オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-6

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満室大家塾
オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-5

 (上記記事の続きです。なお「家賃集金管理システム」とは、賃貸全面管理委託のことです。最大手ハウスメーカーがこの名称を用いていますので、本記事でもそのように記載しました)。


 「家賃集金管理システム」(=賃貸全面委託管理)では、「入居者間のクレーム対応」を業務として謳っています。しかし管理会のクレーム対応能力には期待しないほうが良いでしょう。
 さらには、入居者間や入居者とオーナーや近隣住民との仲裁は法律事務に該当します。弁護士等の資格がない賃貸管理会社が行えば非弁活動であり、刑事罰の対象になります。法律上も賃貸管理会社は、入居者等が関わる利害関係の仲裁は出来ません。

 アウトソーシングが有効な業務は、・定型的で、・権限委譲の範囲が明確、・マニュアル化できる、ものです。
 賃貸管理委託はアウトソーシングの一種です。その内の「クレーム対応」は、上記の条件に全て反します。つまり・非定型的、・権限委譲の範囲が不明確、・マニュアル化がそぐわない、のです。
 賃貸住宅に関わるクレームは多岐にわたり、思いもよらないトラブルばかりです。それらの対応をマニュアル化して解決できるものではありません。対応によっては、さらにトラブルを大きくします。

 それを無理に対応手順をマニュアル化すれば、クレームの原因入居者に注意文書をポスティングすることと、ポスターの掲示になります。事実賃貸管理会社は、クレーム対応はポスティングとポスター掲示しかしません。
 画像左・中は、私が所有している投資向け区分所有マンションでのポスター掲示です。このマンションの管理会社は独立系で一棟の賃貸マンションアパートも多く管理受託しています。ですから画像のマンションと一棟の賃貸集合住宅と管理手法は同じです。

 共用部分が狭いことから、バイクの駐輪は禁止しています。管理会社の対応は「バイク駐輪禁止」のポスターを掲示するのみで、全く効果はありません。
 また本マンションは犬猫等のペット飼育が禁止されています。かつてこのマンションに住む母子が猫を数匹飼育し、外にも放していました。市が回収しない猫のトイレ砂をマンション以外のごみステーションに捨てるので、近隣から苦情が再三来ていました。
 管理会社の対応は、当該入居者にペット飼育禁止とゴミだしの注意を促す文書をポスティングするのとペット飼育禁止のポスターを掲示するだけでした。結局当該入居者が退去するまで改善しませんでした。

 賃貸集合住宅での入居者クレーム対応について、参考になる本があります(画像右)。


鈴木ゆり子の「実践満室大家塾」目次:鈴木ゆり子の「実践満室大家塾」

年利20%サラリーマン大家の不動産投資術:「鈴木ゆり子の実践! 満室大家塾」を読んで


 その中では、著者の鈴木ゆり子氏のクレーム対応方法が書かれています。
 鈴木氏が経営するアパートで、女性入居者から「同じアパートに住む男性が、ベランダに出て私を監視してストーカーする」と言う苦情が入りました。鈴木氏はくだんの男性入居者を訪問しますが、単刀直入に「ストーカー行為を止めなさい」などと言いません。まず世間話から始めます。
 実はこの男性入居者は、部屋を汚さないようにベランダに出てタバコを吸っていたのでした。

 管理会社のように「ベランダで女性を監視する行為は止めてください」という文書をポスティングしたらどうなりますか。男性入居者は怒るでしょうし、なおさらアパート入居者間の人間関係が悪くなります。それは退去にもつながるでしょう。
 私も似た経験があります。アパートの女性入居者が「夜中に真上に住む男性入居者がドアをたたいたりして嫌がらせをするので怖い」と苦情を申し入れてきました。一方で、指摘のあった男性入居者は「夜中の2時ごろに、真下の部屋の女性入居者を男性が訪ねてきて、テレビを大音量でつけたりしてうるさくて迷惑だ」と苦情を入れてきました。男性入居者は「うるさい」と注意する意味でドアを叩いたのです。
 私が女性入居者の言うことを真に受けて男性入居者に「女性入居者への嫌がらせを止めなさい」と頭ごなしに注意したら大変なことになります。

