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「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー6





 前回記事、「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー5の続きです。記事、「埠頭駅定食」を私有地に設置すれば有罪になるのかー3~5においては、放し飼い猫が私有地内に設置した、いわゆる「定食」を食べて死傷した場合、器物損壊罪が成立するか否かについて論じました。本記事ではそのまとめを行います。


「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー3
「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー4
「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー5
 
 以下が、器物損壊罪の構成要件です。
1、破壊・汚染などの方法を用いる。
2、故意(行為から一定の事実が発生することを認識している)。
3、他人の所有物の効用の全部または一部を滅失させる。
4、その他、犯罪の成立を妨げる事情がない。

 先の記事は、放し飼い猫が他人の私有地に侵入し、当該土地所有者がその猫を殺傷したとしても器物損壊罪は成立しないという根拠を、2、3、の具体例を挙げました。
 2、放し飼い猫は、野良猫と区別がつかない。したがってそれを殺傷した者は「他人の所有物を損壊させる」という故意が存在しない。
 3、無登録動産の、所有権の第三者への対抗要件は占有である。猫は無登録動産であるので、所有権が認められるためには占有していることを要する。放し飼いは飼い主が故意に占有を離脱させている状態なので、放し飼いされている猫の所有権は認められない。したがって器物損壊罪の「所有物の毀損」には該当しない。
 今回は「4、その他、犯罪の成立を妨げる事情」を取り上げます。それは他人の私有地内では可能性が高い、刑法上の「緊急避難」です。

 
 問題にしているブログ記事を引用します。なお私は、あくまでもこの記述に対して批判を行っています。

2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告
【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為から引用。

人に飼育されている犬猫を対象とする場合は、刑法第261条の器物損壊罪に該当します。
二つの犯罪が成立することになるのです。上記のような評価は、自宅敷地であろうとも公共の場であろうとも何ら変わりません。



 他人の私有地内は、いわば他人の所有物のかたまりです。その他人の私有地に放し飼い猫を侵入させるということは、他人の財物を毀損さることが必至です。
 他人の私有地にある財物には、高価なものもあります。例えば高級スポーツカーのフェラーリのエンツォというモデルは、新車価格で7,850円で、希少価値のプレミアムがついてそれ以上と言われています。猫が爪で塗装面を毀損させれば、百万単位の損害が生じるおそれがあります。対して雑種の野良猫は、仮に所有権が認められたとしても(その可能性は低い。所有権が認められなければ損害はゼロであるし、器物損壊罪自体成立しない)市場価値が0円に近いです。

 犯罪においては、加害の多寡により量刑が増減されます。同じ窃盗罪でも、千円の万引きであれば起訴猶予程度ですが、初犯でも一億円を盗めば、かなり長期間の実刑判決になると思います。
 放し飼い猫が私有地内で殺傷され、器物損壊罪が仮に有罪になったとしても(その可能性は極めて低いですが)、量刑は限りなく低くなるでしょう。対して放し飼い猫が他人の私有地内にある高価な自動車を毀損させた場合は、損害額が大きくなりますので、仮に器物損壊罪が成立すれば、放し飼い猫を殺傷された場合より、器物損壊罪での量刑ははるかに重くなります。

 このようなケースも考えられます。私有地内に天然記念物が飼育されていて、放し飼い猫がそれを殺傷するようなケースです。飼育動物でも、天然記念物指定のものがあります。例えば、鶏の一種であるオナガドリは、国の特別天然記念物です。天然記念物は、文化財保護法により厳しく保護されています。第百九十六条 「天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する」。
 他人が私有地で飼っているオナガドリを猫の放し飼いにより死傷させれば、猫の放し飼い主は文化財保護法意反に問われます。

 刑法では、緊急避難が定められています。緊急避難とは、「急な危険・危難を避けるためにやむを得ず他者の権利を侵害したり危難を生じさせている物を破壊したりする行為であり、本来ならば法的責任を問われるところ、一定の条件の下にそれを免除されるもの。やむを得ずに生じさせてしまった損害よりも避けようとした損害の方が大きい場合には犯罪とはならない」です。刑法37条1項に定められています。
 前述オナガドリの例ですが、オナガドリの死傷は文化財保護法で懲役5年以下であり、懲役3年以下の器物損壊罪より重大です。それを避けるために、現に放し飼い猫により襲われているオナガドリを救出するために放し飼い猫を殺傷するのは、緊急避難が成立する可能性が高いでしょう。つまりこのようなケースでは器物損壊罪は成立しません。なお、動物愛護管理法も同様の理由で成立しません。愛護動物を殺傷してでも、特別天然記念物を守る方がはるかに利益が大きいからです。

 フェラーリなどの高価な自動車でも緊急避難が認められる可能性はあります。私有地への、放し飼い猫の侵入を防止する対策を講じても防ぎきれなかったとします。放し飼い猫の市場価値がほぼゼロであることに対し、フェラーリの市場価値ははるかに高いです。現に放し飼い猫がフェラーリを毀損しているのであれば、フェラーリの所有者は放し飼い猫を追い払おうとし、それにより放し飼い猫が殺傷されたとしても、器物損壊罪は成立しない可能性があります。
 仮に過剰避難が認められなくても、過剰避難が認められる可能性が高いです。過剰避難とは「緊急避難としてなされる行為で、生じた害が、その避けようとした害の程度を越えていると判断されるもの。情状によって刑が軽減・免除されることがある」です。

 そもそも市場価値がほぼゼロであり、放し飼い主が故意に放し飼いを行い、先に他人の私有地に猫を侵入させるという権利侵害を行っているのです(私が一連の記事で取り上げている放し飼い猫は、・いわゆる雑種猫で市場価値がゼロに近い、・放し飼いが恒常的、のものとしています)。当然、放し飼い主は、他人の私有地に猫を侵入させれば、他人の物に被害を及ぼすということは認識できるはずです。 
 実務では、そのような放し飼い主の落ち度も考慮させます。ですから放し飼い猫により繰り返し被害を受け、その防御も行ったが効果がなく、現に被害を受けている状況でそれを排除するために他人の放し飼い猫を死傷させたとしても、(土地所有者)の行為は、器物損壊罪で起訴とされる可能性は極めて低いと思われます。仮に起訴されたとしても、過剰避難が最大限考慮され刑が免除される可能性すらあります。
 またいわゆる「定食」の配置ですが、被害防止のための危急の行為ではないです。しかし猫被害の防御方法がそれ以外にない場合は、必ずしも緊急避難、過剰避難が否定されるとは私は思えません。

 私が疑問に思うのは、いわゆる猫愛誤は猫の放し飼いや野良猫への餌やり行為に対して、異常なほど権利を振りかざすのでしょうか。引用した【弁護士の見解】は、著しく偏向しています。またこの見解を示した弁護士は、猫の放し飼いを行えば、逆に他人に対して被害を及ぼし、その法的責任が放し飼い主に生じることについて、全く触れていません。
 放し飼い主の猫が殺傷された場合に主張できる権利より、放し飼い猫が及ぼした被害の被害者が求める権利の方がはるかに大きいのです。なぜならば放し飼いという落ち度のある行為をした事情が酌量されます。また放し飼い猫の市場価値はゼロに近く、対して放し飼い猫が及ぼす被害は、それよりはるかに大きくなる可能性があるからです。

 「放し飼い猫でも殺傷すれば器物損壊罪になるぞ」とだけ強調するのは、自分たちの違法性を不問にし、それよりはるかに些細な相手の落ち度で恫喝する暴力団並みの根性です。【弁護士の見解】と聞いて呆れます。
 「他人の土地に廃家電を投げ入れて、それがあたって新車が凹んだ。困った土地クルマの所有者は廃家電を廃棄処分した。それを廃家電を投げ入れた者が『俺のものを勝手に捨てたな。器物損壊罪だ』」と恫喝するのと同じ理屈です。そんなことを平気で言えるのは暴力団員でもカスだけです。

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「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー5





 前回記事、「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー4の続きです。前回記事では、私は「放し飼い猫は占有されていない。したがって放し飼い猫は飼い主の所有権は認められず、仮にその猫が殺された、傷害を負わされたとしても器物損壊罪に問うことは難しい」と述べました。しかし一部の愛誤弁護士は「放し飼い猫であったとしても器物損壊罪に問える」と主張しています。


 私は前回の記事では、「放し飼い猫」とは、・明確に所有者の表示が行われておらず、・いわゆる雑種で外見上野良猫と区別がつかず、財産的価値がないものであり、・放し飼いが常態化しているもの、を前提としています。 
 つまり、・明確に所有者の明示がされており(名札、マイクロチップなど)、・一見して純血種であり誰もが高価な猫であるということがわかるもの、・常に室内飼占有管理されていたものが、まれに屋外に逃げ出したもの、を除外しています。
 後者の場合は一時的に飼い主の過失で占有を離れただけであり、そのようなケースでは、飼い主の所有権が及ぶと考えられます。 

 一部の愛誤系弁護士が「占有を離れたペットであっても、所有権が認められる。だから放し飼い猫でも殺害したり傷害を負わせれば器物損壊罪が成立する」と主張しています。その根拠として、遁走した、高価な純血種の迷い犬を拾得物として届けずに、自分の飼い犬として飼育していた者が「占有離脱物横領罪」で有罪になった事件を挙げています。
 しかし・放し飼いが常態化している、・外見上雑種であって、・野良猫と区別がつかず、・所有者の明示されていない猫と、・誰もが高価であると知っている犬種で、・外見上明らかに野良犬と異なり、・首輪を付け、さらに名札で所有者の明示がなされている、通常は係留飼育していて、偶然逃走して迷った純血種の犬、とは同列に論じられません。今までの記事で述べた、占有を離れていても飼い主の所有権が及ぶケースだからです。

