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イギリスのペットショップ~「イングランドではペットショップでの生体販売を既に禁止している」という、驚愕嘘報道






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(Summary)
Puppy farms crack down as sale of puppies and kittens in pet shops to be banned


 8月24日にNHKが朝のTVニュース、「おはよう日本」で、「イギリス政府は、生後6か月未満の子犬や子猫を店頭で販売することを禁止する方針を発表した」との報道を行いました。極めて誤解を招く表現で問題があります。この報道を受けて、末端のメディアでは、驚くべき噴飯嘘情報がすぐに拡散されています。例えば「イギリス、イングランド地方ではペットショップでの生体販売を禁止した」などです。また、このニュースを多くの末端メディアが取り上げていますが、正確に報じ、かつ偏向がない記事は私が見た限り皆無です。


 まずNHKの報道です。NHK NEWS WEB 英 生後6か月未満の子犬や子猫の販売禁止へ 2018年8月24日 から引用します。


イギリス政府は、生後6か月未満の子犬や子猫を店頭で販売することを禁止する方針を発表し、国民からの意見を求めたうえで議会に法案を提出することにしています。
イギリス政府が22日、発表した方針は、南部のイングランドを対象に、生後6か月未満の子犬や子猫をペットショップで販売することを禁止するもので、今後は認定を受けたブリーダーから直接購入するか、保護施設から引き取ることになります。
この方針は国民からの意見を求めたうえで法案として議会に提出されます。



 上記の、NHK NEWS WEB の内容は、概ね正確です。しかしTV報道では「イギリスは既にペットショップなどでの子犬子猫の販売を禁じた」と著しく誤認させる内容ですし、また、NEWS WEB の記事タイトルも、読者を誤認させるおそれがあります。イギリスの政府機関が、「そのような方針を示し、これから国民に諮問する」ということです。まだ法案の草案すら作成されていませんし、その法案が議会に提出されるまで多くの手続きがあります。
 上記の報道を補完すれば、6ヶ月未満の犬猫の販売を禁じるのは、「生産者(ブリーダー)ではない第三者」です。それには、ペットショップの他、中間業者も含みます。


 このイギリス政府の方針を伝える、イギリスの大手メディアの記事から引用します。Puppy farms crack down as sale of puppies and kittens in pet shops to be banned 「パピーファーム(=パピーミル。悪質な営利大量生産劣悪飼育の犬ブリーダー)の解体のために、ペットショップでの子犬や子猫の販売を禁止するべきである」 2018年8月22日


A ban on third party puppy and kitten sales in England will be introduced to help drive up animal welfare standards, the Environment Secretary Michael Gove announced today.
The proposed ban on third party sales is part of a series of government reforms on pet welfare including banning the sale of underage puppies and kittens and tackling the breeding of dogs with severe genetic disorders.
Puppies and kittens are defined as being less than six months old.

イギリスのイングランド地方(*1)において、第三者(third party 生産者ではないペットショップなど)の、子犬と子猫の販売禁止を、動物福祉基準の向上の支援のために導入するつもりである(will be するつもりである ~でしょう。日本で報道されているような、「既に決定」といったニュアンスはありません)と、マイケル・ゴーブ環境局長官は本日発表しました。
ペットショップなどの生産者ではない第三者による、販売禁止の提案は、月齢に達しない子犬や子猫の販売を禁止し、重度の遺伝病の犬の繁殖問題に取り組む、ペットの福祉に関する一連の政府改革の一環です。
子犬と子猫は、生後6ヶ月未満と定義されています。



 まとめると以下のとおりです。
・イギリス政府の閣僚は、イングランド地方に限り、生産者(ブリーダー)と保護施設以外での、6ヶ月齢未満の子犬と子猫の販売を禁じる提案をした。
・そのために、国民などに諮問する予定である。
・その提案は、草案作成すらされていない状態で、もちろん法案が議会に提出するまでには多くの手続きがあります。


 私は上記のニュースですが、BBC、テレグラフ、タイムズ、ガーディアンズ、サンの報道と、イギリス政府の広報も目を通しています。NHKの報道は、BBCのニュースをもとにしたと思われます。私はかねてからBBCニュースは目を通していますが、動物関連のニュースは、かなり偏向していると感じます。私はNHKのTV報道を聞いて、「かなり偏向しており、おそらく、『イギリスではペットショップでの生体販売を禁じた』といった、曲解捏造情報が拡散されるだろう」と思いました。案の定、その日のうちに(笑い)、このような末端メディアの記事が掲載されました。
 「虐待ではない。しかしそう見えるなら虐待だろう」 動物保護活動NPO法人理事長が猫を惨殺という闇 2018年8月24日 から引用します。本記事は、「動物虐待をしていた動物保護活動NPO」に関する報道ですが、なぜ「ペットショップでの生体販売攻撃」に飛躍するのがよくわかりません。


昨今では人為的な奇形種の繁殖や、近親交配による遺伝疾患といった問題も頻発しているため、イングランドや米カリフォルニア州ではペットショップでの生体販売が既に禁止されている


 既に述べた通り、イギリス、イングランド地方でのペットショップなどに対する生体販売の規制は、現在時点では、政府閣僚が「6ヶ月未満の犬猫に限り禁止してはどうだろうか」との提案をしたということです。まだ、その法案の草案すら作成していない状態です。ですから現在イングランド(さらにはイギリス全土)においては、ペットショップでの生体販売は全く禁止しておらず、犬も8週齡以降であれば展示販売できます(猫は今年10月1日から、8週未満は販売禁止となります)。イギリスには、巨大な安売り子犬販売ペットショップチェーンも存在します。
 また、イギリスの閣僚が提案している(まだ、「提案」したという段階に過ぎません。法案が議会に提出すらされていません)ペットショップなどの規制は、「犬猫に限り、6月齢以上でなければ販売してはならない」という内容です。ですから、仮に、この閣僚の提案が法案として作成され、議会に提出されて可決されたとしても、イギリス、イングランド地方では、ペットショップの生体販売禁止とはなりません。犬猫においても、生後6ヶ月以上であれば販売して良いのです。驚く程の事実の歪曲~捏造です。

 一方、アメリカ、カリフォルニア州ですが、「ペットショップ(仕入れ販売のみこなう小売業者)では、犬、猫、ウサギに限り、販売をしてはならない。しかし保護団体由来のもの、ペットショップがブリーダーの免許を取得し、自社生産したものであれば、犬、猫、ウサギも、ペットショップという店舗形態の店で販売できる」という内容の州法が可決成立しています。
 「形式的にでも保護団体を経由すれば、営利ブリーダー生産の犬、猫、ウサギをペットショップで販売できる」、「ペットショップがブリーダーの免許を取得し、自社生産品として犬、猫、ウサギを売る」、「罰則が行政罰の過料500ドルのみで抑止効果がない」などの理由で、カリフォルニア州では、現在も堂々とペットショップで犬、猫、ウサギが売られています。そのほかの動物、例えば鑑賞鳥、小型哺乳類、爬虫類、両生類、魚類などは、全く規制がありません(Bill Text - AB-485 Pet store operators: dogs, cats, and rabbits. カリフォルニア州法 )。従って、「米カリフォルニア州ではペットショップでの生体販売が既に禁止されている」は、真っ赤な嘘です。


(動画)

 Undercover with CAPS: An Investigation of Southern California Pet Shops 「CAPS(動物愛護団体)による覆面調査:南カリフォルニアのペットショップの調査」 2016/11/07 に公開
 カリフォルニア州では、堂々と犬、猫、ウサギがペットショップで普通に売られています。




(動画)

  Undercover with CAPS: Inside Russo’s Pets 「CAPS(動物愛護団体)による覆面調査:ルッソズ・ペッツ(ペットショップの内部)」 2016/09/21 に公開 
 カリフォルニア州ニューポートビーチのペットショップでの子犬販売。




(動画)

 Dogs4Us Animal Abuse Exposed on TV 「Dogs4Us (ペットショップチェーンの名前)による動物虐待をTVで暴露する」 2017/03/02 に公開
 イギリスの、子犬の安売りに特化した、巨大ペットショップチェーンのTVドキュメンタリー番組。




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イギリスの動物虐待罪の法定刑は、357日以下の懲役または2万ポンド以下の罰金、もしくは併科~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか






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(Summary)
Animal Welfare Act 2006


 記事、
日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問
アメリカ、カリフォルニア州では私有地内に侵入する犬猫の毒餌による駆除は合法~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか
アメリカ、カリフォルニア州では動物虐待の法定刑は懲役1年以下または2万ドル以下の罰金もしくはその併科~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか
の続きです。
 これらの記事では、杉本彩氏らが「日本は動物虐待に対する処罰が甘い。動物愛護管理法における動物虐待罪の法定刑の上限引を、懲役5年以下、罰金500万円以下に引き上げるべきである」と主張していることを書きました。杉本彩氏の根拠としている、アメリカのカリフォルニア州での猫殺害事件の懲役16年の判決は、主なる起訴事実は窃盗罪です。したがって、カリフォルニア州の事件は、動物虐待罪の日本との比較にはなりません。カリフォルニア州の動物虐待罪は、法定刑は、「懲役1年以下、罰金2万ドル以下、もしくはその併科」です。むしろカリフォルニア州より動物虐待罪に対する処罰は、日本の方が厳しいのです。今回は、イギリスの動物虐待罪に対する法定刑について述べます。結論から言えば、イギリスの動物虐待罪の法定刑は「懲役51週以下、2万ポンド以下の罰金、もしくはその併科」です。むしろ日本の動物愛護管理法の方が厳しいのです。



 サマリーで述べた通り、 カリフォルニア州法 California Code, Penal Code - PEN § 597 における動物虐待に対する規定は、まとめると以下のようになります。
・犯罪の構成要件は、「悪意(故意)」があり、かつ「その動物に苦痛を与えること」です。
・法の適用範囲は、任意の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に及ぶ。
・虐待による殺傷は、基本的には法定刑は懲役1年以下または罰金2万ドル以下、もしくはその併科
(ただし「闘犬」などの虐待行為に関しては別の処罰規定がある)。
 したがって日本の動物愛護管理法の「懲役2年以下、または罰金200万円以下」の法定刑より、カリフォルニア州の方が処罰は軽いのです。アメリカの他の州においても、概ね動物虐待に対する法定刑は、カリフォルニア州と同程度です。むしろ罰金額が数百ドルという州もありますので、カリフォルニア州は重いほうかもしれません。杉本彩氏の、「日本は動物虐待に対する処罰が甘すぎる」は、アメリカは根拠になりません。今回述べるイギリスの動物虐待に対する処罰は、さらに軽いのです。

 今回は、イギリスにおける動物虐待に対する法律について述べます。Animal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」から引用します。


4 Unnecessary suffering
(1) A person commits an offence if—
(a) an act of his, or a failure of his to act, causes an animal to suffer,
(b) he knew, or ought reasonably to have known, that the act, or failure to act, would have that effect or be likely to do so,
(c) the animal is a protected animal, and
(d) the suffering is unnecessary.
(2) A person commits an offence if—
(a) he is responsible for an animal,
(b) an act, or failure to act, of another person causes the animal to suffer,
(c) he permitted that to happen or failed to take such steps (whether by way of supervising the other person or otherwise) as were reasonable in all the circumstances to prevent that happening, and
(d) the suffering is unnecessary.
(3) The considerations to which it is relevant to have regard when determining for the purposes of this section whether suffering is unnecessary include—
(a) whether the suffering could reasonably have been avoided or reduced;
(b) whether the conduct which caused the suffering was in compliance with any relevant enactment or any relevant provisions of a licence or code of practice issued under an enactment;
(c) whether the conduct which caused the suffering was for a legitimate purpose, such as—
(i) the purpose of benefiting the animal, or
(ii) the purpose of protecting a person, property or another animal;
(d) whether the suffering was proportionate to the purpose of the conduct concerned;
(e) whether the conduct concerned was in all the circumstances that of a reasonably competent and humane person.
(4) Nothing in this section applies to the destruction of an animal in an appropriate and humane manner.

5 Mutilation

6.Docking of dogs' tails

7 Administration of poisons etc.
(1) A person commits an offence if, without lawful authority or reasonable excuse, he—

8 Fighting etc.

32 Imprisonment or fine
(1) A person guilty of an offence under any of sections 4, 5, 6(1) and (2), 7 and 8 shall be liable on summary conviction to—
(a) imprisonment for a term not exceeding 51 weeks, or
(b [F1a fine], or to both.

4 動物に不必要な苦しみを与えること
(1) ある者が以下の行為を行った場合は犯罪となるー
(a) その者の行為、または不作為により、動物に苦痛をもたらし、
(b) その行為により、または無作為によりその効果(動物に苦痛をもたらすこと)があり、またその可能性が高いことを、その者が知っていた、もしくは知るべきことが合理的であり、
(c) その動物が(同法で)保護された動物であるならば、
(d) 動物に苦痛を与えてはならない。
(2) ある者が以下の行為を行った場合は犯罪となるー
(a) その者が動物に対して責任があり、
(b) その者の行為、もしくは不作為により、動物に苦痛をもたらし、
(c) すべての状況下において、それ(動物に苦痛を与えること)が起きるのを防ぐためのに、その者がそのような措置を講じることが出来なかった(他者を監督するがどうかを問わず)ことを看過し、
(d) 動物に苦痛を与えてはならない。
(3) この節が規定する、その動物の苦痛が不要であるかどうかを決定する際の、関連する考慮事項についてあ、次のものが含まれる。
(a) 動物の苦痛が合理的に回避されたか、または減少したかどうか。
(b) 動物に苦痛を与える行為が、関連する法規に従っているかどうか、または任意の関連する規定による免許に基づいていたか、もしくは公布された法令に基づく実施基準に従っているか、
(c) 動物に苦痛を与える行為が、正当な目的のものであったかどうかー
(i)  動物から便益を受ける目的、または、
(ii) 人、財産または他の動物を保護する目的。
(d) その動物の苦痛が、関係する行為の目的に見合ったものでり、一致すること。
(e) それらの関係する行為がすべての状況において、人道的であり、有資格者によって合理的におこなわれていたかどうか。
(4) 本節のいかなる内容においても、適切かつ人道的な方法で動物を殺害する場合には適用されない。

5 動物の器官の切除

6 犬の尾の切断

7 毒物の投与など
(1) ある者が合法的な権限もしくは合理的に許容される場合を除いて、次の行為を行えば犯罪となるー

8 動物に闘争行為をさせることなど

32 懲役または罰金
(1) 4、5節、6節(1)項および(2)項、7節および8節のいずれかに基づく犯罪を犯した者は、
(a) 51週を超えない期間の懲役、または
(b) 2万ポンドまでの罰金、もしくはまたはその併科が科される。



 イギリスの、Animal Welfare Act 2006 に規定されている、処罰される動物虐待の内容は、まとめると次のようになります。
1、対象動物の殺害において、不必要な苦痛を与えることが要件となる。
2、便益を受ける(食用屠殺など)、人、財産、他の動物を保護する目的であれば、動物に苦痛を与える殺傷は、合理的な範囲であれば違法ではない。
3、殺害の手段が人道的で適切な方法であれば、殺害の目的は問わない。
その他
4、動物の器官の切除の原則禁止
5、犬の断尾の原則禁止
6、動物への毒物投与の禁止(ただし法律で認められている場合と、合理的に許容される場合は除外)

 その上で、処罰を次のように定めています。
1、51週までの懲役(357日)
2、2万ポンド(約280万円。1ポンド=140円)までの罰金
3、「1、」と「2」の併科



 次回記事では、イギリスの本法、Animal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」と、日本の、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)を比較してみたいと思います。


(画像)

 Police and RSPCA defend farmer who killed a dog after it attacked his sheep 「警察とRSPCAは、羊を襲った犬をその後に殺した農場主を擁護しています」 2018年3月28日 から。
 イギリスでは、上記のAnimal Welfare Act 2006 「動物福祉法 2006」の規定により、人や財産、他の動物への被害を防止するために、徘徊する犬などを射殺することが合法です。羊が放し飼いのハスキー犬に襲われた農場主は、その犬を射殺しました。警察はいちはやく、農場主の行為が合法であると発表し、農場主を擁護しました。
 
ハスキー






アメリカ、カリフォルニア州では動物虐待の法定刑は懲役1年以下または2万ドル以下の罰金もしくはその併科~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか






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(Summary)
California Code, Penal Code - PEN § 597