 人間関係は微妙です。人の気持ちを汲み取り、キメ細やかな対応が必要です。それは非定形的な状況判断をしなくてはなりません。
 一方の言い分だけを聞いて、マニュアル通りそのまま文書で注意しても何の解決にもなりません。かえって人間関係を悪化させる可能性もあります。かといってオーナーが対応すれば必ず良いと言うものでもありません。頭ごなしに注意するのであれば、管理会社のポスティングのほうがマシかもしれません。

 賃貸住宅でのクレーム対応は、特に人間関係は非定型的で、全てが特殊なケースであると言っても過言ではありません。それらの対処を管理会社に一任しても、期待通りの解決は望めないでしょう。クレーム対処は、その人の臨機応変な「人間力」がものを言うからです。
 なお、本記事でご紹介した鈴木ゆり子氏の「満室大家塾」では、「タバコをポイ捨てする入居者に止めさせるには、口やかましく注意するより目の前で大家自ら黙って拾うのが効果がある」との記述もあります。概ね正解だとは思いますが、私のアパートの覚せい剤ジャンキー入居者には全く効果がありませんでした。

 クレーム対応は、「こういうケースではこうする」と手順をマニュアル化することはできないのです。
 しかし多くの社員、中には入社したばかりの方もいる賃貸管理会社は、対応手順をマニュアル化せざるを得ません。人の心の機微を察したクレーム対処を期待しても無理です。不動産賃貸業はサービス業の一種です。クレーム対応が「業」としての品質を左右します。


・こちらでも本記事を公開しています。

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-6
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オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-5

 賃貸管理会社の緊急対応には、あまり期待しないほうが良いでしょう。また緊急対応費は、リフォームと異なり証拠が残りませんので空計上される恐れもあります。


 書籍「不動産投資で地獄を見た人の怖い話」の、内容を一部ご紹介します。著者の加藤隆氏は、25年、50戸の不動産賃貸経営をサラリーマンと兼業で続けておられる方です。本書の他にも著書多数。


 東京勤務の加藤氏は、名古屋にアパートを所有していました。賃貸管理会社のS社に管理を全面委託しています。
 2011年、加藤氏は勤務中に消防署から連絡を受けました。なんと空室のはずの部屋で練炭自殺を図った者がおり、アパートに掲示してある賃貸管理会社に電話をかけても通じないということでした。消防署が言うには「一酸化炭素が他の部屋にも充満している恐れがある。他の部屋の入居者の安全確認のために、今すぐ部屋を開けて確認したい」とのことでした。

 管理会社から加藤氏に連絡があったのは、その日の夕方でした。練炭自殺を図った入居者?は亡くなりましたが、他の方は無事でした。
 「ところでこの部屋は空室だったはずですが?」と加藤氏が問えば、管理会社の担当者は「(入居されていたことを)オーナーさんに連絡するのが遅れてしまって」と答えました。遠隔地の物件は、入居後もオーナーには黙っておいて、管理会社が家賃を貰いっ放しということだって可能です。


 この物件を管理受託していたS社は「緊急連絡先」として、アパートに会社の代表電話を掲げていました。それでは休日夜間など対応できませんから意味のないことです。
 管理会社によっては、警備会社に再委託して、夜間休日の緊急対応にあたっているところもあります。ただ警備会社が部屋の鍵を管理することは少ないようです。警備会社が各戸の鍵を保管していなければ、夜間休日に上記のような事件が発生すれば対応できません。ましてや上記の事件は、平日の昼間に発生しました。管理会社に連絡が付かなかったというのはもってのほかです。

 賃貸管理会社の「緊急対応」には、期待しないほうが良いでしょう。
 さらには、負担分担が不明朗、管理受託会社が「空」緊急対応費を計上して着服することも多々あります。緊急対応費はリフォーム工事と異なり、「していない」ことの立証が難しいからです。
 たとえば「近隣からアパート内で大声で争う声がするという苦情が夜間に寄せられたので緊急出動した」というケースでは、その事実を確認することは難しいです。
 オーナーが入居者に一人一人に「夜中に大声を出していたのはあなたですか」と訊ねることなんてできません。また通報をした近隣住民の特定もできません。管理会社は「匿名で通報を受けました」といえばそれでおしまいです。緊急対応費は、やろうと思えばいくらでも空計上できるのです。