 一時的に、所有者の軽度の過失で占有を離脱したものは、占有されていない状態でも所有権は及びます。盗まれたもの(例外として善意の第三者が購入した場合は善意の第三者の所有権が認められる)や、遺失物(いわゆる落し物、忘れ物。遁走した犬も法律上遺失物である)は、占有を離れていても、所有権は及びます。ですから「占有離脱物横領罪」という罪があるのです。
 それが一時的に飼い主(=所有者)の過失により、遁走して迷い、占有から離脱した状態にある犬の飼い主の所有権が認められ、占有離脱物横領罪が成立した根拠です。対して所有者(猫の飼い主)が、自らの意思で猫を放し飼いにし、それが常態であれば、所有権を主張するのは権利の濫用であり認めがたいでしょう。

 さらには、猫を放し飼いするということは、普通の常識を飼い主が持っていれば、他人に迷惑をかけるというこを認識しているはずです。他人の土地に飼い猫が侵入するということは、その土地やその土地にある他人の財物に被害を与え、先に相手の権利を侵害しているのです。
 放し飼い猫が他人の土地に侵入し、その土地所有者が放し飼い猫を仮に故意に殺し、傷害を負わせたとします。放し飼い猫の飼い主が仮に器物損壊罪で告訴を行ったとしても、刑事事件とは言え、そのような事情(猫の飼い主が放し飼いをしていたと言う落ち度)は当然考慮されます。そのような点からも、放し飼い猫で、器物損壊罪を問うことは難しいと思います。


(追記)

 前回記事のコメントで「(刑法上の)緊急避難」について書かれていました。緊急避難については、次回記事で取り上げます。

「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー4

 前回記事、「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー3の続きです。この記事では、土地所有者が当該土地に、故意に侵入する猫を殺害するために有毒なものを置き、それを食べた猫が死んだとしても器物損壊罪が成立する可能性が低いということを書きました。今回は、土地所有者側から、放し飼い猫の侵入について法的な考察を行います。


 器物損壊罪の構成要件は、以下のとおりです。
1、破壊・汚染などの方法を用いる。
2、故意(行為から一定の事実が発生することを認識している)。
3、他人の所有物の効用の全部または一部を滅失させる。


 前回記事では、放し飼い猫は放し飼い主の所有権が認められない(もしくは認めがたい)ので、上記3、の要件を欠くために、その猫を故意に殺害されても器物損壊罪は成立しない(もしくは成立する可能性は極めて低い)ということを書きました。今回は、所有地に放し飼い猫が侵入し、被害を受けている人の側から考察します。

 放し飼い猫により、庭に糞尿をされる、クルマに傷をつけられるなどの物的被害が発生します。それらの物的被害では、民事裁判で近年比較的高額の損害賠償が認められています。東京地裁立川支部での、将棋名人の裁判は有名ですが、その後も一人当たりの損害賠償額がそれよりもはるかに高い金額が認められた猫被害裁判判決が続いています(東京地裁本庁など)。
 一般常識から、また客観的に、猫を放し飼いすればそのような被害が生じることは認識できます。つまり猫を放し飼いする者は、「猫の放し飼いは他人の財産に被害を与えるということを常識として理解でき」また「すでに何度か被害者より、被害の申し出がなされていた場合」は、猫の放し飼いは他人の財産に被害を与えているということを認識していたという証明になります。
 そのような猫の放し飼いを止めずに被害を発生させた場合は、放し飼い飼い主に対して、器物損壊罪が成立する可能性が大変高いです。なぜならば、猫の放し飼い飼い主には、「猫を放し飼いすれば他人の財産に被害を与える」という故意があるからです。

 現在、放し飼い猫の飼い主が器物損壊罪に問われた事例はありません。器物損壊罪が親告罪であることも理由だと思います。しかし犯罪の構成要件を満たしているので、ぜひ被害者は猫被害による、放し飼い飼い主の器物損壊罪刑事告訴も視野に入れていただきたいです。
 既に民事では、猫の外飼い、野良猫への餌やりと物的被害の因果関係が認められています。民事事件では、猫の放し飼いと被害との因果関係は、既に立証されています。刑事事件として立件に必要なのは、あとは加害者の「故意」だけです。先に述べたように、加害者の「故意」は明らかです。猫被害者が放し飼い飼い主を器物損壊罪で刑事告訴すれば、放し飼い飼い主が有罪になる可能性は高いと思います。
 また、被害者が医療機関、飲食業などで、業務が直接放し飼い猫により被害を受けていれば、業務妨害罪との併合罪の成立もありえます。

 対して民事事件では、私有地内に規制のないものを置いて、それを放し飼い猫が食べて死んだケースでは、損害賠償が認められたケースは皆無です。放し飼い飼い主にも過失がありますので(放し飼いをしていなければ、屋外で有害なものを食べて死ぬことは防げます)、仮に放し飼い猫が他人の土地に侵入し、そこに配置してあった有害なものを食べて死んだとしても、放し飼い飼い主の落ち度が大きく問われるでしょう。過失相殺です。
 土地所有者は、通常の注意義務をすれば足ります。動物愛護管理法では、飼育(飼い主のいる=所有者のいる)愛護動物は、適正に飼い主が占有し、管理されていることが前提です。土地所有者は、動物愛護管理法7条に違反する動物飼育者が存在し、自らの土地に他人の飼育動物が侵入する可能性までを考慮し、その動物の安全にまで留意する義務はありません。

 仮に土地所有者が、放し飼い猫に故意に有害なものを食べさせるために当該土地に配置し、その猫が食べて死んだとしても、民事上の損害賠償を負うとは思えません。放し飼い=放し飼い主には、その動物の所有権を認めないという検察レベルでの判断が示されているからです。
 所有権がなければ、それを損壊されたとしても損害が発生したとは言えないからです。

 放し飼いは、他者に損害を与えます。それはいくつもの民事訴訟の確定判決が既に出され、一般常識として知られています。それにもかかわらず、猫を放し飼いにし、民事であれ刑事であれ、放し飼い主が権利を一方的に主張することは、権利の濫用で認められないと思います。それ以前に、放し飼い主が、他者の権利を侵害しているからです。
 法律は一方の権利だけを認めません。放し飼い主は、動物愛護管理法7条でも規定がある、飼育動物を適正飼育し、他者に迷惑をかけないという義務を怠っています。自分は他人の権利を侵し、義務を果たさない。しかし他人に対しては過剰に権利を主張し義務を求めるという、自分勝手は法律は認めないのです。

 案外法律や判決は、常識的というかコモンセンスです。法律論はさておき、貴方が大事にしているクルマや庭の植物などを放し飼いの猫に傷つけられるがままで、放し飼い猫を腫れ物に触るように怪我などをしないように注意しなければならないと思いますか。猫を放し飼いをされて、こちらが一方的に被害を被り、それを限なく受任しなければならない義務があると思いますか。
 法律は、一方だけの権利を過剰に認め、義務を免除し、もう一方の権利を認めず、過剰に義務を課すという片務的で、不公平な運用が認められるものとは思いません。放し飼い猫により被害を被れば、民事上の損害賠償を求めることはもちろんできます。さらに要件を満たせば、放し飼い猫の飼い主に対して、器物損壊罪で告訴を行うことも正当です。

「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー3

 私の記事、「埠頭駅定食」を私有地配設置すれば有罪になるのかー2の続きです。今回は、いわゆる「定食」を自己所有地に配置し、それを食べた放し飼いの猫が死んだ場合、定食を配置した土地所有者の行為は器物損壊罪が成立するか否かを論じます。結論を先に言えば、ほぼ不可能です。


 2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告、【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為から引用します。


(いわゆる「定食」を配置し、殺害を)人に飼育されている犬猫を対象とする場合は、上記の他に、刑法第261条の器物損壊罪に該当します。
二つの犯罪が成立することになるのです。上記のような評価は、自宅敷地であろうとも公共の場であろうとも何ら変わりません。



 まず「器物損壊罪」について述べます。器物損壊罪は、刑法第261条に以下の条文があります。他人の物(=所有物)を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する」。つまり器物損壊罪とは「他人の所有物または所有動物を損壊、傷害することを内容とする犯罪」です。器物損壊罪ーウィキペディア
 つまり客体は他人の「所有物」であることが犯罪の構成要件です。客体である物、または動物が現に他人所有されていることが必要です。

 動物は民法上、無登録の動産です。無登録の動産は「占有すること」によって、第三者に所有権を対抗できるとされています。法学上「動産の場合には引渡し(占有)が対抗要件とされている。つまり、その動産の占有を取得すれば、その動産の所有者であると主張することができる」とされています。第三者に「この物は私の所有物だ=この猫は、私の飼い猫だ」と主張し、それが認められるためには、その物=猫、を占有していなければなりません。
 放し飼いで占有していなければ、「この猫は私の飼い猫」と所有権を主張できないということです。

 かなり古い事件ですが、東京で三味線の猫皮革業者が公道上で猫を度々捕獲しました。猫愛誤家らの強い要望により、警察は猫皮革業者を逮捕送検しました。しかし検察庁は、猫皮革業者らが行った行為に、犯罪事実はないとして相次いで不起訴処分としました。猫獲り業者の逮捕容疑は窃盗等でしたが、検察はそれらの犯罪事実が成立しないと判断したのです。
 東京新聞1972年記事などを引用。 「猫獲り」と「動物の保護および管理に関する法律」

 犯罪事実がないとする根拠は以下の通りと推測します。
・猫皮革業者は、その猫が飼い猫という認識がなかった。つまり猫皮革業者に*不法領得の意思がない。
猫の飼い主は、所有物(飼い猫)を占有管理せず、放し飼いしていた。つまり所有権が認められない。

不法領得の意思~他人のものを自己の所有物と同様に、これを利用し又は処分する意思。窃盗罪などの構成要件の一要素とされる。他人のもの(所有物)と知り、かつ悪いとしりながら、自分のものとしてしまうということ。