 記事、
日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問
アメリカ、カリフォルニア州では私有地内に侵入する犬猫の毒餌による駆除は合法~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか
の続きです。
 これらの記事では、杉本彩氏らが「日本は動物虐待に対する処罰が甘い。動物愛護管理法における動物虐待罪の法定刑の上限引き上げるべきである(懲役5年以下、罰金500万円以下)」と主張していることを書きました。杉本彩氏の根拠としている、アメリカのカリフォルニア州での猫殺害事件の懲役16年の判決は、主なる起訴事実は窃盗罪です。したがって、カリフォルニア州の事件は、動物虐待罪の日本との比較にはなりません。カリフォルニア州における動物虐待罪は「懲役1年以下または罰金2万ドル以下、もしくはその併科」です。実は日本の動物愛護管理法より法定刑は軽いのです



 アメリカ、カリフォルニア州の動物虐待に関する州法の規定から、California Code, Penal Code - PEN § 597 を引用します。


California Code, Penal Code - PEN § 597
(a) Except as provided in subdivision (c) of this section or Section 599c , every person who maliciously and intentionally maims, mutilates, tortures, or wounds a living animal, or maliciously and intentionally kills an animal, is guilty of a crime punishable pursuant to subdivision (d).
(b) Except as otherwise provided in subdivision (a) or (c), every person who overdrives, overloads, drives when overloaded, overworks, tortures, torments, deprives of necessary sustenance, drink, or shelter, cruelly beats, mutilates, or cruelly kills any animal, or causes or procures any animal to be so overdriven, overloaded, driven when overloaded, overworked, tortured, tormented, deprived of necessary sustenance, drink, shelter, or to be cruelly beaten, mutilated, or cruelly killed;  and whoever, having the charge or custody of any animal, either as owner or otherwise, subjects any animal to needless suffering, or inflicts unnecessary cruelty upon the animal, or in any manner abuses any animal, or fails to provide the animal with proper food, drink, or shelter or protection from the weather, or who drives, rides, or otherwise uses the animal when unfit for labor, is, for each offense, guilty of a crime punishable pursuant to subdivision (d).
(c) Every person who maliciously and intentionally maims, mutilates, or tortures any mammal, bird, reptile, amphibian, or fish, as described in subdivision (e), is guilty of a crime punishable pursuant to subdivision (d).
(d) A violation of subdivision (a), (b), or (c) is punishable as a felony by imprisonment pursuant to subdivision (h) of Section 1170 , or by a fine of not more than twenty thousand dollars ($20,000), or by both that fine and imprisonment, or alternatively, as a misdemeanor by imprisonment in a county jail for not more than one year, or by a fine of not more than twenty thousand dollars ($20,000), or by both that fine and imprisonment.
(e) Subdivision (c) applies to any mammal, bird, reptile, amphibian, or fish which is a creature described as follows.

(a)本条(c)または(第599c項)に規定されている場合を除き、悪意(故意)を持ってかつ意図的に動物の器官を切断し、虐待し、生きた動物を傷つけ、または悪意を持ってかつ意図的に動物を殺害し害を及ぼすものは、細区分(d)に従って処罰される犯罪です。
(b)第(a)項または第(c)項に別段の定めがある場合を除いて、乗用での酷使、極度に疲労させること、虐待的使役、苦痛を与える、必要な栄養、水、休息場所を与えない、残酷にぶつこと、 動物の器官の切断、またはいかなる動物であっても残酷に殺害すること、またはそのような結果をもたらし、そのためにいかなる動物であってもそのために入手すること。そして誰であっても動物を管理し、飼育するものは、いかなる動物であっても、不必要な虐待を与えたり、いかなる方法でも動物を虐待したり、適切な食べ物、水、休息場所や天候からの保護を動物に与えることができない場合、または使役に適さないときに動物に車両を牽かせ、乗用し、使役することのそれぞれについては、犯罪とみなされます。
(C)悪意を持って意図的に、(e)に記載されている哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に対して、後遺障害を与える傷害を負わすこと、器官の切断を行うすべての人は、細区分(d)に従って処罰されます。
(d)(a)、(b)または(c)の違反は、第1170条の細分(h)に従う懲役または2万ドル以下の罰金($ 20,000)、またはその罰金と懲役の併科により処罰され、あるいは、1年以下の郡刑務所での懲役または2万ドル以下の罰金、またはその併科により軽罪として処罰されます。
(e)細区分 (c)項においては、次に記述された任意の哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に適用されます。



 上記、カリフォルニア州法 California Code, Penal Code - PEN § 597 においての、動物虐待に対する規定は、まとめると以下のようになります。
・犯罪の構成要件は、「悪意(故意)」があり、かつ「その動物に苦痛を与えること」です。
・法の適用範囲は、任意の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に及ぶ。
・虐待による殺傷は、基本的には法定刑は懲役1年以下、または罰金2万ドルの併科、もしくはその併科
(ただし「闘犬」などの虐待行為に関しては別の処罰規定がある)。

 日本の動物愛護管理法と比較すれば、カリフォルニア州法は、法の適用範囲は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類まで及び広いと言えます。そして処罰の対象となる行為は「悪意」(故意 maliciously)があり、かつ「対象となる動物に苦痛を与えること」を構成要件としています。犬猫販売業者が経営上の理由から在庫処分のために、犬猫を獣医師に依頼して安楽死を行うことは合法と解釈できます。「獣医師による安楽死」は、苦痛を最大限除去しているからです。
 対して日本の動物愛護管理法においては、法の適用範囲は、限られた哺乳類、鳥類、爬虫類まです。また、「みだりな殺傷」、つまり「正当な理由がない」、というだけでも、苦痛軽減に配慮したとしても、44条1項に違反する可能性があります。動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)では、例えば22条4項で、犬猫販売業者の終生飼養義務を定めています。これは法解釈によっては、犬猫販売業者が獣医師に依頼して犬猫の安楽死を行ったとしても、44条1項違反で禁じる、「みだりな殺傷」になる可能性があります。日本の動物愛護管理法は、動物種の適用範囲がカリフォルニア州法より限られますが、特定の動物種に対しては、犯罪となる殺傷が広く解釈され、かつ処罰が厳しいと言えます。特に犬猫に関しては終生飼育が義務付けられており、この規定は国際的に極めて特異です。
 なお一部ネット上で伝えられている、「ドイツでは犬猫の終生飼育義務が定められている」という情報がありますが、ドイツにそのような法律の規定はありません。反論される方は、原語で法律名と該当する条文をコメントしてください。

 それと法定刑ですが、カリフォルニア州法では、基本的には動物虐待罪の法定刑は「懲役1年以下または罰金2万ドル(約220万円 1ドル=110円)もしくはその併科」です。対して、日本の動物愛護管理法44条1項の、「みだりな愛護動物の殺傷」においては、法定刑が懲役2年以下、または罰金200万円以下です。ですから、むしろカリフォルニア州は、日本と比較すれば、動物虐待に対する処罰が軽いとさえ言えます。
 杉本彩氏の、「日本は動物虐待に対する処罰が軽すぎる」という意見は甚だ疑問です。なお、カリフォルニア州以外でも、アメリカ合衆国においては、動物虐待罪に対する法定刑はおおむね同程度か、それよりも軽いです。杉本彩氏らが主張している、「日本は他の先進国に比べて動物虐待の処罰が軽すぎる。よって動物愛護管理法44条1項の処罰規定を『懲役5年以下、罰金500万円以下』までに引き上げるべきだ」ですが、その根拠は、アメリカの法律ではありません。むしろ日本の動物愛護管理法の規定の方が、アメリカの多くの州法より、より動物虐待に対する解釈が厳格でかつ法定刑も重いので、処罰が厳しいと言えるのです。


(画像)

 TBSニュース「Nスタ」 2017年12月放送より。杉本彩氏、佐藤光子弁護士ほかの、記者会見の模様。見ているこちらが思わず赤面します。「税理士(犯行時。現在は自主廃業)が野良猫を殺害してその様子の動画を公開した事件」について、杉本氏らは厳罰を求める署名をしていました。その判決言い渡しを終えての記者会見。

 杉本氏は「アメリカ、カリフォルニア州で飼い主の家から盗んだ猫を殺害した男に懲役16年の判決が言い渡された」ことを根拠に、「日本の動物愛護法の処罰規定が軽すぎる」と強調しています。さらに、同席した弁護士の佐藤光子氏は杉本氏の発言を追認し、「日本の動物愛護法の法定刑を懲役5年に引き上げるべきである」としています。
 記事、日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問 で述べた通り、アメリカ、カリフォルニア州の本事件は主な起訴事実が窃盗罪であり、さらに量刑が単純加算されるアメリカの刑事司法制度と異なる日本の判決とは比べることは無意味です。佐藤光子弁護士ですが、経歴を調べたところ、アメリカの大学で修士課程を終了していました。日本の動物愛護管理法とアメリカ、カリフォルニア州の動物虐待罪の処罰規定を比較するのであれば、なぜカリフォルニア州の州法と比較しないのか疑問です。なぜ、主な起訴事実が動物虐待罪よりはるかに重い窃盗罪の判決のニュースを比較にするのでしょうか。弁護士であれば、ましてやアメリカ留学経験があるのです。ニュースではなく、法令や判例を示すのが当然です。佐藤光子弁護士は、嘘で世論の誤誘導を目論んだのでしょうか。とすれば、まさに社会正義に反する、法曹家としてあるまじ呆れた卑しい人物です。でなければ、「愛誤になると例外なくバカになる」の典型例でしょうか。ぜひ佐藤光子弁護士には「日本の動物愛護管理法より著しく動物虐待の処罰が厳しい先進国の法律と該当する条文」を具体的に、原文で挙げていただきたいものです。
 なお、下記の「Nスタ」の記者会見は、YouTubeでごく最近まで動画公開されていました。現在探しても見つかりません。2017年9月「改正動物愛護管理法を考えるシンポジウム」 からも、リンクが飛ぶようになっていました。

杉本彩 JNN


(参考資料)

Animal Cruelty Laws State By State 「アメリカ合衆国における、各州の動物虐待法 一覧」

 アメリカ合衆国の州法では、動物虐待罪の法定刑を懲役1年以下と罰金刑の併科としている州が多いです。罰金に至っては、数千ドルという州も多くあります。簡単な英語検索でこのような資料は入手できます。杉本彩氏と取り巻き(弁護士もいる)は、せめてこの程度の海外資料は調べてから発言すべきでしょう。
 それとも、主な起訴事実が窃盗である事件でそれを伏せ、ことさら「海外では動物虐待は重罪」と嘘を強調することにより、日本で誤った情報を意図的に広めるのか目的でしょうか。そのほかでも杉本彩氏は、「日本以外の先進国ではペットショップがない」と言ってのけた、まさに狂気の大嘘で世論を誘導することを平気でするような方です。

放し飼いの犬を射殺した農場主を警察と動物愛護団体は擁護した~イギリス






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(Summary)
Police and RSPCA defend farmer who killed a dog after it attacked his sheep (uk)
Farmers have legal rights, under certain conditions, to shoot the dog if they feel the livestock is in danger.



 イギリスの事件です。「家畜に被害を与える」という理由で、他人の放し飼いのハスキー犬を、散弾銃で農場主が射殺しました。警察は、その農場主の行為を「家畜を守るための正当な行為」としていちはやく発表し、擁護しました。イギリスで最も権威ある動物愛護団体、RSPCAも、この警察の見解を追認し、農場主を擁護しています。もちろん農場主は、刑事訴追を受けていません。イギリスの法律では、財産に被害を及ぼす、もしくは可能性が高い犬などを殺害することが合法だからです。


 サマリーで示した事件を報じる、ニュースソースから引用します。Police and RSPCA defend farmer who killed a dog after it attacked his sheep 「警察とRSPCAは、羊を襲った犬をその後に殺した農場主を擁護しています」 2018年3月28日


The farmer assured police that he tried to distract the husky for some time but was unable to prevent it distressing his sheep.
The farmer said he shot the dog as a last resort.
In the past month, Gloucestershire farmers have become increasingly concerned about sheep worrying after unsupervised dogs attacked and killed sheep in Woodmancote and Rendcomb.
Within one week, three separate incidents of sheep worrying led to the death of four ewes and the miscarriage of six lambs for the farmer in Woodmancote.
The farmer was then forced to use a shotgun to fatally wound a Husky on Monday after it attacked his sheep, killing a lamb immediately.
Police have defended the farmer's actions and have warned dog owners to take responsibility for their pets when walking in the countryside.
Police Constable Ashley Weller, rural and economic crime officer for the Cotswolds, said: "Every year farmers suffer the consequences of irresponsible dog owners. Once again I am appealing to all dog owners to keep their pets on leads. farmers have legal rights, under certain conditions, to shoot the dog if they feel the livestock is in danger."
the 'arrogance' of some dog owners is 'breathtaking'.
The RSPCA Farm Animals Department said: "The countryside, but please remember that it is the farmers’ workplace and the livestock are their valuable assets.

警察は農場主が、(放し飼いの)ハスキー犬が月曜日にウッドマンコートのある農場で、複数の妊娠した雌羊を襲い、その後にハスキー犬に致命傷を負わせたことが正当な行為であることを確認しました。
農場主は警察に、しばらくの間、ハスキー犬の気を羊からそらそうとしましたが、それが羊が苦しめられることを防げなかったと納得させました。
農場主は、最後の手段として、犬を撃ったと話しました。
過去1ヶ月のあいだで、グロスターシャーの農民たちは、管理されていない犬が羊を襲った羊たちのことと、ウッドマンコートとレンドコームで殺された羊から連想して、更に心配を募らせています。
1週間の間に、3つのそれぞれ異なる羊に関する事件ですが、ウッドマンコートの農家では、4頭の雌羊が死に、6頭の子羊が流産しました。
農場主はハスキー犬が彼が所有する羊を攻撃し、子羊を殺害した直後の月曜日に、ハスキー犬に致命傷を負わせるために散弾銃の使用を余儀なくされました。
警察はこの農場主の行動をかばい、そして犬の飼い主には、ペットの犬が農村地帯を歩き回ることに対して警告しています。
コッツウォルズの農村部と経済犯罪の担当者である、警察官アシュリー・ウェラー氏は、このように述べています。
「毎年、農家は犬の飼い主の無責任な結果に苦しんでいます。もう一度私は、すべての犬の飼い主に犬をリードで保つように訴えます。農家は特定の条件の下で、家畜が危険にさらされていると感じたならば、犬を銃で撃つという、法的な権利を持っているのです」。
一部の犬の飼い主の傲慢さには、絶句します。
RSPCAの家畜担当部署は次のように述べています。
「農村は、農家にとって職場であり、家畜は彼らの貴重な財産なのです」。



(画像)

 Police and RSPCA defend farmer who killed a dog after it attacked his sheep 「警察とRSPCAは、羊を襲った犬をその後に殺した農場主を擁護しています」 2018年3月28日 から 射殺されたハスキー犬

ハスキー


 ましてや「私有地内であれば、財産被害を防止するために、侵入する犬猫などを殺傷することは合法」は、世界標準とさえ言えます。しかし一部の日本の動物愛誤家は、異なる意見をお持ちのようです。
 これは少し古い、勝手地域猫と保護猫譲渡ビジネスをしている人のブログ記事ですが、掲示板などで批判を浴び、散々叩かれたものです。この方のお考えはかなり異常だと思います。しかし得てしてこのような「愛誤」な方は、「自分の考えが動物愛護先進国では当たり前である」と思いこんでいるところが痛いです。チャボの命と野良猫の命 2010年3月2日 から引用します。


かなり巨大なトラ柄のオス猫みたいです。
中庭に放し飼いしているチャボの卵や雛を襲うらしく。。。(ーー||)
友人の父親が、捕獲して保健所に持ち込むと言っているのを聞いて、捕まった猫を略奪してやろうと、仕事ほっぽり出して慌てて出向いたんですが。。。
てか、野良猫が悪いの?
チャボを襲ってるのも生きる為にやってるんだもの、野良猫に悪気なんてあるはずないじゃん。
「それよりも襲われないように、チャボの鶏小屋を作るとかなんとか、方法があるんじゃないですか?」と、問いかけてみました。


 チャボは、広い庭に出て日光浴したり、砂浴びしたいはずです。なぜ飼い主の私有地内に野良猫が侵入することを容認して、チャボを狭い鳥小屋に押し込めなければならないのでしょうか。チャボの飼い主に一方的に経済的負担を押し付けなければならないのでしょうか。
 私有地内に侵入する徘徊犬猫を排除すること。そのためには殺傷も合法であることはイギリスの他、アメリカの多くの州法や、ドイツの判例でも示されています。

 さらに、有害なのは「欧米先進国では犬はノーリードで良い」という、真逆の大嘘情報を拡散している自称「動物愛護専門家」や、欧米に居住経験ありと自称している動物愛護家たちです。このような知ったかぶりな彼らは、例えば「動物愛護先進国では、日本と異なり犬にリードせずに自由にさせるのが動物福祉に適うとされている。また飼い主の権利だ」と大嘘を拡散しています。しかし、真実は真逆です。ドイツを始め、スイス、アメリカ合衆国、そして今回取り上げたイギリスでも、犬のリードは法律で義務が明記されています。特にドイツは大変厳しく、州や場所によれば、罰金300万円以上の規定もあります。リードをしていなければ、警察官やハンターが射殺することが合法で、実際に多くあります。また、専業の監視員により、取締を行っています。
 今回取り上げた、イギリスの犬のリード義務ですが、法律では次のように定められています。Controlling your dog in public 「公共の場における犬の管理に関する法律」 から引用します。さらに特定の犬種では、口輪の装着も義務付けられます。


3. Public Spaces Protection Orders
keep your dog on a lead.
Penalties
If you ignore a PSPO, you can be fined:
£100 on the spot (a ‘Fixed Penalty Notice’).
up to £1,000 if it goes to court.

