesprungen, hat, ohne zuvor angegriffen oder provoziert worden zu sein,
2. er außerhalb der waidgerechten Jagd oder des Hütebetriebes ein anderes Tier gehetzt, gebissen oder getötet hat, ohne zuvor angegriffen worden zu sein, oder
3. bei ihm von einer aus der Abstammung, Ausbildung, Haltung oder Erziehung folgenden, über das natürliche Maß hinausgehenden Kampfbereitschaft, Angriffslust, Schärfe oder einer anderen, Menschen oder Tiere vergleichbar gefährdenden Eigenschaft auszugehen ist.
(4) Die zuständige Behörde hebt auf Antrag die Feststellung, wenn die Halterin oder der Halter nachweist, dass von dem Hund keine Gefahr.

§ 6 Sachkunde (Artikel wird weggelassen)
§ 7 Sachkundeprüfung (Artikel wird weggelassen)
§ 8 Nachweis der Sozialverträglichkeit (Artikel wird weggelassen)
§ 9 Wesenstest (Artikel wird weggelassen)
§ 10 Sachverständige Person (Artikel wird weggelassen)
§ 11 Zentrales Register (Artikel wird weggelassen)

第1章
全般規制と定義

1条 法律の目的
本法の目的は公共の安全を保ち、危険を防ぎ回避するために、ベルリン州での犬の保持と導くことを規制することです。

2条 法の適用範囲
1項 2項および3項を除外して本法は、ベルリン州で保持または公共の場で導かれるすべての犬に適用されます。
2項 本法は地方警察、連邦警察、税関、軍隊、救助業務、災害管理のための使役犬、および警備業界の企業でテストされたガードドッグには適用されません。
3項 12条2項、15条、28条、29条(註 リード義務に関する条文)は、補助犬には適用されません。

3条 犬の飼い主
飼い主とは、一時的に犬を家庭や事業で取り扱っただけではない、自然人または法人です。

4条 偽造防止の個体識別を行う義務
偽造防止の個体識別とは、ISO規格に準拠した電子的に読み取り可能なトランスポンダー(マイクロチップ)による、犬の永久的な識別手段であり、独自の変更できないチップ番号が保存されたものです。

5条 危険な犬
1項 品種固有の特性または遺伝特性のために、戦う欲求、攻撃性、凶暴性、常に制御できない狩猟本能、またはその効果が同等の、人間または動物を危険にさらす他の特性を有する可能性が高い犬は、この法律の定義の範囲内で危険な犬と見なされます。
3項 この法律の意味の範囲内の危険な犬とは、所管官庁が危険であることを決定した犬も含めます。
1号 人間が
a)咬まれた、または
b)他の行動で繰り返し、もしくは深刻な危険を人に与えていること、特にあらかじめ犬が攻撃または挑発されていないにもかかわらず危険な状況でとびかかってきた、
2号 事前に犬が攻撃されていないにもかかわらず、正常な狩猟または動物の群れの誘導以外で別の動物を追いかけたり、咬みついたり殺したりした、または
3号 犬の親子関係(遺伝)、訓練、犬の行動特性、生い立ちなどによる次のいずれかの場合、闘争の欲求、攻撃性、凶暴性、または正常な状態を超えるなどは、同様に危険を人間または動物に与える特性と想定できます。
4項 申請に応じて所轄官庁は、飼い主が犬が危険ではないことを証明できる場合は、危険な犬の決定を取り消すものとします。

6条~11条(省略)
(これらの条文は、法律で飼育等を原則禁止する危険犬種及び危険な犬の飼育申請と許可についての規定です。飼い主に対しては犬を飼うための専門能力や犯罪歴がないことが求められ、犬に対しては攻撃性がないなどの気質テストに合格する必要があります。そして所管官庁に飼育の許可を得て、危険犬種として登録することが義務付けられます。かなり厳しい内容です)。



(解説)

2条 3条
 本法の適用範囲は、「使役犬」つまり行政機関が所有する警察犬や軍用犬、警部会社のガードドッグの他、民間団体や個人が所有する盲導犬や介助犬、救助犬と育成中の犬は除外されます。また家庭や法人で継続的に飼育している犬、つまり一般にペットとして飼育されている犬全てが適用範囲となります。

4条
 これは州が義務付けている犬の個体識別と登録義務です。市町村(地方税務署)による「犬税登録」(根拠法は地方税法)とは異なります。つまりドイツでは、犬の個体識別義務と、犬税登録の2重の登録義務があります。日本では「ドイツでは犬税登録があるので別途マイクロチップ等による個体識別と登録義務はない」としている資料が多数あります(例 動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(広島県による委託調査)、東京農業大学教授、太田光明氏の発言など)が、完全に誤りです。


(画像)

 画像は、ツイッター、のスクリーンショット。次から次へと、知ったかぶりのドイツ通(痛)、脳内妄想ドイツ在住者が限なく出てくるのも、日本の動物愛誤の特殊性(後進性)でしょう。完全に、精神病院の閉鎖病棟の患者さんたちの会話といったレベル。

 私でしたら、必ず諸外国の法制度に関するドイツ語原文の資料を取り上げます。法令や制度などで正確さを期したいときは、ドイツ大使館に問い合わせをします。時間はかかりますが、回答は必ず正確です。
 なぜドイツの事柄で、ドイツの原語の出典(法令や政府のHPなど最も信頼性が高いもの)を調べないのでしょうか。もし自分でできなければ、正確な情報を得たいのならばドイツ大使館に聞けばよいのです。ドイツ大使館は日本語対応しています。そのための機関ですから。なぜ匿名の本当にドイツに住んでいるかどうかもわからない、ソーシャルメディアの利用者に問い合わせをするのでしょうか。このじゅにぺこという方は「デマをデマと知りつつデマを拡散させる」、精神疾患レベルの病的虚言癖か、正しい情報を得る手段に思いつかない真正バカのいずれかか、兼ねているかです。

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全域で犬のリードが義務付けらるドイツ、ベルリン州~㈱アニコムのデタラメ記事







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(Zusammenfassung)
In Berlin, die hund leine dürfe zudem nicht länger als zwei Meter sein.
In besonders schweren Fällen kann das Bußgeld auch bis zu 5000 Euro betragen.


記事、
犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
続・犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
コロナ禍で犬の飼育数が激増しているドイツ。その多くが東欧などからの違法輸入である
ドイツの犬猫医療保険加入率は14%~「ドイツのペット医療保険加入率は1%」という悶絶大嘘
ドイツの犬の賠償責任保険加入率は70%~理由は法定義務だから
全ドイツケネルクラブ登録ブリーダーの犬の販売シェアは24%~ドイツでは犬猫を飼うならブリーダーから直接購入するという文化があると言う大嘘
ドイツの年間犬輸入数は50万頭で、犬の販売シェアで最も多いのが輸入犬のインターネットなどによる販売
ペットの生体販売に関する法規制が緩いドイツ~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「大家は賃貸住宅で犬猫の飼育を禁止してはならない」というドイツ連邦司法裁判所判決~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「ドイツでは集合住宅での危険犬種の飼育は住民全員の承諾が必要」は大嘘~㈱アニコムのデマ記事
ドイツは全土で犬のリードが義務付けられ最も罰則が厳しい部類の国である~㈱アニコムのデタラメ記事
ドイツではリードをしていない犬は射殺することが合法~㈱アニコムのデタラメ記事
の続きです。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~(以下、「本記事」と記述する) ですが、書かれていることはほぼすべてがデマです。今回は、「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています(ただし申請が許可されると免除)」の記述のうち、「ただし申請が許可されると免除」が著しい歪曲である(つまり「嘘」)」であることを書きます。



 サマリーで述べた、本記事の問題の記述を引用します。
ドイツではみんなノーリード(*1)でお散歩している、と聞いたことがあるかもしれません。
一方で、リードをつけて散歩をする方もたくさんみられました。
ドイツではノーリードが推奨されているのでしょうか。
それともリードは必要なのでしょうか。
例えば一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています①(ただし申請が許可されると免除②)。
さらにバスなどの公共交通機関では、口輪が必要というルールがあったりもします。
でも、これらは意外と守られていないそうです。
暗黙の了解のようなものがあって、実施する人が少ないのも事実だそうです。