 このようなケースもあります。

賃貸不動産管理をめぐるトラブル等の現状平成21年 国土交通省総合政策局不動産課

○管理手数料に関するトラブル
借主がトイレの鍵を壊してしまい、夜中に閉じ込められた時、管理会社の人が駆けつけて修理してくれた。
その時、鍵代のほかに手数料3千円を管理会社に請求された。
家主である自分がそれを負担した。

 手数料3千円は緊急対応費という名目でしょう。しかし入居者の過失により鍵を壊したのであれば、緊急対応費も含めて入居者が負担すべきです。


○管理業務に関するトラブル
アパートで漏水があり建物の管理委託した会社の怠慢で住民から損害賠償を求められた。
休日だった為、アパートの管理を任せた管理会社がきちんと対応をしなかった。
管理会社は24時間対応すると言っていたのに話が違う。

不動産投資怖い話1

不動産投資 怖い話2


こちらでも記事を公開しています。

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-5

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-4

 賃貸管理会社が提案するリフォームは、オーナーの賃貸経営にとって利益になる助言ではありません。あくまでも、賃貸管理会社が利益を得るためです。


 以下は賃貸不動産の全面委託(家賃集金システムと称しているところもあります)と呼ばれるものです。
 大手ハウスメーカーや大手投資分譲マンションの賃貸管理部門では、全面委託を条件としているところがほとんどです(独立系の管理会社では、業務の一部を受託するところもあります)

1、入居者の募集・賃貸借契約締結。
~専任媒介契約(入居者募集を一社が独占して行う媒介契約。賃貸での入居者募集では、専任媒介契約のメリットはオーナーにはほぼありません。それは別の機会に詳述します。対して複数の業者に媒介を依頼できる契約を一般媒介契約です)を条件とします。
もちろん入居者が決まれば、宅建業法で定める最高額の仲介手数料がかかります(あたり前)。

2、入居者が支払う家賃、敷金等一切を、賃貸管理会社が一旦集金する。
~この危険性については、既に述べました。

3、家賃の督促や入居者の苦情受付など。
~家賃の督促回収は、賃貸管理会社には法的権限はありません。
また、オーナーと入居者間のトラブルの仲裁も権限はありません。
以上は法律事務に該当し、弁護士等に資格を要するからです(これも既に述べました)。

4、保険引き受け、リフォーム、清掃、警備等緊急対応。
~これがもっとも賃貸管理会社にとって、利益になります。
なぜならばリフォームや緊急対応費は、賃貸管理会社が他社に下請けさせれば料金を上乗せするからです。
3割くらいは平気です。
また自社で行う場合でも、大変割高な金額になります。
競合がなければ、がんばって良心的な金額を提示する業者なんていません。
今回は、この問題について論じます。


 不動産賃貸経営においてはリフォームは欠かせない、もっともランニングコストがかかる業務です。またオーナー、入居者間でもっともトラブルが頻繁に発生します。入居者様の退去に伴う原状回復費用の分担でです。

 賃貸不動産管理会社は、オーナーの入居者様の退去立会いを認めないところが多いです。理由は「原状回復費用の分担については、賃貸管理会社が専門知識がある。無知なオーナーが口出しすればトラブルになるから」という理由です?
 また退去後のリフォームをどの程度するかも、管理会社に一任することを求められます。理由は「どの程度リフォームするかの判断は専門的知識を要するから」という理由?です。
 また、一括借上げ契約をしていれば「十分なリフォームをしなければ入居者募集で不利になから一括借上げすることができない」という理由です。これは、一括借上げ契約で「借主(賃貸管理会社)が行うリフォーム工事を行うことを条件とする」と謳っているはずです。

 他に賃貸管理会社にリフォーム工事を一任し、オーナーが現場を確認できなければ、「高コスト」以外にどのようなリスクがあるのでしょうか。
 以下のリンクは「国土交通省総合政策局不動産課」が発表した、不動産賃貸管理会社の、リフォーム代行トラブルです。


http://top.zenjyu.or.jp/report/pdf/report06/re...