3.公共の場所における、(犬の飼い主に対しての)安全確保命令
犬にリードをつけなければなりません。
罰則
PSPOに違反した場合は、罰金が科される可能性があります。
即決の場合は罰金は100ポンド(14000円。1ポンド140円)( 定額の罰金の通知)。
裁判所に召喚された場合は1000ポンド(140000円)までの罰金です。



 知ったかぶりの、「(自称)動物愛護専門家」、「海外居住の海外通(痛)の動物愛護家」の、噴飯記事をほんの数例を挙げておきます。そもそも英語では「ノーリード(no-lead)」は通じません。アメリカでは100%通じません。犬の引き綱は、leash です。さらに、on off with, without leashです。イギリスでは、犬の引き綱は lead と言いますが、それでも、on off with without です。日本人の教育レベルが低いと思われるから、「ノーリード」はやめてくれませんか。

保護犬猫と里親を結ぶWebサービス「OMUSUBI」を立ち上げた理由

 何度もこちらで取り上げている、あまりにも嘘、誤り、偏向が多いサイト。特に私が確認した限り、海外情報は全てでそうです。しかもうその内容が、真逆も真逆で、ひどすぎます。

英国に学ぶ犬とのつき合い方

イギリス人と犬

アメリカ、カリフォルニア州では私有地内に侵入する犬猫の毒餌による駆除は合法~日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか






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(Summary)
California Code, Penal Code - PEN § 596
Every person who, without the consent of the owner, wilfully administers poison to any animal, the property of another, or exposes any poisonous substance, with the intent that the same shall be taken or swallowed by any such animal, is guilty of a misdemeanor.
However, the provisions of this section shall not apply in the case of a person who exposes poisonous substances upon premises or property owned or controlled by him for the purpose of controlling or destroying predatory animals or livestock-killing dogs and if.


 記事、日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問、の続きです。前回記事では、杉本彩氏らが主張している、「日本は動物虐待に対する処罰が甘い。動物愛護管理法における動物虐待罪の法定刑の上限引き上げるべきである(懲役5年以下、罰金500万円以下)」の根拠としている、アメリカのカリフォルニア州での猫殺害事件は、主なる起訴事実は窃盗罪であることを書きました。本事件の判決は懲役16年ですが、アメリカでも日本でも、動物虐待罪より窃盗罪のほうが重罪です。したがって、カリフォルニア州の事件は、動物虐待罪の日米比較にはなりません。では、カリフォルニア州での、動物虐待罪の規定はどうなっているのでしょうか。


 前回記事、日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問、では、カリフォルニア州法における、動物虐待罪の規定の概要は次の通りになると書きました。
・犯罪の構成要件は、「悪意(故意)」がありかつ、「その動物に苦痛を与えること」です。
・法の適用範囲は、任意の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に及ぶ。
・虐待による殺傷は、基本的には法定刑は懲役1年以下、または罰金2万ドル以下、もしくはその併科(ただし「闘犬」などの虐待行為に関しては別の処罰規定がある)。


 では、実際にカリフォルニア州における、動物虐待についての処罰規定を定めた州法を見ていきたいと思いますまず、カリフォルニア州で、飼育動物や犬猫などのペットの殺害を処罰する規定は、California Code, Penal Code - 596から597に規定されています。
 まず、California Code, Penal Code - PEN § 596 を引用します。こちらでは、法が適用される動物の毒殺を禁じていますが、私有地内であることなど、一定の条件では合法とされています。


Every person who, without the consent of the owner, wilfully administers poison to any animal, the property of another, or exposes any poisonous substance, with the intent that the same shall be taken or swallowed by any such animal, is guilty of a misdemeanor.
However, the provisions of this section shall not apply in the case of a person who exposes poisonous substances upon premises or property owned or controlled by him for the purpose of controlling or destroying predatory animals or livestock-killing dogs and if.
Whenever such signs have been conspicuously located upon the property or premises owned or controlled by him as hereinabove provided, such person shall not be charged with any civil liability to another party in the event.

その動物の所有者(飼い主)の同意を得ずに、その動物が摂取、もしくは摂取させる意図で毒物を他人の所有地にいる動物に故意に与えた者、毒物を摂取させた者は、軽犯罪での犯罪が成立します。
ただしこの条項は、肉食動物、または飼育動物を殺す犬の防除または殺害する目的で、自己所有地、またはその者により管理されている施設に毒物を置く者の場合には適用しません。
そのような事実(毒物を設置すること)が上記のように、その者が所有、または管理している私有地に明示して置かれていた場合はいかなる場合でも、毒物を設置した当事者は、事件が発生した(勝手に侵入した他人の犬などが毒物を食べて死傷した場合)場合においても、一方の当事者(毒により殺傷された犬などの飼い主)に対しては民事責任を負いません。



 要するに、土地や施設の不動産所有者または管理者が、その不動産内にいる飼育動物(any domestic animal)を襲う可能性のある犬などに肉食動物から被害を防止するために、毒餌を置くことは合法ということです。さらに、その毒を食べた犬などが死傷しても、毒餌を置いた不動産所有者または管理者は、民事上の責任も負いませんよ、ということです。
 ここでいう、飼育動物(any domestic animal)ですが、「any=いかなるもの」ですので、金魚が近所の飼い猫から襲われることを防止するために、自分の家の庭に、例えば殺鼠剤や農薬、不凍液などを猫が食べることを意図しておくのは犯罪ではないということです。さらに、実際に猫がそれを食べて死傷した場合も処罰されることはなく、民事上の責任も、カリフォルニア州では負わないということです。

 私はかつて、自己所有地に侵入する、自由に徘徊する猫からの財産的被害を防止するために、自己所有地に猫に法的規制がない、有害なものを設置した場合に関しての法解釈を記事にしたことがあります(*1)。私の解釈としては、つぎの点を述べました。
以下の条件であれば、私有財産権の保護という見地から違法とはならない可能性は高いと思います。動物愛護管理法違反は成立しないと私は解釈します。動物愛護管理法44条1項で禁じているのは、「みだりな」愛護動物の殺害です。「殺害」を禁じているわけではありません。
・毒餌設置が外構で囲われた私有地内(第三者に危険が及ばない)であること。
・毒餌が法的規制を受けていないもの。
・毒殺以外の、不必要な苦痛をあたえないこと。
・被害が受忍限度を超えている。
・それ以外、被害を除去する方法がない(例えば保健所で捕獲した猫の引き取り拒否にあったなど)。


 上記の私の解釈に対して、「弁護士の見解(到底弁護士の文書とは思えませんでしたが)」と称して、粘着して反論してきた人がいました。つまり、日本の動物愛護(誤)活動家は、「自己所有地内で徘徊猫の侵入による財産的被害があったとしても、限度なく受忍しなければならない。仮に過失であっても、徘徊猫(無主物であっても)が自己所有地にある有害物質を食べて死傷した場合は動物愛護管理法44条(みだりな愛護動物の殺傷)違反が成立する」と認識している人が少なからずいるということです。
 仮に、その動物愛護管理法44条の解釈が正しいとすればですが。日本は世界に類を見ないほど、愛護動物(といってもこの場合は猫だけですが)に対する殺傷の違法性の解釈が厳格で厳しいと言えます。

 アメリカではカリフォルニア州のみならず、他の多くの州でも「自己所有地に侵入する犬猫などからの財産被害を防止するためならば、犬猫などを殺害することは処罰できない」としています。例えばテキサス州などは、毒餌の他、銃などの使用も合法です。イギリスでは、自己所有地にかかわらず、財産被害防止のために、自由に徘徊する犬猫を殺害することが合法です。
 ドイツでは、アメリカ、カリフォルニア州などとはことなり、法令による規定はありません。しかし司法判断では、「徘徊猫から自己所有地内の財産被害を防止するために、猫に対して傷害を負わせる危険性がある防止策は土地所有者の正当な権利である」とされています。それ以前に「財産被害がある無いにかかわらず」、人の占有下にない犬猫は、狩猟法で通年駆除がハンターの責務とされています。ドイツの判例についても、折々取り上げます。


(参考資料)

Kristen Lindsey: 5 Fast Facts You Need to Know 「クリスティン・リンジー(猫をボウガンで射殺した女性獣医師) あなたが知る必要がある5つの事実」。2015年6月25日

 2015年に、アメリカ、テキサス州で女性獣医師が自己所有地に侵入した近所の飼い猫を弓矢で射殺した事件を伝えるニュースソース。女性獣医師は、射殺した猫の写真を Face Book で公開しました。女性獣医師は、「私有地内の自分の猫を狂犬病のリスクから守るために侵入猫を殺害した」ために、合法的とされ、刑事訴追を受けませんでした。

District Attorney Travis Koehn said
“Lindsey may have acted to protect her pets from a potentially rabid stray cat in Austin County.”
According to Texas law, protecting pets from attack is a defense to an animal cruelty charge.

地方検察官トラビス・コーン氏は言います。
「リンジー獣医師は、潜在的に狂犬病の野良猫から彼女のペットを守るために(合法的に)行動した可能性があります」。
テキサスの法律によると、自分のペットを他の動物の攻撃から守こと(殺害すること)は、他の動物への残虐行為の刑事告発に対する正当性の抗弁になります。



(画像)

 Kristen Lindsey: 5 Fast Facts You Need to Know 「クリスティン・リンジー(猫をボウガンで射殺した女性獣医師) あなたが知る必要がある5つの事実」。2015年6月25日
 アメリカ、テキサス州で、自己所有地に侵入した近隣の飼い猫を弓で射って殺害し、その死体をFace Bookで公開した女性獣医師。この獣医師は、「自分の飼い猫を、侵入猫の被害から守るために侵入猫を殺害した正当な理由がある」とされて、刑事訴追は受けませんでした。おそらく日本ならば、近隣の飼い猫が自己所有地に侵入したところを弓で射って殺害したのならば、動物愛護管理法違反で有罪になると思います。

クリスティン 刑事訴追なし


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日本は動物虐待に対する処罰が甘いのか~杉本彩氏の動物虐待の厳罰化主張に対する疑問






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 女優で動物愛護活動家である、杉本彩氏が「日本は動物虐待に対する処罰が甘すぎる。厳罰化すべき」と主張しています。同氏は「カリフォルニア州で猫を虐殺した犯人は懲役16年の判決となった」ことをことさら強調しています。しかしカリフォルニア州の本事件は、主たる起訴事実が窃盗罪です。カリフォルニア州の犬猫などの虐待(殺)は、法定刑が懲役1年以下、罰金2万ドル以下です。窃盗罪が動物の殺傷より法定刑が重いのは、日本もアメリカも同じです。主たる起訴事実が窃盗罪の事件を「外国では日本と異なり動物虐待の処罰が厳しい」とは、あきれた都合の良い事実の抜き書きです。またアメリカでは、量刑は単純加算されます。そのような司法制度の違いがある国の判決と日本の判決を比べるのは無意味です。


 まず、杉本彩氏らによる、「日本は動物虐待に対する処罰が甘すぎる。アメリカでは猫を殺害した犯人は懲役16年の判決が言い渡された」マスメディアの記事は、このようなものがあります。【猫惨殺裁判】杉本彩 執行猶予判決に怒る 「法律で裁かれなくても見合った罰は下るはず 2017年12月13日。
 その上で杉本彩氏は、猫(無主物。野良猫)を13匹殺害した被告人に対する判決に執行猶予がついたことに関し、「アメリカで猫を殺害した犯人に対する懲役16年の判決」を根拠に、「日本は動物虐待に対する処罰が甘い。厳罰化すべきだ」と主張しています。具体的には、現行の動物愛護管理法における、「愛護動物のみだりな殺傷に対する、2年以下の懲役または200万円以下の罰金」の法定刑を、最高懲役5年以下、罰金500万円以下に引き上げる」ことです。2017年9月「改正動物愛護管理法を考えるシンポジウム」 より引用します。


動物虐待者は非常に危険な犯罪者であるにもかかわらず、私の知る限り日本では動物虐待者に対して懲役刑が下ったことはない。
これは社会が動物虐待を軽視している証。
■米カリフォルニア
21匹の猫を殺害した26歳の被告に収監16年の判決が下った。(2017年)



 杉本彩氏らが、「日本の動物虐待に対する処罰が甘い。厳罰化を求める」根拠として繰り返し取り上げる、「アメリカ、カリフォルニア州で猫を殺害した犯人に懲役16年の判決が言い渡された」事件ですが、この事件の起訴事実の主な犯罪事実は窃盗罪です。殺害した猫は盗んだものでした。日本でもアメリカでも、動物虐待罪より、窃盗罪のほうがはるかに法定刑が重いのです。
 さらにアメリカの刑事司法においては、量刑の考え方が異なります。仮に日本で、アメリカで猫を16匹盗んで殺害した本事件と同様の事件があったのならば、おそらく一つの罪とされます(複数の法益侵害ないし行為の間に一体性が認められる場合)(*1)。対してアメリカでは、量刑はそれぞれを独立した罪として単純に加算されます(*2)。たとえばアメリカでは、禁固7万4,337年という求刑や、郵便配達夫が郵便物を廃棄し続けていたケースでは、禁錮250年という判決もあるようです(*3)。

 したがって、「アメリカで盗んだ猫を殺害した被告人に対する窃盗罪に対する懲役16年」の判決と、日本の「野良猫(無主物。無主物に対しては窃盗罪は成立しない)を13匹殺害した被告人に対する執行猶予が付いた判決」を比べるのは無意味です。起訴事実も刑事司法制度も異なります。
 もし「アメリカと同様に量刑は単純加算すべきだ。アメリカに見習うべきだ」というのであれば、野良猫の餌やりで、10か所かけもちでしている人は、懲役10年を容認しなければなりません。アメリカでは、野良猫への餌やりが、懲役1年以下で処罰される自治体があるからです(*4)。
 参考のために、アメリカの事件についてのニュースソースを引用します。Serial cat killer sentenced to 16 years in jail 「16年の懲役刑の判決を言い渡された連続猫の殺害犯」。2017年7月17日。


Robert Farmer, 25, was sentenced to 16 years for abducting, torturing and killing nearly two dozen cats that he stole from the streets of a San Jose neighborhood.
A judge read the names of the cats aloud during Farmer’s sentencing, and noted that the body of a tabby cat named Go-Go had not yet been found.
Go-Go’s owner, Miriam Petrova, said Friday’s sentencing provided closure for her and others whose pets were Farmer’s victims.