(*1) 私は今まで何度も指摘していますが、no lead は和製英語で通じません。


 本記事の記述、「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています(ただし申請が許可されると免除)」ですが、次の意味になります。
1、ドイツではごく例外的で少数の自治体のみが犬のリード義務を定めている(つまりドイツ国内ではほとんどの場所で犬はリードがいらない)。
2、しかも規則がある自治体でも、ごく限られた範囲の市街地と公共施設のみが犬のリードが義務付けられる。
3、さらに犬のリードが規則で定められている自治体でも、申請を行い許可されれば、いかなる犬でも場所でもリードが免除される。
という意味になります。
 この記述を読んだ方は、「ドイツでは犬は公共の場でもノーリードが当たり前で、規制はあるものの極めてリードを義務付けるのは例外的な国」と理解するでしょう。


 連載記事で、「1」と「2」がデタラメであることをドイツ各州法令や、マスメディアで報道されたニュース(リードを放しただけで、直後に飼い主の目前で警察官に犬を撃ち殺された事件)などを根拠に書きました。ドイツ連邦共和国では、16州全州で犬のリードが州法令で義務付けられています。さらに犬のリード義務違反は、市街地よりもむしろ自然公園や野生動物の繁殖期の森林地帯方が処罰が厳しいのです。
 今回記事では、「3」について述べます。「犬のリードが規則で定められている例外的な自治体でも、申請を行い許可されれば、いかなる犬でも場所でもリードが免除される」は、著しい歪曲(つまり「嘘」)です。

 結論から言えば、「犬のリードが規則で定められている自治体でも、申請を行い許可されれば、いかなる犬でも場所でもリードが免除される」という自治体は確認できていません。おそらく本記事の筆者は、ベルリン州などの、禁止犬種(危険犬種)でのドッグランの利用に関する州法の規定を曲解歪曲したものと思われます。なお他にリード義務が免除される犬としては、狩猟犬や介助犬などに限られており、所管官庁に申請して許可を得なければなりません(なお警察犬などの行政機関が所有する犬は州法のリード義務の適用外です)。
 ドイツでは禁止犬種法があります。その内容はおおむね、「法律で飼育などを禁止する危険犬種を定める。飼育するには厳しい条件を課し、それに満たない犬は行政が没収して強制的に殺処分する権限がある」です。そのほかにも「危険犬種は公共の場では必ず口輪を装着しなければならない」などの規制も受けます。
 その危険犬種ですが、公共の、リードなしで犬を運動させることができるドッグランの利用に関する州法令の規定が別途あります。内容は、「危険犬種は公共のドッグランでリードを使用せずに利用できる。ただし、その危険犬種がベルリン州に登録を行い正規に飼育が許可されたものであることと、必ず口輪を使用しなければならない」と定められています。
 以下に、ベルリン州のHP、Hunde in Berlin Auslaufgebiete, Maulkorbzwang, Infos zu Hunden in öffentlichen Verkehrsmitteln sowie Vorschriften für Hundehalter in Berlin. 「ベルリンでの犬の扱い 屋外で、口輪の義務、公共交通機関での犬に関する情報、ベルリンの犬の飼い主のための規制」(ベルリン州HP) から引用します。


In Berlin im gesamten öffentlichen Raum Leinenzwang für Hunde.
Einzige Ausnahme sind explizit gekennzeichnete Hundeauslaufgebiete.
In Fußgängerzonen und Straßen mit Menschenansammlungen, öffentlichen Gebäuden und Geschäftshäusern, auf Volksfesten sowie auf Bahnhöfen und in öffentlichen Verkehrsmitteln müssen Hunde an einer höchstens einen Meter langen Leine geführt werden.
In öffentlichen Grünanlagen, Parks, Kanalpromenaden, in Kleingärten und auf Campingplätzen sowie in Waldflächen müssen Hunde an einer höchstens zwei Meter langen Leine geführt werden. Ausnahmen sind nur möglich auf Flächen, die als Auslaufgebiete gekennzeichnet sind.
Auf Kinderspielplätzen gilt ein generelles Hundeverbot.
Ebenso sind Hunde in einigen Parks und Grünanlagen verboten.
Und auch in viele öffentliche Gebäude und Geschäfte darf man keine Hunde mitnehmen.
Badeanstalten und Badestellen sind ebenfalls tabu für die Vierbeiner.
Für Pit-Bulls, American Staffordshire Terrier, Bullterrier, Mastiffs und andere sogenannte Kampfhunde gilt in der Öffentlichkeit
Nur in gekennzeichneten Auslaufgebieten dürfen diese Hunderassen ohne Leine laufen, müssen aber trotzdem einen Maulkorb tragen.
Zudem muss ein solcher Hund bei der zuständigen Behörde angemeldet sein.
Für die Anmeldung müssen in Berlin ein Führungszeugnis und ein Nachweis über die Sachkunde des Halters sowie ein Nachweis, dass der Hund nicht aggressiv ist, vorgelegt werden.

In S- und U-Bahn, Bus und Tram sowie auf Bahnhöfen müssen Hunde an der Leine geführt und auch angeleint transportiert werden.

犬はベルリン州のすべての公共の場所ではリードにつないでおかなければなりません。
唯一の例外は、明示された犬の運動のための場所(註 公共のドッグラン)です。
犬はお祭り、駅、公共交通機関で、歩行者ゾーンや人が混雑する道路、公共の建物や商業用の建物では1メートル以内のリードにつないでおく義務があります。
公共の緑地、公園、川沿いの遊歩道、小さな庭園、キャンプ場、森林地帯では、犬は2メートル以内のリードにつないでおく義務があります。
例外は、ドッグランとして明記された場所でのみ(リードをしないことが)可能です。
犬は全般的に、子供の遊び場で禁止されています。
一部の公園や緑地でも犬は禁止されています。
また、多くの公共の建物や店舗では犬は許可されていません。
遊泳施設や水泳できるところも4本足の友達(註 犬のこと)にとって禁忌です。
ピットブル、アメリカンスタッフォードシャーテリア、ブルテリア、マスチフ、その他のいわゆる闘犬種の犬は、公共の場ではリードと口輪を着用する必要があります。
これらの犬種は、指定された運動のための場所(公共のドッグラン)でのみリードなしで歩くことが許可されていますが、それでも口輪を着用する義務があります。
さらに、そのような犬は所管官庁に登録されなければなりません。
登録するには、犯歴がない証明書と飼い主の専門知識の証明、および犬が攻撃的でないことの証明をベルリン州で提示する必要があります。

犬はリードにつないで保持し、鉄道と地下鉄、バスと路面電車、および鉄道駅構内はリードにつないで乗車しなければなりません。


*根拠法 Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 * 「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(本法の適用範囲は警察犬などの公的機関が所有する犬と使役犬は含まれない)


 「犬のリードは州全域で義務である。例外として、ドッグランとして明記された場所ではリードをしなくてもよい。法律で定める危険犬種もドッグランを利用してもよいが申請を行い飼育許可を受けたものに限り、口輪をしなければならない」というドイツの州法の規定を、本記事は著しく歪曲曲解して全く異なる事実を捏造しています。すなわち、「犬のリードが規則で定められている自治体でも、申請を行い許可されれば、いかなる犬でも場所でもリードが免除される」です。愛誤の厚顔無恥も甚だしいです。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~ における誤り、嘘、偏向の指摘はこれで終わります。その他本記事の連載の他の記事の、「ドイツ&オランダ動物保護事情② ~ティアハイムにもいろいろある~」、「ドイツ&オランダ動物保護事情①~ここが日本と違う!ドイツの制度や文化~」も、誤り、嘘、偏向が「これでもか」というほど満載されています。機会があれば取り上げます。

