なぜマスメディアは、動物愛護に関してはこれほどひどい嘘を垂れ流すのか
Domestic/inländisch
今年もあとわずかとなりました。私は、今年は本ブログでは、書きたかった事は何倍もあります。例えばペットの安楽死に対する日本と欧米の意識や実施率の差は予てより書きたいテーマであり、資料も集めてきました。また、ドイツのティアハイムに関する連載記事も、中途のままです(来年も、ドイツのティアハイムに関する記事は続けます)。今年は、マスメディアなどの、明らかに誤った、海外の動物愛護に関する報道を指摘することに追われました。マスメディアは、報道に対する倫理を自覚していただきたいと思います。
私が本ブログサイトで、マスメディアなどが報じた、海外の動物愛護の「嘘」情報を指摘したものは、記憶しているだけで次のようなものがあります。~以下の私の反論の根拠(証拠)は、全てブログ内でリンクを示しています。該当する国の法律や統計、マスメディアの記事です。
・朝日新聞 「ギリシャでは(犬猫?)の殺処分がゼロ。地域犬地域猫が制度化されている」。
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ギリシャでは、飼育を禁じる危険犬種や咬傷事故を起こした犬、危険と思われる犬は、行政が強制的に殺処分する権限を定めた法律があります。
一定数の公的殺処分された犬の、公的統計があります。
今年は、ギリシャ国会で、犬の殺処分要件の緩和が審議されました(ドイツの動物愛護家がそれを批判しています)。
ギリシャでは、地域猫(TNR)の公的制度はありません。
・朝日新聞 太田匡彦氏の論説 「ドイツ、イギリスなどでは、ペットショップでの生態販売が禁じられている。ドイツなどでは殺処分ゼロ。その他」。
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ドイツ、イギリスとも、ペットショップでの犬猫も含めて、生体販売を禁じる法律はありません。
イギリスでは、法律、pet animals act 1951で、犬猫を、ペットショップが生体販売して良い動物種として明記しています。
ドイツでは、民間人が犬猫を狩猟駆除する数は、人口比で日本の公的殺処分の5倍以上です。
また、行政が飼育を禁じている犬種や咬傷事故を起こした犬などを強制的に殺処分する数が一定数あります(ベルリン州上院議会議事録で、犬の殺処分数と予算について審議されています。ヘッセン州などは、犬の殺処分数の公的統計があります)。
ドイツ連邦全土では、犬などを警察官が路上で射殺処分する数が年間1万頭近くになります(公的統計があります)。
その他、ドイツに犬猫を入国させる際には、基準に満たないものは、ドイツ通関事務所により、飼い主の同意なしで殺処分されることがあります、など。
・福島みずほ議員のHP 「ドイツでは殺処分ゼロ。イギリスなどでは犬猫の販売を法律で禁じている」。
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イギリスでは、ペットショップでの犬猫も含めた生体展示販売は、前述のとおり認められています。
また、日本はイギリスから犬の輸入が多く、通関統計もあります。
・光文社 女性自身「ドイツのベルリンティアハイムは殺処分ゼロ。ドイツは殺処分ゼロ。特定の地域を除いて、ペットショップでの生体販売は法律で禁じられている」。
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ドイツでは、ペットショップで犬猫も含めて生体販売を禁じる法律は条例も含めて皆無です。
そもそも、連邦レベルでは、ペットの販売を規制する法令自体皆無です。
世界最大の生体販売(犬猫含む)ペットショップは、ドイツにあります。
インターネット販売も合法です。
・NHK 週間ニュース深読み「スイスでは、生き物そのものを営利で売買することができない。したがって犬などはティアハイムでしか入手できない」。
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スイスでは、連邦の規則・令で、一定数以上の動物の販売数になる業者は、州の免許を必要とします。
しかしそれに満たない(犬を例に挙げれば、ペットショップであれば年間20頭未満、ブリーダーであれば3同腹未満)業者であれば、全く法律の規制を受けません。