ロバート・ファーマー被告人(25歳)は、サンノゼ近郊の街から盗んだ約2ダースの猫を捕獲、虐待し、殺害したために16年間の懲役刑の判決を受けました。
裁判官はファーマー被告人の判決の際に、猫の名前を朗読しましたが、「ゴーゴー」と呼ばれる縞模様の猫の死体はまだ見つかっていないと指摘しました。
ゴーゴー(猫の名前)飼い主である、ミリアン・ペトロヴァ氏は、金曜日の判決では、彼女と他の人たちのがファーマー被告人の犠牲だったと語りました。



 実際には、アメリカ、カリフォルニア州の、犬や猫などの虐待や殺害に対する法定刑はどうなのでしょうか。カリフォルニア州法では多くのケースにおいて細かな規定がありますが、まとめると概ね、次のようになります。
・犯罪の構成要件は、「悪意(故意)」があり、かつ「その動物に苦痛を与えること」です。
・法の適用範囲は、任意の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に及ぶ。
・虐待による殺傷は、基本的には法定刑は懲役1年以下または罰金2万ドル以下、もしくはその併科(ただし「闘犬」などの虐待行為に関しては別の処罰規定がある)。


 その国の刑事司法制度に違いなどもあり、法律の条文だけでは一概には言えません。しかし私が一読した限りにおいては、カリフォルニア州が日本と比べて、特段動物虐待に対する法的刑が厳しいとは思えませんでした。ケースによっては、日本の動物愛護管理法が厳しいとさえ感じます。次回記事では、具体的に、動物虐待に関する、カリフォルニア州法を取り上げます。


(動画)

 San Jose Cat Killer Sentenced To 16 Years Prison 「サンノゼ(カリフォルニア州)の猫殺害犯は、懲役16年判決を言い渡されます」 2017/07/14 に公開
 この事件、こちらの動画にもある通り、殺害された猫のいくつかは盗まれたものです。ですから主な起訴事実は「窃盗罪」であり、無主物の猫を殺害した日本の事件と比較することはできません。杉本彩氏らがこのカリフォルニア州の事件を根拠に、「日本の動物虐待は処罰が軽い」と主張するのは、例えば日本で、女性を誘拐し、強姦してビデオ録画し公開した事件で、被告人に懲役15年の判決が言い渡されたとします。それを持って、「わいせつビデオの公開は日本では懲役15年になる。アメリカはわいせつ物の公開に対しての処罰が甘い」と言っているのと同じです。このようなバカげた屁理屈を堂々と公にするのが、愛誤の無知と知能の低さです。杉本彩氏に協力する弁護士もいるのに呆れます。

A Santa Clara County Superior Court judge has sentenced a 26-year-old California man to 16 years in prison for killing 21 cats, some of which he lured from people's homes.

サンタクララ郡の上級裁判所判事は、26歳のカリフォルニア人男性に21匹の猫を殺害したとして、懲役16年の刑を言い渡しましたが、猫のうちのいくつかは、飼い主の家から誘拐されたものです。





(追記)

 杉本彩氏主催の、2017年9月「改正動物愛護管理法を考えるシンポジウム」。こちらでは、極めて問題がある発言が多数あります。例えばごく一部ですが、このようなものです。


松野(前衆議院議員 松野頼久氏):日本はヨーロッパ先進諸国にならって8週齢ですよ、と決めれば済む話だと常々言っています。
特に8週齢は、ヨーロッパ先進諸国の中では当たり前なんです。
それを出来ない日本っていったいなんなんだろうと思います。



 EU諸国のうち、9カ国は犬猫とも販売に対する週齡規制は皆無です(2016年資料)。EUのうち、犬猫とも8週齡未満の販売を禁じているのはおそらくフランス一国です(STS-REPORT SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS Auf den Hund gekommen: Illegaler Hundehandel und -import fördern Tierleid und Kriminalitätドイツは、猫に関しては、販売の週齡規制そのものがありません
 私はかつて「イギリスでは猫も8週齡未満の販売を禁止する法案が出されている」と書いた記憶があります。今調べたところ、法案は通過し、今年の10月1日から施行されます(Puppy and kitten sales at pet shops set to be banned A ban on licensed sellers dealing in dogs and cats less than eight weeks old is already coming in on 1 October.)。つまりこの発言当時は、まだ法案が通っていなかったのです。
 なお現在の、イギリスの犬の8週齡未満販売禁止の根拠法はこちらです。Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999
 そもそも杉本彩氏は、「日本以外の先進国はペットショップがない」と、吹き出しそうな嘘情報を、超上から目線で言ってのける方ですから。精神科を受診したほうが良いレベルでしょう。氏の主催したシンポジウムの人選も似たようなレベルの方ばかりです。


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ドイツでも不凍液が猫の殺害に使われる





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(Zusammenfassung)
Leider kommt auch immer wieder vor, dass Giftköder von Tierhassern in Parks, Anlagen und auf Gehwegen ausgelegt werden.


 日本では、巨大掲示板で「埠頭駅定食」という隠語が用いられています。これは、「被害を及ぼす徘徊猫を毒殺するために、自動車のラジエーター冷却液に用いられる不凍液を混ぜた毒餌」を指す隠語です。不凍液の主成分であるエチレングリコールは甘みがあり、猫が好んで摂取するのですが、致死性の毒性があります。この不凍液を用いた迷惑な徘徊猫を駆除する方法は、アメリカでも紹介されています(アメリカの多くの州では、土地所有者が徘徊猫から私有地内の財産被害を防止するために毒餌で駆除することが合法です)。ドイツでも、しばしば不凍液で猫が殺傷されたというニュースが報道されます。


 Katze vergiftet - wohl kein tödlicher Köder 「猫は毒を盛られましたーその餌で死ぬことはありませんでしたが」 2018年1月9日


In Baindt hat eine Katze offensichtlich eine giftige Substanz geschluckt und ist fast gestorben.
Weil das Tier Freigänger ist, ist unklar, was passiert ist.
Während die Besitzerin einen absichtlich ausgelegten Köder als Ursache für möglich hält, vermutet der behandelnde Tierarzt, dass eher eine Substanz wie Frostschutzmittel schuld sein könnte.
Es war am Silvestertag, als die Katze nachmittags nach Hause kam und sich übergeben musste.
Die Familie brachte die Katze sofort zum Tierarzt.
Die Tierhalterin vermutet, dass die Katze Gift gefressen hat und fürchtet, dass jemand Köder ausgelegt hat.
Das Tier könnte Frostschutzmittel geschluckt haben.
Diesen Fall gibt es öfter.
Vor allem in Wintermonaten, wenn Autobesitzer beim Auffüllen etwas danebenschütten oder die Substanz aus einer kaputten Leitung austritt.
Katzen mögen das offensichtlich und schlecken Frostschutzmittel oft auf.

バイント(ドイツ、バーデン-ヴュルテンブルク州)では、猫は明らかに有毒物質を食べてしまい、ほとんど死にかけました。
猫は放し飼いでしたので、何が起きていたのかは不明です。
猫の飼い主は、意図的に作られてまかれた毒餌が原因と考えていますが、獣医師は不凍液などの物質が原因である可能性が高いと思っています。
猫が家に帰って、午後に嘔吐したのは大晦日でした。
家族は、すぐに猫を獣医に連れて行きました。
猫の飼い主の女性は、誰かが意図的に作った毒餌により猫が毒を食べたことを疑い、恐怖を感じています。
猫は、不凍液を摂取した可能性があります。
この症例は大変多いのです。
特に冬季は、自動車のオーナーが不凍液を補充中にこぼしたり、不凍液がパイプの破損部分から漏れることがあります。
猫は明らかにそれを好きで、しばしば不凍剤を舐めます。



 上記の事件では、警察は事件として取り扱わなかったようです。ドイツでは、不凍液による猫の死体が発見された場合に大騒ぎして警察が捜査する日本とは大違いです。さらに、飼い主が「何者かが不凍液による毒餌を用いて猫の殺傷を意図した」という認識ですが、メディアの記事では「猫を放し飼いにしていては確かめようがない(だから、飼い主の落ち度です)」という論評です。
 一方では、ドイツのほかのメディアの報道では、このような記述もあります。Erste Hilfe für Hunde und Katzen 「犬や猫のための応急処置」 から引用します。


Giftiges und Unverträgliches für Hund und Katz
Dazu zählen zum Beispiel Frostschutzmittel, die wegen ihres süßen Geschmacks gern von den Tieren aufgeschleckt werden.
Leider kommt auch immer wieder vor, dass Giftköder von Tierhassern in Parks, Anlagen und auf Gehwegen ausgelegt werden.

犬と猫にとっての有毒および不適合物質
これらには、例えば凍結防止剤(不凍液)が含まれ、これは甘い味がするために、動物はしばしば舐めます。
残念なことに、犬や猫の殺傷を意図して作られた毒餌が置かれることは、動物嫌いによって公園、公共施設、歩道に、何度も繰り返されています。



 ドイツにおいても、不凍液は、動物嫌いにとっては有効な「毒餌づくり」のツールとなっているようです。さらにドイツの司法判断では、「土地所有者が侵入する徘徊猫から私有地内の財産被害を防止するために、猫を殺傷する可能性がある有害なものを意図的に私有地内に置く」、もしくは「犬を私有地内で、侵入猫を殺傷させることを意図して飼うことは土地所有者の正当な権利である」とあります。
 私も、仮に「猫が意図的に仕掛けられら毒餌を食べて殺傷された」場合は、飼い主が猫を放し飼いにしていれば、かなりの割合で飼い主の落ち度があると思います。ましてや猫が他人地に侵入することは、蓋然的に他人の財産被害をもたらします。私有地にかぎれ、土地所有者が、侵入猫の財産被害を防止するために設置した毒餌を食べて猫が殺傷された場合、猫の飼い主は土地所有者に対して、刑事上も民事上も責任を問えないとする立法も海外では多くあります。例えばアメリカの多くの州です。この点については、近く記事にします。
 日本では、「私有地内であっても、侵入猫による被害は限なく受忍しなければならない。仮に猫の殺害を意図しなくても、法的規制がないもの(不凍液や殺鼠剤)を猫が誤って摂取して殺傷された場合も、土地所有者は動物愛護管理法違反となる」と主張する人がいます。しかしこのような意見は、国際的に見れば、極めて特異といえます。


(動画)

 Katzenmord in Waltrop / PETA 「ヴァルトロップでの猫虐殺」 PETA Deutschland e.V. 2012年3月14日
 ドイツにおける、猫駆除の実態。養鶏場では、日常的に徘徊猫の銃や罠による駆除が行われています。狩猟法に則れば、私有地内はもちろんのこと、飼い主がいる可能性のある猫も、狩猟駆除が1年を通じて全く合法です(連邦狩猟法で休猟期がなく、1年を通じて狩猟駆除が推奨されているのは、ドイツでは犬猫だけです。「他の狩猟動物と同じく猟期は狩猟対象である」という記述をしばしば見かけますが誤りです。勝手な憶測での誤情報の拡散は止められたい)。大量に猫を虐殺している農場主は「殺した猫に飼い猫もいるだろう」と堂々と話しています。
 「養鶏場に猫が侵入する」ことは、蓋然的に養鶏場への被害をたらします。それを排除するために、猫を殺害するのは、ドイツでは合法であり、土地所有者の当然の権利とされています。

私有地内に猫駆除のための毒餌を置くのは、ドイツでは土地所有者の正当な権利?






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(Zusammenfassung)
Info & Recht Geliebte Katze
Nachbarschaft
Informationen rund um Nachbarsklagen, Missstände, Tierquälerei und Lärmbelästigung durch die Katze.



 ドイツの大手猫愛好家向け雑誌に、Geliebte Katze 「愛される猫たち」があります。この雑誌のHPでは、猫の飼い主たちに対して、猫飼育にまつわるトラブル防止のために、いろいろな情報提供をしています。その中に、猫飼育に関する、近隣関係の裁判例がいくつか紹介されています。日本と比べて、ドイツの方が、猫飼育者に対しては寛容ではないと感じます。概して個人主義のヨーロッパでは、私権が尊重され、司法もそれを認めていると感じます。


 ドイツの猫愛好家雑誌、Geliebte Katze は、ヨーロッパでは最大の発行部数を誇る、猫愛好家雑誌とされています。そのHPから、Info & Recht 「情報と法律」を引用します。


Nachbarschaft
Informationen rund um Nachbarsklagen, Missstände, Tierquälerei und Lärmbelästigung durch die Katze.

Quälerei von nebenan erlaubt?
So gesehen ja.
Ein Nachbar muss sein Grundstück nicht hunde- bzw. katzenfreundlich gestalten, nur weil Sie eine Katze bzw. einen Hund besitzen.
Glasscherben im Blumenbeet oder ein scharfer Hund zur Abschreckung der Katze sind leider gestattet.
Diese Praktiken stellen keine Tierquälerei dar.
Es ist eben Pech für die Katze oder den Hund, wenn sie aufgrund dieser Bösartigkeiten zu Schaden kommen.

Nachbarn mit Katzenallergie
Nach einem vom Landgericht München bestätigten Urteil des Amtsgerichts muss eine Katze aus einer Wohnanlage verschwinden, wenn in unmittelbarer Nachbarschaft „ihrer” Wohnung ein allergisch reagierender Mensch lebt..

"Katzenklo" auf Nachbars Terrasse
Ein Katzenhalter muss seine Katze so halten, dass diese nicht auf den Balkon oder auf die Terrasse des Nachbarn kommen kann und dort Kot oder Erbrochenes hinterlässt.
Das geht aus einem Urteil des Landgerichts Bonn hervor (Az.: 8 S 142/09).

相隣関係
隣人(近隣住民)からの、猫によるクレーム、苦情、猫の虐待と猫による迷惑行為に関する情報。

隣人が私の猫を虐待することが許されるのですか?
そういう意味では、yes です。
隣人は、あなたが猫や犬を飼っているからといって、隣人は隣人の所有地で、あなたの犬や猫に優しくする必要はありません。
花壇に割れたガラスを置くことや、猫を防御するための攻撃的な犬を飼うことは、残念ながら許されています。
これらの行為(割れたガラスなどで猫が殺傷する、犬が猫を殺傷すること)は、あなたの猫に対する残虐行為(違法行為)にはなりません。
これらの悪意のある行為によって、あなたの猫や犬が傷つけられるのは不運です。

猫アレルギーのある隣人
ミュンヘン地方裁判所の判決後によって確認されたことですが、集合住宅内で、すぐ近くに猫アレルギー疾患のある人が住んでいる場合は、集合住宅内から猫が排除されなければなりません。

隣家のテラスの「猫の汚物」
猫の飼い主は、隣の家のバルコニーやテラスに猫が入らないようにし、そして糞や嘔吐物を残さないように拘束しなければなりません。
これはボン地方裁判所の判決の結果によるものです(事件番号:8 S 142/09)。


 「隣人が自己所有地に侵入する猫による被害を防止するために、猫が殺傷する恐れがある鋭いガラス片や、意図的に犬に猫を攻撃させて殺傷させることは、土地所有者の正当な権利である」。これは、アメリカや西ヨーロッパでは一般認識だと思います。本件の司法判断では、侵入した猫がガラス片で傷害を負う、私有地内で飼っている犬が侵入猫を死傷させたとしても、ガラス片を置いたり、飼い犬に猫を意図的に攻撃させても、土地所有者には責任がないとしています。さらに、「土地所有者の正当な権利」とされています。となれば、法的規制がない、猫に有害な殺鼠剤、農薬、不凍液などを置くことも、土地所有者の正当な権利とも解釈できそうです。
 近く取り上げる予定のテーマですが、アメリカ、カリフォルニア州では、私有地内の財産被害を防止するためには、土地所有者・管理者が侵入する犬猫(飼い主がいても)を毒殺することが合法です。カリフォルニア州以外でもアメリカ合衆国では多くの州で同様の規定(毒殺以外でも、銃殺などでも合法)があります。私有財産権の保護という見地からは、ドイツの判例、アメリカの州法とも妥当と思います。

 一方日本では、私有地内での侵入犬猫に対する、財産被害防止のための殺傷を伴う防御策については、法律の規定も司法判断もありません。しかし土地所有者・管理者が、侵入する猫による財産被害を限なく受忍しなければならないという主張をする人が、相当割合で日本にいます。例えば、このようなサイトです。
犬達のSOS☆ヤフー知恵袋で、放し飼いの猫に毒餌を勧める回答がベストアンサーに!!動物愛護法違反の回答を放置しているヤフーは即刻削除すべき!!違法な書き込みを通報する方法を調べました。2016年7月30日
 このブログ記事では、私有地内か否かは述べていません。しかし、「土地所有者が現に被害を受けている。その排除のため」も、動物愛護管理法違反としているのですから、私有地内も違法という認識なのでしょう。

 一方、弁護士では、「受忍限度を超え、かつほかに被害を除去する方法がない場合は侵入猫毒殺はやむを得ない。違法とはならない可能性がある」という見解を示している方がいます(野良猫を毒殺で駆除するのは違法と言えるのでしようか? 村上誠弁護士 この質問は、私有地内と解釈します)。
 「違法となる可能性は否定できないが、立件が難しい、技術的に有罪とすることが困難、不可能」、つまり事実上処罰ができないという見解の弁護士もいます(野良猫の毒殺事件と証拠能力についてご質問です 中島繁樹弁護士 こちらも私有地と解釈します)。

 私も、「私有地内での侵入猫の毒餌駆除」に関して、かつて連載記事を書いています(*1)。概ね、村上誠弁護士や、中島繁樹弁護士と考えは感じです。私見ですが、以下の条件であれば、私有財産権の保護という見地から違法とはならない可能性は高いと思います。動物愛護管理法違反は成立しないと私は解釈します。動物愛護管理法44条1項で禁じているのは、「みだりな」愛護動物の殺害です。「殺害」を禁じているわけではありません。
・毒餌設置が外構で囲われた私有地内(第三者に危険が及ばない)であること。
・毒餌が法的規制を受けていないもの。
・毒殺以外の、不必要な苦痛をあたえないこと。
・被害が受忍限度を超えている。
・それ以外、被害を除去する方法がない(例えば保健所で捕獲した猫の引き取り拒否にあったなど)。



(動画)

 Kater Max wurde vergiftet 「オス猫のマックスは毒殺されました」 2014/12/24 に公開
 ドイツの猫の飼い主が公開した動画。放し飼飼い猫、マックスが毒殺されました。しかしドイツは日本と異なり、放し飼い猫が毒殺されたと強く疑われるケースでも、事件として取り扱うことすら少ないようです。ドイツでは、例えば不凍液(主成分のエチレングリコールが有害)などにより放し飼いの猫が毒殺されることがしばしば発生します。メディアでも報道されますし、動物愛護団体も注意喚起しています。もとよりドイツでは、非占有犬猫の狩猟による殺害は1年を通じて合法ですが、都市部では狩猟が制限されます。そのために不凍液や殺鼠剤を用いる者がいるのだとだと思います。

Unser lieber Kater Max wurde vergiftet und ist am 24.12.2014 gestorben.

