ドイツでの、動物愛護管理の法律制度に関する日本での大嘘ー2
日本の「動物の愛護と管理に関する法律」(以下、「動物愛護管理法」と記述します)とドイツのTierschutzgesetz(以下「動物保護法」と記述します)は、共に動物の愛護管理を包括的に定めた法律です。私は、ドイツ語のschut=保護は、愛護を管理の両方を包含した概念であって、双方の法律は理念を同じくしていると思います。
日本の動物愛護管理法と、ドイツ動物保護法の条文を具体的に対比させて共通点、相違点を検証していきます。
Tierschutzgesetz(ドイツ動物保護法)
Grundsatz
§ 1
Zweck dieses Gesetzes ist es, aus der Verantwortung des Menschen für das Tier als Mitgeschöpf dessen Leben und Wohlbefinden zu schützen.
Niemand darf einem Tier ohne vernünftigen Grund Schmerzen, Leiden oder Schäden zufügen.
原則
第一条
この法律の目的は、人が生活を共にする仲間のような動物の福利を、人が責任を持って守ることである。
何人も合理的な事由なく、 動物に痛み、苦しみ、傷害を与えてはいけない。
Tierschutzgesetz(ドイツ動物保護法)を「動物福祉法」と訳する根拠はこの条文にあるのでしょう。Wohlbefinden(福利、良好な生活環境といったやや軽い意味。Wohl=福祉、の方が政策的意味合いが強いでしょう)を拡大解釈したものと思われます。 この条文に相当するのが、動物愛護管理法第一条、及び2条です。
動物の愛護と管理に関する法律
第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いそ の他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。
(基本原則)
第2条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
両法の理念は一致します。ドイツ動物保護法においても動物に権利を認める条文はなく、日本と同様に正当な事由(=みだりではない、ohne vernünftigen Grund)があれば殺すことを禁じてはいません。ただドイツにおいては、殺す方法に、原則として脊椎動物は麻酔下で行うなどの基準が設けられている点が日本と異なります。
Tierschutzgesetz
Dritter Abschnitt
Töten von Tieren
§ 4
(1) Ein Wirbeltier darf nur unter Betäubung oder sonst, soweit nach den gegebenen Umständen zumutbar, nur unter Vermeidung von Schmerzen getötet werden.
ドイツ動物保護法
第三章
動物を殺すこと
第4条
1項 脊椎動物は麻酔下でのみ殺すことができるが、それ以外の場合は事情に応じて最大限苦痛を軽減しなければならない。
このドイツ動物保護法の条文に対応するのが動物愛護管理法の以下の条文です。
動物愛護管理法
第五章 雑則
(動物を殺す場合の方法)
第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
ドイツ動物保護法では「脊椎動物を殺すときは、麻酔下でなければならない」との規定がありますが「そうでない場合はできるだけ苦痛を軽減すること」とあり、必ずしも麻酔下であることを要しません。
Tierschutzgesetz
§ 4a
(2) Abweichend von Absatz 1 bedarf es keiner Betäubung, wenn.
Notschlachtungen nach
Angehörigen bestimmter Religionsgemeinschaften
Fleisch nicht geschächteter Tiere untersagen
ドイツ動物保護法
第4条a
2項 1項の規定にかかわらず、(以下のケースは)麻酔を全く必要としません。
緊急を要すると畜。
特定の宗教団体の信者が行うもの。
禁止していない食肉用と畜。
など。
ドイツ動物保護法は脊椎動物を殺す場合は、麻酔下で行うことを原則としていますが、例外規定も多く認めています。ですからドイツ動物保護法の動物を殺す規定は、日本の動物愛護管理法と著しく異なるとは思えません。
食肉でのと畜で、麻酔が行われることはありえません。またドイツはイスラム系移民が多いため、宗教行事で生贄のために、羊を残酷な方法でと畜します。このようなケースも麻酔なしで殺すことを認めています。
ましてや、一部の愛誤が喧伝している「ドイツには健康な動物は、いかなる理由があっても殺してはならないという法律がある」などは大嘘です。以下に例示します。
命を大切にすることで、社会を変えられる 2009年
動物愛護支援の会 代表 マルコ・ブルーノさん
ドイツの法律では、まず「動物を殺してはならない」としか書いてありません。
その後に「例外を認める」として「食肉」「狂犬病」など例外にあたるケースをきちんと明記しているんです。
殺し方についても麻酔による安楽死ということがちゃんと書いてあります。
ドイツ動物保護法でも、「正当な事由なく(=みだりに)殺してはならない」と規定されており、動物を殺すことに関しては、日本の動物愛護管理法と同じです。また、上記マルコ・ブルーノ氏の「動物を殺して良い例外は、食肉などに限られる」という発言は大嘘です。ドイツ動物保護法では、「麻酔を用いることなく動物を殺して良い例外(Abweichend von Absatz 1 bedarf es keiner Betäubung, wenn)は食肉などがある」としています。
つまり麻酔下であれば、正当な事由があれば、第4条a2項の例外規定(食肉など)以外でも、動物の殺処分は許されるということです。
マルコ・ブルーノ氏のドイツ動物保護法の紹介は、大嘘です。彼は、ドイツ語文化圏のオーストリア出身ですから、日本人は容易に彼の言うことを信用するでしょう。日本の動物愛護活動をミスリードしかねない行為で悪質です。
マルコ・ブルーノ氏が言うことが真実であるのならば、ドイツの食肉は全て麻酔下でと畜した家畜を原料としていることになります。ドイツ産の肉は、ペントバルビタールやチオペンタールなどの麻酔剤が混入していて危険なのでしょうか。
なお氏の発言、「ヨーロッパにはペットショップがありません。生体販売は禁止されています」も真っ赤な嘘です。私はドイツではペットの生体販売を禁じる法律がないことと、大型の犬猫を含めて生体販売を行っているペットショップがあることを何度か記事にしています。ドイツでは、ペット業界団体の生体販売自主規制(犬と雑種の猫のみ。その他の動物の生態販売は規制はない)はあります。業界団体に未加入の業者は、犬猫も生体販売を行なっています。
画像は、本文とは全く関係のない、私が貸していた物件の入居者退去後の室内です。この方は、生活保護受給の母子家庭で、先般建物明け渡し等の訴訟を提起し、建物明け渡しと未払い家賃の支払いが確定しました強制執行直前に、この入居者はめでたく退去しましたが、その退去後の室内です(涙。
家財道具の撤去廃棄で20万円以上の見積もり!その他、専用庭には、三階まで届くほど木が成長しているし、蔦などが繁茂し、庭もゴミ溜め状態。木や蔦の処分でも、10万円近くかかります(涙、涙。その他、いたるところに壁に穴が空いていたり、建具が壊されています。昨日からその物件に入ってゴミの整理(自分で処分場に持ち込めば格安)などをしています。
以上の諸費用を、連帯保証人(この方も生活保護受給者ですがね)に請求する訴訟を提起します。さんかくたまごは、この債権を果たして回収できるのでしょうか?


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