 私は、本記事に対して記述されていることの出典を求めるなどのメールを10回ほどしていますが、一度も回答はありません。㈱アニコムからは、10月6日から11月5日まで、延べ57回アクセスしています。大変熱心にご覧になっています。
 企業の社会的責任として、提供している情報に疑念を指摘されたのであればその出典を示して説明し、また明らかに誤りであれば謝罪して訂正記事を書くべきでしょう。私は㈱アニコムの姿勢に疑問を感じます。㈱アニコムは愛誤が喜ぶデマ情報を流せば愛誤が喜び、売り上げの増大にでもなるとでも勘違いしているのでしょうか。それとも全くの無知で調べることを怠ったのでしょうか。しかしこのような無責任なデマ情報の垂れ流しは、むしろ日本の動物愛護の状況を悪化していると私は感じています。情報は正確、中立、客観的でなければなりません。


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 2020年10月7日から11月6日の期間における、私のブログサイトへのアクセス状況。

アニコム アクセス 累計


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 ベルリン州の森林地帯での看板。Anleinpflicht im Wald Hunde müssen bei fuß gehalten werden 「森林では犬のリードは義務です 犬は遊歩道上に保たなければなりません」

bottrop-leinenpflicht.jpg


(動画)

 Anleinpflicht für Hunde 「犬のリードは義務です」 2020年6月30日
 むしろ野生動物の繁殖期で自然環境の方が、ドイツでは犬のリード義務は厳しく、罰則も重いのです。㈱アニコムの記事では「犬にリードが必要なのは公共施設や市街地だけで例外的」と書かれていますが、正反対の大嘘も甚だしい。なおドイツ全域で犬猫の狩猟は猟期がなく、また多くの州で狩猟区域の制限もありません(ただし居住用建物方一定の距離は必要)。自然環境で犬をリードから放てば、高確率でハンターに撃たれます。

Jetzt beginnt auf Sylt wieder der Zeitraum, an dem Hunde auf der ganzen Insel einer Anleinpflicht unterliegen.
Denn jetzt beginnt bald die Brutzeit der Vögel und auch die ersten Lämmer werden geboren.
Streunende Hunde würden diesen beiden Spezies das Leben schwer machen oder sie sogar verletzen.

今野生動物などの繁殖期間が再びジルト島で始まりました。
島全域で犬にリードをする義務があります。
鳥の繁殖期が間もなく始まり、子羊も生まれ始めます。
野良犬((゚Д゚;) 「ドイツには野良犬がいない」と日本で流布されていますが???)は、これら2種類の動物の生息を難しくしたり、怪我をさせたりします。


警察官による犬などの射殺数が増加し続けているドイツ~その数は年間1万3,000件以上







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(Zusammenfassung)
Statistiken zum polizeilichen Schusswaffengebrauch in Deutschland Stand 11. Juli 2020
Art des Schusswaffengebrauchs insgesamt Tier und Sachen davon 13,711(2018)


 ドイツでは警察官が犬などを射殺する件数は、直近の統計では年間約1万3,700件です。その数は長期的に一貫して増加傾向であり、10年前に比べて約2倍に激増しています。
 その要因にはいくつかがあります。まずドイツでは犬の飼育数が10年の間に2倍近くに激増しており、それに伴い捨て犬→野良犬が増えたことがあります。次に外国産の純血種の子犬が安く買えるようになったことで、ティアハイムの保護犬の人気が落ちていることです。さらにティアハイムの保護犬の譲渡が進まず過剰収容で引き受け不能に陥っており、現場判断で警察官などが無理をしてまで収容せずに安易に射殺するケースが増えているのではないかと思います。



 まずサマリーで示した、「ドイツ連邦共和国での犬などの警察官による射殺数が長期的に一貫して増えている」ことを裏付ける統計資料を示します。元の出典は、ドイツ連邦警察(公的統計)です。


 (画像)

 前回記事でも引用しましたが、2005年からの、年間のドイツにおける、警察官の犬などの射殺件数の推移です。出典は、Statistiken zum polizeilichen Schusswaffengebrauch in Deutschland Stand 11. Juli 2020 「ドイツの警察官の銃の発射についての統計(ドイツ連邦政府 連邦警察統計)」(2020年)です。
 直近では2018年の統計が出ています。Art des Schusswaffengebrauchs insgesamt Tier und Sachen davon 「銃器の使用の種別 概要 動物と財物」とあり、その数は1万3,711件です。「財物(Sachen)」ですが、容疑者の強制捜査で容疑者が室内に閉じこもったような場合に、銃を用いてキーシリンダーを破壊するなどが考えられます。人が乗った自動車に対する威嚇射撃は、Auf Personen insgesamt davon Warnschüsse davon gegen Sachen davon Personen direkt 「対人射撃の概要 威嚇射撃 財物に対する射撃 人に対する直接の射撃」という統計区分に含まれます。ですから、Tier und Sachen 「動物と財物に対する射撃」は内訳は示されていませんが、その大部分が動物で、警察官の勤務場所が市街地が主であることから、その多くを「犬」が占めていると私は分析します。

ドイツ 警察官による犬などの射殺統計 2020


 ドイツで警察官による犬の射殺が激増している理由は、サマリーで述べた通りです。繰り返しますと、ドイツでは犬の飼育数が10年の間に2倍近くに激増しており、それに伴い捨て犬が増えたこと、次に外国産の純血種の子犬が安く買えるようになったことで、ティアハイムの保護犬の人気が落ちていることです。それにより、ティアハイムの保護犬の譲渡が進まず過剰収容で引き受け不能に陥っており、現場簿判断で警察官などが無理をしてまで収容せずに安易に射殺するケースが増えていることがあると思います。
 その他に、ドイツでの犬による咬傷事故の発生数が高水準であることも要因だと思います。例えばベルリン州では犬の咬傷事故(病院で治療を受けた数)の発生数が、人口比で日本の保健所届け出の犬による咬傷数の5.5倍もある(*1)からです。ドイツではしばしば、重症や死亡などの重大咬傷事故が発生します。市中で大型犬が制御不能に陥れば、市民の安全のために警察官が犬を射殺することはやむを得ないと思います。


(画像)

(*1) Beißvorfälle unter Berücksichtigung der Hunderassen in Deutschland und Umfrage bei Hundebisspatienten in vier Berliner Kliniken Freien Universität Berlin 「ドイツの犬咬傷事件の犬種による考察とベルリン州の4つの診療所における犬咬傷事故患者の調査」 2016年(ドイツの一部の州では犬の咬傷事故数を公表していません)


ドイツ 犬 咬傷事故


(動画)

 Hund auf A29 erschossen: Statement der Polizeiinspektion Oldenburg-Stadt/Ammerland 「「高速道路A29号線での犬の射殺:オルテンブルク市/アーマランド警察署からの声明」 2020年2月7日公開

Oldenburg, 7 Februar 2020: Kaum wurde am Donnerstag bekannt, dass die Polizei einen Hund an der Autobahn 29 erschießen musste, gingen die Diskussionen in Sozialen Netzwerken los: Ob das sein müsse, ob man nicht Experten hätte holen können, die den Hund einfangen, und warum der Polizist eine Maschinenpistole anstelle der Dienstpistole zückte.

警察官が高速道路の29号線で犬を射殺しなければならかったことが明らかになると、すぐにソーシャルシャルネットワークでの議論が始まりました。
警官が携行短銃ではなく代わりに、自動小銃(マシンガン)の引き金を引いた理由に関してです。


 中型犬1頭ぐらいでマシンガンを持ち出さなくてもよいような気がしますがね。そのような銃器をわざわざ用意してきたということは最初から犬を射殺する予定で、保護収容する意思は警察にはなかったと、警察を批判する人は思っているようです。


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ドイツではリードをしていない犬は射殺することが合法~㈱アニコムのデタラメ記事







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(Zusammenfassung)
In Berlin, die hund leine dürfe zudem nicht länger als zwei Meter sein.
In besonders schweren Fällen kann das Bußgeld auch bis zu 5000 Euro betragen.


