なぜマスメディアは、野良猫放し飼い猫の感染症リスクについて触れないのか~鳥インフルエンザー2
Domestic/inländisch
記事、なぜマスメディアは、野良猫放し飼い猫の感染症リスクについて触れないのか~鳥インフルエンザー1、では、鳥インフルエンザウイルスH5N1型(養鶏などに甚大な被害をもたらすのは、ほとんどがこの型のウイルスです)は猫も好適感染することが、海外の学術論文で示されています。それは、猫による鳥インフルエンザH5N1型のパンデミックリスクがあるということです。今回は、その根拠となる文献を紹介します。
英語もしくはドイツ語で検索すれば、鳥インフルエンザH5N1型ウイルスはネコ科動物に好適感染するとの、学術文献が多数ヒットします。それはすなわち、野良猫、放し飼い猫が、本感染症の感染拡大となるリスクとなりうることを示しています。しかし日本のメディアは、猫が鳥インフルエンザH5N1型ウイルスの感染拡大リスクになりうることを指摘しているものは皆無に近いです。それどころか、猫が感染することすら報道しているものさえ私は見たことがありません。
対して海外では、猫が鳥インフルエンザの感染拡大リスクとなりうるという警鐘を鳴らしています。まずアメリカ連邦政府疾病管理予防センター (CDC)のHPから引用します。Questions and Answers About Avian Influenza (Bird Flu) and Avian Influenza A (H5N1) Virus「アメリカ連邦政府疾病管理予防センター 鳥インフルエンザと鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスについての質疑応答」。
So far, spread of H5N1 virus from person to person has been rare, limited and unsustained.
Nonetheless, because all influenza viruses have the ability to change, scientists are concerned that H5N1 virus one day could be able to infect humans and spread easily from one person to another.
In addition to humans and birds, we know that pigs, tigers, leopards, ferrets and domestic cats can be infected with avian influenza A (H5N1) viruses.
While domestic cats are not usually susceptible to influenza type A infection, it is known that they can become infected and die (both experimental and naturally) with avian influenza A (H5N1) viruses and, in a laboratory/research setting can spread the virus to other cats.
The European Center for Disease Prevention and Control has issued preliminary recommendations for cat owners living in H5N1-affected areas.
今までは、人から人へのH5N1ウイルスの広がりは、まれで限定的であり、(感染は)継続しませんでした。
それにもかかわらず、すべてのインフルエンザウイルスは変異する能力を持っているので、科学者はH5N1ウイルスがいつかは人に感染すれば、感染した人から人へ容易に感染が広がる可能性があることを懸念しています。
人間と鳥に加えて、豚、トラ、ヒョウ、フェレット、イエネコ種は、鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)に感染することが可能であることが知られています。
イエネコ種は、通常インフルエンザのこの型は通常感染の影響を受けませんが、その一方で 、イエネコ種は、H5N1型ウイルスに感染すると(実験においても自然界においても)鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスに感染すれば死ぬことが知られています。
また、研究室での研究環境下では、他の猫にウイルスを感染させる可能性があることが知られています。
ヨーロッパ疾病予防対策センターは、H5N1ウイルスの感染の影響を受けた地域に住む猫の飼い主に対して、予備的な警鐘を出しています。
上記を要約すれば、以下の通りになるでしょう。
1、インフルエンザウイルスは変異する能力があるので、鳥インフルエンザウイルスが人→人の、人間の相互感染能力を獲得する可能性がる。
2、鳥インフルエンザウイルスは、鳥と人以外では、猫などにも好適感染する。
3、実験室レベルでは、猫→猫の、猫間相互感染が確認されている(つまり鳥インフルエンザウイルスが変異して、猫→ほかの動物、への感染能力を獲得する可能性がある)。
それをさらに猫による、鳥インフルエンザパンデミックを強く警告している学術論文もあります。A Network Model of H5N1 Avian Influenza TransmissionDynamics in Domestic Cats「イエネコ種による、鳥インフルエンザウイルスH5N1の伝染力ネットワークモデル」アメリカパデュー大学。2007年10月29日。
A cat reservoir of H5N1 in the UnitedStates could provide an environment for zoonotic disease spread to humans.
The roaming behaviour of cats significantly influenced epidemic dynam-ics.
Conclusions
Domestic cats could provide a pathway for H5N1influenza from birds to humans.
The roaming behaviour of cats significantly influenced epidemic dynam-ics.
アメリカ連邦においては、猫が感染して増殖したH5N1ウイルスは、人間にも感染が広がり、人獣共通感染症となる環境を提供する可能性があります。
自由に徘徊する猫の行動は、鳥インフルエンザの感染拡大に大きな影響を与えました。
結論
イエネコ種は、鳥からヒトへ鳥インフルエンザH5N1を感染させるための経路となる可能性があります。
猫の徘徊行動は、鳥インフルエンザの感染流行にかなり大きな影響力を及ぼしました。
アメリカパデュー大学の論文では、鳥インフルエンザウイルスH5N1型の感染拡大の危険性は、イエネコ種に限って言及しています。また、CDC(アメリカ連邦政府疾病管理予防センター)のHPの記述でも、鳥、人以外の感染については、殆どをイエネコ種に割いています。
翻って日本のメディアの報道では、徘徊するイエネコ種、つまり野良猫や話が猫による鳥インフルエンザH5N1の危険性を全くと言っていいほど報じていません。私は大変疑問に思います。
ウイルスは常に変異する可能性があります。現段階では、猫は、鳥インフルエンザH5N1に好適感染することが確認されかつ猫→猫、の感染が確認されています。猫→ほかの動物、の感染は確認されていません。しかし鳥インフルエンザウイルスが、いつ猫→ほかの動物、に感染する能力を獲得してもおかしくはないのです。
もしそうなれば、野良猫と話が猫の存在は、潜在的に畜産業に大変深刻な被害を及ぼす可能性があります。さらには、人に対しても、イエネコ種は人の生活に密着していることから、人命に対しても極めて危険な存在であるといえます。
しかし日本のマスメディアは、イエネコ種、特に野良猫放し飼い猫による、鳥インフルエンザH5N1型のリスクにあまりにも触れません。マスメディアの鳥インフルエンザウイルスH5N1型の報道態度は、偏向を通り越して「嘘」と言っていいでしょう。私は大変疑問に思います。
参考のために、日本経済新聞電子版、2014年4月14日の記事全文を貼っておきます。
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