私たちが愛する、猫マックスは毒を摂取させられて、2014年12月24日に死にました。






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イギリスはレースドッグの殺処分を含めれば、人口比で日本の8倍近くの犬を殺処分している~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」






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(Summary)
This is how many dogs police destroyed last year Under the Dangerous Dogs Act police can destroy any dog deemed to be dangerous (uk)


 記事、
懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
「ロサンゼルス市には生体販売ペットショップがない」という、懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
ペットショップ規制で犬のインターネット販売が激増したロサンゼルス市~狂気の動物愛誤家たち
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は、成功かそれとも偽善か?~アメリカのメディアの記事から
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~無くならない禁止動物のペットショップ販売
ペットショップでのペット盗難が続発しているロサンゼルス
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~激減した保護動物譲渡数
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~規制後は、犬のインターネット販売が激増
「ロサンゼルスには殺処分がほぼない」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの犬猫殺処分数は人口比で日本の約~14倍
「ロサンゼルスでは保護動物を引き取ることが当たり前」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの保護犬猫入手割合は約1割
懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘
ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は日本より高い~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
ドイツのティアハイムの犬の殺処分数は人口比で日本の約3倍~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
危険な犬の殺害が義務付けられ、年間1,500頭以上犬を殺処分しているイギリスの警察~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
の続きです。
 既に何度か取り上げた「ペトこと」というサイトがあります。このサイトは嘘、誤り、偏向があまりにも多く、特に海外情報では私が確認した限り、すべてがそうです。「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という内容の記事があります。しかしカナダのケベック州では人口比で日本の200倍以上、オセアニアやフランス、アメリカ合衆国は十数倍から数十倍です。日本で「ほぼ殺処分ゼロ」と喧伝されているイギリスの犬の殺処分数は、人口比で日本の5倍以上です。ささらにそれとは別に、警察が強制的に危険犬種などを押収して殺処分する数も、1500頭程度あると思われます。その上、イギリスでは廃レースドッグ(犬を競争させる賭博)の殺処分が年間1万頭と推計されています。それらの数をすべて合わせれば、イギリスは人口比で日本の7倍以上を殺処分していることになります。



 問題の記事はこちらです。滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ 山本恵太 2018年6月7日 から引用します。


ローラ:ロサンゼルスには(生体販売をしている)ペットショップが無くて、引き取ることが当たり前で殺処分もほとんどないし、そういう現実を知って、もっと日本もそうなっていくべきなんじゃないかなって。
滝川:先進国の中でも日本は殺処分が多いんですよね。

 

 イギリスでは、ドッグレースが盛んです。これは競馬の犬版ともいえるもので、イギリスでは庶民の人気が高い賭博です。「イギリスではレースドッグの殺処分数が年間8,000~1万頭である」という情報は、マスメディアの記事や、愛護団体の調査による資料が多数あります。
 本連載の前回、前々回の記事で述べた通り、イギリスでは犬の年間殺処分数は、公的殺処分数約7,000頭+民間の保護団体の殺処分約2万頭+警察による強制殺処分約1500頭=約2万約8,500頭になります。この数は、人口比で日本の5倍以上です。さらに、レースドッグの殺処分数1万頭を加えれば、イギリスの年間の犬殺処分数は、人口比で日本の8倍近くになります。
 ドッグレースに反対する、民間団体のHP、What is Wrong With Greyhound Racing ? 「グレイハウンドレースの何が悪いのですか?」 から引用します。


Problems in Greyhound Racing
Approximately 20,000+ greyhounds are bred each year in Ireland and England, two thirds are registered to race and around 8,000 to 10,000 greyhounds go missing per year (Presumed dead).
1. Intentional over-breeding of greyhounds leading to hoarding of dogs, euthanasia, and rescue centres struggling to cope both financially and to re-home the dogs.
3. There is no legislation to prevent a greyhound being killed solely on economic grounds.
4. The Captive bolt gun - It is fully legal for any untrained and unlicensed person to attempt to destroy a greyhound by use of the captive bolt gun, when the dog is no longer commercially viable.
The Captive bolt gun has a massive capacity for misuse, it can cause extreme and prolonged agony for a dog, as it may NOT always render them dead.
5. There is no known legislation to prevent a greyhound trainer/owner killing their own dog, rather than euthanasia by a qualified vet.

グレイハウンドレース(ドッグレース)の問題点
アイルランドとイングランドでは、毎年およそ20,000頭以上のグレイハウンドが繁殖されますが、レースに登録されるのは3分の2であり、1年に8000〜10,000頭のグレイハウンドが行方不明になります(死んでいると推定されます)。
1、レースドッグの過剰繁殖は、無駄な犬の大量保有につながり、犬の安楽死(殺処分)や、動物保護団体(レスキューセンター)の財政状況の困難と、犬を飼い主に一般譲渡することの苦労をもたらします。
3、グレイハウンドが、経済的理由だけで殺されることを防ぐ法律はありません。
4、家畜用と殺銃 - 犬がもはや商業的に利用することが不可能になったときに、訓練されていない無免許の人が銃を使ってグレイハウンドを殺害しようとするのは完全に合法です。
家畜用と殺銃の誤用は常に犬を速やかに死に至らせないために、犬が極端に長く苦しむ可能性があり、悪影響は大きいのです。
5、グレイハウンドの訓練士/所有者が、資格のある獣医師による安楽死ではなく、自己所有の犬を殺すのを防ぐための既存の法律はありません。



 日本は、犬猫の殺処分は保健所の所轄で、そこで集中して行われます。また公的機関でもあり、集計数字が正確に出ることから、国全体の殺処分数が分かりやすいのです。
 日本以外の先進国は、例えば本連載で取り上げたイギリスを例にすれば、「自治体が行うもの」、「民間保護団体が行うもの」、「警察が所管しているもの」、「使役犬である、レースドッグの民間人による殺処分」など、合法的に殺処分を行う主体が分かれており、その数を集計公表していない場合もあります。ですから、国全体の殺処分数が見えにくいのです。それはドイツなどにも当てはまります。そのような事情により、ことさら海外の殺処分数を矮小化して、自分たちのビジネスの利益につなげようとする「愛誤」が日本に存在します。

 私は何度か、ぺトことというサイトの嘘情報を指摘しました。しかし私が記事で取り上げた事実だけではありません。そのほかでも、多くの嘘誤り偏向情報が多い、実に有害なサイトです。海外情報では、私が確認した限り、すべての記事で、嘘誤り偏向がありました。
 最近ではこのようなことをしています。ローラさんが保護犬・保護猫をハッピーにする新プロジェクト「Uni project」スタート♪。この連載で取り上げたことですが、モデルのローラさんは「ロサンゼルスにはペットショップが一つもない(真実は、約280件のペットショップがあります。多くが生体販売を行っており、犬猫も事実上販売されています)」、「ロサンゼルスは殺処分ゼロである(真実は、人口比で日本の14倍近い数の犬猫を殺処分しています」、「ロサンゼルスでは保護犬猫を引き取るのが当たり前(真実は犬猫の入手に占める割合は1割程度で、例えば東京都の犬とそれほど変わりません)」とメディアに大嘘発言をしています。それをぺトことも取り上げて記事にしています。そのうえで、ローラさんのインスタグラムで、自社の保護犬猫のプロモーションを行っています。

 企業のマーケティングにおいては、世論を嘘情報で欺き、自社の利益に導くのは、それが即法律に違反するわけではありません。しかし実に卑しいマーケティングの手法であるのは間違いないです。それと「困ったときの芸能人頼み(笑い)」。それほどまでなりふり構わず、利益を追求したいのでしょうか。世論を見下しているのでしょうか。
 代表者は、このような呆れた発言も行っています。「イギリスでは法律でペットショップを禁止しているのでペットショップはありません」。真実は、イギリスではだれでも要件を満たして手数料を支払えば、生体販売ペットショップを営業できます。犬猫の展示販売も、法律で認められています。また、生体販売ペットショップの数はイギリスでは約3,000あり、人口比で日本の1.6倍あります。
 私は、保護犬猫を多くの人が選択するのは否定しません。むしろ肯定します。しかしこのようなあまりにも下劣なマーケティングを行う企業が「保護犬猫ビジネス」では多いのです。むしろ、彼らは保護犬猫事業の信頼性を貶めているのに気が付かないのでしょうか。愚かです。


(動画)

 ローラ、保護犬・保護猫の里親探し支援 活動に称賛の声広がる 2018/06/09 に公開
 この動画は、滝川クリステル氏が開催したイベントで、ローラ氏の発言を取り上げたものです。「アメリカやヨーロッパに行くとペットショップがなくて、みんな保護して引き取るの」。「アメリカやヨーロッパではペットショップがない」とは大きく出ましたなあ(笑い)。ヨーロッパでは、おそらく法律でペットショップを禁じている国は皆無です。イギリスは人口比で日本の約1.6倍の生体販売ペットショップがあります。ドイツも、約1.3倍あります。人口約370万人のロサンゼルスには約280のペットショップがあり、多くが生体販売を行っています。犬猫も売っています。
 ロサンゼルスの保護犬猫入手割合は1割程度で、東京都の保護犬入手割合とさほど変わりません。ドイツのティアハイムの犬の販売(譲渡)シェアも1割なく、東京都と変わりません。イギリスはむしろ日本より低い可能性があります。スイスは日本よりはるかに保護犬販売(譲渡)シェアが低いのです。
 ローラさんはソーシャルメディアに、ぺトことの事業、omusubi(保護犬猫譲渡事業)の保護犬猫を掲載し、協力するとしています。「アメリカやヨーロッパではペットショップがない」とは、まさに狂気です。まさになりふり構わず。




(画像)

 ペトことの、【さとおやライフVol.1】イベントで出逢って一目惚れ。シェルターにいたコーギーと暮らし始めました 2016年6月22日記事の訂正前のスクリーンショット。

シロップ


 真実は、イギリスでは法律で誰でも要件を満たせば、生体販売ペットショップの営業が許可されます。また法律で販売して良い動物種として、筆頭に挙げられているのが「犬」と「猫」です。イギリスにおける、ペットショップの許認可に関する法律は、Pet Animals Act 1951 です。本法から、ペットショップの許認可と、取り扱いが許可される動物種に関する条文を引用します。
 

Every local authority may, on application being made to them for that purpose by a person who is not for the time being disqualified from keeping a pet shop, and on payment of such fee . . . F1 as may be determined by the local authority, grant a licence to that person to keep a pet shop at such premises in their area as may be specified in the application and subject to compliance with such conditions as may be specified in the licence.
If any person carries on a business of selling animals as pets in any part of a [F2 street][F2 road] or public place, [F3 or] at a stall or barrow in a market, he shall be guilty of an offence.
Categories of Animals Which a Pet Shop May Be Licensed to Keep
Dogs and cats (puppies and kittens).

各地方自治体当局は、その時点で欠格事項に該当しない者から営業のための申請を受け、且つその地方自治体当局の所定の料金支払のあった時、その申請に特記された地域の事業所において、 且つ許認可要件に特記された条件を順守する限りにおいて、その者にペットショップ営業許可を授与できる。
何人も、ペット販売を道路、公共地、または市中の仮設店舗(屋台、露天)もしくは移動店舗(手押し車)において業として続ければ、これを有罪としなければならない。
ペットショップが扱うことが許可される動物のカテゴリー。
犬と猫(仔犬と仔猫)。


 呆れることですが、大久保氏が「イギリスに留学していた」当時は、ロンドンを訪れた日本人は必ず行くという、老舗デパート、ハロッズ(Harrods)の4階には、超有名な、イギリス人では知らない人がいないとも言えるペットショップ、ペットキングダム(pet kingdom)がありました。2014年には閉鎖されましたが、あくまでも経営上の理由です。大久保氏がイギリスに留学していたちょうどその頃は、このペットショップの存続に関するニュースが大きく報道されていました。
 それをご存知ないとは不思議な方です。以下の画像は、ハロッズデパートのペットショップ、「ペットキングダム」の様子です(Harrods Pet Kingdom)。主力商品は犬と猫でした。


(画像)

 ロンドンの老舗デパート、ハロッズの4階にあったペットショップ、ペットキングダムでの子犬の生体展示販売。Harrods Pet Kingdom から。

ペットキングダム


 さらに、イギリス、ロンドンでの日本語ガイドでは、多くの生体販売ペットショップがヒットします(ペットショップ ロンドン近郊)。犬猫ももちろん売っています。子犬の安売りに特化した、巨大店舗のチェーン店もあります。ロンドン近郊は、イギリス国内でも生体販売ペットショップが集積しており、多い地域です。なお、イギリス全土では生体販売ペットショップは約3,000軒あり、その数は人口比で日本の1.6倍です(こちらに出典をリンクしています 日本よりペットショップがはるかに多いイギリス(人口比で1.6倍)~株式会社シロップの狂気「イギリスには全くと言っていいほどペットショップがない」)
 代表者がこのような狂気発言をしているのです。荒唐無稽な大嘘で、世間を欺くことができ、それが自分の事業に有利になるとでも代表者は思っているのでしょうか。しかしこのような末端メディアの噴飯情報を信じる「愛誤」が相当数いるのが、日本の動物愛護の最大の後進性です。

危険な犬の殺害が義務付けられ、年間1,500頭以上犬を殺処分しているイギリスの警察~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」






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(Summary)
This is how many dogs police destroyed last year Under the Dangerous Dogs Act police can destroy any dog deemed to be dangerous 


 記事、
懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
「ロサンゼルス市には生体販売ペットショップがない」という、懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
ペットショップ規制で犬のインターネット販売が激増したロサンゼルス市~狂気の動物愛誤家たち
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は、成功かそれとも偽善か?~アメリカのメディアの記事から
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~無くならない禁止動物のペットショップ販売
ペットショップでのペット盗難が続発しているロサンゼルス
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~激減した保護動物譲渡数
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~規制後は、犬のインターネット販売が激増
「ロサンゼルスには殺処分がほぼない」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの犬猫殺処分数は人口比で日本の約~14倍
「ロサンゼルスでは保護動物を引き取ることが当たり前」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの保護犬猫入手割合は約1割
懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘
ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は日本より高い~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
ドイツのティアハイムの犬の殺処分数は人口比で日本の約3倍~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
イギリスの犬の殺処分数は人口比で日本の5倍以上~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
の続きです。
 既に何度か取り上げた「ペトこと」というサイトがあります。このサイトは嘘、誤り、偏向があまりにも多く、特に海外情報では私が確認した限り、すべてがそうです。「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という内容の記事があります。しかしカナダのケベック州では人口比で日本の200倍以上、オセアニアやフランス、アメリカ合衆国は十数倍から数十倍です。日本で「ほぼ殺処分ゼロ」と喧伝されているイギリスの犬の殺処分数は、人口比で日本の5倍以上です。さらにそれとは別に、警察が強制的に危険犬種などを押収して殺処分する数も、1,500頭程度あると思われます。



  問題の記事はこちらです。滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ 山本恵太 2018年6月7日 から引用します。


ローラ:ロサンゼルスには(生体販売をしている)ペットショップが無くて、引き取ることが当たり前で殺処分もほとんどないし、そういう現実を知って、もっと日本もそうなっていくべきなんじゃないかなって。
滝川:先進国の中でも日本は殺処分が多いんですよね。



 私は、ドイツにおける犬などに対する警察官の発砲(射殺)に関する記事をいくつか書いています。ドイツ連邦警察の統計によれば、2015年の犬などの動物および財物に対するに対する射撃は11,902件ありました。これは、犬以外の動物や暴走する自動車に対する射撃も含みます。例えば、高速道路を徘徊している野生動物や、まれに猫を射殺したケースも報道されています。しかしかなりの割合を犬が占めると推測できます。
 イギリスは法律により、「警察などは危険な犬(法律で定めた禁止犬種や咬傷犬など)は殺害しなければならない」と定められています。ロンドンなどの一部の自治体では、「警察が犬を殺処分した数」の統計を公表しています。ロンドンの統計からイギリス全土の警察による犬の殺処分数は、年間1,500頭以上と推測できます。
 まず、イギリスにおける、警察による犬の殺害についてのマスメディアの記事を引用します。This is how many dogs police destroyed last year Under the Dangerous Dogs Act police can destroy any dog deemed to be dangerous  「これは警察に殺害された昨年の犬の数です 『危険な犬に関する法律』の下では、警察は危険であるとみなされる犬を殺害することができます」 2018年5月30日


Avon and Somerset Police destroyed 13 dogs in 2017.
In the same year 31 dangerous dogs were seized by the force, a Freedom of Information request found.
Under the Dangerous Dogs Act 1991, vets, councils or police officers have the power to euthanise dogs they deem to be acting out of control.
If a dog poses an immediate threat to the safety of the public, the police or other responsible person (e.g. vet/local authority) can order the dog be lawfully destroyed.
But the 13 dogs destroyed in the region last year is dwarfed by other forces, such as the London's Metropolitan Police Service, which between April 2016 and March 2017 seized 1,031 dogs - destroying 232 of them.
Under the Dangerous Dogs Act 1991, as amended by the Anti-Social Behaviour, Crime and Policing Act 2014, police can destroy any dog deemed to be dangerous.
Four different breeds are also banned in the UK: the pit bull terrier, Japanese tosa, dogo Argentino and fila Braziliero.
Any dog suspected of being one of the four breeds can be seized by police and locked up while they are assessed.
The unlucky ones, those deemed to be dangerous, can end up being destroyed.