 検察庁は、猫を盗まれたという飼い主の主張を認めなかったのです。つまり猫の飼い主が、猫を占有していなかったことで、猫の所有権を認めなかったのです。窃盗罪等の財産に対する罪は、客体が他人の所有物であることを要件としているからです。
 例えば大型家電製品を、長期間路上に放置したとします。そのうちくず鉄回収業者が回収して、スクラップにしました。このケースでは、くず鉄回収業者は窃盗罪等の財産罪は問われません。客観的にその家電は所有権を放置したとみなされるからです。また法学上も、無登録の動産(この場合、家電)は占有することにより、所有権を対抗できるとしています。占有しないことは所有権の放棄とみなされ、そのような状態で所有権を主張することは権利の濫用であり認められません。

 つまり猫であっても、無登録の動産であることには変わりありませんから、その所有権(それは私の飼い猫である)ということを主張し、それが守られるためには、占有することが必須です。占有していない、放し飼いをしているということは所有権(=飼い猫)として認められません。ですからそれを殺されたり傷つけられたりしたとしても、器物損壊罪が成立する可能性は低いのです。
 ましてや公有地ではなく私有地です。述べた通り、放し飼いの猫は無主物(所有者がいない)です。民法239条では、私有地上の無主物の帰属は、その土地の所有者に帰属するとあります。「定食」の配膳はさておき、放し飼いの猫が入れば、その土地の所有者の意思により所有権が生じます。所有権が生じれば、所有権に基づき、その物を自由に処分できます。保健所に届けるのも、獣医師に安楽死を依頼するのも勝手です。
 その動産が、公有地にある場合と他人の私有地にある場合とでは、法的な意味がかなり異なります。【弁護士の見解】「自宅敷地であろうとも公共の場であろうとも何ら変わりません」の記述ですが、本当に弁護士がそのような見解をしたとは疑問です。

 さらに放し飼い飼い主は、猫を放し飼いをしたという落ち度も考慮されるでしょう。猫を放し飼いにしなければ、屋外で有害なものを摂取することはありません。動物愛護管理法7条1項は、「動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物を適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならないと定めています。
 また猫を放し飼いし、他人の敷地に入れば当然被害を及ぼします。猫の放し飼いは、本条に反します。猫を放し飼いにすることは猫にとっても危険であり、人に被害を及ぼします。努力規定とは言え、それに反することをしておきながら、都合のいい時だけ猫の所有権を主張するのは、権利の濫用としても認められるべきではありません。

 以上より、放し飼いの猫が、他人の所有地に勝手に侵入し、そこにある法的規制のない有害なものを食べて死んだとしても、器物損壊罪が成立する可能性はほぼありません。土地所有者が故意に食べさせたとしてもです(その故意の立証すら難しいです。器物損壊罪の構成要件は、客体が他人の所有物であることのほかに、行為者の故意を要件とします)。
 なぜならば、本罪の構成要件である、その猫の所有権が放し飼いしている飼い主に認められないからです。法理論上も、検察庁の過去の見解もそうです。また同様のケースで、器物損壊罪での有罪判決はただの一つもありません。

 それと蛇足を一つ。問題のブログ記事の「二つの犯罪が成立することになるのです」という記述ですが、法律の専門家である弁護士ならば「観念的競合が成立する」とスマートな記述をするでしょう。
 いずれにしても、問題のブログ記事は、法律の専門家が関与した形跡は微塵もありません(続く)。


(画像)

 某掲示板での推奨不凍液を買ってきました。もちろん愛車の整備用です。ノンリンタイプだから環境にやさしいですが、苦味が少ないのでペットの誤摂取には特に気を付けましょう。
 なお、ラジエーター不凍液の主成分、エチレングリコールの法的規制は、4,000リットル以上を保管する場合は届出が必要です(消防法)。なお、ツナ缶の食べ残しにうっかりこぼしてしまって、それを庭に放置したとしても、罰する法律は皆無です。そのようなものを猫が食べれば死ぬ危険性があります。そのような事故が起きないように、ラジエーター不凍液の取り扱いには注意しましょう。

PAP_0154.jpg

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「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー2





 「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー1の続きです。前回記事では、愛誤ブログ「2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告」の記事、【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為の内容が嘘であることを指摘しました。


 注)繰り返しますが、ここでいう「毒餌」とは、2ちゃんねるなどで隠語で言われる「定食」を指しています。「定食」とは、自動車ラジエーター不凍液などの、法的規制のないものを用いて害獣を駆除するための餌です。法的規制、例えば毒劇物取締法違反の規制対象となるもの)を用いる場合は、本議論の対象とはしていません。


 私は前回記事で、【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為に述べられている、「>明らかに猫に食べさせる目的で餌を配膳しているのであれば、猫虐待目的で設置していると評価され、犯罪行為とみなされるということでしょうか?みなされるというよりも、犯罪行為の一部であるということになります」が大嘘であることを述べました。
 なぜならば、動物愛護管理法44条1項では、未遂罪の規定がないからです。刑法44条では未遂罪の場合は、具体的に「未遂を罰する」という規定がある場合にのみ罰せられるとあります。上記の記述は、明らかに未遂罪について述べられていますが、動物愛護管理法44条1項では、未遂罪の規定がありません。ですから犯罪の構成要件は、対象となる愛護動物の殺害ないし傷害の既遂という事実が必要です。犯罪そのものが存在しないことで「犯罪行為の一部」とはなりえません。

 問題のブログ記事を以下に引用します。


(私有地内であっても、猫に有害な物を置くことは)
猫は愛護動物であり、動物愛護法第44条に規定する犯罪に該当するのです。
また、人に飼育されている犬猫を対象とする場合は、上記の他に、刑法第261条の器物損壊罪に該当します。
二つの犯罪が成立することになるのです。上記のような評価は、自宅敷地であろうとも公共の場であろうとも何ら変わりません。
もし、現場をつきとめて警察に通報した場合ですが、現行犯逮捕の対象となります。
現行犯逮捕は、私人においてもすることが出来ます。



 この文章は曖昧ですね。上記では「私有地内に有害な物を配置すること」までなのか、「猫がその有害なものを摂取して死んだ、もしくは傷害を負った既遂」なのか明確にされていません。先に述べましたとおり、動物愛護管理法44条1項では未遂罪の規定がありませんので、「私有地内に有害なものを設置した」段階では同法違反は成立しません。「私有地内に設置した段階も含める」は犯罪が成立しない。「既に対象となる愛護動物が死んだ~既遂」~動物愛護管理法44条1項違反が成立する可能性がある。両者は雲泥の差があります。
 その点を明確にしていないことから、この主張は、法律の専門家である弁護士が関与したものとは思えません。

 前提として「私有地内の有害なものを配置した」段階も含めると解釈します。問題の記事では「現場をつきとめて警察に通報した場合ですが、現行犯逮捕の対象となります」とあります。対していわゆる定食は、遅効性の毒です。猫などが摂取してから相当の時間を経過しなければ死んだり傷害が発生することはありません。
 現行犯逮捕の要件ですが、現行犯人であることが必要です。現行犯人の定義を以下に示します。「現行犯人とは現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を言う(刑事訴訟法212条1項)。現行犯ということもある」。現行犯ーウィキペディア
 つまり、問題の記事の記述を「私有地内に有害なものを配置した(猫の殺害や傷害に至っていない段階)」段階も含めるとすれば、先に述べた通り、動物愛護管理法44条1項には未遂罪の規定がありませんので、犯罪自体存在しません。ですから「私有地内に有害なものを配置した」段階での現行犯逮捕はありえません。もしそのようなことをすれば違法逮捕になります。

 さらに「現場を突き止めて警察に通報した場合ですが、現行犯逮捕の対象となります。現行犯逮捕は、私人においてもすることが出来ます。」ですが、私人がどのように現場を突き止めるのでしょう。私有地であれば、強制的に入り現場を確かめるには捜査令状が必要です。私人には無理です。単に「定食と思われるものを配置していて怪しいと思った」だけで踏み込めば、住居侵入罪などの犯罪が成立します。もしかしたらただの餌かもしれません。
 その上現行犯逮捕には、厳しい要件が定められています。「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合」です。この時間的近接性は絶対条件とされています。さらに以下の条件が当てはまることが必要です
1、犯人として追呼されているとき。
2、贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
3、身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき(返り血を浴びたような大量の血痕が服についている)。
4、誰何(すいか)されて逃走しようとするとき。

 「定食」を私有地に配置する行為は、1~4のいずれにも該当しません。

 仮にある地域で、猫の不審死が続出したとします。ある家の住民が、いわゆる「定食」を私有地に配置していると疑われたとします。しかし既に死んだ猫と、今現在「定食」と配置している行為には関連性はありません。既に死んだ猫に対しての犯罪であれば、その猫の死亡原因となった、かなり以前の定食の配置を立証しなければなりません。仮に自己所有地内で「定食」と思しき物を配置していると疑われる行為をしている人物を、その敷地外から確認したとしても、それを持って現行犯逮捕は出来ません。
 今現在、明確に猫を殺す意図(それすら立証できない)でもって定食を配置したと疑われる行為を目撃しても、先に述べたように動物愛護管理法44条1項には未遂罪の規定がありません。ですから「定食」をおいただけでは犯罪が成立しないのです。仮に食べて即死するような毒で、現に猫が死んでいるのを目撃した場合は、現行犯として逮捕できる可能性もなくはありません。現行犯逮捕の要件である時間的近接性があるからです。しかしここで言う「定食」は「法的規制のない効果が穏やかな遅効性、蓄積毒」です。ですから「定食」を配置して、それを食べた猫が即死している現場を目撃するということはありえないでしょう。