記事、
犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
続・犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
コロナ禍で犬の飼育数が激増しているドイツ。その多くが東欧などからの違法輸入である
ドイツの犬猫医療保険加入率は14%~「ドイツのペット医療保険加入率は1%」という悶絶大嘘
ドイツの犬の賠償責任保険加入率は70%~理由は法定義務だから
全ドイツケネルクラブ登録ブリーダーの犬の販売シェアは24%~ドイツでは犬猫を飼うならブリーダーから直接購入するという文化があると言う大嘘
ドイツの年間犬輸入数は50万頭で、犬の販売シェアで最も多いのが輸入犬のインターネットなどによる販売
ペットの生体販売に関する法規制が緩いドイツ~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「大家は賃貸住宅で犬猫の飼育を禁止してはならない」というドイツ連邦司法裁判所判決~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「ドイツでは集合住宅での危険犬種の飼育は住民全員の承諾が必要」は大嘘~㈱アニコムのデマ記事
ドイツは全土で犬のリードが義務付けられ最も罰則が厳しい部類の国である~㈱アニコムのデタラメ記事
の続きです。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~ 、ですが、書かれていることはほぼすべてがデマです。今回は「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています(ただし申請が許可されると免除)」が著しい偏向と嘘であることを述べます。ドイツでは、全州で公共の場で犬のリードを義務付ける法令があり、罰則は極めて厳しいのです。州によっては2万5,000ユーロ(310万円)までの罰金が科されます。また公共の場でリードを使用しなければ警察官に射殺されることもあり、森林地帯ではハンターが通年非占有下の犬をい射殺することが合法です。また行政が没収することもできます。さらに「申請があればリード義務を免除」する州自治体もありません(*1)。


(*1) 猟犬などの使役兼犬と危険犬種のドッグランの利用は州法令での例外規定がある。


 サマリーで示した通り、ドイツはおそらく世界で最も犬のリード義務に厳しい部類の国です。ドイツでは、全州(すなわち「ドイツ全土」で)で公共の場で犬のリードを義務付ける法令があり、罰則は極めて厳しいのです。州によっては2万5,000ユーロまでの罰金(日本円で310万円。1ユーロ=124円)が科されます。また公共の場でリードを使用しなければ警察官に犬を射殺されることもあります。実際に公園で飼い主が犬のリードを外した直後に警察官に犬が射殺されたケースもあります。また森林地帯ではハンターが通年非占有下の犬を射殺することが合法です。飼い主からわずか3メートルしか離れていなかった犬を射殺したハンターは、その犬がリードにつながれていなかったために狩猟法上合法とされ、刑事訴追を受けませんでした。また行政がリードをしていない犬を没収することもできます。さらに「申請があればリード義務を免除」する州自治体もありません。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~(以下、「本記事」と記述する) から、の問題の記述を引用します。


ドイツではみんなノーリード(*1)でお散歩している、と聞いたことがあるかもしれません。
一方で、リードをつけて散歩をする方もたくさんみられました。
ドイツではノーリードが推奨されているのでしょうか。
それともリードは必要なのでしょうか。
例えば一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています①(ただし申請が許可されると免除②)。
さらにバスなどの公共交通機関では、口輪が必要というルールがあったりもします。
でも、これらは意外と守られていないそうです。
暗黙の了解のようなものがあって、実施する人が少ないのも事実だそうです。


(*1) 私は今まで何度も指摘していますが、no lead は和製英語で通じません。


 ①の、「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています」の記述が偏向、嘘であることを前回記事で述べました。これは全く正反対の、悪質なデマ記述です。ドイツでは全16州(つまりドイツ全州で)で州法もしくは州規則(立法)でより、犬のリード義務が定められています。先に述べた通り、罰則は日本では考えられないほど厳しいです。ドイツの犬のリード義務に関しては、私はドイツ16州全州の州法、州規則について前回記事でまとめました。
 今回記事では、「ドイツでは犬のリード義務が厳しく、警察官や民間人ハンターがリードを付けていない犬を射殺することが合法」です。その根拠法については前回記事で述べました。今回記事ではその具体例を挙げます。

 まず「市街地の公園で、飼い主が犬のリードを放した直後に飼い主の目前で警察官がその犬を射殺した事件」を取り上げます。これは2015年に発生した、ベルリン州(ベルリン州は1市1州の特別市)での事件です。その後の調査で、「飼い主が犬のリードを放したために飼い主が法令に違反している。安全確保のためであり、犬を射殺した警察官は正当な職務を遂行したにすぎず全く落ち度はない」と警察は公表しています。その事件に関する、いくつかのニュースソースを引用します。、


Netz empört | Hund erschossen –Besitzer beschimpft Polizei「インターネット上での怒り 犬の殺害ー犬の飼い主は警察を侮辱した」 2015年8月20日 

Berlin – Am Montag hat ein Polizist einen Hund im Berliner Volkspark Humboldthain erschossen.
Jetzt meldete sich der mutmaßliche Halter des Tieres bei Facebook zu Wort.
Wie die Polizei am Dienstag mitteilte, soll der Hund nicht angeleint gewesen sein.
Ihn angesichts des Leinenzwangs anzuleinen.

ベルリンー月曜日に、警察官はベルリン、フンボルターンのフォルクスパークで犬を射殺しました。
現在その犬の飼い主と思われる人物が、FaceBookで情報発信しています。
火曜日に警察は、犬はリード(リーシュ)でつながれていなかったと公表しました。
彼(犬の飼い主)は、犬にリード(リーシュ)を使用するように命令されていました。



Humboldthain Hund erschossen - Polizei befragt Kollegen「フンボルターン 警察は犬を射殺した警察官に聞き取り調査をした」 2015年8月12日

Polizist verteidigt Schuss.
Polizeisprecher Neuendorf sagt: "Privat dürfen sie sich äußern,sofern sie die Grundsätze des Beamtenrechts nicht verletzen und nicht das Ansehen des Berufs schädigen."
Generelle Leinenpflicht in Grünanlagen.
In Berliner Grünanlagen ist es grundsätzlich untersagt, Hunde nicht angeleint mitzuführen.
Die Leine dürfe zudem nicht länger als zwei Meter sein.
Die Mitarbeiter des Ordnungsamtes haben nach Angaben seit Anfang des Jahres bislang 155 Anzeigen wegen Verstoßes gegen die Leinenpflicht.
In 22 Fällen seien Bußgeldverfahren eingeleitet worden.
Das geschieht dann, wenn es sich um eine Wiederholungstat handelt.
Zwischen 35 und 55 Euro.
Bei gefährlichen Hunden, etwa Pit Bulls, Bullterriern und Mastino Espanol, die eine Liste im *Berliner Hundegesetz aufführt, kann ein erhöhtes Bußgeld verhängt werden.
In besonders schweren Fällen kann das Bußgeld auch bis zu 5000 Euro betragen.