エイボンとサマセットの警察署は、2017年に13頭の犬を殺害しました。
同じ年に同様に31頭の危険な犬が押収されましたが、それは情報の開示請求により見出されました。
「危険な犬に関する法律 1991年(the Dangerous Dogs Act 1991)」に基づき、獣医師、地方自治体、警察官は、彼らが制御不能と考える犬を安楽死させる権限を持っています。
犬が公衆の安全に直接の脅威を与える場合は、警察官、または他の責任者(例えば、獣医師/地方自治体)は、犬を殺害するように命じることが合法です。
しかし昨年、この地域で殺害された13頭の犬の数は、2016年4月から2017年3月までに、1,031頭の犬を押収してそれらのうち232頭を殺害したロンドン警察署などの他の地域の警察署に比べれば少数です。
「危険な犬に関する法律 1991年(the Dangerous Dogs Act 1991)」の下で反社会的行動に関する改正があり、「犯罪および警察に関する法律 2014年(Crime and Policing Act 2014)」により、警察は危険であるとみなされる犬を殺害することができます。
イギリスでは、ピットブルテリア、日本の土佐犬、ドゴ・アルゼンチーノ、フィラ・ブラジレイロなどの、4種類の犬種も禁止されています。
4品種のうちの1品種に該当する疑いのある犬は、警察によって押収され、査定されている間は拘束されます。
危険なものと思われる不運な犬は、最終的に殺処分される可能性があります。



 上記の引用した記事にある通、警察に、危険な犬の殺処分の義務をさだめている法律はこちらです。
Dangerous Dogs Act 1991 「危険な犬に関する法律 1991」。
 前回記事で取り上げた、イギリスに自治体が野良犬や迷い犬を収容して殺処分したり、飼い主返還、保護団体へ移譲する根拠法はこちらです。
Dogs Act 1906
Environmental Protection Act 1990

 根拠法が異なりますので、前回記事で取り上げた、イギリスの自治体による犬の殺処分には、今回取り上げた警察による犬の殺処分数は当然含まれないと考えられます。つまり、イギリスにおける犬の殺処分数は、警察による殺処分数を含めれば、「自治体による殺処分 7000頭+保護団体による殺処分2万頭=2万7,000頭より多いということになります。
 さらに、イギリスでは、年間~1万頭の廃レースドッグ(犬を競争させる賭博の競争犬)が、民間で殺処分されていると推計されています。これらの犬の殺処分数を合計すれば、犬の殺処分の実数ではイギリスは、日本の7倍以上
になります。次回記事では、その点についても述べようと思います。


(動画)

 Dangerous Dogs - Episode 1 2 「危険な犬」 エピソード1 2 2015/10/29 に公開 Barcroft TV
イギリスの「危険な犬に関する法律」により、警察に押収され、強制的に多くの犬が殺処分されているイギリスの状況を詳細に取材した、秀逸なTVドキュメンタリー。



オレゴン州高等裁判所は、吠え声が迷惑な犬の声帯切除手術を飼い主に命じた






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(Summary)
Oregon court: Couple must ‘debark’ dogs — cut their vocal cords — after neighbors complain


 アメリカや西ヨーロッパでは私権が尊重されます。ですからアメリカの多くの州では、「私有地に侵入する徘徊犬猫など(飼い主がいるとわかっていても)から財産被害防止のために殺害すること」が合法です。ドイツにおいても、「私有地の財産被害を防止するたの、侵入猫を殺傷する対策は土地所有者の権利である」との司法判断が確立しています(後ほど記事にします)。吠え声がうるさい犬の飼い主に対して、犬の生体切除を命じるオレゴン州の民事裁判の判決もあります。


 サマリーで示した、オレゴン州高等裁判所(2審判決)の、「犬の飼い主に対して、飼い犬の声帯切除を命じる判決」を報じるニュースソースを引用します。
 Oregon court: Couple must ‘debark’ dogs — cut their vocal cords — after neighbors complain 「オレゴン州の高等裁判所:夫婦は飼い犬の「吠え声防止手術」をしなければなりませんー 声帯を切除するということです - 隣人が裁判を提起した結果」 2017年8月31日


An Oregon appeals court agreed Wednesday that a couple must surgically lacerate their dogs’ vocal cords in a procedure known as “debarking” or “devocalization,” following a lawsuit brought by neighbors annoyed by the pets’ “incessant barking.”
The ruling upheld a lower court order.
The case began in 2002, when Karen Szewc and John Updegraff began breeding Tibetan Mastiffs, large fluffy dogs often employed to protect sheep from predators, at their home in Rogue River, Ore., about 150 miles south of Eugene.
The married couple’s neighbors, Debra and Dale Krein, quickly grew tired of the dogs’ barking.
The Kreins claimed the dogs often began barking at 5 a.m., sometimes waking the couple.
They recorded the barking to prove it.
since they hadn’t stopped them from barking using other means such as shock collars.
Debarking is a surgical procedure in which parts of a dog’s vocal folds or cords are cut out in an effort to lower the volume of its barks or, more severely, to eliminate the dog’s ability to bark altogether, according to the American Veterinary Medical Foundation.
The procedure is partially prohibited in six states, according to the AVMF.
Wednesday’s ruling left some animal rights activists reeling.

オレゴン州の高等裁判所(二審)は、ペットの犬の「絶え間ない吠え声」に悩まされた隣人が提起した訴訟を受けて、犬の飼い主の夫婦に対しては犬の声帯を外科的に「吠え声防止手術」を行うこと、または「声帯の切除」と呼ばれる外科手術で切除しなければならいと認めました。
同判決は、一審の裁判所の命令を支持しました。
この事件は、カレン・セルジュ氏とジョン・アップデグラフ氏の夫婦が、ユージーンから約150マイル南にあるオレゴン州ローグ・リバーの自宅で、肉食獣から羊を守るためによく使われるチベタン・マスチフ(註 犬種名)という、大型犬を飼育し始めた2002年が発端です。
隣の夫婦の、デブラさんとデイル・クレイン氏は、すぐに犬の吠え声に疲れ果ててしまいました。
原告のクレイン氏によれば、被告らが住居から離れている間、「犬は制御不能に長い間吠えていました」と、裁判所の文書に記載されています。
原告のクレイン氏は、犬はしばしば午前5時に吠え始め、しばしば夫婦を目覚めさせると主張しました。
原告夫婦は、それを証明するために、犬の吠え声を録音しました。
2015年4月には、陪審員裁判において陪審員は原告のクレイン氏側に立ち、被告のセルジュ氏とアップデグラフ氏に、238,000ドル(約2,640万円。1ドル=111円 \(◎o◎)/!)の損害賠償を命じました。
被告らは、ショックカラーなどの、ほかの手段を用いて犬が吠えるのを止めなかったからです。
デバーキングとは、アメリカ獣医医療財団によると、犬の声帯や器官の一部を切り取って吠え声の量を減らしたり、より厳格には犬の吠え声を完全に取り除いたりする手術です。
この手術は、アメリカ獣医医療財団によると、6州で限定的ながら禁止されています。
この水曜日の判決は、一部の動物権利活動家の暴動をもたらしました。


(動画)

 Animals: Oregon Court orders dog owners to debark their dogs - TomoNews 「オレゴン裁判所、犬の飼い主に犬の「吠え声防止手術を命じる - トモニュース」 2017年9月1日
 上記の判決を伝える、ビデオニュース。




(参考資料)

【動物虐待】衝撃の事件簿「実例」から見る動物愛護後進国・日本の姿。 #ペット #社会問題  2018年4月8日

 「声帯切除手術を行っている日本は動物愛護後進主張しているサイト。ほかの記述でも噴飯ものですが、こういうサイトに限ってコメント投稿を受け付けていません。

イギリスの犬の殺処分数は人口比で日本の5倍以上~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」







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(Summary)
Sun Investigation: We expose charities killing 1000s of healthy dogs for ‘growling too much’


 記事、
懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
「ロサンゼルス市には生体販売ペットショップがない」という、懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち
ペットショップ規制で犬のインターネット販売が激増したロサンゼルス市~狂気の動物愛誤家たち
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は、成功かそれとも偽善か?~アメリカのメディアの記事から
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~無くならない禁止動物のペットショップ販売
ペットショップでのペット盗難が続発しているロサンゼルス
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~激減した保護動物譲渡数
ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~規制後は、犬のインターネット販売が激増
「ロサンゼルスには殺処分がほぼない」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの犬猫殺処分数は人口比で日本の約~14倍
「ロサンゼルスでは保護動物を引き取ることが当たり前」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの保護犬猫入手割合は約1割
懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘
ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は日本より高い~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
ドイツのティアハイムの犬の殺処分数は人口比で日本の約3倍~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」
の続きです。
 既に何度か取り上げた「ペトこと」というサイトがあります。このサイトは嘘、誤り、偏向があまりにも多く、特に海外情報では私が確認した限り、すべてがそうです。「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という内容の記事があります。しかしカナダのケベック州では人口比で日本の200倍以上、オセアニアやフランス、アメリカ合衆国は十数倍から数十倍です。日本で「ほぼ殺処分ゼロ」と喧伝されているイギリスの犬の殺処分数は、人口比で日本の5倍以上です。



 問題の記事はこちらです。滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ 山本恵太 2018年6月7日 から引用します。


ローラ:ロサンゼルスには(生体販売をしている)ペットショップが無くて、引き取ることが当たり前で殺処分もほとんどないし、そういう現実を知って、もっと日本もそうなっていくべきなんじゃないかなって。
滝川:先進国の中でも日本は殺処分が多いんですよね。



 私はかつてイギリスの犬の公的殺処分制度について、何度か記事にしました。イギリスでは、自治体が「野良犬」と「迷い犬」を収容します。猫では行いません。なお、一般の飼い主からの引き取りは行っていません。1週間の法定の収容期間の間に、重度の傷病や、攻撃性などの問題行動がある犬に限り殺処分されます。
 概ね、イギリスにおける犬の公的殺処分数は、7,000頭台で推移しています。しかし動物愛護団体は、実数はこれよりも多いとしています。自治体が収容した犬は、一般譲渡はほとんど行われていません。1週間の間に飼い主へ返還されなかった犬は、民間の動物保護委施設に移譲されます。その点について報じるニュースソースを引用します。As number of stray or abandoned dogs in UK reaches 110,000 charity reveals that 21 are put down every day 「イギリスの慈善団体によりイギリスの野良犬または捨てられた犬の数が年間11万頭に達し、毎日21頭が殺処分されていることが明らかになりました」。2014年9月7日


Annual survey by the Dog's Trust reveals heartbreaking statistics in 2013.
More than 7,000 unwanted dogs were destroyed by councils across country.
Charity says people in survey greatly underestimated number of UK strays .
At any one time there are more than 110,000 stray or abandoned dogs in the UK, with 21 dogs a day being put down by local authorities, research has shown.

ドッグ・トラスト(Dog's Trust)の年次調査では、2013年の悲惨な統計が明らかになりました。
7,000頭以上の不要な犬が、イギリス全土の自治体によって(公的)殺処分されました。
慈善団体は、調査に参加した人達が、イギリスの悲惨さを過小評価している(殺処分の実数はさらに多い)と話しています。
イギリスには11万頭以上の迷惑犬(浮遊犬)や捨てられた犬がいますし、1日に21頭の犬が地元当局に殺処分されています。


 一方、イギリスの民間の動物保護団体による、年間の犬の殺処分数は、約2万頭とされています。民間動物保護団体は、公的施設から収容期限が過ぎた犬の引き受けもしますが、一般から有料で犬猫の引き取りを行っています。民間の動物保護施設も、犬猫の殺処分を行っています。営業上の理由から、民間動物保護団体は、実数より殺処分数を低めに公表していると推測されます。
 しかし近年、相次いでイギリスの名門動物保護団体が大手メディアの追及により、殺処分数の公表に組み切りました。大手メディアは、イギリスの民間の動物保護団体による犬の殺処分数は、おおむね年間2万頭と推計しました(2016年)。つまり、イギリスにおける犬の殺処分数は、公的殺処分と民間殺処分数を合わせれば2万7,000頭以上になります。この数値は、人口比で日本の犬の殺処分数の5倍以上です。
 Sun Investigation: We expose charities killing 1000s of healthy dogs for ‘growling too much’ 「サン(イギリスの最大手メディア)の調査:私たちは1000頭単位で健康な犬を殺処分する非営利団体が『あまりにも増えているので』公開することにしました」 2016年1月9日 から引用します。


Around 20,000 mutts are destroyed each year
THE Sun today exposes the horrifying scale of healthy dogs being put down by animal charities.
Around 20,000 mutts are destroyed each year, estimates the Dog Rescue Federation.
Thousands have ended up at Battersea Dogs Home, Blue Cross and the RSPCA.
The charities are handed them direct, or via contracts with local authority pounds.
Councils pay around 70p per dog per day, plus any emergency treatment, for the first seven days they are with a charity or commercial kennel.
Then the financial support stops.
As it can take up to a year to rehome a dog many are destroyed to cut costs.
This week a whistleblower revealed hundreds die at Battersea Dogs Centre, and described a “bias towards putting the dogs to sleep”.
In the year to last November, the charity’s three centres destroyed 1,309 dogs — nearly a third taken in.
Battersea chief executive Claire Horton admitted this week: “About 1,200 of the 5,000 dogs that came in we had to put to sleep.

