猫の島、青島は日本の縮図である~地域猫の失敗は必然

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(Domestic/inländisch)
わずか6人の住民に対して、現在210匹の野良猫が生息する「青島」。「猫島」として脚光を浴びる以前の4年ほど前は、猫の生息数は約半数の100匹あまりしかいませんでした。しかし観光客が訪れ給餌することにより猫の数が増え、その対策として地域猫(TNR活動)活動が開始されました。しかしその後、わずか4年余りで猫の数は倍以上に激増しました。私は以前、青島で地域猫活動が開始されたころに、「青島は日本の縮図なのか」との問題提起を行いました。その後の経過を見れば、青島の地域猫の問題は、日本全土に当てはまります。まさに「青島は日本の縮図」です。
青島とは瀬戸内海に浮かぶ、愛媛県の孤島です。この島では野良猫が増殖し、現在は島民6名に対して野良猫は210匹が生息しています。青島はわずか4年前は島民16名に対して、猫の数は100匹あまりでした。数年前に写真家が「猫の島と紹介したのちに、観光客が押し寄せて餌を与えたために猫は増殖しました。そのため、「猫を減らすため」に、4年前から地域猫活動(猫の不妊去勢)を行政の助成と指導の下に開始しました。しかし地域猫活動を開始したのちに、わずか3年で2倍以上の210匹にまで猫が激増しました。おそらく青島の地域猫活動が報道されて猫の餌を寄付する人が増えたことにより給餌量が増え、それによる猫の増殖が限定的な不妊去勢の効果を上回ったことが原因と思われます。
それを受けて、行政は地域猫(TNR)のための予算を計上し、TNR団体である、(財)どうぶつ基金が「島の野良猫のすべてをTNRする」こととしました。(財)どうぶつ基金が島内の猫210匹のすべてを不妊去勢したと思われましたが、実はのちに驚くことが発覚しました。島内のTNRに反対する一部の住民が、こっそりと10数匹の猫を隠していたのです。猫の驚くほどの繁殖力からすれば、これからも島内の猫の数は維持し続けるかもしれません。
・青島の猫の数と管理を時系列にまとめると、次のようになります。
2015年以前 猫島として脚光を浴び、観光客の増加と給餌が増えたことにより、猫が増えた。猫の数は100匹あまり。
2015年 行政の指導で「地域猫活動」を始める。不妊去勢実績は10匹、猫の数は120匹に増加。
2017年 地域猫活動が継続して行われる。猫の数は150匹に増加。
2018年 地域猫活動が継続。2015年からの不妊去勢実績は80匹。猫の数は2015年の100匹あまりから210匹に激増。
さらに、最新の青島の猫に関するニュースを引用します。先に述べた、「島内210匹の猫の不妊去勢をすべて行ったとされたが、のちにTNRに反対する一部の住民が10数匹の猫を隠していた」ことが発覚した件です。愛媛県・青島「猫の楽園」の未来 昨年の不妊・去勢手術後もトラブルがたえず… 2019年2月22日
青島の人気が急激に高まった数年前には、島の人口は15人、そして猫は100匹以上といわれていた。
だが入院や死去などで住民はどんどん減っていき、現在では3世帯6人にまでなっている。
昨年10月、衝撃的な事実が発覚したのだ。
なんと猫の数が200頭以上にまで増えていたのである。
もしもいつか本当に無人島になってしまったら、猫たちはいったいどうなってしまうのか。
そして年をとった猫、幼い猫、病気の猫と順々に、飢えて倒れ、死んでいくのだろう。
昨年、大洲市は青島の猫問題のために予算を計上したのである。
そして動物愛護団体「公益財団法人どうぶつ基金」と協力し、市のプロジェクトとして猫たちの一斉手術を行うことになったのだ。
昨年10月には210頭の猫が不妊・去勢手術済みであることが確認されたわけだが、実はそのほかに、未手術の猫が10数頭ほどいたことが後になってわかった。
不満を持つ島民がこっそり隠していたのだ。