○家賃等100万円の着服
マンションの賃貸人であるXは、平成10年6月頃から、業者Yに賃貸マンションの媒介と管理業務を委託していたが、委託後程なく、家賃等がYからXにきちんと交付されなくなってきたと感じたため、独自に調査を行った。
その結果、Yは、行ってもいないと思われるリフォームをしたと言って、リフォーム代相当をXに渡す家賃から差し引いて、賃借人から受領した賃料の一部をYに渡していないことが判明した。

○ 原状回復に伴う賃貸管理業者とのトラブル
入居者が入れ替わるたびにたとえ半年でもリフォーム代を請求される。
一度腹に据えかね、退室時の様子を見たいと告げ、退去者が出た際にアパートを見に行ったことがあるが、事前に伝えていたにもかかわらず、壁紙など剥がされリフォームの途中だった。入れ替わるたびにリフォーム代がかかるばかり。 


 上記事例で、行ってもいないリフォーム工事を行ったと偽り、その代金を家賃等から差し引くなどは起きてあたりまえでしょう。同様のケースはしばしば見聞します。オーナーが現場を確認することもなく、その空代金を家賃等から勝手に差し引いて取りはぐれも無ければ。
 餓えた犬をつなぐことも無く、その前にご馳走を置いて「ご馳走の番をしろ」と言いつけるのと同じです。私に言わせれば「ご馳走を犬に食われてしまった」と文句を言うほうがバカです。

 また過剰なリフォームを行うのも、上記の理由で起きるのは必然です。
 よほど酷い使い方さえしなければ、半年の入居期間でクロス全面貼り替えはまず必要ありません。もし半年でクロス全面貼り替えが必要なほど毀損していれば、自然な経年劣化では無く、入居者の故意過失です。入居者からその現状回復費用を請求できます。
 しかし賃貸管理業者はオーナーに負担させます。なぜならば家賃から差し引けば取りはぐれがないからです。
 
 賃貸管理業者が「オーナーは素人だから専門知識のある賃貸管理業者に管理委託するのが常識」というのは大嘘です。
 リフォームのセンスや必要範囲の把握など、驚くほど無知な賃貸管理業者も多く存在します。彼らの目的は、オーナーの賃貸経営のサポートではなく、自社の利益です。

 「賃貸管理業者にリフォームを任せていたら、玄関のクッションフロア(ビニール系床材)が木目柄で仰天した」なんていう話は頻繁に聞きます。玄関床が木目柄とはどういうセンスをしているのでしょうか。
 それは他所の室内床材のあまりを廃物利用したからです。それでもしっかり工事費は取られたそうですw

 私は賃貸管理を委託していませんが、宅建業者から私の物件に難癖を付けられて「ウチでリフォームしなければ決まりません」と脅されます。「和室の塗り壁は人気がありません。洋室に変えなさい。塗り壁に直接クロスを貼る方法があります」などです。しかし間柱を残したままクロス仕上げの洋室に変更しても、中途半端でかえって安っぽくなります。
 要するにオーナーの物件をけなしてリフォームさせ、代金のピンハネが欲しいだけ。リフォーム工事のど素人が平気でそんなことを言います。


・こちらでも記事を公開しています。

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-4

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム(賃貸管理委託)」-3

 賃貸管理業者に家賃を集金させたり、敷金を預けることはリスクがあります。オーナーの財産を賃貸管理会社の財産と分別管理したり保全する法的根拠がないからです。


 賃貸管理委託(「集金管理システム」と名乗っている業者もあります)とは、月々の管理料で賃貸管理全般を、賃貸管理業者が請け負うことです。家賃、敷金等は、一旦は入居者から管理業者名義の口座に集金し、月々の定額管理料などを差し引いて、月遅れでオーナーに支払います。
 定額の管理料の他に、管理業者がリフォームや清掃、緊急対応で警備会社を手配すれば、その都度再委託費を上乗せした費用が差し引かれてオーナーに支払われます。今回は、入居者から直接賃貸管理会社が家賃等を集金する弊害について述べます。

 集合住宅の管理委託には、他に区分所有物件(分譲マンション)の管理委託があります。分譲マンションの管理業者が賃貸管理受託を兼業しているケースも多く混同しがちですが、両者はまったく異なります。
 まず分譲マンションの管理業は免許制です。社員に一定数の「マンション管理士」という国家資格をおくことや一定以上の財務内容を義務付けており、違反があれば免許取り消しなどの行政処分もあります。また、管理組合から管理費等を預かる場合は、1ヶ月未満に限られ、その場合も管理会社が倒産した場合などに備えて保全措置が講じられています。以上は、マンション管理適正化法に規定されています。