毎年、約2万頭の犬が殺されています。
サン紙は、今日、動物慈善団体による、健康な犬の恐ろしいほどの大規模な殺処分を暴露しました。
毎年、約2万頭の犬が殺害されていると、ドッグ・レスキュー・ファウンデーション(動物保護団体)が推定しています。
バタシー・ドッグズ・ホーム、ブルー・クロス、RSPCAで数千頭が殺されました。
慈善団体(犬保護団体)は、直接手渡されるか、または契約を介して地方自治体から資金が支給されます。
地方自治体は、1日あたり約70ペンスの犬飼育費と、任意の緊急の治療費を最初の7日間に非営利の犬保護施設か、営利の犬預り所に支払います。
その後は、経済支援は打ち切られます。
犬に再び飼い主を見つけるのに、1年かかることがあるので、コスト削減のために多くの犬が殺されます。
今週の告発者は、バタシー・ドッグズ・センターで、何百頭もの犬の殺処分があったことを明らかにしたうえで、「犬を安楽死させる圧力」について説明しました。
昨年11月までの3年間で、非営利団体の3つのセンターは、1,309頭の犬を殺処分しました。
バタシー社の最高経営責任者(クレイリー・ホールトン氏)は今週、次のように認めました。
「来当施設が収容した5,000頭の犬のうち、約1,200頭(24%)を安楽死しなければなりませんでした」。



(画像)

 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(動物愛護管理行政事務提要より作成) 平成28年度

 日本の平成28年度の犬の殺処分数は、10,424頭です。イギリスの人口は日本の約半数ですので、公的殺処分 7,000頭+民間の動物保護施設 2万頭=2万7,000頭を殺処分しているイギリスは、人口比で5倍以上の犬を殺処分していることになります。

環境省


 なお、イギリスが迷い犬や野良犬を自治体が収容し、飼い主返還や殺処分を行う根拠法はこちらです。
Dogs Act 1906
Environmental Protection Act 1990


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続・「ティアハイムでは殺処分が禁じられている」は大嘘~「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は欠陥資料





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(Zusammenfassung)
・(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.
VII. Einschläfern von Tieren


 記事、「「ティアハイムでは殺処分が禁じられている」は大嘘~「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は欠陥資料、の続きです。
 ドイツでは殺処分ゼロ」と主張している人たちが根拠としているのは、「ドイツには民間のティアハイム(Tierheim)という動物保護施設があり、そこでは殺処分が(禁止されているために)行われず、譲渡されない収容動物でも終生飼育されるからである」があります。しかしティアハイムが収容した動物の殺処分を禁じる法令はありません。さらに、ティアハイムの上部団体である民間団体の、ドイツ動物保護協会がティアハイムの運営指針(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. の、収容動物の安楽死(殺処分)に関する指針ではむしろ、「いくつかのケースでは安楽死は行わなければならない」としています。そのケースとしては、「1、傷病動物」とともに、「2、問題行動がある動物」、「3、危険回避のために緊急性を要する場合」は、安楽死(殺処分)は不可避(しなければならない)とあります。


 
 前回記事では、国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 (2014年)の中の、ティアハイムの安楽死(殺処分)に関する誤解を招く記述があり、さらにそれが歪曲して日本で拡散されていることを述べました。
 本資料は、ドイツ動物保護連盟(協会)の、ティアハイム指針の安楽死に関して記述していますが、著しく「ティアハイムは傷病動物しか殺処分が行われていない」と誤解させる欠陥資料です。そのほかにも本資料は、ドイツの殺処分について、ドイツは州や連邦政府が行う犬猫などの公的殺処分制度があり、相当数行われているにもかかわらず、そのことには一言も触れていません(「ドイツには公的殺処分がない」とも一言も書かれていませんが)。そのために「ドイツでは犬猫の狩猟駆除があるが公的殺処分はない」という誤った情報が日本で定着しています。国が出す文書としては、きわめて問題があると言わざるを得ません。


 読者様から、某大学の、猫サークル(猫のTNR活動などを行う)の、2017年 の報告書 (一般へは非公開)写しのご提供をいただきました。その資料は、「ドイツでは犬猫の狩猟駆除があるが公的殺処分がない」、「ドイツのティアハイムでは治る見込みがない動物しか殺処分を行っていない(と著しく誤認させる)」という、まさに典型的な、衆愚愛誤の嘘プロパガンダの羅列です。当初、この報告書(某大学 猫サークル)はインターネットで一般公開する予定との代表者の話でした。

 非公開資料ですので大学名は伏せてあります。70ページ近くにに及ぶ大きな資料ですが、ドイツに関する記述(引用した出典そのものにあやまりがあるケースもあります)にかぎらず、誤りの多さ、ひどさは目に余ります。
 「ドイツでは家畜の食用と殺は麻酔下で行わなければならない」など、メンバーに医学部学生もいるのに絶句します。医学残留物があれば、食肉として流通できないのは先進国では共通しています。ドイツ以外の記述でも、「イギリスではペットショップでは犬の現物を売っておらず、ブリーダーへ繁殖の予約の取次ぎをする(私が調べた限り、そのようなペットショップは確認できませんでした。ソースを挙げられたい。仮にあったとしても、そのような犬の販売方法は例外と思います。なお、イギリスでの犬の入手は、3分の1が非対面のインターネットなどによる通信販売です)」、「アメリカでは民間の動物愛護団体が逮捕などの司法権限が与えられている(ニューヨーク州のみ2014年までASPCAに限り限定的に司法権限が与えられていましたが、現在は廃止されています。現在、アメリカでは全州で民間の動物愛護団体で司法権限を付与されている団体はありません)」などと、誤りの羅列です。そのほかにも決定的な誤りが多数あります。

 この資料のごく一部の引用を下記に示しましたが、「行政が引き取った犬を殺処分することはない(などとは、「国会図書館 諸外国をめぐる犬猫殺処分をめぐる状況」には一切このような記述はありませんが)」、などという誤りがあります。この記述は、国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況、を出典として挙げています。事実誤認の拡散という点では、「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は、きわめて有害な資料であることが分かります。
 また、大学生の、自ら原典を調べない姿勢と学力にははなはだ疑問です。「猫サークル」の資料は一般公開をしていませんが、情報拡散力は一般公開される資料には劣るものの、批判にさらされない、誤りを指摘されないという点では、一般公開される資料より考え方によっては問題です。この資料の誤りについては、折々引用します。
 

(画像)

 問題の、某大学の猫サークル 2017年の資料。スクリーンショットを撮りましたが、「公開を認めない」ということですので、記述をそのまま引用しました。

某大学 猫サークル資料 2017年 Annual report

よくティアハイムが犬猫を保護し、飼い主を斡旋しているため、ドイツでは犬猫の殺処分数が0であるという主張が見受けられるが、このように行政が引き取った動物を殺処分することはない(*1)が、法令で駆除対象と決められている動物は犬猫も駆除(*2)されているということになる。
さらに述べれば、ティアハイムは殺処分はしてはならないとされているが、治る見込みがない病気やけがに苦しむ動物については(*3)動物福祉の観点から殺処分が行われているようである。



(*1)
 ドイツ連邦共和国においては、全州で州法または州規則により「咬傷犬や飼育が禁止されている犬種などを州が押収して強制的に殺処分する権限を定めています。殺処分数も相当数あります。また、狂犬病規則においては、狂犬病の疑いがある犬猫を行政が押収して強制的に殺処分する権限を定めています。通関法においては、検疫不備の犬猫などを通関事務所が押収して殺処分する権限(日本にはない)を定めています。

(*2)
 ドイツ連邦狩猟法(Bundesjagdgesetzにおける、ハンターの狩猟鳥獣保護の責務(狩猟鳥獣を捕食する有害獣の狩猟)についての記述と思われますが、「1年を通じて狩猟を推奨する」という、本条文が適用されるのは犬猫のみです(§ 23 Inhalt des Jagdschutzes Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.)。

(*3)
 ドイツ動物保護連盟(協会)がティアハイム運営指針として「安楽死(殺処分)しなければならないケース」として挙げているのは、「傷病動物」、「問題行動」、「問題行動により差し迫った危険性がある場合」の3つです。


(動画)

 Eine Tierärztin erklärt, wie „Chico“ sein Frauchen und deren Sohn totbeißen konnte 「獣医師は、咬傷犬『チコ』が、飼い主の女性とその息子をどのように咬むことが可能かを説明します」 2018/04/06 に公開

Nach der tödlichen Attacke auf seine Besitzerin Lezime K. (†52) und deren kleinwüchsigen Sohn Liridon K. (†27) in Hannover wurde der Staffordshire Terrier Chico ins Tierheim gebracht.
Chico wird zeitnah eingeschläfert.
Das gab Udo Möller, Sprecher des Landeshauptstadt Hannover, am Freitagnachmittag bekannt.

飼い主の、リツッイマ・K.(52歳)さんと、短命におわった息子リリドン・K.(27歳)さんを、ハノーバーで攻撃して死に至らしめた、スタッフォードシャー・テリア種の犬チコは、ティアハイムに収容されました。
チコはすぐに安楽死(ヘッセン州による強制殺処分)させられます(すでに執行済み)。
これは金曜日の午後に、州都ハノーファー市の、広報官ウド・メラー氏が発表したものです。




(参考資料)

 ドイツ、ヘッセン州の州が行う犬の押収(強制引き取り)と殺処分についての法令を引用します。ヘッセン州に限らず、ドイツではすべての州で咬傷犬や、法律で飼育を禁じている犬の押収と強制殺処分を定めています。その数は相当数あり、人口比では日本の自治体の数倍を殺処分している州もあります。
 なお、州が押収した犬はティアハイムに収容を委託し、州が殺処分のために獣医師をティアハイムに派遣します。その数は、ティアハイム内の殺処分数に集計されます。行政委託と契約を結んでいるティアハイムは、法律により、犬の殺処分などの処分の内訳を公表する義務があります。それはいくらでもインターネット上で見つかります。

Hundeverordnung Hessen

§ 11 Sicherstellung und Tötung von Hunden
(2) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines gefährlichen Hundes anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, daß von dem Hund eine Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht.
Die Tötung ist an zuordnen, wenn der Hund einen Menschen getötet oder ernstlich verletzt hat.

11条 犬の押収と殺処分
(2)その犬が人間や動物の生命や健康に脅威をもたらすと信じるに足る理由がある場合は、権限のある(州の)当局は、危険な犬の殺処分を命ずることができます。
犬が人を殺した、もしくは重傷を負わせた場合は、その犬の殺処分を手配(Tötung ist an zuordnen)しなければなりません。

猫18匹を餓死させた男の処罰は900ユーロの罰金のみ~ドイツ、ハンブルク地方裁判所






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(Zusammenfassung)
900 Euro Strafe Thomas M. (35) ließ 18 Katzen verhungern!


 ドイツ、ハンブルク地方裁判所ですが、アパートの一室に18匹の猫を閉じ込めて給餌や給水をせず、殺害した男の判決があります。処罰は、罰金900ユーロ(日本円で11万7,000円。1ユーロ=130円)が科されたのみでした。ドイツの動物虐待犯罪に対する処罰は、日本に比較すれば、必ずしも厳しいとは言えないようです。


 サマリーで示した事件を伝えるニュースソースはこちらです。900 Euro Strafe Thomas M. (35) ließ 18 Katzen verhungern! 「900ユーロの罰金 ト-マス・Mは18匹の猫を餓死させました!」2016年3月1日 から引用します。


Arbeitslos, drogenabhängig, psychisch labil.
In seiner Wohnung überließ er auch 18 Katzen ihrem Schicksal.
Die Tiere starben einen qualvollen Tod.
Wegen Verstoßes gegen das Tierschutzgesetz kam es nun zum Prozess vor dem Amtsgericht Harburg.
Der Vorwurf: 18 Katzen soll er eingesperrt und zurückgelassen haben.
Weder Futter noch Wasser hatten die Tiere.
Qualvoll starben die ersten, andere Katzen fraßen die Kadaver an.
Die Winsener Straße in Harburg: Hier verdursteten die Katzen des Angeklagten.
Im Gerichtssaal werden Fotos der Wohnung gezeigt.
Richter, Staatsanwalt und Zeugen ist der Ekel deutlich anzusehen.
Trotzdem ist der Richter milde gestimmt: 900 Euro Geldstrafe.
Das letzte Wort hat der Angeklagte: „Ich werde in Zukunft keine Haustiere mehr halten. Erst mal will ich mein Leben wieder auf die Reihe kriegen. Die ganze Sache tut mir schrecklich leid.“

失業中、薬物中毒、精神的に不安定。
彼のアパートで、18匹の猫を死の運命に追いやりました。
猫たちは苦しんで死にました。
本事件は、動物保護法違反により、ハンブルク地方裁判所の手続きに移行しました。
起訴事実:被告人は18匹の猫をアパートの部屋に閉じ込めて放置したのは間違いありませんでした。
食べ物も水も、猫たちにはありませんでした。
最初に苦しんで死んだ猫の死体を、他の猫が食べました。
ハンブルクのヴィンズナー通り:ここで被告人の18匹の猫が死にました。
法廷には、被告人のアパートの部屋の写真が示されました。
裁判官、検察官、証人たちは、明らかに嫌悪感を感じました。
それにもかかわらず、裁判官は寛大な判決を言い渡しました:900ユーロの罰金。
被告人は最後に意見を述べました。
「私は将来ペットを飼うことをやめます。 まず最初に、私は私の人生をやりなおしたいです。今回の件は、 私は大変申し訳なく思っています」。



 この事件は、猫を明らかに完全に給餌給水を絶って閉じ込めて餓死させたのですから、緩慢なネグレクトではなく、故意の殺害といってもいいかもしれません。この事件を「ネグレクト」と解釈しても、ドイツは必ずしも動物虐待に対する処罰は日本に比べて厳しいとは言えないかもしれません。動物飼育禁止命令が出されなかったことも意外です。
 例えば、日本ではネグレクトで動物愛護管理法により処罰された判決は、次のようなものがあります。元ブリーダー夫婦による犬の虐待事件、有罪に 2005年11月2日 この事件でも、被告人らの夫婦は、十数匹の犬を死なせています。


滋賀県近江八幡市の元ブリーダー夫婦による犬の虐待事件に関し、平成17年9月5日に大津簡易裁判所より処分が言い渡されました
被疑者夫婦に対し合計40万円の罰金という略式命令が出ました。
動物の愛護及び管理に関する法律違反で20万円の罰金、狂犬病予防法違反で20万円の罰金です。



(動画)

Schock-Video: Tierquäler wirft Hund aus 4 stock 2015年公開のビデオニュース

 ドイツで、犬の飼い主が、マンション自室から飼い犬のジャーマンシェパード犬を投げ落として殺害した事件です。この事件は私はかつて記事で取り上げました。犯人の処罰は1,000ユーロ(約13万円)の罰金のみでした。

4階 犬を投げ落とす


(画像)

 今回取り上げたドイツの猫虐待事件のニュースは、複数の猫の殺害に関する判決を検索して入手しました(töten Katzen Gerichtsurteil)。しかし野良猫(無主物)の殺害で処罰されたとの情報は、一つも見つかりませんでした。
 1年ほど前に、「野良猫(無主物)の殺害はドイツでは懲役10年以上になる」と拡散していた方がいましたが、いまだに懲役10年どころか、実刑判決すら見つかっていません。もちろんドイツ連邦法務省の判例データベースでも見つかっていません。公開質問は今でも継続中です。ぜひ、こちらのサイトにコメントされたい。

猫伯爵










動物(ポッサム)の死体をもてあそぶニュージーランドの小学生






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(Summary)
Hello possums! New Zealand schoolchildren encouraged to dress up DEAD animals in bizarre competition
New Zealand school under fire over possum-throwing contest


 私は、ニュージーランドで、外来生物の駆除を犬猫も含めて苛烈に行っていることをしばしばこちらで取り上げてきました。駆除対象の外来生物の一つに、オーストラリア原産のポッサム(有袋類。毛皮生産を目的として、人為的にニュージーランドに持ち込まれました)があります。ニュージーランドではポッサムの死体を利用して、小学校が「ドレスアップコンテスト」や、「死体投げ飛ばし大会」を開催していました。


 「ニュージーランドの小学校では、小学生がポッサムの死体をもてあそんでいる」という情報を読者様から頂きました。そのコメントはこちらです。安井美沙子元参議院議員の「日本の犬猫の殺処分数は諸外国と比較して格段に多い」との狂気発言~ニュージーランドでは野猫・野良猫は害獣として積極的に駆除されている 2016年12月24日 なお、ポッサムについてはこちら(ポッサム)。


BB様
ニュージーランド人が勝手に連れてきて、増えすぎたポッサムもこの対象になって、簡単に殺されています。
道で見かけたら車でひくのが当たり前、ユータンしてまでそうする。
ニュージーランド小学校、「ポッサムの死がい」でファッションショー。
ポッサムは、原産地のオーストラリアでは保護されているものの、ニュージーランドでは害獣として扱われている。
ニュージーランドに19世紀に毛皮事業のために持ち込まれて以降増え続けたポッサムは、現在では約7000万匹が生息している。
2010年にも北島の別の小学校がポッサムの死がいを投げて距離を競う「ポッサム飛ばし大会」を実施し、非難された。
たくさんある在住者のニュージーランド宣伝ブログは、こういう問題をあまり書かないのでどうかと思います。


 上記の情報ですが、英文のニュースでは多数ヒットします。まず「ニュージーランドの小学校、『ポッサムの死がい』でファッションショー」を伝えるニュースソースから。
 Hello possums! New Zealand schoolchildren encouraged to dress up DEAD animals in bizarre competition 「こんにちはポッサム! ニュージーランドの小学生は死んだ動物をドレスアップするという奇妙な競争をさせられました」 2012年8月2日 から引用します。


Animal groups left horrified by the best-dressed dead possum contest
School brushes off criticism, claiming it was 'a lot of fun' which raised money for charity
Dressed in wedding gowns and bikinis - their eyes fixed, jaws stiffened and bodies frozen in time.
However, these furry corpses formed part of a display at a school in New Zealand which held a bizarre best-dressed dead possum competition as part of a fundraising day.
Children let their imaginations run wild when they dressed the dead animals in all their finery for the contest at Uruti School on New Zealand's North Island.

