アメリカは行政単位で犬猫譲渡をしている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問

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(summary)
Holding period laws are state requirements that determine how long an impounded animal must be “held” before it is able to be released or euthanized.
The majority of states require a holding period of three to five days.
Over thirty states have what are termed "holding period" laws.
However, it can be as short as 48 to 72 hours in some cases.
記事、
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~海外情報はすべて誤り、
・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・続・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・続・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(アメリカ編)、
・「アメリカ合衆国では事実上8週齢未満の犬猫販売を禁じている」という、環境省のデタラメ資料、
・続・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(EU編)、
・続々・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(カナダ、オセアニア編)、
・EUの犬猫などのペットの入手は8割近くがインターネット販売とペットショップ~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
の続きです。
串田誠一議員は本国会質問で「犬猫の保管期限においては日本はまちまちで問題がある。アメリカではアニマルポリスが行政単位で犬猫の譲渡事業をしている」と発言しています。しかしこれらはすべて誤りです。アメリカ合衆国では、アニマルシェルターでの保管期限は州によりまちまちです。飼い主は所有権放棄した場合は、当日に殺処分が行われます。また一般にアメリカ合衆国では自治体は犬猫の譲渡活動をしておらず、殺処分率が100%の公営シェルターもあります。
まず問題の、串田誠一衆議院議員の発言内容はこちらです(ビデオ録画)。衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会
(画像)
衆議院インターネット中継 開会日 : 2019年2月27日 (水) 会議名 : 予算委員会第六分科会 串田誠一(日本維新の会) より

上記国会質問における、串田誠一議員の誤った質問内容には、次のようなものがあります。
(串田誠一議員の質問)
日本は犬猫の地方自治体の処理の仕方がまちまちであり問題。
国による統一基準を作るべきである。
その日のうちに殺処分することも行われている。
アメリカではアニマルポリスがあり、行政単位で犬猫の譲渡を行っている。
つまり串田誠一議員は、「日本の犬猫の収容期間が自治体によりまちまちなのは問題だが、アメリカではアニマルポリスがあり、行政単位で犬猫の譲渡を行っている(つまり、「1、アメリカ合衆国は日本と異なり、国による犬猫の保管期間ががあり」、また「2、保管期間も長い」という含みを持たせています。さらに「3、アメリカでは警察?も含めた行政が自ら犬猫の譲渡活動を積極的に行っており、日本は遅れている)」との意味の発言を行っています。結論から言えば、これらの発言は全て嘘です。
まず「3、アメリカでは警察?も含めた行政が自ら犬猫の譲渡活動を行っている」ですが、アメリカでは警察自ら犬猫の譲渡活動を行うことは一切ありません。一部委託を受けた民間団体が、退官した警察犬の一般家庭への譲渡を行ってます。
「1、アメリカ合衆国は日本と異なり、国による犬猫の保管期間がある」ですが、アメリカ合衆国の統一した保管期間の定めはありません。州により非常にばらつきがあります。飼い主が所有権放棄した犬猫は、当日に殺処分されることもあります。
「2、アメリカ合衆国においては、犬猫の収容期間が日本より長い」ですが、州により異なります。最低の収容期間が48時間と定められている州がありますし、多くの州では飼い主が所有権を放棄すれば、当日に殺処分してよいとしています。
まず、「1、アメリカ合衆国は日本と異なり、国による犬猫の保管期間ががあり」、また「2、保管期間も長い」についてです。それの反証をあげます。アメリカ合衆国のアニマルシェルターの最低保管期間を定めた、各州の州法を一覧にした資料があります。
Table of State Holding Laws 「アメリカ合衆国における犬猫の保管期限に関する州法一覧」 2017年
Holding period laws are state requirements that determine how long an impounded animal must be “held” before it is able to be released or euthanized.
The majority of states require a holding period of three to five days.
Over thirty states have what are termed "holding period" laws.
However, it can be as short as 48 to 72 hours in some cases.
The laws on this table reflect holding period laws for animals seized by public authority. Depending on the state, this may not cover animals voluntarily surrendered by owners.
