ドイツのティアハイムの犬の殺処分数は人口比で日本の約3倍~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」

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(Zusammenfassung)
Tierheim
Über Euthanasie
記事、
・懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち、
・「ロサンゼルス市には生体販売ペットショップがない」という、懲りない大嘘サイト「ペトこと」~狂気の動物愛誤家たち、
・ペットショップ規制で犬のインターネット販売が激増したロサンゼルス市~狂気の動物愛誤家たち、
・ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は、成功かそれとも偽善か?~アメリカのメディアの記事から、
・ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~無くならない禁止動物のペットショップ販売、
・ペットショップでのペット盗難が続発しているロサンゼルス、
・ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~激減した保護動物譲渡数、
・ロサンゼルス市の「パピーミル-ペットショップ禁止条例」は偽善に終わった~規制後は、犬のインターネット販売が激増、
・「ロサンゼルスには殺処分がほぼない」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの犬猫殺処分数は人口比で日本の約~14倍、
・「ロサンゼルスでは保護動物を引き取ることが当たり前」という、懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~ロサンゼルスの保護犬猫入手割合は約1割、
・懲りない大嘘サイト「ぺトこと」~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘、
・ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は日本より高い~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」、
の続きです。
既に何度か取り上げた「ペトこと」というサイトがあります。このサイトは嘘、誤り、偏向があまりにも多く、特に海外情報では私が確認した限り、すべてがそうです。「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という内容の記事があります。しかしカナダのケベック州では人口比で日本の200倍以上、オセアニアやフランス、アメリカ合衆国は十数倍から数十倍です。日本で「殺処分ゼロ」と喧伝されているドイツは全州による犬の公的殺処分があります。ティアハイムの殺処分率は日本の行政殺処分より高く、殺処分数は3倍近いのです。
問題の記事はこちらです。滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ 山本恵太 2018年6月7日 から引用します。
ローラ:ロサンゼルスには(生体販売をしている)ペットショップが無くて、引き取ることが当たり前で殺処分もほとんどないし、そういう現実を知って、もっと日本もそうなっていくべきなんじゃないかなって。
滝川:先進国の中でも日本は殺処分が多いんですよね。
前回記事、ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は日本より高い~「先進国の中でも日本は殺処分が多い」という大嘘サイト「ぺトこと」、では、欧米、カナダ、オセアニアの国々の犬猫殺処分数が人口比で日本の数十倍から100倍以上であり、日本はむしろ殺処分数が少ないことを書きました。
さらに日本で「殺処分ゼロ」と喧伝されているドイツにおいても、公的殺処分制度があります。ティアハイムにおける犬の殺処分率は日本の公的殺処分より高く、殺処分数は人口比でドイツのティアハイムは日本の約3倍であることを書きました。なお、ティアハイムでは、行政が押収した殺処分予定の犬の収容を受託しており、行政命令で殺処分された数も「ティアハイム内での殺処分数」に含まれます。
ドイツのティアハイムの殺処分率ですが、ハノーファー獣医科大学が2014年に、ドイツ、ノルトラインーヴェストファーレン州の、ティアハイムの犬に関する学術調査を行っています。その資料の中で、「ティアハイムにおける犬の安楽死率(殺処分率)は26.2%」としています。
Tierärztliche Hochschule Hannover Bedeutung der Pflege- und Haltungsbedingungen für Gesundheit und Wohlbefinden von Hunden als Fund- und Abgabetierein Tierheimen des Landes Nordrhein-Westfalen 「ハノーファー獣医科大学 ドイツ、ノルトラインーヴェストファーレン州のティアハイムにおける犬の健康と福祉に関する広範囲な調査」 2014年 から引用します。
Die vom DEUTSCHEN TIERSCHUTZBUND E. V. (1995) erstellte Tierheimordnung hat klare Kriterien für das Töten von Tieren in Tierheimen festgelegt.
dies ist nur in Ausnah- mefällen zulässig.
Wie im Falle einer massiven Überbelegung,verur- sacht durch Langzeitinsassen, verfahren werden soll.
RUPPERT stellte , dass 26,20% aller aufgenommenen Tiere in Tierheimen euthanasiert wurden.
In 32% dieser Fälle er-folgte die Euthanasie auf Grund unheilbarer Krankheiten, in 68% lag „ein anderer vernünftiger Grund“ wie Bissigkeit, hohes Alter, Ängstlichkeit, langer Aufenthalt oder Platzmangel vor .
ドイツ動物保護連盟E. V.によるティアハイム規則(1995年)は、ティアハイムにおける動物の殺処分のための明確な基準を定めています。
殺処分は、例外的な場合にのみ許可されています。
しかし著しい過剰収容の場合と同様に、動物の長期の収容によってもその基準は徐々に緩和されます。
ルパートは、記録されたすべての動物(犬)のうち、26.20%がティアハイム内で安楽死させられたことを発見しました(註 この数値は施設内の自然死は含みません。日本の公的殺処分統計では、多くの自治体が施設内の自然死を含めます。ティアハイムにおいて、施設内の自然死を含めれば、殺処分率はさらに高くなります)。
これらの例の32%では、難病が原因で安楽死に処せられました。
別の安楽死の原因の68%は、非人道的な「別の合理的な原因」であり、犬が高齢であること、行動上の問題に不安があること(攻撃性か)、長期の収容期間や収容スペースの不足などが続きます。
この「ティアハイムの殺処分率26.2%」の真偽ですが、私は妥当な数値だと思います。ドイツのティアハイムは、多くが行政から補助金を受けていますが、補助金を受けている施設は、引受動物の処遇などについて、年2回の年次報告書を公開しなければならないと法律で定められています。インターネット上では、多くのティアハイムの年次報告書が公開されています。収容動物の殺処分率が3割を超えるティアハイムは、普通に見つかります。ですから、ハノーファー獣医科大学の、ティアハイムの犬の安楽死(殺処分)率が26.2%という数字は、信ぴょう性があると思います。
以下に挙げる画像は、実際のティアハイムの年次報告書ですが、安楽死率(殺処分率。日本の基準に従い「施設内死」を含めました)は35%です。ほかにも、3割程度の殺処分率のティアハイムは多くあります。ドイツ、ティアハイム連盟のティアハイム名簿から各ティアハイムのHPがリンクしてあり、そこで該当するティアハイムの年次報告書を見ることができます。多くの方に確認していただきたいと思います。(Deutschen Tierschutzbund Finden Sie die Tierheime in Ihrer Nähe)。
(画像)
年次報告書を公表している、ドイツのティアハイムの具体例。Statistik 2014 「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から。
2014年には、犬猫総収容数140に対して、殺処分(Euthanasien)が34頭、施設内死(verstorben)が15頭でした。総収容数に占める殺処分+施設内死の割合は35%です(日本の自治体の殺処分数の計算方法に基づく)。年次報告書を出しているティアハイムとしては、この殺処分数・率は特別高いとは思えません。