 以上より、「『定食』を私有地に配置」する行為のみで現行犯逮捕することは、警察官であっても、もちろん私人であっても出来ません。現行犯逮捕には、人権との兼ね合いが有り、大変厳しい要件が定められています。その要件を満たさずに現行犯逮捕することは、刑法202条逮捕・監禁罪が成立します。
 刑法202条 逮捕・監禁罪「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以7年以下の懲役に処する」。さらに、対象者が抵抗して対象者を傷つけた場合は、逮捕監禁・致死傷罪に該当「前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」(刑法204条 傷害罪の規定は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」)します。
 問題のブログ記事の誤りは大変危険で重大です。この大嘘の記述を真に受けて頭に血が上った猫愛誤が、罪のない人を違法逮捕しかねません。もしそのようなことがあれば、違法逮捕された人に対しての重大な人権侵害ですし、違法逮捕をした人も重い罪に問われます。このような誤った法律解釈を「弁護士の見解」として公にブログ記事にすることは、社会への害悪です。無責任な情報を垂れ流す方には、猛省を求めます。
 

「横浜アニマルファミリー切断猫送付事件」での動物愛護管理法違反、脅迫罪での有罪はほぼ不可能





 横浜市の動物愛誤団体、横浜アニマルファミリーに最近、切断された猫の足と耳が送りつけられれる事件が発生しました。送り主は「地域猫活動」「TNR活動」に反対するとの文書を同封していました。動愛誤団体は送り主を動物愛護管理法違反及び脅迫罪で届出をしました。しかし送り主を同罪で有罪とすることは、ほぼ不可能です。


 横浜アニマルファミリーは、私も記事で取り上げたことがあります。フロリダ州立大学を見習って、日本も動物愛護先進国になろう。その記事の概要を以下に示します。


横浜市大付属病院敷地の一角で、無許可で学生等が野良猫に給餌をしていた。
それらの猫に対して、病院関係者から衛生上の苦情が寄せられた。
病院の施設管理者は、民間の害虫害獣駆除業者に野良猫の捕獲を依頼し、市に届けることにした。
しかしそれを聞きつけた動物愛護(誤)団体、横浜アニマルファミリーの妨害により、横浜市立大学付属病院での野良猫捕獲は中止に至った。



 横浜市立大学とは無関係の、動物愛誤団体、横浜アニマルファミリーは、横浜市立大学の敷地内での野良猫の扱いについて何ら強制することはできません。大学敷地内の管理については、大学側に施設管理権があるからです。大学が野良猫を自己所有地で捕獲し、保健所に届けることは、動物愛護管理法35条2項により合法です。また、大学側が野良猫の排除を行おうとしたのは、医療機関は衛生環境を最も重視しなければならない施設であり、全く正当な行為です。
 このような事件を過去にも起こしており、猫愛誤に盲目的で非常識な団体であることが伺えます。

 さて、同団体に切断された猫の一部が送りつけられた事件です。以下に、同団体のHPから引用します。脅迫犯罪及び愛護法違反犯罪者への当会の声明!


昨日(3月8日)、当会宛に一通の封書が届きました。
差出人には「横浜野良猫撲滅会」との裏書のみ、封を開けると一通の手紙と、フリーザーバッグが入っていました。
そのフリーザーバッグの中には仔猫と思われる切断された脚と尻尾が入っていました。
翌日、警察に来て頂き、事情をお話しして、指紋採取などの鑑識をして頂き、事件として告発致しました。
これは脅迫罪並びに動物愛護法違反の事件犯罪です。



 本事件ですが、結論を述べれば、送り主を「動物愛護管理法44条違反」及び「脅迫罪」で有罪にすることはほぼ不可能です。まず「動物愛護管理法44条1項「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」ですが、法解釈及び判例上、犯罪の構成要件として行為者の故意を必要とされています。入っていたのは猫の死体の一部でしょ。
 同封された文書には、それを故意に殺害したとうかがわせるような記述はありません。もしかしたら自然死した猫の死体を用いたのかもしれません。仮に毒物がその死体から検出されたとしても、文書を送りつけた人物が故意に摂取させたということにはなりません。
 第三者が摂取させて死んだ猫を用いた。あるいは例えばエチレングリコールならば、事故(例えば事故車などでオーバーフローした不凍液を猫が摂取したなど)の可能性もあるからです。文書を送りつけた人物を動物愛護管理法44条1項違反で有罪にするには、その人物が自ら「故意」でその猫を殺害したことを立証しなければなりません。

 「脅迫罪」も成立する可能性は低いです。脅迫罪は、相手に具体的な害悪告知をすることが犯罪の構成要件です。同封の文書を見る限り、それはありません。脅迫罪、強要罪が成立する要件を教えてください

 本件事件で切断された猫の一部を送りつけた人物は、いわゆる愛誤な方よりかなり法律に詳しい方と想像します。横浜アニマルファミリーはこの人物の行為を「犯罪だ」と喚くばかりではなく、自分たちの活動を省みる機会として捉えてはいかがでしょうか。横浜アニマルファミリー以外の愛誤活動家の方々にも、ぜひお願い致します。
 この人物が行った行為はけして感心出来るとは言えませんが、このような過激な手段を取らざるを得ないほど、猫被害者の窮状は悪化していると思います。
 
 愛誤活動家は、法律解釈において、極めて歪曲極大解釈します。本件でもそうです。しかし実際問題、動物愛護管理法44条1項での犯罪構成要件を満たす事件はまれです。対して猫愛誤の方は、猫被害者に対しての権利侵害や犯罪に対しては、自らに対して異常に寛容です。
 私有地に、土地所有者に無許可で猫ハウスを設置し、餌やりやTNR活動を行い、それらを土地所有者が撤去すれば「器物損壊だ」「動物愛護管理法44条1項違反だ」と喚きます。そのような事例は多くあります。しかし私有地に無断で猫ハウスを設置したり、餌を放置することは軽犯罪法(住居が付属していない土地)、住居侵入罪(住居に付属している土地)、廃棄物処理法違反等も成立する可能性があります。それらははるかに動物愛護管理法44条1項より重い罪です。

 地域猫は、地域住民に負担をかけるだけで、野良猫の減少効果は認められていません(アメリカ連邦政府の見解など)。さらにこのような(もしこの事件の猫が殺されたものであるとすれば)事件を誘発する効果があり、むしろ動物愛護に反します。
 行政の方々にも、地域猫のマイナス面として本事件を捉えていただきたいと思います。

「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー1





  「埠頭駅定食」。これは自動車のラジエーター不凍液をペットフードに混ぜたもので、巨大掲示板2ちゃんねる「生き物苦手板」での隠語です。法的規制はありませんが、不凍液の主成分、エチレングリコールは有害で、それにより害獣を駆除しようというものです。この埠頭駅定食を私有地に配置し、勝手に侵入した猫が食べて死んだ場合は有罪になるか否か。ネット上で真っ向から対立した見解があります。


 「埠頭駅定食」とは、巨大掲示板2ちゃんねるの「生き物苦手板」から始まった隠語です。自動車のラジエーター不凍液の主成分、エチレングリコールは有害です。エチレングリコールは、摂取した動物の体内で代謝によりシュウ酸を生じ、それが重度の腎障害を発症させ、死に至らしめます。
 「埠頭駅定食」は、害獣(事実上野良猫をターゲットとしている)の駆除を目的としています。同掲示板では、その他にもいくつかの「定食」のバリエーションがあります。エチレングリコール以外にも、人用の市販鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリンなど)、テッポウユリ(原因物質は不明だが猫が摂取すれば致命的)などです。

 いずれも法的規制がないものを用いて、害獣(事実上野良猫)を駆除することが目的です。エチレングリコール(規制は消防法のみ、4,000リットル以上を保管する場合のみ届出が必要)、人用の市販鎮痛剤(商品名はノーシンやバッファリンなど)、テッポウユリは、保管や取り扱いなどで一切法的規制はありません。
 2ちゃんねる「生き物苦手板」の「定食」は、・規制のないものを用いて、・害獣(事実上野良猫)の駆除を、・犯罪とならずに行うことを目的としたもの、と定義することができます。2ちゃんねる「生き物苦手板」~「正しい野良猫の駆除方法」を参照。

 この「定食」を私有地に配置することで野良猫(と思われる猫、放し飼い猫も含む)が食べて死んだ場合、「定食」と配置した者の行為は、刑事事件として有罪にできるか否か、で、真っ向から対立する主張がネット上にあります。いずれも「弁護士の意見として」とありますが。
 まず最初に「有罪とすることは不可能」と主張するサイトから紹介します。この記事は、元々はスザンヌゥさん以外の方がブログでアップしたものです。東京武蔵野市西久保近辺での出来事です。元記事が見つからなかったので、こちらを引用しました。


スザンヌゥ公式ブログ「ブログザンヌゥ★」
無責任な野良ねこへの餌やりは動物虐待行為! 加藤一二三氏 野良ねこ餌やり訴訟敗訴に思うから引用。

ある頃から、その地域の野良ねこたちがバタバタと死に始めた。
餌やり女性の近所に住む男性が自家製の「アリ駆除剤」を使っていた。
その自家製アリ駆除剤は、ペットフードに殺虫剤を混ぜ、庭に置いておくというものであった。
駆除剤を使用しないよう懇願したが、男性は「アリを駆除する薬を、野良ねこが勝手に入ってきて食べるのだ」と答えた。
動物虐待の疑いとして警察、市役所にも通報した。
しかし、警察や役所の答えは「私有地で、アリの駆除剤を猫が勝手に食べているのをどうにもできない」というものだった。
弁護士の答えはもっと絶望的だった。
個人の敷地内で合法的な薬物を使っているのだから、止めさせることはできない。
たとえ、男性に野良ねこを駆除する意図があったとしても、それを立証することは不可能に近い。


