イギリスのペットショップ~「イングランドではペットショップでの生体販売を既に禁止している」という、驚愕嘘報道

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(Summary)
・Puppy farms crack down as sale of puppies and kittens in pet shops to be banned
8月24日にNHKが朝のTVニュース、「おはよう日本」で、「イギリス政府は、生後6か月未満の子犬や子猫を店頭で販売することを禁止する方針を発表した」との報道を行いました。極めて誤解を招く表現で問題があります。この報道を受けて、末端のメディアでは、驚くべき噴飯嘘情報がすぐに拡散されています。例えば「イギリス、イングランド地方ではペットショップでの生体販売を禁止した」などです。また、このニュースを多くの末端メディアが取り上げていますが、正確に報じ、かつ偏向がない記事は私が見た限り皆無です。
まずNHKの報道です。NHK NEWS WEB 英 生後6か月未満の子犬や子猫の販売禁止へ 2018年8月24日 から引用します。
イギリス政府は、生後6か月未満の子犬や子猫を店頭で販売することを禁止する方針を発表し、国民からの意見を求めたうえで議会に法案を提出することにしています。
イギリス政府が22日、発表した方針は、南部のイングランドを対象に、生後6か月未満の子犬や子猫をペットショップで販売することを禁止するもので、今後は認定を受けたブリーダーから直接購入するか、保護施設から引き取ることになります。
この方針は国民からの意見を求めたうえで法案として議会に提出されます。
上記の、NHK NEWS WEB の内容は、概ね正確です。しかしTV報道では「イギリスは既にペットショップなどでの子犬子猫の販売を禁じた」と著しく誤認させる内容ですし、また、NEWS WEB の記事タイトルも、読者を誤認させるおそれがあります。イギリスの政府機関が、「そのような方針を示し、これから国民に諮問する」ということです。まだ法案の草案すら作成されていませんし、その法案が議会に提出されるまで多くの手続きがあります。
上記の報道を補完すれば、6ヶ月未満の犬猫の販売を禁じるのは、「生産者(ブリーダー)ではない第三者」です。それには、ペットショップの他、中間業者も含みます。
このイギリス政府の方針を伝える、イギリスの大手メディアの記事から引用します。Puppy farms crack down as sale of puppies and kittens in pet shops to be banned 「パピーファーム(=パピーミル。悪質な営利大量生産劣悪飼育の犬ブリーダー)の解体のために、ペットショップでの子犬や子猫の販売を禁止するべきである」 2018年8月22日
A ban on third party puppy and kitten sales in England will be introduced to help drive up animal welfare standards, the Environment Secretary Michael Gove announced today.
The proposed ban on third party sales is part of a series of government reforms on pet welfare including banning the sale of underage puppies and kittens and tackling the breeding of dogs with severe genetic disorders.
Puppies and kittens are defined as being less than six months old.
イギリスのイングランド地方(*1)において、第三者(third party 生産者ではないペットショップなど)の、子犬と子猫の販売禁止を、動物福祉基準の向上の支援のために導入するつもりである(will be するつもりである ~でしょう。日本で報道されているような、「既に決定」といったニュアンスはありません)と、マイケル・ゴーブ環境局長官は本日発表しました。
ペットショップなどの生産者ではない第三者による、販売禁止の提案は、月齢に達しない子犬や子猫の販売を禁止し、重度の遺伝病の犬の繁殖問題に取り組む、ペットの福祉に関する一連の政府改革の一環です。
子犬と子猫は、生後6ヶ月未満と定義されています。
まとめると以下のとおりです。
・イギリス政府の閣僚は、イングランド地方に限り、生産者(ブリーダー)と保護施設以外での、6ヶ月齢未満の子犬と子猫の販売を禁じる提案をした。