 対して賃貸管理受託は規定する法律はありません。零細な昨日開業したばかりの、何の資格もない個人事業主でも開業できます。管理会社が預かった家賃等は、保全措置が講じられることはありません。また敷金も、入居者が退去するまで長期間預かります。
 このことは、管理会社が預かった金を勝手に流用してしまうとか、管理会社が差し押さえを受けた場合は、オーナーの財産まで差し押さえれてしまいます。これは珍しいことではありません。国土交通省土地・建設産業局不動産課では、以下のような相談事例を発表しています。

賃貸住宅管理業者をめぐるトラブルと業務のルール化による対応の整理
10、財産の分別管理 より抜粋

○約2000人のオーナーから賃貸管理業務を受託していたA社は、賃借人から預かった敷金や賃料のうち7億5千万円を資金繰りのため流用していた。A社は平成20年9月に民事再生手続きに入った。

○アパートの賃貸借の媒介及び管理を依頼されている業者Xが、賃借人の支払った敷金、礼金及び前払家賃を着服し、大家に渡さない。


 また、管理会社が入居者から直接金銭を預かることにより、オーナーに知らせずに、勝手に入居者から金銭を授受し着服するケースも多々あります。

賃貸住宅管理業者をめぐるトラブルと業務のルール化による対応の整理
8、管理受託契約に基づかない賃借人からの金銭受領の禁止 の抜粋です。

○管理業者の中には、礼金や更新料といった不当な一時金を賃借人から受領し、これらの一部若しくは全部を自らの管理報酬としてしまう者や、賃借人とは何ら管理契約を締結していないにもかかわらず、更新事務手数料と称して半月分の賃料相当額を管理報酬としてしまうような者も存在している。
 
○Xは、所有するマンションの一室を賃貸するため、平成11年3月、業者Yと「滞納保証付賃貸借業務管理委託契約」を締結。同月、Xは、Yの代理により、借主Aと建物賃貸借契約を締結した。その際、Yは、「借主は1年以内に解約した場合、違約金として家賃の1ヵ月分を支払う」旨の特約事項を設定していたが、Xにはその内容を説明せずその内容を記載した書面の交付も行わなかった。
同年8月、Aは退去することになり、違約金を支払って契約を解約した。Xは、Yに対し、退去精算書における違約金について質問したが、Yは虚偽の報告をし、徴収した違約金をXに支払わなかった。XがYを問い詰めたところ、Aから違約金を徴収している事実を認めた。


 入居者から直接管理会社が金銭を預かれば、オーナーに知らせず管理会社が勝手に違約金条項などでっち上げ、入居者から金銭を取り立てて着服することもできます。これらの行為は、立派に横領罪が成立するでしょう。
 特に上記事例、後者では、もし入居者が裁判を起こせば、オーナーに違約金の返還を命じる判決が下りる可能性があります。その場合は、オーナーは、管理会社から違約金を受領していないこと、管理会社がネコババしたことを立証しなければ、違約金の返還を入居者にしなくてはならなくなります。

 以上のように、入居者から管理会社が直接金銭を授受するのはリスクがあるのです。上場している大企業でも倒産しないとは限りません。
 1991年には、投資用マンションの一括借上げや管理受託を行っていた上場企業のマルコーが会社更生法の適用を受けました。

 「管理委託すれば楽して左団扇で儲かる」と言う能天気な方にはお好きにおやりなさい、としか申し上げられません。今時そのようなおめでたい方がいらっしゃるのは驚きです。
 私などは、少し考えただけでも、管理委託で入居者から直接管理会社が金銭を授受することのリスクに思い至りますが。


・こちらでも同じ記事を公開しています

uhuru.jp | オーナーを搾取する「家賃集金管理システム(賃貸管理委託)」-3

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム(賃貸管理委託)」-2

 賃貸管理委託は「集金管理システム」と名乗っている業者もあります。そのために受託を受けた業者が、無条件無制限に家賃の督促回収に責任を持つと誤解されている方がいます。しかし実態はまったく異なります。