 対して、いわゆる「定食」と私有地に配置して、それを食べた猫が死んだ場合、有罪になる、さらにはそのような行為を行った者は、私人でも逮捕できると主張しているブログ記事もあります。こちらも「弁護士の見解」としていますが。


2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告
【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為から引用。

猫は愛護動物であり、動物愛護法第44条に規定する犯罪に該当するのです。
また、人に飼育されている犬猫を対象とする場合は、上記の他に、刑法第261条の器物損壊罪に該当します。
二つの犯罪が成立することになるのです。上記のような評価は、自宅敷地であろうとも公共の場であろうとも何ら変わりません。
もし、現場をつきとめて警察に通報した場合ですが、現行犯逮捕の対象となります。
現行犯逮捕は、私人においてもすることが出来ます。

>しかし合法的な薬剤であるわけで、「ただ置いておいただけ」「ナメクジやネズミや蟻の駆除のために置いておいただけ」「捨てただけ」と言い訳されてしまったら、逮捕できないのではないでしょうか?
現場の全体的な状況からして、ただ置くということは通常では考えられない行動ですし、ナメクジやネズミ等の駆除をするにしては、不自然な場所、時期(例えば、そのような害虫が発生しようのない冬場であるとか、)に置いたものである場合は、警察官としても、「この人は嘘をついているな」と認定するということも考えられます。

>明らかに猫に食べさせる目的で餌を配膳しているのであれば、猫虐待目的で設置していると評価され、犯罪行為とみなされるということでしょうか?
みなされるというよりも、犯罪行為の一部であるということになりますetc...


 結論から言えば、後者の記事「【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為」は全くの誤りで妄言です。「弁護士の見解」とのことですが、脳内にある妄想弁護士か、もしその弁護士が実在したとしたら弁護士登録した後に痴呆症か精神病を患ったか、ブログ主が弁護士の話を著しく歪曲拡大解釈したかのいずれかです。法理論上、全く書かれていることは無知丸出しだからです。

 刑事事件で有罪とするには、
・その行為が犯罪の構成要件を満たしている、
・それが立証できる、
・その他有罪を妨げる事実がない(犯人の責任能力、緊急避難、正当防衛など)ことが必要です。

 以降、順を追って、後者のブログ記事の誤りを指摘したいと思います。
 それよりも、前者の記事「自家製のアリ駆除材で野良猫を駆除した」の元記事がアップされたのは4年ほど前です。今まで私有地内に、法律的に規制のない物を配置して、それを食べた猫(野良猫飼い猫)が死んだ件で、有罪どころか逮捕された事件さえ、一件も知りません。
 もし、猫駆除の抑止効果を狙ってこのようなブログ記事をアップするぐらいならば、件の弁護士に依頼して、一件でも「私有地に規制のないものを配置してそれを食べた猫が死んだ」ケースを告発して有罪にすればよいのです。掲示板や個人ブログより、そのほうがはるかに抑止効果があります。

 詳細は以降に行いますが、後者のブログ主の無知の例を一件挙げておきましょう。


>明らかに猫に食べさせる目的で餌を配膳しているのであれば、猫虐待目的で設置していると評価され、犯罪行為とみなされるということでしょうか?
みなされるというよりも、犯罪行為の一部であるということになります。



 「明らかに私有地に入る猫を殺害する意図(これさえも立証は不可能に近いが)で猫にとって有害なものを私有地内に配置した。まだ猫の殺害に至っていない(殺害を遂げていない)。猫を殺害する意図でもって、有害な餌を配置した~犯罪の一部として着手した」ということでしょう。これは犯罪の未遂行為そのものです。
 さて日本では、「未遂罪」に関しては、刑法44条で各本条で定める」と規定され、具体的に「未遂を罰する」という規定がある場合にのみ罰せられるとあります。未遂 ウィキペディア

 殺人未遂罪、窃盗未遂罪はありますが、傷害未遂罪はありません。ですから庭に落とし穴を掘って、死なない程度の刃物を仕掛けても、傷害未遂罪で罰せられることはありません。もちろん動物愛護管理法44条には未遂罪の規定はありません。
 動物愛護管理法44条は未遂罪の規定がありませんので、猫の殺害や傷害を遂げていなければ犯罪は成立しません。つまり、・犯罪の構成要件を満たしていない、のです。また殺害していない、傷害させていないのであれば犯罪事実そのものが存在しないのですから、無いもののは犯罪になりえないわけです。以上より、上記の引用は明らかに誤った法律の解釈で、弁護士がそのような回答をするはずがありません。


(画像)
 スピードジャパン社製、メルセデス・ベンツ用ラジエーター不凍液。欧州車用不凍液は苦味のものととなるリン化合物の含有がないので、犬猫は好んで飲むことがあるのでより取り扱いに注意しましょう。もちろんこれは、私の愛車の補充用です。

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猫食考~「猫食は飢餓問題の解決になる」と主張する著名なジャーナリスト





 アメリカのジャーナリスト、スティーブンソン・ビリング氏(Stephenson Billings )は、「猫肉は世界の飢餓問題を解決する」と真面目に主張しています。氏は、2006年にタイムズ誌でベストジャーナリストに選ばれている、アメリカでは大変著名なジャーナリストです。


 スティーブン・ビリング氏の論説を以下のとおり要約します。出典はchrist wireという、クリスチャンのためのインターネットサイトから。「猫肉は、世界の飢餓問題を解決するでしょうか」。Can catmeat solve the worldshunger problem?2011年。


Hunger continues to be one of the most unheralded challenges to the progress of human civilization.
The systems of distribution have failed.
This is due to the expense of transportation, the mechanical requirements of refrigeration, the seasonal limitations of crop growth and so on.
In colonial America, lobster was considered a disagreeable foodstuff.
Now it is one of the most expensive items on any menu.
The Bible issues no condemnation of feline consumption.
Could cat meat possibly be the answer to the world’s malnourishment?
They reproduce quickly and easily.
There is an overpopulation of these creatures .
They are easily domesticated and docile.
One needs little space to maintain a herd of cats.
The meat itself is light and similar in taste to rabbit.
In fact, cat meat was often substituted for rabbit in medieval Europe.
The obvious advantage of feline meat is that it can be cultivated in any environment close to those whoconsume it.
They also thrive on refuse, such as fish bones and the like.
Cat meat is a plentiful food source that crosses all borders.

飢餓は、人類の文明の進歩において、予想外の最も重要な問題の一つであり続けています。
(食糧支援は)流通システムに障害が発生しました。
輸送の費用がかかること、冷凍の機械的要件が満たせない、作物の成長などの季節的な制限があるからです。
植民地時代のアメリカでは、ロブスターは嫌悪される食材でした。
しかし今では、ロブスターは、最も高級な料理です。
聖書は、猫を食べることを禁じてはいません。
猫肉は、世界の栄養失調に対する解決策かもしれませんね?
猫はたやすく、かつ早く繁殖します。
また増えすぎています。
猫は簡単に家畜化でき、おとなしいです。
猫を飼育するには、少ししかスペースを必要としません。
猫肉は淡白で、兎肉に似ています。
事実猫肉は、しばしば中世ヨーロッパでウサギ肉の代用に用いられました。
猫肉の明らかな利点は、それを消費する人々の近くで、どのような環境でも飼育繁殖させることができることです。
猫はまた、魚の骨などのような、廃棄物でもよく育ちます。
猫肉は、すべての国境を越えた豊富な食糧源です。



 上記のように、スティーブンソン・ビリング氏は、・猫肉は美味である、・猫は増えすぎて問題になっている、・飼育繁殖に広いスペースを必要とぜず容易、・餌は廃棄物を利用できる、・キリスト教でも食べることを禁じていない、等を指摘しています。それらの特性により、貧しい国の、飢餓問題を猫食により解決できると主張しています。
 この主張を「動物愛護に反する、けしからん」と感じた方がいらっしゃるでしょうか。そのような方は、冷静になって動物愛護とは何かということを考え直していただきたいです。自分の主観により、お気に入りの動物だけを偏重することが動物愛護だとは私は思いません。

 「仔猫の生き餌を使った鮫釣り」Disturbing Cruelty: Kittens used as Bait for Sharks。イタリアでは、同じく仔猫の生き餌を用いた大ナマズ(日本のナマズと異なり、体長が1m以上ある)釣りが行われています。
 感心する趣味とは私は思いません。しかしペットでニシキヘビを飼い、生き餌として鶏やヒヨコを与える人もいます。生き餌の鶏、ヒヨコは日本では猫と同じく愛護動物です。このような論説などが、冷静さを失っている動物愛誤家の方に、動物愛護に対する客観性というものを考え直していただくきっかけになればと思います。
 
 







 

ドイツ動物愛護の光と「影」ー2





 欧米では過激な動物愛護はナチス政権時の全体主義を連想させ、危険視されています。アメリカではFBIが、複数の動物愛護団体をテロ団体と認定し監視を行っています。また動物愛護団体を含む団体を、欧米を中心とする複数の国がテロ団体とし、規制する条約を批准しています。それらの国では、動物愛護団体などのエコテロリストを規制する法整備が強化されています。


 欧米では一般的に、過激派動物愛護団体を非常に危険視しています。ドイツがナチス政権下で動物愛護を利用し、全体主義を推し進め、ひいてはナチスによるユダヤ人虐殺に至ったという歴史的背景があるからです。大きな過ちを二度と犯してはならないという危機感が根底にあるものと思われます。
 事実アメリカではFBIが複数の動物愛護団体をテロ団体として認定し、監視しています。動物解放戦線(ALF the Animal Liberation Front)などです。こちらの動物愛護団体は、PETA( People for the Ethical Treatment of Animals )が資金源となっているのは周知の事実です。また多くの州では、動物愛護団体を含む環境団体の規制を目的とした州法があります。Eco-terrorism
 国際的には、欧米を中心とする複数の国が、動物愛護団体を含む環境保護団体をエコテロリスト団体と認定し、規制する条約を批准しています。それらの国々では、動物愛護団体等を規制する法整備がなされています。なお、日本は批准されていません。Anti-terrorism legislation