・そのために、国民などに諮問する予定である。
・その提案は、草案作成すらされていない状態で、もちろん法案が議会に提出するまでには多くの手続きがあります。
私は上記のニュースですが、BBC、テレグラフ、タイムズ、ガーディアンズ、サンの報道と、イギリス政府の広報も目を通しています。NHKの報道は、BBCのニュースをもとにしたと思われます。私はかねてからBBCニュースは目を通していますが、動物関連のニュースは、かなり偏向していると感じます。私はNHKのTV報道を聞いて、「かなり偏向しており、おそらく、『イギリスではペットショップでの生体販売を禁じた』といった、曲解捏造情報が拡散されるだろう」と思いました。案の定、その日のうちに(笑い)、このような末端メディアの記事が掲載されました。
「虐待ではない。しかしそう見えるなら虐待だろう」 動物保護活動NPO法人理事長が猫を惨殺という闇 2018年8月24日 から引用します。本記事は、「動物虐待をしていた動物保護活動NPO」に関する報道ですが、なぜ「ペットショップでの生体販売攻撃」に飛躍するのがよくわかりません。
昨今では人為的な奇形種の繁殖や、近親交配による遺伝疾患といった問題も頻発しているため、イングランドや米カリフォルニア州ではペットショップでの生体販売が既に禁止されている。
既に述べた通り、イギリス、イングランド地方でのペットショップなどに対する生体販売の規制は、現在時点では、政府閣僚が「6ヶ月未満の犬猫に限り禁止してはどうだろうか」との提案をしたということです。まだ、その法案の草案すら作成していない状態です。ですから現在イングランド(さらにはイギリス全土)においては、ペットショップでの生体販売は全く禁止しておらず、犬も8週齡以降であれば展示販売できます(猫は今年10月1日から、8週未満は販売禁止となります)。イギリスには、巨大な安売り子犬販売ペットショップチェーンも存在します。
また、イギリスの閣僚が提案している(まだ、「提案」したという段階に過ぎません。法案が議会に提出すらされていません)ペットショップなどの規制は、「犬猫に限り、6月齢以上でなければ販売してはならない」という内容です。ですから、仮に、この閣僚の提案が法案として作成され、議会に提出されて可決されたとしても、イギリス、イングランド地方では、ペットショップの生体販売禁止とはなりません。犬猫においても、生後6ヶ月以上であれば販売して良いのです。驚く程の事実の歪曲~捏造です。
一方、アメリカ、カリフォルニア州ですが、「ペットショップ(仕入れ販売のみこなう小売業者)では、犬、猫、ウサギに限り、販売をしてはならない。しかし保護団体由来のもの、ペットショップがブリーダーの免許を取得し、自社生産したものであれば、犬、猫、ウサギも、ペットショップという店舗形態の店で販売できる」という内容の州法が可決成立しています。
「形式的にでも保護団体を経由すれば、営利ブリーダー生産の犬、猫、ウサギをペットショップで販売できる」、「ペットショップがブリーダーの免許を取得し、自社生産品として犬、猫、ウサギを売る」、「罰則が行政罰の過料500ドルのみで抑止効果がない」などの理由で、カリフォルニア州では、現在も堂々とペットショップで犬、猫、ウサギが売られています。そのほかの動物、例えば鑑賞鳥、小型哺乳類、爬虫類、両生類、魚類などは、全く規制がありません(Bill Text - AB-485 Pet store operators: dogs, cats, and rabbits. カリフォルニア州法 )。従って、「米カリフォルニア州ではペットショップでの生体販売が既に禁止されている」は、真っ赤な嘘です。
(動画)
Undercover with CAPS: An Investigation of Southern California Pet Shops 「CAPS(動物愛護団体)による覆面調査:南カリフォルニアのペットショップの調査」 2016/11/07 に公開
カリフォルニア州では、堂々と犬、猫、ウサギがペットショップで普通に売られています。
(動画)
Undercover with CAPS: Inside Russo’s Pets 「CAPS(動物愛護団体)による覆面調査:ルッソズ・ペッツ(ペットショップの内部)」 2016/09/21 に公開
カリフォルニア州ニューポートビーチのペットショップでの子犬販売。
(動画)
Dogs4Us Animal Abuse Exposed on TV 「Dogs4Us (ペットショップチェーンの名前)による動物虐待をTVで暴露する」 2017/03/02 に公開
イギリスの、子犬の安売りに特化した、巨大ペットショップチェーンのTVドキュメンタリー番組。