警察は犬の射殺を擁護しました。
(ベルリン)警察の広報官、ナイエンドルフ氏は言います。
「警察官は自主的に判断することができるのであり、警察官の行ったこと(犬の射殺)は公務員法の原則に違反しませんし、そして警察官としての職業の名誉を傷つけるものではありません」。
公園では一般的にリード(リーシュ)が必要です。
ベルリンの公園では、リード(リーシュ)で束縛していない犬を連れていることは厳しく禁止されています。
リードの長さは、2mを超えてはなりません。
(犬の)ベルリン州取締機関の職員は、155例のリード(リーシュ)に対する違反の報告を年初から今日までに受けています。
22例では、略式裁判を開始しました。
再犯の場合はそのようになります(略式裁判で刑事訴追を受ける)。
(罰金は)35~55ユーロ。
ベルリン州犬法に一覧を示してある、ピットブル、ブルテリア、マスティノ・エスパニョール(これらの犬は原則飼育禁止で、大変厳しい飼育条件を満たさなければ押収されて強制的に殺処分されます)のようなこのような危険な犬に対しては、増加の罰金が課される可能性があります。
特に深刻なケースでは、5,000ユーロ(62万円 1ユーロ=124円)の罰金まで科される可能性があります。



(画像)

 上記の事件を報じる、他のメディアの記事から(既に削除)。Beamter fühlt sich bedroht Polizei-Streife erschießt Hund 「警察官は脅威を感じていました パトロール中の警察官は犬を射殺しました」 2015年11月8日 より。警察官に「リードを外した」という理由だけで飼い主の目の前で射殺された、「ダンティ」の死体を片付ける、ベルリン警察の警察官。

ダンティ


 ㈱アニコムの本記事の内容とはずいぶん事情が異なることがお分かりいただけると思います。なおドイツでは市中での犬などの警察官による射殺は増加傾向で、2018年には1万3,000件を超えています。市街地のみならず、郊外の森林地帯でもドイツでは犬のリード義務が州法令で定められています。むしろ自然保護区での野生動物の繁殖期間は、市街地よりも厳しいリード義務違反の罰則があります。 
 またドイツでは通年リードをしていない犬は、ハンターが狩猟駆除してよいと法律で定めています。仮に法律で郊外や森林地帯でのリード義務が規定されていなくても(実際はこれらの地域でも、大変厳しい犬のリード義務が定められています)、事実上、犬のリードを放して自由になどできないでしょう。「飼い主から3メートルしか離れていない射殺したハンターは、その犬にリードがされていなかったために刑事訴追を受けなかった」事件もあります。Jäger und Hunde 「ハンターと犬」(大手ペットフードのサイト)から引用します。


Recht - Dürfen Jäger freilaufende Hunde erschießen?
Dieses Recht wird Jägern in keinem Bundesland versagt!
Unterschiedliche Bestimmungen in den Bundesländern beachten.
Alledem kommt es immer wieder vor, dass Hunde im Wald erschossen wurden, obwohl sie sich nur wenige Meter von ihrem Besitzer entfernt haben.
Sicherlich nicht zuletzt deswegen, weil die Auslegungsmöglichkeiten für Jäger leider sehr breit sind.

法律では-ハンターは自由に走る回っている犬を撃つことが許可されているのですか?
この権利は、どのドイツの連邦州のハンターでも否定されていません!
ドイツ連邦州の、さまざまな規制を守ってください。
飼い主からほんの数メートルしか離れていなくても、森林地帯で犬が撃たれることが多くあります。
残念ながら、ハンターに有利となる法解釈の範囲が非常に広いためです。



 このようにドイツでは全州で犬のリード義務が州法令で定められています。違反者は日本では考えられないほどの高額の罰金が科される可能性があります。さらに先に述べた通り、市中では警察官が犬などの動物を射殺する数は年間1万3,000頭を超えており、民間人ハンターによる犬の狩猟による殺害は高位推計で6万5,000頭になるとされています。
 しかしそれにもかかわらず、ドイツでは犬のリード義務を守る飼い主が少ないのです。ですから警察官やハンターに射殺される数が膨大な数になるわけです。ドイツでノーリード(これは和製英語で通じませんが)の犬を見て、「さすがは愛犬大国ドイツだ」と日本の愛誤が勘違いして、「ドイツでは犬にはリードがいらない」というデマを広げているにすぎません。㈱アニコムも、そのような悪質なデマ記事の一つです。

 次回記事では本記事の、「一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています①(ただし申請が許可されると免除②)」の、②が全くのデマであることを述べます。例えば現在ベルリン州では、一部の公園内の特別な犬のリードフリーエリア(日本の「ドッグラン」のようなもの。それよりは広いですが)以外は、州内全域で犬のリードが義務付けられています。罰金は5,000ユーロまでです。概ね各州の法律では同様の規定があります。
 他の州でも「申請があり許可された場合はリードが免除される」は、「申請があり許可されればすべての犬で市内(州内)全域で犬のノーリードが許可される」という意味になります。しかしそのような法令はドイツでは確認できていません(もしご存じの方がいらしたらコメントください。ただし法令原文のリンクを付けて該当する条文を明示してください)。

ドイツは全土で犬のリードが義務付けられ最も罰則が厳しい部類の国である~㈱アニコムのデタラメ記事







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(Zusammenfassung)
Vermieter dürfen nicht generell die Haltung von Hunden únd Katzen verbieten.
Das hat jetzt der Bundesgerichtshof (BGH) entschieden.


記事、
犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
続・犬猫とも飼育数が激増しているドイツ~なぜ日本のメディアは真逆の嘘報道ばかりするのか?
コロナ禍で犬の飼育数が激増しているドイツ。その多くが東欧などからの違法輸入である
ドイツの犬猫医療保険加入率は14%~「ドイツのペット医療保険加入率は1%」という悶絶大嘘
ドイツの犬の賠償責任保険加入率は70%~理由は法定義務だから
全ドイツケネルクラブ登録ブリーダーの犬の販売シェアは24%~ドイツでは犬猫を飼うならブリーダーから直接購入するという文化があると言う大嘘
ドイツの年間犬輸入数は50万頭で、犬の販売シェアで最も多いのが輸入犬のインターネットなどによる販売
ペットの生体販売に関する法規制が緩いドイツ~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「大家は賃貸住宅で犬猫の飼育を禁止してはならない」というドイツ連邦司法裁判所判決~㈱アニコムの狂ったデマ記事
「ドイツでは集合住宅での危険犬種の飼育は住民全員の承諾が必要」は大嘘~㈱アニコムのデマ記事
の続きです。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~ 、ですが、書かれていることはほぼすべてがデマです。今回は「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています(ただし申請が許可されると免除)」が著しい偏向と嘘であることを述べます。ドイツでは、全州で公共の場で犬のリードを義務付ける法令があり、罰則は極めて厳しいのです。州によっては2万5,000ユーロ(310万円)までの罰金が科されます。また公共の場でリードを使用しなければ警察官に射殺されることもあり、森林地帯ではハンターが通年非占有下の犬をい射殺することが合法です。また行政が没収することもできます。さらに「申請があればリード義務を免除」する州自治体もありません。



 サマリーで示した通り、ドイツはおそらく世界で最も犬のリード義務に厳しい部類の国です。ドイツでは、全州(すなわち「ドイツ全土」で)で公共の場で犬のリードを義務付ける法令があり、罰則は極めて厳しいのです。州によっては2万5,000ユーロまでの罰金(日本円で310万円。1ユーロ=124円)が科されます。また公共の場でリードを使用しなければ警察官に犬を射殺されることもあります。実際に公園で飼い主が犬のリードを外した直後に警察官に犬が射殺されたケースもあります。また森林地帯ではハンターが通年非占有下の犬を射殺することが合法です。飼い主からわずか3メートルしか離れていなかった犬を射殺したハンターは、その犬がリードにつながれていなかったために狩猟法上合法とされ、刑事訴追を受けませんでした。また行政がリードをしていない犬を没収することもできます。さらに「申請があればリード義務を免除」する州自治体もありません。
 ㈱アニコムの記事、ドイツ&オランダ動物保護事情③ ~ドイツ人の動物との接し方~(以下、「本記事」と記述する) から、の問題の記述を引用します。


ドイツではみんなノーリード(*1)でお散歩している、と聞いたことがあるかもしれません。
一方で、リードをつけて散歩をする方もたくさんみられました。
ドイツではノーリードが推奨されているのでしょうか。
それともリードは必要なのでしょうか。
例えば一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています①(ただし申請が許可されると免除②)。
さらにバスなどの公共交通機関では、口輪が必要というルールがあったりもします。
でも、これらは意外と守られていないそうです。
暗黙の了解のようなものがあって、実施する人が少ないのも事実だそうです。