 最も先鋭的な動物愛護思想は「動物の権利」擁護でしょう。「動物の権利」擁護は、欧米ではスタンダードではありません。上記で述べたように「テロリスト」であり、ナチスの全体主義を彷彿とさせ危険であるというのが、欧米では一般的な認識です。
 また「動物の権利」を擁護すべしという思想は、提唱者の思想から逸脱しています。「動物の権利」(animalrights)の提唱者はピーター・シンガーとされていますが、「権利」(rights)という語を用いていません。ピーター。シンガーが著した著書、「動物の解放」 (ANIMAL LIBERATION) では、「動物は苦痛を感じる能力に応じて、人間と同様の配慮を受けるべき存在」としか述べていません。私も、高等動物は人と同じく苦痛を案じる存在でできるだけ配慮をすること、極力殺すことは少なくすべきであるとの主張に同意します。動物の権利 現在、欧米を拠点とする「動物の権利」擁護派は、ピーター・シンガーの思想を曲解拡大解釈しています。

 日本の動物愛護活動家の中には、上記のような過激な動物愛護団体、つまり「動物を権利の主体として認める」「人と動物を同等とする」と言った動物の権利擁護派を欧米の動物愛護のスタンダードと紹介している方が多くいます。しかしそれは大嘘です。
 申しましたとおり、ナチスドイツがいち早く動物の権利を政策として打ち出し、国民の全体主義的な統合の手段としました。ナチスの全体主義は、さらにユダヤ人虐殺にまで暴走しました。そのような歴史的背景から、過激な動物愛護思想は欧米では危険視されているのです。

 日本では、欧米では危険視されている「動物の権利擁護思想」を信奉し、ツイッターやブログで自らをそれらの動物の権利擁護団体、過激派動物愛護団体の名をそのまま名乗ったり、それらしい名称を名乗る人、愛護団体があります。しかし彼らは、動物の権利擁護団体、過激派動物愛護団体が欧米ではどのように思われているのかご存知なのでしょうか。またそれらの団体を信奉し「我が団体もシーシェパード化するのも時間の問題」と言う馬鹿者もいます。シーシェパードの多くのメンバーは刑事犯として国際手配され、多くの国でテロリストとして入国が拒否されています。
 それらの団体は「テロ団体」「ファシズムの信奉者」と危険視されているのです。日本国内で、例えばいきがって「オウム真理教」や「日本赤軍」を名乗りますか。それと同じことです。

 蛇足ですが、ご訪問いただきました「動物の解放 Animal liberation」管理人、「動物の解放」様、僭越ながら誤りをご指摘いたします。
 記事、二酸化炭素による殺処分で、動物は苦しむのかの以下の記述。


麻酔ガスによる複数頭の殺処分は安楽死なのか疑問ではある。
ただ、米国のように1頭ずつ静脈注射をするのは困難。


 米国では、犬猫の殺処分で麻酔薬の静脈注射による安楽死を行っているのは、ごく一部の自治体にしか過ぎません。多くの州がガスチェンバーによる殺処分を行っており、さらに安楽死とは言えない、不適切な方法とされる減圧(真空)殺処分も広く行われています。
 以下に参考動画を貼っておきます。

アメリカノースカロライナ州でのガス室犬猫殺処分 2009年
このように殺処分された猫犬は、ペットフードの原料に加工される。 2007年 カリフォルニア

ドイツ動物愛護の光と「影」ー1





 ドイツの動物愛護政策は、日本の動物愛護(誤)活動家によって半ば神格化されています。しかし日本では一面だけを曲解極大解釈し、歪曲されて紹介されていることは否定できません。ドイツ動物愛護政策の成立の歴史的背景や、ある面においては大変ドイツが動物に対して苛烈で残酷な面を持っていることを紹介します。


 動物愛護という見地からは、大変評価が高いドイツの動物保護法(Tierschutzgesetz)及びその周辺法規は、多くがナチス政権下で制定されました。動物保護法(Tierschutzgesetz)1933年、連邦狩猟法(Jagdgesetz)1934年などです。
 とくに動物保護法(Tierschutzgesetz)は、現在にいたるまで大きな改正はなく、当時としては画期的な動物保護を定めた法律でした。今日でも、原則動物(温血脊椎動物)を殺すときに、獣医師による麻酔薬安楽死を、罰則付きで義務つけている法律は本法だけだと思います。

 総統ヒトラーが大の犬好きであったことも理由でしょう。しかし多くの歴史家は、ナチス政権下での極端な動物保護政策は、ドイツ国民を、異論を排除する全体主義(ファシズム)に誘導することが目的であったと指摘しています。それをエコファシズム(Ecofascism)と称します。
 ウィキペディアエコファシズムから引用します。


エコファシズムは、環境保護や動物愛護などを理由に、異論を排除して全体主義的な政策を推進し、権威主義や人権抑圧などを正当化しようとするイデオロギーの一種である。
ナチス政権下のドイツでは一方で、豚などの動物を忌み嫌い、捕虜やユダヤ人に対しては動物以下の扱いが行われた。
これは人間と動物の境界を曖昧にすることによって、人間に対する殺人のハードルを動物のレベルにまで下げることになったためとの解釈が行われている。



 日本人の研究者も、極端な動物保護と全体主義の親和性を指摘し、危険であるとしています。大阪教育大学准教授、西村貴祐氏(ドイツ法・環境法。1999年 ケルン大学法学部留学 2008年から大阪教育大学教育学部准教授)の論文を引用します。ナチスドイツの動物保護法と自然保護法


「動物保護法」は、当時の水準からすれば極めて進歩的な法律であった。
意図は、動物保護を促進させることよりも、むしろ広範な社会層の支持を取り込むことにあった。
こうした立法事例は、動物保護と全体主義思想との関連について再検討する必要がある。



 西村貴祐准教授は、「動物保護が多くの大衆を政権に惹きつける手段であり、現代においても動物というテーマは人々を引きつけ結束させる。しかもその結束は反自由主義的な方向に向かいがちで、現在ではその傾向が顕著である」と述べています。
 「動物愛護」「動物でも命は大切です」。この一見優しげな主張に真っ向からは反論しにくいのは確かです。しかし総論では正しいとしても、各論では、動物は殺さなくてはならなりません。オブラートに包んだ、実は裏では恐ろしい、異質なものは暴力をもってしてでも排除すべしという全体主義が潜んでいるのです。

 ナチス政権下で成立した動物保護法(Tierschutzgesetz)と連邦狩猟法(Jagdgesetz)ですが、全体主義的な一面を挙げておきましょう。動物保護法においては、今でも先進的な動物の保護規定がされています。しかしその対象となる動物は「人に飼育されているもの」のみです。対して連邦狩猟法23条では、人に飼育されていない犬猫に対しては、ハンターに対して積極的に駆除するように求めています。
 諸外国では、野良犬猫を狩猟対象としている国がほとんど(我が国でも鳥獣保護法狩猟適正化法では野犬野猫は狩猟対象です)ですが、野犬野猫を「狩猟許可した鳥獣の一種」という位置づけです。しかしドイツ連邦狩猟法では、わざわざ独立した条文を設け、ハンターに積極的に駆除するように求めています。条文では、野良犬猫が野生動物を「密猟(wildernden )するもの」であり、その排除は野生動物の保護のためであるとしています。


ドイツ連邦狩猟法Bundesjagdgesetz

§ 23 Inhalt des Jagdschutzes

Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.


 事実、ドイツにおける野良犬猫の狩猟駆除は大変苛烈で、高位推定で年間46万5千頭もの野良犬猫が銃殺などにより狩猟駆除されています。動物保護法(Tierschutzgesetz)などで飼い犬猫が手厚く保護されているのと比べて大変対照的です。なお、動物保護法の規定では、連邦狩猟法が優先されるとしています。
 人に飼育されている犬猫と、飼育者がない野良犬猫との扱いのギャップの大きさは、私は全体主義(ファシズム)に通じるところがあると感じます。
 「従うものにはとことん大事にして手厚く。反するもの異質なものに対しては冷酷に徹底して排除」。これはファシズムそのものです。まさにナチスのユダヤ人排除そのものです。

 動物愛護は一見すれば優しいと思われがちですが、歴史的に全体主義に誘導する手段として用いられた恐ろしい面があるのです。現代においても、その傾向は否定できません。
 またドイツの動物愛護政策ですが、日本ではあまりにも一部を歪曲され曲解されています。歴史的背景や、すべての動物に対して優しいのではない、言わば「影」の部分にも理解していただきたいと思います。

猫食考~イタリアで「猫食い」とあだ名で呼ばれる人々





 ヨーロッパでは、第二次世界大戦頃まで、ドイツやイギリスを含めた多くの国では、猫が普通に食されていました。今でもスイスの農村部やイタリア北部の一部では一般的な食材で、日常食べられています。


 私はかつて、スイスの猫食文化を取り上げたことがあります。びっくり!世界の猫事情~猫肉はスイスでは普通の食材です(1) びっくり!世界の猫事情~猫肉はスイスでは普通の食材です(2)
 「びっくり!世界の猫事情~猫肉はスイスでは普通の食材です(2)」で、ドイツ版ウィキペディアを引用しました。以下に再び引用します。ドイツ版ウィキペディア「猫の肉」。Katzenfleisch


In Notzeiten wurde auch Katzenfleisch anstelle von Kaninchen- oder Hasenfleisch verwendet,daher werden Hauskatzen im deutschen Sprachraum auch Dachhasen,
in Großbritannien „Roof-Rabbits“ genannt.
Historisch wurden Katzen auch im Westen gegessen.
Bewohner von Norditalien, besonders in Vicenza, werden noch immer „mangiagatti“ („Katzenfresser“) genannt, ein Spottname der venezianischen Sprache.