ですから犬猫の販売は、一定規模までは全く自由です(昨年、チューリッヒ州では、行商のみ禁じられることとなりました)。
スイスにおいては、犬猫も含めてインターネット販売、夜間販売、8週齡未満の販売が合法です。
ペットの生体販売は普通に行われています。
NHKの本番組は、その他にも誤りないし許容範囲を逸脱した偏向が全てです。
・TBS いっぷく 「欧米ではペットはショーケースで販売されていない」。
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ペットのショーケース販売を禁じている先進国はほぼないでしょう(アメリカでは、条例レベルで一部の動物種を禁じています。またオーストリアでは2008年から連邦法で禁じていますが、すでに運用面で破綻しつつあります)。
ソマリアやシリアではないかもしれませんが。
読者様から頂いたコメントに対する私のレスを引用します。NHKさん、スイスの犬登録義務と犬税を絶賛していますが?~事実上、特定の犬種を強制的に殺処分するスイスの犬税等の公的負担。
マスメディアの方々には、繰り返しますが、報道に対しては、倫理観をもって臨まれることを求めます。メディアが提供する情報は、製造業者のプロダクトと同じです。マスメディアだけが異常に甘やかされていることを自覚し、自らを律していただきたい。
猫糞被害者@名古屋様、コメントありがとうございます。
> 私の推測では、自分達の報道で「世論が作れる」と 客観的事実より世論操作したい支配欲にかられるのだと考えています。
もしそうであれば、大変危険です。
情報は有る意味武器であり、マスメディアは、大量破壊兵器を保有しているのと同じです。
それを正しく使わないとなれば、テロ団体に過ぎません。
> 平気で嘘をつくし、都合の良いところだけを切り取り都合の悪いことは「報道しない自由」を行使します。
マスメディアが提供する情報は、製造業でいえば、プロダクト(製品・商品)と同じです。
食品の産地偽装をすれば不正競争防止法違反であり、JISを嘘データを用いて不正取得すれば刑事罰が科されます。
また、関わった社員や役員は制裁を受けます。
なぜメディアが提供する情報では、「嘘」に寛容なのでしょうか。
明らかに、客観的な「嘘」(例えばNHKが報道した「ドイツでは犬のノーリードが認められている」は客観的な「嘘」です。ドイツは全土で法令で犬のリード義務が定められています)であれば、プロダクトの産地偽装やJISの不正取得に匹敵します。
なぜ制裁を受けないのか理解に苦しみます。
朝日新聞で、従軍慰安婦の嘘記事を書いた元記者が大学の講師をしていて、何も嘘記事を書いたことに対して批判もなければ制裁がないのは私は理解できません。
> マスコミには恥ずかしい嘘は止めてもらいたいです。
同感です。
もしかしたら、マスメディアの人間は「事実」と「主張」の区別がつかないほど知能が低いのかもしれません。
「日本で犬遺棄を防止するためには、ペットショップを規制~廃止すべきだ」は主張です。
憲法で保証されている、言論、表現の自由の範疇です。
しかし「スイスでは生き物そのものを営利で売買できない」は、事実(嘘の「事実」)です。
どうしてここまで嘘がまかり通るのか、日本の動物愛護(誤)関係者の人材は、よほどひどい、無知蒙昧しかいなのでしょうか。
(追記)
まったく関係のない、ジェンティルドンナの有馬記念優勝動画です。最近のレースでは好調とは言えない内容で、なおかつ中山は未経験でした。応援はしていましたが、まさか優勝し、素晴らしい有終の美を飾ってくれるとは思いませんでした。歴史的名牝、まさに、ジェンティルドンナが伝説となった瞬間です。
ジェンティルドンナ引退式。4万人のファンが別れを惜しみました。しばらくゆったりとは、休養してください。
今年は、好きな馬のことなども記事にしたかったのだけれど、かないませんでした。興味のある方がご覧ください。
・キンチェム~デビューから引退までの世界無敗記録をもつ、歴史的な牝馬。
・クリフジ~日本競馬史上における、生涯最多全勝記録保持する歴史的名牝。
キンチェムについては、海外の資料も相当集めました。日本のウィキペディアの記述以外にも、興味深いエピソードが多数あります。「小説 キンチェム」を書こうと思いましたが、かないませんでした。
クリフジに関しては、当時の戦争の悲劇も併せて小説にしたかったです。クリフジに騎乗した、前田長吉騎手が若くして戦死したことなどです。
では、皆様、良いお年をお過ごしください。本年の応援、ありがとうございました。