(*1) 私は今まで何度も指摘していますが、no lead は和製英語で通じません。


 ①の、「(ドイツでは)一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須とされています」の記述が偏向、嘘であることを述べます。この記述の「一部の」ですが、「ドイツで犬のリードを義務付けているのは例外で、少数の自治体でしかない」という意味になります。「一部」ですが、一般的な感覚としては1割程度と認識されるでしょうか。さらに自治体規則は「州法」ではなくより下位の法令で、処罰の上限も限られます。つまり本記事では、読者に著しく「ドイツはほとんどで犬はリードをしなくていい。法的な拘束力もごく限られていて、さらにしないのが常識で市民の暗黙の了解がある」と述べています。 
 しかしこれは全く正反対の、悪質なデマ記述です。ドイツでは全16州(つまりドイツ全州で)で州法もしくは州規則(立法)でより、犬のリード義務が定められています。また「一部の市の規則では、公共施設と市街ではリードの装着が必須」との記述では、「一部の市では公共施設と市街のみリードが義務でそれ以外(郊外や森林地帯)では義務は一切ない」という意味になります。しかしこれも全く正反対の大嘘で、ドイツの州法ではむしろ、自然公園や野生動物の繁殖期で犬を森林地帯にリードなしで放すことをより厳しく処罰する規定があります。
 先に述べた通り、罰則は日本では考えられないほど厳しいです。ドイツの犬のリード義務に関しては、私はドイツ16州全州の州法、州規則についてまとめた記事があります。


極めて厳しいドイツの犬のリード義務~最高2万5,000ユーロ(325万円)の罰金、犬の押収殺処分、ハンターや警察官による射殺
続・極めて厳しいドイツの犬のリード義務~最高2万5,000ユーロ(325万円)の罰金、犬の押収殺処分、ハンターや警察官による射殺
続々・極めて厳しいドイツの犬のリード義務~最高2万5,000ユーロ(325万円)の罰金、犬の押収殺処分、ハンターや警察官による射殺
続続々・極めて厳しいドイツの犬のリード義務~最高2万5,000ユーロ(325万円)の罰金、犬の押収殺処分、ハンターや警察官による射殺
まとめ・極めて厳しいドイツの犬のリード義務~最高2万5,000ユーロ(325万円)の罰金、犬の押収殺処分、ハンターや警察官による射殺


 これらの記事の出典はこちらです。Leinenpflicht in Deutschland 「ドイツ連邦共和国における犬のリード義務」 2016年2月11日 このサイトはドイツ16州全州の、州法令による犬のリード義務に関してまとめられています。
 原文の引用と翻訳は上記の私の記事にまとめてあります。さらに根拠となる州法令もリンクしてあります。再度、ドイツ連邦共和国の犬のリード義務について一覧にします。


・バーデン=ヴュルテンベルク州
狩猟区域では、もし飼い主または管理者が特定できなかった場合、もしくはそれらの者が犬を制御できなかった場合は、自由に行動する犬は射殺される可能性があります。
その行為自体が行政上の犯罪であり、最高で5,000ユーロ(日本円で約62万円)の罰金で処罰することが可能だからです。

・バイエルン州
ハンターは狩猟区域では、自由に走っている犬を標的にすることができます。
むしろハンターは、管理されていない犬から狩猟鳥獣を保護しなければならないと、法律で明記されています。
自分の犬を狩猟区域で自由のさせた者に対しては、その行為だけでも罰金を科すことができます。

・ベルリン州
犬は、歩行者エリア、混雑した道路、公共の建物や商業ビル、フェスティバル、鉄道の駅、公共交通機関などは同様に、1メートルを超えないリードが義務付けられています。
一方では、公共の公園、運河の遊歩道、公園、および小規模公園やキャンプ場では2メートルまで許可されます。
一般的にベルリン州では、犬は児童公園や球技場、芝生、指定された公共の水泳場では入場できません。
また、森林分野も適用されます。
ベルリン州においては狩猟区域内では、ハンターは飼い主の管理から離れて狩猟鳥獣を狩っている犬を殺害することが許可されています。
(*)犬のリード義務違反は1万ユーロ(124万円)までの罰金が科される。2016年改正。

・ブランデンブルク州
犬のリードは丈夫でかつ長さは2メートルを超えないものでなければなりませんが、行政機関の建物やブランデンブルク州の公共交通機関内では、要件がさらに厳しくなっています。
そこでは、すべての犬がリードとともに、咬傷防止のための口輪を装着していなければなりません。
違反に対しては、10,000ユーロ(日本円で約124万円)以下の罰金が課されます。
ハンターは、狩猟鳥獣に被害を与える犬を撃つ義務があります。

・ブレーメン州
公共交通機関内、商店、ショッピングモール、人が集まるイベントでは犬はリードにつながなければならず、さもなければ5,000ユーロ(日本円で約62万円)までの罰金が科される危険があります。
ブレーメン州においては、ハンターは飼い主の管理外にある場合は、狩猟鳥獣保護の一環として、自由に徘徊している犬を殺す権限も与えられています。

・ハンブルク州
塀で囲われた私有地以外、集合住宅においては自分の部屋の外では、犬は切れない丈夫なリードをしなければなりません。
犬は、切れない丈夫なリードで保持されなければならず、リードの長さは2mを超えてはなりません。
犬はハンブルクの森林や、ほとんどの国立公園は、リードでつながれていなければなりません。
自然保護区の、Auenlandschaft Norderelbe においては、犬を連れて行くことが全般に禁止されています。
またハンブルク州では、ハンターは狩猟鳥獣に被害を与える犬を殺すことが許可されています。
ハンブルク州狩猟法によれば、ハンターの犬を殺害する権利は、捕獲された後の動物(ライブトラップで捕獲した後に殺害すること)にも及ぶとさえ明示されています。

・ヘッセン州
ヘッセン州では、特に公共の場で人が集まるところ、エレベーター、フェスティバル、市場、見本市、レストラン、公共交通機関では、全般的な犬のリード義務がありあす。
上記の場所で自分の犬を自由にさせる人は、この要件に反することとなり、罰金を科すだけでなく、犬が押収される可能性もあります。
犬を管理でずに、塀で囲われた私有地の外に4本足(犬)を出した場合は、犬の飼い主は5,000ユーロの罰金が科される危険があります。
ヘッセン州の森では、ここでもハンターは、狩猟区で犬を撃つことが許可されています。

・メクレンブルク-フォアポンメルン州
人が集まるところでは犬のリード義務があり、パレード、フェスティバル、その他の公的行事、大勢の人が集まる公共交通機関や商店や動物園などです。
これらの要件に違反する人は5,000ユーロまでの罰金が科せられ、規制当局が犬を押収する危険性もあります。
メクレンブルク-フォアポンメルンの森林では、犬の全般的なリード義務があります。
違反した場合には、7,500ユーロ(93万円)の罰金と犬が押収される危険があります。
さらに、狩猟鳥獣を追いかけたり、飼い主の管理下にない犬は、ハンターによって殺害されます。

・ニーダーザクセン州
ニーダーザクセン州では、リード義務に違反する者は、罰金が科せられる可能性があります。
ニーダーザクセン州のハンターは他の州のハンターと同様に、その犬が管理者である飼い主の管理下にない場合は、狩猟鳥獣に被害を及ぼしている犬を殺害することができます。

・ノルトライン-ヴェストファーレン州
ノルトライン・ヴェストファーレン州では、犬は特定の地域では「危険防止のために適切なリード」により導かなければなりません。
これらの義務違反を効果的に防止するために、ノルトライン-ヴェストファーレン州議会は、最大1万ユーロ(日本円で約124万円)の罰金と犬の押収で警告しています。
ノルライン・ヴェストファーレン州の森林においては一般的な犬のリード義務以外が適用されます。
違反の場合は2万5,000ユーロ(日本円で310万円)までの罰金を科すことができます。
犬が飼い主の管理下に無い状態で狩猟区域にいる場合は、ハンターはその犬を撃つことが許可されています。

・ラインラント-プファルツ州
ハンターは、狩猟区の狩猟鳥獣に被害を与える犬を殺す権利を持っています。
犬を狩猟区域に放した者は、5,000ユーロ(日本円で62万円)の罰金を科されます。