猫の肉が必要とされた時代では、猫の肉はウサギ肉の代用として用いられました。
そのためドイツでは、猫はドイツ語で「屋根ウサギ(Dachhasen)」と言われ、英国でも「ルーフラビット(Roof-Rabbits)」と呼ばれます。
歴史的に、猫は西洋で食べられてきました。
特にイタリア北部のヴィチェンツァ地方の住民は、未だに「mangiagatti(ベネチアン語)」(猫食い)と言うあだ名で呼ばれています。



 なお、イギリスでのかつての猫食習慣は、イギリス版ウィキペディアに詳しいです。現在でも、イタリア北部には、猫を日常的に食べる地方があるようです。私は全くイタリア語はできませんので、イタリア在住の日本人ブログを引用します。


ほんの日常(北イタリアで)『イタリアでは猫を食べる』

『イタリアではねこを食べる』。
味はウサギに似てるけど、ウサギよりも柔らかくて美味なのだとか。
そんな話しをドイツ人の友人としていたら、「あら、ヴェネトに行ったとき、猫ポレンタを食べたわよ。あそこでは今でも食べてるのよ」とのこと。
聞いてみました。「猫、食べるの?」と。。。そしたらあっさりと「食べるよ。ヴェネトでは」とのお答え。


イタリアよもやま話 イタリアの猫肉を食べる習慣

ヴェネト州内でも、ヴェネツィア付近の都市を比べる際に今でもよく口にされる、次のような語呂合わせの言い伝えがあります。
Vicentini magnagatti,(ヴィチェンツァ人は 猫を食い)
不思議なことに、動物愛護協会の人って、人種差別の人が多いのです。
猫肉や犬肉、鯨肉を食べる中国・韓国・日本は野蛮な民族、という図が、この、ごく最近までのイタリアにあった風習の露見によって崩れ去り“高等”白人社会の誇りが奪われてしまう・・・
全くくだらない誇りをもってるもんです。



 欧米では、犬猫を食べる習慣があるアジアや中南米の国を非難するのに、自国の猫食(スイスなど一部の国では猫ほどではないにせよ、今でも犬肉が食べられています)をひた隠しにする根拠がわかりません。猫犬も、人が飼育する一動物種に過ぎないのでは?どうして猫犬を食べないことが、「高等」なのでしょうね?
 根底には「犬猫などの愛玩動物は人と同等。それを食べるアジアや中南米人は野蛮で白人より劣る」。そして犬猫を人と同列視することにより、アジアや中南米人を差別し、蔑視するというイデオロギー誘導が根底にあるのかもしれません。それは危険なことだと思います。同調する日本の動物権利擁護系の、過激派動物愛誤ははっきりいってバカです。

愛誤さん、動物の擬人化は人権侵害ですぞ~日本の犬猫殺処分をアウシュビッツに喩えるのはお止めなさいー2





 前回記事、愛誤さん、動物の擬人化は人権侵害ですぞ~日本の犬猫殺処分をアウシュビッツに喩えるのはお止めなさいー1の続きです。


 前回記事では、2003年から2004年にかけて行ったアメリカPETA(People for the Ethical Treatment of Animals「動物の倫理低扱いを求める人々」)による動物権利擁護キャンペーンの表現方法が人権上問題があり、司法上差し止めが命じられた事件を取り上げました。
 問題となった表現とは、屠殺前の鶏や屠殺された豚の死体の写真と、ナチスの強制収容所のユダヤ人の写真を並べて表示したポスターです。つまり「肉食により動物を殺すことは、人(ユダヤ人)に対する虐殺と同じだ」という主張です。ユダヤ人団体は「ユダヤ人に対する人権侵害」とし、その表現を用いることを求めてドイツで提訴を行いました。

 ユダヤ人団体が、ナチスによるユダヤ人虐殺を動物の殺害に喩えたことに対して神経質になる理由があります。PETAに代表される、動物の権利擁護思想は、ナチスドイツの動物愛護政策がルーツであると指摘する歴史研究家が多くいます。
 ナチスドイツは、アーリア人至上主義、民族浄化のためにユダヤ人を虐殺しました。ユダヤ人の虐殺の抵抗感を軽減するために、動物の権利を人並みに引き上げ、相対的にユダヤ人の地位を貶めたとされています。そのために、ナチス政権下でのドイツでは、歴史上、例を見ないほど、動物に対する保護規定が強化されました。現在のドイツにおける、動物に関する法規の原型は多方が、ナチス政権時代にできたものです。エコファシズム ウィキペディア

 現在においても、特定の民族を差別排除すべきとする反社会勢力などが、動物権利活動と同調する危険性が指摘されています。私がコメントで何度か「ドイツペタと、ネオナチのメンバーのファッションだどは驚くほど似ている」と指摘しています。例えば、ドイツではトルコ人などのアラブ系移民が若者の職を奪い、ドイツ人の底辺層が移民排除のネオナチに同調します。さらに、彼らが、活動の正当化のために動物の権利擁護を掲げることはあるえるのです。
 私は過去にこのような記事を書いています。アニマルリテラシーの重要性 クマ愛誤の大嘘に騙されるなその中で、過激派動物愛護活動家が、欧米では反社会勢力と結びついていることを述べました。事実、アメリカFBIはALF(Animal Liberation Front「動物解放戦線」)という、過激派動物権利活動団体をテロ団体として認定していますし、イギリスでは反エコテロ法により、過激派動物愛護団体の入国を拒否しています。

 このように欧米では、過激な動物の権利擁護活動は危険視されています。また動物の権利擁護のために、動物の殺害をユダヤ人虐殺を喩えることはむしろ人と動物を同列視することであり、過去のナチスドイツを彷彿とさせ大変危険な表現です。アメリカの政治評論誌、rock the capital、のインターネット版での論説記事、Unholy Alliance-ricksantorum,Nazis and The politics of fear「酷い関連性 リックサントラム ナチスと恐怖政策」2012年3月。においても指摘されています。以下に引用します。


PETA deployed a media campaign depicting the meat processing industry as another Holocaust.
PETA’s logic is eerily similar to propaganda principals utilized by the Nazis to dehumanize their victims through propaganda.
Equating humans to swine is the type of dehumanization process
that allowed for the industrialized mass murder of Jews.

PETAは、食肉加工業界を、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)に喩えたメディア·キャンペーンを展開しました。
PETAの理論は、人間性を奪うプロパガンダを利用して人々を犠牲にしたナチスと、利用するプロパガンダと原理が不気味なほど似ています。
豚と人間を同一視することは、ユダヤ人の、先進的な工業生産のような大量殺人を許容するための、非人間化プロセスのタイプです。



 以上のようにユダヤ人虐殺を動物の殺害に喩えることは、欧米では歴史、文化、民族対立が絡み、大変微妙で難しい問題なのです。日本の動物愛誤家が、あまりにも無邪気に、日本での犬猫殺処分をユダヤ人虐殺に喩えることに、私は恐怖さえ感じます。幸い、日本は人口が多い割にはローカルな言語で、愛誤さんのブログが海外で目に付くことはまれでしょう。私は、日本の犬猫の公的殺処分をユダヤ人虐殺に喩えることが国際問題になる前に、愛誤さん方に自粛されることを望みます。
 なお、私の他にもこの問題を指摘された方がいらっしゃることは救いです。保健所をアウシュビッツに喩える軽薄さ


(画像)
 ネオナチのメンバー。ネオナチと過激派動物愛護(誤)団体のファッションは、驚くほど似ています。・スキンヘッド、・入墨やピアス、・黒の革ジャンやそれっぽいジャンパー、など。
 PETAのメンバーはスキンヘッドが多いですし、シーシェパードのメンバーは、モンキーレンチの刺青をします。

Neonazi-skinheads-weiss-und-stolz.jpg


 





 
 

 

愛誤さん、動物の擬人化は人権侵害ですぞ~日本の犬猫殺処分をアウシュビッツに喩えるのはお止めなさいー1





 日本の猫犬愛誤活動家は、日本での猫犬殺処分を頻繁にナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺に喩えます。しかしアメリカPETAの、家畜の屠殺や殺処分をユダヤ人ホロコーストに喩えて行った動物権利擁護キャンペーンでは、政治問題に発展しました。またヨーロッパ人権最高裁判所はPETAに対して、動物の殺害をユダヤ人ホロコーストに喩える表現の禁止を支持しました。


 日本の動物愛誤活動家は、日本での犬猫殺処分を頻繁に、ナチスによるユダヤ人虐殺に頻繁に喩えます。以下に例をあげます。
犬、猫アウシュビッツはやめて!
東大阪のアウシュビッツ動物指導センター

 私は、日本での犬猫殺処分をナチスによるユダヤ人虐殺に喩えることに対しては、しばしば警告してきました。「ユダヤ人に対する人権侵害であり、国際問題に発展しかねない」と。
 事実欧米では、動物の殺害をナチスによるユダヤ人虐殺に喩えたことが大問題になりました。2003年から2004年にかけて、世界最大の動物愛護団体PETA( People for the Ethical Treatment of Animals「動物の倫理的扱いを求める人々」)は動物の権利擁護キャンペーンを行い、屠殺場の動物と、ナチス強制収容所に収容されたユダヤ人の写真を対比させたポスターを作成しました。

 アメリカ国内では政治問題化しました。ユダヤ人団体は、PETAの表現が「ユダヤ人に対する人権侵害」とし、ドイツの地方裁判所に、PETAに対して動物の殺害をナチスによるユダヤ人虐殺に比喩える表現を差し止める訴訟を提起しました。
 原審のドイツ地方裁判所は、ユダヤ人団体の請求を認めましたが、PETAは上訴し続けました。2009年には、ドイツ最高裁判所(German Supreme Court)で原審通りユダヤ人団体の請求を認めた判決が確定しました。さらにPETAは、ヨーロッパ人権裁判所(The European Court of Human Rights) に提訴しました。昨年2012年に、本裁判での判決が出されました。判決では、PETAに対して、動物の殺害をナチスによるユダヤ人殺害を喩える表現を行わないことを命じた、ドイツ最高裁判所の判決を支持しました。判決理由は「PETAの行為は、ユダヤ人に対して重大な人権侵害となる」です。本件裁判のニュースソースを引用します。


The times of Israel「イスラエル タイムズ紙」
Court rejects PETA appeal on Holocaust campaign
「裁判所は、PETAのホロコーストキャンペーンに関する上訴を却下しました」2012年11月。

Germany can bar the animal rights group PETA from comparing the fate of animals today with that of Holocaust victims, Europe’s highest court for human rights ruled.
The European Court of Human Rights in Strasbourg upheld a 2009 German Supreme Court ruling that bannedPeople for the Ethical Treatment of Animals from using photos of concentration camp inmates and other images of the Nazi genocide alongside photos of abused animals in its campaign Holocaust on your Plate.
The comparison of human to animal suffering could prove extremely hurtful to Jews.