現在、青島は3世帯6名の住民しまいません。早晩無人島になる可能性が高いです。無人島になれば連絡船も廃止され、猫の世話をする人は島に行けなくなります。となれば、大量に給餌されて人に頼っていた猫たちは不妊去勢をしなくても、いずれは大多数が餓死して、強いごくわずかな強い個体しか生き残れなくなります。それは人為的に野良猫の数を増やし、結果として残酷な餓死という大量死を招くこととなります。
野良猫ゼロになれば、かのTNR団体は野良猫が減った原因が餓死であったとしても「TNRの効果」とし、自画自賛するでしょう(笑い)。そして「TNRは野良猫の数を減らす効果がある」と都合よく宣伝に悪用するかもしれません。
このような青島の野良猫問題ですが、日本の野良猫の数のコントロールとしての地域猫活動(TNR)を考えるうえで示唆に富んだ例と言えます。まず、「すべての野良猫を一斉に不妊去勢しなければTNRの効果はない」ということです。しかし「すべての野良猫を一斉に不妊去勢することは不可能」なのです。つまり「地域猫の失敗は必然」。
青島で地域猫活動を開始したのは2015年ごろからですが、不妊去勢の数は限定的でした。当初は10匹程度でした。しかし「地域猫活動を開始した」ことで、島外から餌の寄付が大々的に送られてくるようになりました。給餌量の増加は、限定的な不妊去勢による繁殖抑制効果を上回る繁殖力の向上招き、結果として3年で猫の数が3倍に激増しました。
そして「すべての猫を一斉に不妊去勢する」こととなったのですが、反対する一部の住民が10数匹の猫を隠していたことが後に発覚しました。わずか3世帯6名ですら、地域猫(TNR)の賛同を得ることができなかったのです。
これらは、地域猫活動(TNR)の普遍的な問題です。まず、「1、その地域の猫すべてを一斉に不妊去勢することが難しい」、「2、地域猫活動をしていることが餌やりの免罪符になり給餌量が増え、限定的な不妊去勢の繁殖抑制効果を上回る繁殖力の向上を招き、むしろ猫とが増える」、「3、地域の住民のすべての合意を得ることが不可能(青島は3世帯6名しかいなかったのみかかわらず合意形成に失敗していた)」です。
つまり青島は、「地域猫は必ず失敗するという、単純化モデルといえるでしょう。異なる点は、日本は青島のように無人島にはならないということです。つまり「給餌者はいなくならない」、すなわち「野良猫は永遠に減らない」のです。
さらに「青島は日本の縮図である」根拠となる、データもあります。前述したTNR団体、(財)どうぶつ基金の談によれば、現在日本で不妊去勢済みの野良猫は約20万匹とのことです(耳をカットされた猫…虐待ではなく、実は意義ある社会活動の一環 どんな取り組み? 2019年2月22日)。かつて日本ペットフード工業会(現 一般社団法人 日本ペットフード協会)という団体が、日本の野良猫数の推計値を出していました。このデータは、過去にさかのぼって削除されましたが、おおむね日本の野良猫の数は200万匹台としています。
つまり日本でTNRされた猫の、野良猫の総数に占める割合は10パーセント弱なのです。これは、青島が地域猫活動を開始した当初の島の猫の総数に占める不妊去勢実施率にほぼ一致します。つまりその程度の不妊去勢実施率では野良猫の減少効果はない、むしろ給餌量が増えれば野良猫は激増するということです。(財)どうぶつ基金さん、「地域猫が失敗する」根拠を示してくれてありがとう。
(動画)
ネコうじゃうじゃの島、愛媛県青島の旅 2017/07/26 に公開
ネコ目当ての観光客は基本的に歓迎されないように思います。
(してくださる方もいますが、少なくとも島に住民票を置いている人の中で実施したアンケートで「歓迎する」と回答した人は1人)
というのはこの島で疎まれているネコを愛でにやってくる行為、Amazonなどで「ネコにあげてください」とキャットフードを送ったり、ネコを案じるような内容の手紙を送る行為は地元の方にとっては嬉しくもなんともないからです。
島には1円も入ってこないし、寄付はみんな島民ではなくネコへされるもので、更に当のネコは野菜や魚を盗んでいくわけですから、これは仕方ありません。
(動画)
愛媛県の「猫島」青島 2018/09/04 に公開
個人的な感想ですが、これは動物福祉的に適っているとは思えません。