・ザールラント州
ザールラント州では、犬は公に人が集まるところ、エレベーター、フェスティバルやその他のイベント、レストラン、ショッピングモール、歩行者区域、主要なショッピングエリア、公共交通機関ではリードにつなぐ義務ががあります。
野生動物保護区では、すべての犬に対してのリードが義務付けられているかもしれません。
違反は5,000ユーロ(日本円で約62万円)となる危険性があります。
犬が繰り返し狩猟鳥獣を「捕食」しているような場合は、射殺される可能性があります。

・ザクセン州
狩猟地区では、犬は管理することなく自由に走り回れるようにすることはできず、もしそれに違反すれば5,000ユーロ(日本円で約62万円)までの罰金が科せられる可能性があります。

・ザクセン-アンハルト州
3月1日から7月15日までの期間は、ザクセン・アンハルト州では犬は常にリードにつながれていなければなりません。
さらに年間を通じての全般的な禁止があり、近隣の道路を含め、犬を森林や農地に放す事は禁止されています。
一方、当該期間中に犬のリードの強制に違反した場合は、2万5,000ユーロ(日本円で約310万円)までの罰金を科される危険性がります。
ザクセン-アンハルト州のハンターは、犬が飼い主の管理下になければ射殺することができます。

・シュレースヴィッヒ-ホルシュタイン州
シュレースヴィヒ=ホルシュタインでは、次の場所では犬をリードでつなぐ義務があります(註 例外的に認められた犬のリードフリーエリア以外の市街地のほぼ全てと考えて良い)。
この義務の違反は、最高で10,000ユーロ(日本円で約124万円)の罰金の対象となる可能性があります。
シュレースヴィヒ-ホルシュタイン州では、教会、幼稚園、学校、病院、劇場、映画館、コンサート、講義室、会議室、水泳場、子供の遊び場、芝生では、犬は完全に禁止されています。
シュレースヴィヒ-ホルシュタイン州の森林では、全域で犬にはリードが義務です。
狩猟区域では、犬が殺害される可能性があります。
狩猟地区に犬を放した人は5,000ユーロ(日本円で約62万円)までの罰金が課されます。

・チューリンゲン州
チューリンゲン州の森林地帯では、1年を通じて犬にはリードが必要です。
ハンターは、管理下にない、狩猟鳥獣に被害を与える犬を射殺することができます。
チューリンゲン州で最も心配な規則は、ライブトラップに捕らえられた犬でさえも、殺される(ことが合法)ということです。



 次回記事では、「公園で犬のリードを放した直後に、飼い主の目の前で犬が警察官に射殺され、飼い主が犬のリード義務違反であったために警察官の行為が全く問題となかった事件」と、「飼い犬が飼い主からわずか数メートルしか離れていない状態でハンターがその犬を射殺した。しかし犬にリードをしていなかったためにハンターは刑事訴追を受けなかった例」が、ドイツではしばしば発生することを取り上げます。
 ドイツでは比較的犬にリードをしない飼い主が多いですが、重大な咬傷事故が相次ぎ、最近数年間で各州はリード義務違反の罰則を著しく引き上げました。またリードをしない飼い主の取り締まりのために監視員を増強して、積極的に違反の取り締まりをする州(ベルリン州など)が増えています。ですからリードをしない犬の飼い主は、ドイツでは減りつつあります。今後は「ドイツでは犬はノーリードでよい」という、卒倒しそうな大嘘のデマ情報が日本で拡散されることも少なくなるかもしれませんし、デマの拡散が減ることを私は望みます。


(画像)

 ベルリン州の「犬のリードは義務です」という看板。いたるところに掲示されています。

ベルリン 犬リーシュ 看板 (640x427)


(画像)

 ドイツではおそらく全土で児童公園は犬全面禁止です。そのほか公園内でも芝生の立ち入りが禁止、遊泳場やビーチはシーズン中はほぼすべてで犬禁止です。なお蛇足ですが日本で「全域が犬のリードフリーの広大な公園」と紹介されているグリューネヴァルトは、犬のリードが不要なエリアの面積は全体の約4%です。対して「犬全面禁止」エリアが増えています。画像はグリューネヴァルトの犬の規制地図。オレンジ色が「犬のリードが必要」、「赤が犬の全面禁止」、「緑が犬のリードフリーエリア」です。2014年の撮影ですので、緑色で区分された「犬のリードフリーエリア」の面積は現在ではさらに縮小していると思います。

1グリューネヴァルト 地図

続・「ドイツ語の反証を一つも出せないドイツ人の友人」の謎(笑)







Please send me your comments.    dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare.   dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。   dreieckeier@yahoo.de

(Zusammenfassung)
Einschläfern von Tieren


 記事、「ドイツ語の反証を一つも出せないドイツ人の友人」の謎(笑)、の続きです。
 私のこのブログ記事ですが、しばしば「嘘、デマ」と非難するインターネット上の投稿があります。そして「さんかくたまごは無知無学。もっと勉強しろ」と叱責するご意見もあります。しかし私の情報に対する反証は「ドイツ人の友人知人が言っていた」と、偽ドイツ女性獣医師の誤訳文書しか今まで見たことがありません。「ドイツ人の友人知人」が、1つも反証となるドイツ語の出典を示したことがないのが謎です(笑)。



 サマリーで示した、「さんかくたまごが書いていることはデタラメ」という、ソーシャルメディアなどでの投稿がしばしばあります。かなり前にも何度か取り上げましたが、例を再度提示します。
 元の投稿はこちらです。猫伯爵。画像のツィートは既に削除されているようです。


(画像)

猫伯爵


 私はこの件に関して記事にしています(「ドイツでは野良猫の殺害は懲役10年になる」という、「猫伯爵」という方のあまりにも面白いドイツ法解説(大笑い))。私は「ドイツで無主物の猫の殺害で懲役10年以上になった判決(併合事件を除外する)全文の、係属裁判所と事件番号が明記されたドイツ語原語の原文の資料を提示されたならばこのブログを閉鎖します」と公言していますが、何年もたつのにいまだに提示した人はいません。判決どころか根拠法や学説すら示した人がいません。

 前回記事の補足を書きます。ドイツは「ライブトラップで捕獲したのちの猫が飼い猫であったとしても殺害してもよい」と、わざわざ州法で明記している国です。例えばバイエルン州狩猟法、チューリンゲン狩猟法などです。さらにドイツ連邦動物保護法(Tierschutzgesetz)4条1項では、「狩猟害獣駆除で法律に基づいて行う場合は必ずしも苦痛軽減は必要ない」とすら規定されています。ですからドイツでは、ライブトラップ(箱わな)で狩猟法に従って飼い猫野良猫を捕獲したのちに、銃や電気ショッカーなどの殺害の道具がない場合は、ライブトラップごと熱湯をかけて殺害することも違法とは言えないとも解釈できます。しかし私はくだんの税理士のビデオは見ていません。憶測の部分があり申し訳ありません。Thüringer Jagdgesetz (ThJG) 「チューリンゲン州狩猟法」 から引用します。


§ 42 Aufgaben und Befugnisse der Jagdschutzberechtigten
(1) Die zur Ausübung des Jagdschutzes berechtigten Personen sind befugt:
2. wildernde Hunde und streunende Katzen zu erlegen, wenn sie im Jagdbezirk in einer Entfernung von mehr als 200 Meter vom nächsten bewohnten Gebäude angetroffen werden; es sei denn, dass sich der Hund nach erkennbaren Umständen nur vorübergehend der Einwirkung seines Herrn entzogen hat.
Diese Befugnis erstreckt sich auch auf solche Hunde und Katzen, die sich in Fallen gefangen haben.