本日、「ドイツは、動物愛護団体PETAがユダヤ人虐殺(ホロコースト)の犠牲者を動物に対比させることを禁じることができる」との判決を、ヨーロッパ人権最高裁判所は下しました。
ストラスブールのヨーロッパ人権裁判所は、PETAが、「お皿の上の虐殺」と称したキャンペーンで、強制収容所の囚人虐待やナチスの虐殺と動物の写真などを並べて用いることを禁じた2009年の、ドイツ最高裁判所判決を支持しました。
(これらの裁判では)動物の苦痛を人に喩えることが、ユダヤ人にとって非常に心を傷つけるということを証明できました。


(続く)。


(訂正とお詫び)

 全記事では、「アメリカPETAが、アメリカでの犬猫のガス室での殺処分とユダヤ人虐殺に喩えた」と記述しましたが誤りです。PETAは、2003年から2004年にかけて、動物の権利擁護キャンペーンで、屠殺された豚や鶏を、ナチスに虐殺されたユダヤ人に喩えました。



 


愛誤さん、動物の擬人化は人権侵害ですぞ~猫犬って「里子」?





 動物の擬人化は、人権侵害になります。例えば犬猫の保護~譲渡活動において「里親・里子」という表現は保護系愛誤活動家が当たり前のように用いていますが、しばしば人権上問題があるとの指摘がされます。


 このサイトの読者様はお気づきのかたもいらっしゃると思いますが、私は犬猫等の動物に関しては、意識的に擬人化表現は用いていません。当たり前のように保護系猫犬愛誤活動家は、保護した猫犬を譲渡することで猫犬を「子」「里子」、譲渡先を「里親」と表現します。
 しかし私は、例えば「里子」や「子」を「保護した猫犬」「仔」「個体」とし、「里親」を「譲渡先」と記述しています。愛誤活動家が「男の子、女の子」としているところを「オス、メス」としています。

 その理由は、早くから猫犬を「里親・里子」と擬人化表現する事に関して、人権侵害が指摘されていることを知っていたからです。例えばこのようなサイトがあります。「人間以外のものに『里親』という言葉を使わないでというお願いのページ」から。親が育てられない子どもたちの 尊厳を守ってください
 それと私の「人と動物は厳然と区別すべき」という心情からです。あまりにも特定の動物に感情移入が激しく擬人化することは愛誤の際立った特徴であり、それは動物愛護にも反すると考えているからです。

 なお、海外文献を日本語に訳して紹介するときは、原文のニュアンスを第一にしています。ですから、英文での”Adoption”を文章の前後の内容から「養子縁組」と訳しています。その訳が自然だからです。この表現は、アメリカやイギリスの動物愛誤団体でもよく使われます。動物愛誤家の感覚は、万国共通なんでしょうね。
 しかし英語圏であっても、学術的な文書や、公の統計資料などでは、"animalshelter"「猫犬の保護施設」から新しい飼い主に譲渡されることを”given away to a new owner”「新しい飼い主に譲渡」と表現されています。

 愛誤さんの中には「憲法大好き」もいらっしゃるようで、そのような方は「表現の自由」とおっしゃるかもしれません。しかし憲法では、人権に配慮することを国民に求めています。また違法とは言えないまでも、公序良俗やコモンセンスに配慮することは重要だと思います。愛誤さん全般に言えることですが、視野狭窄で周りが見えていない方が多いです。
 「動物を擬人化することをやめてほしい」という声が少なからずあることを、愛誤さんたちには理解していただきたいですね。同じ仲間同士だけで使うことに関しては、私は何も申し上げることはありませんが。

 それともう一つ、気になることを挙げておきましょう。それは愛誤さんが頻繁に、猫犬の日本での二酸化炭素による公的殺処分を、ユダヤ人のナチスによるホロコースト=ガス室による虐殺、に例えることです。ユダヤ人の方にとっては、ユダヤ人ホロコーストを猫犬の殺処分に喩えることは屈辱的です。私は、これが国際問題になるのではないかと心配しています。
 幸い日本語は使う人口が多い割には国際性が低く、海外では日本の愛誤ブログが目に付くことはまれでしょう。外国語でヒットするような、語学に堪能な愛誤ブログも滅多に見ません。
 しかしアメリカでは、最大手動物愛護団体のPETAが、アメリカでの猫犬のガスによる殺処分をユダヤ人ホロコーストに喩えて政治問題になりました。この件については、改めて記事にします。愛誤さんは「海外では~」が口癖なくせして、驚くほど国際感覚がないし、無知だと思います。

 

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猫の死体でラジコンヘリコプターを作ったよ!





 オランダ人アーティストが、猫の死体でラジコンヘリコプターを作りました。それは芸術作品!だそうです。ヨーロッパでは、このオランダ人の行為に対して物議を醸しています。


 ドイツ最大手のメディア、Spiegel紙のオンライン版、Spiegel Onlineの記事、Mann baut Hubschrauber aus toter Katze「猫の死体でヘリコプターを作った男」2012年6月。から引用します。


Dieser Kater kann fliegen.
Ein niederländischer Künstler hat aus seinem toten Haustier einen Hubschrauber gebaut, an jeder Pfote dreht sich ein Rotor.
Nun gibt es im Netz Streit, ob das genial ist - oder einfach nur geschmacklos.

この猫は飛ぶことができます.
オランダ人の芸術家が、彼の死んだペットの猫の死体から作りました。
ローターは、それぞれの足で回転します。
現在、それが芸術として素晴らしいのか、全く下らないのかという事にかかわらず、それ以外での論争がネット上にあります。


(記事要旨)

オランダ人芸術家、バート・ヤンセンは、死んだ彼のペットの猫から、ラジコンヘリコプターを作りました。
彼は「猫ヘリコプター」により、芸術を表現したのです。
この「空飛ぶ猫」について、YouTubeで動画が公表されてから議論が沸騰しました。
「あなたは芸術家としてひねくれているばかりではなく、他のこと(動物愛護に反する)でも憎まれるよ」などのコメントが寄せられました。
しかし動物の死体を芸術表現に用いることは目新しいことでなく、過去にも例があります。
猫ヘリコプターは、現在、アムステルダムのセント・アートギャラリーの美術展で見ることができます。



 この「ラジコン猫ヘリコプター」の動画は、複数のバージョンがyou tubeでアップされています。いずれもロシア語でアップされています。本国のオランダや、西ヨーロッパではない理由は、動物愛護団体の反発が背景にあるのでしょうか。
 その内の一つのリンクを貼っておきます。Летающий кот - котолет - кот наркоман「猫ヘリコプター」。

 本来は、この「猫ヘリコプター」は、純粋に芸術的価値があるかどうかを論じるべきでしょう。「動物愛護」は論点から外れていると思います。
 ラジコンヘリコプターは、玩具とも言えますが、玩具の一種である球技に用いるボールや野球のグラブは牛革で動物由来のものですし、テニスラケットのガットは羊腸です。また工芸や芸術作品では、皮革や牙、骨などが多く使われています。なぜ猫を芸術作品に用いてはいけないのか、合理的な理由はありません。普遍的な価値観「表現の自由」の範疇であると思います。

 私は過去記事で、デンマークの大学生が猫を料理して食べ、それをface bookで公開したことを取り上げました。この学生はオランダ国籍で、デンマークに留学中でした。
 この事件に関して、ドイツ、シュピーゲル紙(Spiegelonline)は「オランダでは、ムハンマドの風刺漫画を書いた作者が、過激派イスラム教徒に命を狙われるなどの事件を過去にも起こしている。オランダ人の表現は過激で、面白い国民性だ」と評しています。

 そして今回の事件です。日本では、「オランダは動物愛護先進国だ」と強調する愛誤の主張が最近気のせいか目立ちます。もしかしたら、私がアメリカ、ドイツ、イギリスの動物愛護の実態を暴いたのも影響しているのかもしれません。猫食の様子をインターネットで公開したり、猫の死体をラジコンヘリコプターにして、他のヨーロッパ諸国から総スカンを食らっているオランダは、私は無条件に動物愛護先進国とも思えませんが?(もしかしたら行き過ぎた動物愛護「誤」に対する反発かもしれません)。
 「猫ヘリコプター」の芸術的価値はと個人的に問われれば、私は「う~~~ん、やっぱり悪趣味なんじゃないの」。

 
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
・1日の最高純アクセス数 4,956
・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
その他のものは、例えば本ブログ管理人が管理人と誤認させるものであっても、私が管理しているサイトではありません。
よろしくお願いします。

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