次に、全ドイツのティアハイムの犬の殺処分数ですが、全ドイツのティアハイムにおける犬の年間収容数に殺処分率をかければ求められます。ドイツ、動物保護協会(ティアハイムの上部組織)が公表している信頼できる統計値では、2009年の犬の年間引受数が、74,900頭とあります。それに前述の殺処分率26.2%をかけると、19,624頭になります。これは、日本の平成28年の犬の公的殺処分数、10,424頭よりはるかに多く、人口比では、ドイツのティアハイムは、日本の公的殺処分の2.9倍になります。以下に参考のために、日本の平成28年度の犬猫殺処分統計を挙げておきます。
(画像)
犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(動物愛護管理行政事務提要より作成) 平成28年度

なお、「ティアハイムは殺処分ゼロか、重度の傷病動物が極めて例外的に安楽死されるのみである」という(嘘)情報が日本で流布されています。そしてその根拠が「ティアハイムでは殺処分(安楽死)が禁じられており、きわめて例外的に回復の見込みのない末期の傷病で、その動物の苦痛を取り除く目的でのみ許される」とされています。しかしそれは誇張された「嘘」です。
それは、ティアハイムの上部組織である、Deutscher Tierschutzrband e.v「ドイツ動物保護協会(保護連盟としている資料もあります)」による、ティアハイムの運営指針(ガイドライン)指していると思われます(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.)。しかし日本で流布されている内容と原文は全く異なります。
日本では「ティアハイムでは末期の傷病でやむを得ない場合のみ安楽死が許容される」という情報が一部流布されています。しかし原文では「傷病動物は安楽死(殺処分)しなければならない」とあり、許可ではなく命令です。また、安楽死(殺処分)が不可避(しなければならない)とされるケースは、ほかに「その動物に問題行動がある場合」と、「問題行動に起因する、緊急性を要する危険性がある場合(攻撃性と解釈できます)」が挙げられています。
私は、ドイツ、動物保護協会のティアハイム運営指針を、原文を示して対訳にして示している日本の資料を未だに見ていません。次回以降の記事では、Deutscher Tierschutzrband e.v「ドイツ動物保護協会(保護連盟としている資料もあります)」による、ティアハイムの運営指針(ガイドライン)(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes Richtlinien für die Führung von Tierheimen der Tierschutzvereine im Deutschen Tierschutzbund e.V.)の安楽死に関する箇所を、すべて原文で示したうえで解説します。
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