動物愛護団体は、ポッサムの死体でのドレスアップコンテストで、ぞっとしています。
小学校は、それはチャリティーの募金集めであり、とても楽しいことだと主張し、批判をかわしました。
ポッサムはウェディングドレスやビキニを着せられて - 目が付けられて、あごはかたまって、体は硬直していました。
ニュージーランドの小学校では、募金集めの日の一環として、奇妙なポッサムのドレスアップコンテストが開催されたもので、体毛の多いポッサムの死体が一部展示されていました。
子供たちは、ニュージーランドの北島のウルティ小学校でのコンテストのための、動物の死体をドレスアップするためのすべての細工で、野蛮な想像力を駆り立てました。


(画像)

 Hello possums! New Zealand schoolchildren encouraged to dress up DEAD animals in bizarre competition 「こんにちはポッサム! ニュージーランドの小学生は、死んだ動物をドレスアップするという奇妙な競争をさせられました」 2012年8月2日 から。

ポッサム


 次は、「ポッサム投げ飛ばし大会」に関する記事です。ポッサムの死体を投げて、その距離を競うというものです。反対する理由が、「それを容認すれば、子供たちは猫などのペットでも同じことをするようになるかもしれない」というのは、ポッサムだけならばしてもよいとも解釈でき、釈然としませんが。
 New Zealand school under fire over possum-throwing contest 「ニュージーランドの小学校がポッサム投げ飛ばしコンテストで非難を受けています」 2010年9月22日


The contest, in which students swung possum carcasses over their heads and hurled them across the playground, was unacceptable, the New Zealand Royal Society for the Protection of Animals said.
“While it’s technically not illegal, it’s morally wrong to throw a dead animal around.”
If students were taught that throwing around possums was acceptable, they could do the same to pets such as cats.

生徒たちが頭上でポッサムの死体を振り回し、それを運動場で投げ飛ばす競争は受け入れられません、と、ニュージーランド王立動物保護協会(the New Zealand Royal Society for the Protection of Animals)は言いました。
「法解釈上は違法でははありませんが、死んだ動物を投げ捨てるのは道徳的には間違っています」。
もしポッサムを投げ捨てることが容認されると教えられれば、彼らは猫のようなペットに同じことをするかもしれません。



(動画)

 Outrage At Possum Throwing Contest! 「ポッサム投げコンテストでの怒り!」 2010/09/23 に公開




Possum Toss 7 2009/10/05 に公開




 ニュージーランドの、ポッサムの死体をもちいた「ドレスアップコンテスト」や、「投げ飛ばし大会」は、内外の批判を浴びて、今では行われていないようです。しかし私は、欧米などの白人国家の動物虐待やひどい動物の扱いなどが日本で報道されないのを疑問に思います。例えば、ドイツではローカルニュースも含めれば、毎週のように警察官が犬を射殺したという報道がされています。ドイツ、イギリスなどでは、ひどい猟奇的な動物虐待事件も頻繁に報道されています。しかし日本では報道されません。対して中韓などのアジア諸国の同様の事件は、ことさら誇張して報道しています。
 ニュージーランドでも「素晴らしい動物愛護先進国。日本は遅れている」と、在住者が必至に拡散しています。その理由が私にはわかりません。一例ですが、ニュージーランドに関しては、在住経験者がこのようなブログを書いています。ニュージーランドの動物留学の情報まとめ【獣医学の大学情報付き】 2017年12月14日

「ティアハイムでは殺処分が禁じられている」は大嘘~「国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」は欠陥資料






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(Zusammenfassung)
・(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.
VII. Einschläfern von Tieren


 「ドイツでは殺処分ゼロ」と主張している人たちが根拠としているのは、「ドイツには民間のティアハイム(Tierheim)という動物保護施設があり、そこでは殺処分が(禁止されているために)行われず、譲渡されない収容動物でも終生飼育されるからである」があります。しかしティアハイムが収容した動物の殺処分を禁じる法令はありません。ティアハイムの上部団体である民間団体の、ドイツ動物保護連盟(協会)は、ティアハイムの運営指針(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. を出しています。そのなかに、収容動物の安楽死(殺処分)に関する記述があります。ティアハイムにおいては、「1、傷病動物」とともに、「2、問題行動がある動物」、「3、危険回避のために緊急性を要する場合」は、安楽死(殺処分)は不可避(しなければならない)としています。


 ドイツのティアハイムの上部組織であり、統括する、ドイツ、動物保護連盟(協会) Tierschutzbund、は、「ティアハイム運営指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. (1995年)を作成しており、殺処分(安楽死)に関しても述べられています。しかしティアハイムでの殺処分(安楽死)を禁じると解釈できる記述はありません。この文書の原文を示し、対訳した日本語の資料は私は知りません。しかしこの文書は、かなり偏向し、さらに内容が割愛されて日本で紹介されています。
 「ドイツ動物保護連盟(協会とも訳せる) ティアハイム指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V. (1995年)の、安楽死(殺処分)に関する記述がある日本の資料としては、こちらが良く引用されています。国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 (2014年) もちろんこの資料においても、原文の提示はありません。以下に引用します。


ドイツ動物保護連盟は、「ティアハイム」の運営指針において、基本的に殺処分してはならないと定めている。
ただし、治る見込みのない病気やけがで苦しむ動物については、動物福祉の観点からむしろ殺処分が必須であるとしており、こうした犬猫に対する殺処分が行われているようである。
また、同指針は、殺処分の判断は獣医師によってなされ、殺処分の方法は痛みのない安楽死に限るとしている。



 国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ですが、この資料は欠陥があります。伝えるべきことを意図的に割愛することにより、ある事実を読者に「ない」と誤認させている点です。誤った情報を定着させるという点では有害です。
 例えば、ドイツには、全州に咬傷犬や禁止犬種を強制的に州が殺処分する公的殺処分制度があります。ほかにもドイツの公的な犬猫などの殺処分制度としては、狂犬病規則があり、狂犬病に感染した、感染の疑いのある犬猫などを行政組織が強制的に殺処分する規定があります。また通関法では検疫不備の犬猫などを通関事務所が強制的に殺処分する制度(日本にはない)があります。しかし本資料では、それらの事実を記述せず、ドイツの殺処分においては、犬猫の狩猟駆除のみ記述しています。それにより、日本では誤った、「ドイツには犬猫の狩猟駆除があるが公的殺処分はない」という情報が定着しました。これを私は「消極的な嘘」と呼びます。

 同様に、同資料の、ドイツ動物保護協会のティアハイム運営指針~安楽死(殺処分)~に関する記述でも、「ティアハイムにおける安楽死(殺処分)を行うのは傷病動物に限る」と著しく読者を誤認させます。実は、本指針においてはそのほかに、「問題行動がある動物」と、「問題行動により危険性があり緊急を要する場合(攻撃性により危険が及ぶようなどと思われます)」は、殺処分が不可避(必ず行わなければならない)としています。さらにこれはあくまでも民間団体の指針(ガイドライン)であり、強制力がありません。しかしこれをもって、「ドイツのティアハイムは殺処分を禁止しており、殺処分がゼロである」、もしくは「ティアハイムが殺処分を行えるのは重度の傷病のみであり、極めてまれでほぼゼロである」とした、誤った情報が多く流布されています。
 以下に、「ドイツ動物保護協会 ティアハイム指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.の、安楽死(殺処分)に関する記述をすべて引用します。


VII. Einschläfern von Tieren
1. Grundsatz
a) Grundsätzlich darf im Tierheim kein Tier eingeschläfert werden.
b) Die Einschläferung (Euthanasie) unheilbar kranker Tiere, die nur unter Schmerzen, Leiden oder
Schäden weiterleben könnten, ist ein selbstverständliches Gebot des Tierschutzes.
Die schmerzlose Einschläferung ist nur vom Tierarzt zu entscheiden und durchzuführen.
2. Ausnahmen
In folgenden Ausnahmefällen ist, nach Ausschöpfung aller anderen Möglichkeiten, in Übereinstimmung mit
den Bestimmungen des Tierschutzgesetzes die Einschläferung unumgänglich:
a) Bei Tieren, die starke, nicht behebbare, konstante Verhaltensstörungen zeigen, und deren Weiterleben mit schweren Leiden verbunden wäre, oder
b) bei Tieren, die infolge abnormer und nicht behebbarer Verhaltensstörungen eine akute Gefahr für sich oder ihre Umwelt darstellen.
Wenn alle verhaltenstherapeutischen Maßnahmen, diese Tiere an ein Leben mit Menschen oder unter Artgenossen zu gewöhnen, fehlgeschlagen sind und die Einschaltung von Sachkundigen aus benachbarten Tierheimen nicht erfolgreich war, muss in diesen Ausnahmefällen die Entscheidung über die
Einschläferung von einer Kommission getroffen werden. Die Kommission muss möglichst aus einem Vorstandsmitglied, den verantwortlichen Sachkundigen (zum Beispiel dem Tierheimleiter und der Betreuungsperson) und zwei Tierärzten, von denen einer nac
h Möglichkeit Amtstierarzt sein sollte,
bestehen.
Über jeden einzelnen Euthanasiefall im Tierheim sind exakte Aufzeichnungen über die vorangegangenen Maßnahmen, den Grund und die Durchführung mit Datum anzufertigen und mindestens 2 Jahre aufzubewahren.

動物の安楽死
第一原理
a)基本的には、ティアハイムでは動物を安楽死をさせないこと。
b)苦痛や症状が継続する可能性がある、苦しんでいるだけの終末期の動物の安楽死は、動物福祉上必要なのは明らかです。
苦痛回避の安楽死は、獣医師のみにより決定され実行されます。
2.例外
次のような例外的なケースでは、他のすべての可能性を実行したのちであれば、動物保護法の規定により安楽死は不可避です。
a)重度の回復不能な、一定の行動障害を示す動物において、それがその動物にとって生きる上で深刻な苦しみをもたらすと思われる動物において、または、
b)異常かつ回復不能な行動障害の結果として、その動物自身、またはその環境にたいして緊急な危険ををもたらす動物。
人間や、同種の動物との生活での、異常行動の矯正治療にすべて失敗し、ティアハイムに関係する専門家の関与が不成功であった場合は、これらの例外的なケースでは、この動物の安楽死は、ティアハイムの委員会によって決定されます。
可能な限り、委員会は一人の役員、責任ある専門家、(例えばティアハイムの役員と飼育者)と2人の獣医師(そのうちの1人はできるだけ行政獣医師であることが望ましい)で構成されなければなりません。
ティアハイム内のそれぞれの安楽死のケースについては、それまでの問題行動に対する矯正治療について正確に記録し、その理由と実施内容を日付とともに記録し、少なくとも2年間は保管すること。



 以上より、ドイツ動物保護連盟(協会)のティアハイム運営指針においては、ティアハイムが安楽死(殺処分)を行うケースとしては、以下の3つをあげています。
1、傷病動物
2、問題行動がある動物
3、危険回避のために緊急性を要する場合

です。
 しかも、「このようなケースは安楽死(殺処分)が「容認される」のではなく、「不可避である」=「しなければならない」と定めています。なお、Grundsätzlich darf im Tierheim kein Tier eingeschläfert werden. 「基本的には、ティアハイムでは動物を安楽死させないこと」は、絶対的な禁止というニュアンスでは全くありません。日本の動物愛護管理法で「みだりな殺傷」を禁じていますが、同程度と理解してよいと思います。そもそもこれはあくまでも民間団体の指針(ガイドライン)であって、強制力は全くありません。
 実際、ドイツのティアハイムにおいては、上記のドイツ動物保護連盟(協会)の指針に沿った、安楽死(殺処分)の方針をHPに掲げ、その方針に従って「問題行動」を理由に収容動物の安楽死(殺処分)を行っています。またティアハイムの殺処分率は、学術調査で犬で26.2%という数値があり、これは日本の犬の公的殺処分の殺処分率より高いのです。いくつかの例を挙げます。


(画像)

 まず、日本で「殺処分ゼロ」と喧伝されている、ティアハイム・ベルリンのHPから、FAQのスクリーン・ショットです。ティアハイム・ベルリンのHPから引用します。Tierheim berlin FAQ 「ティアハイム・ベルリンHP よくある質問」。

(Q)
Werden Tiere eingeschläfert?

(A)
Wenn ein Tier gemäß der Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes nicht behebbare, konstante Verhaltensstörungen zeigt, so dass ein Weiterleben entweder nur mit schweren Leiden verbunden wäre oder eine akute Gefährdung der Umwelt vorhanden ist.

(Q)
動物を安楽死させるのはどのような場合ですか?

(A)
ドイツの動物保護連盟のティアハイムのガイドラインによれば、一定の行動障害を示す動物、深刻な傷病のいずれかが致死処分を行えるとされ、または緊急を要する危険性の回避のためであれば可能です。
 

ティアハイム・ベルリン 安楽死


(参考資料)

Tierheim Pforzheim TIER- UND ARTENSCHUTZINFOS 「ティアハイム・プフォルテンハイム 動物と動物保護の種別に関する情報」 HP

Tiersammler: Die Krankheit und das Verbrechen
Die durch physische und psychologische Vernachlässigung ausgelösten Verhaltensstörungen, vernichten die Chancen auf Rehabilitierung und Neu adoption vollständig.
Für viele dieser Tiere ist die Euthanasie die einzig humane Option.

アニマルホーダー:それは疾患であり犯罪です
身体的、精神的なネグレクトによって引き起こされるアニマルホーダーが飼育している動物の行動障害は、リハビリと新しい飼い主への譲渡の可能性を完全に破壊します。
これらの動物の多くにとっては、安楽死は人道的な唯一の選択肢です。



・ "Animal Hoarding" Tierheim Düsseldorf kämpft um 59 gerettete Katzen 「アニマルホーディング デュッセルドルフ・ティアハイムはレスキューした猫59匹と戦っています」 2016年11月16日 アニマルホーダーが飼育していた59匹の猫を、ティアハイムが殺処分する予定であることを伝えるニュース

Düsseldorf.
Mehrere Dutzend verwahrloste Katzen muss das Düsseldorfer Tierheim aufwändig hochpäppeln.
Sie wurden aus einer Hoarder-Wohnung gerettet.
Die 59 Katzen, die am Freitag aus einem Haus in Garath befreit worden sind, haben sich im Tierheim eingelebt und werden hochgepäppelt.
"Bevor sie sich quälen, werden wir Euthanasie in Betracht ziehen", sagt Gassmann.
Diese Einschätzung teilt auch das Veterinäramt.

デュセルドルフ
ネグレクト飼育されていた数十匹の猫は、デュッセルドルフ・ティアハイムにとっては、その猫を世話するには大変なコスト高になることは間違いありません。
それらの猫たちは、アニマルホーダーのアパートの部屋から救出されました。
ガラースのアニマルホーダーの家から金曜日に救出された59匹の猫は、ティアハイムに収容されてケアされています。
「猫たちが苦しむ前に、安楽死を考慮しています」とガスマン氏(ティアハイム代表者)は言います。
安楽死の査定は、獣医局(行政組織)が行います。



 したがって、「ドイツのティアハイムでは、殺処分(安楽死)が禁止されている。末期の傷病で、治る見込みのない動物の苦痛を取り除く目的のみ安楽死(殺処分)が許される。それも極めて例外的で、ほぼ殺処分ゼロである」といった、日本で流布されている情報は嘘です。


 (画像)

 真っ赤な嘘の羅列の、朝日新聞記者、太田匡彦氏による記事、AREA '09.9.7号『犬を殺さないドイツの常識』。この方の記事は、他でも大概嘘の羅列ですが。

アエラ (567x800)
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
・1日の最高純アクセス数 4,956
・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
その他のものは、例えば本ブログ管理人が管理人と誤認させるものであっても、私が管理しているサイトではありません。
よろしくお願いします。

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