第42条 狩猟を許可された者(免許を受けたハンター)の義務と権限
(1)狩猟鳥獣の保護を行使する権限を与えられた者は、以下の権限を与えられています。
2. 狩猟鳥獣を捕食する犬や野良猫が、最も近くの居住用建物から200メートル以上離れた狩猟地区で発見された場合、それらの犬猫が飼い主の管理下から一時的に離れていることが確認できる状況でない限り、それらを殺す義務と権限があります。
この効力は、そのようなわなで捕獲された犬や猫にも及びます。



 次に、このTwitterの投稿についての補足です。白猫の二二。画像がそのスクリーンショットです。大変面白いリプライが付いていたのですが削除されたようで残念です。せっかく典型的な愛誤の無知蒙昧無学ぶりがさく裂したリプライが多数ついていたのに。


(画像)

白猫の二二


 上記のツイッターの投稿で管理人は、ドイツからのレポート① 犬猫の殺処分ゼロ、殺処分上もゼロ (ALIVE)を根拠として、「ドイツでは保護された犬猫は一切殺処分しない」と主張しています。
 前回記事では、ドイツのティアハイムの統括団体である、ドイツ動物保護連盟の「ティアハイム運営指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes 、および日本で「殺処分ゼロ」と喧伝されているティアハイム・ベルリンのHP(Häufig gestellte Fragen )を引用しました。どちらにも「ティアハイムに収容した犬猫等の動物は、一定の状況では『必ず』殺処分しなければならない」と述べられています。今回記事では補足として、「ドイツ全体の殺処分率」と、「個別のティアハイムの殺処分率」の資料を提示します。

 まず「ドイツ全体のティアハイムの殺処分率」ですが、2014年にハノーファー獣医大学がノルトラインーヴェストファーレン州(ドイツで最も人口が多い州)での、広範囲なティアハイム犬の調査資料を公表しました。その資料によれば、ティアハイムの犬の殺処分率は26.2%です。直近の日本の犬の殺処分率は22%ですので、それより高いことになります。
 Tierärztliche Hochschule Hannover Bedeutung der Pflege- und Haltungsbedingungen für Gesundheit und Wohlbefinden von Hunden als Fund- und Abgabetierein Tierheimen des Landes Nordrhein-Westfalen 「ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムにおける、行政が拾得した犬の健康と福祉のための世話や飼育環境の調査」。2014年 から引用します。
 これはタイトルのとおり、ドイツ、ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムに関する収容犬の大規模調査です。これらの対象は、行政が捕獲押収没収した犬をティアハイムが引き受けたものだけが対象です。殺処分率に関する記述を引用します。


Die vom DEUTSCHEN TIERSCHUTZBUND E. V. (1995) erstellte Tierheimordnung hat klare Kriterien für das Töten von Tieren in Tierheimen festgelegt.
dies ist nur in Ausnah- mefällen zulässig.
Wie im Falle einer massiven Überbelegung,verur- sacht durch Langzeitinsassen, verfahren werden soll.
RUPPERT stellte , dass 26,20% aller aufgenommenen Tiere in Tierheimen euthanasiert wurden.
In 32% dieser Fälle er-folgte die Euthanasie auf Grund unheilbarer Krankheiten, in 68% lag „ein anderer vernünftiger Grund“ wie Bissigkeit, hohes Alter, Ängstlichkeit, langer Aufenthalt oder Platzmangel vor .

ドイツ動物保護連盟E. V.によるティアハイム規則(1995年)は、ティアハイムにおける動物の殺処分のための明確な基準を定めています。
殺処分は、例外的な場合にのみ許可されています。
しかし著しい過剰収容の場合と同様に、動物の長期の収容によってもその基準は徐々に緩和されます。
ルパートは、記録されたすべての動物(犬)のうち、26.20%がティアハイム内で安楽死させられたことを発見しました。
これらの例の32%では、難病が原因で安楽死に処せられました。
別の安楽死の原因の68%は、非人道的な「別の合理的な原因」であり、犬が高齢であること、行動上の問題に不安があること(攻撃性か)、長期の収容期間や収容スペースの不足などが続きます。



 個別のティアハイムでは、かなり高い殺処分率を公表している施設があります。Tierheim Altentreptow e.v. 「ティアハイム・アルテントレプトウ」 年次報告書 では、次のことが記載されています。
 2014年には、犬猫総収容数137(Pensionstiere 3 は有償での老犬老猫ホーム事業による預かりなので総数から除外)に対して、殺処分(Euthanasien)が34頭、施設内死(verstorben)が15頭でした。総収容数に占める殺処分+施設内死の割合は35.8%です(日本の自治体の殺処分数の計算方法に基づく)。この数値は、年次報告書を出しているティアハイムの中では、特別多い殺処分率とは言えません。非公表とはいえ、収容している猫をすべて感染症で殺処分した施設も報道されているからです。


(画像)

 tierheim-altentreptow「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から2014年統計

ティアハイム 殺処分率 36%


 HN、白い猫の二二さんですが、私が「しっかり勉強してください」言われても、いくらドイツ語の法令やティアハイム自身が公表している資料、大学の研究論文など勉強しても、「ドイツは保護された動物の殺処分は一切行いません」という資料は一つも見つかりません。むしろ「一定の条件下では殺処分は不可避である=しなければならない」とする資料しか見つかっていません。
 今回は民間団体のティアハイムの殺処分について述べましたが、ドイツでは公的殺処分も相当数あります。ドイツは日本と異なり、飼い主の意思に反しても強制的に公的殺処分する制度があります。ドイツは世界でも数少ない禁止犬種法がある国ですし、狂犬病清浄国ではありません。前述の、法律で禁止する犬種(日本にはそのような法律はない)、咬傷犬(日本では重大咬傷事故を起こした犬でも行政が強制的に殺処分する法的根拠はない)、狂犬病法による強制殺処分(日本より厳格に殺処分を行っています。例えば狂犬病陽性動物と同じクレートで運ばれて接触したというだけで、症状がなくても強制殺処分されます)に基づく公的な殺処分があります。また公共の場でリードをしていない犬は、警察官が射殺することも合法です。ドイツでは年間の、警察官が射殺した犬などの数は1万3000頭を超えます。

 HN、白い猫の二二さんのツィートですが、残念ながら削除されましたし、キャッシュコピーもありません。ついたリプライは「典型的な頭がわいた愛誤」の絶好の見本となるものでした。その中には、「ドイツでは殺処分はないが狩猟で何十万も犬猫が殺害されていてそれが合法」という、「さんかくたまごとその仲間」への擁護?のリプライも散見されました。先に述べた通り、ドイツでは日本と異なり、飼い主の意思に反してでも厳格に殺処分を行っています。犬猫の一次収容は行政の責務と法律で明記され、公的動物収容所でも行政による殺処分が行われています。
 正直言って「ドイツには民間のシェルターや公的殺処分はない」と本気で思ってる人は、知能が足りないと私は判断します。ドイツでは高位推計では猫だけで年間50万頭が狩猟殺害されており、警察官が市中で射殺する犬などの動物の数は1万3000頭をこえるのは事実です。「ドイツでは殺処分がない(特に公的殺処分)」と主張している人は、ドイツの犬猫の狩猟が合法できわめて多くの犬猫が狩猟駆除されていることを根拠にしていますが、論理の飛躍も甚だしい。例えばドイツは狂犬病清浄国ではありません。では、狂犬病の疑いがある犬などが発見された場合は行政はどうするのですが。放置するのでしょうか。動物の入国検査で狂犬病等の重大な感染症の疑いのある移動物が見つかった場合、早く脳組織を取り出して確定診断をして対策をしなければなりません。行政がしかるべき施設に収容して、行政獣医師が殺処分すると考えるのが正常な知能の持ち主です。これは一例です。ドイツには禁止犬種や咬傷犬を行政が押収して強制的に公的殺処分をする権限が法律に定められています。
 政府が機能している国で、犬猫等の公的な殺処分がない国はドイツも含めてないと断言します。公衆衛生や国民の安全を守ることが国の責務だからです。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
・1日の最高純アクセス数 4,956
・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
その他のものは、例えば本ブログ管理人が管理人と誤認させるものであっても、私が管理しているサイトではありません。
よろしくお願いします。

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