 ハウスメーカー等のアパート建築業者の、アパートオーナーに対する提案とサービス提供は、主に次のとおりです。

1、一括借上げ(その欺瞞はすでに述べました)
2、管理委託(家賃集金管理システムとの名称もあります)
3、高コスト建築、リフォーム

 この3つは、アパートオーナーの利するものではなく、アパートオーナーの自己資本を蝕み、確実に破綻に追い込みます。利益があるのはサービスを提供している業者のみと断言します。
 今回から続けて、2、管理委託(家賃集金システム)について、解説をします。

 このシステムは、入居者から毎月の家賃を管理会社名義の銀行口座に振り込ませます。敷金がある場合は、管理会社がその入居者が退去するまで預かります。
 管理会社は月々の管理手数料や、管理業者が手配した清掃業者への支払いやリフォーム工事代金(もちろん管理業者が代金に3割~ほど上乗せします)などを差し引いた金額を、月遅れでオーナーに支払います。


集金管理システム|土地活用|積和不動産中国株式会社


 上記積和不動産(積水ハウスの子会社です)の、管理委託(集金管理システム)のパンフレットには次のようにあります。

 「家賃徴収から入居者の苦情処理、建物の維持管理まで、管理業務のすべてを代行いたします。オーナー様は月々の管理料をお支払いいただくだけ」。

 これは大変誤解を招く書き方です。管理委託システム(集金管理システム)を、月々の定額(家賃の5~8パーセント。空室でも定額料金はかかる)で管理業者が、全て家賃の督促回収など法律問題からリフォーム工事などまで行うと勘違いされている方がいらして大変驚きました。
 月々の5~8パーセントの定額でできるわけがありません。そのようなことをしたら、管理会社は大大大赤字です。そのように勘違いする方は、よほど欲ボケか、知能が正常ではないのでしょう。

 実態は「集金管理システム」とは、「管理業者がオーナーから手数料やリフォーム工事等のピンハネ料を取りはぐれせずに」「管理という名目でオーナーから搾取する」システムという意味です。

 今では不動産賃貸契約では、入居者様に家賃保証会社の保証契約を締結することが条件になっています。ですから、保証の範囲内では、オーナーは家賃を取りはぐれることはありません。
 しかし保証会社の保証契約でも、落とし穴があります。たとえば保証期間が限られていることです。家賃保証の期間は、10ヶ月以内が多いです。保証期間を過ぎた滞納家賃は、もちろん保証会社は保証しません。
 2年ほど家賃を滞納したまま住み続ける豪傑も中にはいます。その場合オーナーは、自費で弁護士に依頼して訴訟を提起し、滞納家賃を取り立て、退去命令を得なければなりません。

 また家賃保証契約では、更新料が必要なところがほとんどです。入居者の中には、「更新料が払えない」と言って、家賃保証契約の更新を拒否する人もいます。そのような場合、賃貸借契約を解除できるかと言えば、実際問題難しいでしょう。
 ですから、家賃保証契約の更新がなされずに家賃の滞納があれば、大家が自費で訴訟を提起するなりして取り立てなければなりません。

 管理委託会社は、家賃の督促等は行いません。なぜならば、オーナーに代わり債務の支払い交渉等の法律事務を行うことは、弁護士や司法書士の資格がなければ違法になるからです。
 オーナーが管理会社に「家賃を責任持って取り立ててください」と言えば「それは非弁活動です。法律で禁じられて刑事罰の対象です。われわれは違法行為はできません」と答えるはずです。
 もちろん、弁護士等の紹介はします。弁護士等への報酬支払いは、もちろんオーナー負担です(当たり前)。

 家賃の滞納のほか、賃貸経営では法律問題は付きものです。入居者が著しく部屋を毀損させたとか、敷金返還の訴訟を起こすとか(この訴訟は小額訴訟では極めて多い)です。そのような場合も、管理会社は一切関与しません、と言うか法律上できません。 
 なぜならば先に述べたように、弁護士司法書士の資格がなければ、違法行為になるからです。

 次回は、家賃等を管理会社名義の口座に振り込ませることの弊害について論じたいと思います(続く。


(解説・補足)

 なお、家賃保証契約締結における、保証会社が家賃督促回収を行うことは、債権者と言う一方の当事者であり、非弁活動にはあたりません。

非弁活動

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プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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