野良猫への無許可餌やりを処罰する時期に来ているー2
(画像は西宮市。甲風園2丁目駐車場ではありません)

兵庫県西宮市では、平成20年から地域猫制度を導入しています。栗山雅史西宮市議会議員(当時。現在は兵庫県会議員)は、21年12月の市議会で、地域猫制度が住民に野良猫被害の拡大をもたらすマイナス面について質問しています。栗山氏がこの議会質問を行なったのは「甲風園2丁目勝手地域猫」がきっかけです。
兵庫県議会議員 栗山雅史氏HPから
(西宮市甲風園2丁目勝手地域猫 栗山雅史市議の議会質問から)
平成21年10月深夜のことである。
甲風園2丁目の民間駐車場内で、複数の猫を放す女性を近隣住民が発見した。
かねてより、餌の残骸の不始末により悪臭、害虫やカラスが集まってくること、餌やりにより野良猫が増えて糞尿被害がひどいことなど野良猫による被害が問題になっていた。
もちろんこの餌やりは、駐車場経営者の許可を得ていない。
住民は「猫を捨てたり餌をやらなでください」と餌やり女性に注意した。
しかし餌やり女性は動物愛護の名を騙り「この猫達は不妊手術をしている。だから正当な行為」といい、餌やりを続けた。
住民は自治会長と共に警察官立ち会いのもとに餌やり女性に注意したのだが、餌やり女性は「正当な行為」と言い続け、また身分も明かさなかった。
栗山氏は、西宮市の動物愛護担当者と動物愛護推進員を交えて被害住民と餌やり女性の話し合いの場を設けた。
しかし何の解決にもいたらず、その後も毎日のように餌やり等は続けられている。
以上の事件により栗山氏は地域猫の弊害として、無許可であっても「餌やりはして良いこと」という誤解を招くことを挙げています。地域猫を導入することにより餌やりの罪悪感がなくなり、野良猫への餌やりは増えます。限定的なTNRでは、野良猫の個体数減少効果はあありません。むしろ給餌することにより、野良猫の栄養状態が良くなり繁殖力が向上し増えます。
地域猫の第一の目的は「地域環境の改善」です。緩やかであっても、野良猫とその害を減少させ、ゼロ化させることです。公共の場での猫飼育を認める制度ではありません。しかし地域猫=えさやりしてよい、という短絡思考の持ち主が、地域猫制度の導入をきっかけに、無許可であっても大手を振って餌やりをします。上記の西宮市甲風園2丁目の勝手地域猫は、その悪弊の例です。
上記甲風園2丁目の勝手地域猫は、現行法でも規制できます。例えば軽犯罪法第32条では、入ることを禁じた場所に無断で入れば10万円以下の過料または拘留、もしくはその併科です(当時。現在は懲役1年以下、罰金100万円以下にまで罰則規定が引き上げられています)餌やりは現行犯で他人の土地に無断で入り込み、退去を求めても応じずにえさやりを続けているのです。警察官が事実を把握していながら何ら法的措置を講じ無かったのは、職務怠慢と言わざるを得ません。
また駐車場経営者がえさやりの被害によってクルマが傷つけられる、それによって駐車場経営に支障が生じるのであれば、威力業務妨害罪が成立する可能性もありますし、契約者のクルマが猫により傷つけられれば器物損壊罪も成立します。また刑事罰のほかにも、駐車場経営者や近隣住民は餌やりに対して、餌やりを原因とする民事上の損害賠償を求めることもできます。
しかし実際に餌やりとそれに伴う野良猫の被害に遭っていない方は、その深刻さを理解できません。「私有地に無断で入って餌やりされる」と警察に訴えても「たかが野良猫への餌やり」と軽くあしらわれてしまいます。また業務妨害罪や器物損壊罪では、警察が捜査することは稀でしょう。被害者が自ら証拠を集め立証し、告訴するにも弁護士に依頼しなければ実際警察検察も取り合ってはくれません。
野良猫餌やりによる被害の救済は、被害者にのみ重い負担を強いられるのです。ですから餌やりは違法行為を伴う餌やり行為でも、大手を振って続けるのです。
私は地域猫制度を導入する場合は、地域猫として許可を受けた餌やり以外は、罰則付きで禁じる条例を同時に制定することが必須だと思います。地域猫制度だけ先んじて制度化すれば、必ず「これは地域猫活動だから正当な行為」と言って、無許可かつ違法行為を伴う餌やりであっても強引に行う人が出てきます。実際違法行為を伴う餌やりであっても、付随する行為で犯罪事実を立件するのは困難を伴います(例えば業務妨害罪や器物損壊罪)。
警察だって手間がかかる割には、軽度の犯罪は力を入れません。ですから「餌やり」という行為そのものを刑事罰とすることが必要なのです。餌やりに伴う違法行為とその被害は、看過できない状況になっているのですから。
愛誤さんが動物愛護先進国と絶賛する米国では、州によっては餌やりを刑事罰をもって禁じています。日本の条例のように「餌やりを禁じる条例はあっても罰則が適用されることはない」とは異なります。
米国では、禁止した餌やり行為を続ければ罰金刑に処せられますし、それでも改めずに餌やりを続ければ懲役刑もありえます(これらについては、ソースをつけて次回以降の記事で論じます)。
(駐車場内に直撒きされたキャットフード。神戸市兵庫区)

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