In addition, these laws may not apply to private (non-state actors) parties and organizations that take up stray or abandoned animals.
If an animal control officer sees a loose dog (or other domestic animal, depending on the state or locality), he or she often has the authority to seize and impound the animal.
While a state may have a law that allows an officer to seize a loose dog, it may not provide a minimum holding period (Wisconsin is one such state).
Most states with holding period laws allow such authorities to seize any dog running at large or off an owner's property without a collar or license/registration tag.
Other actions may also result in a seizure of a dog under these laws such as violation of nuisance laws or even aggressive actions by the dog.
アメリカ合衆国の「動物の収容期間法」は、収容した動物を手放す、もしくは安楽死させることが可能となる前に、(アニマルシェルターが)一定期間収容しなければならないとしています。
州のほとんどは、3日から5日の期間を必要としています。
アメリカ合衆国の30以上の州に、「動物の保有期間法」と呼ばれるものがあります。
しかし、場合によっては48〜72時間程度に、その期間が短くなることもあります。
この表の法律は、公的機関によって収容された動物に関する保有期間に関して反映されています。
州によっては、飼い主が自発的に所有権を放棄した動物に対しては適用されないかもしれません。
さらにこれらの法律は、民間(州の運営ではない)の関係者および組織には適用されない場合があります(つまり民間シェルターには適用されない州がある)。
アニマルコントロール(註 自治体の動物管理を担う組織)の職員が放し飼いの犬(または州や地域によっては他の飼育動物)を見つけた場合は、しばしば押収しますし、そして差し押さえする権限を持っています。
州には、アニマルコントロールの職員に放し飼いの犬を押収することを許可する法律があるかもしれず、その場合は法律による最低限の州による保有期間が適用されないかもしれません(ウィスコンシン州はそのような州の一つです)。
「動物の保有期間法」が適用されるほとんどの州においては、広範囲で徘徊している犬、首輪なしで飼い主の私有地外にいる犬、または飼育免許、飼育登録日のタグがない犬を、行政職員が押収することを許可しています。
したがってこれらの法律の下では、他の行為、つまり迷惑防止法や、犬の攻撃的な行動でさえも、犬の押収が行われる可能性があります。
上記の資料をまとめれば、以下のようになります。
1、アメリカの約30の州では、アニマルシェルターが収容した犬猫などの最低保有期間を定めている。
2、その期間は、州によってばらつきがある(短い州は48時間という州もある)。
3、最低保有期間は、民間シェルターには適用されない州もある。
4、法律違反で押収された犬や、飼い主が自発的に所有権を放棄した犬は、最低保有期間が適用されないことがあり、当日に殺処分される可能性もある。
5、法律違反(放し飼い、遁走した犬、無登録、無許可飼育)の犬などは、州当局が押収する権限がある。
アメリカ合衆国に比べれば、日本は何と犬にやさしい国なのでしょうか。アメリカ合衆国では、犬を放し飼いにしたり、はなはだしきは一時的に逃げ出して首輪をしていなかった、人に迷惑をかけた(例えば夜間に無駄吠えするなどが考えられます)、攻撃的な犬というだけで、行政が押収する権限があります。その場合は、「保有期間法」による、最低保有期間が適用されず、その日のうちに殺処分されることもありうるということです。対して日本では、狂犬病予防法により、犬に関しては国の統一した基準により、2日間の保管が義務付けられています。
したがって、串田誠一議員の、「1、アメリカ合衆国は日本と異なり、国(連邦)で定めた統一の犬猫の保管期間があり」、また「2、保管期間も長い」は全くのデタラメです。呆れてものも言えません。
なお民間のシェルターですが、多くの州では「保有期間法」の適用を受けません。ですから「収容した直後に殺処分」も合法ですし、ありうるのです。現に、バージニア州のPETAのアニマルシェルターは、多い年では殺処分率が97%を超えていました。また24時間以内に殺処分された犬猫は84%でした。次回記事では、PETAのバージニア州のアニマルシェルターと、殺処分率100%のアメリカ合衆国の公営アニマルシェルターを取り上げます。
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